JPH0643717Y2 - シャシーダイナモメータに使用するフライホイールの軸受装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 この考案はシャシーダイナモメータに使用するフライホ
イールの軸受装置に関する。

B.考案の概要 この考案はフライホイールの軸受装置において、フライ
ホイールを回転自在に支承する一対の軸受のうち、フラ
イホイールに挾まれる軸受を積層構成としたことによ
り、 フライホイール装置の軸方向長が短縮でき、これによ
り、ねじり定数が上がり、共振が生じなくなるとともに
高速回転が可能となるようにしたものである。

C.従来の技術 自動車の性能試験（走行抵抗、登降板、車重など）に使
用されるシャシーダイナモメータは実路上での走行に相
当する実験を室内で再現性よく、容易に実施できるか
ら、排ガス特性や、燃料消費特性の試験などに広く利用
されている。しかし、その利用にあたっては車重の慣性
量をはじめ、管理しなければならない事項が多く、従っ
てこの管理が不適当であると満足なシミュレーションが
できない。この要因の一つに慣性模擬がある。この慣性
模擬にはシャシーダイナモメータのローラ装置にフライ
ホイール（FW）を連結して使用する手段がある。

第３図はフライホイール装置の従来例を示す構成図で、
第３図において、１は図示しないローラ装置に連結され
る回転軸で、この回転軸１は軸支持用軸受２により支承
される。この軸受２は回転軸１の両端に配設されるが、
図においては一方を省略している。軸受２は通常、前述
のように両端に１個づつ配設されるが、フライホイール
（FW）の数が多くなると３個は必要となる。３はFWで、
このFW3はFW取付部材４に固定される。FW取付部材４はF
W支持用軸受5,6により支承される。FW取付部材４はスプ
ライン式クラッチ７により回転軸１に結合される。８は
基台で、この基台８には各軸受2,5,6の支持台9,10,11が
固着されている。

D.考案が解決しようとする課題 第３図に示すフライホイール装置において、FW3の数が
多くなると、FWにはそれぞれFW支持用軸受とクラッチが
設けられるため、フライホイール装置の軸方向長さが長
くなる。このため、シャシーダイナモメータの全体長が
大幅に長くなってしまう。

また、フライホイール装置の軸方向長さが長くなると、
ねじり定数が上がり、特に加減速度の大きい時の過渡状
態にフライホイールが共振を起すおそれがある。

この考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、フライ
ホイール装置の軸方向長さを短縮できるようにするとと
もにフライホイールに共振が発生しないようにしたシャ
シーダイナモメータに使用するフライホイールの軸受装
置を提供することを目的とする。

E.課題を解決するための手段 この考案は車両の駆動輪をローラ装置に載置させるとと
もに、このローラ装置にクラッチにより必要数選択可能
な複数のフライホイールを連結させて車両の性能試験を
行うシャシーダイナモメータにおいて、 前記フライホイールを回転自在に支承する一対の軸受の
うち、フライホイールに挾まれる軸受を積層構成とした
ことを特徴とするものである。

F.作用 フライホイールに挾まれる軸受を積層構成として、フラ
イホイール間の間隔を狭まめて装置の軸方向長さを短縮
させる。

G.実施例 以下この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図において、20は図示しないローラ装置の回転軸に
連結されたフライホイール装置の回転軸で、この回転軸
20は軸支持用軸受21で回転自在に支承される。22,23は
第1,第２フライホイールで、第1,第２フライホイール2
2,23は回転軸20に嵌め込まれ、回転軸20と第1,第２フラ
イホイール22,23の間に介在された円筒状の第1,第２フ
ライホイール取付部材24,25に固着される。第１フライ
ホイール取付部材24は大径円筒部24aと小径円筒部24bか
ら構成され、小径円筒部24bの外周部に第１フライホイ
ール22が固着される。この第１フライホイール22を挾ん
で第１フライホイール取付部材24の大径円筒部24aの外
周部と小径円筒部24bの外周部にフライホイール支持軸
受26a,26bを設けて、第１フライホイール22を回転自在
に支承する。

前記第２フライホイール取付部材25の外周部にもフライ
ホイール支持軸受27a,27bを設けるが、軸受27aは前記第
１フライホイール取付部材24の大径円筒部24aの内周部
に固着する。

28,29はスプライン式のクラッチで、このクラッチ28,29
の接断により第1,第２フライホイール22,23と回転軸20
とが接続あるいは切り離されるように構成される。な
お、30,31,32,33は軸受21,26a,26b,27a,27bの支持台で
ある。なお、第１図には示さないが、第1,第２フライホ
イール22,23の近傍にはシリンダ式の回り止め装置が設
けられている。

上記実施例のように第1,第２フライホイール22,23を慣
性模擬として使用するにはクラッチ28,29をオン状態に
すると、回転軸20の回転はクラッチ28,29を介して第1,
第２フライホイール22,23に伝達される。第1,第２フラ
イホイール22,23はフライホイール支持軸受26a,26bと27
a,27bで支承されて回転される。なお、クラッチ28,29の
どちらか一方をオフ状態にすると、一方のフライホイー
ルだけの慣性模擬が可能となる。

上記のようにフライホイール支持軸受26b,27aを積層構
成しても何ら支障なくフライホイールを動作させること
ができる。

第２図はこの考案の他の実施例を示す断面図で、第２図
はフライホイールを多数並設する場合のものである。第
２図において、各フライホイール40a〜40dはそれぞれ単
独で運転可能のように複数の電磁クラッチ41a〜41cがフ
ライホイール取付部材42a〜42dに設けるように構成した
ものである。電磁クラッチ41a〜41cへの通電は回転軸20
に設けたスリップリング43からリード線44を回転軸20に
穿設した孔を通して行う。

この第２図のような場合もフライホイールで挾まれるフ
ライホイール支持軸受45b,46aや46b,47a等は積層構造に
構成される。なお、45a,45b〜48a,48bはフライホイール
支持軸受である。

上記第２図に示すように複数のフライホイールの場合に
は軸方向長さが大幅に短縮させることができる。

H.考案の効果 以上述べたように、この考案によれば、フライホイール
用軸受をフライホイールに挾まれる軸受を積層構成とし
たので、フライホイール装置の軸方向長さを短縮するこ
とができるとともに、ねじり定数が向上して共振が生じ
なくなる。また、軸方向長さの短縮により、高速回転が
可能となるとともにローラ径の小さいものでも対応でき
るようになる。さらに歯車を用いることによりフライホ
イール装置の小型化が可能となる等種々の優れた効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す上部を断面した正面
図、第２図はこの考案の他の実施例を示す断面図、第３
図は従来例を示す上部を断面した正面図である。 20…回転軸、22,23…第1,第２フライホイール、24,25…
第1,第２フライホイール取付部材、26a,26b,27a,27b…
フライホイール支持軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の駆動輪をローラ装置に載置させると
   ともに、このローラ装置にクラッチにより必要数選択可
   能な複数のフライホイールを連結させて車両の性能試験
   を行うシャシーダイナモメータにおいて、 前記フライホイールを回転自在に支承する一対の軸受の
   うち、フライホイールに挾まれる軸受を積層構成とした
   ことを特徴とするシャシーダイナモメータに使用するフ
   ライホイールの軸受装置。