JPH0643422B2 - N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体、その製造法およびそれらを含有する除草剤および農園芸用殺菌剤 - Google Patents

N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体、その製造法およびそれらを含有する除草剤および農園芸用殺菌剤

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JPH0643422B2
JPH0643422B2 JP24268085A JP24268085A JPH0643422B2 JP H0643422 B2 JPH0643422 B2 JP H0643422B2 JP 24268085 A JP24268085 A JP 24268085A JP 24268085 A JP24268085 A JP 24268085A JP H0643422 B2 JPH0643422 B2 JP H0643422B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は一般式(I) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
わされるN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミ
ド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする水
田用除草剤および農園芸用殺菌剤に関するものである。
〔従来技術〕
従来より農園芸上有用なアミド誘導体は非常に多くの研
究がなされており、特徴ある生理活性を示す化合物が多
数見出され実用に供されている。例えば置換ベンズアミ
ド誘導体については、除草剤としてエチル−N−ベンゾ
イル−N−(3,4−ジクロロフェニル)−2−アミノ
プロピオネート(ベンゾイルプロップエチル)が、殺菌
剤として2−メチル−N−(3−イソプロポキシフェニ
ル)ベンズアミド(メプロニル)などが知られている。
またアミド置換アセトニトリル誘導体としては特開昭5
7−167978号、57−176938号および58
−69866号公報に除草剤および殺菌剤が開示されて
いる。その中で特開昭57−167978号公報におい
ては4−ピリジルカルボニルアミノアセトニトリル誘導
体が開示されているが弱い除草活性を示すことが記載さ
れているのみであり、殺菌剤としての活性についてはデ
ーターが記載されていない。
従来、水田用除草剤としてはアミド系化合物、チオール
カーバメート系化合物等多くの除草剤が開発され実用に
供されているが、まだまだその性能は十分とはいえな
い。アミド系化合物ブタクロールは田植前後に使用され
ているが、温度条件等により発生する稲に対する薬害が
常に問題となつている。チオールカーバメート系化合物
モリネートは魚毒性が問題となり使用規制されている。
またベンチオカーブは土壌の還元条件下における水稲に
対する薬害が問題となつている。ジフェニルエーテル系
化合物はブタクロール同様田植直後に使用されているも
のの、処理時期が遅れると極端に活性がおちる。
これらの除草剤はいずれもある一面では優れた性能を有
する故に現実には広く普及し、使用されているものであ
るが、次第に欠点および問題点が顕在化してきており、
新たなより使い易い優れた性能を有する水田用除草剤が
強く望まれている。
一方、農園芸用殺菌剤としては従来から様々の化学構造
を有する化合物が実用に供されているが、各種作物の疫
病およびべと病に対してはカプタホル、TPN、キャプ
タンあるいはジチオカーバメート系薬剤が広く一般に使
用され作物増産に寄与してきた。しかしこれらの化合物
はいずれも疫病およびべと病に対して予防的な効果が主
であり、治療的な効果は全く期待できない。その為、病
害の発生が認められたときには既に十分な効果が期待で
きないという大きな欠点を有している。現実に作物病害
防除の為の薬剤散布を考えると多かれ少かれ病害発生後
に散布することになり、これらの化合物では完全な病害
防除は困難である。また防除効果を示す化合物の濃度も
極めて高く、防除薬剤の安全使用からも問題視されてい
る。こうした点を改良すべく新たな防除剤の研究が鋭意
続けられ現在では治療効果にも優れた効果を示すN−フ
ェニルアラニンエステル誘導体、例えばメタラキシル
〔N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(2′−メ
トキシアセチル)アラニンメチルエステル〕等が開発さ
れ、世界的に実用に供されつつある。しかしこれらN−
フェニルアラニンエステル誘導体は既にその薬剤耐性菌
が出現し、これらの薬剤の防除効果の低下が問題視され
ている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上に記載した従来技術の欠点を克服し、水田用
除草剤および農園芸用殺菌剤として極めて優れた特性を
有する化合物、その製造法およびそれらを有効成分とす
る有害雑草防除剤並びに有害微生物防除剤を提供するこ
とを課題とする。
つまり、除草剤としては水田用として適期幅が広く、ま
た水稲に対する薬害も少く、魚毒性も低く、殺菌剤とし
ては各種作物の疫病、べと病等に対しては予防的、治療
的効果の両方を合わせもち、また各種作物の苗立枯病等
土壌病害に対しても優れた防除効果を有する適用範囲の
広い新規化合物、簡易で、かつ高収率なそれら新規化合
物の製造法およびそれらを含有する有用な農薬組成物を
提供することを課題とする。
〔課題を解決するための手段および作用〕
前記課題を解決するためニコチン酸アミド誘導体につい
て鋭意研究した結果、N−(α−シアノフルフリル)ニ
コチン酸アミド誘導体が、前記特許例示化合物から全く
予測することのできない生理活性を有するものであり、
水田用除草剤としては適期幅が広く、また水稲に対する
薬害も少なく魚毒性も低く、一方殺菌剤としては各種作
物の疫病、べと病等に対しては予防的、治療的効果の両
方を合せもち、また各種作物の苗立枯病等土壌病害に対
しても優れた防除効果を示すことを見出し本発明を完成
した。
本発明に係るN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸
アミド誘導体は一般式(I) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
わされる新規な化合物である。
本発明はさらに前記一般式(I)で表わされるN−(α−
シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体の新規な製
造法についても、鋭意検討した結果、高収率で目的物を
得る方法を見出し本発明を完成した。すなわち、本発明
に係るN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド
誘導体の製造法は一般式(II) A−COCl (II) (式中、Aは前記の意味を示す。)で表わされる酸クロ
リドまたはその塩とα−シアノフルフリルアミンまたは
その塩を塩基の存在下に反応させることを特徴とする一
般式(I)で表わされるN−(α−シアノフルフリル)ニ
コチン酸アミド誘導体の製造法である。
一般式(I)で表わされる本発明化合物の製造方法を反応
図式により以下に説明する。
反応図式(式中、Aは前記の意味をしめす。) フルフラールをNCNと反応しα−シアノフルフリルア
ルコールとし、さらにアンモニアで処理することにより
α−シアノフルフリルアミンを得る。ついで、これを酸
受容体の存在下に酸クロリド(II)と反応させる。酸受容
体の例には例えばトリエチルアミン、ジメチルアニリ
ン、ピリジン等の有機塩基、アンモニア、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナト
リウム、炭酸アンモニウムなどの無機塩基があるが、こ
れらに限定されるものではない。この反応は溶剤または
希釈剤中で行うのが好ましい。ピリジンは溶剤と酸受容
体の両方として用い得る。この反応は中間体のα−シア
ノフルフリルアミンの熱安定性がよくないため、あまり
高温下での反応は望ましくなく、また、発熱反応である
ため冷却下に行うことが望ましい。かくして得た所望の
N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体
は再結晶、カラムクロマトグラフィ等常法によつて容易
に単離および精製することが可能である。
さらに、本発明は本発明に係る前記一般式(I)で表わさ
れるN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘
導体を有効成分として含有することを特徴とする水田用
除草剤および農園芸用殺菌剤を提供するものである。本
発明化合物を水田用除草剤として使用する場合は、雑草
の生育段階や雑草の種類、製剤の剤型、施用方法および
各種環境条件等によつてその施用量は変化するが、通常
アール当り0.1〜100g/aが適当であり、望まし
くは0.5〜25g/aである。その殺草活性はイネ科
雑草に対して特徴的に強いが、他の雑草に対しても、そ
の種類によつて程度の差はあれ強い抑制効果を示す。カ
ヤツリグサ科の雑草、たとえばタマガヤツリは特に強く
抑制される。このような特性は、イネ科雑草に対して弱
い従来の薬剤との混合剤の施用またはタンクミックス等
による混合施用を考えるとき有利に作用する。
また本発明化合物の施用時期は、雑草の発生前から生育
期まで幅が広い。公知のアミド系化合物ブタクロールや
チオールカーバメート系化合物ベンチオカーブと比較し
て、本発明化合物ははるかに使用適期幅が広く、従来に
ない優れた特徴を有するものであり、処理時期の制約の
少い、使い易い除草剤になりうる。タイヌビエに対する
除草活性は処理時期によつてその実用薬量は当然異るも
のの、3.5葉期のタイヌビエに対してベンチオカーブ
やブタクロールが実用薬量で効果不十分であるのに対し
て、本発明化合物はそれらの実用薬量以下の薬量で実用
に十分耐えうる活性を示す。
本発明化合物はいずれの処理時期に使用しても、移植水
稲に対しては極めて薬害の小さい化合物である。
本発明化合物を農園芸用殺菌剤として使用する場合は藻
菌類によつてひきおこされる各種作物の疫病およびべと
病に有効であるばかりでなく、他の種々の植物病原菌類
によつてひきおこされる病害に対しても有効である。
主な防除対象病害としてはジャガイモ疫病、トマト疫
病、タバコ疫病、イチゴ疫病、アズキ茎疫病、ブドウべ
と病、キュウリべと病、ホップべと病、シュンギクべと
病、アファノミセス属菌、ピシウム属菌等による各種作
物苗立枯病などが挙げられる。
本発明化合物の施用方法としては種子消毒、茎葉散布、
土壌処理等が挙げられるが、通常当業者が利用するどの
ような施用方法にても十分な効力を発揮する。施用量お
よび施用濃度は対象作物、対象病害、病害の発生程度、
化合物の剤型、施用方法および各種環境条件等によつて
変動するが、施用量は散布する場合にはアール当り5〜
200gが適当であり、望しくはアール当り10〜10
0gである。散布濃度としては20〜1,000ppmが
適当であり、望ましくは50〜500ppmである。
本発明に係る除草剤および農園芸用殺菌剤は他の殺菌剤
や殺虫剤、除草剤、植物成長調節剤等の農薬、土壌改良
剤または肥効性物質との混合使用は勿論のことこれらと
の混合製剤も可能である。
本発明に係る化合物は、そのまま施用してもよいが固体
または液体の希釈剤を包含する担体と混合した組成物の
形で施用するのが好ましい。ここでいう担体とは、処理
すべき部位への有効成分の到達を助け、また有効成分化
合物の貯蔵、輸送、取扱いを容易にするために配合され
る合成または天然の無機または有機物質を意味する。
適当な固体担体としてはモンモリロナイト、カオリナイ
トなどの粘土類、ケイソウ土、白土、タルク、バーミキ
ュライト、石膏、炭酸カルシウム、シリカゲル、硫安な
どの無機物質、大豆粉、鋸屑、小麦粉などの植物性有機
物質および尿素などがあげられる。
適当な液体担体としてはトルエン、キシレン、クメンな
どの芳香族炭化水素、ケロシン、鉱油などのパラフィン
系炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタ
ンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ンなどのエーテル類、メタノール、プロパノール、エチ
レングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、水などがあげられる。
さらに本発明化合物の効力を増強するために、製剤の剤
型、適用場面等を考慮して目的に応じてそれぞれ単独
に、または組合わせて以下のような補助剤を使用するこ
ともできる。
乳化、分散、拡展、湿潤、結合、安定化等の目的ではリ
グニンスルホン酸塩などの水溶性塩基、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル等の非イオン性
界面活性剤、ステアリン酸カルシウム、ワックス等の滑
剤、イソプロピルヒドロジエンホスフェート等の安定
剤、その他メチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、カゼイン、アラビアゴム等があげられる。しか
し、これらの成分は以上のものに限定されるものではな
い。
本発明化合物の組成物の有効成分量は、通常粉剤では
0.5〜20重量%、乳剤では5〜30重量%、水和剤
では10〜90重量%、粒剤では0.1〜20重量%、
フロワブル剤では10〜90重量%である。
〔実施例〕
本発明に係る一般式(I)で表わされるN−(α−シアノ
フルフリル)ニコチン酸アミド誘導体の代表例を表−1
に示す。
次に本発明化合物の製造方法を合成例をあげて具体的に
説明する。
合成例1 N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド(化合
物番号−1)の合成 1−1.α−シアノフルフリルアミンの合成 フルフラール250gに酢酸ナトリウム0.1gを加え、
氷浴にて0〜5℃に冷却した。攪拌下に内温が10℃を
こえないように注意しながら、約3時間を要してHCN
145mlを滴下し、更に12時間、同温度で攪拌を続け
た。反応終了後、室温にて窒素ガスを導入し、過剰のH
CNを追い出し、粗α−シアノフルフリルアルコールを
得た。メタノール1,000mlを−5℃に冷却し、アンモニ
アガスを導入し飽和させ、同温度にて攪拌下に、先に調
製したα−シアノフルフリルアルコールのメタノール溶
液300mlを滴下した。滴下終了後さらに同温度でアン
モニアガスを3時間導入した。減圧下に溶媒を留去し、
残さにエチルエーテル2,000mlを加え、攪拌しながら塩
化水素ガスを導入した。析出した結晶を別し、エチル
エーテルにて洗浄の後乾燥した。所望のα−シアノフル
フリルアミン塩酸塩を230g得た。
収率61.2%、m.p.145−152℃(分解) 1−2.N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミ
ド(化合物番号−1)の合成 1−1で得たα−シアノフルフリルアミン塩酸塩2.38
g、トリエチルアミン4.55gをテトラヒドロフラン30
mlに懸濁し、攪拌下にニコチン酸クロリド塩酸塩2.67g
を加えた。さらに室温下で4時間攪拌した。反応液に水
を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を分液
し、水洗、乾燥の後溶媒を減圧下に留去した。残さをシ
リカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。ヘキ
サン−酢酸エチル系より溶出し、所望のN−(α−シア
ノフルフリル)ニコチン酸アミドを固体として2.85g得
た。
収率83.6% m.p.130.5−132℃ 次に本発明の水田用除草剤または農園芸用殺菌剤の製造
法を製剤例により説明する。
有効成分化合物は前記表−1の化合物番号で示す。
「部」は「重量部」をあらわす。
製剤例1粉剤 化合物(1):3部、ケイソウ土:20部、白土:30部
およびタルク:47部を均一に粉砕混合して、粉剤10
0部を得た。
製剤例2水和剤 化合物(2):30部、ケイソウ土:47部、白土:20
部、リグニンスルホン酸ナトリウム:1部およびアルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2部を均一に粉砕混
合して水和剤100部を得た。
製剤例3乳剤 化合物(3):20部、シクロヘキサノン:10部、キシ
レン:50部およびソルポール(東邦化学製界面活性
剤)20部を均一に溶解混合し、乳剤100部を得た。
製剤例4粒剤 化合物(4):7部、ポリエチレングリコールノニルフェ
ニルエーテル:1部、ポリビニルアルコール:3部およ
びクレー:89部を均一混合し、加水造粒後、乾燥し粒
剤100部を得た。
製剤例5水和剤 化合物(3):50部、リグニンスルホン酸ナトリウム:
10部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム:5
部、ホワイトカーボン:10部およびケイソウ土:25
部を混合粉砕し、水和剤100部を得た。
製剤例6フロワブル剤 化合物(2):40部、カルボキシメチルセルロース:3
部、リグニンスルホン酸ナトリウム:2部、ジオクチル
スルホサクシネートナトリウム塩:1部および水54部
をサンドグラインダーで湿式粉砕し、フロワブル剤10
0部を得た。
次に本発明化合物の除草剤および農園芸用殺菌剤として
の効力を試験例によつて説明する。なお、試験例におい
て以下の化合物を対照として用いた。
対照化合物 A:N−(α−シアノフルフリル)−2,6−ジクロロ
イソニコチン酸アミド B:N−(α−シアノフルフリル)ベンズアミド C:2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−(ブトキ
シメチル)アセトアニリド〔ブタクロール〕 D:ジエチルチオカルバミド酸S−p−クロロベンジル
〔ベンチオカーブ〕 E:ジンクエチレンビス(ジチオカーバメート)〔ジネ
ブ〕 F:テトラクロロイソフタロニトリル〔TPN〕 対照化合物AおよびBは前出文献にて公知の化合物であ
り、CおよびDは水田用除草剤として市販の薬剤。Eお
よびFはジャガイモ疫病、キュウリべと病等の防除剤と
して市販の薬剤である。
試験例1水田発生前除草試験 アール/5000ワグネルポットに土壌を詰め、タイヌビ
エ、広葉雑草(キカシグサ、アゼナ、コナギ等)、ホタ
ルイ、ヘラオモダカおよびタマガヤツリの種子を播種
し、湛水状態とした。これにあらかじめ育苗しておいた
水稲苗(2〜3葉期)2本を1株とし、その2株を移植
して温室内で生育させた。水稲移植1日後の雑草発生前
に供試化合物の所定量を前記製剤例4に記載した方法に
準じて調製した粒剤を用いて湛水下に処理した。処理3
0日後に雑草の発生状況および水稲に対する薬害を調査
した。結果を表−2に示した。
表中、作物に対する薬害程度および雑草に対する除草効
果は作物または雑草の発生ないし生育の状態を無処理の
場合の風乾重と比較し、下記の評価基準に従つて表し
た。供試化合物は前記表−1の化合物番号によつて示し
た(以下同様)。
評価基準 0:対無処理区風乾重比で示した生存率91〜100% 1: 〃 71〜90% 2: 〃 41〜70% 3: 〃 11〜40% 4: 〃 6〜10% 5: 〃 0〜5% 試験例2水田生育期除草試験 アール/5000ワグネルポットに土壌を詰め、タイヌビ
エ、広葉雑草(キカシグサ、アゼナ、コナギ等)、ホタ
ルイ、ヘラオモダカおよびタマガヤツリの種子を播種
し、湛水状態とした。これにあらかじめ育苗しておいた
水稲苗(2〜3葉期)2本を1株とし、その2株を移植
して温室内で生育させた。水稲移植12日後の雑草生育
期に供試化合物の所定量を前記製剤例4に記載した方法
に準じて調製した粒剤を用いて湛水下に処理した。処理
30日後に雑草の発生状況および水稲に対する薬害を調
査した。結果を表−3に示した。
表中、作物に対する薬害程度および雑草の生育状態は試
験例1で示した方法に従つて表した。
表2および表3に示した結果より、本発明化合物群は水
田で問題となつている各種の有害雑草に対して発生前処
理でも、またこれまで除草効果が発揮され難かつた生育
期処理でも幅広い除草活性を示し、かつ水稲に対する薬
害のほとんどない優れた化合物であることが明らかであ
る。
また、化学構造が比較的近似である前出文献に記載のN
−(α−シアノフルフリル)−2,6−ジクロロイソニ
コチン酸アミドあるいはN−(α−シアノフルフリル)
ベンズアミド等では除草効果はほとんど認められず、本
発明化合物はこれまでのいかなる知見からも予想できな
い優れた特性を有することは明らかである。
試験例3ジャガイモ疫病防除試験 温室内でポットに育生したジャガイモ(品種:男爵、草
丈25cm程度)に所定濃度の薬剤(供試化合物を前記製
剤例5の方法に準じて水和剤となし、これを水で所定濃
度に希釈したもの)をスプレーガン(1.0kg/cm2)を使
用して3鉢当り50ml散布し風乾した。あらかじめジャ
ガイモ切片上にて7日間培養したジャガイモ疫病菌より
遊走子浮遊液を調製した。この浮遊液を薬剤散布したジ
ャガイモ植物体上に噴霧接種し、被検植物を17〜19
℃、湿度95%以上で6日間保つた後病斑の形成程度を
調査した。
各葉ごとに病斑面積割合を観察評価し発病度指数を求
め、それぞれの区について次式により罹病度を求めた。
なお、評価基準は次のとうりである。
発病程度指数 0:病斑面積割合 0% 〃 1: 〃 1〜5% 〃 2: 〃 6〜25% 〃 3: 〃 26〜50% 〃 4: 〃 51%以上 n:発病程度指数0の葉数 n: 〃 1 〃 n: 〃 2 〃 n: 〃 3 〃 n: 〃 4 〃 N=n+n+n+n+n 試験例4キュウリべと病防除試験(予防効果) 温室内でポットに育生したキュウリ(品種:模半白、本
葉2枚展開)に所定濃度の薬剤(供試化合物を前記製剤
例5の方法に準じて水和剤となし、これを水で所定濃度
に希釈したもの)をスプレーガン(1.0kg/cm2)を使用
して3鉢当り30ml散布し風乾した。べと病に罹病した
キュウリ葉病斑部よりべと病菌を採取し、脱塩水で胞子
浮遊液を調製し、それを噴霧接種した。
接種したポットは直に18〜20℃、湿度95%以上の
状態に24時間保つたのち、温室(室温18〜27℃)
に移し、7日後病斑の形成程度を調査した。
評価基準および罹病度表示方法は試験例3に示したとう
りである。
結果を表−5に示した。
試験例5キュウリべと病防除試験(治療効果) キュウリべと病菌胞子浮遊液を調製し、試験例4で用い
たものと同様のキュウリに噴霧接種した。24時間18
−20℃、湿度95%以上に保つたのち所定濃度の薬剤
(供試化合物を前記製剤例5の方法に準じて水和剤とな
し、これを水で所定濃度に希釈したもの)をスプレーガ
ン(1.0kg/cm2)を使用して3鉢当り30ml散布した。
温室(温度18−27℃)に移し、6日後病斑の形成程
度を調査した。
評価基準および罹病度表示方法は試験例3に示したとう
りである。
結果を表−6に示した。
表−4および表−5に示した結果より本発明化合物群は
ジャガイモ疫病、キュウリベト病等、藻菌類が引き起こ
す植物病害に対して従来より広く使用されてきている市
販の殺菌剤に比べ、極めて高い防除効果を示しているこ
とは明らかである。また、化学構造が比較的近似である
前出文献に記載のN−(α−シアノフルフリル)−2,
6−ジクロロイソニコチン酸アミド、あるいはN−(α
−シアノフルフリル)ベンズアミド等では病害防除効果
はほとんど認められず、本発明化合物はこれまでのいか
なる知見からも予想できない優れた特性を有することは
明らかである。
〔発明の効果〕
以上の説明より明らかなように、本発明に係るN−(α
−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体は、水田
用除草剤としてはこれまでの除草剤では期し得なかつた
適期幅の広い優れた除草効果を示す。また農園芸用殺菌
剤としては土壌病害を含む各種作物の藻菌類による各種
病害に対して、従来の市販薬剤では効果が期待できない
ような低薬量、低濃度で予防効果を示し、治療効果も合
わせもつ優れた防除効果を有する。本発明に係るN−
(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体を含
有する農薬は除草剤および農園芸用殺菌剤として優れた
特性を具備し有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 大宅 郁治

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
    ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
    わされるN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミ
    ド誘導体。
  2. 【請求項2】一般式(II) A−COCl (II) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
    ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
    わされる酸クロリドまたはその塩とα−シアノフルフリ
    ルアミンまたはその塩を塩基の存在下に反応させること
    を特徴とする一般式(I) (Aは前記の意味を示す)で示されるN−(α−シアノ
    フルフリル)ニコチン酸アミド誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】一般式(I) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
    ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
    わされるN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミ
    ド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする水
    田用除草剤。
  4. 【請求項4】一般式(I) (式中、Aは3−ピリジル基、ハロゲン置換−3−ピリ
    ジル基またはN−オキソ−3−ピリジル基を示す)で表
    わされるN−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミ
    ド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農
    園芸用殺菌剤。
JP24268085A 1985-10-31 1985-10-31 N−(α−シアノフルフリル)ニコチン酸アミド誘導体、その製造法およびそれらを含有する除草剤および農園芸用殺菌剤 Expired - Lifetime JPH0643422B2 (ja)

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