JPH0642901Y2 - アクセルペダルの踏込み制限装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は発進・変速時のクラツチ操作による過大な衝撃
トルクを緩和する、アクセルペダルの踏み込み制限装置
に関するものである。

［従来の技術］ 変速操作時、機関回転数が高い内にクラツチを急激に接
続すると、機関からクラツチ、変速機、推進軸、終減速
機、車軸を経て車輪に至る駆動系に過大な衝撃トルクが
生じ、駆動系の一部が破損する恐れがある。

実開昭59-100935号公報に開示されるアクセル装置で
は、変速機の変速レバーが中立位置にある場合に、燃料
調節杆の動作範囲を規制することにより、機関の空吹か
しを防止できるが、発進・変速操作時の衝撃トルクを回
避できるものではない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、発進・変速操作時、
アクセルペダルの過大な踏込み操作を制限することによ
り、過大な衝撃トルクが駆動系へ伝達されるのを回避す
る、アクセルペダルの踏み込み制限装置を提供すること
にある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はシリンダに
ピストンを嵌挿して下端に空気室を上端にばねを収容す
る大気室をそれぞれ区画してなるアクチユエータを、ア
クセルペダルの下方に配置し、前記ピストンに結合した
ロツドをアクセルペダルの下側に突出可能に構成し、ア
クチユエータの空気室と空気槽とを結ぶ配管の途中に、
通電時開いて空気室と空気槽とを連通する電磁切換弁を
挿入接続し、該電磁切換弁の通電回路に、クラツチ遮断
位置で閉じるクラツチストロークスイツチと、変速レバ
ーが所定の変速位置にある時閉じる中立スイッチと、変
速機の出力軸が回転していない時閉じる車速スイツチと
を直列に接続したものである。

［作用］ 変速機が所定の変速段（例えば、後進段、１速段、２速
段）にシフトされていて、クラツチ機構が遮断されつつ
車両が停止状態にある時、作動制限部材としてのアクチ
ユエータのロツドが突出し、アクセルペダルの踏込量を
制限する。したがつて、機関回転数の過大な上昇が抑え
られ、発進・変速操作の際に過大な衝撃トルクが駆動系
へ伝達されることがない。

また、道路状況により大きな駆動トルクを必要とする場
合は、アクセルペダルを強く踏み込むと、アクチユエー
タの空気室の空気圧の力に抗してロツドが押し下げられ
るので、発進が妨げられることはない。

［考案の実施例］ 本考案によれば、機関への燃料供給量を制御するアクセ
ルペダル２の下側に、アクチユエータ４が配設される。
アクチユエータ４はシリンダ６を床板23に固定し、シリ
ンダ６にピストン５を嵌挿して下側に空気室22を、上側
にばね21を収容する大気室をそれぞれ区画し、ピストン
５からロツド３をアクセルペダル２の下側へ突出して構
成される。好ましくは、ロツド３の端部に支持したロー
ラ３が、アクセルペダル２の下面に衝合し得るように構
成される。通常は、アクチユエータ４のピストン５はば
ね21の力により押し下げられ、ロツド３のローラ3aはア
クセルペダル２の最大踏込量を妨げない。

シリンダ６の空気室22は、電磁切換弁８を有する配管７
を経て空気槽９へ連通可能にされる。第３図に示すよう
に、電磁切換弁８と各スイツチ12,13,14は、電源バツテ
リ15に対し直列に接続される。

第２図に示すように、クラツチストロークスイツチ12は
内燃機関17に結合されるクラツチ機構18、例えばクラツ
チレバーと共に回動する回動軸24に隣接して配設され、
クラツチレバーがクラツチ遮断位置へ回動されると閉じ
る。中立スイツチ13は変速機19の変速レバーに隣接して
配設され、変速レバーが中立位置以外の所定の変速段
（例えば、後進段、１速段、２速段など）へシフトされ
ると閉じる。車速スイツチ14は変速機19の出力軸20に隣
接して配設され、出力軸20が回転していない時に閉じ
る。したがつて、車速スイツチ14は例えば公知の電磁ピ
ツクアツプ型の回転数センサを用い、回転数センサに誘
導電流が発生しない場合に、リレーコイルが消磁されて
閉じるリレースイツチを用いることが好ましい。

なお、アクチユエータ４をアクセルペダル２の側方に配
設し、作動制限部材としてのローラ3aを有するロツド３
が、アクセルペダル２の側方から下側へ突出・引退する
ように構成してもよい。

次に、本考案によるアクセルペダルの踏込み制限装置の
作動について説明する。車両が停止していて、クラツチ
機構18が遮断され、変速機19が所定の変速段へシフトさ
れると、各スイツチ12,13,14が閉じ、電磁切換弁８が励
磁される。したがつて、電磁切換弁８が第１図の位置か
ら切り換わり、空気槽９の加圧空気が配管７、電磁切換
弁８を経てシリンダ６の空気室22へ供給される。ピスト
ン５がばね21の力に抗して押し上げられ、ロツド３のロ
ーラ3aがアクセルペダル２の下側へ突出される。この
時、アクセルペダル２の踏込量が制限され、機関回転数
が抑えられるので、乱暴なクラツチ操作をしても過大な
衝撃トルクが駆動系へ伝達されることはない。

一方、道路状況により大きな駆動トルクを必要とする場
合は、アクセルペダル２を強く踏み込むと、空気室22の
空気圧の力に抗してローラ3a、ロツド３およびピストン
５が押し下げられるので、発進が妨げられることはな
い。

車両が発進すると、出力軸20が回転され、車速スイツチ
14が開くので、電磁切換弁８が第１図に示す位置へ切り
換わる。したがつて、アクチユエータ４の空気室22に接
続する配管７が、空気槽９から遮断されかつ大気へ開放
される。ローラ3a、ロツド３と一緒にピストン５がばね
21の力により押し下げられ、アクセルペダル２は最大踏
込量まで踏み込むことが可能になる。

［考案の効果］ 本考案の上述のように、シリンダにピストンを嵌挿して
下端に空気室を上端にばねを収容する大気室をそれぞれ
区画してなるアクチユエータを、アクセルペダルの下方
に配置し、前記ピストンに結合したロツドをアクセルペ
ダルの下側へ突出可能に構成し、アクチユエータの空気
室と空気槽とを結ぶ配管の途中に、通電時開いて空気室
と空気槽とを連通する電磁切換弁を挿入接続し、該電磁
切換弁の通電回路にクラツチ遮断位置で閉じるクラツチ
ストロークスイツチと、変速レバーが所定の変速位置に
ある時閉じる中立スイツチと、変速機の出力軸が回転し
ていない時閉じる車速スイツチとを直列に接続したか
ら、車両の発進時、乱暴なクラツチ操作を行つても、機
関の回転数が制限されるので、過大な衝撃トルクが駆動
系へ伝達されるのを効果的に防止できる。これにより駆
動系の各部の設計上の強度負担を低減できる。

一方、道路状況により大きな駆動トルクを必要とする場
合は、アクセルペダルを強く踏み込めば、空気室の空気
圧力に抗してピストンが押し下げられるので、発進が妨
げられることはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るアクセルペダルの踏込み制限装置
の概略構成図、第２図は同踏込み制限装置におけるスイ
ツチの配置を示す車両の駆動系の側面図、第３図は電磁
切換弁の電気回路図である。 2:アクセルペダル、3:ロツド、4:アクチユエータ、5:ピ
ストン、6:シリンダ、7:配管、8:電磁切換弁、9:空気
槽、12:クラツチストロークスイツチ、13:中立スイツ
チ、14:車速スイツチ、15:電源バツテリ、17:内燃機
関、18:クラツチ機構、19:変速機、20:出力軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダにピストンを嵌挿して下端に空気
   室を上端にばねを収容する大気室をそれぞれ区画してな
   るアクチユエータをアクセルペダルの下方に配置し、前
   記ピストンに結合したロツドをアクセルペダルの下側へ
   突出可能に構成し、アクチユエータの空気室と空気槽と
   を結ぶ配管の途中に通電時開いて空気室と空気槽とを連
   通する電磁切換弁を挿入接続し、該電磁切換弁の通電回
   路にクラツチ遮断位置で閉じるクラツチストロークスイ
   ツチと、変速レバーが所定の変速位置にある時閉じる中
   立スイツチと、変速機の出力軸が回転していない時閉じ
   る車速スイツチとを直列に接続したことを特徴とする、
   アクセルペダルの踏み込み制限装置。