JPH0646287Y2 - きのこ栽培基への種菌植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、えのきだけやひらたけの人工栽培のように、
おがくず等を主体とするきのこ栽培基を内蔵するきのこ
栽培容器に、種菌を植え付ける為の装置に関する。

従来技術 この種のきのこ容器栽培は、おがくずや米糠を原料とし
て、これを800cc前後のプラスチック製の広口瓶に詰め
てから、蒸気殺菌して無菌状態にした培養基に、種菌を
植え付けて、調温、調湿された栽培室中に収納して菌を
繁殖させ、茸（子実体）を発生させる方法が行なわれて
いる。種菌は、全く同様のおがくず培養基に、茸菌を注
意深く培養したもので、おがくず粒子を菌糸がおおって
いるので、流動性を失って固化した状態になっており、
これを突き崩して流動状態にしたものを植え付ける。植
付けの方法は、菌まわりを良くする為に、培養基を内蔵
する広口瓶の開口から、底に達するように、棒で培養基
に、たて孔をあけておいてから、種菌の繁殖したおがく
ずを流し込むことによって行なわれる。このような目的
に用いられる植付け機は、１〜２列の広口瓶が通過する
通路上に、種菌供給ホッパが設けられ、該ホッパの供給
口を開閉することにより、菌を植付ける装置が知られて
いる。

しかしながら、きのこ栽培は、その省力化の要請から、
前記広口瓶の高さの半分位の高さのコンテナに、16〜25
個の広口瓶を収納し、これを単位として、様々な作業が
行なわれる。従って、従来の植付け機は、広口瓶をコン
テナから取り出して、植付け機により植菌を行ったの
ち、再び、コンテナに収納し、それを栽培棚に載せて、
その後の工程に付されるので、種菌の植付けに手間がか
かる欠点があった。又、種菌をその培養容器から取り出
す装置としては、従来、先端に掻き出し爪を備えた回転
軸を固定若しくは強制回転している培養容器に、押し込
んで掻き出す方法が行われているが、装置が複雑になて
高価な上に、掻き出された粒子の粒度が大小様々になっ
て、植付作業が均一にならない欠点があった。

考案の目的 本考案は、このような事情に対処してなされたものであ
って、コンテナに栽培容器を収納したままで、種菌の植
付けを瞬時に行うことができ、構成が簡素な種菌補給装
置を備えた種菌植付け装置を開示することを目的とする
ものである。

考案の構成 本考案の要旨は、複数のきのこ栽培容器を定位置に収納
するコンテナを静置する為のコンテナ停止部と、該コン
テナ停止部の上方に水平に張設された種菌配給板とを有
し、該種菌配給板には、コンテナに収納された栽培容器
開口の真上に、該開口の夫々に対応する種菌供給孔が穿
設されており、前記種菌配給板上には、該種菌配給板に
底面が密接した状態で種菌収納箱が往復動自在に載置さ
れており、該種菌収納箱の底面には、前記種菌供給孔に
重接可能な種菌落下開口が設けられていると共に、該種
菌収納箱の上方には、種菌培養容器の開口部を下方に向
けた状態で上下方向に遊動自在に種菌培養容器を保持す
る案内ホッパと、該案内ホッパの内側下部と前記種菌収
納箱とを連通せしめる可撓性種菌輸送管と、前記案内ホ
ッパの外側下部から該案内ホッパ内に入り上方に伸長す
る回転軸と、該回転軸の上端付近に設けた攪拌部とから
成る種菌の種菌収納箱への補給装置を備えていることを
特徴とするきのこ栽培基への種菌植付装置にある。以
下、実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。

［実施例］ 第１〜２図は、本考案の一実施例について、種菌補給装
置を省略して示すもので、種菌補給装置は、第３図に示
す後記他の実施例におけるものと全く同様である。第１
図は、本考案を具現する一実施例の要部を、側面から見
たもので、第２図はその平面方向から見た図である。本
願装置１は、Ｌ形鋼などで直方体の枠状に形成したフレ
ーム２に、きのこの栽培容器30、30、…を収納するコン
テナ40を搬送する為の動力ローラコンベア３の一端が固
着している。該コンベア３の一対の案内レール3a、3a′
は、コンテナ40の案内と回転ローラ3b、…の枢支部材を
兼ねており、夫々、縦枠材2a、2a′,2b2b′の中間部付
近に、水平に固着されている。3cは、案内レール3aに設
けたリミットスイッチで、コンテナ40の底面の通過域に
突出しており、コンテナ40の底面の一端が該リミットス
イッチ3cに到達すると、ローラコンベア３のチェーン3d
を駆動するモータ（図示せず）が停止する。かくして、
コンベア３の端部付近のフレーム２に囲まれた部分は、
コンテナ40を停止するコンテナ停止部を形成している。
このコンテナ停止部の上方には、金属板から成る種菌配
給板５が、フレーム２の上部に支持されて、水平に張設
されている。種菌配給板５と、コンテナ停止部上に静止
する栽培容器30、30、…の開口部31、…との間は、若干
の間隙があくように位置決めされている。コンテナ停止
部に停止するコンテナ40中には、複数の（図では９個
の）栽培容器30、30、…がコンテナ40の立上枠41の寸法
によって、縦、横の両方向に直線をなすように整列して
収納されている。従って、コンテナ40中の栽培容器30、
30、…は、常に同一状態で整列しているので、その開口
部31、…も、コンテナ中において定位置にある。前記種
菌配給板５には、これらの開口部31、31、…の真上に当
る部分に、夫々、種菌供給孔5a、5a、…が、開口部31、
…の数に、対応して開口している。種菌配給板５の上に
は、該配給板５の一辺の長さに近い長辺を有する長方形
底板6aを有する種菌収納箱６が、該底板6aを種菌配給板
５に密接した状態で、載置されている。

種菌収納箱６の長手方向の側面6bには、該収納箱６の底
板6aを、種菌配給板５に接触した状態で、左右方向に往
復動せしめるエアシリンダ７のロッド7aが、固着してい
る。2cは、エアシリンダ７を保持する支持台である。種
菌収納箱６の側面6bを挟む両側面6c、6c′には、案内管
6d、6d′が、該管の中心をロッド7aの進行方向に平行に
向けて設けられており、この案内管6d、6d′中には、種
菌収納箱６の往復動域の両端付近に設けられた立上縁9
a、9b間に、跨設されている案内ロッド8a、8a′が遊挿
されている。又、コンテナ停止部の下方には、フレーム
２に跨設された支台2d上に、エアシリンダ10が固設され
ており、該シリンダ10の駆動ロッド11のストローク長
は、上下方向に、栽培容器の開口部31を種菌配給板５の
裏面に当接させることができる距離に設定されている。
駆動ロッド11の上端には、リフト板12が固設されてお
り、該リフト板12には、コ字形枠体13、13、…が、その
両端をリフト板に固着した状態で並設されている。

このコ字状枠体13、13、…の頂部13a、13a、…は、ロー
ラコンベア３の回転ロール3b、3b間に位置しており、駆
動ロッド11が上昇すると、コ字状枠体は、回転ロール間
から上方に突出して、停止しているコンテナ40の底面を
支持して、これを上方に押し上げ、栽培容器30の開口部
31を種菌供給板裏面に当接させるリフト機構として作動
する。このとき、開口部31と種菌供給孔5aとは重なって
連通状態となっている。一方、前記種菌収納箱６の底板
6aには、各々の種菌供給孔5a、5a、…の中心を種菌収納
箱の移動方向に沿って結んだ線の延長線上にあたる位置
に、種菌落下開口6e、…が開口しており、エアシリンダ
７によって、種菌配給板５上を摺動して、該開口6e、…
と、前記供給孔5a、…が重なると、種菌収納箱内の種菌
は、種菌供給孔5a、…を通過して、下に落下するように
構成して成るものである。

［作用］ 上記実施例に係る装置は、前作業工程を経て、ローラコ
ンベア３上を移動してきたコンテナ40が、種菌供給板５
の下のコンテナ停止部に入ると、リミットスイッチ3cが
作動して、コンテナは停止する。すると、リフト機構の
一部をなすエアシリンダ10が上昇して、コンテナを持ち
上げ栽培容器の開口を、種菌配給板に当接した状態で停
止する。この状態を適宜な検出手段で検出して、エアシ
リンダ７が作動して、種菌収納箱６が種菌配給板５上を
往復動する間に、種菌は、落下開口6eから供給孔5aを通
過して栽培容器中に落下供給される。エアシリンダ７が
往復動すると、同様に、適当な検出手段がこの状態を検
出し、コンテナが下降し、更に、回転ロールが逆転し
て、コンテナをコンテナ停止部から、外に送り出して、
種菌植え付けの１サイクルが終了する。このような一連
の動作は、リミットスイッチ，近接スイッチなどの検出
手段と、その検出信号により作動する空気流路切換弁及
びこれらを制御する公知の制御装置によって行なわれ
る。

上記実施例では、種菌落下開口6eを栽培容器のなす列の
数だけ設けたが、これは、一連のスリット状の長孔を一
つだけ設けたもので代替してもよい。又、種菌の供給量
は、栽培容器30の空所にすべて充填する（即ち、開口部
31の上縁まで充填する）場合以外は、供給孔5aの大き
さ、或は、種菌収納箱の移動速度、若しくは、これら両
者によって調節される。この場合、必ずしも、リフト機
構は必要としない。搬送装置は、実施例では動力コンベ
アを用いたが、これは、手動コンベアでもよく、その配
置も、コンテナ停止部から元の方向へ戻る実施例の場合
の他、第３図の実施例のように一方向に通過して、次工
程に至るものでも良い。勿論、コンテナを人力により、
コンテナ停止部に装着するものでもよく、その場合は、
コンテナ停止部は、コンテナ停止位置規定部材を設けた
載置台でも良い。種菌収納ボックスの移動手段は、流体
圧シリンダに限られず、公知の手段、例えば、ラツクと
ピニオンによる駆動手段などが採用できることは勿論で
ある。

第３図は、本考案の他の実施例の要部を示すもので、前
記実施例と同一機能の部材には、同一の符号を付して説
明する。この実施例では、種菌収納箱６への種菌補給装
置20の構成を主として説明する。該装置20は、種菌培養
容器21の開口部21aを下方に向けた状態で、上下方向に
遊動自在に該培養容器21を保持する案内ホッパ22を有し
ており、この案内ホッパ22を、その下方において小径化
（22a）している部位において、支持腕23に支持された
ラッパ状の支持部材24が、種菌収納箱６より高い位置に
保持している。支持腕23の下端は、種菌植付装置のフレ
ーム側に固着されている。案内ホッパ22の下部は、なだ
らかに側方に屈曲しており、その屈曲端22cには、軟質
ビニール管などの可撓パイプから成る種菌輸送管25の一
端が嵌着し、該管25の他端は、種菌収納箱６の天板6fに
設けた開口6gの立上縁に嵌着することにより、案内ホッ
パと種菌収納箱が連通せしめられている。

案内ホッパ22の下方屈曲部22を貫通して、支持部材24に
装着されたモータ26によって駆動される回転軸27が、案
内ホッパ22の中心線に沿って上方に伸長しており、該回
転軸27の上部に、種菌培養容器21の開口21aから、容器
内部に侵入可能な枝状の攪拌部27aが設けられて成るも
のである。一般に種菌は、きのこ栽培容器40中におがく
ず培養基を充填し、これを、厳密な無菌管理下で、世代
交替による変性のない種菌を専門業者によって作り、一
般きのこ栽培者に販売されるが、菌糸の発育によってお
がくず培養基は半固形状態になっており、これを、前記
攪拌部27aによって、粒状にほぐして流動化し種菌収納
箱に流下させる。培養容器は、自重によって、種菌の流
下に伴って、案内ホッパ中を次第に下降して、下方に種
菌を落下補給していくこととなる。

効果 本願装置は、コンテナによって定位置に配列されている
栽培容器を種菌植付の操作単位とし、種菌収納箱の往復
動動作によって極めて短時間に、多数の培養基に接種を
行うことができ、そのまま次工程に付すことができるの
で、従来の方法と比べて、飛躍的に生産性が向上する。
種菌の供給量の調節は、種菌収納箱の往復動の速度と、
該収納箱の底部に開口する種菌落下開口の大きさとを、
適宜設定することにより、容易に調節ができる等の優れ
た効果がある。更に、種菌補給装置は、種菌容器を案内
ホッパによって倒立状態で上下方向に遊動自在に支持し
て、その自重によって掻き出される構成により、おが屑
が堅く結合している種菌容器の上層部には、大きな力が
掻き出し力が働き、底部に至るにつれて、掻き出し力は
漸減するので、掻き出された種菌の粒度が均一で、種菌
の植付が均一に行われる。又、種菌輸送管は、種菌収納
箱と共に揺動するので、掻き出された種菌が停滞して移
動路に詰まるといった事故が全く無く、雑菌の混入の機
会も少なく、連続的な植付が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の要部を示す説明図であ
る。 第２図は、第１図の実施例を平面方向から視た説明図で
ある。 第３図は、本考案の他の実施例の要部を示す説明図であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のきのこ栽培容器を定位置に収納する
   コンテナを静置する為のコンテナ停止部と、該コンテナ
   停止部の上方に水平に張設された種菌配給板とを有し、
   該種菌配給板には、コンテナに収納された栽培容器開口
   の真上に、該開口の夫々に対応する種菌供給孔が穿設さ
   れており、前記種菌配給板上には、該種菌配給板に底面
   が密接した状態で種菌収納箱が往復動自在に載置されて
   おり、該種菌収納箱の底面には、前記種菌供給孔に重接
   可能な種菌落下開口が設けられていると共に、該種菌収
   納箱の上方には、種菌培養容器の開口部を下方に向けた
   状態で上下方向に遊動自在に種菌培養容器を保持する案
   内ホッパと、該案内ホッパの内側下部と前記種菌収納箱
   とを連通せしめる可撓性種菌輸送管と、前記案内ホッパ
   の外側下部から該案内ホッパ内に入り上方に伸長する回
   転軸と、該回転軸の上端付近に設けた攪拌部とから成る
   種菌の種菌収納箱への補給装置を備えていることを特徴
   とするきのこ栽培基への種菌植付装置。