JPH065006Y2 - 真空ダイカスト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 産業上の利用分野 本考案は可動型と固定型にて形成されるキャビティー内
を真空引きして鋳造する真空ダイカスト装置に関するも
のである。

従来の技術 従来、ダイカスト鋳造においては、可動型と固定型の型
締め後、溶湯金属をキャビティー内へ圧入する時に、溶
湯金属の大波現象によって、キャビティー内の空気や潤
滑剤、離型剤等の熱分解にて発生するガスが溶湯金属に
巻き込まれ、これが鋳造品に鋳巣を発生せしめる原因と
なっていた。

このために、キャビティー内部の空気やガスを除去して
鋳造する真空ダイカスト法が行われており、大別すると
金型のキャビティーのみを真空とするもの、金型を真空
箱に収容するものとがある。

前者のものは、可動型の押出ピンが挿通される押出ピン
挿通孔と押出ピンにより、形成される通気路の部分から
可動型と固定型との間に形成されたキャビティー内の空
気やガスを可動型の押出ピン挿通孔と連通せしめて形成
した真空室を介して真空ポンプで吸引し、キャビティー
内を真空にしてダイカスト鋳造を行うものであるが、か
かる方法にあっては真空装置の構造が複雑で設備費が高
価になり、又既存の成形金型を改良して真空ダイカスト
成形金型と成すことは出来なかった。

又、後者の方法にあっては、成形金型の可動型側と固定
型側とに２分割されるフードにより成形金型を密閉状に
囲繞せしめ、しかる後フード内を真空ポンプにて真空状
態に至らしめ、固定型と可動型を型締めしてダイカスト
鋳造を行うのであるが、かかる方法にあっても成形金型
をフードにて密閉するので、真空装置が大型化すると共
に、真空部分の容積が大きいので短時間に必要な真空を
得るためには大きな真空タンクが必要となって設備費を
高騰せしめたり、又鋳造品の形状によって成形金型の両
型の分割面に横向きの摺動中子が設置される場合にあっ
ては、その摺動中子が成形金型より突出するため、これ
が邪魔になって、２分割されたフードにより、成形金型
を囲繞することが出来ない欠点を有していた。

考案が解決しようとする課題 本考案は新規のものは勿論、既存のものであっても、ダ
イカスト装置の若干なる改良によって、これに関わる製
造コストを低減せしめ、キャビティー内への溶湯金属の
圧入時に生じる鋳巣の原因となる空気やガスを吸引せし
めてダイカスト鋳造を行う真空ダイカスト装置を提供せ
んとするものである。

〔考案の構成〕

課題を解決するための手段 本考案はかかる点に鑑み、固定型と可動型の接合部の適
宜部位を跨がる様に固定型と可動型の夫々に連続傾斜す
る配置面を設けると共に、該配置面間にエアーベントの
先端口を設け、一方前記配置面を被冠閉塞すると共に、
真空装置と接続する真空引込み口を設けたアタッチメン
トを切り込みの深い方の配置面に固設した真空ダイカス
ト装置を提供して上記欠点を解消せんとしたものであ
る。

作用 本考案はアタッチメントの真空引込み口はエアーベント
の先端口と密閉状にて連通する様に成しているため、溶
湯金属をキャビティー内へ圧入する時に、真空装置が運
転を開始すると、アタッチメントからエアーベントを通
じてキャビティー内の空気やガスは吸引され、キャビテ
ィー内を真空と成し、キャビティー内への圧入時に生じ
る溶湯金属の空気やガスの巻き込みの防止を図らしめる
のである。

実施例 以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明すると、 １は固定型２と可動型３より成る真空ダイカスト装置の
本体であり、該本体１の固定型２と可動型３との分割面
には溶湯金属Ｍが圧入されるキャビティー４が形成され
ており、該キャビティー４はその上部に形成せしめた湯
だまり５を介して両型２、３が型締めした時に形成され
るエアーベント６と連通せしめている。

７、7aは固定型２と可動型３の接合部８に跨がってアタ
ッチメント９を配設する配置面であり、該配置面７、7a
はエアーベント６の先端口10が配置面７、7aの間に表れ
る様に、本体１上部において可動型３から固定型２に渉
り所定角度を以て上方傾斜して矩形面状に刻設してい
る。

アタッチメント９はキャビティー４内をエアーベント６
を通じて真空引きするために、エアーベント６と真空装
置（図示せず）における可撓パイプ等の接続管（図示せ
ず）と接続せしめるものであり、かかるアタッチメント
９は底部が前記配置面７、7aと略合致する様にその基体
11を直方形状に形成せしめ、該基体11の底部に凹状の拡
開口部12を刻設せしめ、該拡開口部12の周縁にＯリング
13を取着せしめると共に、基体11の上部に拡開口部12と
連通する真空引込み口14を突設せしめている。

そして、固定型２と可動型３が型締めした時に形成され
るエアーベント６の先端口10を含む配置面７、7aを、ア
タッチメント９の基体11にて密閉状に被冠閉塞する様
に、切り込みの深い方の可動型３の配置面７にアタッチ
メント９の略半分をボルト15、15a等により固着或いは
溶着している。

又、前記接続管にてアタッチメント９の真空引込み口14
と接続された真空装置は本体１内が気密状態に成った時
に、かかる装置に設置せしめたリミットスイッチ（図示
せず）により本体１内を自動的に吸引する様に成してい
る。

尚、本実施例において、アタッチメント９の配設にあっ
ては可動型３から固定型２に上方傾斜して配置面７、7a
を凹設せしめ、配置面７にアタッチメント９の略半分を
固着せしめたものを示したが、かかる方式に限定される
ことなくその傾斜を逆にして、即ち可動型３から固定型
２に渉って下方傾斜せしめて配置面７，7aを凹設せし
め、配置面7aに配設されるアタッチメント９の略半分を
固着することも出来、この場合切り込みが深い方の固定
型２の配置面7aにアタッチメント９を固設する。

要するに、真空装置にてキャビティー４内を真空引きす
るためには、アタッチメント９はエアーベント６の先端
口10を密閉状に被冠閉塞しなければならないのである
が、本実施例の様にエアーベント６が固定型２と可動型
３の型締めにより形成される場合、どうしてもアタッチ
メント９を固定型２と可動型３の接合部８に跨がって配
設しなければ先端口10を被冠閉塞することが出来ない。

然るに、配置面７、7aが前記した様に傾斜していない
と、固定型２に対して可動型３が移動する型締め或いは
型開きの度毎に、固定型２の配置面7aとアタッチメント
９の下部が摺動するため、長期使用によりかかる摺動面
が摩耗して（先ずＯリング13が摩耗する）、固定型２と
可動型３の型締め時に、先端口10を密閉状に被冠閉塞で
きなくなるので、本実施例にあっては前記した様に配置
面７、7aを傾斜刻設し、切り込みが深い方の配置面７に
アタッチメント９を固設し、可動型３の移動によっても
アタッチメント９と配置面7aとが摺動せず接合する様に
成している。

又、ダイカスト装置によっては、本体１の上部にアタッ
チメント９を配設出来ない場合、即ち引抜き中子や摺動
中子を本体１の上部に取付けなければならない場合にあ
っては、エアーベント６に連通する部位、例えば第３図
に示す様に本体１の一側面部16若しくは他側面部16aを
可動型３から固定型２に渉り、所定角度を以て斜行する
配置面７、7aをエアーベント６の先端口10がその面上に
表れる様に刻設し、切り込みが深い方の可動型３の配置
面７にアッチメント９を固設してもよい。

固定型２はその下部に溶湯金属Ｍを圧入する射出スリー
ブ17の一端を嵌着せしめ、その側面に注湯口18を形成せ
しめ、その他端の開口部からプランジャーチップ19を摺
動自在に挿通せしめており、該プランジャーチップ19を
油圧機器等のアクチュエター（図示せず）の駆動により
射出スリーブ17内を前後動する様に成している。

固定型２と可動型３の下部には射出スリーブ17より連通
する固定型２の下部に形成せしめた圧入口20を介して湯
道21を形成せしめると共に、該湯道21の上部にはキャビ
ティー４と連通する湯口22を形成せしている。

又、本体１の可動型３の後部の左右には台ブロック23、
23aを固設せしめ、台ブロック23、23a間に押出板24を配
設せしめ、該押出板24には押出ピン25、25a…を嵌挿せ
しめて前後に摺動自在と成している。

次に本考案に係る真空ダイカスト装置の作用について説
明すると、 固定型２に対し可動型３が移動して型締めすると、これ
により形成されるエアーベント６の先端口10はアタッチ
メント９の基体11にて密閉状に被冠閉塞される。

しかる後、溶湯金属Ｍが注湯口18から注入され、その直
後にプランジャーチップ19が射出スリーブ17内を前進
し、該プランジャーチップ19が注湯口18を塞いだ時点、
即ち本体１内部が気密状態になった時点で、真空装置に
設置せしめたリミットスイッチが作動し、これにより所
定の設定時間後に真空装置が運転を開始し、アタッチメ
ント９からエアーベント６を通じて射出スリーブ17、キ
ャビティー４、湯だまり５内の空気やガスを吸引して真
空状態と成し、キャビティー４内への圧入時に生じる溶
湯金属Ｍの空気やガスの巻き込みの防止を図らしめるの
である。

〔考案の効果〕

要するに本考案は、固定型２と可動型３の接合部８の適
宜部位を跨がる様に固定型２と可動型３の夫々に連続傾
斜する配置面７、7aを設けると共に、該配置面７、7a間
にエアーベント６の先端口10を設け、一方前記配置面
７、7aを被冠閉塞すると共に、真空装置と接続する真空
引込み口14を設けたアタッチメント９を切り込みの深い
方の配置面７、7aに固設したので、固定型２に対して可
動型３が移動する型締め或いは型開きの時にアタッチメ
ント９と配置面7aとが摺動せずに接合或いは離隔出来る
ため、アタッチメント９と配置面7aが擦り合って摩耗せ
ず、型締め時のアタッチメント９による先端口10を含む
配置面７、7aの被冠閉塞の気密性を維持出来、キャビテ
ィー４内の真空引きを可能とし、キャビティー４内への
圧入の際に生じる溶湯金属Ｍの空気やガスの巻き込みを
防止し、鋳巣による不良品の発生を解消出来る。

又、アタッチメント９の配設位置は接合部８の適宜部位
に跨がって配置面７、7aを刻設すればよいだけのため、
鋳造品の形状によって固定型と可動型の分割面に引抜き
中子や摺動中子等を設置せねばならない場合、引抜き中
子や摺動中子の一部が固定型２と可動型３の分割面より
外方へ突出するが、この様な場合でも引抜き中子や摺動
中子の邪魔にならない様に、アタッチメント９を配設出
来、どのような構造のダイカスト装置であっても本考案
の真空ダイカスト装置と成すことが出来る。

又、本考案によれば、上記の如く固定型２と可動型３に
配置面７、7aを刻設し、切り込みが深い配置面７、7aの
一方にアタッチメント９を固設するといった簡易なる構
造のため、その製造コストを従来のものに比して低減出
来ると共に、取り付け作業も極めて簡単であり、よって
若干なる改良にて既存のダイカスト装置をも本考案の真
空ダイカスト装置と成すことが容易に出来る等その実用
的効果甚だ大なるものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すものにして、 第１図は本考案に係る真空ダイカスト装置の断面図、第
２図は同上要部断面図、第３図は同上平面図、第４図は
同上アタッチメントの一部切欠斜視図である。 ４キャビティー、６エアーベント ９アタッチメント、10先端口、14真空引込み口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定型と可動型の接合部の適宜部位を跨が
   る様に固定型と可動型の夫々に連続傾斜する配置面を設
   けると共に、該配置面間にエアーベントの先端口を設
   け、一方前記配置面を被冠閉塞すると共に、真空装置と
   接続する真空引込み口を設けたアタッチメントを切り込
   みの深い方の配置面に固設したことを特徴とする真空ダ
   イカスト装置。