JP2528290B2 - 電気絶縁油組成物 - Google Patents

電気絶縁油組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な電気絶縁油組成物に関する。更に詳し
くは、ビフェニル骨格を有する化合物からなり、コンデ
ンサーに含浸するために好適な電気特性および低温特性
の優れた電気絶縁油組成物に関するものである。
[従来の技術] イソプロピルビフェニルを始め、ビフェニル骨格を有
する化合物は、従来から広く電気絶縁油、特にコンデン
サー用絶縁油として使用されている。
イソプロピルビフェニル類にはo−体、m−体および
p−体の3種の位置異性体があるが、p−体は結晶とし
て析出し易く、特開昭54-10963号公報ではm−体を多く
含ませることが提案されている。
かかる提案により、p−体の析出は抑制され、この意
味で低温特性は確かに改善はされる。
[発明が解決すべき問題点] 上記のようにイソプロピルビフェニルは広く使用され
てはいるものの、低温時に高粘度となり、またその水素
ガス吸収性は必ずしも良くない。
ここで、一般にコンデンサーおよびそれに含浸する電
気絶縁油の性能の評価は、部分放電現象を測定すること
によりなされる。この部分放電の発生機構には、水素ガ
ス吸収性との相関があると考えられている。すなわち、
部分放電の発生に先だって水素ガスが発生し、やがて発
生部位に生成した水素ガスが局部的に飽和し、やがて水
素ガスの気泡が生じ、部分放電に到る。この際、水素ガ
スの発生量が、水素ガスの吸収また拡散量を上回ると、
気泡が生じ、上述のように部分放電に至ものである。し
たがって、水素ガスの吸収または拡散量を増大させるた
めに、電気絶縁油に対して油それ自体が水素ガス吸収性
の良いこと、ならびに該電気絶縁油中における水素ガス
の拡散の良いことが要求される。
油の水素ガス吸収性それ自体は、油を構成する分子の
構造に直接関係する。
また、水素ガスの拡散、吸収は分子の構造よりも液の
粘度に関係している。すなわち、高粘度であれば物質の
移動が阻害され、その結果、水素ガスの拡散、吸収など
も抑制されることになる。
ところで、イソプロピルビフェニルは、低温において
粘度の増大が著しいという特徴がある。例えば、m−体
が多く、結晶が析出し難いというイソプロピルビフェニ
ル位置異性体混合物であっても、40℃における粘度は4.
7cStであるが、−40℃では1500cSt、−50℃に至っては1
2,000cStにも達する。このような高粘度下では、局部的
に発生した水素がスの吸収、あるいは拡散などは著しく
遅くなり、局部的に飽和量に達して気泡の発生に至り、
大きな絶縁破壊を誘引することになる。
それ故、粘度のみを見ても、イソプロピルビフェニル
類は、必らずしも低温特性が良好であるとは言えない。
したがって、低温時の粘度が低く、しかも水素ガス吸
収性の優れた電気絶縁油が望まれるものである。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、 (a) m−エチルビフェニル (b) p−エチルビフェニル (c) m−イソプロピルビフェニルおよび (d) p−イソプロピルビフェニル からなる電気絶縁油組成物であって、エチルビフェニル
類を40重量%以上含み、かつ次式で表わされる固−液平
衡式に従い計算により求められる固相の合計量が、該組
成物に対して、系の温度が−40℃において45重量%以下
である電気絶縁油組成物に関するものである。
式: ここでxiは該組成物中の成分iの液相における平衡モル
分率、 Δ▲Hf i▼は純物質としての融解熱 (cal・mol-1)、 ▲Tf i▼は該成分の純物質としての融点(K)、 Tは系の温度(K)、 R気体定数(cal・mol-1・K-1)をそれぞれ示す。
以下に本発明を更に説明する。
ここで基本骨格がビフェニルである化合物について調
べると、最小の分子量を有するビフェニルの融点は+6
9.1℃であり、それよりひとつ炭素数の多きいメチルビ
フェニルのp−体のそれは+51.5℃、m−体は+6℃、
o−体は−0.2℃であり、それ自体単独で使用すること
は無理としても、混合すれば使用できる可能性がある。
しかし、低分子量に起因して引火点が低すぎるために実
用上は問題がある。さらに炭素数がひとつ増えたジメチ
ルビフェニルには12種類の位置異性体がある。しかしな
がら、ジメチルビフェニルの経済的な製法はビフェニル
のメチル化であるが、この方法では反応の配向性から、
対称の位置にメチル基が導入され易く、たとえば対象型
である2,2−ジメチルビフェニル(融点+20℃)、3,3′
−ジメチルビフェニル(同+9℃)、4,4′−ジメチル
ビフェニル(同+122.5℃)の混合物としてジメチルビ
フェニルが得られる。したがって、融点の極めて高い異
性体の混入が避けられない。それ故に、経済性をも考慮
するとジメチルビフェニルは好ましくない。
ジメチルビフェニルと同一分子量のエチルビフェニル
には、融点が+35.5℃のp−体、同じく−27.6℃のm−
体、同−6.1℃のo−体がある。p−体は高いもののジ
メチルビフェニル程の高い融点ではない。
このエチルビフェニルの工業的に安価な唯一ともいえ
る製法は、やはりフリーデル・クラフツ反応を利用した
ビフェニルのエチレンによるアルキル化である。しかる
にアルキル化反応においてはo−体は実質的に生成しな
い。トランスアルキル化を利用する反応で製造しても同
様である。
したがってエチルビフェニルの位置異性体であるm−
体とp−体は安価に製造でき、それ単独では無理である
としても、混合して組成物とすれば電気絶縁油として優
れたものになる可能性がある。
そこで、エチルビフェニルの粘度および水素ガス吸収
性を比較した表を次に示す。
用いた混合物は、それぞれ塩化アルミニウムをアルキ
ル化触媒としてエチレンまたはプロピレンによりビフェ
ニルをアルキル化して製造した。得られた位置異性体混
合物中には、いずれの場合にもo−体は殆んど含まれて
いなかった。
前表から明らかなように、エチルビフェニルはイソプ
ロピルビフェニルよりも低温時における粘度が極めて優
れている。また、水素ガス吸収性も約10%高い値を示
す。
したがって、エチルビフェニルは優れた低温特性を有
するが、エチルビフェニルのm−体とp−体の2成分系
の共晶点は−36℃である。言い換えると、エチルビフェ
ニル類では、たとえ混合したとしても、−40℃または−
50℃という低温では液体として存在せず、絶縁油として
の機能を果たし得ないことは明らかである。
そこで、本発明においては、エチルビフェニル類にイ
ソプロピルビフェニル類を混合した組成物として、各成
分間の融点(凝固点)降下の効果により低温特性を改善
する。イソプロピルビフェニルより高分子量のビフェニ
ル骨格の化合物では、高分子量に起因して、低温時の粘
度が高くなり過ぎて好ましくない。また、水素ガス吸収
性も低下する傾向がある。
本発明においては、イソプロピルビフェニルとして、
その位置異性体であるm−体とp−体を選択する。イソ
プロピルビフェニルの安価な工業的な製法はビフェニル
のアルキル化であるが、前述の表1にも示したように、
エチルビフェニルの場合と同様、o−体は殆ど生成しな
い。したがって安価に得られるイソプロピルビフェニル
として、そのm−体およびp−体を選択する。
それ故、本発明はm−エチルビフェニルおよびp−エ
チルビフェニルに、m−イソプロピルビフェニルおよび
p−イソプロピルビフェニルの4成分からなる電気絶縁
油組成物であり、いずれのビフェニルも工業的に安価に
製造することができるので有利である。
本発明の電気絶縁油組成物は、エチルビフェニルを含
むために低粘度であるが、これが災いして逆に−40℃ま
たは−50℃という低温において結晶が析出し易い。すな
わち、高粘度により分子の易動度が低下し、結晶が生成
するのを抑制する効果は期待できない。しかしながら、
−40℃または−50℃という低温でも結晶が生成しない、
すなわち、固相が存在しないか、または存在しても極く
少量に留まるような前記4成分の組成割合は、極く狭い
範囲の割合でしかなく、このようなものでは、現実には
実用性の乏しい絶縁油にならざるを得ない。
ここで、この問題をさらに敷衍して固相の存在と部分
放電との係わり合いについて考察するためにまず次のよ
うに仮定したとする。結晶の析出の開始は不規則な場所
から多発的に起こり、順次成長して行くとして、その結
晶が、電極の電位が集中する端部などの相対的な弱点部
や固体絶縁体の欠陥部をたまたま覆い、液体絶縁油とし
て作用しなくなることにより、低い電圧の印加で部分放
電が起り得る。このように仮定すると、晶出による部分
放電電圧の低下と結晶の析出量の関係は、相対的な弱点
部に結晶が存在することの確率に依存することになり、
少量でも晶出すればその確率は低いが起り得ることにな
る。したがって低温において固相が存在する可能性の高
い混合物は、低温対策用の電気絶縁油には好ましくない
という結論に至る。
そこで、本発明者らは、ポリプロピレンフィルムのみ
を誘電体として用いた箔巻型のコンデンサーに、エチル
ビフェニルとイソプロピルビフェニルとの混合物を含浸
させ、低温において繰り返して課電し、部分放電圧を測
定しその挙動を観察すると共に、低温における固相の割
合を前記固−液平衡式に従って計算で求めて、部分放電
の挙動と固相量との関係を詳細に検討した。
液体同士では互いに相溶し、固体では相溶しない多成
分系の共晶点、平衡組成、固相の量すなわち結晶の量な
どは、前記固−液平衡式に従い計算により求めることが
できるのは、物理化学の教示するところである。一般式
としての固−液平衡式には活量係数も含まれるが、本発
明においては同係数が1に等しいとして計算して良く実
験値と一致する。したがって、以後は活量係数は1に等
しいものとする。簡単な2成分系の計算例についてはフ
ィジカルケミストリー(Physical Chemistry、Walter
J.Moore、second edition、Prentice-Hall社発行)、第
6章溶液と相平衡に記載されている。
ここで、簡略に固相の計算例を説明する。物質Aと物
質Bからなる液体の絶縁油があるとする。この2成分系
の共晶点は、Aについての前記固−液平衡式およびBに
ついての前記固−液平衡式を連立方程式として解くこと
により求められる。
系の温度が、上で求めた共晶点以下のときは、この組
成物は全て凝固するので、固相の割合は100%となる。
系の温度が、上で求めた共晶点を越えるときは、系の
温度を固−液平衡式に代入して求めたそれぞれの物質の
モル分率xA、xBと、液100%のときの同じくモル分率▲
1 A▼、▲x1 B▼とをそれぞれ比較する。▲x1 A▼-xA
の値が正のとき、この値に対応する分のAが固体として
析出する。Bについても同様にしてBの析出分が計算で
きる。この合計がその系の温度における固相の量とな
る。なお、各物質の析出量が解るから、逆算すれば、こ
のときの液相の組成も解る。
前記固−液平衡式に従って計算をするには、組成物中
の各成分の純物質としての、融解熱および融点が知られ
ていることが必要であるので、以下に、エチルビフェニ
ル、イソプロピルビフェニルの融点、融解熱を示す。
なお、m−イソプロピルビフェニルは、ビフェニルの
結晶を核として入れて、−40℃〜−50℃の温度サイクル
で1週間冷却しても結晶の析出が見られなかった。すな
わち、融点は−40℃以下と考えられ、少なくとも本発明
の固−液平衡式を用いる計算においては、m−イソプロ
ピルビフェニルは非結晶性、すなわち常に液体であると
して扱うことができる。それ故、以後の計算ではm−イ
ソプロピルビフェニルは、液として固相の量などを求め
る。
固相の組成物に対する割合(重量%)と、部分放電の
状態をまとめると次のようになる。
すなわち、エチルビフェニルとイソプロピルビフェニ
ルとの混合物を含浸させてなるコンデンサーの、−40℃
および−50℃という低温における部分放電の挙動は、次
の(ア)から(ウ)の3種類の状態に分類できた。
(ア) 課電電圧は20〜50V/μの電位頻度で部分放電が
開始し、しかも、しばしば測定中にコンデンサー自体の
絶縁破壊に至ることがある。
(イ) 電圧頻度は40〜100V/μという比較的高いレベ
ルで部分放電が開始する。しかし、多数のコンデンサー
により、各々複数回測定してみると、測定値は非常に揺
れ幅が大きく、再現性がない。
(ウ) 固相が存在しても、部分放電の開始電圧のレベ
ルは、全て液相であり固相が存在しない温度領域と同様
の高いレベルを示し、しかも再現性も同様にある。した
がって、この状態ならばコンデンサーは液含浸の温度領
域と同様に動作し得る。
この分類に従って、コンデンサーについての測定デー
ターを整理すると、−40℃および−50℃という低温にお
ける上記の部分放電の状態と、該温度における固−液平
衡式から計算された固相の含有量との間に相関性がある
ことが見出された。
すなわち、ジエチルビフェニルとイソプロピルビフェ
ニルの混合物系では、固相の存在量が、全混合物に対し
て45重量%を越えるが、全てが固相ではない系では、コ
ンデンサーの部分放電の状態は、上記(イ)の状態とな
り、部分放電の開始電圧の測定値は極めてが再現が劣る
ものとなる。しかしながら、固相の量が45重量%以下の
場合は、臨界的に(イ)の状態とはならず上記(ウ)の
状態、すなわち実質的に全て液相の場合と同様の部分放
電の状態を示すことが確認された。なお念のため、−50
℃よりもさらに冷却し、ほぼ100%固相の状態で、コン
デンサーの部分放電を測定した場合は、上記(ア)の状
態であった。
上述の如く、固相が45重量まで存在しても、コンデン
サーが十分に動作するという知見は、前述の確率的に析
出する結晶とコンデンサーの絶縁破壊とが関係するとす
る仮定と明らかに矛盾するが、本発明者らは次のように
解決する。
まず、含浸コンデンサー中の電気絶縁油において、固
相の割合が45重量%を越えると、液相の体積に比べて固
相の体積が多くなり、液相は孤立、分散し、所謂分散相
となるか、またはたとえ所謂連続相であっても、多数の
結晶の間隙を縫って液相が連続するような不十分な連続
相であって、特に物質移動の観点からは実質的に分散相
といえるような相にならざるを得ない。このような場
合、部分放電の前駆現象として、局部的に水素ガスを始
めとするガスが発生した場合に、発生ガスは充分に拡散
し、吸収されないことになる。含浸させた電気絶縁油が
この状態にあるとき、コンデンサーの部分放電を測定す
ると、充分なガスの移動を妨げている箇所から、低い印
加電圧でも部分放電が開始することになる。また微視的
には、実質的に孤立している液相のそれぞれの体積ない
しは形状は一様ではないであろうから、元々ガスを発生
し易い箇所と、物質移動の観点からガスの拡散、吸収し
にくい箇所とが重なれば、著しく低い電圧で部分放電が
開始することもあり得る。この結果前記(イ)の状態の
如く、部分放電の開始電圧の測定値は再現性に劣ること
になると考えられる。
一方、固相の割合が45重量%以下になると、固相と液
相の比重差から、容積では固相の割合はさらに小さくな
り、その結果実質的に液相は連続相となると考えられ
る。
前述の発生ガスの物質移動は、液中のガス拡散あるい
は液自体の移動などの要因に関係するが、いずれにしろ
低粘度の液である方が物質移動には有利である。本発明
においてはエチルビフェニルそれ自体の粘度は低く、そ
れ故組成物の粘度も比較的低い。したがって、水素ガス
の拡散、吸収のための物質移動の観点からも有利であっ
て、固相が45重量%近く存在していたとしても、実質的
に全てが液相である状態と同じ挙動を示すものと考えら
れる。
また、偶発的にしろ、析出した僅かな固体が、直接た
とえば電極端部に付着した場合の挙動はどうかといえ
ば、このような場合は余り問題はないと考える。
すなわち、電極箔端の形状を、たとえば箔端を折り曲
げて丸くすることにより、鋭角的な部分を少なくする
と、このような電極で構成したコンデンサーの電力消失
は減少することが知られており、このことから逆に電極
の変形あるいは鋭角的な部分には電位が集中し、電力が
消費される。すなわち発熱していることになる。したが
って、電極にわずかな結晶が付着し、該電極が見かけ状
変形すると、この変形した場所は発熱し、少なくとも電
極と接触している部分の結晶は融解し、液体になってい
るであろう。このようになると、実質的に電極は液体で
覆われることになり、部分放電については特に考慮する
必要がないと考えられる。
本発明の電気絶縁油組成物はm−およびp−エチルビ
フェニルと、m−およびp−イソプロピルビフェニルの
4成分系の混合物からなるものであり、前記固−液平衡
式に従い計算される固相の含有量が、組成物全体に対し
て、系の温度が−40℃、好ましくは−50℃において、45
重量%となるように4成分の組成割合を選択することに
より得られる。
但し、組成物中のエチルビフェニルの量は40重量%以
上であることが好ましい。何故ならば、エチルビフェニ
ルはイソプロピルビフェニルよりも水素ガス吸収性など
が優れているので、40重量%よりも少ない量のエチルビ
フェニルしか含まれていないときには、本発明の組成物
も水素ガス吸収性が劣ることになり好ましくない。
本発明の電気絶縁油組成物を使用する際には、本発明
の目的の範囲内で、他の公知の電気絶縁油を任意の割合
で添加して用いることができる。このような他の絶縁油
としてはジイソプロピルナフタレンなどが挙げられる。
本発明の電気絶縁油組成物を含浸する好適なコンデン
サーは所謂箔巻コンデンサーである。このコンデンサー
は、電極としてのアルミニウム箔などの金属箔と、誘電
体もしくは絶縁体としてのプラスチックフィルムとを重
ねて巻回してなるコンデンサー素子に、電気絶縁油を含
浸してなるものである。プラスチックフィルムと共に絶
縁紙を用いることもできるが、好ましくは全てプラスチ
ックフィルムを用いる。プラスチックフィルムとして
は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフ
ィンフィルムが好ましい。コンデンサー素子への電気絶
縁油組成物の含浸は常法に従い行なうことができる。
[発明の効果] 水素ガス吸収性に優れるエチルビフェニルが組成物中
に40重量%以上含まれているために、本発明の組成物は
水素ガス吸収性に優れたものとなる。
同じく粘度、特に低温における粘度が低いエチルビフ
ェニルを含んでいるので、低温時の粘度を低くすること
ができ、その結果、前記水素ガス吸収性の改良と相まっ
て、本発明の絶縁油組成物は−40℃または−50℃という
低温特性が良好である。
本発明の組成物は4成分の混合物とすることにより、
成分相互の融点(凝固点)降下が期待でき低い融点を有
する。
さらに、−40℃または−50℃という低温において固相
の量が45重量%以下ならば、全て液相である場合と同様
の部分放電の挙動を、本発明の組成物を含浸してなるコ
ンデンサーは示す。すなわち、45重量%までは結晶が析
出してもよいので、現実に選択できる4成分の割合の選
択の幅は広がり、これは本発明のビフェニル類が、工業
的に安価に製造できるビフェニル類であることと共に、
本発明に実用的な価値をもたらすものである。
以下に実施例により本発明を詳述する。
[実施例] (実験例1) 実験に用いたコンデンサーは次のとおりである。固体
絶縁体としてはチューブラー法で作られた信越フィルム
製の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの易含浸タイ
プを用いた。
厚さ14μ(マイクロメーター法)のものを2枚使用
し、これをアルミ箔電極と共に巻回して、静電容量が0.
3から0.4μFの素子を作り、これをブリキ製の缶に入れ
た。缶は絶縁体油が低温で収縮したときに充分に対応で
きるように柔軟な構造にした。また、電極の端部はスリ
ットしたままで折り曲げてないものとした。
電極から端子までを結線する方法として、一般には素
子内部の電極面にリボン状のリード箔を挿入する方法が
用いられているが、この方法では、結晶が析出した場合
に、リード箔と電極面で接触不良を起こし、電極からの
部分放電が生じて測定できない恐れがある。このため本
実験以後では、高周波用に用いられる方法と同じく、電
極の一端をそれぞれフィルムよりはみ出した構造で巻
き、はみ出した部分をまとめてリード線とスポット溶接
する構造にした。
このようにして準備された缶型のコンデンサーを、常
法に従って真空乾燥した後、同じ真空下で絶縁油を含浸
し、封口した。次に含浸を一定にし安定化するために、
最高80℃の温度で2昼夜熱処理を施した。これを室温で
5日間以上放置した後、AC1400V(50V/μに相当)にて3
0℃の恒温槽で16時間課電処理をした後に実験に供し
た。
ここで、含浸させた電気絶縁油は、前記表1に記載し
たエチルビフェニル混合物と同じくイソプロピルビフェ
ニルを所定の割合で混合することにより調製された絶縁
油である。
含浸させたコンデンサーは、昼夜は測定温度で、夜は
測定温度より10℃低い温度という温度サイクルで一週間
冷却した後、測定温度で一昼夜放置し測定に共した。
測定時の課電する電源をONにすると、交流の電圧がゼ
ロになった時にスタートする機構(ゼロクロススター
ト)のものを使用した。
課電のスタートは、従来の測定法であるいわゆるラン
プテストで予想された部分放電開始電圧(PDIV)よりも
20V/μ高い電圧から始め、電圧を一定に保ち、部分放電
が開始されれるまでの時間(「PDST」と略す)を測定し
た。放電の検出および時間の測定にはマイクロプロセッ
サーを組み込んだデーター処理装置で、0.02秒まで測定
できるものを用いた。次いで電圧を5V/μ下げてPDSTを
測定し、以後同様に順次5V/μずつ下げて、測定時間が
1秒を越えるまで続けた。このようにして得られたPDST
から「部分放電が1秒後に発生するための電圧」を内挿
によって求め、これを「PDIV1秒値」とした。
各絶縁油について、5個のモデルコンデンサーを作製
し、それぞれのコンデンサーについて5回づつ測定する
ことにより、合計25個の測定値を得た。
測定温度−40℃および−50℃におけるPDIV1秒値の最
大値および最小値を表3に示す。
また前記固−液平衡式に従い計算して求めた固相の合
計量の、系の温度が−40℃および−50℃における値も併
せて表3に示した。
表の結果から次のことがわかる。
まず、PDIV1秒値の最大値、最小値と固相の割合の関
係を見ると、固相の割合が45重量%以下では、たとえ固
相が存在しても、PDIV1秒値の最大値と最小値の巾は殆
ど変わらない。すなわち、固相が存在しても、全て液相
である場合とほぼ同様な挙動を示す。これは本文中で説
明した(ウ)の状態といえる。しかし、固相の割合が45
重量%を越える、最大値と最小値の巾は大となり、再現
性が極端に低下する。この状態は前記(イ)である。さ
らに固相の割合が増して100%になると、再現性はやや
改善されるものの、PDIV1秒値それ自体は極めて低い値
を示す。この状態は前記(ア)の状態といえる。
PDIV1秒値の値をそれ自体と、成分の混合割合をみる
と、固相の割合が45重量%以下であるような組成では、
エチルビフェニルの含有量が減少すると共に、PDIV1秒
値の再現性は変わらないが、PDIV1秒値の値それ自体、
すなわち平均値は低下していくことが認められた。また
エチルビフェニル混合物のみの系では、PDIV1秒値は極
めて低い値を示している。
以上のことから、高いPDIV1秒値と高い再現性のいず
れも満足させるためには、エチルビフェニルとイソプロ
ピルビフェニルの混合物からなる組成物となし、しかも
この際固相の割合が45重量%以下でなければならないこ
とがわかる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) m−エチルビフェニル (b) p−エチルビフェニル (c) m−イソプロピルビフェニルおよび (d) p−イソプロピルビフェニル からなる電気絶縁油組成物であって、エチルビフェニル
    類を40重量%以上含み、かつ次式で表わされる固−液平
    衡式に従い計算して求められる固相の合計量が、該組成
    物に対して、系の温度が−40℃において45重量%以下で
    ある電気絶縁油組成物。 式: ここでxiは該組成物中の成分iの液相における平衡モル
    分率、 Δ▲Hf i▼は純物質としての成分iの融解熱 (cal・mol-1)、 ▲Tf i▼は純物質としての成分iの融点(K)、 Tは系の温度(K)および Rは気体定数(cal・mol-1・K-1)である。
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