JP2593110B2 - 金型射出成形装置における型締力射出力解除方法および装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は金型のキャビティ内へ溶
融物を射出して成形品を成形するダイカストマシンやプ
ラスチック用射出成形機などの金型射出成形装置におい
て、金型キャビティ内に射出充填された溶融材料が冷却
されたのち、型締力と射出力とを解除する型締力射出力
解除方法および装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の金型射出成形装置としては、例
えば特開昭６１−１９５７６６号公報に開示されている
ロータリダイカストマシンが知られており、図６はその
型開閉ユニット要部の縦断面図を示している。また図７
はこのロータリダイカストマシンで成形される成形品の
一例としての自動車用ディスクホイルの平面図を示して
いる。図６において、取付板１上に固定された下金型２
の上方には、上金型３が、取付板１上に立設された図示
しない型開閉シリンダで昇降するトッププレート４に支
持されて設けられており、これら両金型３，２間には、
シリンダで駆動されて放射方向へ進退する例えば４個の
中子５が設けられている。型締された上下の金型３，２
と、閉じた中子５との間には、キャビティ６が形成され
ており、また下金型２の中心部には、キャビティ６と連
通する内孔を備えた固定スリーブ７が下金型２の孔に嵌
着されている。８は射出シリンダ側に設けられ射出時に
固定スリーブ７に接合される射出スリーブであって、そ
の内孔には、射出シリンダの油圧で進退するプランジャ
チップ９が嵌合されている。１０は先端をキャビティ６
に臨ませ押出シリンダで進退する押出ピンである。

【０００３】このように構成されていることにより、こ
の型開閉ユニット１１を回転テーブル上に供給して回転
テーブルを回転させ、射出ステーションで停止させて型
締したのち、溶湯が供給された射出スリーブ８を固定ス
リーブ７に接合して射出ステーション側の射出シリンダ
で押された溶湯を、射出，固定両スリーブ８，７を経て
キャビティ６内へ射出し、この溶湯が固化することによ
り製品が得られる。このあと製品を保持した上金型３を
開いて押出ピン１０で製品を押出し、この製品は製品取
出装置で機外へ取出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
型開閉ユニット１１による成形作業において、キャビテ
ィ６への溶湯の充填完了時には、キャビティ６内の溶湯
に、上金型３を介して図に符号Ａで示す例えば１８００
トンの型締力が作用し、図に符号Ｂで示す例えば２００
トンの射出力が作用するとともに、下金型２を介して図
に矢印Ｃで示す例えば１６００トンの型締反力が作用す
る。そして、キャビティ６内の溶湯には、１８００トン
の上向きの力と下向きの力とが作用してバランスが保た
れる。

【０００５】しかしながら、従来の型開閉ユニットにお
いては、キャビティ６内の溶湯が凝固し終って、型締力
Ａと射出力Ｂとを解除する場合、型締シリンダを駆動す
る電磁弁と、射出シリンダを駆動する電磁弁とに、同時
に切替指令を出しても、各電磁弁は、指令を受けてから
実際にスプールが切替り始めるまでの機械的作動条件が
全く同じではないので、両方の電磁弁を全く同時に作動
させることは、電磁弁がＯＮ−ＯＦＦバルブの場合、極
めて困難であり、射出力よりも早く型締力が解除された
り、型締力よりも射出力が早く解除されたりすることが
ある。この結果型締力と射出力との差に相当する力が金
型２，３に作用するので、金型２，３が中高状に湾曲し
たり中低状に湾曲したりし、凝固直後で機械的強度がき
わめて小さいアルミニウム製品のボス部が変形したり、
図６に示す製品１２の長孔１３に沿った箇所にクラック
１４が発生してこのクラック１４から内部の未凝固部が
はみ出したりして製品の品質が低下し、しばしば不良品
になるという問題がある。また、未凝固物のはみ出しを
無くそうとして、製品の内部に未凝固物が無くなるまで
型開を遅らせると、成形サイクルが延長し、生産性が低
下するという問題がある。

【０００６】本発明は以上のような点に鑑みなされたも
ので、型締力と射出力との解除タイミングが多少ずれて
も製品の良好な品質を維持することを可能にした金型射
出成形装置の型締力射出力解除方法および装置を提供す
ることを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明では、金型射出成形装置における型締力
射出力解除方法として、型締された金型キャビティ内へ
の溶融材料の射出が終了して所定の冷却時間が経過した
のちに型締力と射出力との両方を解除するに際し、この
型締力の解除指令と射出力の解除指令とを同時に発し、
かつ、型締シリンダに作用していた圧力と射出シリンダ
に作用していた圧力とのうち少なくとも先に解除され始
める方の圧力を少しずつ下げ、あとから解除され始める
方の圧力が解除され始めたときの両方の圧力の差を小さ
く押え得るようにするという方法を採用した。また、金
型射出成形装置における型締力射出力解除装置として、
金型を開閉する型締シリンダと金型キャビティ内へ溶融
材料を射出する射出シリンダとの流体圧回路内に、型締
力解除用弁装置と射出力解除用弁装置とを設け、これら
型締力解除用弁装置と射出力解除用弁装置とに型締力解
除指令と射出力解除指令とを同時に発する指令装置を設
け、電気指令により型締力解除用弁装置と射出力解除用
弁装置とによる型締力と射出力との解除のうち少なくと
も先に解除される方の圧力を少しずつ下げ得る圧力漸減
装置を設けた。

【０００８】

【作用】型締された金型キャビティ内へ溶融材料を射出
し、射出が終了したのち所定の時間が経過すると、溶融
材料が固化して冷却される。そこで、型締シリンダの流
体圧径路内に設けた弁と、射出シリンダの流体圧回路内
に設けた弁との両方の弁に解除指令が同時に発せられ
る。そして、この解除指令により両方の弁はそれぞれ解
除されるように作動する。このとき、型締力と射出力と
の少なくとも一方の流体圧回路内に設けた圧力漸減装置
の電圧を電気指令により少しずつ下げ、圧力設定用の弁
閉じ力を少しずつ下げて圧力漸減装置の圧力を少しずつ
下げることにより、型締シリンダ用弁と射出シリンダ用
弁との解除タイミングが多少ずれても、金型が湾曲せ
ず、製品にクラックが発生したり、このクラックから内
部の未凝固部がはみ出したりしたりすることがない。ま
た押湯ロッドに冷却水通路を設ければ、溶融材料の冷却
が促進されて型開開始点が早まる。

【０００９】

【実施例】図１ないし図４は本発明に係る金型射出成形
装置における型締力射出力解除方法および装置を説明す
るための図であって、図１は型締シリンダの油圧回路
図、図２（ａ）〜（ｄ）は従来例と本発明とを比較して
示す油圧回路、および型締，射出圧力と時間との関係線
図、図３は本発明を実施したロータリダイカストマシン
の正面図、図４は同じく型開閉ユニットの縦断面図であ
る。本実施例は本発明をロータリダイカストマシンに実
施した例を示し、ロータリダイカストマシン全体の詳細
については特開昭６１−１９５７６６号公報に開示され
ているのでその詳細な説明を省略し、以下これを簡単に
説明する。図３において、ロータリダイカストマシン２
１はベースプラテン２２に回動自在に支持された回転テ
ープル２３を備えており、この回転テーブル２３の外周
部を円周方向に３等分する位置には、金型段取装置２４
によって供給され小型締力を提供する３組の型開閉ユニ
ット２５（後程詳述）が搭載されている。そして回転テ
ーブル２３が１２０°ずつ間欠回転することにより１２
０°ずつ周回して停止する型開閉ユニット２５の停止位
置には、３つの作業ステーションがそれぞれ配設されて
おり、これら３つの各作業ステーションでは、各型開閉
ユニット２５に対してそれぞれ大型締力である主型締力
を提供する型締および射出と、型開および製品の取出し
と、金型の清浄および離型剤のスプレーとが行われ、回
転テーブル２３が１回転することにより１サイクルが完
了するように構成されている。３つの作業ステーション
のうち型締，射出ステーション２６には、前記ベースプ
ラテン２２に植設された複数個のタイロッド２７と、そ
の上端部に支持されてナット２８で固定されたシリンダ
プラテン２９とが設けられており、シリンダプラテン２
９には、支柱３０で支持された押出フレーム３１が一体
的に形成されている。

【００１０】ここで型開閉ユニット２５について説明す
る。図４において、型開閉ユニット２５は、回転テーブ
ル２３上に固定された取付板３２を備えており、この取
付板３２の左右両側に立設された一対の型開閉シリンダ
３３の油圧で昇降するピストンロッド３４の作用端に
は、水平板状のトッププレート３５が固定支持されてい
る。そして、ピストンロッド３４の進退により、トップ
プレート３５と後述する上金型３６等が昇降し、型開，
型合わせが行われるように構成されている。取付板３２
には、基板３７ａ、側板３７ｂ，スペーサ３７ｃおよび
射出盤３７ｄとに分解されて接合された下金型３７が固
定されており、この下金型３７の中心部には、円筒状に
形成された固定スリーブ３８が嵌着されている。

【００１１】一方，トッププレート３５の下面に固定さ
れた鼓状の上金型３６は、上方へ開口する断面ほゞ正方
形状の凹孔３６ａと、下端面中央部から下方へ突出する
突出部３６ｂとを備えており、また、突出部３６ｂの周
囲には、円周方向に複数分割された中子３９が、上金型
３５に支持板４０を介し支持された中子シリンダ４１の
ピストンロッド４２に支持されて設けられている。そし
て下金型３７と、これに対して型締される上金型３６
と、閉じられた中子３９とによってキャビティ４３が形
成されている。一方、図３に示すようにベースプラテン
２２に支持されて地下ピット内に垂下されたタイバー４
４には、射出装置４５の射出シリンダ４６が支持されて
いて、その上方には、図示しない昇降シリンダにより昇
降駆動されるスリーブフレーム４７が設けられており、
前記固定スリーブ３８には、スリーブフレーム４７に固
定された射出スリーブ４８が、スリーブフレーム４７の
昇降により着脱自在に形成されて接合されている。射出
スリーブ４８には、射出シリンダ４６のピストンロッド
に連結されたプランジャ４９のプランジャチップ４９ａ
が進退自在に嵌合されており、射出装置４５全体を傾動
させて射出スリーブ４８に溶湯５０を供給し、射出装置
４５を起立させて射出スリーブ４８を固定スリーブ３８
に接合したのち、プランジャ４９を前進させることによ
り、溶湯５０が湯道５１を経てキャビティ４３内へ射出
されるように構成されている。

【００１２】次に、上金型３６の正方形状凹孔３６ａ内
に収納された押湯ロッド装置について説明する。全体を
符号６０で示す押湯ロッド装置は、有底角筒状に形成さ
れ凹孔３６ａに嵌合されて固定されたシリンダ部６１
と、このシリンダ部６１の内孔と摺動自在に嵌合するピ
ストン６２と、このピストン６２に固定されて上方へ延
びるピストンロッド２３と、ピストン２２から下方へ延
び先端部をキャビティ４３に挿抜自在に臨ませた押湯ロ
ッド６４とで形成された両側ピストン式の押湯シリンダ
６５を備えており、押湯ロッド６４は、シリンダ部６１
に設けられた図示しない軸受に摺動自在に軸支されてい
る。ピストンロッド２３，ピストン６２，押湯ロッド６
４の軸芯部を貫通して設けられた孔には、この孔の径よ
りもやゝ小径の冷却管６６が挿入されており、この冷却
管６６に冷却水を供給することにより冷却水が冷却管６
６の内外を往復して押湯ロッド６４を冷却するように構
成されている。６７は押湯シリンダ６５のヘッドエンド
側へ給油する給油口であり、６８は押湯シリンダ６５の
ロッドエンド側へ給油する給油管である。そして、ピス
トン６２の上方または下方に給油されて押湯シリンダ６
５のピストン６２が進退することにより、押湯ロッド６
４がキャビティ４３内へ挿抜されるように構成されてい
る。

【００１３】６９はシリンダ６１に固定された変位セン
サであって、リード線７０により制御装置と連結されて
おり、この変位センサ６９には、前記給油管６８と平行
する磁歪線でもある検知棒７１が固定されて垂下されて
おり、ピストン６２が昇降することにより検知棒７１が
押湯ロッド６４の位置を検知するように構成されてい
る。押湯ロッド装置６０の両側には、押出シリンダ７２
が、トッププレート３５に固定されていて、そのピスト
ンロッドである押出ピン７２ａの先端は、キャビティ４
３の上端部に臨んでおり、型開後にこの押出シリンダ７
２が作動することにより、キャビティ４３内の製品が押
出されるように構成されている。

【００１４】さらに図３において、シリンダプラテン２
９に設けられたラム孔２９ａには、このラム孔２９ａと
ともに型締シリンダ７３を構成するメーンラム７４が摺
動自在に嵌合されており、このメーンラム７４には、ス
ペーサ７５とトップフレーム７６とを介して前記トップ
プレート３５と上金型３６とが固定されている。またス
ペーサ７５には、シリンダプラテン２９に固定されたプ
ルバックシリンダ７７のピストンロッド７８が固定され
ており、型締状態からピストンロッド７８を後退させる
ことにより、上金型３６を型締解放位置まで若干上昇さ
せるように構成されている。

【００１５】次に例えば型締シリンダの油圧回路につい
て説明する。図１において、型締シリンダ７３のヘッド
エンド側ポート７３ａとロッドエンド側ポート７３ｂと
は、配管８０，８１によって電磁弁８２に接続されてお
り、電磁弁８２はポンプ８３とタンク８４とに接続され
ている。また、ロッドエンド側の配管８１とタンク８４
とを接続する配管８５には、可変絞りを備えた圧力漸減
装置としてのリリーフ弁８６が設けられている。なお、
以上は型締シリンダの油圧回路について説明したが、射
出シリダ４６の油圧回路もこれと同様に構成されてい
る。

【００１６】以上のように構成されたロータリダイカス
トマシンの動作を説明する。上流側の作業ステーション
で離型剤をスプレーされたのち、中子３９が閉じられた
状態で型開閉シリンダ３３のピストンロッド３４が後退
することにより型合わせされた型開閉ユニット２５は、
回転テーブル２３の回転により型締，射出ステーション
２６へ周回してきて停止し、型締シリンダ７３によって
型締される。次いで溶湯５０が注入された射出スリーブ
４８が固定スリーブ３８に接合され、射出シリンダ４６
のプランジャ４９が前進することにより溶湯５０は湯路
５１を通ってキャビティ４３内へ射出される。溶湯５０
がキャビティ４３内へ充填し終る直前または直後すなわ
ち溶湯５０が固化し始めない前に給油口６７からピスト
ン６２のヘッドエンド側へ油が供給されるので、ピスト
ン２２と、ピストンロッド６３，および押湯ロッド６４
が一体的に下降し、押湯ロッド６４の先端部がキャビテ
ィ４３内の溶湯５０に挿入される。これによって、キャ
ビティ４３内にある溶湯５０の一部が排除されてキャビ
ティ４３内へ流れ、押湯作用をするので、溶湯５０はキ
ャビティ４３の隅々まで行き渡る。この状態で溶湯５０
が固化し始め、所定時間後、固化が終わって製品になる
が、この場合、冷却水が冷却管６６の内外を往復して押
湯ロッド６４を冷却し、この押湯ロッド６４が挿入され
る溶湯５０が冷却されるので、溶湯５０の固化が促進さ
れる。こうして固化が終ると、給油管６８からピストン
６２のロッドエンド側へ油が供給されるので、ピストン
６２が上昇して押湯ロッド６４がキャビティ４３から抜
かれる。このあと、回転テーブル２３が１２０°回転し
て型開閉ユニット２５が製品取出ステーションで停止す
ると、型開閉シリンダ３３のピストンロッド３４が前進
してトッププレート３５が上昇するので、型開が行われ
るとともに、中子３９が開き、かつ押出シリンダ７２が
作動するので、製品が押出ピン７２ａでキャビティ４３
から押出され、製品取出装置で機外へ取出される。

【００１７】このように動作するロータリダイカストマ
シンにおける型締力，射出力解除方法を説明する。電気
指令によりリリーフ弁８６が閉じている状態で、型締シ
リンダ７３に接続された電磁弁８２のソレノイドＳＯＬ
−Ａが作動して型締されるとともに、射出シリンダ４６
が作動してキャビティ４３へ溶湯５０が射出される。キ
ャビティ４３への溶湯５０の射出が終了し、所定の冷却
時間が経過すると、型締シリンダ７３の流体圧径路内に
設けた弁と射出シリンダ４６の流体圧回路内に設けた弁
に解除指令が同時に発せられ型締力と射出力とが解除さ
れるとともに、電気指令によりリリーフ弁８６への電圧
が少しずつ下がり、リリーフ弁８６の圧力設定用ばね力
すなわち弁閉じ力が少しずつ下がるので、リリーフ弁８
６のリリーフ圧が例えば１４０ｋｇ／平方ｃｍから０ｋ
ｇ／平方ｃｍまで少しずつ下がる。

【００１８】この解除方法を図２を用い従来の装置と比
較して説明する。従来においては、図２（ａ）に示すよ
うに大型締力である主型締力を提供する型締シリンダ７
３と射出シリンダ４６とにそれぞれ電磁弁８２が接続さ
れており、本願装置においては、図２（ｃ）に示すよう
に大型締力である主型締力を提供する型締シリンダ７３
と、射出シリンダ４６とにそれぞれに可変絞り付きのリ
リーフ弁８６が接続されている。このように構成されて
いることにより、従来の型締射出装置における実線で示
す型締圧力および鎖線で示す射出圧力と時間との関係
は、図２（ｂ）に示すようになり、ここでは、最大圧力
Ｓkg／平方cmから０kg／平方cmになるまでの時間は例え
ばそれぞれ 0.5 sec以下である。これに対して本願装置
における型締圧力および射出圧力と時間との関係は、図
２（ｄ）にそれぞれ実線と鎖線とで示すようになり、こ
こでは、最大圧力Ｓkg／平方cmから０kg／平方cmになる
まで下げるのに例えばそれぞれ３sec かかるように圧力
低下の仕方を遅らせている。図から明らかなように、従
来は実線で示す型締圧力の解除時点と、点線で示す射出
圧力の解除時点との間に例えば 0.5 secの差があると、
型締圧力が０になっているときに射出圧力はまだ最大値
になっているので、図２（ｂ）に符号Ｓで示す大きな圧
力差となって前述したように金型３６，３７が湾曲する
ことがあるが、本発明に係る方法および装置において
は、図２（ｄ）に示すように、実線で示す型締圧力と点
線で示す射出圧力との解除時点に、従来と同じように例
えば 0.5 secの差があっても、図に符号ｓで示すように
従来のほゞ１／６の圧力差となるだけである。したがっ
て、金型３６，３７が湾曲したりすることがない。ま
た、主型締力と射出力との解除が徐々に行われることに
より、成形品が湾曲せず、クラックが生じて内部の溶融
物や半溶融物がはみ出すというようなこともないので、
その分だけ早く型締力と射出力とを解除し始めることが
できてその分、成形サイクルが短縮される。さらに、本
実施例においては押湯ロッド６４に冷却管６６が挿入さ
れていることにより、押湯ロッド６４が挿入される溶湯
５０が冷却されて溶湯５０の固化が促進される。

【００１９】図５は本発明の他の実施例を図２（ｄ）に
対応して示す型締圧力および射出圧力と時間との関係線
図であって、実線は型締圧力を示しており、点線は射出
圧力を示している。本実施例においては、型締圧力と射
出圧力とを解除して最大圧力Ｓkg／平方cmから０kg／平
方cmになるまで下げるのに際し、減圧の初期においては
前記実施例と同じく徐々に圧力を下げ、半分程下がった
ところで急に下げるようにした。この結果前記実施例と
同じように、型締圧力と射出圧力との解除時点間に例え
ば 0.5 secの差があっても、図に符号ｓで示す両圧力の
圧力差は、符号Ｓで示す従来の圧力差のほゞ１／６の圧
力差となるだけである。そして、減圧の後半において圧
力を急に下げることにより、図２（ｄ）で示す場合より
も時間が短縮される。なお、ｓはＳの３割以下であるこ
とが望ましい。

【００２０】なお、前記実施例では、圧力漸減装置とし
てリリーフ弁８６を例示したが、例えば可変絞りなどで
もよい。また、本実施例においては、本発明を型締シリ
ンダ７３と射出シリンダ４６との両方に実施した例を示
したが、型締シリンダ７３と射出シリンダ４６とのうち
どちらか早く加圧力を解除され始める方のみに実施して
もよい。さらに、前記各実施例は本発明をロータリダイ
カストマシンに実施した例を示したが、竪型締型や横型
締型などのダイカストマシンやプラスチック用射出成形
機にも同様に実施でき、同様の作用効果が得られる。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように本発明
によれば金型射出成形装置における型締力射出力解除方
法として、射出が終了して所定の冷却時間が経過したの
ちに型締力と射出力との両方を解除するに際し、この型
締力の解除指令と射出力の解除指令とを同時に発し、か
つ、型締シリンダに作用していた圧力と射出シリンダに
作用していた圧力とのうち少なくとも先に解除され始め
る方の圧力を少しずつ下げ、あとから解除され始める方
の圧力が解除され始めたときの両方の圧力の差を小さく
押え得るようにするという方法を採用し、また、金型射
出成形装置における型締力射出力解除装置として、金型
を開閉する型締シリンダと金型キャビティ内へ溶融材料
を射出する射出シリンダとの流体圧回路内に、型締力解
除用弁装置と射出力解除用弁装置とを設け、これら型締
力解除用弁装置と射出力解除用弁装置とに型締力解除指
令と射出力解除指令とを同時に発する指令装置を設け、
電気指令により型締力解除用弁装置と射出力解除用弁装
置とによる型締力と射出力との解除のうち少なくとも先
に解除される方の圧力を少しずつ下げ得る圧力漸減装置
を設けたことにより、型締力と射出力との解除タイミン
グに差が出ても、金型キャビティ内の金型が湾曲せず、
製品にクラックが発生したりこのクラックから内部の未
凝固部がはみ出したりすることがないので、製品の品質
が向上し、不良品の発生量が減少するとともに、成形サ
イクルが短縮され生産性が向上する。また、押湯ロッド
に冷却水通路を設ければ、溶融物の冷却が促進されて型
開開始点が早まるので、さらに成形サイクルが短縮され
生産性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】型締シリンダの油圧回路である。

【図２（ａ）】従来装置における型締シリンダの油圧回
路図である。

【図２（ｂ）】従来装置における型締圧力および射出圧
力と時間との関係線図である。

【図２（ｃ）】本発明における型締シリンダの油圧回路
図である。

【図２（ｄ）】本発明における型締圧力および射出圧力
と時間との関係線図である。

【図３】本発明を実施したロータリダイカストマシンの
正面図である。

【図４】型開閉ユニットの縦断面図である。

【図５】本発明の他の実施例を図２（ｄ）に対応して示
す型締圧力および射出圧力と時間との関係線図である。

【図６】従来における型開閉ユニット要部の縦断面図で
ある。

【図７】自動車用ホイルの平面図である。

【符号の説明】

３６ 上金型 ３７ 下金型 ４３ キャビティ ４６ 射出シリンダ ５０ 溶湯 ６４ 押湯ロッド ６６ 冷却管 ７３ 型締シリンダ ８２ 電磁弁 ８６ リリーフ弁

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 型締された金型キャビティ内への溶融材
   料の射出が終了して所定の冷却時間が経過したのちに型
   締力と射出力との両方を解除するに際し、この型締力の
   解除指令と射出力の解除指令とを同時に発し、かつ、型
   締シリンダに作用していた圧力と射出シリンダに作用し
   ていた圧力とのうち少なくとも先に解除され始める方の
   圧力を少しずつ下げ、あとから解除され始める方の圧力
   が解除され始めたときの両方の圧力の差を小さく押え得
   るようにしたことを特徴とする金型射出成形装置におけ
   る型締力射出力解除方法。
2. 【請求項２】 金型を開閉する型締シリンダと金型キャ
   ビティ内へ溶融材料を射出する射出シリンダとの流体圧
   回路内に、型締力解除用弁装置と射出力解除用弁装置と
   を設け、これら型締力解除用弁装置と射出力解除用弁装
   置とに型締力解除指令と射出力解除指令とを同時に発す
   る指令装置を設け、電気指令により型締力解除用弁装置
   と射出力解除用弁装置とによる型締力と射出力との解除
   のうち少なくとも先に解除される方の圧力を少しずつ下
   げ得る圧力漸減装置を設けたことを特徴とする金型射出
   成形装置における型締力射出力解除装置。