JPH0647028Y2 - 経糸送出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は経糸送出装置に関するものである。

《従来技術及びその問題点》 重打ち込みの織物を製織する場合の経糸の踏ん張り、ま
たは伸びの少ない経糸でのテンション変動による送出ビ
ームへの影響を無くすために、所定数の絞りロールを有
する送出装置がある。

ところで、この送出装置は経糸を絞り込むためテンショ
ンロールと絞りロールの内、少なくとも一部のロールを
回転阻止するように固定し、経糸との摩擦を生じさせて
対処していた。

しかし、このような形式の送出装置においては、傷戻し
時やキックバック等による織口合わせをすると厚段や薄
段の織口合わせ不良を生じさせていた。即ち、従来の絞
りロールを有する送出装置を使用した織口合わせ方法で
は、巻取り装置を逆転して経糸テンションを緩め、送出
装置を巻き上げることによって行なっている。しかし、
テンションロールや絞りロールの一部が回転阻止されて
いるために経糸と固定されたロールとの摩擦により経糸
が送出装置に充分に巻き上げられず、更に経糸の種類に
よっては、固定されたロールとの摩擦係数が異なり、巻
上量を変化させることとなっていた。このため、作業者
はその後において巻取り装置を正回転させて経糸を適正
テンションになるように巻取り、送出装置の操作を繰り
返しながら、目視または織り前ゲージで測りながら作業
者の勘に頼って織口合わせを行なう。しかし、織口合わ
せは微妙なものであり、このような勘に頼る作業におい
て煩雑な作業を行なわせしめることは織口不良を生じさ
せる一因となる。

このことは、機掛け時にも同様なことがいえ、機掛け作
業を煩雑化させていた。

《考案の目的》 この考案は上記従来技術の欠点に鑑みて提案されたもの
で、織口合わせ作業を容易にし、もって織口不良の発生
を無くそうとするものである。

《考案の基本的構成》 この考案は上記目的を達成するため、テンションロール
と送出ロールを有してなり、少なくとも一部のロールが
固定された形式の経糸送出装置において、織機停止時に
上記固定されたロールを回転可能にしてやるものであ
る。

《実施例及びその作用》 この考案の送出装置は、説明の便宜上、第１図に示すよ
うなテンションロール１とビーム７との間に２個の絞り
ロール３、５が設けられた形式のものについて説明す
る。

これらテンションロール１と絞りロール３、５は織機運
転中は、経糸にテンションや絞りを与えるため回転不可
能に支承されている。

織機停止中においては、これら回転不可能に支承されて
いるロール１、３、５を全て回転可能にしてやるもので
ある。

この織機運転中において回転不可能に、また織機停止中
において回転可能にするための手段としては、例えば第
２図に示すように、織機フレームＦに支承されているロ
ール１、３、５の支軸11、31、51の所定位置の歯の向き
が異なった一対のラチェット21、22を取り付けておき、
このラチェット21、22には共に、逆転防止用の爪23、24
を係合させておく。これらの爪23、24は共にソレノイド
25、26に接続されており、ソレノイド25、26を作動させ
ることにより、爪23、24のラチェット21、22への係合及
びその解除を行なわせる。

爪23、24が共にラチェット21、23に係合しているときは
支軸11、31、51はどちらの方向へも回転を阻止された状
態となっている。

なお、一方の爪23（24）のみがラチェット21（22）に係
合しているときは、ロール１、３、５は一方向だけの回
転が阻止され、他方向への回転は阻止されていない状態
となる。したがって、織機運転中においては各ロール
１、３、５は両方向への回転が阻止されている必要はな
く、少なくとも経糸走行方向への回転が阻止されていれ
ば良い。

また、上記絞りロール３、５は織機運転中は共に経糸走
行方向への回転が阻止されているように説明したが、経
糸種類によってはそれほど強い絞りが必要ないものがあ
る。この場合は各絞りロールの内、任意の絞りロールの
経糸走行方向への回転を阻止しないでおく。即ち、該任
意の絞りロールを絞りロールとして用いるのではなく、
ガイドロールとして用いておくのである。

上記実施例においては、ロールの回転及び回転阻止をソ
レノイド25、26とラチェット21、22によって行なうこと
としたが、この考案はこれに限定されるものではなく、
各ロールの支軸11、31、51に電磁クラッチを取り付けて
おき、該クラッチの作動により、支軸11、31、51の回転
阻止及びその解除をさせるようにしてやっても良い。

上記ロールの回転阻止及びその解除行なうソレノイドや
電磁クラッチは織機の運転と連動して駆動するものであ
っても、また、独自のスイッチ操作によって作動するも
のであっても良い。

また、上記のような電気的信号を取り入れて作動するも
ののみならず、例えば、ロール１、３、５の支軸11、3
1、51所定位置に割締め等のブレーキ機構を設けてお
き、手動レバによって該ブレーキ機構を作動させるよう
なものであっても良い。このブレーキ機構は回転軸の回
転阻止及びその解除を行なえるようなものであれば、い
かなる形式のものであっても良い。

《考案の効果》 この考案によれば、織機運転中にはテンションロールと
絞りロールの少なくとも一部が経糸走行方向への回転を
阻止された状態となって、経糸にテンションと絞りを付
与するが、織機停止時の織口合わせ時などにおいては、
該回転を阻止されたロールを全て回転可能にすることが
出来るので、送出装置で経糸を巻き上げる際に経糸がス
ムースに巻き上げられることとなり、織口合わせ作業が
容易になり、織口合わせ不良の発生が減少する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を応用する巻取り装置の概略を示した
側面図。 第２図はこの考案の一実施例を示した部分説明図。 １…テンションロール、３、５…絞りロール ７…ビーム、21、22…ラチェット 25、26…ソレノイド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】テンションロールと所定数の絞りロールの
   内、少なくともその一部のロールが織機運転中において
   少なくとも経糸走行方向への回転を阻止されており、か
   つ、運転停止時において上記回転阻止が解除されるよう
   に構成された ことを特徴とする経糸送出装置。