JP2705595B2 - 種菌接種装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、きのこ栽培容器に充填
した培養基にきのこ種菌を接種する種菌接種装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の装置として特公昭５５−
４２８０２号公報等が知られている。この従来構造は、
ターンテーブルと、蓋開放装置と、蓋閉塞装置と、種菌
充填装置と、供給コンベヤと、搬出コンベヤとを備えて
おり、きのこ種菌の根付けに際し、菌床が収納され蓋で
密封された複数の栽培容器を作業者がコンテナから１個
ずつ取り出して供給コンベヤに供給する。これにより、
ターンテーブル上に供給された栽培容器が円周に沿って
移動する過程において先ず蓋開放装置により蓋が開放さ
れ、次いで種菌充填装置により栽培容器内に種菌が充填
され、この後蓋閉塞装置により蓋による密封が行われ、
搬出コンベヤにて搬出される。

【０００３】このようにして搬出された栽培容器を作業
者が１個ずつコンテナに収容し、所定個数を収容したコ
ンテナを栽培棚に格納するものであった。しかし、この
装置においては作業者が栽培容器をコンテナから１個ず
つ供給コンベヤに供給し、かつ根付けされた栽培容器を
搬出コンベヤから１個ずつコンテナに収納しなければな
らず作業能率が悪いという問題があった。

【０００４】そこで、栽培容器を収容したコンテナを供
給コンベヤにより種菌接種対応位置に供給することによ
りコンテナに収容された状態で栽培容器に種菌が充填さ
れるようにしたものが特開平１−１７４３１１号公報で
提案されている。これは栽培容器群を複数列に並べて収
納したコンテナを供給コンベヤにより種菌接種対応位置
に供給し、この種菌接種対応位置の上部に設けた蓋開閉
装置であるバキューム装置の各吸盤により一括してコン
テナ内の栽培容器群の蓋開放を行うように構成してい
る。

【０００５】また種菌充填装置として種菌容器内の種菌
を掻取具にて掻き取り、この掻き取られた種菌を種菌案
内部材であるチャンネルブラケットに落下させて貯留す
るよう構成し、このチャンネルブラケットの下方に２枚
の平板状のシャッタを配置し、この上側に配設したシャ
ッタにはコンテナ内の栽培容器群の口部に対応した丸孔
をそれぞれ設けて前記チャンネルブラケットをシャッタ
上で相対スライドして通過進退することで各丸孔内に設
定量の種菌を供給充填し、次いで下側のシャッタを各列
ごとに開放することにより種菌をコンテナ内の栽培容器
群に一括して充填し、前記蓋開閉装置により蓋閉塞後、
前記コンベヤに横設した搬出コンベヤにコンテナを移動
して搬出するものであり、コンテナ内の栽培容器を１個
ずつ出し入れする作業を省略することができる。

【０００６】また上述した各種タイプのきのこ種菌接種
装置に使用される種菌充填装置は、特開昭６３−２５８
５１９号や特開昭６３−２５８５２０号公報等に開示さ
れているように、種菌を収納した種菌容器を逆さ状態に
して本体フレームに設けた受入部材に装着し、この状態
で受入部材の回転作動によって種菌容器を回転させると
ともに、この種菌容器の口部から掻き出し刃を設けた掻
き出し杆を回転させながら容器内に進入させることによ
り種菌を所定量掻き出して栽培容器内に充填させて接種
するように構成している。

【０００７】この場合、掻き出し刃による種菌の掻き出
しにより種菌容器内の種菌がなくなった際、空となった
種菌容器を１個毎に人手によって前記受入部材から取り
外し、新たに種菌の入っている種菌容器を前記本体フレ
ームに設けた受入部材に装着しなければならず、この各
種菌容器の交換作業時においては、種菌接種装置の稼動
はなされず停止状態となり、この結果、接種作業の稼動
率の低下を招きやすいという問題がある。

【０００８】この点を考慮するものとして、たとえば特
開平５−３２８８４３号公報等で知られているように、
コンテナ内の栽培容器の容器位置に合わせて種菌容器を
逆さに倒立させて支持する種菌容器のセット位置を、種
菌容器から種菌を接種する位置と、この接種位置から側
方に退避した位置で種菌容器を交換する位置に設定し、
前記種菌接種位置と前記側方に退避した位置との間で種
菌容器を移動させる移動手段を設けて種菌容器の交換機
構を構成している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
菌容器の交換機構をもってしても、種菌接種装置の本体
フレーム上で個々の空となった種菌容器をそれぞれ取り
除き、新たに種菌の入っている種菌容器を個別に接種装
置の本体フレーム上にセットしなければならず、結果的
に掛け持ちで他の作業、たとえばコンテナの搬入作業あ
るいは搬出作業を行う場合などにあっては、種菌容器の
交換作業を行っていると他の作業が全くできなくなって
しまい、作業ロスが発生してしまうという問題が残され
ている。

【００１０】そこで本発明は、予め種菌容器の首部を逆
さに倒立状態で種菌容器装填部材にセットし、このセッ
トした複数の種菌容器を種菌接種装置に順次供給可能と
することにより、種菌容器の供給，交換作業を能率的に
行うことのできる種菌接種装置を提供することを目的と
する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は栽培容器群を複
数列に整列して収納したコンテナを横列単位で間欠移送
すると共に、栽培容器群の蓋を横列単位で開閉し、この
蓋の開放時にその列単位で種菌を充填する種菌接種装置
において、種菌容器の首部側を逆さに装着する装着孔を
備えた種菌容器装填部材と、この種菌容器装填部材をそ
の自重にて滑動可能に案内するガイド部材と、前記種菌
容器内の種菌を掻き出す掻出部材と、この掻出部材位置
に対応する種菌容器から種菌の掻き出し位置で前記種菌
容器装填部材を前記ガイド部材上に固定支持する位置規
制部材とを備えたことを特徴とする種菌接種装置であ
る。

【００１２】また本発明は、前記栽培容器の横列単位の
個数に合わせて同数の装着孔を前記種菌容器装填部材に
設けたことにある。

【００１３】また本発明は、前記種菌容器装填部材が自
重にて滑動可能にガイド部材を所定角度傾斜して設けた
ことにある。

【００１４】また本発明は、前記種菌容器装填部材に対
して前記位置規制部材を接離可能に設けたことにある。

【００１５】また本発明は、前記位置規制部材と同期し
て、押圧支持部材によって逆さに装着された前記種菌容
器の底部を押圧解放可能に設けたことにある。

【００１６】さらに本発明は、前記位置規制部材によっ
て前記ガイド部材上に固定される前記種菌容器装填部材
に加え、種菌容器を各々装着した待機状態の種菌容器装
填部材を前記ガイド部材上に載置可能に設けたことにあ
る。

【００１７】

【作用】ガイド部材上に種菌容器装填部材が自重にて滑
動可能に設けられると共に、位置規制部材によって前記
ガイド部材上に固定支持され、種菌容器の交換時に位置
規制部材を解放することにより複数の種菌容器が掻き出
し部材位置から退避し、前記種菌容器装填部材と同体的
に取り外すことができる。また新たに種菌の入っている
種菌容器は種菌装填部材を介して掻出部材位置に自重に
より滑動案内され、掻出部材の作動により順次種菌の接
種が行われる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照にし
て説明する。本発明に係る種菌接種装置の概略構成とそ
の動作については、図１および図２の種菌接種装置の全
体構成概要図にて述べる。種菌接種装置の本体フレーム
１の略全長に渡り移送コンベヤ２が設けられ、この移送
コンベヤ２は操作パネル３のスイッチの操作により起
動，停止が可能に設けられており、前記本体フレーム１
の両端側に設けられた複数のスプロケット間にエンドレ
スのチェーン４が平行に架け渡されている。

【００１９】そして、オガクズや米ぬかなどの培養基が
充填され蓋５で密封された栽培容器６をたとえば縦列４
個，横列４個収納したプラスチック製のコンテナ７を移
送始端側における移送コンベヤ２のチェーン４上に載
せ、移送コンベヤ２を始動させるとチェーン４の走行に
よってコンテナ７を移送終端側に向かって搬送できるよ
うになっている。

【００２０】本体フレーム１の略中央位置には、本願出
願人が先に提案した特開平５−１０３５４３号公報等に
示されているように、栽培容器６が適正な種菌接種位置
に到達したことを検知し、かつ検知されたコンテナ７内
の横一列の栽培容器６のセンタを出しつつ位置決めする
容器位置決め装置８が設けられると共に、この容器位置
決め装置８によって種菌接種位置に横一列に位置決め配
列された栽培容器６の蓋５を開閉作動する蓋開閉装置９
が設けられている。

【００２１】この蓋開閉装置９による栽培容器６の蓋５
の開放時に、種菌容器10内の種菌11を所定量掻き出して
前記開放された栽培容器６内に接種する種菌充填装置12
を構成している。

【００２２】また本発明の種菌充填装置12を前述の図１
および図２に加えて図３から図６を用いて詳述すると、
前記種菌充填装置12には、前記コンテナ７内に収納され
た前記横一列の栽培容器６に対応する４個の種菌容器10
の首部10Ａ側を逆さに倒立状態で挿入する装着孔13を備
えた略平板状の種菌容器装填部材14が設けられ、この種
菌容器装填部材14は前記本体フレーム１の両側部に取り
付けられたレール状のガイド部材15上に載置されてい
る。

【００２３】この実施例では、前記ガイド部材15は前記
種菌容器装填部材14の両端部を載置可能とし、かつ種菌
容器装填部材14の自重にて滑動可能に所定角度傾斜状態
にしてガイド部材15が前記本体フレーム１に取り付け固
定されており、またこのガイド部材15には、少なくとも
種菌11の掻き出し位置に対応する箇所に前記平板状の種
菌容器装填部材14の浮き上がりを予防するためのガイド
板15Ａが設けられると共に、傾斜状態に配設されたレー
ル状のガイド部材15の最下端部に種菌容器装填部材14の
滑動移動領域を定めるためのストッパー部15Ｂが設けら
れている。

【００２４】また、種菌容器10の種菌11を掻き出す掻き
出し位置に対応する本体フレーム１の両側部にそれぞれ
平板状の支柱16が立設され、この各支柱16にエアシリン
ダ17が取り付けられ、この各エアシリンダ17のピストン
17Ａの上端部間に支持板18が固定され、この支持板18に
は種菌容器10の底部10Ｂと対応する位置にそれぞれ回転
伝達部材となるスプロケット19が回転軸20を介して回転
可能に軸支され、この回転軸20下端部には種菌容器10の
底部10Ｂと同程度の大きさからなる略円板状の押圧プレ
ート21が取り付け固定されると共に、この各押圧プレー
ト21の表面部に発泡ウレタンなどからなる弾性部材22が
取り付けられ、前記支持板18，回転軸20，押圧プレート
21，弾性部材22等により種菌容器10の底部10Ｂを押圧す
る押圧支持部材23を構成している。

【００２５】また前記スプロケット19側に面した支持板
18には、ギヤヘッドを備えたモータ24が取り付け固定さ
れると共に、このモータ24の回転軸に駆動用スプロケッ
ト25が設けられ、この駆動用スプロケット25とそれぞれ
の押圧プレート21を回転するためのスプロケット19およ
び支持板18に設けられた従動用スプロケット26との間に
無端状のローラチェーン27が架け渡され、前記モータ24
と各スプロケット19，25，26およびローラチェーン27に
よって種菌容器回転駆動部材28を構成しており、前記モ
ータ24の回転駆動により無端状のローラチェーン27を介
して各スプロケット19が回転伝達され、各スプロケット
19に固定された前記押圧プレート21側が回転軸20を介し
て回転されるよう構成している。

【００２６】また種菌容器10の種菌11を掻き出す掻き出
し位置にて、前記押圧支持部材23の一部を構成する支持
板18の両端部側には、前記種菌容器装填部材14に向けて
位置決めシャフト29が左右に対をなして突設され、この
位置決めシャフト29の先端部と対向する前記種菌容器装
填部材14の両端部にそれぞれ嵌合孔30が形成され、前記
位置決めシャフト29と前記嵌合孔30とによって、前記種
菌容器装填部材14を前記ガイド部材15上に固定支持する
位置規制部材31を構成している。

【００２７】またこの実施例においてコンテナ７内に収
納される栽培容器６の横列単位の個数（４個）に合わせ
て、前記種菌容器装填部材14に各種菌容器10の首部10Ａ
を受け入れる装着孔13が４個形成されていると共に、こ
の各装着孔13の間に位置して支持軸32がそれぞれ立設さ
れ、この各支持軸32の上端部に略円柱状の駒部32Ａが取
り付け固定され、この駒部32Ａによって逆さに倒立して
配置されるそれぞれの種菌容器10の胴部が支えられ倒れ
込まないように設けられている。

【００２８】また前記位置決めシャフト29を嵌合孔30と
からなる位置規制部材31を介して前記ガイド部材15上に
前記種菌容器装填部材14が固定支持された位置、すなわ
ち種菌容器10の種菌11を掻き出す掻き出し位置におい
て、その種菌容器装填部材14の装着孔13に逆さに倒立し
て配置した各種菌容器10の首部10Ａの下方位置に対応す
る本体フレーム１箇所には掻き出された種菌11を案内可
能とする筒状の種菌案内カバー33が設けられている。

【００２９】また前記種菌充填装置12には、前記位置規
制部材31によって固定支持された前記種菌容器装填部材
14に設けられた各装着孔13を介して種菌容器10内の種菌
11を掻き出すための掻取部材となる掻出刃34Ａを設けた
掻出棒34が各々設けられており、この各掻出棒34は掻出
回転部材となるモータ35の回転伝達をチェーン36を介し
てそれぞれ回転伝達するように構成されると共に、前記
モータ35と共に掻出棒34がプレート37上に取り付けられ
ている。

【００３０】前記掻取部材となる掻出刃34Ａを設けた掻
出棒34は、本願出願人が先に提案した特開平５−１０３
５４３号公報等に示してあるように、掻出刃34Ａの回転
と共に、各掻出棒34を軸支する前記プレート37を昇降可
能に設けている。

【００３１】この実施例では、プレート37に設けた雌螺
子筒38に螺子棒39を螺合し、この螺子棒39は無端状チェ
ーン40を介して掻出上昇駆動部材となるモータ41と連結
しており、このモータ41の回転が前記無端状チェーン40
を介して螺子棒39へと回転伝達し、この螺子棒39の回転
に伴い前記プレート37を上昇させ、このプレート37上に
取り付けた前記掻出刃34Ａを備えた掻出棒34を上昇案内
するようにしている。なお掻出棒34は上昇端に達した時
点で下降端まで復帰するように前記掻出上昇駆動部材と
なるモータ41が逆回転し、この逆回転により螺子棒39を
介して前記プレート37を下動復帰するように構成してい
る。

【００３２】また前記種菌容器装填部材14に設けた４個
の装着孔13の下方にそれぞれ対応して種菌11を案内し貯
留する種菌案内筒42が設けられ、各種菌案内筒42の下端
部には、その開口下端部を開閉するシャッタ43が設けら
れている。

【００３３】このシャッタ43のさらに下方には、シャッ
タ43の開放時に種菌11を栽培容器６の口部へと案内する
種菌供給筒44が配設され、この種菌案内筒44はシリンダ
45によって前記蓋開閉装置９と共に、リンクアームを介
して連動するよう移動可能に設けられており、前記シリ
ンダ45の作動に伴う蓋開閉装置９による蓋５の開放作動
時に種菌案内筒44が栽培容器６位置へと移行し、かつ蓋
開閉装置９による蓋５の閉塞作動時に種菌案内筒44が栽
培容器６位置から懸け離れた位置に後退するように移動
可能に配設されている。

【００３４】また上述した一実施例にあっては、種菌容
器10を装填保持する場合、種菌11が充填された種菌容器
10を逆さにして平板状に形成された種菌容器装填部材14
の４個の装着孔13に種菌容器10の首部10Ａを装着してセ
ットし、一方種菌接種装置の押圧支持部材23の一部を構
成するエアシリンダ17を作動させてエアシリンダ17のピ
ストン17Ａを上昇した位置に維持させ、このピストン17
Ａの上昇により支持板18と支持板18に取り付けられた押
圧プレート21側および支持板18に取り付けられた位置規
制部材31の位置決めシャフト29を上昇状態に保ち、この
上昇状態において前記種菌容器10を逆さに倒立した状態
に予めセットした種菌容器装填部材14を種菌11の掻き出
し位置である前記押圧プレート21側の下方側に位置した
ガイド部材15上に載せ、次いで前記エアシリンダ17のピ
ストン17Ａを下降作動することによりピストン17Ａに固
定されている支持板18も下降し、この下降動作に伴って
支持板18に取り付けられた前記押圧プレート21と前記位
置規制部材31の位置決めシャフト29が下降し、前記押圧
プレート21によってそれぞれの種菌容器10の底部10Ｂが
押圧支持されると共に、前記位置決めシャフト29の先端
部が平板状の種菌容器装填部材14に設けた位置規制部材
31の一部を構成する嵌合孔30に挿入され、これによりガ
イド部材15上に滑動可能に載置される種菌容器装填部材
14が位置規制部材31である位置決めシャフト29と嵌合孔
30との挿入によって所定位置に固定支持され、種菌容器
10内の種菌11の掻き出し工程における事前準備が完了す
る。

【００３５】また種菌容器装填部材14のそれぞれの装着
孔13に種菌11の充填されている種菌容器10を逆さにして
装着してセットし、このセット状態の種菌容器装填部材
14を事前に準備し、セット状態の種菌容器装填部材14を
前記ガイド部材15の斜面にならって送り込むことによ
り、その種菌容器装填部材14の自重で前記レール状のガ
イド部材15の傾斜に沿って滑動移行し、前記位置規制部
材31によってガイド部材15上に固定支持された種菌容器
装填部材14と次に待機する種菌容器装填部材14とが順次
連接状態に配列される。

【００３６】なお、この実施例では、前記位置規制部材
31を構成する位置決めシャフト29はシリンダ17のピスト
ン17Ａの作動に連れてその軸線方向に往復作動するよう
に形成され、この往復作動を安定にするために支柱16に
設けられた軸受部16Ａによって軸支されており、また位
置決めシャフト29の先端部あるいは嵌合孔30の挿入側を
テーパ状に形成することにより、位置決めシャフト29と
嵌合孔30との挿入作動を円滑に行うことが可能となる。

【００３７】次に前記構成につきその作用を説明する。
先ず種菌容器10が装着された種菌容器装填部材14を位置
規制部材31である位置決めシャフト29と嵌合孔30との挿
入によって所定の種菌掻き出し位置に固定支持し、所定
数の蓋５付きの栽培容器６を収納したコンテナ７を移送
コンベヤ２上に載置してコンテナ７を移送し、最前列の
栽培容器６が種菌接種位置に到達すると移送コンベヤ２
が停止し、次いで容器位置決め装置８によって栽培容器
６の上下方向とセンタ位置を規制した状態で栽培容器６
を種菌接種位置に位置決め固定する。

【００３８】また前記容器位置決め装置８による位置決
め時において、掻出回転駆動部材であるモータ35も予め
設定した時間駆動して掻出棒34の回転により種菌容器10
内の種菌11が掻出刃34Ａによって掻き取られ、この掻き
出された種菌11が種菌案内筒42の下端部に貯留される。

【００３９】この際、掻出棒34の回転時には種菌容器回
転駆動部材28の一部を構成するモータ24も作動して押圧
支持部材23を構成する押圧プレート21と弾性部材22が回
転され、この押圧プレート21と弾性部材22とによって押
圧支持された種菌容器10も回転すると共に、掻出上昇駆
動部材となるモータ41の回転に伴い螺子棒39が回転して
プレート37を上昇させ、このプレート37上に取り付けら
れた掻出刃34Ａを設けた掻出棒34が種菌容器10の奥行き
方向に上昇案内される。なお、前記種菌容器回転駆動部
材28による種菌容器10の回転方向と前記掻出回転駆動部
材であるモータ35の回転による前記掻出刃34Ａの回転方
向とは相対的に逆回転で回転駆動するようにしており、
種菌11の掻き出しにおける掻き出し効率を高めると共
に、種菌容器10の回転により種菌容器10の内壁に近い種
菌11を良好に掻き出すことをねらいとしている。

【００４０】次いで容器位置決め装置８による位置決め
が行われた後に、シリンダ45の作動に伴って蓋開閉装置
９により栽培容器６の蓋５が蓋開放位置まで回動し、こ
の蓋開放動作に連動して種菌供給筒44が蓋５を取り外し
た栽培容器６の真上に移行し、種菌案内筒42と栽培容器
６との間を結ぶ軸線上に種菌供給筒44が配置される。

【００４１】この蓋開閉装置９の蓋開放完了時に、前記
シャッタ43を開くことにより、種菌案内筒42内の種菌11
が種菌供給筒44を介して横一列単位で栽培容器６内に供
給され、この種菌11の供給完了後に前記シャッタ43は種
菌案内筒42の下側開放端を閉塞作動するように復帰し、
かつ前記シリンダ45の復帰作動により種菌供給筒44が栽
培容器６位置から退避復帰すると同時に、蓋開閉装置９
が回動復帰して種菌11を接種した横一列の栽培容器６の
蓋５を被嵌する。

【００４２】従って、前記一連の工程を順次作動するこ
とによって横一列単位で順次コンテナ７内の栽培容器６
に種菌11を連続して接種することができる。

【００４３】ところで上述した実施例において、本発明
の主目的である種菌容器の交換機構について説明する。
コンテナ７内の栽培容器６を横一列単位で順次間欠的に
送りつつ連続的に接種する過程において、種菌容器10内
の種菌11を所定量ずつ掻き出すために掻出回転駆動部材
であるモータ35が予め設定された時間駆動して掻出棒34
の回転により種菌容器10内の種菌11が掻出刃34Ａによっ
て掻き取られるが、この種菌11の掻き取り作動と共に、
前記掻出上昇駆動部材となるモータ41の回転により螺子
棒39が間欠的に回転してプレート37が上昇案内され、こ
のプレート37上に取り付けられた前記掻出刃34Ａを設け
た掻出棒34も上昇案内され、この上昇案内時に前記掻出
刃34Ａ位置が上昇端に達した時点、すなわち種菌容器10
内の種菌11が空となった時点で、図示しないセンサの作
動によって前記掻出上昇駆動部材となるモータ41が逆回
転されて前記螺子棒39を介して前記プレート37が下降端
まで下動復帰される。

【００４４】この時点、すなわち前記種菌容器10内の種
菌11が空となった時、前記エアシリンダ17の作動により
前記支持板18が上昇作動し、この上昇作動によって種菌
容器10の底部10Ｂを押し付ける前記押圧支持部材23が解
放されると同時に、前記位置規制部材31の一部を構成す
る位置決めシャフト29も上昇作動され、種菌容器10の押
し付け固定支持が解放されると共に、前記位置決めシャ
フト29が種菌容器装填部材14に設けられた前記嵌合孔30
から抜け出すこととなり、この結果空になった４個の種
菌容器10を装填していた前記種菌容器装填部材14が前記
位置規制部材31から解き放され、これにより傾斜したガ
イド部材15のレール状斜面に倣って滑動移行し、レール
状のガイド部材15の斜面に最下端部に設けられたストッ
パ部15Ｂに位置規制され、これと同時に次に待機してい
る４個の種菌容器10を装填した種菌容器装填部材14がレ
ール状のガイド部材15の斜面に沿って種菌の掻き出し位
置まで滑動移行することとなり、待機状態であった種菌
11が充填されている４個の種菌容器10と空になった４個
の種菌容器10との切り換え交換が自動的に行われる。

【００４５】この交換作動後において、前記シリンダ17
のピストン17Ａが下降作動するとピストン17Ａに固定さ
れている支持板18が下降し、この下降動作に伴って前記
支持板18に取り付けられた位置決めシャフト29と前記押
圧支持部材23である押圧プレート21，弾性部材22とが下
降し、位置決めシャフト29の先端部が種菌容器装填部材
14に設けた嵌合孔30に挿入されることによって前記種菌
容器装填部材14が所定位置に固定支持されると同時に、
前記押圧プレート，弾性部材22によって新たに供給され
た４個の種菌容器10の底部10Ｂが押圧支持され、これに
より、各種菌容器10内の種菌11の掻き出しの準備がなさ
れ、次いで前述したように掻出刃34Ａと種菌容器10との
回転駆動により種菌11の掻き出しが順次行われる。

【００４６】従って前記種菌容器10の切り換え作動の間
に空になった４個の種菌容器10が装填された種菌容器装
填部材14をそのユニット毎ガイド部材15上から簡単に取
り外すことができ、従来装置のように種菌容器10を１個
毎交換する必要もないため作業能率を高めることが可能
となった。

【００４７】また種菌容器10の補給においても、種菌容
器装填部材14の４個の装着孔13に予め種菌容器10を装填
してセットし、このセット状態の種菌容器装填部材14を
必要数だけストックしておくことにより、種菌容器10の
補給の際に、４個の種菌容器10を装填した種菌容器装填
部材14を１つのユニットとしてレール状のガイド部材15
上に載せるだけ簡単に供給できるものであり、これによ
り種菌容器の交換作業を簡便に行うことができるという
効果がある。

【００４８】なお、この実施例では種菌11の掻き出し状
態にセットしてある種菌容器装填部材14の他に、待機状
態にある種菌容器装填部材14を２連にガイド部材15上に
連接して配置する構造としたが、レール状のガイド部材
15の長さを延ばしさらに多くの種菌容器装填部材14をセ
ット可能に設けてもよく、あるいは種菌容器装填部材14
を搬入機構を別途追加してもよいものであり、またコン
テナに収納する栽培容器の大きさによって横列単位の個
数が３個あるいは５個等のように異なる場合もあるが、
コンテナ内の横列単位の個数に合わせて種菌容器装填部
材に設ける装着孔の数を設定すればよい。

【００４９】また本発明は上述した実施例に限定される
ものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形
実施が可能であり、たとえば種菌容器装填部材14を略平
板状に形成しているが、種菌容器の形状・大きさに合わ
せて枠状とした種菌容器装填部材を形成してもよく、ま
たガイド部材をレール状としたものを実施例としていた
が、たとえば複数のローラを並列してガイド部材を構成
してもよい。

【００５０】また種菌の掻き出し位置に種菌容器装填部
材を固定支持する位置規制部材として実施例では位置決
めシャフトと嵌合孔との挿入によって位置の割り出しを
行っていたが、前記嵌合孔に変えて溝部や凹みでもよ
く、また位置決めシャフトを種菌容器を押圧支持する支
持板に取り付け、その支持板から下方に向けて突き出し
配設していたが、接種装置の本体フレーム側に個別に設
けた位置決めピンによって種菌容器装填部材を位置決め
固定するようにしてもよい。

【００５１】なお、空となった種菌容器を装填していた
種菌容器装填部材をガイド部材の傾斜面に沿って送り出
す際、実施例では種菌容器装填部材の送り出し量とし
て、ガイド部材に設けられたストッパー部と種菌接種位
置に支持されている種菌容器装填部材の送り出し側端面
位置との寸法間隔を、種菌容器装填部材の送り出し方向
である奥行き寸法にほぼ合わせることにより、ガイド部
材に沿って順次種菌容器装填部材を滑動移行できるよう
に構成しているが、ストッパー部を固定的に設けること
なく、レール状のガイド部材に対して出没可能に設け、
空となった種菌容器を装填した種菌容器装填部材の送り
出し停止と搬出作動とを同時に行うように構成してもよ
い。

【００５２】

【発明の効果】本発明は、栽培容器群を複数列に整列し
て収納したコンテナを横列単位で間欠移送すると共に、
栽培容器群の蓋を横列単位で開閉し、この蓋の開放時に
その列単位で種菌を充填する種菌接種装置において、種
菌容器の首部側を逆さに装着する装着孔を備えた種菌容
器装填部材と、この種菌容器装填部材をその自重にて滑
動可能に案内するガイド部材と、前記種菌容器内の種菌
を掻き出す掻出部材と、この掻出部材位置に対応する種
菌容器から種菌の掻き出し位置で前記種菌容器装填部材
を前記ガイド部材上に固定支持する位置規制部材とを備
えることにより、前記種菌容器装填部材のそれぞれの装
着孔に種菌の充填されている種菌容器を逆さにして装着
してセットし、このセット状態の種菌容器装填部材を１
つのユニットとして前記ガイド部材上に載せるだけで簡
単に供給できると共に、前記位置規制部材によって固定
支持された種菌容器装填部材と次に待機する種菌容器を
セットした種菌容器装填部材とを前記ガイド部材上に順
次連接状態に配設することが可能となり、これにより種
菌容器内の種菌が空となった際に前記位置規制部材を開
放作動することにより空になった種菌容器を装填してい
た前記種菌容器装填部材がガイド部材上で滑動移行し、
これと同時に次に待機している種菌容器装填部材がガイ
ド部材に沿って種菌の掻き出し位置まで滑動移行するこ
ととなり、待機状態であった種菌が充填されている適宜
数の種菌容器と空になった適宜数の種菌容器との切り換
え交換作動を簡便に行うことができ、この種菌容器の切
り換え作動の間に空になったそれぞれの種菌容器が装填
された種菌容器装填部材をそのユニット毎ガイド部材上
から簡単に取り外すことができ、従来装置のように種菌
容器を１個毎交換する必要もないため、作業能率を高め
ることのできる種菌接種装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す種菌接種装置の全体構
成を示す概要斜視図である。

【図２】本発明の一実施例を示す種菌接種装置の主要側
面図である。

【図３】本発明の一実施例の種菌接種装置に備え付けら
れた種菌容器切り換え機構の主要部を示す斜視図であ
る。

【図４】本発明の一実施例の種菌接種装置に備え付けら
れた種菌容器切り換え機構を主体に示した平面図であ
る。

【図５】図４の要部である種菌容器および種菌容器装填
部材のセット状態を部分断面で示した要図の正面図であ
る。

【図６】図５の種菌容器および種菌容器装填部材の開放
状態を部分断面で示した要部の正面図である。

【符号の説明】

１ 本体フレーム ５ 蓋 ６ 栽培容器 ７ コンテナ ９ 蓋開閉装置 10 種菌容器 10Ａ 首部 10Ｂ 底部 11 種菌 12 種菌充填装置 13 装着孔 14 種菌容器装填部材 15 ガイド部材 15Ａ ガイド板 15Ｂ ストッパー部 16 支柱 17 エアシリンダ 18 支持部材 20 回転軸 21 押圧プレート 22 弾性部材 23 押圧支持部材 24 モータ28 種菌容器回転駆動部材 29 位置決めシャフト 30 嵌合孔 31 位置規制部材 34 掻出棒（掻取部材） 34Ａ 掻出刃（掻取部材） 35 モータ 37 プレート 38 雌螺子筒 39 螺子棒 41 モータ 42 種菌案内筒 43 シャッタ 44 種菌供給筒 45 シリンダ

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 栽培容器群を複数列に整列して収納した
   コンテナを横列単位で間欠移送すると共に、栽培容器群
   の蓋を横列単位で開閉し、この蓋の開放時にその列単位
   で種菌を充填する種菌接種装置において、種菌容器の首
   部側を逆さに装着する装着孔を備えた種菌容器装填部材
   と、この種菌容器装填部材をその自重にて滑動可能に案
   内するガイド部材と、前記種菌容器内の種菌を掻き出す
   掻出部材と、この掻出部材位置に対応する種菌容器から
   種菌の掻き出し位置で前記種菌容器装填部材を前記ガイ
   ド部材上に固定支持する位置規制部材とを備えたことを
   特徴とする種菌接種装置。
2. 【請求項２】 前記種菌容器装填部材には、前記栽培容
   器の横列単位の個数に合わせて同数の装着孔を設けたこ
   とを特徴とする請求項１記載の種菌接種装置。
3. 【請求項３】 前記ガイド部材には、前記種菌容器装填
   部材が滑動可能に所定角度傾斜して設けたことを特徴と
   する請求項１または請求項２記載の種菌接種装置。
4. 【請求項４】 前記位置規制部材は、前記種菌容器装填
   部材に対して接離可能に設けたことを特徴とする請求項
   １から請求項３に記載の種菌接種装置。
5. 【請求項５】 前記位置規制部材と同期して、押圧支持
   部材によって逆さに装着された前記種菌容器の底部を押
   圧解放可能に設けたことを特徴とする請求項１から請求
   項４に記載の種菌接種装置。
6. 【請求項６】 前記ガイド部材には、前記位置規制部材
   によって前記ガイド部材上に固定支持される前記種菌容
   器装填部材に加え、種菌容器を各々装着した待機状態の
   種菌容器装填部材を載置可能に設けたことを特徴とする
   請求項１から請求項５に記載の種菌接種装置。