JPH0650489Y2 - 介護用セット下着 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、寝たきり老人又は病人
等の介護を要する人に着用させる介護用セット下着に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の下着としては、例えば実開昭６
１−４３２０５号公報に開示された構成のものが従来例
として周知である。この従来例のものは、前身頃が中央
部で開放出来ると共に、両袖部が肩部から袖口にまで開
放出来るように構成され、各開放部分に各々係止具を取
り付けたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記従来例のシャツに
おいては、被着又は脱衣させる際には、前身頃における
中央部の開放と袖部の開放とを同時に行うのであるが、
被着時には介護者は被介護者の上半身を持ち上げて後身
頃が背中の所定位置に来るように宛がってから寝かせ
て、前身頃を上半身の所定位置に合わせてから前記開放
部分を閉じるようにしている。また、脱衣の際には開放
部分を全て開放し前記被着時とは逆に行うか又は、後身
頃を引き抜くようにしている。また、これと同様にパン
ツの着脱作業を行う場合にも、介護者は被介護者の下半
身を持ち上げてパンツの被着又は脱衣を行っている。従
って、いずれの場合も被着と脱衣とが別作業になるので
介護者において相当の労力と手間とを要するという問題
点があった。

【０００４】また、病院や医療施設のベットの上などで
下着の着脱を行う場合には、介助を受けるものは、一旦
下着を脱いでから新しい下着を着るまでの間に、介護者
や周囲の者に肌をさらすことになり、羞恥心を生じさせ
るものであった。

【０００５】従って、従来例における前開きの下着にお
いては、その着脱時の介護者の作業性と労力及び羞恥心
の惹起を解消させることに解決しなければならない課題
を有している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記従来例の課題を解決
する具体的手段として本考案は、一対の介護用シャツで
構成され、一方の介護用シャツの左肩口部分は前身頃と
後身頃とに分離可能に形成し、前記左肩口部分から前身
頃を通って裾に掛けて前記前身頃を開閉可能に形成し、
前記左肩口部分から連なって袖口部に掛けて長さ方向に
沿って分離可能に形成すると共に、他方の介護用シャツ
の右肩口部分は前身頃と後身頃とに分離可能に形成し、
前記右肩口部分から前身頃を通って裾に掛けて前記前身
頃を開閉可能に形成し、前記右肩口部分から連なって袖
口部に掛けて長さ方向に沿って分離可能に形成したこと
を特徴とする介護用セット下着、並びに、一対の介護用
パンツで構成され、一方の介護用パンツの左腰部分は正
面側と背面側とに分離可能なように形成し、前記一方の
介護用パンツの股下部分は正面側と背面側とに分離可能
なように形成すると共に、他方の介護用パンツの右腰部
分は正面側と背面側とに分離可能なように形成し、前記
他方の介護用パンツの股下部分は正面側と背面側とに分
離可能なように形成したことを特徴とする介護用セット
下着を提供するものである。

【０００７】

【作用】一対の介護用シャツで構成され、介護用シャツ
の肩口部と、前記肩口部から前身頃を通って裾に掛けた
部分、及び前記肩口部から連なって袖口部に掛けた部分
を分離可能に形成し、また、一対の介護用パンツで構成
され、介護用パンツの腰部分と股下部分を正面側と背面
側とに分離可能なように形成することによって、下着の
着脱に際して、介護者の老人や病人等に対する介助作業
に要する労力及び手間を軽減させると共に、一旦下着を
脱いでから新しい下着を着るまでの間に、介護者や周囲
の者に肌をさらすことなく短時間で速やかに下着の着脱
を行い得るのである。

【０００８】

【実施例】次に本考案を図示の実施例により更に詳しく
説明すると、図１及び図２に示したものは第１実施例で
あり、１ａ，１ｂは介護用シャツセットで、一方におい
ては左肩口部分は前身頃２ａと後身頃３ａとに分離可能
なように形成されており、その肩口部４ａには複数個の
釦、フック或は面テープ等の留め具５ａが前身頃２ａと
後身頃３ａの重なり合う部分に沿って適宜間隔で設けら
れている。

【０００９】また、前記肩口部４ａから前身頃２ａを通
って裾６ａに掛けては介護用シャツセット１ａの前身頃
が開閉可能なように形成されており、複数個の釦、フッ
ク或は面テープ等の留め具７ａが右側と左側の身頃が重
なった部分に沿って適宜間隔で設けられている。

【００１０】更に、前記肩口部４ａから連なって袖口部
８ａに掛けては、長さ方向に沿って分離可能なように形
成されており、複数個の釦、フック或は面テープ等の留
め具９ａが肩口部４ａから袖口部８ａに沿って適宜間隔
で設けられている。

【００１１】他方の介護用シャツセット１ｂは、図２に
示したように、前記一方の介護用シャツセット１ａと左
右が全て対称になるように構成される。

【００１２】即ち、右肩口部は前身頃２ｂと後身頃３ｂ
とに分離可能なように複数個の釦、フック或は面テープ
等の留め具５ｂが肩口部４ｂに設けられている。また、
前記右肩口部から前身頃２ｂを通って裾６ｂに掛けては
介護用シャツセット１ｂの前身頃が開閉可能なように複
数個の釦、フック或は面テープ等の留め具７ｂが右側と
左側の身頃が重なった部分にに沿って適宜間隔で設けら
れている。

【００１３】更に、前記右肩口部から連なって袖口部８
ｂに掛けては、長さ方向に沿って分離可能なように複数
個の釦、フック或は面テープ等の留め具９ｂが肩口部４
ｂから袖口部８ｂに沿って適宜間隔で設けられている。

【００１４】次に、上記の様に構成された本考案の介護
用シャツセット１ａ，１ｂの着脱の仕方について説明す
る。介護者が、一方の介護用シャツセット１ａを被着し
た被介護者のシャツの着脱を行う場合、図３に示したよ
うに、肩口部４ａに設けられた留め具５ａと、前記肩口
部４ａから裾６ａに掛けて右側と左側の身頃が重なった
部分に沿って設けられた留め具７ａと、前記肩口部４ａ
から連なって袖口部８ａに沿って設けられた留め具９ａ
の係止を全て外して、被介護者の左肩、左胸及び左腕を
露出させる。つまり、左上半身を全面的に露出させるよ
うにする。

【００１５】次に、介護者は着替用の他の介護用シャツ
セット１ｂの左袖に被介護者の左腕を通し、前身頃部分
と後身頃部分が上半身の左側部分に被着される状態にセ
ットし、被介護者の上半身の左側部分を略９０゜位持ち
上げるようにすると、前身頃及び後身頃が上半身の傾き
に沿って纏わり付くようになり、その纏わり付きのまま
元の状態に寝かせる。

【００１６】この寝かせた状態において、他方の介護用
シャツセット１ｂの後身頃は被介護者の背中の右側にま
で及んでおり、介護者は被介護者の右側において上半身
を僅かに持ち上げて、先の一方の介護用シャツセット１
ａを抜き取ると共に、他方の介護用シャツセット１ｂの
後身頃及び袖を引出し、右肩、右腕と順次速やかに着せ
ていき、前記介護用シャツセット１ｂの留め具５ｂ，７
ｂ，９ｂを全て係止させることで着脱作業が完了する。

【００１７】なお、上記に記載した介護用シャツセット
１ａ，１ｂの着脱の仕方は、シャツの左側部分が開放可
能な介護用シャツセット１ａを脱いで、次に、シャツの
右側部分が開放可能な着替用の介護用シャツセット１ｂ
を着る場合であるが、上記記載の場合とは逆にシャツの
右側部分が開放可能な介護用シャツセット１ｂを脱い
で、次に、シャツの左側部分が開放可能な着替用の介護
用シャツセット１ａを着る場合でも、上記に記載した着
脱の仕方と左右を逆に行うことは勿論である。

【００１８】本考案の第２実施例を図４及び図５に示
す。同実施例は介護用パンツセット１０ａ，１０ｂであ
り、一方の介護用パンツセット１０ａは図４に示したよ
うに左腰部分が正面側と背面側とに分離可能なように形
成されており、複数個の釦、フック或は面テープ等の留
め具１１ａが左腰部分の係合部１２ａに適宜間隔で設け
られている。

【００１９】また、前記一方の介護用パンツセット１０
ａの股下部分は該股下部分の正面側と背面側とに分離可
能なように形成されており、複数個の釦、フック或は面
テープ等の留め具１３ａが前記股下部分の係合部１４ａ
に適宜間隔で設けられている。

【００２０】他方の介護用パンツセット１０ｂは、図５
に示したように、前記一方の介護用パンツセット１０ａ
と左右が対称に構成される。即ち、右腰部分は前記他方
の介護用パンツセット１０ｂの正面側と背面側とに分離
可能なように形成されており、複数個の釦、フック或は
面テープ等の留め具１１ｂが右腰部分の係合部１２ｂに
適宜間隔で設けられている。

【００２１】また、前記他方の介護用パンツセット１０
ｂの股下部分は、図４に示した介護用パンツセット１０
ａと同様に該股下部分の正面側と背面側とに分離可能な
ように形成されており、複数個の釦、フック或は面テー
プ等の留め具１３ｂが前記股下部分の係合部１４ｂに適
宜間隔で設けられている。

【００２２】次に、上記のように構成された本考案の介
護用パンツセット１０ａ，１０ｂの着脱の仕方について
説明する。介護者が、一方の介護用パンツセット１０ａ
を着けた被介護者のパンツの着脱を行う場合は、図６に
示したように左腰部分の係合部１２ａに設けられている
留め具１１ａと、股下部分の係合部１４ａに設けられて
いる留め具１３ａの係止を全て外す。

【００２３】次に介護者は着替用の他方の介護用パンツ
セット１０ｂの右腰部分を被介護者の左腰に宛がい、前
記他の介護用パンツセット１０ｂの正面側と背面側を被
介護者の下半身に被着される状態にセットし、被介護者
の下半身の左側部分を略９０゜位持ち上げるようにする
と、前記正面側及び背面側が下半身の傾きに沿って纏わ
り付くようになり、その纏わり付きのまま元の状態に寝
かせる。

【００２４】この寝かせた状態において、他方の介護用
パンツセット１０ｂの正面側と背面側は被介護者の腰の
右側にまで及んでおり、介護者は被介護者の右側におい
て下半身を僅かに持ち上げて、先の一方の介護用パンツ
セット１０ａを抜き取ると共に、他方の介護用パンツセ
ット１０ｂの係合部１２ｂ，１４ｂを引出してから、留
め具１１ｂ，１３ｂを係止させることで着脱作業が完了
する。

【００２５】なお、上記に記載した介護用パンツセット
１０ａ，１０ｂ着脱の仕方は、パンツの左側部分が開放
可能な介護用パンツセット１０ａを脱いで、次に、パン
ツの右側部分が開放可能な着替用の介護用パンツセット
１０ｂを着る場合であるが、上記記載の場合とは逆にパ
ンツの右側部分が開放可能な介護用パンツセット１０ｂ
を脱いで、次に、パンツの左側部分が開放可能な着替用
の介護用パンツセット１０ａを着る場合でも、上記に記
載した着脱の仕方と左右を逆に行うことは言うまでもな
い。

【００２６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る介護
用セット下着は、一対の介護用シャツで構成され、一方
の介護用シャツの左肩口部分は前身頃と後身頃とに分離
可能に形成し、前記左肩口部分から前身頃を通って裾に
掛けて前記前身頃を開閉可能に形成し、前記左肩口部分
から連なって袖口部に掛けて長さ方向に沿って分離可能
に形成すると共に、他方の介護用シャツの右肩口部分は
前身頃と後身頃とに分離可能に形成し、前記右肩口部分
から前身頃を通って裾に掛けて前記前身頃を開閉可能に
形成し、前記右肩口部分から連なって袖口部に掛けて長
さ方向に沿って分離可能に形成した構成とすることによ
り、自ら着替えや身体の洗浄を行うことのできない老人
や病人等を介護する場合に、下着の着脱に際して、介護
者の老人や病人等に対する介助作業に要する労力及び手
間を軽減させると共に、介護者や周囲の者に肌をさらす
ことなく、ごく短時間で速やかに下着の着脱を行い得る
という優れた効果を奏する。

【００２７】また、一対の介護用パンツで構成され、一
方の介護用パンツの左腰部分は正面側と背面側とに分離
可能なように形成し、前記一方の介護用パンツの股下部
分は正面側と背面側とに分離可能なように形成すると共
に、他方の介護用パンツの右腰部分は正面側と背面側と
に分離可能なように形成し、前記他方の介護用パンツの
股下部分は正面側と背面側とに分離可能なように形成し
た構成とすることにより、前記と同様に、下着の着脱に
際して介護者や周囲の者に肌をさらすことなく着替え作
業が速やかに行われると言う優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシャツの左側を開放する介護用シ
ャツセットの正面図である。

【図２】本校案に係るシャツの右側を開放する介護用シ
ャツセットの正面図である。

【図３】本考案に係るシャツの左側を開放する介護用シ
ャツセットの開放した状態の正面図である。

【図４】本考案に係るパンツの左側を開放する介護用パ
ンツセットの正面図である。

【図５】本校案に係るパンツの右側を開放する介護用パ
ンツセットの正面図である。

【図６】本考案に係るパンツの左側を開放する介護用パ
ンツセットの開放した状態の正面図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ 介護用シャツセット ２ａ，２ｂ 前身頃 ３ａ，３ｂ 後身頃 ４ａ，４ｂ 肩口部 ５ａ，５ｂ 留め具 ６ａ，６ｂ 裾 ７ａ，７ｂ 留め具 ８ａ，８ｂ 袖口部 ９ａ，９ｂ 留め具 １０ａ，１０ｂ 介護用パンツセット １１ａ，１１ｂ 留め具 １２ａ，１２ｂ 係合部 １３ａ，１３ｂ 留め具 １４ａ，１４ｂ 係合部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の介護用シャツで構成され、一方の
   介護用シャツの左肩口部分は前身頃と後身頃とに分離可
   能に形成し、前記左肩口部分から前身頃を通って裾に掛
   けて前記前身頃を開閉可能に形成し、前記左肩口部分か
   ら連なって袖口部に掛けて長さ方向に沿って分離可能に
   形成すると共に、他方の介護用シャツの右肩口部分は前
   身頃と後身頃とに分離可能に形成し、前記右肩口部分か
   ら前身頃を通って裾に掛けて前記前身頃を開閉可能に形
   成し、前記右肩口部分から連なって袖口部に掛けて長さ
   方向に沿って分離可能に形成したことを特徴とする介護
   用セット下着。
2. 【請求項２】 一対の介護用パンツで構成され、一方の
   介護用パンツの左腰部分は正面側と背面側とに分離可能
   なように形成し、前記一方の介護用パンツの股下部分は
   正面側と背面側とに分離可能なように形成すると共に、
   他方の介護用パンツの右腰部分は正面側と背面側とに分
   離可能なように形成し、前記他方の介護用パンツの股下
   部分は正面側と背面側とに分離可能なように形成したこ
   とを特徴とする介護用セット下着。
3. 【請求項３】 分離及び開閉可能な部位に留め具を設け
   た請求項１又は請求項２に記載の介護用セット下着。