JPH0649B2 - 調味料製剤の製造法 - Google Patents

調味料製剤の製造法

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JPH0649B2
JPH0649B2 JP63167488A JP16748888A JPH0649B2 JP H0649 B2 JPH0649 B2 JP H0649B2 JP 63167488 A JP63167488 A JP 63167488A JP 16748888 A JP16748888 A JP 16748888A JP H0649 B2 JPH0649 B2 JP H0649B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、水難溶性5′−リボヌクレオチド塩類を油脂
類および(または)ワックス類で被覆され、酵素に対し
て安定化された調味料の製造法に関する。
従来の技術 従来、呈味性の5′−リボヌクレオチド類、例えば5′
−イソシン酸ナトリウム,5′−グアニル酸ナトリウム
等は、それ自体に独特の旨味をもつと共に、グルタミン
酸ナトリウムなど他の調味料との併用によつて一層、味
をつよめる相乗効果が顕著であり、さらに強い塩味や酸
味などの刺激味をやわらげたり、蛋白加水分解物やでん
粉などのアミノ酸臭や粉臭などの不快臭を著しく減ずる
効果があり、今日では加工食品の製造にはグルタミン酸
ナトリウムとともに欠くことのできない調味料である。
この5′−リボヌクレオチド類は、通常の食品を加工す
る加熱条件や、食品領域におけるpHに対しては、きわめ
て安定で、化学的、物理的な分解を受けることはほとん
どない。しかし5′−位のエステル結合が酵素、すなわ
ちフォスファターゼによつて容易に分解されて呈味力が
消失する欠点を有している。このフォスファターゼは生
の動物性あるいは植物性の原料あるいは発酵食品などに
広く存在している。
このようにフォスファターゼ活性のある原料を使用して
加工食品を製造する場合、5′−リボヌクレオチド類を
有効に使用する方法としては、従来、次のような方法が
考えられている。
(1)原料をあらかじめ加熱してフォスファターゼを失活
させたのちち5′−リボヌクレオチド類を添加する方法
(特開昭62−51969)。
(2)フォスファターゼの作用を阻害する薬剤、例えばデ
ヒドロアスコルビン酸、ペニシラミンエステル類を添加
する方法(特公昭46−16948,特公昭48−10
228)。
(3)5′−リボヌクレオチド類をカルシウム塩やアルミ
ニウム塩などの難溶性塩にして、溶解をできるだけ遅ら
せ、その間に加熱調理して酵素を失活させる方法(特公
昭43−24942)。
(4)5′リボヌクレオチド類を常温で固体であり、かつ
水によつて破損されない熱溶融性の被膜でつつみフォス
ファターゼと接触しないようにマイクロカプセル化する
方法(特公昭37−13725,特公昭42−147
0)。
発明が解決しようとする課題 上記のように、フォスファターゼ活性が強くしかも、各
種調味料を添加、混合後に加熱するような食品(例え
ば、かまぼか、ちくわなどの水産ねり製品、ソーセー
ジ、ハンバーグなどの畜産ねり製品)あるいはフレーバ
ーやテクスチャーが変化するために加熱処理することが
好ましくない味噌のような食品には、5′−リボヌクレ
オチド類を被覆して添加する方法が有効であるとされて
いる。しかし、従来のいずれの被覆法によつても実用的
に、十分、効果のある製品が得られているとは言い難
い。すなわち、従来法によると、被覆が不均一であつた
り、被覆後の油脂類と5′−リボヌクレオチド類との親
和性が低いために、水の存在下では容易に5′−リボヌ
クレオチド類が溶出しフォスファターゼによつて分解さ
れるものと考えられる。
課題を解決するための手段 上記のような状況に鑑み、本発明者らは5′−リボヌク
レオチド類の被覆法について種々検討した結果、特定の
水分および特定の粒子径を有する水難溶性5′−リボヌ
クレオチド塩類を原料として、これを油脂類および(ま
たは)ワツクス類で被覆するフォスファターゼに対して
従来品より以上に安定な製品が得られることを見出し本
発明を完成した。
すなわち、本発明は総水分が12〜20重量%、粒子径
が約150μm以下の微粒子状の水難溶性5′−リボヌ
クレオチド塩類を、融点が約55゜ないしないし90℃
の油脂類および(または)ワックス類で被覆することを
特徴とする調味料製剤の製造法である。
本発明の製造に用いる水難溶性5′−リボヌクレオチド
塩類として溶解度が1g/100g水程度までの5′−
イノシン酸、5′−グアニル酸の塩があげられる。その
具体的な塩としてはカルシウム塩、アルミニウム塩、バ
リウム塩およびマグネシウム塩、またはこれらの混合物
[例、(5′−リボヌクレオチドカルシウム(5′−イ
ノシン酸カルシウム5′−グアニル酸カルシウムの混合
物))]があげられる。通常、カルシウム塩が好ましく
用いられる。これらの呈味性5′−リボヌクレオチド塩
類に加えて5′−アデニル酸,5′−ウリジル酸,5′
−シチジル酸の水難溶性塩が加えられてもよい。
水難溶性5′−リボヌクレオチド塩類は、油脂類および
(または)ワックス類で被覆するに際して、総水分が約
12〜20重量%、好ましくは約12〜16重量%、粒
子径が約150μm以下の微粒子に調製される。ここで
いう総水分とは、結晶性、付着性あるいはこれらの双方
に由来するもののいずれを問わず、水難溶性5′−リボ
ヌクレオチド塩類に含有される全ての水分をいう(以
下、単に水分ということがある)。総水分の測定は、
「食品添加物公定書第5版」に記載の方法すなわち、水
分定量法(カールフィッシャー法)または乾燥重量試験
法(120℃,4時間)に従つて行なうことができる。
水難溶性5′−リボヌクレオチド塩類は、たとえば上記
の「食品添加物公定書」によると5′−リボヌクレオチ
ドカルシウムの水分は23.0%以下と定められている
が、本発明では、総水分が12〜20重量%のものを原
料とするのが特徴の一つである。5′−リボヌクレオチ
ドの水難溶塩の平衡水分はそれぞれの塩によつて異なる
が大略12重量%から16重量%の範囲であり、得られ
る被覆調味料製剤の総水分はこの範囲にあるのが最も望
ましい。すなわち、水分がこれより多くても、あるいは
少なくても、外部環境の変化によつて被覆物中の5′−
リボヌクレオチド塩の水分が平衡になる際に被覆剤にひ
び割れや間隙が生成し、経時的に被覆効果が劣化しやす
くなる。
次に、水難 性の5′−リボヌクレオチド塩類の粒径は
約150μm以下のものが使用される。これに加えて、
全粒子中において105μm以下で20μm以上の粒径
のものが80重量%以上を占め、比容が1.4〜2.0
ml/gであるもが好ましい。形状は、球状に近いものが
好ましいが、前述のような総水分および粒子径を有する
ようなものであれば細部の形状は特に限定されない。
本発明に用いる水難容性5′−リボヌクレオチド塩類の
調製は、中和法または交換塩法などの常法によつて製造
したものを、たとえば約80℃で12〜24時間減圧乾
燥によつて先に述べた所定の水分まで乾燥したのちハン
マーミルやボールミルあるいはピンミルを用いて微粉化
を行なう方法や、あるいは所定の水分以下まで乾燥した
のち、上記の方法で微粉化したのち、所定の水分まで加
湿する方法などによつて実施できる。
さらに、乾燥前の湿結晶に水を加えて約10〜25%の
スラリーとしたのちグラインダー型の乳化機を用いて微
粒子分散液としたのち、熱風入口温度約150℃〜25
0℃、乾燥室内温度約95℃〜130℃の条件で所定の
水分、粒径の粉体が得られるように噴霧乾燥してもよ
い。
本発明で使用される油脂・ワックス類としては、融点が
約55゜〜90℃で食用に供し得るものであればいずれ
でも良い。該油脂類としては、植物性または動物性油
脂、あるいはこれらの油脂を水素添加処理して得た硬化
油、またワックス類としては動物性、植物性、鉱物性の
天然のワックス類などがあげられる。
該油脂類の具体例としては、たとえば、牛脂硬化油、魚
油硬化油、鯨油硬化油、菜種硬化油、大豆硬化油、落下
生硬化油、ヒマシ油硬化油、綿実油硬化油、サフラワー
油硬化油、ベニバナ油硬化油、米ヌカ油硬化油などがあ
げられる。さらに本発明では炭素数14〜28で融点が
約55〜90℃の脂肪酸(例、パルミチン酸、ステアリ
ン酸、ペヘン酸)を用いることもでき、上記油脂類の範
囲に含めるものとする。
またワックス類としてはキャンデリワックス,ライスワ
ックス,カルナウバワックス,ミツロウ,パラフィンワ
ックスなどの可食性天然ワックス類があげられる。
これらの油脂類、ワックス類は単独で使用してもよい
し、所望の融点に調節する目的で2種以上を組合せても
よい。たとえば油脂類100重量部に対しワックス類を
約60〜100重量部の割合で併用することにより良好
な状態に被覆物を得ることができる。さらに先に記した
融点の範囲内を限度として、得られる被覆物の粒径や流
動性などを改良する目的でモノグリセライド、シグリセ
ライド、トリグリセライド類などの脂肪酸エステル類
や、ソルビタン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステ
ル、大豆レシチンなどの乳化剤を適宜併用してもよい。
被覆方法としては、たとえばあらかじめ溶融した油脂類
および(または)ワックス類に、前述の水難溶性5′−
リボヌクレオチド塩類の微粒子を加えて約60〜105
℃、好ましくは約60〜95℃で分散させ、約10〜3
5℃の冷却塔内に回転ディスクあるいはノズルデスプレ
ーするスプレー造粒法あるいはこの熱溶融した分散液を
一旦冷却固化させたのち粉砕する方法、さらに水難溶性
5′−リボヌクレオチド塩類の微粒子を気流中に流動せ
しめ液状の油脂類または(および)ワックス類(加熱溶
融したもの、あるいは適当な溶剤に溶解したもの)を噴
霧し、コーティングする方法、またはコーティングパン
を用いてコーティングする方法などいずれの方法も採用
することができる。
これらの方法のうちでも、より均一な被覆造粒物が得ら
れるという点において、冷却下へのスプレー造粒が好適
である。例えば、円板ディスクによるスプレー造粒の場
合は、円板:100〜200mm(直径),円板加熱温
度:130〜200℃、円板回転数:1200〜300
rpm、分散液の供給量:200〜600ml/min.,分散
液温度:80〜100℃、冷却塔内温度:10〜35℃
の操作条件で好ましく実施できる。
以上の方法で被覆した上にさらに同種または他の油脂類
および(または)ワックス類を用いて二重,三重に被覆
してより被覆効果を増すこともできる。一般に、油脂類
および(または)ワックス類の使用量は水難溶性5′−
リボヌクレオチド塩類が無水物として20〜60重量%
になるような範囲から選択される。
本調味料製剤中の水難溶性5′−リボヌクレオチド塩類
の含量が約23〜46重量%の範囲となるようにするの
がより好ましく、これに対応して、油脂類および(また
は)ワツクス類と必要に応じて使用される添加物(例、
乳化剤など)の各量がきめられる。
油脂類および(または)ワックス類の量がこれより少な
いと被覆効果が小さく、フォスファターゼに対する安定
効果が減少し、多すぎると食品に添加した際の油脂類お
よび(または)ワックス類が白い班点粒となつて残るこ
とがあり好ましくない場合が多い。一方、製品粒度につ
いて言えば、粒度が大きく、油脂類および(または)ワ
ックス類含量が多い程、被覆は厚くなるが、食品に添加
し混合、擂潰などの作業をする場合、粒度の大きいもの
程、機械的に破壊される機会が大きくなり、実質上5′
−リボヌクレオチド類の残存率が低下する。
このような点から実用的には500μm以下に、好まし
くは250μm以下で150μm以上の範囲となるよう
に被覆するのが望ましい。
本発明の調味料製剤を利用しうる食品としては製造工程
中に油脂類および(または)ワックス類の融点温度以上
の加熱工程を有する加工食品あるいは、家庭で喫食する
際に加熱調理される食品に適している。このような食品
の例として、蒲鉾、竹輪、揚げ蒲鉾、魚肉ソーセージな
どの水産練り製品、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、ミ
ートボールなどの畜肉加工品、味噌類、珍味類、さらに
ギョウザ、シューマイ、肉まんの具、フライ用バツタ
ー、てんぷらのころもなどのそう菜類などがあげられ
る。
本発明の調味料製剤は、食品の製造工程中で加熱を付す
前の適宜の混合工程で添加される。これにより、加熱前
はフォスファターゼが存在していても水難溶性5′−リ
ボヌクレオチド塩類の微粒子が油脂類および(または)
ワックス類で均一に被覆されているために酵素作用を受
けず、分解されることがない。そして、加熱によつてフ
ォスファターゼが失活した後に、被覆している油脂類お
よび(または)ワックス類が溶融し、水難溶性5′−リ
ボヌクレオチド塩類を食品中に安定な状態で存在せしめ
ることができ、良好な呈味性が発揮されるものである。
実施例 以下に、実験例、使用例および実施例を挙げて本発明を
さらに詳細に説明する。なお、以下において特にことわ
りのないかぎり%は全て重量%を示すものとする。
実験例1 常法によつて得られた5′−リボヌクレオチドカルシウ
ムの湿結晶を80℃で(A)8時間,(B)24時間,(C)4
8時間それぞれ減圧乾燥し、乾燥品を作つた。水分(カ
ールフィッシャー法)は(A)20.4%,(B)13.2%
および(C)6.9%であつた。
実験例2 豚肉6kg,牛肉4kg,豚脂身5kg,水4kg,バレイショ
1.5kg,亜硝酸ナトリウム2g,くん結晶20gおよ
びL−アスコルビン酸ナトリウム10gを用いてソーセ
ージ製造の常法にしたがつてペーストを製造した。これ
にリボタイド(5′−イノシン酸ナトリウムと5′−グ
アニル酸ナトリウムのほぼ等量混合物,水分24%,武
田薬品工業製)および実験例1で得られた各水分の5′
−リボヌクレオチドカルシウム(A),(B),(C)を、ボー
ルミルで粉砕し、それぞれ150μm以下の微粒子とし
たのち、それぞれ5′−リボヌクレオチドナトリウム
(無水物)として0.05%になるように添加し、十分
練合したのち、折径23mmのセロファンケーシングにつ
めて50℃から70℃まで90分かけてスモークしたの
ち、80℃のスチームで30分間加熱して4種類のソー
セージを製造した。
それぞれのソーセージについて訓練した10名のパネル
による旨味の比較を行なつたが、いずれの試料間にも差
は認められず、水難溶性のカルシウム塩も微粒子化した
場合は水溶性のナトリウム塩と同様にフォスファターゼ
に対しては不安定であることが判明した。
実施例1 カルナウバワックス(融点 83℃)700gをあらか
じめ100℃で加熱溶融したのち、これに実施例1で得
られた5′−リボヌクチレオチドカルシウム(B)(水分
13.2%)の微粒子(全品が目開き149μmの篩を
通過)300gを加え十分に分散させたのち95℃に調
整し、回転円板型スプレー装置(ディスクの直径15c
m,回転数2500rpm)を用いて、25℃の室内にスプ
レーして、被覆造粒した。
得られた製品(コーテッドリボヌクレオチドカルシウム
(B),目開き500μmの篩通過品)の5′−リボヌク
レオチドカルシウム含量(無水物換算)は25.7%で
後述の方法による溶出試験では20分で0.8%,60
分では1.2%であつた。
<溶出試験> 水100mlを入れた共栓付200ml容三角フラスコを2
5℃の振とう恒温水槽に入れておき、試料500mgを加
え、振とう回数130rpmの条件で20分間および60
分間振とうする。振とう後、孔径0.45μmのメンブ
ランフィルターでろ過し、ろ液中の5′−リボヌクレオ
チド含量を液体クロマトグラフィーによつて分析した。
溶出率は被覆品中の5′−リボヌクレオチド含量に対す
るその溶出量の割合で示した。
<5′−リボヌクレオチドの液体クロマトグラフィーに
よる測定条件> カラム:MIC GEL CDR 10(4φ×150
mm) カラム温度:室温 移動相:pH4.5,0.5M酢酸バッファー 圧力:50kg/cm2 流速:10ml/min 検出器:UV 254nm 試料量:20μ 実施例2 実験例1で得られた5′−リボヌクレオチドカルシウム
(A),(B),(C)の微粒子(全品が目開き149μmの篩
通過品)各300gをそれぞれ牛脂硬化油(融点61
℃)700gをあらかじめ80℃で加熱溶融した中に加
え十分に分散させたのち75℃に調整し、実施例1の方
法に準じて造粒した。
これらコーテッドリボヌクレオチドカルシウム(A),
(B),(C)を25℃で関係湿度75%の恒温・恒湿中に2
ケ月間保存して、それぞれの水分および溶出率を測定し
た。
第1表に測定結果を示す。これから明らかなように(B)
は保存の前後を問わずに溶出率が小さく最も安定であ
り、これにくらべて(A)と(C)は保存後に溶出率の上昇が
みられた。また水分についても(B)にくらべると、(A)は
大きく水分が低下し、(C)は逆に水分が増加するなど、
変化の度合が大であつた。
実施例3 ヒマシ油硬化油(融点85℃)700gを100℃で加
熱溶融したのち、常温で得た5′−グアニル酸カルシウ
ムの微粒子(全品が目開き149μmの篩通過品、水分
12.4%)300gを加え十分に分散させたのち、9
5℃に調整し、実施例1に準じて造粒した。
得られた製品(コーテッドグアニル酸カルシウム、目開
き500μmの篩通過品)の5′−グアニル酸含量(無
水物換算)は26.0%で、溶出率は20分で0.9
%,60分で1.4%であつた。
実施例4 菜種油硬化油脂(融点 67℃)40kgを加熱溶融し、
これに27kgのカルナウバワックス(融点 83℃)を
少しずつ加えて100℃で完全に混合溶融した。この溶
融物中に実験例1に準じて調製した5′−リボヌクレオ
チドカルシウムの微粒子品(水分15.5%, 品目開
き149μmの篩通過品)33kgを徐々に加えて均一に
分散させたのち、85〜90℃に調整し、回転円板型ス
プレー装置を用いて次の製造条件で被覆造粒した。
・円板:直径150mm ・円板加熱温度:160〜170℃ ・回転数:2000±50rpm ・懸濁液供給量:380〜400ml/min ・チャンバー温度:25±5℃ 得られた製品を目開き500μmの篩で篩別した。この
篩通過品は全体の98%で、製品中の5′−リボヌクレ
チオチドカルシウム含量(無水物換算)は27.8%,
60分の溶出率は0.9%であつた。
実施例5 常法で得た5′−イノシン酸カルシウム(水分13.8
%)をハンマーミル(細川鉄工所製)で粉砕後篩別して
(D):32メッシュ(500μm)〜48メッシュ(2
97μm),(E)48メッシュ(297μm)〜80メ
ッシュ(177μm)(F)100メッシュ(149μ
m)以下の3つに分けた。
上記5′−イノシン酸カルシウムの(D),(E),(F)各3
50gを大豆硬化油(融点 65℃)650gをそれぞ
れ85℃で加熱溶解した中へ分散させたのち、実施例1
の方法に準じて造粒した。
得られたコーテッド5′−イノシシ酸カルシウムからそ
れぞれ32メッシュ通過品を集めて、含量(無水換算)
および溶出率をしらべた。
結果は第2表に示すように本発明方法で得た5′−イノ
シン酸カルシウムの被覆調味料(No.E)の溶出率が最
も小さいことがわかる。
実施例6 実験例1で得られた5′−リボヌクレオチドカルシウム
(A)の微粒子(全品が目開き149μmの篩通過品)を
更に乾燥して第3表に示す水分9.2,10.1,11.3,12.
5,13.4,16.2%のものを得た。各水分の5′−リボヌ
クレオチドカルシウム300gをあらかじめ80℃で加
熱溶融した菜種油硬化油脂(融点 67℃)700gに
加え十分に分散させたのち75℃に調整し、実施例1の
方法に準じて造粒した。
これらコーテッドリボヌクレオチドカルシウム(F),
(G),(H),(I),(J),(K)を25℃で関係湿度75%の
恒温室中に6ケ月間保存して、それぞれの水分および溶
出率を測定した。
第3表に測定結果を示す。これから明らかなように
(I),(J),(K)は、6ケ月間保存後も溶出率が低く安定
であつたが(F),(G),(H)は保存したことによつて溶出
率が増加した。
使用例1 リボタイドおよび実施例1で得られた5′−リボヌクレ
オチドカルシウム(B)および実施例1〜4で得られた各
種の被覆した5′−リボヌクレオチド塩類をそれぞれソ
ーセージの製造時に添加して製造後に残存する5′−リ
ボヌクレオチドの含量を測定すると同時に、味の比較を
行なつた。
ソーセージ製造時の組成および製造法は実験例2に準
じ、添加量は5′−リボヌクレオドナトリウム(無水
物)として0.05%とした。
ソーセージ中の5′−リボヌクレオチドナトリウムとし
ての残存率および旨味についての官能検査結果を第4表
に示した。
被覆物は無処理品にくらべて、残存率も高く、旨味もつ
よいことが明らかである。
使用例2 スケソウダラ冷凍すり身1863g,食塩54g,砂糖
27g,バレイショ澱粉135g,醗酵液体調味料54
ml(武田薬品工業製「味しるべA」,pH3.7,アルコ
ール7.5V/V%,塩2.2%,全糖42%,全窒素
73mg%3エキス分55%)、L−グルタミン酸ソーダ
13.5g,氷水540mlを用い常法にしたがつて製造
した蒲鉾用仕上りすり身にリボタイドおよび実施例3で
得たコーテイング5′−グアニル酸カルシウムをそれぞ
れ5′−リボヌクレオチド(無水物)として0.05%
になるよう添加し、十分に混合した。
この混合物を折径45mmのチューブに詰めて、37℃で
2時間坐りを行なつたのち、90℃で30分間加熱して
ケーシング入り蒲鉾を製造した。このようにして製造さ
れた蒲鉾中の5′−リボヌクレオチドの残存率はリボタ
イド添加品が0%,コーテッド5′−グアニル酸カルシ
ウム添加品が93%で、本発明試料は対照区にくらべて
残存率が高く、安定で、風味はきわめてすぐれていた。
使用例3 小麦粉100gを水300mlに加えて分散させ、リボタ
イドおよび実施例4で得られたコーテッドリボヌクレオ
チドをそれぞれ5′−リボヌクレオチドナイトリウム
(無水物)として0.03%添加し、15℃で30分,
1時間,2時間,4時間保存したのち、加熱し、5′−
リボヌクレチオドの残存率および旨味について比較し
た。
測定結果は第5表に示すように、対照区は30分後に完
全に分解したが、試料区は4時間後でも安定であり、対
照区にくらべて明らかに旨味が強いことが識別できた。
使用例4 未加熱の信州味噌500gにリボタイドおよび実施例1
で得た5′−リボヌクチオチドカルシウム(B)および実
施例4で得られたコーテッド品を5′−リボヌクレチオ
ドナトリウム(無水物)として0.035%になるよう
に添加し、十分に練合したのち、プラスチツク袋に詰め
て、25℃で3ケ月保存した。この間、1ケ月毎に5′
−リボヌクチオド残存量を測定するとともに、味噌濃度
10%の味噌汁をつくり、旨味を比較した。
残存率および旨味についての官能検査結果を第6表に示
した。
試料No.3は対照区にくらべて3ケ月保存後も残存率が
高く、旨味もつよいことが明らかである。
発明の効果 本発明で得られる調味料製剤は、水難溶性5′−リボヌ
クチオチド塩類の微粒子が油脂類および(または)ワッ
クス類で均一に親和性良く被覆されており、従来の被覆
法で得たものより、常温下で水に浸漬しても5′−リボ
ヌクレチドの溶出がほぼ完全に抑えられ、フォスファタ
ーゼによる分解が効果的に防止される。このために、加
熱工程を有する食品の製造に際し、その加熱工程前に添
加しても食品原料に由来するフォスファターゼによる分
解が抑えられ、しかも加熱によりフォスファターゼが失
活した状態で油脂類および(または)ワックス類の被覆
層が溶解され、5′−リボヌクレオチド類により良好に
調味できる。さらに、本調味料剤は長期間保存しても被
覆物の表面にひび割れや間隙の生成が極めて少なく、保
存安定性に優れていることも大きな特徴である。本調味
料製剤は、食品製造時に、混合、擂潰などの操作が加え
られても被覆層が安定に保持されているので水産・畜産
練製品、各種そう菜類などの調味用として好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】総水分が12〜20重量%、粒子径が約1
    50μm以下の微粒子状水難溶性5′−リボヌクレオチ
    ド塩類を融点55〜90℃の油脂類および(または)ワ
    ックス類で被覆することを特徴とする調味料製剤の製造
JP63167488A 1987-07-08 1988-07-05 調味料製剤の製造法 Expired - Lifetime JPH0649B2 (ja)

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