JPH0649621A - 鋼の迅速浸炭法 - Google Patents

鋼の迅速浸炭法

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JPH0649621A
JPH0649621A JP23397991A JP23397991A JPH0649621A JP H0649621 A JPH0649621 A JP H0649621A JP 23397991 A JP23397991 A JP 23397991A JP 23397991 A JP23397991 A JP 23397991A JP H0649621 A JPH0649621 A JP H0649621A
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恵七 難波
Fumitaka Abukawa
文隆 虻川
Hitoshi Goi
均 五井
Masahiko Watanabe
雅彦 渡辺
Hideki Yomo
秀樹 四方
Toshiyuki Kawamura
敏行 川村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理時間の短縮による生産性の向上と、スー
テイング防止によるメンテナンス費削減等の経済的な鋼
の迅速浸炭法を提供する。 【構成】 被処理品をオーステナイト領域温度まで加熱
し、その温度における炭素の固溶限、もしくはそれ以上
の高いカーボンポテンシャルで行う浸炭と、前記温度に
おけるスーテイング限界の低いカーボンポテンシャルで
行う拡散とを繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、処理時間の短縮による
生産性の向上と、ス−テイング防止によるメンテナンス
費削減等の経済的効果を有する鋼の迅速浸炭法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来一般の浸炭法は、変成炉で得られた
変成ガスをキャリアガスとして使用するものであるが、
近年、品質向上、処理時間の短縮及びランニングコスト
の低減等の要請から変成炉を使用せず、直接炉内に原料
ガス(炭化水素ガス)と酸化性ガス(空気、酸素、炭酸
ガス等)を導入し、炉内において変成、浸炭を行なう方
法が提案されている(特開昭55−128577号公
報、特公平1−38870号公報、特願平2−1759
55号等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとき各種の浸
炭法において、さらに処理時間を短縮しようとする場合
には、ス−テイングが生じないように低めに押えている
雰囲気のカ−ボンポテンシャルを高くして浸炭処理を行
えばよい。 しかしながら、その場合にはス−テイング
が生じる等してその後の雰囲気の制御が困難となり、さ
らにス−テイングによる析出炭素が炉内耐熱部品の寿命
を縮め、短期間にメンテナンスを必要とする等の問題が
生じる。 このことは前記変成炉で得られた変成ガスを
使用する従来一般の方法においては大量のエンリッチガ
スを必要とするため未分解エンリッチガスが増加する等
して特に問題となる。
【0004】また、大量のエンリッチガスはCO分圧の
減少と、局部的な浸炭反応の活性原因となり、浸炭ムラ
を引き起し、被処理品の形状によっては粗大炭化物が析
出し疲労強度の低下を引き起すものであった。本発明
は、前記事情に鑑みてなされたもので、炉内雰囲気を制
御状態に維持しつつ、高いカ−ボンポテシャルで迅速浸
炭を可能とし、処理時間の短縮による生産性の向上と、
ス−テイングを防止してメンテナンス費削減等の経済効
率のすぐれた浸炭法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、被処理品をオ−ステナイト領域温度まで加熱
してその温度における炭素の固溶限、もしくはそれ以上
の高いカ−ボンポテンシャルで行なう浸炭と、前記温度
におけるス−テイング限界の低いカ−ボンポテンシャル
で行なう拡散とを繰返すことを特徴とするものであり、
さらに、前記拡散時におけるス−テイング限界の低いカ
−ボンポテンシャルへの移行制御を炉内への浸炭性ガス
の導入停止、あるいは酸化性ガスの導入により行なうも
のである。
【0006】
【作用】本発明では、被処理品をオ−ステナイト領域温
度まで加熱後、炉内雰囲気がその温度における炭素の固
溶限、もしくはそれ以上の高いカ−ボンポテンシャルに
制御される。 しかしながら、その状態が継続すると当
然ながらス−テイングが生じる。 そこで、本発明では
適時に炉内への浸炭性ガスの導入が停止され、あるいは
炉内に空気、酸素、炭酸ガス等の酸化性ガスが導入され
てカ−ボンポテンシャルがス−テイングが生じない低い
値に制御される。
【0007】前記作業を繰返した後、さらに従来と同様
に適当時間の拡散を行なうことによって表面炭素濃度を
調整することができる。 前記本発明における処理時間
の短縮は、従来一般の浸炭法より高いカ−ボンポテンシ
ャルで浸炭を施し、なおかつス−テイングを生ぜしめな
いように雰囲気を制御することに基づく。すなわち、図
2に示されているように平均のカ−ボンポテンシャル値
線Dがステイング限界線Eよりかなり高い状態となるた
めである。
【0008】
【実施例】以下に本発明の一実施例を説明する。図3に
は、前記従来一般の浸炭法における加熱温度曲線1とカ
−ボンポテンシャルの制御曲線2の一例が示されてい
る。 すなわち、炉内がオ−ステナイト領域温度、例え
ば930度に昇温保持され、炉内に装入された被処理品
に7時間半の浸炭処理および2時間の拡散処理が施さ
れ、その後840度の焼入れ温度に降温して20〜30
分間保持したのち焼入れを行っている。 前記従来一般
の浸炭処理におけるカ−ボンポテンシャルはス−テイン
グが生じないス−テイング限界である0.8パ−セント
程度に制御され、さらに浸炭処理および拡散処理工程内
において特に変動がないものであった。
【0009】図1および図2には、本発明における加熱
温度曲線1とカ−ボンポテンシャルの制御曲線2の一例
が示されている。 すなわち、本発明では加熱温度曲線
1は前記従来一般の浸炭法と同じであるが、カ−ボンポ
テンシャルの制御曲線2が前記従来一般の浸炭法と全く
異なるものとされる。 詳細に述べると、本発明では前
記オ−ステナイト領域において、その温度における炭素
の固溶限、もしくはそれ以上の高いカ−ボンポテンシャ
ル、例えば1.1パ−セント及びその前後の値で行なう
迅速浸炭Aと、前記温度におけるス−テイング限界の低
いカ−ボンポテンシャル、例えば0.8パ−セント及び
その前後で行なう拡散Bとを繰返すものである。
【0010】このカ−ボンポテンシャルの高、低の繰返
しサイクルは、前記高いカ−ボンポテンシャル時間をス
−テイングが生じない短時間として行なわれ、実際には
炉内に原料ガスと酸化性ガスとして炭酸ガスを導入する
ガス浸炭法(本件特許出願人が提案した前記特願平2−
175955号)により図2に示されているように約5
0分間隔として行なわれた。
【0011】また、前記拡散時におけるス−テイング限
界の低いカ−ボンポテンシャルへの移行制御は浸炭性ガ
スの炉内への導入を一時的に停止することにより、ある
いは酸化性ガスを導入することにより行なうものである
が実際には炭酸ガスの炉内への導入バルブの開度調整に
より行なわれた。 さらに、その後適当時間の拡散Cが
行なわれる。
【0012】前記のごとく、本発明では炉内雰囲気が高
いカ−ボンポテンシャルと低いカ−ボンポテンシャルに
繰返し制御されるため、雰囲気の感応性が重要となる。
その点から考えると、前記従来一般の変成ガスを使用す
る浸炭法より、全体の使用ガス量の少ない方法、すなわ
ち、直接炉内に原料ガスと酸化性ガスを導入する方法が
適している。 さらには、カ−ボンポテンシャルを上げ
やすい方法、すなわち、酸化性ガスとして炭酸ガスを使
用する前記本件出願人が提案したガス浸炭法が最適であ
る。
【0013】前記図3は、バッチ型浸炭炉を用い前記従
来一般の浸炭法で被処理品のSCM420Hからなるピ
ストン(ボ−ル部外径80mm,内径30mm)を前記
条件で処理し、有効浸炭深さの目標を1.00〜1.4
0mm(Hv513のポイント)とした場合の処理時間
を含むパタ−ンであり、図1は本発明により、同じ被処
理品で同じ有効浸炭深さの目標(Hv513ポイント)
とした場合の処理時間を表わすパタ−ンである。図1お
よび図3から明らかのように総処理時間において、本発
明の方法によれば2時間30分の時間短縮が可能となっ
た。
【0014】また、トレイプッシャ型連続炉にて、前記
従来一般の浸炭法および本発明の方法でSCM420H
のアウタ−リング(外径75mm,内径57mm)を浸
炭処理した場合の比較が下記表1に示されている。
【0015】
【表1】 なお、この処理条件は浸炭、拡散温度を930度、有効
浸炭深さの目標は1.45〜1.90mm(Hv513
のポイント)である。前記表1から明らかのように連続
炉の場合は総処理時間において205分の時間短縮が可
能とであった。前記のごとく、本発明によれば、バッチ
型浸炭炉の場合は約35パ−セント、トレイプッシャ型
連続炉の場合は約50パ−セント生産性の向上が図られ
ることが確認されたものである。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、処理時間の短縮による
生産性の向上と、ス−テイング防止によるメンテナンス
費削減等の経済的効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理工程を示す説明図である。
【図2】本発明の処理工程の要部拡大説明図である。
【図3】従来一般の処理工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 加熱温度曲線 2 カ−ボンポテンシャルの制御曲線 A 迅速浸炭 B 拡散 C 拡散
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 雅彦 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内 (72)発明者 四方 秀樹 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内 (72)発明者 川村 敏行 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理品をオ−ステナイト領域温度まで
    加熱しその温度における炭素の固溶限、もしくはそれ以
    上の高いカ−ボンポテンシャルで行なう浸炭と、前記温
    度におけるス−テイング限界の低いカ−ボンポテンシャ
    ルで行なう拡散とを繰返すことを特徴とする鋼の迅速浸
    炭法。
  2. 【請求項2】 拡散時におけるス−テイング限界の低い
    カ−ボンポテンシャルへの移行制御を炉内への浸炭性ガ
    スの導入停止により行なうことを特徴とする請求項1記
    載の鋼の迅速浸炭法。
  3. 【請求項3】 拡散時におけるス−テイング限界の低い
    カ−ボンポテンシャルへの移行制御を炉内への酸化性ガ
    スの導入により行なうことを特徴とする請求項1記載の
    鋼の迅速浸炭法。
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