JPH0645234Y2 - 車両の固定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 この考案は、車両を、その試験装置等の上に固定して載
置する固定装置に関する。

B.考案の概要 本考案は、車両を、その試験装置等の上に固定して載置
する固定装置において、 車体の四隅対応各位置に固定機を配置し、この固定機に
枢着した支持体部を油圧シリンダで移動操作するよう構
成することにより、 車体の四隅対応位置に支持体部の弾性支持体を圧着して
弾性的に固定するようにしたものである。

C.従来の技術 近時、自動車の多様化に伴い、その安全性又は排ガス試
験やその他の試験を安定した試験条件で、迅速かつ省力
化して行うことが求められており、シャーシーダイナモ
メータ等の各種の試験装置が広く用いられている。

従来、例えば、シャーシーダイナモメータで二輪駆動又
は四輪駆動の自動車の試験を行う場合には、第５図乃至
第７図に例示するように、自動車の車体１をシャーシー
ダイナモメータ上の所定位置に固定して行わねばならな
い。

例えば、二輪駆動の自動車を、シャーシーダイナモメー
タ上に固定するには、第５図に示すように、自動車の後
輪２が、シャーシーダイナモメータのローラ３上に乗る
ように位置合せし、この状態で、前輪４と床の間に三角
台状の車止め５を差し込んで固定し、この車止め５に取
付けたＹ形フック６を前輪４に巻掛けて種々の方向の力
に対応するよう強固に固定するようにしたものがあっ
た。

また、四輪駆動の自動車をシャーシーダイナモメータ上
に固定するには、例えば第６図及び第７図に示すよう
に、前輪４と後輪２とがそれぞれ各ローラ3,7上に乗る
ように位置合せし、この状態で車体１の四隅に設けたフ
ック８と、試験場の床に固定して設置した４つのポール
９との間にそれぞれチェーンブロック10を介してチェー
ン11を張架し、強固に固定するようにしたものがあっ
た。

D.考案が解決しようとする課題 上述のように二輪駆動車を固定する場合には、作業者が
前輪４に車止め５と、Ｙ形フック６とを取り付け固定す
る作業が繁雑で時間がかかる。また四輪駆動車を固定す
る場合には、作業者が４つのフック８と４つのポール９
との間に４本のチェーンブロック10付チェーン11を張架
する作業が繁雑で時間がかかり、いずれも作業者が悪い
という問題があった。

また、車止め５とＹ形フック６を用いた固定手段又はチ
ェーンブロック10付チェーン11を用いた固定手段のいず
れかによっても、車体１をリジットに近い状態で固定す
るので、車体１の振動等も抑制されてしまうから、これ
らのような固定手段は、車体振動の計測に悪影響を及ぼ
すという問題があった。

本考案は上述の点に鑑み、種々の構造の車両にも対応
し、また、車両の固定及び解放作業を容易かつ迅速に実
行でき、しかも、車体振動の計測にも悪影響を及ぼさな
いよう適切に車体を固定できる車両の固定装置を新たに
提供することを目的とする。

E.課題を解決するための手段 本考案の車両の固定装置は、車体の四隅の対応位置に固
定機を配置し、この固定機を、揺動可能に枢着した弾性
支持体をもつ支持体部と、この支持体部を揺動操作する
ための油圧シリンダとで構成したことを特徴とする。

F.作用 上述のように構成することにより、油圧シリンダをリモ
ートコントロールして、支持体部を揺動し、その弾性支
持体が、車体隅部に圧着してエアクッションにより実際
の走行状態と同様に支持するようにするとともに、この
支持体部を揺動して車体から離間し、支持を解除するよ
うにするという作用を奏する。

G.実施例 以下本考案の車両の固定装置の一実施例を第１図乃至第
４図によって説明する。なお、この第１図乃至第４図に
おいて、第５図乃至第７図に対応する部分には同一符号
を附すこととし、説明の便に供する。

第１図は本例装置の全体平面図で、１は車体、12は固定
機である。

この固定機12は、車体１の四隅で、前後のバンパの両端
角部に対応して、４組配置される。

さらに、この固定機12は、各種の車体１の全長の相異に
対応させるようにする。このため、車体１のホイールべ
ース長に対応し、シャーシダイナモメータの移動側ロー
ラ３を移動し、その固定側ローラ７との間隔を調整する
機構に連動して、車体１の後部に対応する一対の固定機
12を移動するように構成する。

固定機12は、第３図及び第４図に示すように構成するも
ので、略三角形状の箱体13の内に、油圧シリンダ14と支
持体部15とを収納可能に設置する。

すなわち、箱体13の図に向かって左側部に立設した軸棒
16に支持体部15の一端部を枢着する。

そして、箱体13の図に向かって右奥部に立設した軸棒17
に油圧シリンダ14のシリンダ部18の端部を枢着し、かつ
そのロッド19の自由端部を、支持体部15の背側中央部に
軸ピン20で枢着し、設置するものである。

この支持体部15は、少し屈曲した筒状体の前面部を大き
く切欠して開口部21aを形成した収納枠21と、その内部
に収納設置する弾性支持体22とより成る。

この弾性支持体22は、本例では第４図に例示するよう
に、内部に多数のエアボール23を収容した直方体状のエ
アバッグである。

そして、この弾性支持体22は、支持体部15の内部にあっ
て、その両端部を支持体部15の両横凹部に支持され、そ
の中間の約半分位いの部位を開口部21aから外部に覗か
せた状態に設置する。

また、油圧シリンダ14は、図示しない油圧制御操作装置
で駆動制御されるように構成する。

次に、上述のように構成した本例装置の使用法及び作動
を説明する。

まず、測定対象となる車体１のホイールベース長に対応
して、シャーシダイナモメータの移動側ローラ３を、例
えば、二点鎖線位置から実線位置まで移動して、その固
定側ローラ７との距離を調整する。

次に、第３図に二点鎖線で示すように、油圧制御操作装
置をリモートコントロールすることにより、各固定機12
の箱体13の中に支持体部15を収納し、シャーシダイナモ
メータの車両速行路を開ける。

そして、車体１をシャーシダイナモメータ上に移動し、
その前輪４をローラ７上にのせ、その後輪２をローラ３
上にのせ、位置決めする。

次に、図示しない油圧制御操作装置を操作して４つの固
定機12の油圧シリンダ14を駆動し、そのロッド19を延出
して、それぞれの支持体部15を、第１図に示すように、
車体１の四隅のバンパ角部部分に圧着し、固定する。

この状態では、車体１をその四隅から弾性支持体で、適
度なエアークッションをもって油圧シリンダ14に支持さ
れることになる。従って、試験中、車体１に生ずる前
後，左右，上下方向の振動を、このエアークッション効
果で、この車体１が実際に走行しているときと略同等の
状態にして計測を可能とする。

また、弾性支持体22を構成するエアーバック内のエアボ
ール23が二、三破損したような場合でも、その他の多数
のエアボール23によって支持されるので、車体の固定力
が低下するのを最小限に押さえ、安全性を十分に確保す
ることができるものである。

次に、計測終了後、車体１を解放する場合には、図示し
ない油圧制御操作装置をリモートコントロールすること
により、各固定機12の箱体13の中に支持体部15を収納
し、シャーシダイナモメータの車両速行路を開ける。そ
して、車体１を外部に移動するものである。

H.考案の効果 以上詳述したよように、本考案の車両の固定装置によれ
ば、車体の四隅対応各位置に固定機を配置し、この固定
機の油圧シリンダを油圧制御操作装置で操作することに
より、支持体部の弾性支持体を車体の角部に圧着するよ
うに移動して支持し、又は支持体部を引き離すよう移動
して解放するようにしたので、車体を試験装置等の所定
位置に固定し、又は解放する作業をリモートコントロー
ルによる簡易かつ迅速な操作で実行可能とするという効
果を有する。

また、車体の四隅を弾性支持体のエアークッションで支
持するので、車両を実際の走行と略同等の車体挙動状態
で、車体振動の計測を可能とするという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の車両の固定装置の一実施例を示す概略
平面図、第２図はその概略側面図、第３図はその固定機
部分の拡大一部断面図、第４図はその弾性支持体を取り
出して示す概略斜視図、第５図は従来の二輪駆動車の固
定手段の一例を示す概略側面図、第６図は従来の四輪駆
動車等のチェーンを用いて車体を固定する手段の一例を
示す概略平面図、第７図はその概略側面図である。 １……車体、12……固定機、14……油圧シリンダ、15…
…支持体部、22……弾性支持体、23……エアボール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体の四隅の対応位置に固定機を配置し、
   当該固定機を、弾性支持体を設けた支持体部を揺動可能
   に枢着し、上記弾性支持体が前記車体隅部に圧着する位
   置と、離間する位置との間を揺動せしめる油圧シリンダ
   を設置して構成したことを特徴とする車両の固定装置。