JPH0643861B2 - トルクコンバ−タ用のダンパ−装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、エンジンの振動を防止するトルクコンバータ
用のダンパー装置に関するものである。

（従来技術及びその問題点） トルクコンバータはタービン、ポンプ、ステータの間を
流れる作動油がダンパーとして働き、駆動伝達系に対し
ては大きな制振機能を備えているが、加振源としてのエ
ンジンに対してはフライホイールの慣性質量が不足する
ため、低周波領域において、トルク変動に起因する車体
振動、騒音等が発生するという問題がある。特に、低回
転域までロックアップ作動させる場合にその影響は大き
い。

（発明の目的） 本発明は、トルクコンバータを備えた場合に低回転域で
エンジンに発生する振動を防止できるとともに、高回転
域においては、遠心クラッチをロックアップすることに
より、駆動伝達系に発生する振動を防止することができ
るトルクコンバータ用のダンパー装置を提供することを
目的としている。

（発明の構成） （１）技術的手段 本発明は、トルクコンバータ１４のポンプ２０とフライ
ホイール１０を接続しタービン２２を覆う動力入力用の
フロントカバー１６とタービン２２との間に配置され、
フロントカバー１６とタービン軸４１を直結するロック
アップクラッチにおいて、フロントカバー１６とタービ
ン２２との間にドラム形をなす所定の質量の環状ウエイ
ト４６をフロントカバー１６に対してベアリング４３を
介して回転自在に設け、環状ウエイト４６をフロントカ
バー１６にトーションスプリング５８を介して連結する
弾性連結機構４８を設け、前記環状ウエイト４６とター
ビン２２との間に両者を所定回転数以上で一体化する遠
心クラッチ５０を介装したことを特徴とするトルクコン
バータ用のダンパー装置である。

（２）（作用） 環状ウエイトはフロントカバーに弾性連結機構のばね力
で浮動支持され、エンジンの振動を防止する。

遠心クラッチが環状ウエイトとタービンとを連結する状
態ではトルクコンバータはロックアップされる。

（実施例） 本発明を採用した３要素のトルクコンバータを示す第１
図（上半分だけを図示）において、１０はエンジンのフ
ライホイールである。このフライホイール１０の外周部
にはリングギャ１２が固着している。フライホイール１
０にはトルクコンバータ１４のフロントカバー１６がボ
ルト１８で固定されている。

フロントカバー１６はポンプ２０に固着され、ポンプ２
０に対向してタービン２２が設けられている。ポンプ２
０とタービン２２の間にはステータ２４が配置されてい
る。

タービン２２とフロントカバー１６との間には、フライ
ホイール１０の制振とトルクコンバータ１４のロックア
ップ機能を果すダンパー装置２８が設けられている。

このダンパー装置２８は、ディスク４４、環状ウエイト
４６、弾性連結機構４８、遠心クラッチ５０等から構成
されている。

フロントカバー１６の内周部にはベアリング４３を介し
て環状ウエイト４６に繋がる環状プレート４５が回転自
在に設けられている。環状プレート４５の外周部には所
定の質量Ｉｄに設定された環状ウエイト４６が固定され
ている。環状ウエイト４６は、断面形状が略逆Ｌ字形を
なし、内周面が円筒状のドラム面４７になっている。こ
の環状ウエイト４６が配置されている部分はタービン２
２の外面が湾曲しているので比較的スペースに余裕があ
る。

フロントカバー１６の中間部には２枚のサイドプレート
５２、５４が固着されており、サイドプレート５２、５
４と前記プレート４５との間にトーションスプリング５
８が介装されている。これらのプレート５２、５４、４
５、トーションスプリング５８等で弾性連結機構４８が
構成されている。

略環状をなすディスク４４は、弾性連結機構４８とター
ビン２２との間に配置され、内周部でタービン２２のハ
ブ４０に固定している。ディスク４４の外周部にはリタ
ーンスプリング７０を有する遠心クラッチ５０が設けら
れている。遠心クラッチ５０のシューが遠心力に応じて
断続自在に設けられている。なお、この遠心クラッチ５
０については、本件出願人による特開昭６１−１８００
３０号に詳しく記載されている。

ステータ２４はワンウェイクラッチ６０を介して固定筒
軸６２に連結している。

以上のような第１図の構造をモデル化した第２図（機械
回路図）に示すように、フロントカバー１６を介してフ
ライホイール１０に繋がるポンプ２０とタービン軸４１
に繋がるタービン２２の間には作動油によるダンパー６
４が働いており、作動油慣性質量及びステータ２４の慣
性質量を示す符号２４′の両側にもダンパー６６、６８
が働いている。

また、フロントカバー１６とタービン２２との間は、環
状ウエイト４６が配置されている。この環状ウエイト４
６とフロントカバー１６との間には弾性連結機構４８の
トーションスプリング５８が介装されており、環状ウエ
イト４６とタービン２２との間には遠心クラッチ５０が
介装されている。

弾性連結機構４８のトーションスプリング５８のばね力
および環状ウエイト４６の質量Ｉｄは、フライホイール
１０の変動変位をΘＥとし、エンジンのトルク変動をＴ
Ｅとした時に、エンジン回転Ｒに対する｜ΘＥ／ＴＥ｜
の値の変化を表す第３図に示すように、ダンパー装置２
８がない場合の特性Ｘから特性Ｘｐ１にフライホイール
１０に発生する振動を低減する（制振作用）ように設定
されている。

次に作用を説明する。エンジンの回転数に拘らず、環状
ウエイト４６はトーションスプリング５８で浮動支持さ
れているので、常に環状ウエイト６の質量Ｉｄがフライ
ホイール１０の振動を減衰する慣性質量として働き、例
えばアイドリング時等のエンジンのトルク変動が比較的
大きな状態で、フライホイール１０に発生する回転振動
を減衰する。

また、高速走行時等の特定の高周波数域でトルクコンバ
ータ１４に繋がる駆動伝達系では捩り共振に起因するこ
もり音等が発生し易いが、タービン軸４１に遠心クラッ
チ５０で連結するダンパー装置２８で防止する。このダ
ンパー装置２８は環状ウエイト４６による慣性抵抗で回
転変動を押さえる。

環状ウエイト４６のタービン軸４１への連結、切断は、
遠心クラッチ５０で制御される。

（発明の効果） 環状ウエイト４６は遠心クラッチ５０が切断されている
エンジン回転数域では、トーションスプリング５８で浮
動支持されているので、環状ウエイト４６の質量Ｉｄが
フライホイール１０の振動を減衰する慣性質量として働
き、例えばアイドリング時等のエンジンのトルク変動が
比較的大きな状態でも、フライホイール１０に発生する
回転振動を直接に減衰することができる。

またロックアップ時、高速走行時等の特定の高周波数域
でトルクコンバータ１４に繋がる駆動伝達系では捩り共
振に起因するこもり音等が発生し易いが、駆動伝達系の
こもり音をタービン軸４１に連結するダンパー装置２８
の環状ウエイト４６で防止できる。

しかも、環状ウエイト４６は弾性連結機構４８のトーシ
ョンスプリング５８のばね力で浮動支持されているの
で、制振効果が一層向上する。

また、遠心クラッチ５０を高負荷時に適度な滑りを発生
するように調整すれば、低速高負荷時の過渡的負荷に対
しては振動を遮断し、比較的負荷の小さな定常走行時に
はロックアップ作動で燃費を低減することができる。

（別の実施例） （１）本発明は、以上の１実施例にように３要素のトル
クコンバータに限らず、４要素等の他のトルクコンバー
タにも適用できる。

（２）また、第４図に示すように、フロントカバー１６
に膨脹部８０を形成して、この膨脹部８０で生まれるス
ペースに弾性連結機構４８のトーションスプリング５８
を配置してもよいし、遠心クラッチ５０をタービン２２
の外周部に直接に連結することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を採用したトルクコンバータの縦断面略
図、第２図は第１図の構造をモデル化した構造略図、第
３図はダンパー装置の制振特性を示すグラフ、第４図は
別の実施例を示す縦断面略図である。 １０……フライホイール、１４……トルクコンバータ、
１６……フロントカバー、２０……ポンプ、２２……タ
ービン、２８……ダンパー装置、４８……弾性連結機
構、５０……遠心クラッチ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トルクコンバータ１４のポンプ２０とフラ
   イホイール１０を接続しタービン２２を覆う動力入力用
   のフロントカバー１６とタービン２２との間に配置さ
   れ、フロントカバー１６とタービン軸４１を直結するロ
   ックアップクラッチにおいて、フロントカバー１６とタ
   ービン２２との間にドラム形をなす所定の質量の環状ウ
   エイト４６をフロントカバー１６に対してベアリング４
   ３を介して回転自在に設け、環状ウエイト４６をフロン
   トカバー１６にトーションスプリング５８を介して連結
   する弾性連結機構４８を設け、前記環状ウエイト４６と
   タービン２２との間に両者を所定回転数以上で一体化す
   る遠心クラッチ５０を介装したことを特徴とするトルク
   コンバータ用のダンパー装置。