JPH0649629Y2 - クレーン装置付き油圧ショベル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、バケットを回動させるリンクに荷重計を有す
る吊り具を収納可能に取り付け、クレーンとしての作業
も行えるようにしたクレーン装置付き油圧ショベルに関
する。

［従来の技術］ 従来のクレーン装置付き油圧ショベルの一例を第７図を
用いて説明する。第７図は油圧ショベルのバケット部分
の側面図を示したもので、油圧ショベルのアーム１に取
り付けられたバケットシリンダ２によって回動されるバ
ケット３の背面には、荷重計を有するロープ式吊り具４
を取り付けたブラケット５が設けられている。さらに詳
しく述べると、前記ブラケット５に、先端にフック６を
有し、かつ中間部分に荷重計７を取り付けたロープ式吊
り具４をピン８により着脱自在に取り付け、バケット３
を使用する掘削時には、前記吊り具４を取り外し、クレ
ーン作業時には、前記吊り具４をピン８によりブラケッ
ト６に取り付けて作業していた。また、前記荷重計７に
より検出される荷重は、油圧ショベルの運転室（図示し
ない）に設けられた表示計により表示されるようになっ
ている。

また、他の従来例として、第８図に示すハンガー式クレ
ーンが実用化されている。第８図はバケット部分の側面
図を示したので、アーム１にバケット３を回動可能に取
り付けるピン９の長さを長くし、該バケット３を挟んで
ロッド式吊り具10（６はフック、７は荷重計である。）
を回動自在に取り付け、掘削時にはバケット３を矢印イ
に示すように回動させて該ロッド式吊り具10をアーム１
の下面に設けたホルダ11に係止させ、クレーン作業時に
はホルダ11による前記吊り具10の係止を解いて、該吊り
具10をアーム１の先端より垂下して使用するものであ
る。

［考案が解決しようとする課題］ 第７図に示した従来の吊り具の取り付け構造において
は、クレーン作業と掘削作業との切り換え毎に吊り具４
を取り付けたり取り外したりして、取り外した吊り具４
を所定箇所に置いたりしなければならないので、例え
ば、湿地にコンクリート製のＵ字溝を設置するような場
合、吊り具４の取り付け取り外しを頻繁に行わなければ
ならないので、面倒であり、作業能率が悪いという問題
点があった。

また、第８図の従来構造においては、吊り具10を関節部
を有する剛体で構成し、該吊り具10をバケット３によっ
て回動させる関係上、吊り具10の重量が、例えば100kg
を越える重量物となり、操作を誤ると、ホルダ11や吊り
具10を破損させることがあり、操作に細心の注意を必要
とし、操作が困難であるという問題点があった。

本考案は、このような問題点に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、掘削作業とクレーン作業との
切り換えに伴う吊り具の処理を容易に行え、かつ、小型
に構成できるクレーン装置付き油圧ショベルを提供する
ことにある。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するために、本考案は、バケットシリン
ダに一端側が連結され、他端側がバケット背面部にバケ
ット回動ピンを介して連結されたリンクを有する油圧シ
ョベルにおいて、前記バケット回動ピンに、荷重計を有
する多関節構造の吊り具を回動自在に取り付けると共
に、前記リンクの少なくとも中央部に底板を有する凹部
を形成し、該凹部に前記吊り具を折り畳んで収納すると
共に、収納された吊り具の外側への抜け出しを防止する
手段を備えたことを特徴とするものである。

［実施例］ 第１図乃至第６図は、本考案の一実施例を示したもの
で、第１図は吊り具の使用状態を示す部分断面側面図、
第２図は吊り具の収納状態を示す部分断面側面図、第３
図は第１図のIII−III矢視による拡大断面図、第４図は
第３図のハンドル部分の側面図、第５図は第１図のＶ−
Ｖ矢視による拡大断面図、第６図は第２図のVI−VI矢視
による拡大断面図である。バケットシリンダ２に一端側
が連結され、他端側がバケット３背面部にバケット回動
ピン14を介して連結されたリンク13を有する油圧ショベ
ルにおいて、該リンク13は、側板13a、13bと底板13cと
を有する凹部13dが形成されている。一方、吊り具12は
前記ピン14に回動自在に取り付けられた多関節構造にな
っており、先端にはフック６が取り付けられ、かつ中間
部には荷重計７が取り付けられている。すなわち、前記
ピン14に基端部のリンク15が回動自在に連結され（第５
図に示す）、該リンク15にピン16を介して荷重計７が取
り付けられ、該荷重計７にピン17を介して中断リンク18
が取り付けられ、該リンク18にピン19を介して回転構造
を有するフック６が取り付けられて吊り具12が構造され
ている。前記ピン16、17によって自在継手の機能を有し
ている。

この吊り具12は、クレーン作業時においては、第１図に
示すようにバケット回動ピン14から垂下させてクレーン
作業を行い、掘削作業時には、第２図に示すように折り
畳んで収納するように構造されている。

次に、収納時における吊り具12の抜け出し防止手段を第
３図、第４図及び第６図を用いて説明する。第２図に示
すピン17を保持する手段として、リンク13の側板13aと1
3bの上部には、一対のボス部13eと13fがそれぞれ取り付
けられており、ボス部13eには前記ピン17の頭部を保持
する凹部13gが形成されている。一方、ボス部13fにはハ
ンドル21のネジ部21aを螺合するねじ穴13hと、前記ねじ
部21aの端部に取り付けられた押しばね20をガイドする
ガイド穴13jが形成されている。しかして、第６図に示
すように、ハンドル21を回転させることにより、押しば
ね20を介して吊り具12を矢印ロ方向に押し付け、ピン17
の頭部を前記ボス部13eの凹部13gに押し込み、吊り具12
のピン17部を固定的に保持することができる。従って、
掘削作業時には、第２図に示すように吊り具12を折り畳
んで収納保持することにより、油圧ショベルとしての掘
削作業を行うことができる。

尚、凹部13dを形成する底板13cは、フック６がバケット
３側に落ちない程度に、少なくとも中央部にあればよ
い。また、収納時における吊り具12の抜け出し防止手段
として、凹部13g、押しばね20、ハンドル21等を用いた
が、この代りにリンク13の開放部分に摺動自在に装着し
た蓋や、開放部の両側に掛け渡すピン等を用いてもよ
い。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案によれば、バケット回動ピン
から荷重計を有する多関節構造の吊り具を垂下し、その
吊り具を、前記回動ピンに一端側が連結されたリンク内
に折り畳んで収納保持するように構造したので、油圧シ
ョベルとしての掘削作業とクレーン作業との切き換えに
伴って、吊り具を取り外したり取り付けたりする必要が
ないばかりでなく、作業の切り換えに伴う吊り具の処理
が容易となり、作業の切り換えを頻繁に行う必要のある
場合において、作業能率を大幅に向上させることができ
る。また、本考案の吊り具は、手で操作できる小型に構
造でき、廉価に提供できる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図内至第６図は本考案の一実施例を示したもので、
第１図は吊り具の使用状態を示す部分断面側面図、第２
図は吊り具の収納状態を示す部分断面側面図、第３図は
第１図のIII−III矢視による拡大断面図、第４図は第３
図のハンドル部分の側面図、第５図は第１図のＶ−Ｖ矢
視による拡大断面図、第６図は第２図のVI−VI矢視によ
る拡大断面図、第７図及び第８図は従来の吊り具の取り
付け構造を示すバケット部分の側面図である。 ２……バケットシリンダ、３……バケット、６……フッ
ク、７……荷重計、13……リンク、13d、13g……凹部、
14……バケット回動ピン、17……ピン、20……押しば
ね、21……ハンドル、21a……ネジ部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 栗山 稔 新潟県長岡市高見町字大潟3008―３ 日立 建機株式会社長岡サービスセンタ内 (56)参考文献 実開 昭56−30269（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−179289（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−200688（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−149386（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】バケットシリンダに一端側が連結され、他
   端側がバケット背面部にバケット回動ピンを介して連結
   されたリンクを有する油圧ショベルにおいて、前記バケ
   ット回動ピンに、荷重計を有する多関節構造の吊り具を
   回動自在に取り付けると共に、前記リンクの少なくとも
   中央部に底板を有する凹部を形成し、該凹部に前記吊り
   具を折り畳んで収納すると共に、収納された吊り具の外
   側への抜け出しを防止する手段を備えたことを特徴とす
   るクレーン装置付き油圧ショベル。