JP5993936B2 - 広い温度領域での性能に優れたコンデンサ油 - Google Patents

広い温度領域での性能に優れたコンデンサ油 Download PDF

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Description

本発明は、広い温度領域での性能に優れたコンデンサ油に関する。
コンデンサ油として主に求められる性能は、絶縁破壊電圧が高いことをはじめ、水素ガス吸収性が高いこと、粘度が低いこと、さらに融点が低いことが挙げられる。近年、世界的に絶縁破壊電圧の高い電気絶縁油が使用されつつある。従来とは異なり、世界経済の発展に伴って、これまで使用されていなかった極低温の地域でも使用できるような低温特性に優れた電気絶縁油が求められている。電気絶縁油は使用の際に、油中に固形物が発生するとその部分から放電が発生しやすくなることが知られており、その使用環境下で凝固物質が析出するような電気絶縁油は使用できない。一方、電気絶縁油の使用温度は使用環境における気温に左右されるため、極低温の性能だけでなく20〜30℃付近での性能も同時に兼ね備える必要がある。
長きに渡って、高い絶縁破壊電圧を有する電気絶縁油として、ベンジルトルエンとジベンジルトルエンの混合物が使用されている。ベンジルトルエンは分子中の芳香族炭素の比率が高く、水素ガス吸収性が高く、耐電圧特性に優れているが、ベンジルトルエンの3種の位置異性体の融点は、文献によればo体+6.6℃、m体−27.8℃およびp体+4.6℃と、決して低い融点とは言えない。
このような問題を解決するために、特開昭60−87231号公報(特許文献1)では、トルエンとベンジルクロライドとを塩化鉄触媒で反応させて得られるベンジルトルエンに、共生成物であるジベンジルトルエンを混合することが提案されている。特許文献1の提案と同一技術内容の商品として、アルケマ社からジャリレック(JARYLEC)C−101なる商品名で商品化されている電気絶縁油がある。なお、特許文献1は、トリアリールメタンのオリゴマー混合物を開示しているが、その実質はベンジルトルエンとジベンジルトルエンの混合物である。特許文献1の第3頁には、モノベンジルトルエンは「過冷却後には−20℃で晶出する欠点を有し」と記載され、この晶出の抑制のためにジベンジルトルエンを混合してなる組成物としている。
しかしながら、ジベンジルトルエンの如き化合物を添加することは、次の3つの理由から得策ではない。すなわち、ジベンジルトルエンの添加により凝固点降下現象を期待するとしても、ジベンジルトルエンが高分子量であるために、加えた重量ほどには凝固点が降下しない。凝固点降下現象は、添加した物質のモル濃度に比例するが、前記商品JARYLEC C−101に加えられている20重質%程度のジベンジルトルエンではその晶出温度の降下はモル濃度から計算すると6〜8℃程度にすぎない。
2つ目の理由は、ジベンジルトルエンは単に絶縁油の粘度を上昇させ、液分子の移動速度を低下させて見掛け上結晶の析出を抑制しているに過ぎない。それ故、注意深く冷却すれば結晶の析出が見られるのである。
3つ目の理由は、ジベンジルトルエンが高い生物蓄積性を有することにある。近年、ストックホルム条約等によって、高毒性を有する物質については国際的な規制がかかり始めている。ジベンジルトルエン自体は当該規制にかかっていないものの、日本国内においては、生物蓄積性が高いことから第一種監視化学物質に指定されている。当該物質の使用自体はエッセンシャルユースという形態で使用用途を限定することで使用が認められているものの、今後、高毒性の物質への規制が強まることは必至であり、低毒性な代替物質が求められている。
また、特開昭62−180907号公報(特許文献2)にはベンジルトルエンで構成された電気絶縁油として、ベンジルトルエン中の各異性体の比率と絶縁油性能との関係に関する記載がなされているが、異性体混合物の融点が−43℃以上であるなど低温特性が十分ではない。
特開昭63−64217号公報(特許文献3)にはベンジルトルエンとジトリルメタンで構成された電気絶縁油が記載されているが、配合する物質やその配合割合によって、性能が大きく変わっていることが分かる。すなわち、電気絶縁油は配合する物質によって、理屈では考えられないような性能を引き出すことがまれにある。
他方、1−フェニル−1−キシリルエタン或いは1−フェニル−1−エチルフェニルエタンもその製造が容易であり、絶縁破壊電圧が比較的高く、誘電損失が小さいなどの優れた特性を有していることから広く用いられている。例えば絶縁破壊電圧や誘電損失が優れていることに加え、酸化安定性が特に優れている電気絶縁油組成物として1−フェニル−1−(2,4−ジメチルフェニル)エタンあるいは1−フェニル−1−(2,5−ジメチルフェニル)エタンからなる組成物が提案されている(特開昭57−50708号公報:特許文献4)。
しかしながら、1−フェニル−1−キシリルエタン或いは1−フェニル−1−エチルフェニルエタンからなる電気絶縁油組成物は、流動点が−47.5℃以下であり融点が非常に低いものの、40℃における動粘度が5.0mm/s程度と高いために、特に0℃以下の低温領域においてコンデンサの絶縁性能が十分でないという問題が有った。
ところで、1,1−ジフェニルエタンは絶縁破壊電圧、水素ガス吸収性が高く、40℃における動粘度は2.8mm/s、凝固点も−18℃と低いため、低温特性に優れた電気絶縁油として有望な物質である。1,1−ジフェニルエタンの凝固点は低いものの、それ
単独では凝固点以下の温度領域においては使用できない。
特開昭60−87231号公報 特開昭62−180907号公報 特開昭63−64217号公報 特開昭57−50708号公報
本発明は、−50℃〜30℃の広範な温度範囲において、絶縁破壊電圧を高く維持しつつ、特に−50℃で結晶が極めて析出し難い、優れたコンデンサ油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンとから成り、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの比率およびベンジルトルエンの異性体の割合を変えることで、−50℃〜30℃の広範な温度範囲において、優れたコンデンサ油となることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンから成り、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの質量比が0.8〜2.0、ベンジルトルエン中のオルソ体とパラ体の合計が90質量%以下であり、かつ40℃における動粘度が3.00mm/s以下であることを特徴とするコンデンサ油である。
また本発明は、さらにエポキシ化合物を0.01〜1.0質量%含有することを特徴とする前記記載のコンデンサ油である。
また本発明は、塩素分が1質量ppm以下であることを特徴とする前記記載のコンデンサ油である。
さらに本発明は、前記記載のコンデンサ油を含浸してなることを特徴とする誘電体の少なくとも一部にポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサである。
本発明のコンデンサ油は結晶が極めて析出し難く、それを含浸してなるコンデンサは実用上−50℃という低温でも使用できるという特徴を有し、かつ30℃においても高い絶縁破壊電圧を示す、広い温度領域での特性に優れたコンデンサ油である。また、本発明のコンデンサ油の各成分は、生体に対する悪影響などが無いため、実用的に極めて優れたコンデンサ油である。
以下に本発明をさらに説明する。
本発明に係るコンデンサ油は、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンを配合したジアリールアルカン混合物からなる。
1,1−ジフェニルエタン(1,1−DPE)とベンジルトルエン(BT)の配合比(1,1−DPE/BT)は、質量比で0.8〜2.0であることが必要である。ベンジルトルエンは1,1−ジフェニルエタンに比べ融点が高いため、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの比が0.8を下回ると、相対的に結晶が析出しやすくなるため好ましくない。また、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの比が2.0を超えると、共晶の効果が十分得られなくなるため好ましくない。
ベンジルトルエンは水素ガス吸収性が高く、粘度も低いものの、その融点は前記のとおりo体+6.6℃、m体−27.8℃およびp体+4.6℃であり、−50℃での使用に関しては必ずしも十分なものではない。本発明において、ベンジルトルエン中のオルソ体とパラ体の合計量が90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。オルソ体とパラ体の合計が90質量%を超えると結晶が析出しやすくなるため好ましくない。
1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンからなるコンデンサ油においては、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエン以外の炭素数12〜18のアルキルベンゼン、シクロアルキルベンゼン、2環の芳香族、多環芳香族等の他の炭化水素が含まれる場合においても、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの合計含有量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上が最も好ましい。合計含有量が90質量%に満たない場合、絶縁破壊電圧の低下等のおそれがある。
コンデンサ油の粘度は高いほど、コンデンサ内で油が循環(対流)しにくくなるため、放電による発熱を除去しにくくなる。そのため、粘度は低いほど好ましい。そのため、40℃における動粘度は、3.00mm/s以下であることが必要であり、好ましくは2.70mm/s以下である。
ベンジルトルエンは、ベンジルクロライドとトルエンを反応させて製造されるため、電気絶縁油中に塩素分を相当量含むが、塩素分は絶縁油の性能を悪化させることが分かっている。このためコンデンサ油中の塩素分は、50質量ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10質量ppm以下、特に好ましくは1質量ppm以下である。塩素分が多いと、コンデンサ油としての性能を悪化させる。絶縁油は白土処理を行うことで絶縁油の性能に悪影響を及ぼす極性物質を除去するが、有機塩素分は白土での処理が難しいため、製造段階で塩素濃度を低くする必要がある。
本発明のコンデンサ油は、結晶が極めて析出し難く、それを含浸してなる油浸コンデンサは実用上−50℃という低温でも使用できるという特徴を有する。
本発明のコンデンサ油は−50℃で流動状態である。また、本発明のコンデンサ油の結晶析出温度は好ましくは−50℃以下である。結晶析出温度が−50℃よりも高くなると低温領域での絶縁性能が低くなる傾向があるため好ましくない。
なお、流動状態の確認及び結晶化析出温度の評価は、試料を−50℃で、1030時間保った後、試料の流動化状態と結晶析出の有無を目視で観察することにより行った。詳細な評価方法と、−50℃、1030時間後の流動状態の確認および結晶析出の有無の評価結果を実施例に示した。
電気絶縁油の性能は、水や極性物質の含有により誘電正接が高くなるが、誘電正接が高いと絶縁性が低くなるため、電気絶縁油としての性能は悪化する。これらを回避するために、活性白土と接触させこれらを除去すると、誘電正接が低減し性能が良化する。使用させる活性白土は、特に限定されない。活性白土の形状としては、特に限定されないが、実用上の観点から成型体の方が好ましい。塩素分については必ずしも活性白土で除去できないため、塩化水素のトラップ剤としてエポキシ化合物を添加するのが好ましい。このエポキシ化合物は活性白土と接触させることによって、ある程度除去されることからエポキシ化合物は電気絶縁油が白土処理された後に添加するのが望ましい。
エポキシ化合物としては、たとえば脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ−6−メチルヘキサン)カルボキシレートなど、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物であるフェノールノボラック型エポキシ化合物、オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物などが例示される。添加量としては0.01〜1.0質量%、好ましくは0.3〜0.8質量%である。添加量が0.01質量%未満では塩素分をトラップする効果が発揮されず、1.0質量%を超えると絶縁油の電気特性が低くなり、コンデンサ内部で誘電損失となって発熱しコンデンサの性能を損ねるおそれがある。
本発明のコンデンサ油は、プラスチックフィルムを絶縁材料または誘電体材料の少なくとも一部に使用した油含浸コンデンサに含浸させるために好適である。
プラスチックフィルムとしては、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデンなどの他、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどを用いることができるが、その中でもポリオレフィンフィルムが好適である。特に好適なポリオレフィンフィルムはポリプロピレンフィルムである。
本発明において好適な油含浸コンデンサは、導体としてアルミニウムなどの金属箔と、前記絶縁材料または誘電体材料としてのプラスチックフィルムとを、必要に応じて絶縁紙などの他の材料と共に巻回し、常法により絶縁油を含浸させることにより製造される。あるいは、前記絶縁材料または誘電体材料としてのプラスチックフィルム上に、アルミニウム、亜鉛などの導体としての金属層を蒸着などの方法により形成した金属化プラスチックフィルムを、必要に応じてプラスチックフィルムあるいは絶縁紙と共に巻回し、常法により含浸することによっても製造される油含浸コンデンサである。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1,1−ジフェニルエタン60質量%、ベンジルトルエン40質量%に調製した混合油を用い、後述の−50℃での結晶化実験(実験例A)およびモデルコンデンサによる試験油の評価実験(実験例B)を行った。なお、実験例Bでは、前記混合油に、実験例Bに記載のエポキシ化合物を添加している。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは特公平8−8008号公報の参考製造例の追試において得られた異性体混合物(o−体4質量%、m−体59質量%、p−体37質量%)および特開昭62−180907号公報の電気絶縁油の製造の追試において得られたベンジルトルエンの各異性体をブレンドし、ベンジルトルエン中の異性体をオルソ体3質量%、メタ体51質量%、パラ体46質量%とした。
(実施例2)
1,1−ジフェニルエタン50質量%、ベンジルトルエン50質量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは実施例1と同じものを用いた。
(実施例3)
1,1−ジフェニルエタン60質量%、ベンジルトルエン40質量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは特公平8−8008号公報の参考製造例の追試において得られた異性体混合物(o−体4質量%、m−体59質量%、p−体37質量%)および特開昭62−180907号公報の電気絶縁油の製造の追試において得られたベンジルトルエンの各異性体をブレンドし、ベンジルトルエン中の異性体をオルソ体24質量%、メタ体28質量%、パラ体48質量%とした。
(実施例4)
実施例3と同じ混合油を用い、後述の実験例Aを行い、実験例Bのエポキシ化合物添加量を0.95質量%とした以外は同一の手順で実験例Bを行った。
(実施例5)
実施例3と同じ混合油を用い、後述の実験例Aを行い、実験例Bのエポキシ化合物を添加しなかった以外は同一の手順で実験例Bを行った。
(比較例1)
1,1−ジフェニルエタン73質量%、ベンジルトルエン27質量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは実施例1と同じものを用いた。実験例Aの1030時間では、結晶が析出したが、実験例Bでは測定終了まで200時間程度であったため、絶縁破壊電圧を測定することができた。
(比較例2)
1,1−ジフェニルエタン20質量%、ベンジルトルエン80質量%に調製した混合油を用い、後述の実験例Aの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは実施例1と同じものを用いた。1030時間以前に完全に固化したため、実験例Bは実施しなかった。
(比較例3)
1,1−ジフェニルエタン60質量%、ベンジルトルエン40質量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは特公平8−8008号公報の参考製造例の追試において得られた異性体混合物(o−体4質量%、m−体59質量%、p−体37質量%)および特開昭62−180907号公報の電気絶縁油の製造の追試において得られたベンジルトルエンの各異性体をブレンドし、ベンジルトルエン中の異性体をオルソ体44質量%、メタ体6質量%、パラ体50質量%とした。
(比較例4)
ベンジルトルエン80質量%、ジベンジルトルエン20重量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは比較例3と同じものを用いた。
(比較例5)
1,1−ジフェニルエタン66質量%、ベンジルトルエン34重量%に調製した混合油を用い、後述の実験例A、Bの実験を行った。結果を表1に示す。ベンジルトルエンは比較例3と同じものを用いた。
<実験例A>(−50℃での結晶化実験)
結晶析出と温度の関係コンデンサの性能を維持するためには、最低許容温度の−50℃までコンデンサ油が結晶を析出しないことが望まれる。コンデンサ油の結晶析出を確認するために、実施例1〜5、比較例1〜5のそれぞれの油(以下、「試験油」と称する。)を100mlのサンプル瓶に入れ、低温恒温槽内に静置し、その温度を1030時間保ち結晶の析出を目視によって観察した。結果を表1に示す。表において、「○」とは液に透明性があり結晶の析出が見られない状態、「×」とは透明性がなく一部に結晶析出が見られるが流動している状態、または結晶が析出し全体が固化した状態をそれぞれ示す。−50℃以下でも固化しない本発明のコンデンサ油はコンデンサの性能を最低許容温度まで維持できるものである。
<実験例B>(モデルコンデンサによる試験油の評価)
実験に用いたコンデンサは次の通りである。固体絶縁体としてはチューブラー法で作られた信越フィルム(株)製の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの易含浸タイプを用いた。
厚さ12.7μm(重量法)のものを2枚使用し、これをアルミ箔電極と共に巻回して、静電容量が0.2から0.3μFの素子を作り、これをブリキ製の缶に入れた。缶は絶縁体が低温で収縮したときに充分に対応できるように柔軟な構造にした。また、電極の端部はスリットしたままで折り曲げてないものとした。
電極から端子までを結線する方法として、一般には素子内部の電極面にリボン状のリード箔を挿入する方法が用いられているが、この方法では、結晶が析出した場合に、リード箔と電極面で接触不良を起こし、電極からの部分放電が生じて測定できないおそれがある。このため本実験以後では、高周波用に用いられる方法と同じく、電極の一端をそれぞれフィルムよりはみ出した構造で巻き、はみ出した部分をまとめてリード線とスポット溶接する構造にした。
このようにして準備された缶型のコンデンサを、常法に従って真空乾燥した後、同じ真空下で試験油を含浸し、封口した。次に含浸を一定にし安定化するために、最高80℃の温度2昼夜熱処理を施した。これを室温で5日間以上放置した後、AC1270V(50V/μmに相当)にて30℃の恒温槽で16時間課電処理をした後に実験に供した。
誘電体として厚み12.7μmのポリプロピレンフィルムを2枚重ねたものを使用し、電極として、アルミニウム箔を常法に従って、巻回、積層することにより、油含浸用のモデルコンデンサを作成した。
このコンデンサに、真空下で各試験油を含浸させて、静電容量0.26μFの油含浸コンデンサを作成した。なお、含浸にあたっては各試験油を予め活性白土で処理して用いた。すなわち水沢化学工業(株)製の活性白土ガレオナイト#036を試験油に10質量%添加し、液温25℃で30分間撹拌しその後濾過した。濾過後塩素捕獲剤としてエポキシ化合物(脂環式エポキシド;商品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学工業(株)製)を0.65質量%添加して含浸用に用いた。
次に、これら油含浸コンデンサを所定の温度下で所定の方法で交流電圧を課電して、コンデンサが絶縁破壊を起こした電圧と時間から下記式により絶縁破壊電圧を求めた。なお所定の課電方法とは、電位傾度50v/μmから、24時間毎に10v/μmの割合で連続的に課電電圧を上昇させる方法である。
絶縁破壊電圧(v/μm)=V+S×(T/1440)
ここで V:絶縁破壊時の課電電圧(v/μm)
S:24時間毎の上昇電圧(v/μm)
T:課電電圧上昇後、絶縁破壊までの経過時間(分)
Figure 0005993936
表中の1,1−DPEは1,1−ジフェニルエタン、BTはベンジルトルエン、DBTはジベンジルトルエンをそれぞれ指す。
実施例では、実験例Bにおいて、−50℃で100V/μm以上の絶縁破壊電圧を示し、30℃で140V/μm以上の絶縁破壊電圧を示したことから、−50〜30℃までの広い温度領域で高い性能を示すコンデンサ油であるといえる。
本発明のコンデンサ油は、−50℃〜30℃の広い温度領域での特性に優れ、また組成物の各成分は生体に対する悪影響などが無く、コンデンサ含浸用として実用的に極めて優れたものである。

Claims (6)

  1. 1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンから成り、1,1−ジフェニルエタンとベンジルトルエンの質量比が0.8〜2.0、ベンジルトルエン中のオルソ体とパラ体の合計が90質量%以下であり、かつ40℃における動粘度が3.00mm/s以下であ って、結晶析出温度が−50℃以下であることを特徴とするコンデンサ油。
  2. さらにエポキシ化合物を0.01〜1.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ油。
  3. 塩素分が1質量ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ油。
  4. 前記ベンジルトルエン中のオルソ体とパラ体の合計が49〜72質量%であることを特 徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ油。
  5. −50℃で100V/μm以上、30℃で140V/μm以上の絶縁破壊電圧を有する ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ油。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のコンデンサ油を含浸してなることを特徴とする誘電体の少なくとも一部にポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサ。
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