JP3130071U - 要介護者用パジャマの上衣及びズボン - Google Patents

Abstract

【課題】 強度硬縮がみられる要介護者のためのパジャマの上衣及びズボンを提供する。
【解決手段】 本パジャマの上衣左右袖下側から左右脇側とズボン前側に２本の開閉自在部を設置した要介護者用パジャマの上衣およびズボンである。
【選択図】図１

Description

考案の詳細な説明

本考案は、上衣左右袖下接合部から左右脇接合部まで、又、ズボンウエスト開口周縁前側二箇所から左右裾開口周縁前側にかけて、２本の着脱の為の開閉自在な２枚の重なり部分が設けられた、要介護者用パジャマの上衣及びズボンに関するものである。

従来、介護用パジャマでは、その形状として機能性を重視した上下一体型や上下分離型があった。身体硬縮または麻痺がみられる被介護者に適した形状では、健常者が着用している一般的なものとはかなり異なった形状や配色のものもあった。

例えば、上下一体型のパジャマでは、スライドファスナーでスムーズに着脱が完了できるが、留め金具への接触やスライド時に挟み込む危険性など、皮膚の損傷も危惧された。中には、外見上で患者である暗いイメージを払拭できないものもあり、家族と同じ形状、配色、柄の一般的なパジャマの外見を保ち、且つ機能性のみ改良されたものは少なかった。

そこで、このようなことに配慮した介護用パジャマが提案されている。（例えば、特許文献１、特許文献２参照）

実用新案登録３０７７８７４号公報（第１図） 実用新案登録３０７２９３２号公報（第１図）

考案が解決しようとする課題

特許文献１に記載の介護用パジャマには、両開きオープンファスナーなどを用い腕や脚の出し入れがスムーズにできるように工夫されている。しかし、両開きオープンファスナーでは、閉じる際に末端の口金を互いに合わせる必要が生じ手間がかかると共に、被着者の皮膚などを挟み込む危険性や被着者が横臥の姿勢をとった際に、口金部分を身体に敷き込むことによる皮膚の損傷も考えられた。
特許文献２による介護用パジャマは、脇部分に略三角形状のマチ、前立て部分には面ファスナー、ズボンのウエスト部分前側２箇所から両脚挿入部分の中央付近までオープンファスナーが設置されている。しかし、この考案では、被着者に重度身体硬縮が診られた場合、袖に被着者の腕を通すことは困難でありズボンの着脱も困難であった。本考案は、上記の事情に鑑み重度身体硬縮がみられる被介護者及び介護者に対し安全面や労力の軽減に一層の配慮を施した、要介護者用パジャマの上衣及びズボンを提供することにある。

課題を解決するための手段

請求項１に記載の要介護者用パジャマの上衣及びズボンは、上衣本体の左右袖下接合部から左右脇接合部に着脱の為の連続で開閉自在な２枚の重なり部分を設け、ズボン本体のウエスト部開口周縁には、その前側中央部から左右均等二個所に設置された夫々直線で略平行な２本の着脱の為の開閉自在な２枚の重なり部分を連続で裾開口周縁まで設けると共に、そのウエスト開口周縁において前側二箇所の重なり部分の間以外の個所にウエスト締めの為の紐状ゴムが設けられギャザーが形成されていることを特徴とする。
請求項２に記載の要介護者用パジャマ及びズボンは、上衣本体の左右袖下接合部から左右脇接合部にかけて前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に、また、ズボン本体ウエスト開口周縁前側中央の左右均等二個所から裾開口周縁まで設けられた前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に面ファスナーが断続的に設置されていることを特徴とする。
請求項３記載の要介護者用パジャマの上着及びズボンは、前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に断続的に設けられている雌側と雄側を１組とする面ファスナーにおいて、その一組ごとに設置個所で配色を変え、且つ雌側と雄側の一組には同色を用いることを特徴とする。
請求項４に記載の要介護者用パジャマの上衣は、その前側開閉部に設置されたボタンに、ウレタン素材を芯としその外周を布で包み込んで作製されたくるみボタンが設置されることを特徴とする。

図１は本考案の要介護者用パジャマ上衣ＡとズボンＢの一方が解放された一例を示す正面斜視図である。本考案によるパジャマは、図１に示すように、上衣Ａにおいては、前側開閉部Ｏ以外に左右袖口周縁下側における上側１、下側１’から左右脇側裾周縁における上側２、下側２’まで着脱のための開閉自在な２枚の重なり部分が連続に設けられている。又、ズボンＢにおいては、ウエスト開口周縁中央Ｘから左右均等個所に設置された二箇所の前記重なり部分上側３，下側３’から左右裾開口周縁前側の前記重なり部分上側４、下側４’まで着脱のための前記開閉自在部が連続に設けられた要介護者用パジャマである。

図１に示すように、上衣ＡとズボンＢにおける左右の前記開閉自在部には、その上側内向面（ａ）及び（ｃ）、下側外向面（ｂ）と（ｄ）が設けられ、その（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）面には夫々長方形にカットされた面ファスナーが断続的に設置されている。因みに、夫々の面ファスナーの形状には、図２に示すようにその四隅を除いた楕円形状のものを用いるも良い。

図１に示す、上衣ＡとズボンＢにおける前記開閉自在部に設置された、雌側Ｓと雄側Ｓ’の一組の面ファスナーでは、その機能上、雌側がわずかに柔らかく、雄側がわずかに硬い感触になっているため、被着者の皮膚に接触する可能性が大きい左右上側内向面（ａ）と（ｃ）には面ファスナーの雌側Ｓが、又、左右下側外向面（ｂ）と（ｄ）には面ファスナーの雄側Ｓ’を断続的に設置することで、被着者に対し一層の配慮がなされた構成である。

図１に示す、上衣Ａの左右袖下側から左右脇側、及びズボンＢのウエスト周縁前側二箇所から夫々の裾周縁まで設置されている前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面に設けられている雌側Ｓと下側外向面に設けられている雄側Ｓ’を一組とする面ファスナーは、その一組ごとの設置個所で配色を変え、且つ雌側Ｓと雄側Ｓ’の一組には同色を用いることで介護者が接合面を迷うことなく装着をスムーズに行うことができる構成である。

又、図１に示すように、上衣Ａの前側開閉部分Ｏには、図４のボタン作製方法に示すように、一般的に使用されている硬い素材を避け、被着者の皮膚接触による損傷などを回避するための柔らかいくるみボタンＭが設置されている。一般的にくるみボタンといえば、金属製の２種の型枠を用いて作製されている場合が多く、一方の型枠を芯として布で包み込み、一方の型枠でその包み込んだ布端を挟み込み固定する方法を用い１個のくるみボタンとする形状が知られているが、本考案は、一例として図４に示す薄い円形にカットされたウレタン素材Ｎを芯に、２枚の円形布Ｋを用い、製作工程Ｍ’で示すように上下を円形布Ｋで挟み込み、その外周Ｇを接合することで一個の柔らかいくるみボタンＭが形成されている。因みに、被着者の皮膚損傷へ配慮がなされているものであれば、柔らかい芯素材を包み込む方法や布の形状、材質は問わない。

図１で示すように、ズボンＢの二箇所の前記開閉自在な二枚の重なり部分は、ウエスト開口周縁前側において左右脇部Ｖから前側を略四等分し、中央部Ｘから左右均等で且つ左右脇部Ｖから前側に夫々略四分の一の個所に設定し、夫々裾周縁前側まで略平行に設置されている。

又、図１で示すように、ズボンＢにおけるウエスト締めのための紐状ゴム設置個所は、ウエスト開口周縁前側における二箇所の左右前記重なり部分の間Ｉ以外のウエスト周縁上に施されている。

ズボンＢ製作のための一つのカット例として図５で示すように、上側にウエスト開口周縁３ａ’〜３’ｂを、両側に前記２枚の重なり部分下側線３ａ’〜４’又は３ｂ’〜４’を有し両脇線Ｗ且つ中央線Ｔ’で構成された一枚の連続した後側形状▲２▼と、同じく上側にウエスト開口周縁３ａ〜３ｂを、両側に前記２枚の重なり部分上側線３ａ〜４又は３ｂ〜４を有し、前側中央線Ｔからなる一枚の前側形状▲１▼で構成されている。因みに、上衣Ａでは図２に示すように、季節により袖部分のカットラインＬに沿ってカットすることで半袖スタイルも可能となる。

この要介護者用パジャマの上衣ＡとズボンＢの装着方法は、図３の実施例図に示すように、上衣Ａにおける前側開閉部の一方側Ｏに設置されているソフトくるみボタンＭと左右袖下側から左右脇側において前記開閉自在部の上側内向面（ａ）と下側外向面（ｂ）に設置されている面ファスナーＳ、Ｓ’を全て解放し、その布の内向面（Ｕ）が上側になるように広げる。次にズボンＢにおける前側二箇所の２枚重なり部分左右の下側３ａ’〜４’、上側３ａ〜４に設けられている、上側内向面（ｃ）と下側外向面（ｄ）に設置されている面ファスナーＳ、Ｓ’を前記同様全て解放し、同じく布の内側面（Ｕ）が上側になるように広げる。因みに、ズボンＢのウエスト開口周縁の設置位置は、被着者のウエスト位置を考慮して設定する。その一例として図３に示すように、上衣Ａの裾部分を下側に、その上にズボンＢのウエスト周縁部を重ね広げ装着準備が完了される。次に、上衣ＡとズボンＢの上へ被着者の首元とパジャマの襟元の位置を合わせるように身体を仰向けに寝かせ、装着を開始する。図３に示すズボンＢの前側二箇所の前記重なり部分左右下側３ａ’〜４’、上側３ａ〜４の上側内向面（ｄ）に設置された面ファスナー雌側Ｓと下側外向面に設置された前記面ファスナー雄側Ｓ’の同色を合わせながら夫々接着していくことでズボンＢの装着が終了となる。次に、上衣Ａの左右前側部分５の裾側から夫々硬縮している被着者の腕下を潜らせてソフトくるみボタン留めを終了後、前述同様に左右袖下部分から左右脇部分の面ファスナーの色を合わせながら速やかに接合させ装着終了となる。また、脱衣の場合には、前述の逆工程により速やかに面ファスナーとソフトくるみボタンを解放し、硬縮した腕と胸の間から上衣Ａの左右前側部５を滑らせるように抜き取ることで終了する。この構成により重度の硬縮がみられる被着者に無理な体勢を強いることなくスムーズに且つ安全に着脱を行うことができる。

考案の効果

本考案の要介護者用パジャマは、配色を変えた面ファスナー設置の開閉自在部をその上衣とズボンに設けることにより、重度の身体硬縮がみられる被着者にとって安全で、しかも介護者が着脱をスムーズ、且つ迅速に行うことが可能となる。

更に、一部の開閉自在部接続部品として金具やプラスチック素材を避け、柔らかいくるみボタンを使用することで被着者の皮膚の損傷を回避することが可能である。

又、既存の着慣れたパジャマを利用し容易に改造ができる構成のため経済的であり、また、外見上、健常者用パジャマとほとんど変わりがない印象を与えることができる。

本考案、要介護者用パジャマの上衣ＡとズボンＢの正面斜視図である。 本考案、要介護者用パジャマ上衣ＡとズボンＢの実施例図１である。 本考案、要介護者用パジャマ上衣ＡとズボンＢの実施例図２である。 本考案、要介護者用パジャマ上衣Ａに設置するボタンの製作方法である。 本考案、要介護者用パジャマズボンＢのカット例である。

符号の説明

１ 上衣左右袖口周縁の２枚の重なり部分上側
１’ 上位左右袖口周縁の２枚の重なり部分下側
２ 上衣左右脇側裾周縁の２枚の重なり部分上側
２’ 上衣左右脇側裾周縁の２枚の重なり部分下側
３ａ ズボンウエスト開口周縁左側の２枚の重なり部分上側
３ｂ ズボンウエスト開口周縁右側の２枚の重なり部分上側
３ａ’ ズボンウエスト開口周縁左側の２枚の重なり部分下側
３ｂ’ ズボンウエスト開口周縁右側の２枚の重なり部分下側
４ ズボン左右裾開口周縁２枚の重なり部分上側
４’ ズボン左右裾開口周縁２枚の重なり部分下側
５ 上衣左右前側部分
６ 左右袖部分
（ａ） 上衣左右袖下側から脇側の連続した２枚の重なり部分上側内向面
（ｂ） 上衣左右袖下側から脇側の連続した２枚の重なり部分下側外向面
（ｃ） ズボンウエスト開口周縁から裾開口周縁の連続した２枚の重なり部分上側内向面
（ｄ） ズボンウエスト開口周縁から裾開口周縁の連続した２枚の重なり部分下側外向面
Ａ 上衣本体
Ｂ ズボン本体
Ｅ 襟
Ｇ 円形布外周接合部
Ｉ ウエスト周縁前側二箇所の重なり部分の間
Ｋ くるみボタン用２枚の円形布
Ｌ 半袖の為のカットライン
Ｍ ソフトくるみボタン
Ｎ くるみボタン用芯素材
Ｏ 上衣前側開閉部
Ｓ ２枚重なり部分上側内向面の面ファスナー雌側
Ｓ’ ２枚重なり部分下側外向面の面ファスナー雄側
Ｔ ズボン前側中央線
Ｔ’ ズボン後側中央線
Ｖ ウエスト周縁左右脇部
Ｗ ズボン左右脇線
Ｘ ズボンウエスト周縁前側中央部

Claims (4)

1. 上衣本体の左右袖下接合部から左右脇接合部に着脱の為の連続で開閉自在な２枚の重なり部分を設け、ズボン本体のウエスト部開口周縁には、その前側中央部から左右均等二個所に設置された夫々直線で略平行な２本の着脱の為の開閉自在な２枚の重なり部分を連続で裾開口周縁まで設けると共に、そのウエスト開口周縁において前側二箇所の重なり部分の間以外の個所にウエスト締めの為の紐状ゴムが設けられギャザーが形成されている要介護者用パジャマの上衣及びズボン。
2. 上衣本体の左右袖下接合部から左右脇接合部にかけて前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に、また、ズボン本体ウエスト開口周縁前側中央の左右均等個所から裾開口周縁まで設けられた前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に面ファスナーを断続的に設置した請求項１記載の要介護者用パジャマの上着及びズボン。
3. 本要介護者用パジャマの上着及びズボンにおいて、前記開閉自在な２枚の重なり部分の上側内向面と下側外向面に断続的に設けられている雌側と雄側の面ファスナー一組ごとに設置個所で配色を変え、且つ雌側と雄側の一組には同色を用いた請求項１、又は請求項２記載の要介護者用パジャマの上着及びズボン。
4. 上衣前側開閉部に設置されたボタンには、ウレタン素材を芯としその外周を布で包み込んで作製されたくるみボタンを設置した請求項１、又は請求項２、又は請求項３記載の要介護者用パジャマの上衣。

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