JPH0642108U - パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸湿乾燥に伴う膨張収縮が抑制され、寸法安
定性の向上されたパネルを提供する。 【構成】 少なくとも片面に予め寸法安定化処理が施さ
れた少なくとも１枚の木質材料を含む複数枚の木質材料
を準備し、これら木質材料を、寸法安定化処理面が表面
に露出することのないように積層接着してパネルとす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は家具扉、ドアの鏡板、腰壁パネル、コタル板等に用いられるパネルに 関し、より詳しくは含水率変化に伴う寸法変化による反りや狂いの発生を防止し たパネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

これらパネルとしては従来より無垢材、合板、木質繊維板、木削片板等が用い られているが、これらの木質材料は含水率変化に伴う寸法変化が発生するという 問題がある。

【０００３】 例えば、一般に、いわゆる落とし込みタイプのドアは、框、帯、束等よりなる 枠体に鏡板が嵌め込まれ、表面に任意塗装が施されて構成されているが、このよ うな構成のドアにおいて、鏡板のがたつきを防止するために、鏡板を枠体に緊密 に嵌め込むようにすると、鏡板や枠体を構成する材料の吸湿乾燥に伴う膨張収縮 の相乗作用によって、ドア自体に反りやねじれ等の狂いが発生する。

【０００４】 また、鏡板や枠体を構成する材料の吸湿乾燥に伴う膨張収縮が生ずると、枠体 における各部材同士の突き合わせ部や鏡板と枠体との嵌合部において塗膜の切れ が発生しやすくなる。特に、枠体の嵌合凹部内に挿入される鏡板の嵌合凸部の先 端部分は塗膜が形成されていないため、鏡板と枠体との嵌合部において塗膜の切 れが発生すると、この素地部分が外部に露見されてしまい、意匠性が著しく低下 してしまう。また、この素地部分からの吸湿により膨張収縮が一層助長されるこ ととなる。

【０００５】 これらの問題を解決するために、実公昭６４−７１８１号公報には、鏡板とし て用いられるパネルの嵌め込み端部に、非孔質、低収縮性、高強度の異質材料を 挿入することが提案されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

この従来技術は、鏡板の両面に配された膨張収縮の大きな材料の動きを、芯材 として配された低収縮性の材料によって拘束しようとする技術思想に立脚するが 、実際問題として、両面において生ずる大きな膨張収縮による動きを芯材で完全 に封ずることは困難である。

【０００７】 仮に低収縮性の芯材によって両面の大きな膨張収縮による動きを拘束すること ができたとしても、鏡板の内部には極めて大きな内部応力が潜在することになり 、これが枠体の膨張収縮による運動力によって顕在化されることにより、ドア自 体に反り、ねじれ等を発生させてしまう。

【０００８】 また、膨張収縮特性の全く異なる材料を積層接着させるものであるため、長期 に亙って含水率変化の影響を受けると、芯材と表面材との間で層間剥離を起こし やすくなるという問題もある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記従来技術の問題点を解消することを目的として創案されたもので あり、少なくとも片面に予め寸法安定化処理が施された木質材料を少なくとも１ 枚含む複数枚の木質材料を、該寸法安定化処理された面が表面に露出することの ないように、積層接着してなることを特徴とするパネルである。

【００１０】 パネルを構成する木質材料には、木質単板、無垢材、合板、繊維板、木削片板 、単板積層板、集成材等が用いられる。必要に応じてこれら木質材料には難燃化 処理、不燃化処理が施され、防火性能の向上が図られる。

【００１１】 これら木質材料は任意二層以上を積層接着して本考案のパネルとされるが、積 層に先立って、少なくともその片側表面に予め寸法安定化処理が施される。

【００１２】 寸法安定化処理とは、例えば、ホルマール化処理、アセチル化処理、エーテル 化処理、エステル化処理、ＰＥＧ（ポリエチレングリコール）処理、樹脂含浸処 理、充填剤置換処理等である。

【００１３】 このようにして少なくともその片面に寸法安定化処理を施された木質材料を複 数枚積層するに当たり、該寸法安定化処理された面が表面に露出しないようにさ れる。

【００１４】 例えば、２枚の木質材料を積層してパネルとする場合には、各々の木質材料の 片面のみに寸法安定化処理を施し、それらの処理面同志を積層面として積層接着 する。或いは、片面のみに寸法安定化処理が施された１枚の木質材料と、いずれ の面にも寸法安定化処理が施されていない１枚の木質材料とを、前者の寸法安定 化処理面が積層面となるように積層接着してパネルとしても良い。

【００１５】 ３枚以上の木質材料を積層してパネルとする場合にも、寸法安定化処理面が積 層面となって積層体の内部に配置されるように積層接着する。内層に配される木 質材料には、その両面に寸法安定化処理を施すことができる。

【００１６】

【作用】

パネルの内部に木質材料において寸法安定化処理された層が形成され、該層部 分は含水率変化に伴う寸法変化率が小さいため、寸法安定化処理されていない他 の部分の含水率変化に伴う寸法変化を抑制し、実質的にパネルの膨張収縮による 動きが全体として拮抗される。

【００１７】

【実施例】

図１は本考案の一実施例によるものであってドアの鏡板として用いられるパネ ルの構成を示し、本実施例では、各々片面に予め寸法安定化処理が施された２枚 の無垢材１ａ、１ｂを、該寸法安定化処理面同志を積層面として接着剤を介して 積層接着したものである。図中斜線部５は寸法安定化処理が施された部分を示す 。

【００１８】 寸法安定化処理は、無垢材の片面にポリエチレングリコールモノメタクリレー トの水溶液（固形分５０％）を塗布表面に含浸させた後、５０〜１００℃にて３ 〜５時間乾燥させ、無垢材の片面表層に硬化貼着させることにより行うことがで きる。このときの無垢材の重量増は３〜３０ｇ／ｃｍ^２の範囲であることが好ま しい。

【００１９】 図２は別の実施例による鏡板として用いられるパネルの構成を示し、２枚の無 垢材２ａ、２ｃと１枚の任意木質材料２ｂを用い、表層及び裏層に配される無垢 材２ａ及び２ｃの片面にそれぞれ予め寸法安定化処理を施し、これらの寸法安定 化処理面を内面側として内層の木質材料２ｂとの積層面となるように接着剤を介 して積層接着したものである。図中斜線部５は寸法安定化処理が施された部分を 示す。

【００２０】 図３は更に別の実施例による鏡板として用いられるパネルの構成を示し、同様 に２枚の無垢材３ａ、３ｃと１枚の任意木質材料３ｂを用い、表裏両面に寸法安 定化処理が施された木質材料３ｂを内層に配し、その両側に、寸法安定化処理を 施さない無垢材３ａ、３ｃを配して積層接着したものである。図中斜線部５は寸 法安定化処理が施された部分を示す。この場合において、表裏層の無垢材３ａ、 ３ｃの内面側にも、図２におけると同様に、寸法安定化処理を施しても良い。

【００２１】 図４は更に別の実施例による鏡板として用いられるパネルの構成を示し、表裏 両面に寸法安定化処理が施された無垢材４ｂの両側に化粧単板４ａ、４ｃを積層 接着して、無垢材における寸法安定化処理された部分５がパネルの表面に露出し ないようにしたものである。

【００２２】

【考案の効果】

本考案によれば、寸法安定化処理された層が内包されるため、含水率変化に伴 う寸法変化が抑制され、寸法安定性に優れたパネルが提供される。

【００２３】 寸法安定化処理された面はパネルの表面に露出しないので、パネルとしての意 匠性を損なうことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるパネルの一実施例を示す断面図で
ある。

【図２】本考案の別の実施例によるパネルの構成を示す
断面図である。

【図３】本考案の更に別の実施例によるパネルの構成を
示す断面図である。

【図４】本考案の更に別の実施例によるパネルの構成を
示す断面図である。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ 木質材料 ２ａ、２ｂ、２ｃ 木質材料 ３ａ、３ｂ、３ｃ 木質材料 ４ａ、４ｂ、４ｃ 木質材料 ５ 寸法安定化処理された部分

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも片面に予め寸法安定化処理
   が施された木質材料を少なくとも１枚含む複数枚の木質
   材料を、該寸法安定化処理された面が表面に露出するこ
   とのないように、積層接着してなることを特徴とするパ
   ネル。