JPH0338942B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、溶融物の加圧注入とともにキヤビ
テイ内を排気して鋳造を行う装置に関し、とくに
シリンダ・ライナを鋳包んでエンジンブロツクを
鋳造するのに用いるダイカスト装置に関するもの
である。

（従来の技術） 従来、鋳包みを行うのに用いるダイカスト装置
としては、例えば第５図に示すような構造を有す
るものがあつた。

すなわち、ダイカスト装置５０は、自動車用エ
ンジンのシリンダブロツクを製造するものであつ
て、シリンダライナの鋳包みを行うようになつて
おり、キヤビテイ面を形成する固定コア５１ａを
備えた固定型５１と、前記固定型５１に相対向し
て水平方向に移動する可動型５２との間にキヤビ
テイ５３を形成している。

前記可動型５２は、可動本体５４と、前記可動
本体５４に固設したブロツク５５と、キヤビテイ
面を形成し且つ上下方向に離型可能な可動コア５
６とから成るものであつて、前記可動本体５４に
は、キヤビテイ５３内に突出してシリンダブロツ
クのウオータージヤケツトを形成する中子５７が
固定してあると共に、この中子５７の中央に、ラ
イナ２２を保持するためのサポート体５８が設け
てある。そして、前記固定型５１とブロツク５５
との間から可動コア５６と前記ブロツク５５との
間にわたつて、キヤビテイ５３内と外部とを連通
状態にするガス抜き用のエアベント５９，５９が
形成してある。

なお、図中の符号６０は、固定型５１に設けた
溶融物注入用のスリーブである。

上記の如く構成されたダイカスト装置５０は、
前記両型５１，５２およびサポート体５８でライ
ナ２２を完全に位置決めし、スリーブ６０内の溶
融物を図示しないプランジヤでキヤビテイ５３内
に加圧注入することにより、充填時の圧力で前記
キヤビテイ５３内のガスをエアベント５９から排
出しながら鋳造を行つていた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上記したような従来のダイカス
ト装置５０にあつては、キヤビテイ５３内への溶
融物注入がきわめて短時間で行われるのに対し
て、前記キヤビテイ５３内のガス排出をエアベン
ト５９だけで行つていたため、ガスが充分に排出
されず、前記ガスが溶融物に巻込まれて気泡巣と
なることがあり、特に、従来例の場合、中子５７
とライナ２２との隙間（第５図中符号Ｄで示す）
がキヤビテイ５３側のみに開口し、しかも間隔が
非常に小さい（例えば３mm程度）ので、前記〓間
Ｄの奥にガスが残留するという問題点があつた。

この発明は、このような問題点に着目して成さ
れたもので、ライナの鋳包みを行うに際して、キ
ヤビテイ内のガスを円滑に排出することができ、
健全なシリンダブロツクを鋳造することができる
ダイカスト装置を提供することを目的としてい
る。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） この発明によるダイカスト装置は、一方の型
に、ライナを保持するためのサポート体と、ライ
ナの外周側にウオータージヤケツトを形成するた
めの中子を設け、他方の型との間にシリンダブロ
ツクのキヤビテイを形成し、両型とサポート体で
保持したライナの鋳包みを行うダイカスト装置に
おいて、前記ライナとサポート体との間に、ライ
ナの端部と前記中子との間のエアベントを介して
キヤビテイと連通する〓間を設け、前記サポート
体の内部に、前記隙間に開口し且つ減圧装置に通
じる排気路を設けたことを特徴としている。

なお、上記構成の場合、型の間に形成した公知
のエアベントを併用することも当然ある。

（実施例） 以下、この発明を図面に基づいて説明する。

第１図〜第３図は、この発明の一実施例を説明
する図であつて、この実施例では、自動車用エン
ジンのシリンダブロツクを製造する場合を例示し
ており、シリンダ・ライナの鋳包みを行う。

すなわち、ダイカスト装置１０は、第１図に示
すように、固定型１１と、前記固定型１１に相対
向して水平方向に移動する可動型１２との間にキ
ヤビテイ１３を形成している。

前記固定型１１は、溶融物注入用のスリーブ１
４を設けた固定本体１５と、キヤビテイ面および
湯口１６を形成する固定コア１７とから成り、他
方、前記可動型１２は、可動本体１８と、前記可
動本体１８に固設したブロツク１９と、キヤビテ
イ面を形成し且つ上下方向に離型可能な可動コア
２０とで構成してある。

また、前記可動本体１８には、キヤビテイ１３
内に突出してシリンダブロツクのウオータージヤ
ケツトを形成する中子２１が固定してあり、この
中子２１のほぼ中央に、ライナ２２を保持するた
めのサポート体２３が設けてある。

なお、固定本体１５とブロツク１９との間から
可動コア２０と前記ブロツク１９との間、および
可動コア２０と可動本体１８との間から中子２１
にわたつて、ガスのみが通過可能な隙間寸法を有
し且つキヤビテイ１３内と装置外部を連通状態に
するエアベント２４，２４が形成してある。この
エアベント２４は、中子２１の基部において、キ
ヤビテイ１３内に開放された溝状を成している。

前記サポート体２３は、型合わせの際に固定コ
ア１７と係合するテーパ状係合部２３ａを先端に
有すると共に、第２図および第３図に示すよう
に、ライナ２２との間に前記エアベント２４の隙
間寸法程度の隙間２５を形成する直径を有してお
り、内部に排気路２６を備えている。前記隙間２
５は、ライナ２２の端部と中子２１の間からエア
ベント２４を経てキヤビテイ１３に連通状態にな
つている。

前記排気路２６は、サポート体２３の軸芯に沿
つて形成してあると共に、一端部（先端側端部）
に、先述の隙間に開口する枝路２６ａを放射状に
有しており、他端部に、可動本体１８の型外側に
延出するパイプ２７が接続してある。そして、前
記パイプ２７は、逆流防止弁付の減圧装置２８に
接続してある。

上記の構成を備えたダイカスト装置１０におい
て、前記両型１１，１２およびサポート体２３で
ライナ２２を完全に位置決めし、図示しないプラ
ンジヤでスリーブ１４内の溶融物をキヤビテイ１
３へ加圧注入すると同時に、減圧装置２８を作動
させると、キヤビテイ１３内のガスは、溶融物充
填による圧力でエアベント２４から排出され、且
つまた減圧装置２８による吸引で強制的に排出さ
れる。

そして、溶融物が中子２１に達する頃には、中
子２１の外側（可動コア２０側）におけるガス
は、第３図中の矢印Ｂで示すように、キヤビテイ
１３からエアベント２４を経て外部に排出され、
他方、中子２１の内側（ライナ２２側）における
ガスは、第３図中の矢印Ｃで示すように、キヤビ
テイ１３からエアベント２４を経て隙間２５に入
り、さらに枝路２６ａ、排気路２６およびパイプ
２７を経た流れでキヤビテイ１３内から完全に排
出される。

したがつて、ライナ２２と中子２１との間の狭
い空間にも溶融物が完全に行きわたり、キヤビテ
イ１３内に充填した溶融物がガスを巻き込むこと
もなく、前記溶融物が凝固したのちには、固定型
１１と可動型１２とを開き、さらに可動コア２０
を開いて、ライナ２２を一体で鋳包んだ製品を取
出す。

つまり、ライナを保持するサポート体に、減圧
装置に通じる排気路を設ければ、キヤビテイ内の
ガスを効率良く排除することができると共に、異
種部材周囲の湯流れ性をも向上させることがで
き、その結果、溶融物と異種部材との良好な接合
状態を得ることができる。

第４図は、この発明の他の実施例を説明する図
である。なお、前述の実施例と同一の部位には、
同一符号を用いて詳細な説明を省略する。

すなわち、この実施例では、サポート体２３の
外周面に、当該サポート体２３の軸芯方向に伸び
且つほぼ同一の突出寸法を有する突部２３ｂが所
定の間隔で設けてあり、前記各突部２３ｂの頂点
を結ぶ円周の直径がライナ２２の内径に対応する
ようになつている。

したがつて、前記サポート体２３にライナ２２
を装着すれば、各突出部２３ｂによつて隙間２５
を形成し且つ前記ライナ２２を同心円状に保持し
ておくことができる。

また、前記突部の形状が特に限定されることは
なく、例えばサポート体２３の円周方向に連続す
る波状の凹凸部、あるいはエンボス状突部を多数
形成し、キヤビテイ１３、隙間２５および排気路
２６を連通状態にすると共に、ライナ２２を同心
円状に保持する構成としても良い。

［発明の効果］ 以上説明してきたように、この発明のダイカス
ト装置によれば、キヤビテイ内部のガスを円滑に
排出することができ、とくに、ライナと中子との
間の狭い空間に溶融物を完全に行きわたらせるこ
とができ、巣などの無い健全な製品を鋳造するこ
とができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例によるダイカスト
装置を説明する断面図、第２図は第１図に示すダ
イカスト装置のＡ−Ａ線に基づく断面図、第３図
は第１図に示すダイカスト装置のライナ端部を拡
大してガスの流れを説明する断面図、第４図はこ
の発明の他の実施例によるダイカスト装置のサポ
ート体付近を説明する断面図、第５図は従来にお
けるダイカスト装置を説明する断面図である。 １０……ダイカスト装置、１１……固定型、１
２……可動型、１３……キヤビテイ、２１……中
子、２２……ライナ、２３……サポート体、２４
……エアベント、２５……〓間、２６……排気
路、２８……減圧装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方の型に、ライナを保持するためのサポー
   ト体と、ライナの外周側にウオータージヤケツト
   を形成するための中子を設け、他方の型との間に
   シリンダブロツクのキヤビテイを形成し、両型と
   サポート体で保持したライナの鋳包みを行うダイ
   カスト装置において、前記ライナとサポート体と
   の間に、ライナの端部と前記中子との間のエアベ
   ントを介してキヤビテイと連通する〓間を設け、
   前記サポート体の内部に、前記〓間に開口し且つ
   減圧装置に通じる排気路を設けたことを特徴とす
   るダイカスト装置。