JPH0687060A - ダイカスト鋳造機の射出プランジャ装置 - Google Patents

ダイカスト鋳造機の射出プランジャ装置

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JPH0687060A
JPH0687060A JP24213292A JP24213292A JPH0687060A JP H0687060 A JPH0687060 A JP H0687060A JP 24213292 A JP24213292 A JP 24213292A JP 24213292 A JP24213292 A JP 24213292A JP H0687060 A JPH0687060 A JP H0687060A
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JP
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plunger
sleeve
molten metal
tip
annular groove
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Application number
JP24213292A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Takahashi
俊充 高橋
Hiroshi Sasaki
博史 佐々木
Fumikazu Otsuki
文和 大槻
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プランジャスリーブ内に注入された金属溶湯
を、プランジャチップによって金型内に圧入するダイカ
スト鋳造機の射出プランジャ装置において、プランジャ
スリーブとプランジャチップとの間の潤滑を、プランジ
ャチップのストロークの都度に自動的かつ均等に行う。 【構成】 プランジャスリーブ(2) 内を摺動移動するプ
ランジャチップ(3) の後端に接続された駆動ロッド(4)
が、プランジャチップ(3) と所定間隔を隔てた外周面に
環状溝(5) を周設すると共に、この環状溝(5) に軸方向
の流路孔(7) を介して連通されて後端寄りの外周面で開
口し、フレキシブル管路(9) を介して潤滑剤供給装置(1
0)に連結される潤滑剤供給孔(8) を設けてなり、かつ、
その環状溝(5) 上にプランジャチップと同外径寸法の多
孔質材からなる潤滑リング(6) を嵌着させた構成の射出
プランジャ装置(1) とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽合金の鋳造に用いら
れるダイカスト鋳造機に関わり、詳細には、コールドチ
ャンバ方式を採るダイカスト鋳造機の射出プランジャ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、精密な金型を高力で閉め
切り、そのキャビティに溶湯を高圧力で押し込むダイカ
スト法では、複雑な形状の鋳物を美しい鋳肌で寸法精度
良く大量生産できることより、軽合金部材の製造に広く
適用されている。また、各種の鋳造機が用いられている
が、それらダイカスト鋳造機は基本的に、固定金型の
保持手段、移動金型を開閉するための油圧機構やトグ
ル装置、金属溶湯を金型内に圧入する射出プランジャ
装置、金属溶湯を射出プランジャに供給する給湯装置
から成り立っている。そして、これらダイカスト鋳造機
は、射出プランジャ装置の種別によってホットチャンバ
方式とコールドチャンバ方式とに大別され、また、射出
プランジャ装置による溶湯射出方向によって立形と横形
とに類別されるが、高温下ではプランジャ構成部の鉄鋼
材との間に反応が生じるアルミニウム合金等を鋳造する
ダイカスト鋳造機では、通常、コールドチャンバ方式の
射出プランジャ装置が採用されている。これらコールド
チャンバ式の射出プランジャ装置の概要構成を〔図5〕
〜〔図7〕に示す。
【0003】〔図5〕は、立形ダイカスト鋳造機の射出
プランジャ装置の代表的1例の概要構成を示す断面図で
あって、この立形ダイカスト鋳造機(M) では、給湯炉
(F) の溶湯(S) を、給湯管(F2)およびマウスピース(F1)
を介して、垂直方向に配された射出プランジャ装置(51)
のプランジャスリーブ(52)内に供給し、この溶湯(S)
を、プランジャスリーブ(52)内を上昇するプランジャチ
ップ(53)によって、上方に配置された金型(D) のキャビ
テイ内に圧入して鋳造する。そして、鋳造完了後に、金
型(D) の移動金型(D1)が開くと同時にプランジャチップ
(53)を更に上昇させて、鋳造品を固定金型(D2)から引き
離し、しかる後に元位置まで下降させる。続いて、 (b)
図に示すように、複数の噴射ノズル(N) を上下に備える
潤滑装置(L) を移動金型(D1)と固定金型(D2)の間に移動
させ、その噴射ノズル(N) で潤滑剤をスプレイし、移動
金型(D1)と固定金型(D2)のキャビテイ面を潤滑すると同
時に、プランジャスリーブ(52)の内面も潤滑した上で、
次の鋳造サイクルに移る。
【0004】一方、この射出プランジャ装置(51)のプラ
ンジャチップ(53)は、その下端に接続された駆動ロッド
(54)を介して、ここでは図示を省略した駆動装置に連結
されてあり、その駆動装置にて駆動されてプランジャス
リーブ(52)内を上昇ないしは下降する。また、駆動ロッ
ド(54)は、プランジャスリーブ(52)内を摺動移動して溶
湯(S) を加圧するプランジャチップ(53)の径よりも小さ
な径とされてあり、これによりプランジャスリーブ(52)
と接触して摺動抵抗が高まることを防ぐと共に、プラン
ジャチップ(53)がマウスピース(F1)の開口部よりも高い
位置まで上昇したとき、その外周とプランジャスリーブ
(52)の下部内面との間に、マウスピース(F1)の開口部と
大気とを連通する通気路を形成して、マウスピース(F1)
内の溶湯(S) の溶湯面を給湯炉(F) の方向に引き戻させ
る。
【0005】〔図6〕および〔図7〕は、横形ダイカス
ト鋳造機の射出プランジャ装置の代表的2例の概要構成
を示す断面図であって、〔図6〕に示す横形ダイカスト
鋳造機(M')では、水平方向に配された射出プランジャ装
置(61)のプランジャスリーブ(62)内に、その後部の上壁
部に設けられた溶湯注入口(62a) を介して、ラドル等か
ら溶湯(S) を注入し、この溶湯(S) を、プランジャスリ
ーブ(62)内を前進するプランジャチップ(63)によって、
前方に配置された金型(D) のキャビテイ内に圧入して鋳
造する。また、各鋳造完了後の潤滑は、金型(D) のキャ
ビテイ面は前記縦型のダイカスト鋳造機と略同様の潤滑
装置による潤滑剤のスプレイによって行い、プランジャ
スリーブ(62)内面は溶湯注入口(62a) 側に配した噴射ノ
ズルよる潤滑剤のスプレイによって行う。
【0006】また、〔図7〕に示す横形ダイカスト鋳造
機(M")では、水平方向に配された射出プランジャ装置(7
1)のプランジャスリーブ(72)内に、給湯炉(F) の溶湯
(S) を吸込管(P) を介して真空吸引し、この溶湯(S)
を、プランジャスリーブ(72)内を前進するプランジャチ
ップ(73)にて、前方に配置され金型(D) のキャビテイ内
に圧入して鋳造する。また、各鋳造完了後の潤滑は、前
記縦型のダイカスト鋳造機と同様の潤滑装置による潤滑
剤のスプレイによって、金型(D) のキャビテイ面の潤滑
とプランジャスリーブ(72)内面とを同時に行う。なお、
それら射出プランジャ装置のプランジャチップ(63),(7
3) は、その後端に接続された駆動ロッド(64),(74) を
介して図外の駆動装置に連結され、また、それらの駆動
ロッド(64),(74) は、主に前述した事由により、プラン
ジャチップ(63),(73) の径よりも小さな径とされてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】コールドチャンバ式の
射出プランジャ装置においては、安定した操業を維持す
るために、プランジャスリーブとプランジャチップとの
間の潤滑を確かなものとする必要がある。一方、各鋳造
サイクル間に行う潤滑工程の所要時間の長短は、ダイカ
スト鋳造機の生産性に大きく影響する。
【0008】しかし、上記従来の射出プランジャ装置で
は、プランジャスリーブとプランジャチップとの間の潤
滑を、金型側ないし溶湯注入口側からの潤滑剤のスプレ
ーに依存しているため、プランジャスリーブの内面全体
にわたり均等かつ安定した潤滑を行うことが困難であ
り、特にスプレー部位から距離を隔てた深部内面の潤滑
が不十分となり易く、これがため、プランジャスリーブ
とプランジャチップとの間に“カジリ現象”が発生して
運転の停止を余儀なくされることがある。また、このよ
うなトラブルの発生を防止するためにはスプレー時間を
長くすることが必要となり、これが必要以上の潤滑剤の
消耗と、潤滑所要時間の延長による生産性の低下を招
く。
【0009】更にまた、〔図5〕および〔図7〕に示す
ように、給湯装置とプランジャスリーブがマウスピース
や吸込管等を介して連結される射出プランジャ装置の場
合では、スプレーされた潤滑剤のミストが、マウスピー
スないしは吸込管内に侵入し易く、ミストやミスト中に
含まれる水分等と溶湯が反応して酸化物等の凝固物が生
成され、その凝固物が、次の鋳造サイクルの鋳造品内に
混入して製品不良の発生原因となったり、マウスピース
や吸込管の内面に凝着して、その給湯流路の形状を変更
して抵抗を高め、プランジャスリーブに対する給湯量を
変動させたりするという問題点もある。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点を解消す
べくなされたものであって、プランジャスリーブとプラ
ンジャチップとの間の潤滑を、ミストの発生を伴う潤滑
剤スプレーに依存することなく、プランジャチップのス
トロークの都度に自動的かつ均等に行うことができて、
潤滑の安定化と所要時間の短縮が図れ、もって、安定し
た操業の維持と生産性の向上とを達成できるダイカスト
鋳造機の射出プランジャ装置を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、第
1の発明に係るダイカスト鋳造機の射出プランジャ装置
は、先端部を金型に連結され、後端寄りに溶湯注入口を
設けたプランジャスリーブと、このプランジャスリーブ
内に摺動移動可能に配されたプランジヤチップと、この
プランジヤチップの後端に接続されると共に駆動装置に
連結された駆動ロッドとを備えてなり、給湯装置から溶
湯注入口を介してプランジャスリーブ内に注入された金
属溶湯を、駆動装置の作動にて前進させられるプランジ
ヤチップによって金型内に圧入するダイカスト鋳造機の
射出プランジャ装置において、前記駆動ロッドのプラン
ジャチップ後端から所定間隔を隔てた外周面に、プラン
ジャチップと同外径寸法の環状体に形成された潤滑リン
グが嵌着されてなることを特徴とする。
【0012】また、第2の発明に係るダイカスト鋳造機
の射出プランジャ装置は、上記駆動ロッドが、プランジ
ャチップ後端から所定間隔を隔てた外周面に環状溝を周
設すると共に、この環状溝に軸方向流路孔を介して連通
されて後端部寄りの外周面で開口し、フレキシブル管路
を介して潤滑剤供給装置に連結される潤滑剤供給孔を設
けてなり、かつ、その環状溝上に上記潤滑リングが嵌着
されてなることを特徴とする。
【0013】また、第3の発明に係るダイカスト鋳造機
の射出プランジャ装置は、先端部を金型に連結され、後
端寄りに溶湯注入口を設けたプランジャスリーブと、こ
のプランジャスリーブ内に摺動移動可能に配されたプラ
ンジヤチップと、このプランジヤチップの後端に接続さ
れると共に駆動装置に連結された駆動ロッドとを備えて
なり、給湯装置から溶湯注入口を介してプランジャスリ
ーブ内に注入された金属溶湯を、駆動装置の作動にて前
進させられるプランジヤチップによって金型内に圧入す
るダイカスト鋳造機の射出プランジャ装置において、前
記プランジャスリーブが、溶湯注入口より後方に位置す
る内周面に環状溝を周設すると共に、この環状溝からプ
ランジャスリーブ側壁を半径方向に貫通して外周面で開
口し、管路を介して潤滑剤供給装置に連結される潤滑剤
供給孔を設けてなり、かつ、その環状溝内に同プランジ
ャスリーブと同内径寸法の環状体に形成された潤滑リン
グを嵌着されてなることを特徴とする。
【0014】
【作用】第1の発明では、駆動ロッドのプランジャチッ
プ後端から所定間隔を隔てた外周面に、この駆動ロッド
に接続されたプランジャチップと同外径寸法の環状体に
形成された潤滑リングを嵌着しているので、プランジャ
チップを前進させるため駆動装置の作動を受けてプラン
ジャスリーブ内に進入する際に、潤滑リングを潤滑剤に
よって湿潤状態とすることで、そのストロークの過程に
おいて、プランジャスリーブ内周面に潤滑剤を自動的に
塗布でき、これによりプランジャスリーブとプランジャ
チップとの間の潤滑が果たせる。また、湿潤状態の潤滑
リングは、プランジャスリーブ内に進入したとき、その
前後方向への通気を阻害するが、プランジャチップ後端
と環状溝との間、すなわち潤滑リングとの間の間隔を、
プランジャスリーブの後端と溶湯注入口との間の距離よ
りも僅かに大きくすることで、プランジャスリーブの溶
湯注入口と給湯装置とが給湯管等で接続された場合で
も、溶湯射出の際にプランジャチップが前進して後端が
溶湯注入口に達したときに、この溶湯注入口と大気とを
連通させて、給湯管等の内部の溶湯面を給湯装置側に引
き戻させることができる。
【0015】また、第2の発明では、駆動ロッドが、プ
ランジャチップ後端から所定間隔を隔てた外周面に環状
溝を周設すると共に、この環状溝に軸方向流路孔を介し
て連通されて後端部寄りの外周面で開口し、フレキシブ
ル管路を介して潤滑剤供給装置に連結される潤滑剤供給
孔を設けてなり、かつ、その環状溝上に潤滑リングを嵌
着しているので、プランジャチップを前・後進させるた
め駆動装置の作動を受けてプランジャスリーブ内に進入
・退出する際に、その環状溝内に潤滑剤供給装置から潤
滑剤を送給し、送給された潤滑剤によって同環状溝上に
嵌着された潤滑リングを湿潤状態として、そのストロー
クの過程において、プランジャスリーブ内周面に潤滑剤
を自動的かつ均等に塗布でき、これによりプランジャス
リーブとプランジャチップとの間の潤滑を確保できる。
【0016】また、第3の発明では、プランジャスリー
ブが、溶湯注入口より後方に位置する内周面に環状溝を
周設すると共に、この環状溝からプランジャスリーブ側
壁を半径方向に貫通して外周面で開口し、管路を介して
潤滑剤供給装置に連結される潤滑剤供給孔を設けてな
り、かつ、その環状溝内に同プランジャスリーブと同内
径寸法の環状体に形成された潤滑リングを嵌着している
ので、その環状溝内に潤滑剤供給装置から潤滑剤を送給
し、送給された潤滑剤によって同環状溝内に嵌着された
潤滑リングを湿潤状態として、この潤滑リング内を前後
進するプランジャチップ外周面に潤滑剤を自動的かつ均
等に塗布でき、これによりプランジャスリーブとプラン
ジャチップとの間の潤滑を確保できる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照して説
明する。〔図1〕は、本発明の第1実施例の射出プラン
ジャ装置の概要構成を示す断面面であって、 (a)図は正
断面図、 (b)図は要部の構成の説明断面図である。
【0018】〔図1〕に示す本実施例の射出プランジャ
装置(1) は、立形のダイカスト鋳造機(M) に装備された
ものであって、同鋳造機(M) の基台(M1)に保持されて垂
直方向に配され、下端寄り側壁部に溶湯注入口(2a)を設
けたプランジャスリーブ(2)と、このプランジャスリー
ブ(2) 内に摺動移動可能に配されたプランジヤチップ
(3) と、このプランジヤチップ(3) の下端に接続されて
垂直方向に配され、ここでは図示を省略した駆動シリン
ダの出力軸に下端部を連結された駆動ロッド(4)とを主
要部として備えてなる。
【0019】一方、鋳造機(M) の基台(M1)上には、この
基台(M1)に直接取り付けられ固定金型(D2)と、ここでは
図示を省略した油圧機構に支持されて上下動可能な移動
金型(D1)とからなる金型(D) が配される。また、基台(M
1)の側方には給湯炉(F) が配設されている。
【0020】そして、射出プランジャ装置(1) のプラン
ジャスリーブ(2) は、基台(M1)中心部の上部に位置して
配され、その上端を固定金型(D2)の中心部に垂直方向に
設けられ金型スリーブ(D3)の下端に連結される一方、そ
の溶湯注入口(2a)を、マウスピース(F1)および給湯管(F
2)を介して、給湯炉(F) に連結されている。
【0021】また、駆動ロッド(4) は、 (b)図に示すよ
うに、プランジヤチップ(3) の径よりも小径の軸状体に
形成され、その外周面のプランジヤチップ(3) の下端か
ら所定間隔を隔てた部位に環状溝(5) を周設すると共
に、その環状溝(5) 上にプランジャチップ(3) と同外径
寸法の環状体に形成された多孔質材からなる潤滑リング
(6) を嵌着させている。ここで、環状溝(5) は、その上
に嵌着された潤滑リング(6) の上端とプランジヤチップ
(3) の下端との間隔が、プランジャスリーブ(2)下端と
溶湯注入口(2a)との間の距離よりも僅かに大きくなる位
置に周設される。
【0022】また、駆動ロッド(4) の環状溝(5) は、軸
方向に設けた流路孔(7) を介して、下端部寄りの外周面
に設けた潤滑剤供給孔(8) に連通されてあり、また、そ
の潤滑剤供給孔(8) は、 (a)図に示すように、フレキシ
ブル管路(9) を介して潤滑剤供給装置(10)に連結されて
いる。一方、潤滑剤供給装置(10)は、駆動ロッド(4)の
上下動に連係して潤滑剤を供給するものとされている。
【0023】また、この駆動ロッド(4) は、その中心部
に二重管構造とされた冷却水路(11)を軸方向に設けると
共に、その下端部の外周面に冷却水路(11)の内外管部の
下端それぞれに連通する給・排水孔(12),(13) を設けて
いる。そして、それら給・排水孔(12),(13) を、ここで
は図示を省略した冷却水循環供給装置にフレキシブル管
路を介して連結させている。
【0024】この駆動ロッド(4) は、上記構成のもと
で、 (b)図に示すようにプランジヤチップ(3) にネジ接
合され、プランジヤチップ(3) の内部に設けられた冷却
室(3a)に、冷却水を循環供給して、プランジヤチップ
(3) を冷却する一方で、図外の駆動シリンダによって上
下動する都度に、つまりプランジヤチップ(3) の上昇・
下降の都度に、環状溝(5) 内に潤滑剤供給装置(10)から
潤滑剤の供給を受け、その環状溝(5) 上に嵌着された潤
滑リング(6) を潤滑剤によって湿潤状態とする。
【0025】上記構成の本実施例の射出プランジャ装置
の作動を〔図2〕により説明する。まず、固定金型(D2)
上に移動金型(D1)がセットされて高圧力で閉め切られた
時点で、給湯炉(F) から圧送された金属溶湯(S) が、
(a)図に示すように、プランジャスリーブ(2) 内に所定
量注入される。このときプランジヤチップ(3) は、その
上端がプランジャスリーブ(2) の溶湯注入口(2a)下端と
同一高さとなる基準位置に位置づけられている。
【0026】続いて、図外の駆動シリンダにてプランジ
ヤチップ(3) を上昇させて、プランジャスリーブ(2) 内
に注入された金属溶湯(S) を、上方の金型(D) のキャビ
テイ内に向けて圧入させる。その上昇の過程において、
プランジヤチップ(3) の下端がプランジャスリーブ(2)
の溶湯注入口(2a)下端よりも高い位置に達したとき、
(b)図に示すように、このプランジヤチップ(3) 下端と
連結潤滑リング(6) との間の駆動ロッド(4) の外周側
に、溶湯注入口(2a)と大気とを連通する通気路が形成さ
れ、これによりマウスピース(F1)内の金属溶湯(S) が給
湯炉(F) 方向に引き戻されて、その溶湯面が溶湯注入口
(2a)よりも低くなり、金属溶湯(S) の溢流が防止され
る。一方、プランジヤチップ(3) の上昇開始の寸前また
は同時時点に、潤滑剤供給装置(10)からの潤滑剤の供給
を開始させて、駆動ロッド(4) に嵌着した連結潤滑リン
グ(6) を潤滑剤にて湿潤状態とし、プランジヤチップ
(3) に追従して上昇する連結潤滑リング(6) にてプラン
ジャスリーブ(2) の内周面を潤滑させる。
【0027】金属溶湯(S) が金型(D) のキャビテイ内に
充満すると共に凝固し、鋳造が完了後に、金型(D) の移
動金型(D1)が開くと同時に、プランジャチップ(3) を更
に上昇させ、鋳造品(C) を固定金型(D2)から引き離す。
また、その上昇は、 (c)図に示すように連結潤滑リング
(6) が、固定金型(D2)に設けられ金型スリーブ(D3)の上
端部に達するまでの高さ位置に設定し、これにより金型
スリーブ(D3)の内周面も潤滑させる。
【0028】しかる後に、プランジャチップ(3) を、
(d)図に示すように基準位置まで下降させて、次の鋳造
サイクルに移る。一方、連結潤滑リング(6) への潤滑剤
の供給は、プランジャチップ(3) が基準位置に復帰する
寸前まで、つまり潤滑リング(6) がプランジャスリーブ
(2) 内から離脱するまで行い、その下降に際しても金型
スリーブ(D3)およびプランジャスリーブ(2) の内周面を
潤滑させる。また、鋳造サイクル毎の金型(D) のキャビ
テイ面に対する潤滑は、 (d)図に示すように、複数の噴
射ノズル(N) を上下に備える潤滑装置(L) を、移動金型
(D1)と固定金型(D2)の間に移動させ、その噴射ノズル
(N) から潤滑剤をスプレイさせて行う。ただし、その場
合の潤滑剤のスプレイは、キャビテイ面のみに止め、金
型スリーブ(D3)とプランジャスリーブ(2) の内面に対し
ては行わない。
【0029】以上のようにして、プランジャスリーブお
よび金型スリーブの内周面を潤滑する本実施例の射出プ
ランジャ装置では、プランジャチップによる金属溶湯の
射出の都度に、これらスリーブの内周面に潤滑剤を自動
的かつ均等に塗布して、プランジャチップとの間の潤滑
を確保できる。また、その潤滑は、ミストの発生を伴う
潤滑剤のスプレイではなく、潤滑剤の塗布形態にて行う
ので、潤滑剤や潤滑剤中に含まれる水分等が、プランジ
ャスリーブの溶湯注入口に連結されたマウスピース内に
侵入することを抑制できる。このため、従来技術のよう
に、スプレイされた潤滑剤のミストやミスト中に含まれ
る水分等水分等と溶湯が反応して酸化物等の凝固物が生
成され、その凝固物が、次の鋳造サイクルの鋳造品内に
混入して製品不良の発生原因となったり、マウスピース
や吸込管の内面に凝着して、その給湯流路の形状を変更
させたりすることを防止できる。また、従来の潤滑剤の
スプレーでは、均等に潤滑するには比較的長時間要した
プランジャスリーブおよび金型スリーブの潤滑が自動的
に行えるので、鋳造サイクル毎の潤滑剤のスプレイは、
金型のキャビテイ面のみですみ、結果として潤滑の安定
化と所要時間の短縮が図れ、これらのことから安定した
操業の維持と生産性の向上とを達成できる。
【0030】なお、上記第1実施例の射出プランジャ装
置では、プランジヤチップ下端と駆動ロッドに嵌着した
潤滑リングとの間の間隔を、プランジャスリーブ下端と
溶湯注入口との間の距離よりも大きくして、プランジヤ
チップの上昇に際する溶湯注入口と大気とを連通する通
気路を確保するものとしたが、これは1例であって、例
えば〔図3〕に示すように、駆動ロッドに嵌着させた潤
滑リングの外周に軸方向の通気溝を設けて、溶湯注入口
と大気とを連通させることができる。
【0031】〔図3〕は、本発明の第2実施例の射出プ
ランジャ装置の要部構成を示す半断面図である。なお、
本実施例の射出プランジャ装置は、駆動ロッドに嵌着す
る潤滑リングの構成が異なる点を除いて、〔図1〕に示
した第1実施例のものと同じであり、ここでは、その要
部の構成のみを図示すると共に、〔図1〕と等価な各部
に同符合を付して説明を省略し、その差異点のみを要約
して説明する。
【0032】本実施例の射出プランジャ装置では、〔図
3〕に示すように、駆動ロッド(4)の環状溝(5) 上に嵌
着された潤滑リング(6')は、その外周面に、螺旋状をな
して上下端を結ぶ通気溝(6a') を設けている。また、こ
の潤滑リング(6')を嵌着させる環状溝(5) は、プランジ
ャスリーブ(2) 下端と溶湯注入口(2a)との間の距離とは
関係なく、プランジヤチップ(3) の下端に近づいた位置
に周設され、プランジヤチップ(3) 下端と潤滑リング
(6')との間の間隔は、第2実施例のものより遙かに小さ
くされている。また、通気溝(6a') は、上端部と下端部
との周方向の位置が互いに離れるような螺旋状をなして
設けられている。
【0033】上記構成の潤滑リング(6')を具備する本実
施例の射出プランジャ装置では、その潤滑リング(6')の
上下方向への通気が、通気溝(6a') によって常に確保で
きるので、プランジャチップ(3) 後端との間の間隔を小
さくしても、すなわち、プランジャチップ(3) の上昇に
際して相前後してプランジャスリーブ(2) 内に進入して
も、プランジャスリーブ(2) の溶湯注入口(2a)と大気と
の連通を阻害することがない。また、その外周面の通気
溝(6a') は螺旋状に設けるので、上下方向への通気を確
保してなお、プランジャスリーブ(2) の内面の周方向の
一部に潤滑剤の塗布切れが生じさせることがない。従っ
て、鋳造が完了後に、プランジャチップ(3) を必要以上
に高く上昇させることなく、通気溝(6a') を固定金型(D
2)に設けられ金型スリーブ(D3)の上端部まで上昇させ、
すなわちより小さなストロークにて金型スリーブ(D3)の
内周面の上端部まで潤滑させることができる。
【0034】〔図4〕は、本発明の第3実施例の射出プ
ランジャ装置の概要構成を示す正断面面である。なお、
本実施例の射出プランジャ装置は、駆動ロッドに潤滑リ
ングを嵌着するに代わり、プランジャスリーブの下部内
周面に潤滑リングを嵌着させた点が異なる以外は、〔図
1〕に示した第1実施例のものと同じであり、ここで
は、〔図1〕と等価な各部に同符合を付して説明を省略
し、その差異点のみを要約して説明する。
【0035】〔図4〕に示す本実施例の射出プランジャ
装置(21)では、プランジャスリーブ(22)が、溶湯注入口
(22a) の側近下方に位置する内周面に環状溝(25)を周設
すると共に、この環状溝(25)から側壁を半径方向に貫通
して外周面で開口する潤滑剤供給孔(28)を設けており、
また、その環状溝(25)内に同プランジャスリーブ(22)と
同内径寸法の環状体に形成された多孔質材からなる潤滑
リング(26)を嵌着させる一方で、その環状溝(25)に連通
する潤滑剤供給孔(28)を、管路(29)を介して潤滑剤供給
装置(30)に連結させている。一方、潤滑剤供給装置(30)
は、駆動ロッド(4) の上下動に連係して潤滑剤を供給す
るものとされている。
【0036】上記構成の本実施例の射出プランジャ装置
では、プランジャスリーブ(22)の環状溝(25)内に潤滑剤
供給装置(28)から潤滑剤を送給し、その環状溝(25)内に
嵌着された潤滑リング(26)を送給された潤滑剤にて湿潤
状態とする。また、潤滑剤の送給は、プランジャチップ
(3) が潤滑リング(26)内を上下動する際に行い、すなわ
ち、プランジャチップ(3) の上昇開始時点および基準位
置への下降復帰時点において行い、これによりプランジ
ャチップ(3) の外周面に潤滑剤を塗布する。
【0037】このようにしてプランジャチップ(3) の外
周面に潤滑剤を塗布する本実施例の射出プランジャ装置
では、前記第2実施例のものと同様に、プランジャスリ
ーブとプランジャチップとの間の潤滑を自動的に確保で
きて、潤滑の安定化と所要時間の短縮が図れる。
【0038】なお、以上に述べた3実施例の射出プラン
ジャ装置は、立形のダイカスト鋳造機に適用されるもの
としたが、本発明装置は、これに限定されるものではな
く、〔図6〕および〔図7〕に例示したような横形のダ
イカスト鋳造機に適用されて同様に優れた効果が得られ
ることはいうまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係るダイ
カスト鋳造機の射出プランジャ装置によれば、金属溶湯
を射出するプランジャスリーブとプランジャチップとの
間の潤滑を、従来技術のようにミストの発生を伴う潤滑
剤スプレーに依存することなく、プランジャチップのス
トロークの都度に自動的かつ均等に行うことができて、
潤滑の安定化と所要時間の短縮が図れ、もって、安定し
た操業の維持と生産性の向上とを達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の射出プランジャ装置の概
要構成を示す断面面であって、(a)図は正断面図、 (b)
図は要部の構成の説明断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の射出プランジャ装置の作
動説明図である。
【図3】本発明の第2実施例の射出プランジャ装置の要
部構成を示す半断面図である。
【図4】本発明の第3実施例の射出プランジャ装置の概
要構成を示す正断面面である。
【図5】従来の立形ダイカスト鋳造機の射出プランジャ
装置の代表的1例の概要構成を示す断面図である。
【図6】従来の横形ダイカスト鋳造機の射出プランジャ
装置の代表的1例の概要構成を示す断面図である。
【図7】従来の横形ダイカスト鋳造機の射出プランジャ
装置の別の代表的1例の概要構成を示す断面図である。
【符号の説明】 (1) --射出プランジャ装置、(2) --プランジャスリー
ブ、(2a)--溶湯注入口、(3) --プランジヤチップ、(4)
--駆動ロッド、(5) --環状溝、(6) --潤滑リング、(7)
--流路孔、(8) --潤滑剤供給孔、(9) --フレキシブル管
路、(10)--潤滑剤供給装置、(M) --ダイカスト鋳造機、
(M1)--基台、(D) --金型、(D1)--移動金型、(D2)--固定
金型、(D3)--金型スリーブ、(F) --給湯炉、(F1)--マウ
スピース、(F2)--給湯管。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部を金型に連結され、後端寄りに溶
    湯注入口を設けたプランジャスリーブと、このプランジ
    ャスリーブ内に摺動移動可能に配されたプランジヤチッ
    プと、このプランジヤチップの後端に接続されると共に
    駆動装置に連結された駆動ロッドとを備えてなり、給湯
    装置から溶湯注入口を介してプランジャスリーブ内に注
    入された金属溶湯を、駆動装置の作動にて前進させられ
    るプランジヤチップによって金型内に圧入するダイカス
    ト鋳造機の射出プランジャ装置において、前記駆動ロッ
    ドのプランジャチップ後端から所定間隔を隔てた外周面
    に、プランジャチップと同外径寸法の環状体に形成され
    た潤滑リングが嵌着されてなることを特徴とするダイカ
    スト鋳造機の射出プランジャ装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動ロッドが、プランジャチップ後
    端から所定間隔を隔てた外周面に環状溝を周設すると共
    に、この環状溝に軸方向流路孔を介して連通されて後端
    部寄りの外周面で開口し、フレキシブル管路を介して潤
    滑剤供給装置に連結される潤滑剤供給孔を設けてなり、
    かつ、その環状溝上に前記潤滑リングが嵌着されてなる
    ことを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造機の射
    出プランジャ装置。
  3. 【請求項3】 先端部を金型に連結され、後端寄りに溶
    湯注入口を設けたプランジャスリーブと、このプランジ
    ャスリーブ内に摺動移動可能に配されたプランジヤチッ
    プと、このプランジヤチップの後端に接続されると共に
    駆動装置に連結された駆動ロッドとを備えてなり、給湯
    装置から溶湯注入口を介してプランジャスリーブ内に注
    入された金属溶湯を、駆動装置の作動にて前進させられ
    るプランジヤチップによって金型内に圧入するダイカス
    ト鋳造機の射出プランジャ装置において、前記プランジ
    ャスリーブが、溶湯注入口より後方に位置する内周面に
    環状溝を周設すると共に、この環状溝からプランジャス
    リーブ側壁を半径方向に貫通して外周面で開口し、管路
    を介して潤滑剤供給装置に連結される潤滑剤供給孔を設
    けてなり、かつ、その環状溝内に同プランジャスリーブ
    と同内径寸法の環状体に形成された潤滑リングを嵌着さ
    れてなることを特徴とするダイカスト鋳造機の射出プラ
    ンジャ装置。
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