JP2522714Y2 - シャシーダイナモメータ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案は、シャシーダイナモメータ装置におけるロー
ラとフライホイールとの間のクラッチの改良構造に関す
る。

B.考案の概要 本考案は、ローラとフライホイールとをクラッチで接
続解離するようにしたシャシーダイナモメータ装置にお
いて、 回転軸に設けた外歯車と、回転軸に軸着したフライホ
イールの被動外歯車と、固定静止した固定外歯車とを並
列して配置し、これらの外周部に配置する接続体に連動
用内歯車スライドと停止用内歯車スライドとを形成して
クラッチを構成することにより、 接続体を摺動操作して連動用内歯車スライドを外歯車
と被動外歯車とに噛合わせて回動するよう接続させ、又
は連動用内歯車スライドを被動外歯車に噛合わせ、外歯
車を逃げ部に逃し、停止用内歯車スライドを固定外歯車
に噛合わせて停止させるようにしたものである。

C.従来の技術 一般に、自動車の性能試験（走行抵抗、登降板、車重
など）に使用されるシャシーダイナモメータは実路上で
の走行に相当する実験を室内で再現性よく、容易に実施
できるから、排ガス特性や、燃料消費特性の試験などに
広く利用されている。しかし、その利用にあたっては車
重の慣性量をはじめ、管理しなければならない事項が多
く、従ってこの管理が不適当であると満足なシミュレー
ションができない。この要因の一つに車両の重量に関す
る慣性模擬がある。この慣性模擬には、シャシーダイナ
モメータのローラにフライホイール（FW）を連結して使
用する。

また、近年シャシーダイナモメータにツインローラ形
と称されるシャシーダイナモメータが使用されるように
なってきた。

このツインローラ形シャシーダイナモメータは、２つ
のローラの間に試験車両の車輪を載置させ、一方のロー
ラをダイナモメータに連結し、他方のローラにフライホ
イールを連結するようにしたものである。特に後者のロ
ーラをフリーローラと称している。このようなシャシー
ダイナモメータのうち、フライホイールが連結されるフ
リーローラ内にフライホイールを収納するものが提案さ
れている。

上述の如きツインローラ形シャシーダイナモメータで
重量を500kg〜2500kg模擬させるためには、固定機械慣
性量の最小を500kgとする。また、調整機械慣性量は、
ここでは、ツインローラ形シャシーダイナモメータを用
いるためその２つのフリーローラ内に各々フライホイー
ルを収める都合上、各々1000kg,500kg相当車重とする。

D.考案が解決しようとする課題 上述のような従来のシャシーダイナモメータにおける
慣性模擬の手段では、ツインローラ形シャシーダイナモ
メータの場合、フリーローラ内にフライホイールを、同
軸上に軸受を介して装着するものである。よって、軸受
の抵抗、及び空気抵抗によって、フライホイールと、そ
の駆動系とのクラッチが切離されている場合でも、フラ
イホイールがフリーローラまたは回転軸につれ回りして
メカロスの変化をきたす。このためシャシーダイナモメ
ータの慣性模擬が不安定となり、車両の試験精度を下げ
るという問題があった。

本考案は上述の点に鑑み、慣性模擬を安定して高精度
でできるようにし、正しい慣性模擬を行えるようにし
た、シャシーダイナモメータ装置を新たに提供すること
を目的とする。

E.課題を解決するための手段 本考案のシャシーダイナモメータ装置は、ローラに接
続して慣性模擬に利用するフライホイールを回転軸に軸
着し、フライホイールに一体に設けた被動軸を回転軸に
遊挿し、被動軸に設けた被動外歯車と、回転軸に設けた
外歯車と静止状態に固定した固定外歯車とを並列して配
置し、被動外歯車と外歯車に同時に噛合わされるととも
に摺動して外歯車から解離可能な連動用内歯車スライド
と、連動用内歯車スライドとの間に逃げ部を置いて配置
し固定外歯車に着脱可能な停止用内歯車スライドとを有
する接続体を配置して構成したことを特徴とする。

F.作用 上述のように構成することにより、フライホイールの
接続回動時には、接続体を摺動操作することにより、接
続体の連動用内歯車スライドを被動外歯車と外歯車に噛
合わせて連動させるとともに、その逃げ部に固定外歯車
を位置させて解離し、回転軸とフライホイールを一体に
回動するよう接続する。また、フライホイールの停止時
には、接続体を摺動操作することにより、連動用内歯車
スライドを被動外歯車に噛合わせた状態で、外歯車を解
離し、この外歯車を逃げ部に位置させて回動自由とす
る。これとともに、停止用内歯車スライドを固定外歯車
に噛合わせて固定することにより、接続体とともにフラ
イホイールを固定し、回転軸等の回転軸等の回動に伴っ
てフライホイールが連れ回りするのを防止するものであ
る。

G.実施例 以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図によって
説明する。

第１図はローラダイナモメータとロードローラおよび
一対のフリーローラが前後方向に一定間隔を隔て設けら
れたツインローラシャシーダイナモメータの一実施例を
示す平面図で、この第１図において、11a,11bはローラ
ダイナモメータとロードローラ、12a,12bは一対のフリ
ーローラである。試験車両の車輪はローラダイナモメー
タ11aとフリーローラ12aおよびロードローラ11bとフリ
ーローラ12bの間に載置される。ローラダイナモメータ
とロードローラ11a,11bは軸受13a,13bと14a,14bにより
支承され、ローラダイナモメータ11aの回転軸とロード
ローラ11bの回転軸は軸15により連結される。この軸15
で連結するとき、カップリング16,17を設けて連結す
る。カップリング17とロードローラ11bの回転軸との軸
には軸受18、後述するタイミングベルトを掛けるプーリ
ー19とブレーキ20がそれぞれ設けられる。

前記フリーローラ12a,12bは軸受21a,21bと22a,22bに
より支承され、フリーローラ12a,12b内を挿通されたフ
ライホイール取付用の回転軸23,37の間は次に示すよう
にして構成される。23はフライホイール38の回転軸で、
この回転軸23は第１クラッチ24を有し例えば250kgのフ
ライホイール25の一方の回転軸26と連動する。27は軸受
である。

フライホイール25の他方の回転軸は第２クラッチ28を
有し、軸29に連動する。軸29は第３クラッチ30を有し例
えば125kgのフライホイール31の一方の回転軸に連動す
る。フライホイール31の他の回転軸32は軸受33で支承さ
れており、第４クラッチ34を有する。35は回転軸32に装
着されたプーリーで、このプーリー35と前記プーリー19
との間にはタイミングベルト36が掛け渡されている。プ
ーリー19,35とタイミングベルト36はフライホイールの
増速作用を行う伝動装置である。前記第４クラッチ34に
はフライホイール39の回転軸37が連動される。なお、フ
リーローラ12a,12b内には予めフライホイール38,39が収
納されている。フライホイール38,39はそれぞれ1000kg
と500kgを用いる。46a,46bと47a,47bはフライホイール3
8と39に関する回転軸23と37の軸受である。なお、44,45
は軸受台である。

上述のフライホイール38,25,31,39用の回転軸23,29,3
2,37及びクラッチ24,28,30,34部分の詳細は、それぞれ
第２図及び第３図の要部拡大図に示す如く構成する。

第２図及び第３図に図示するものは、第３クラッチ30
側の構成である。図示するように回転軸29は、軸受33に
支受される。回転軸29に装着した軸受45を介して、フラ
イホイール31を回転軸29の回りに回動自在に軸着する。

回転軸29には、第３クラッチ30を構成すべき外歯車49
を設ける。

フライホイール31には、回転軸29に遊挿する筒状の被
動軸50を一体に設ける。被動軸50の自由端部外周には、
被動外歯車51を一体構成する。

回転軸29の外歯車49近くには、筒体52を遊挿する。筒
体52の端部外周には、外歯車49に近接して、固定外歯車
53を一体構成する。

筒体52は、枠体43の所定位置に立設した支柱54の先端
部に固着して設置する。

上述のように設置した外歯車49,被動外歯車51、及び
固定外歯車53は、並列に並んだ状態にあり、これらの歯
車には、接続体55の連動用内歯車スライド56と停止用内
歯車スライド57とを摺動自在、かつ着脱可能に装着す
る。すなわち、被動外歯車51に対しては、連動用内歯車
スライド56をその歯幅内を摺動自在となるように噛合わ
せる。外歯車49に対しては、連動用内歯車スライド56を
摺動かつ着脱可能に噛合わせる。また、接続体55の内周
部に、連動用内歯車スライド56と、凹部である逃げ部58
を置いて設けた停止用内歯車スライド57は、固定外歯車
53に、摺動かつ着脱可能に噛合わせる。

前記ローラダイナモメータ11aは図示省略するけれど
も、中央部には固定子鉄心が設けられ、固定子鉄心の外
周には回転子鉄心が配設されて構成されている。回転子
鉄心はローラダイナモメータ11aを構成するローラ本体4
0の内周面に取り付けられる。前記固定子鉄心はローラ
本体40の内部に設けられた揺動軸受41,42に支承され
る。43はシャシーダイナモメータを収納する部屋を構成
する枠体である。なお、図示しないがローラダイナモメ
ータは外部からの制御信号で駆動されるようになってい
るとともに得られた計測データも図示しないが計測器に
表示されるように構成されている。

次に上記のように構成された実施例の動作について述
べる。通常の車両試験においては第１〜第４クラッチ2
4,28,30,34は切っておく。車両の車重に対する慣性量が
足りない場合、その不足した慣性量を補うために、第１
〜第４クラッチ24,28,30,34の各クラッチを接続して、
慣性量に加算させれば極めて車重に近い慣性量とする試
験を行うことができるようになる。

まず、図示する第３クラッチ30の場合について説明す
る。第３クラッチ30を接続する場合には、接続体55を軸
線方向に移動して、その連動用内歯車スライド56を、被
動外歯車51と外歯車49とに同時に噛合わせる。この状態
では、固定外歯車53と停止用内歯車スライド57とは解離
された状態にあり、固定外歯車53は、連動用内歯車スラ
イド56と停止用内歯車スライド57との間の逃げ部58内に
無接触状態におかれる。

よって、上述の第３クラッチ30の接続状態では、回転
軸37と、接続体55と、被動軸50と一体のフライホイール
31とが一体に回動することになる。

このとき、回転軸29とフライホイール31とが、一体に
回動することから、軸受45は回動しないので、これによ
るメカロスを生じることはない。

次に第３クラッチ30を切離す場合には、接続体55を第
２図に示す状態から、第３図に示す状態となるよう軸線
方向に移動する。これにより、第３図に示す如く、連動
用内歯車スライド56は、被動外歯車51上を噛合ったまま
摺動する。この動作により、連動用内歯車56は、外歯車
49から解離して回動自由となる。これとともに、停止用
内歯車スライド57は、固定外歯車53と噛合わさる。

この停止状態では、枠体43に支柱54を介して固定され
た固定外歯車53によって、接続体55が静止状態にされる
ので、これと噛合わせて一体に接続されたフライホイー
ル31も静止状態を保つ。

よって、回転軸29が回動しても、フライホイール31自
体が、これらに連れ回りすることを防止できるものであ
る。

なお、第２クラッチ28の操作は、この第２クラッチ28
が第３クラッチ30と左右対称の構成であるから、その接
続体55の移動操作方向を逆にすることにより、第３クラ
ッチ30の場合と同様に動作させることができるものであ
る。

また、第１クラッチ24、第２クラッチ28、第３クラッ
チ30、及び第４クラッチ34の各々を接続した場合には、
タイミングベルト36を介してローラダイナモメータ11a
の回転がフライホイール25,31,38,39に伝達されるた
め、例えばプーリー19と35の直径の比を2:1に設定した
ときにはプーリー35はプーリー19より約２倍近い速度で
回転し、各フライホイール25,31,38,39も、プーリー19
と同期して回動することになる。

このため、フライホイール25,31,38,39は増速比の２
乗に反比例する原理からその重量は1/4でよいことにな
る。なお、フライホイールをフリーローラ12a,12bを連
結する軸上に設けたので、設置スペースの拡大にもなら
ない。

次に、本例装置において、車重1375kgの慣性模擬の設
定例について説明する。

この場合には、固定慣性を500kgとし、500kgのフライ
ホイール39と、250kgのフライホイール25と、125kgのフ
ライホイール31とに関する第２クラッチ28と、第３クラ
ッチ30と、第４クラッチ34とを接続して利用し、全体と
して総計1375kgの慣性模擬に対応させることができる。

H.考案の効果 以上詳述したように本考案のシャシーダイナモメータ
装置によれば、ローラに接続して慣性模擬に利用するフ
ライホイールを回転軸に軸着し、フライホイールに一体
に設けた被動軸を回転軸に遊挿し、被動軸に設けた被動
外歯車と、回転軸に設けた外歯車と静止状態に固定した
固定外歯車とを並列して配置し、被動外歯車と外歯車に
同時に噛合わさるとともに摺動して外歯車から解離可能
な連動用内歯車スライドと、連動用内歯車スライドとの
間に逃げ部を置いて配置した固定外歯車に着脱可能な停
止用内歯車スライドとを有する接続体を配置して構成し
たので、フライホイールの接続回動時には、接続体を摺
動操作することにより、接続体の連動用内歯車スライド
を被動外歯車と外歯車に噛合わせて連動させるととも
に、その逃げ部に固定外歯車を位置させて解離し、回転
軸とフライホイールを一体に回動するよう接続する。ま
た、フライホイールの停止時には、接続体を摺動操作す
ることにより、連動用内歯車スライドを被動外歯車に噛
合わさせた状態で、外歯車を解離し、この外歯車を逃げ
部に位置させて回動自由とする。これとともに、停止用
内歯車スライドを固定外歯車に噛合わせて固定すること
により、接続体とともにフライホイールを固定し、回転
軸等の回動に伴ってフライホイールが連れ回りすること
を防止できる。よって、フライホイールの連れ回りによ
るメカロスの変化を生じないため、シャシーダイナモメ
ータのトルク精度を良好に保てるので、再現性良く車両
の試験を行うことができるという効果がある。さらに、
ローラの軸部分に簡素な構造のクラッチを構成するの
で、全体としてコンパクト化を図ることができるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のシャシーダイナモメータ装置の一実施
例を示す全体平面図、第２図及び第３図はそれぞれの要
部の拡大縦断面図である。 11a…ローラダイナモメータ、11b…ロードローラ、12a,
12b…フリーローラ、23…回転軸、24…第１クラッチ、2
5…フライホイール、34…第４クラッチ、37…回転軸、3
9…フライホイール、49…外歯車、50…被動軸、51…被
動外歯車、53…固定外歯車、55…接続体、56…連動用内
歯車スライド、57…停止用内歯車スライド、58…逃げ
部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ローラにクラッチを介してフライホイール
   を接続し、慣性模擬をするシャシーダイナモメータ装置
   において、 回転軸に設けた外歯車と、当該回転軸に軸着したフライ
   ホイールに設けた被動外歯車と、当該回転軸の外周に設
   けられ静止状態に配置された固定外歯車と、を回転軸の
   軸方向に対して並列に配置し、 上記外歯車、被動外歯車および固定外歯車の外周部に
   は、軸方向に摺動可能なクラッチが配置され、 上記クラッチは、外歯車と被動外歯車とが接続されてい
   るときには、外歯車と固定外歯車とが解離され、固定外
   歯車と被動外歯車とが接続されているときには、外歯車
   と固定、被動外歯車とが解離されるように構成されたこ
   とを特徴とするシャシーダイナモメータ装置。