JPH0640442B2 - 新規な電気絶縁油 - Google Patents

新規な電気絶縁油

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JPH0640442B2
JPH0640442B2 JP58250735A JP25073583A JPH0640442B2 JP H0640442 B2 JPH0640442 B2 JP H0640442B2 JP 58250735 A JP58250735 A JP 58250735A JP 25073583 A JP25073583 A JP 25073583A JP H0640442 B2 JPH0640442 B2 JP H0640442B2
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insulating oil
oil
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篤 佐藤
圭治 遠藤
重信 川上
等 柳下
照三 林
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日本石油化学株式会社
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B3/00Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties
    • H01B3/18Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances
    • H01B3/20Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances liquids, e.g. oils
    • H01B3/22Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances liquids, e.g. oils hydrocarbons

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規な電気絶縁油に関するものである。
更に詳しくは、本発明は、アルキルビフェニルおよび/
またはアルキルナフタレンと、2つの芳香族環を有する
モノオレフィンおよび/またはジオレフィンとからなる
電気絶縁油に関するものである。該電気絶縁油は、ポリ
オレフィンなどのプラスチック材料からなる絶縁体また
は誘電体を使用した油含浸電気機器に特に好適なもので
ある。
近年、油含浸コンデンサー、油含浸ケーブルおよび変圧
器などの油含浸電気機器の高電圧化および小型化に伴
い、各種のプラスチック材料が従来の絶縁紙と共に使用
されるようになった。
ところで、従来の電気絶縁油、たとえば、精製された鉱
油、ポリブテン、アルキルベンゼンまたは塩素化ビフェ
ニルなどは、種々の欠点を有している。たとえば、塩素
化ビフェニルはハロゲン化芳香族炭化水素に特有の公害
問題のために使用が避けられている。また従来の各種電
気絶縁油は、前記の油含浸電気機器に使用されるポリオ
レフィンなどのプラスチック材料との適合性が必ずしも
満足できるものではない。
すなわち、前記の電気機器類の高圧化や小型化に伴い、
使用する絶縁油に要求される性能は、絶縁破壊電圧が高
いこと、誘電正接が低いことの他水素ガス吸収性が優れ
ていることなどである。
水素ガス吸収性は、高電圧下におけるコロナ放電に対す
る絶縁油の安定性を示すもので、ガス吸収性が大きい程
コロナ放電が発生し難く、安定性が優れた絶縁油であ
る。
一方、前記電気機器の高圧化の要求に対して、油含浸電
力ケーブル、コンデンサーなどの電気機器においては、
従来の絶縁紙の代りに、あるいはその一部に、ポリオレ
フィン、ポリスチレン、ポリエステルなどのプラスチッ
クフィルムが絶縁体もしくは誘電体として使用されるよ
うになった。また、絶縁耐力、誘電正接、誘電率、など
の観点から、プラスチックフィルムとしては、ポリオレ
フィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムや架橋ポ
リエチレンフィルムなどが使用されている。
これらのポリオレフィンフィルムは、電気絶縁油を含浸
させた場合、含浸油の種類によって、ある程度は膨潤や
溶解をする。フィルムが膨潤すると、絶縁層の厚みが増
加し、ケーブルにおいては電気絶縁油の油流抵抗の増
加、コンデンサーにおいては電気絶縁油の含浸不良など
の現象が起り、ポイド(油が含浸しない個所)が生じ、
コロナ放電電圧の低下などが起り好ましくない。
しかしながら、前記の各電気絶縁油は、絶縁破壊電圧
(BDV)および誘電正接(tan δ)はある程度満足
し得るものであるが、水素ガス吸収性、ひいてはコロナ
放電特性、およびポリプロピレンフィルムの寸法安定性
などを充分に満足させ得るものではない。
上記のような従来技術に鑑み、本発明は、改良された非
ハロゲン性の電気絶縁油およびその絶縁油を含浸して前
記の従来技術における欠点を除去した油含浸電気機器を
提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、誘電率その他の性質が優れ、水素
ガス吸収性が良好で、かつプラスチック絶縁材に良好に
適合し得る電気絶縁油を提供することである。
更に本発明の他の目的は、優れたコロナ放電特性、絶縁
破壊電圧、その他の優れた電気的性能、および長い寿命
を有する油含浸電気機器を提供することである。
従って本発明は、改良された新規な電気絶縁油およびそ
の電気絶縁油を含浸させた油含浸電気機器に関するもの
である。
前記電気絶縁油は、 (a)少なくとも1種のアルキル(シクロアルキルを含
む)ビフェニルおよび/またはアルキル(シクロアルキ
ルを含む)ナフタレン、および (b)少なくとも1種の縮合または非縮合型の2つの芳
香族環を有するモノオレフィンおよび/またはジオレフ
ィン(但し、スチレン、α−メチルスチレン、またはこ
れらのモノメチル核置換体からなるスチレン類の不飽和
二量体および不飽和共二量体などの2環モノオレフィン
を除く)からなるものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
上記(a)項のアルキルビフェニルにおけるアルキル基
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
イソブチル基、アミル基などまたはシクロヘキシル基な
どのようなシクロアルキル基などであって、その数は複
数であっても良いが、アルキル基の合計の炭素数が1〜
10個のものが好ましい。またこれらのアルキルビフェ
ニルは、単独で、または2種以上の混合物として使用す
ることができ、それらの40℃における粘度が10cSt
以下のものが、本発明の電気絶縁油の成分として使用す
るために好ましい。特に好ましいのはモノイソプロピル
ビフェニルである。
上記のアルキルビフェニルは、ベンゼンの高温ラジカル
反応、またはベンゼンとクロロベンゼンとのアルキレー
ションから得られたビフェニルに、エチレン、プロピレ
ンなどのオレフィンや、クロロエタン、クロロプロパン
などのハロゲン化炭化水素をアルキレーションさせるこ
とにより得ることができる。
また、上記(a)項のアルキルナフタレンにおけるアル
キル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、アミル基などであり、その数は複
数であっても良いが、アルキル基における合計の炭素数
は1〜10個であるアルキルナフタレンが好ましい。
また、これらのアルキルナフタレンは単独で、または2
種以上の混合物として使用することができ、それらの4
0℃における粘度が10cSt以下のものが、本発明の電
気絶縁油として使用するために好ましい。特に好ましい
のはジイソプロピルナフタレンである。
上記のアルキルナフタレンは、ナフタレンにプロピレ
ン、ブテンなどのオレフィンや、プロピルクロライドな
どのハロゲン化炭化水素をアルキレーションさせて得る
ことができる。
なお、アルキルビフェニルとアルキルナフタレンは混合
して使用してもよい。
前記(a)項のアルキルビフェニルおよび/またはアル
キルナフタレンと併用する化合物は、(b)項の縮合ま
たは非縮合型の2つの芳香族環を有するモノオレフィン
および/またはジオレフィン(但し、スチレン、α−メ
チルスチレン、またはこれらのモノメチル核置換体から
なるスチレン類の不飽和二量体および不飽和共二量体な
どの2環モノオレフィンを除く)である。
上記(b)項のオレフィンから除外されるべき化合物
は、具体的には下記一般式(I)から(III)のいずれ
かにより表わされる化合物である: 上式中、R1からR4はそれぞれ水素原子またはメチル基で
あり、R1からR4の合計炭素数は0から2の整数である。
より具体的な(b)項で除外すべきオレフィンは、たと
えば1,3−ジフェニルブテン−1、3−ジフェニルブ
テン−2、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−
1、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−2、
1,3−ジ(メチルフェニル)ブテン−1、1,3−ジ
(メチルフェニル)ブテン−2などである。
上記のようなモノオレフィンを除外したところの前記
(b)項のオレフィンの内、縮合もしくは非縮合型の芳
香族環を2つ有するモノオレフィンとしては、次に示す
一般式(IV)、(V)および(VI)で表わされる化合物
がある。
一般式: 式(IV)において、R1、R2、R3およびR4の内、いずれか
1つの基はアリール基またはアラルキル基であり、その
他の基はそれぞれ水素原子またはアルキル基である。ま
た、nは0から3の整数であり、R4がアリール基または
アラルキル基のときはnは1である。さらに、符号「・
・・・」は存在してもよい結合であり、該結合が存在す
るときは、R1およびR3はそれらの合計炭素数が5から7
のアルキレン基である。但し、スチレン、α−メチルス
チレンまたはこれらのベンゼン核にメチル基が置換した
モノメチル置換体から選ばれるスチレン類の不飽和二量
体および不飽和共二量体を除く。
一般式: 式(V)において、R5はアルケニレン基またはシクロア
ルケニレン基であり、例えば、オレフィン系炭化水素か
ら2つの水素原子を除去したエチレン、プロピレン、ブ
テン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの2価の置
換基であり、かつその脂肪族性不飽和二重結合が芳香族
環と共役していない。さらに、mおよびnは0から3の
整数であり、m個のR6およびn個のR7はそれぞれ同一も
しくは異なり、それらは水素原子またはアルキル基であ
る。
一般式: 式(VI)において、R8はアルケニル基またはシクロアル
ケニル基であり、mおよびnは0から3の整数であり、
m個のR9およびn個のR10はそれぞれ同一もしくは異な
り、それらは水素原子またはアルキル基である。
前記(a)項のアルキルビフェニルおよび/またはアル
キルナフタレンと併用すべき、前記式(IV)から(VI)
で表わされる芳香族オレフィンの内、式(IV)の芳香族
オレフィンとして、式(IV)におけるR1またはR2がアリ
ール基またはアラルキル基の場合は、次式(IV−1)で
表わされる化合物である。式中、Arはアリール基または
アラルキル基を示す。
また、式(IV)において、R3がアリール基またはアラル
キル基のときは、次の式(IV−2)で表わされる。
さらに、式(IV)において、R4がアリール基またはアラ
ルキル基のときは、次の式(IV−3)で表わされる。
ここで上記式(IV−1)から式(IV−3)において、Ar
がアリール基の場合には、例えば、フェニル、トリル、
キシリル、エチルフェニル、クメニルなどの基がある。
またArがアラルキル基の場合には、例えば、ベンジル、
1または2−フェニルエチル、1または2−トリルエチ
ル、1または2−キシリルエチル、1または2−エチル
フェニルエチル、1または2−クメニルエチル、および
1、2または3−フェニルプロピルなどの基である。そ
の場合、式(IV−1)から式(IV−3)のR1からR4は水
素原子またはアルキル基であって、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチルなどの基である。また、符
号「・・・・」は存在しても良い結合であって、該結合
が存在するときは、R1およびR3はそれらの合計炭素数が
5〜7のアルキレン基である。
上記式(IV−1)においてArがアリール基の場合の具体
的な化合物としては、スチルベン、4−メチルスチルベ
ン、1,2−ジフェニルプロペン−1、1,2−ジフェ
ニル−1−メチルプロペン−1、1,2−ジフェニルシ
クロヘキセン、および2,3−ジフェニルブテン−2な
どである。
また、式(IV−1)においてArがアラルキル基の場合に
は、1,3−ジフェニルプロペン、1,4−ジフェニル
ブテン−1、フェニル−ベンジルシクロヘキセンなどが
ある。
式(IV−2)においてArがアリール基の場合には、1,
1−ジフェニルエチレン、1−フェニル−1−(4−エ
チルフェニル)エチレン、1,1−ジフェニルプロペン
−1などがある。
また、式(IV−2)においてArがアラルキル基の場合に
は、2,3−ジフェニルプロペン、1,2−ジフェニル
ブテン−2などがある。
式(IV−3)においてArがアリール基の場合には、2−
イソプロペニルビフェニル、4−イソプロペニルビフェ
ニル、2−イソプロペニル−4′−イソプロピルビフェ
ニル、シクロヘキセニルビフェニル、およびシクロペン
テニルビフェニルなどがある。
さらに式(IV−3)においてArがアラルキル基の場合に
は、1−フェニル−1−(4′−ビニルフェニル)エタ
ン、1−(4−メチルフェニル)−1−(4′−ビニル
フェニル)エタン、1−フェニル−1−(4′−イソプ
ロペニルフェニル)エタン、フェニル−(4′−ビニル
フェニル)メタン、フェニル−(シクロヘキセニルフェ
ニル)メタンなどである。
また、前記式(V)で表わされる芳香族オレフィンにお
いて、R5はその基が有する脂肪族性不飽和二重結合が該
芳香族オレフィンの有する2個の芳香族環のいずれとも
共役していないアルケニレン基またはシクロアルケニレ
ン基であって、たとえば、ブテニレン、メチルブテニレ
ン、ペンテニレン、シクロペンテニレンもしくはシクロ
ヘキセニレンなどであり、また、R6およびR7は、水素原
子、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル
などのアルキル基である。
具体的な化合物として式(V)で表わされる芳香族オレ
フィンは、1,4−ジフェニルブテン−2、1,4−ジ
フェニルペンテン−2および1,4−ジフェニル−2−
メチルペンテン−2などである。
さらに、前記式(VI)で表わされる芳香族オレフィン
は、R8がビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニ
ル、ブテニルなどのアルケニル基もしくはシクロペンテ
ニル、シクロヘキセニルなどのシクロアルケニル基であ
り、また、R9およびR10は水素原子、またはメチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチルもしくはtert−ブチルなどのアルキル基で
ある。
式(VI)で表わされる具体的な芳香族オレフィンとして
は、α−ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレ
ン、アリルナフタレン、1−シクロペント−2−エニル
ナフタレンなどがある。
本発明の電気絶縁油の成分である前記(b)項の芳香族
オレフィンの内、芳香族環を2環有するジオレフィンと
しては、次の一般式(VII)、(VIII)および(IX)で
表わされる化合物がある。
一般式 ここで、前記一般式(VII)、(VIII)および(IX)に
おいて、R1からR3は炭化水素残基であり、mおよびnは
0または正の整数であり、m個のR1およびn個のR3はそ
れぞれ同一もしくは異なる基であり、かつ、各式におい
て全ての基の二重結合の合計は2である。
R1またはR3が不飽和基である場合、それらはアルケニル
基またはシクロアルケニル基であり、例えば、ビニル、
プロペニル、イソプロペニル、アリル、ブテニルおよび
シクロヘキセニル基などである。
また、R1またはR3が飽和基である場合、それらはアルキ
ル基またはシクロアルキル基であり、例えば、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イ
ソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよ
びシクロヘキシル基などである。
R2が不飽和基である場合、それらはアルケニレン基また
はシクロアルケニレン基であり、例えば、エチレン、プ
ロピレン、ブテン、シクロペンテンおよびシクロヘキセ
ンなどのオレフィン系炭化水素から2つの水素原子を除
去して得た2価の置換基である。
さらに、R2が飽和基である場合、それらはアルキレンま
たはシクロアルキレン基であり、例えば、メタン、エタ
ン、プロパン、ブタンおよびシクロヘキサンなどの飽和
炭化水素から2つの水素原子を除去して得た2価の置換
基である。
前記一般式(VII)、(VIII)および(IX)によって表
わされる化合物の例としては、次のようなものがある。
一般式(VII)で表わされる化合物: 1−フェニル−1−(4′−ビニルフェニル)エチレ
ン、1,1−ジフェニルブタジエン、2,4−ジフェニ
ル−1,3−ペンタジエン、ビス(4−イソプロペニル
フェニル)メタン、1,1−ビス(4−イソプロペニル
フェニル)エタン、1,2−ビス(4−イソプロペニル
フェニル)エタン、および1,1−ビス(ビニルフェニ
ル)エタン。
一般式(VIII)で表わされる化合物: 2,2′−ジビニルフェニルおよび4,4′−ジイソプ
ロペニルビフェニル。
一般式(IX)で表わされる化合物: ジビニルナフタレンおよびジイソプロペニルナフタレ
ン。
上記の化合物は、本発明の電気絶縁油の製造に適用し得
るものを例示したものであり、本発明はこれらによって
限定されるものではない。
これらの芳香族オレフィンは、種々の合成化学的手法に
よって製造される。
例えば、ビニルナフタレンはホルミルナフタレンにヨウ
化メチルマグネシウムなどのグリニヤール試薬を反応さ
せ、ついで脱水させることによって得られる。フェニル
(ビニルフェニル)エタンなどは、ジフェニルエタンに
フリーデルクラフツ触媒によりアセチルクロライドを反
応させ、フェニル(アセチルフェニル)エタンを得て、
ついで水素化ホウ素ナトリウムなどで還元した後に脱水
させて得られる。フェニル(イソプロペニルフェニル)
エタンなどは、フェニル(ホルミルフェニル)エタンに
ヨウ化メチルマグネシウムなどのグリニヤール試薬を反
応させ、その後脱水させることにより得ることができ
る。また、1,2−ジフェニルエチレンなどは、ベンズ
アルデヒドと臭化ベンジルマグネシウムとを反応させ、
脱水すればよく、1,2−ジフェニルプロペンも同様で
ある。1,1−ジフェニルエチレンは、ジフェニルケト
ンにヨウ化メチルマグネシウムなどのグリニヤール試薬
を反応させ、脱水することにより得られる。
また、芳香族ジオレフィンとしては、例えば、ブロモス
チレンなどから、ビニル基と芳香族環を有するグリニヤ
ール試薬を得て、次いで、アセトフェノンなどの芳香族
ケトンを反応させ、生成したアルコールを脱水すること
により製造することができる。
さらに、前記の芳香族オレフィン類は、脱水素反応、酸
素脱水素二量化反応および分解反応なども利用して得る
ことができる。
すなわち脱水素反応を利用する方法としては、本発明の
芳香族モノオレフィンに対応する飽和芳香族炭化水素
や、同じく本発明の芳香族ジオレフィンに対応する飽和
芳香族炭化水素もしくは芳香族モノオレフィンを分解、
重合などの副反応を抑えつつ、適宜の脱水素触媒を用い
て脱水素することにより製造することができる。
脱水素触媒は特に限定されず、任意の触媒を使用でき、
例えば、Cr、Fe、Cu、K、Mg、Caなどの金属酸化物の1
種もしくは2種以上の混合物、Pt、Pdなどの貴金属、ま
たはこれら金属酸化物や貴金属をアルミナなどの担体に
担持させた脱水素触媒などが挙げられる。
脱水素反応は350〜650℃、好ましくは400〜6
00℃である。LHSVは0.2〜10好ましくは0.5〜3.
0である。また脱水素に際しては、分圧を下げるため
や、炭素の析出を防止するために、水蒸気、窒素、水素
などのガスを存在させることもできる。また、必要に応
じて、適宜の稀釈剤を使用することもできる。しかしな
がら通常は、脱水素率をそれ程高くせずに行なえば原料
自体が稀釈剤になり得るので好都合である。
このように脱水素することにより、例えば、ジフェニル
エタンからジフェニルエチレンが、またエチルフェニル
−フェニルエタンからビニルフェニル−フェニルエタ
ン、エチルフェニル−フェニルエチレン、ビニルフェニ
ル−フェニルエチレンなどがそれぞれ得られる。また、
イソプロピルビフェニルからイソプロペニルビフェニル
が、またジイソプロピルナフタレンからはイソプロペニ
ル−イソプロピルナフタレン、ジイソプロペニルナフタ
レンなどがそれぞれ得られる。
本発明の芳香族モノオレフィンは酸化脱水素二量化によ
っても得ることができる。この方法は、トルエン、キシ
レン、エチルトルエン、ビニルトルエンなどのメチル基
置換の単環芳香族炭化水素を二量化(カップリング)す
ると共に脱水素する方法である。
例えば、トルエンからは、1,2−ジフェニルエチレン
が、また、キシレンからは、1,2−ジ(メチルフェニ
ル)エチレンがそれぞれ得られる。なお、この際生成す
るオレフィンに対応する飽和の芳香族炭化水素(例え
ば、トルエンでは、1,2−ジフェニルエタン)も同時
に得られるので、本発明の絶縁油の製法としては好都合
となる。
この酸化脱水素二量化の触媒としては、適宜のものが使
用でき、例えば、特公昭49−6312号公報記載の、
Ni、Ta、Tiなどを含む銅クロマイト系触媒、Bi、Pb、T
e、Tl、Cdなどの金属酸化物、またはこれらの混合物を
触媒とする特公昭49−20561号公報記載の触媒、
米国特許第4,243,825号公報記載のTl系複合酸
化物触媒などがある。また、助触媒もしくは促進剤とし
てこれらの触媒にさらにアルカリ金属酸化物を加えても
良い。
反応に際しては、上記の酸化物を触媒として、分子状酸
素の存在下に行なうこともでき、酸素/メチル基置換芳
香族炭化水素のモル比は0.01〜5.0、好ましくは0.05〜
1.0である。また、分子状酸素を存在させず化学量論的
に反応させることもできるが、この場合には、酸化物触
媒が反応と共に還元されるので、通常の析出炭素を除く
再生処理の他に酸化処理が必要となる。
反応温度は300〜800℃、好ましくは500〜70
0℃であり、接触時間は0.01〜数分、好ましくは0.1〜
30秒程度である。圧力は特に限定されず、減圧〜10
0気圧、好ましくは0.1〜5.0気圧程度である。
さらに、熱分解もしくは触媒分解などの分解反応によっ
ても本発明の芳香族オレフィン類を得ることができ、例
えば、トリアリールアルカン、ジアラルキル芳香族炭化
水素およびスチレン類の重合体などを原料とすることが
できる。
これらの原料を熱分解するには、温度は300〜700
℃であり、好ましくは330〜600℃である。分解温
度が低過ると分解速度が低くなり一方分解温度が高過る
と、単環の芳香族炭化水素にまで分解する。従って、本
願の芳香族炭化水素を収率よく得るには、高温領域にお
ける接触時間をできるだけ短くするとよい。
接触分解は、触媒として、シリカゲル、シリカ−アルミ
ナ、カオリン、脱アルミ処理をするかもしくはしていな
いゼオライト、無機もしくは有機スルホン酸などを用
い、液相もしくは気相で行なうことができる。反応温度
は300〜700℃、好ましくは330〜600℃であ
る。
前記の縮合または非縮合型の2つの芳香族環を有するモ
ノオレフィンおよび/またはジオレフィンは、アルキル
ビフェニル、アルキルナフタレンまたはこれらの混合物
と混合、溶解させて用いるものであり、混合、溶解後に
常温液状となればよい。従って、混合される前には常温
で液体または固体のいずれであってもよい。また、この
2つの芳香族環を有するオレフィンは、単独または2種
以上の混合物としてアルキルビフェニル、アルキルナフ
タレンまたはこれらの混合物と併用することができる。
本発明においては、上述のように(a)項のアルキルビ
フェニル、アルキルナフタレンまたはこれらの混合物に
(b)項の芳香族オレフィンを混合して併用することに
よって電気絶縁油を得るものであるが、このようにして
得られた絶縁油の粘度は、40℃で30cSt以下が好ま
しく、より好適には10cSt以下である。従って混合後
の粘度がこの範囲に入るように、(a)項のアルキルビ
フェニルおよび/またはアルキルナフタレンを、また
(b)項の芳香族オレフィンとして前記各種の化合物
を、適宜に選択して用いればよい。
アルキルビフェニルおよびアルキルナフタレン自体は生
分解性、耐熱性、酸化安定性と共に電気的諸特性に優
れ、かつ水素ガス吸収性にも優れているが、本発明の芳
香族オレフィンを併用することにより、水素ガス吸収性
が更に向上し、かつ、芳香族オレフィンのような不飽和
化合物を併用しているにも拘らず、生分解性、熱安定性
および酸化安定性などの低下は認められず、その他の電
気的諸特性は更に向上する。
(a)項のアルキルビフェニルおよび/またはアルキル
ナフタレンと(b)項の芳香族オレフィンとの混合割合
は任意であるが、両者の合計量に対して後者の芳香族オ
レフィンは0.01から50重量%の範囲にすることが、両
成分の相乗効果の点から好ましい。より好適には1.0〜
30重量%の範囲である。
本発明の電気絶縁油は、上記組成の混合物からなるもの
であるが、これのみに限定されない。すなわち、その一
般的な電気的諸特性を損なわない範囲で、所望の電気的
性能を改善する目的で、従来公知の電気絶縁油、例えば
ポリブテン、鉱油、アルキルベンゼンなどを加えて使用
することができる。一般にポリブテンを加えると、体積
固有抵抗や誘電正接などが改善され、鉱油は絶縁破壊電
圧を向上させ、アルキルベンゼンをはじめとするその他
の芳香族系絶縁油では、絶縁破壊電圧、誘電正接、流動
点などを向上させる傾向がある。
また、電気絶縁油用として公知の酸化防止剤、例えば、
フェノール系として、2,6−ジ−第三ブチル−p−ク
レゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−
第三ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4′
−チオビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノー
ル)、ステアリル−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4
−ヒドロキシフェノールプロピオネート、テトラキス
[メチレン−3(3,′,5′−ジ−第三ブチル−4′
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−第三ブチルフェノール)ブタンなど、また硫黄系とし
てジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオ
ジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオ
ネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、トリノニ
ルフェニルフォスファイトなど、そしてリン系として
は、トリイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソデ
シルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、ト
リノニルフェニルフォスファイトなどを本発明の電気絶
縁油に添加して用いることができる。
これらの酸化防止剤は、単独もしくは2種以上混合して
適宜用いることができ、その添加量は絶縁油に対して0.
001〜5重量%、より好適には0.01〜2.0重量%である。
さらに、難燃性付与その他の目的で、電気絶縁油の添加
剤として公知のリン酸エステル系化合物やエポキシ系化
合物などを併用しても差支えない。
本発明の電気絶縁油は、一般の電気絶縁油として好適で
あり、特に、コンデンサー、ケーブル、変圧器などの油
含浸電気機器の含浸用として好ましい。
前述のようにこれらの油含浸電気機器では、近年高圧
化、小型化の要求が強いが、それに伴ってこれらの油含
浸電気機器の絶縁材料または誘電材料として、従来の絶
縁紙の代りに、または絶縁紙と併用する形式でプラスチ
ックが使用されるようになってきた。すなわち、具体的
には、コンデンサーにおいては、コンデンサーの絶縁体
(誘電体)として延伸もしくは未延伸のポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、ポリエステルなどのプラスチ
ックフィルムと絶縁紙とを併用したもの、あるいはこれ
らのプラスチックフィルムのみを用いたもの、さらにプ
ラスチックフィルムとして、微細なエンボス加工を施し
て含浸し易くしたフィルムや表面金属層を電極としたメ
タライズド(金属化)プラスチックフィルムなどがあ
る。またケーブル(OFケーブル)の絶縁体として、絶
縁紙の代りに架橋もしくは未架橋のポリエチレンや、延
伸もしくは未延伸のポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ンなどのポリオレフィンフィルムを用いたもの、絶縁紙
とこれらのポリオレフィンとを溶融押出しにより積層し
た積層フィルムや、絶縁紙とシラングラフト化ポリエチ
レンとをシラノール縮合触媒の存在下に架橋結合した複
合フィルムを用いたもの、あるいは紙パルプとポリオレ
フィン繊維との混抄紙などがある。これらのフィルムを
電極と共に巻回し、コンデンサーを製造する。
本発明の電気絶縁油は、プラスチックとの適合性にも優
れているので、上述のようにプラスチックをその絶縁体
もしくは誘電体の一部もしくは全部に用いた油含浸電気
機器、例えばコンデンサーやケーブルなどの含浸用とし
て好適である。
すなわち、プラスチック、特にポリオレフィンを絶縁体
(誘電体)の一部もしくは全部に用いたコンデンサー
に、本発明の電気絶縁油を含浸させた場合には、プラス
チック絶縁体の潤滑が少ないので、電気絶縁油の含浸が
充分に行なわれ、ボイド(未含浸部分)が生ずることが
ない。従って、ボイドへの電界集中に起因するコロナ放
電が生じて、絶縁破壊に至る恐れがない。また本発明の
電気絶縁油は水素ガス吸収性や、高電圧下における耐コ
ロナ放電性に優れており、長寿命であり、また高圧化が
達成できる。
同じくケーブルの場合には、膨潤による絶縁体の寸法変
化が少ないため、絶縁油の油流抵抗が非常に低くなり、
ケーブルに油を含浸させる際に、絶縁油の含浸時間が短
くなる。勿論、含浸が容易に行なわれるのでボイドも生
じ難く、絶縁破壊電圧がより高くなる。また、プラスチ
ックフィルムと絶縁紙との積層フィルムもしくは複合フ
ィルムからなる絶縁体を使用したケーブルにおいては、
長期間本発明の絶縁油と接触しても層間剥離や、屈曲に
よる剥離、しわおよび座屈などが発生する恐れが少な
い。また絶縁油は水素ガス吸収性に優れているので、コ
ンデンサーと同様に、耐コロナ放電性の優れたケーブル
を得ることができる。従って、ケーブルにおいてもコン
デンサーと同様に長寿命で高圧化の図れるケーブルが得
られる。
さらに、複数の成分から成る絶縁油を含浸することによ
って、成分間の相乗効果として、上記の諸特性を改善
し、かつ各成分自体の優れた電気的特性、生分解性、耐
熱性、酸化安定性を維持すると共に、粘度や流動点を好
適な範囲に調節することができるので、油含浸電気機器
の製造が効率的かつ容易に行なわれ、使用条件による制
約なしに高い性能を発揮する油含浸型電気機器を得るこ
とができる。
次に実施例および比較例により本発明を詳述する。
実施例 本発明の電気絶縁油に使用する縮合または非縮合型の2
つの芳香族環を有するモノオレフィンおよび/またはジ
オレフィンは、前記のような公知の方法によって調製す
ることができるが、以下の実施例において使用する各種
オレフィンの幾つかの化合物の製造例を参考までに先ず
示す。
製造例1 1−フェニル−1−(4′−ビニルフェニル)エタンの
製造 〔ケトンの合成〕 撹拌器、還流冷却器および滴下ロートの付いた内容積5
の反応容器に、四塩化炭素2、無水塩化アルミニウ
ム467gを入れ、氷冷しながら撹拌した。続いて、塩
化アセチル275gを滴下ロートにより加え、さらに1
時間撹拌した。これに1,1−ジフェニルエタン546
gを加え、4時間さらに撹拌した。反応終了後、希塩酸
で塩化アルミニウムを不活性化し、炭酸ソーダ水溶液で
洗浄し、溶媒を留去することによりケトン502gを得
た(収率74.7%)。
〔アルコールの合成〕
撹拌器、還流冷却器および滴下ロートの付いた内容積2
の反応容器に、イソプロピルアルコール600ml、水
素化ホウ素ナトリウム84gを加え、加熱してイソプロ
ピルアルコールを還流させた。これに上で得られたケト
ン500gを1時間かけて滴下し、その後、さらにイソ
プロピルアルコールの還流下に撹拌した。反応終了後水
を加えて失活させた。生成物をエーテル抽出し、無水硫
酸ソーダで乾燥し、エーテルを留去することにより、収
率95.2%でアルコール480gを得た。
〔1−フェニル−1−(4′−ビニルフェニル)エタン
の合成〕 内容積500mlの三つ口フラスコに滴下ロートを付け、
硫酸水素カリウム40gを入れて、減圧下で230〜2
40℃に加熱した。続いて前記反応で得られたアルコー
ル480gを滴下ロートから滴下した。アルコールは脱
水されオレフィンとなるが、生成したオレフィンは直ち
に蒸留され、系外の受け器に回収された。回収したオレ
フィンから水を分離することにより332gの1−フェ
ニル−1−(4′−ビニルフェニル)エタンを収率75.2
%で得た(沸点:149℃/10mmHg、113℃/2mm
Hg)。
最終生成物の化学構造は、元素分析、IRスペクトル分
析およびNMRスペクトル分析によって同定した。
製造例2 1−フェニル−1−(4′−イソプロペニルフェニル)
エタンの製造 〔アルコールの合成〕 撹拌器、還流冷却器および滴下ロートの付いた内容積5
の反応容器に、金属ナトリウムで乾燥したジエチルエ
ーテル2と金属マグネシウム71gを入れた。氷冷し
ながら撹拌し、ヨウ化メチル410gを徐々に滴下し
た。続いて実施例1と同様にして得たケトン、1−フェ
ニル−1−(4′−アセチルフェニル)エタン500g
を滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌して反応
を終了させた。反応終了後、氷水と硫酸の混合液に反応
液を注ぎ、エーテル層を回収した。エーテルを蒸発させ
てアルコール495gを収率92.4%で得た。
〔1−フェニル−1−(4′−イソプロペニルフェニ
ル)エタンの合成〕 上記で得たアルコール495gを、実施例1と同様にし
て脱水することにより1−フェニル−1−(4′−イソ
プロペニルフェニル)エタン310gを収率67.7%で得
た(沸点:153℃/10mmHg、116℃/2mmHg)。
最終生成物の化学構造は、元素分析、IRスペクトル分
析およびNMRスペクトル分析によって同定した。
製造例3 1−(4′−tert−ブチルフェニル)−1−(4′−ビ
ニルフェニル)エタンの製造 撹拌器、還流冷却器および滴下ロートの付いた内容積5
のセパラブルフラスコに、tert−ブチルベンゼン13
40g(10モル)とトリフルオロメタンスルホン酸3
mlを入れ50〜60℃に保った。次に撹拌しながら、ス
チレン104g(1モル)を2時間かけて滴下し、滴下
終了後30分間撹拌した。反応終了後、触媒を水により
不活性化し、中和、水洗、乾燥後、蒸留して1−フェニ
ル−1−(4′−tert−ブチルフェニル)エタンを得
た。
次に、この1−フェニル−1−(4′−tert−ブチルフ
ェニル)エタン200gを、実施例1と同様にして塩化
アセチルと反応させ、1−(4′−アセチルフェニル)
−1−(4′−tert−ブチルフェニル)エタンを得て、
続いて、やはり実施例1と同様に、水素化ホウ素ナトリ
ウムによりアルコールとし、次に硫酸水素カリウムで脱
水することにより、収率69.2%で1−(4′−tert−ブ
チルフェニル)−1−(4′−ビニルフェニル)エタン
を得た(沸点:171℃/10mmHg、130℃/2mmH
g)。
最終生成物の化学構造は、元素分析、IRスペクトル分
析およびNMRスペクトル分析によって同定した。
製造例4 1−(3′−メチルフェニル)−1−(3′−メチル−
4′−ビニルフェニル)エタンの製造 1,1−ジメタトリルエタンを出発原料とし、実施例1
と同様にして、塩化アセチルを反応させケトンを得て、
続いて水素化ホウ素ナトリウムによりアルコールとし、
次に硫酸水素カリウムで脱水し、減圧蒸留することによ
り題記の1−(3′−メチルフェニル)−1−(3′−
メチル−4′−ビニルフェニル)エタンを収率67.1%で
得た(沸点:164℃/10mmHg、123℃/2mmH
g)。
最終生成物の化学構造は、元素分析、IRスペクトル分
析およびNMRスペクトル分析によって同定した。
製造例5 1−フェニル−1−(4′−ビニルフェニル)エチレン
の構造 乾燥テトラヒドロフラン250mlにマグネシウム14.6g
(0.601モル)を入れ、65℃に加熱して、p−ブロム
スチレン100g(0.546モル)を滴下し、グリニャー
ル試薬を調製する。これを20℃に冷却し、アセトフェ
ノン65.5g(0.546モル)を滴下した。反応液を砕いた
氷500g、水500gおよび98%硫酸15mlの混合
物に投入した。エーテル抽出により反応生成物であるア
ルコールを得た。次にこのアルコールを硫酸水素カリウ
ムで脱水し、目的物である常温液状の1−フェニル−1
−(4′−ビニルフェニル)エチレン62.8g(収率56
%)を得た(沸点:151℃/10mmHg、114℃/2
mmHg)。
この生成物の化学構造は、元素分析、IRスペクトル分
析およびNMRスペクトル分析によって同定した。
製造例6 混合オレフィンの製造 1−フェニル−1−(4′−エチルフェニル)エタン
を、下記の条件により水蒸気の存在下に脱水素すること
により、下記の組成の油を得た。
脱水素条件 触媒:日産ガードラー触媒社製、G64A炭酸カリと酸
化クロムを助触媒とする酸化鉄系触媒 粒径 14〜28メッシュ 温度:550℃ LHSV:1.0 H2O/原料(重量比):3.0 圧力:常圧 実験例1〜42 (A)電気絶縁油の調製および電気特性 表1および表2に示す配合に準じて、電気絶縁油の試料
を調製した。表1および表2中で、絶縁油NO.1、18
〜22、25、42〜44は比較例であり、その他は本
発明に係るものである。
なお、いずれの試験においても、絶縁油に酸化防止剤と
してBHTを0.2重量%添加した。また調製した絶縁油
の粘度は、いずれも40℃で4.5〜6.5cStであった。
更に、電気絶縁油の電気特性試験を行なった。その結果
を次の表3および4に示す。なお、試験はJIS C 2101
(電気絶縁油試験法)に従って行なった。
続いて、表1のアルキルビフェニル系電気絶縁油につい
て以下の試験を行なった。
(1)ポリプロピレンフィルムとの適合性 所定の形状に切断したポリプロピレンフィルム(厚み1
6μ)を、各種絶縁油中に80℃で72時間浸漬した
後、フィルムを取り出し、浸漬前後のフィルムの体積変
化率(%)を測定した。
その結果を表5に示すが、数値の小さいもの、すなわち
体積変化率の小さいもの程フィルムを膨潤させず、寸法
安定性が優れているので、ポリプロピレンフィルムとの
適合性が良いということができる。
表5に示す結果から解るように、本発明の絶縁油はいず
れもポリプロピレンとの良好な適合性を有する。一方、
1−ヘキサデセンや1−デセンのような脂肪族オレフィ
ンを含有する絶縁油19および20は、体積変化率が大
きく、ポリプロピレンとの適合性がないことが明らかで
ある。
(2)油含浸コンデンサーの試験 誘電体として厚み16μのポリプロピレンフィルムを2
枚重ねたものを使用し、電極としてはアルミニウム箔を
常法に従って巻回積層することにより、油含浸用モデル
コンデンサーを作成した。
このコンデンサーに、真空下で各種絶縁油を含浸させ、
静電容量約0.5μFの油含浸コンデンサーを作成した。
次にこれらのコンデンサーに電圧を印加し、コロナ放電
開始電圧(CSV)およびコロナ放電消滅電圧(CE
V)を測定した。測定温度は30℃である。この測定結
果を表5に示す。
また、別に同様にして作成した油含浸コンデンサーに3.
6kVの交流電圧を印加し、そのコンデンサーが破滅する
までの時間を測定することによってコンデンサーの寿命
を測定した。表5には、同一の絶縁油で含浸された7個
のコンデンサーの破壊時間の中から、最大値と最小値を
除外し、残りの5個のコンデンサーの破壊時間の平均値
を示す。また、破壊時間の数値は、ベースとなるオレフ
ィンを含まないアルキルビフェニル100%の絶縁油の
値を1.0として相対値で示した。
表5の結果から、本発明の絶縁油はコンデンサーに含浸
させた時、モノイソプロピルビフェニルのみを含浸させ
たコンデンサーよりも格段に優れた性能を示すことが明
らかであり、また、プラスチックフィルムとの適合性も
満足すべきものである。
また、脂肪族オレフィンを含む絶縁油NO.19とNO.20
ではプラスチックフィルムとの適合性がなく、プラスチ
ックを用いる油含浸電気機器に使用することは問題があ
った。
次に、表2に示したアルキルナフタレン系電気絶縁油に
ついては、以下の試験を行なった。
誘電体として、厚み28μ、幅62mmのポリプロピレンフ
ィルムと、厚み14μ、幅同じく62mmの絶縁紙を重ね
たものを使用し、電極として厚み7μ、幅50mmのアル
ミニウム箔を使用して、常法に従って巻回積層し、モデ
ルコンデンサーを作製した。
このコンデンサーに、真空下で各種の絶縁油を含浸さ
せ、静電容量約0.6μFの油含浸コンデンサーを作製し
た。
次にこれらのコンデンサーに電圧を印加し、コロナ放電
開始電圧(CSV)およびコロナ放電消滅電圧(CE
V)を測定した。測定温度は30℃である。この測定結
果を表6に示す。
また、別に同様にして作成した油含浸コンデンサーに3.
1kVの交流電圧を印加し、そのコンデンサーが破壊する
までの時間を測定することによってコンデンサーの寿命
を求めた。表6には、同一の絶縁油で含浸された7個の
コンデンサーの破壊時間の中から、最大値と最小値を除
外し、残の5個のコンデンサーの破壊時間の平均値を示
す。なお表の数値は、ベースのアルキルナフタレン10
0%の絶縁油の値を1.0としてそれぞれの相対値で示し
た。
表6の結果から、本発明の電気絶縁油を含浸させたコン
デンサーは、CSV、CEV共に高く、その寿命が格段
に改善されていることは明らかである。また脂肪族オレ
フィンを含むものよりも本発明の芳香族オレフィンを含
むものの方がはるかに優れている。
以上説明したように、本発明の電気絶縁油は、プラスチ
ックフィルムとの適合性に優れ、その絶縁耐力を向上さ
せ、また、放電エネルギーに対して安定性の優れた電気
絶縁油である。特に、プラスチック、例えばポリプロピ
レンなどのポリオレフィンを、絶縁体(誘電体)の少な
くとも一部に使用している油含浸電気機器の含浸用油と
して好適に使用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳下 等 神奈川県横浜市保土ヶ谷区峰岡町2丁目 236番地 (72)発明者 林 照三 神奈川県横浜市港南区大久保3丁目4番3 号 (56)参考文献 特開 昭57−138705(JP,A) 特開 昭56−73422(JP,A) 特開 昭57−13612(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)少なくとも1種のアルキル(シクロ
    アルキルを含む)ビフェニルおよび/またはアルキル
    (シクロアルキルを含む)ナフタレン、および (b)少なくとも1種の縮合または非縮合型の2つの芳
    香族環を有するジオレフィンからなる電気絶縁油。
  2. 【請求項2】前記アルキルビフェニルにおけるアルキル
    基の合計炭素数が1から10である特許請求の範囲第1
    項に記載の電気絶縁油。
  3. 【請求項3】前記アルキルナフタレンにおけるアルキル
    基の合計炭素数が1から10である特許請求の範囲第1
    項に記載の電気絶縁油。
  4. 【請求項4】前記芳香族ジオレフィンの配合量が0.01か
    ら50重量%である特許請求の範囲第1項に記載の電気
    絶縁油。
  5. 【請求項5】前記電気絶縁油の粘度が40℃において3
    0cSt以下である特許請求の範囲第1項に記載の電気絶
    縁油。
  6. 【請求項6】前記芳香族ジオレフィンが下記一般式(VI
    I)から(IX)で表わされる化合物である特許請求の範
    囲第1項に記載の電気絶縁油。 式中、R1、R2およびR3は炭化水素残基であり、mおよび
    nはそれぞれ0または正の整数であり、m個のR1および
    n個のR3は互いに同一または異なる置換基であり、該置
    換基の二重結合の合計は、各式において2である。
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