JPH033536B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金型の排気並びに押湯装置に関し、
一層詳細には、ダイカストマシン等に取着された
金型にシリンダを設けて金型の内部に画成された
キヤビテイ内の空気を強制的に排気させると共に
押湯作用も営むように構成した金型の排気並びに
押湯装置に関する。

例えば、ダイカストマシン等において、巣のな
い射出製品を得るためにマシンに取り付けられる
金型のキヤビテイから好適に空気を排出してやる
必要がある。このため、従来から、金型自体に特
に空気逃出用の浅溝または通路を画成していた。
すなわち、溶融した湯をキヤビテイに導入し、そ
れにより生起される慣性力等を利用して前記浅溝
または逃出用通路から空気を導出するよう構成し
ていた。

然しながら、前記のような構成では、浅溝また
は空気逃出用の通路を格別に金型に設けることに
対応して金型の費用も嵩み、このため成形品の製
造コストが上昇する。また、空気を導出するため
に浅溝が利用される場合、この溝が深すぎるとバ
リが大きく発生し、トリミングに支障を来した
り、時には製品不良を招来することもある。さら
に、溝が特に浅い場合には十分に空気を排出する
ことができず、キヤビテイ内で溶湯が十分に行き
渡らなくなり湯回り不良となるばかりが鋳巣の発
生の原因となることもある。

一方、鋳物の凝固中に、溶湯の体積の減少を補
うべく押湯が行われるが、製品を成形するための
溶湯は、比較的大きな体積を締める。従つて、湯
口が先に凝固してしまつたりキヤビテイの一部が
凝固してしまい。このために肝心の押湯作用が施
されなくなり、あるいは、ひけ巣の原因となつた
りする事態が招来されてきた。これらは、結局、
製品不良の原因となるとの不都合が指摘されてい
る。

そこで、本発明者は、考究並びに試作を重ねた
結果、金型の上部にシリンダを組み込み、このシ
リンダを付勢してシリンダのピストンの移動と溶
湯の慣性力とによりキヤビテイ内の空気を外部へ
排出させさらに前記ピストンの移動を続行してキ
ヤビテイ内の溶湯を押し戻すことにより押湯作用
を営むように構成すれば、前記の幾多の問題点が
一掃されることが判つた。

従つて、本発明の目的は、小型で簡単な構造で
鋳物成形中における金型のキヤビテイ内の空気を
効果的に排出すると共に特に押湯用のトツプライ
ザ、サイドライザを設けることなく押湯作用が好
適に達成される金型の排気並びに押湯装置を提供
するにある。

前記の目的を達成するために、本発明は、固定
金型と可動金型とにより画成されたキヤビテイか
ら導出される通路に連通してシリンダを配設し、
このシリンダ内のピストンをピストンロツドによ
りアクチユエータに連結すると共に前記シリンダ
の一部に排気孔を形成し、前記ピストンをアクチ
ユエータの付勢下にシリンダ内で移動させること
により前記キヤビテイ内の空気の排気と押湯動作
とを行うよう構成することを特徴とする。

次に、本発明に係る金型の排気並びに押湯装置
につき好適な実施例を挙げ、添付の図面を参照し
ながら以下詳細に説明する。

第１図乃至第３図において、参照符号１０は、
ダイカストマシンにおいて図示しない固定ダイプ
レートに固着される固定金型、すなわち、固定ダ
イスを示し、また、参照符号１２は、可動ダイプ
レートに係着される可動金型、すなわち、可動ダ
イスを示す。固定ダイス１０の下部には水平方向
に延在するシリンダ状の孔部１４を画成し、この
孔部１４にピストン１６を摺動自在に嵌合してお
く。すなわち、前記ピストン１６は、ピストンロ
ツド１８の先端部に固着され、このピストンロツ
ド１８はさらに図示しないアクチユエータに接続
してなるものである。

次いで、固定ダイス１０と可動ダイス１２との
間でしかも前記孔部１４に連通して湯溜り２０を
形成すると共に前記湯溜り２０の上部にこれと連
通して所定形状のキヤビテイ２２を画成する。こ
のキヤビテイ２２からは、さらに溶湯通路２４が
上方に指向して延在しシリンダ状の孔部２６とな
つて終端する。

そこで、以上のように構成されるダイス１０，
１２上部に前記孔部２６に対応してシリンダ２８
が配設される。垂直方向に延在するシリンダ２８
の略中央部に水平方向に延在する排気管３０を配
設すると共に前記シリンダ２８の内部にピストン
３２を往復動自在に嵌合する。ピストン３２は、
ピストンロツド３４の一端部に固着され、前記ピ
ストンロツド３４の他端部は、アクチユエータ３
６内のピストン３８に係着される。アクチユエー
タ３６の端部側部には、夫々、当該アクチユエー
タ３６の駆動用流体を導入・導出するための導管
４０，４２が連結される。前記導管４０，４２
は、三置を示すことができる４ポート４方向弁４
４に接続する。なお、図中、参照符号４６は、前
記弁４４を介して、アクチユエータ３６に所要の
流体、すなわち油を送給するためのポンプ装置で
あり、また、参照符号４８は、油還流用のタンク
である。

そこで、以上のように構成される金型の排気並
びに押湯装置の作用効果について次に説明する。

先ず、ダイカストマシンの図示しない型締シリ
ンダを付勢して可動ダイス１２を固定ダイス１０
にしつかりと係着する。その上で給湯装置（図示
せず）を介して溶湯５０を孔部１４内に送給す
る。この場合、溶湯５０を所要量前記孔部１４内
に供給した後、アクチユエータを付勢してピスト
ンロツド１８を往動させると、その先端部のピス
トン１６は、前記溶湯５０を湯溜り２０、キヤビ
テイ２２、通路２４、孔部２６を経てシリンダ２
８内に到達せしめる。この間、弁装置４４が付勢
されてアクチユエータ３６のピストン３８を往動
させているためにシリンダ２８内のピストン３２
は、第１図に示すように第１の位置に至つてい
る。従つて、溶湯５０が前記のようにシリンダ２
８の上部にまで侵入すると前記シリンダ２８内に
あるキヤビテイ２２等から導出されてきた空気
は、排気管３０を介して外部に逃出することにな
る。

次に、弁装置４４が再び付勢されてアクチユエ
ータ３６内のピストン３８をさらに往動させる。
その結果、ピストン３２の側壁部は、排気管３０
の孔部を閉塞すると共にピストン３２の底面はシ
リンダ２８内にある溶湯５０の上面と接するよう
になる。すなわち、ピストン３２は、第２の位置
に至つて溶湯５０のシヤツトオフ状態が得られる
ことになる。

このような状態で所定の時間が経過するとキヤ
ビテイ２２内の溶湯５０は、冷却により徐々に固
化してその体積を減少させる。そこで、再度、弁
装置４４が付勢されて、ピストン３２は、第３図
に示すように第３の位置を占有することになる。
この場合、ピストン３２は、その移動々作中、溶
湯５０を徐々に下降させるために押湯作用が施さ
れることになり、結局、キヤビテイ２２内の溶湯
５０は、その密度を著しく向上させる。すなわ
ち、キヤビテイ２２内で、溶湯５０は、その細部
にまで万遍なく行き渡り、この結果、湯廻り不
良、鋳巣、ひけ巣の発生を未然に阻止することが
可能となる。

なお、成形品の取り出しに際しては、前記押湯
動作が完了して所定時間経過した後、弁装置４４
を付勢し、ピストン３２を上昇させて第１位置ま
で到達せしめ可動ダイス１２を移動させればよ
い。

本装置によれば、以上のように、ダイスに対し
て弁装置とシリンダとを取り付け、このシリンダ
内のピストンを３位置に変化させて金型内の空気
の排出、押湯を段階的に一つの機構で遂行させる
ように構成した。従つて、金型に対して格別の浅
溝を設ける必要もなくなり製品の製造コストの削
減が促進され、しかも押湯動作が良好に行われる
ために成形品の品質も向上する等種々の効果が得
られる。

以上、本発明につき好適な実施例を挙げて説明
したが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種種の設
計変更並びに改良がなされることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明に係るものであつて、第１図は、
溶湯をダイスに充填する際のピストンの位置が第
１位置を表す説明図、第２図は、ピストンを第２
位置まで移動し、これにより排気孔を閉塞してキ
ヤビテイ内に溶湯を充填した状態を表す一部省略
説明図、第３図は、ピストンを第３位置まで移動
し、押湯動作を行つている状態の一部省略説明図
である。 １０…固定ダイス、１２…可動ダイス、１４…
孔部、１６…ピストン、１８…ピストンロツド、
２０…湯溜り、２２…キヤビテイ、２４…通路、
２６…孔部、２８…シリンダ、３０…排気管、３
２…ピストン、３４…ピストンロツド、３６…ア
クチユエータ、３８…ピストン、４０，４２…導
管、４４…弁、４６…ポンプ装置、４８…タン
ク、５０…溶湯。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定金型と可動金型とにより画成されたキヤ
   ビテイから導出される通路に連通してシリンダを
   配設し、このシリンダ内のピストンをピストンロ
   ツドによりアクチユエータに連結すると共に前記
   シリンダの一部に排気孔を形成し、前記ピストン
   ををアクチユエータの付勢下にシリンダ内で移動
   させることにより前記キヤビテイ内の空気の排気
   と押湯動作とを行うよう構成することを特徴とす
   る金型の排気並びに押装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の装置において、
   アクチユエータは、４ポート４方向弁に接続し、
   ピストンは、シリンダ内の３位置で停止制御され
   ることからなる金型の排気並びに押湯装置。