JPH088008B2 - 油侵電気機器 - Google Patents

油侵電気機器

Info

Publication number
JPH088008B2
JPH088008B2 JP33285787A JP33285787A JPH088008B2 JP H088008 B2 JPH088008 B2 JP H088008B2 JP 33285787 A JP33285787 A JP 33285787A JP 33285787 A JP33285787 A JP 33285787A JP H088008 B2 JPH088008 B2 JP H088008B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
benzyltoluene
zsm
electric device
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33285787A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01200510A (ja
Inventor
重信 川上
圭治 遠藤
英幸 土肥
篤 佐藤
Original Assignee
日本石油化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本石油化学株式会社 filed Critical 日本石油化学株式会社
Priority to JP33285787A priority Critical patent/JPH088008B2/ja
Publication of JPH01200510A publication Critical patent/JPH01200510A/ja
Publication of JPH088008B2 publication Critical patent/JPH088008B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、実用的な範囲で電気絶縁油として優れた性
能を有するベンジルトルエン異性体混合物を含浸してな
る安価な油浸電気機器に関するものである。
[従来技術とその問題点] ベンジルトルエンは、分子中の芳香族炭素の比率が高
く、水素ガス吸収性が高く、耐電圧特性に優れており、
そのため従来から電気絶縁油として広く使用されてい
る。
ところで、ベンジルトルエンには、その置換位置によ
り3種類の位置異性体が存在する。この3種類の異性体
の融点は、p−体(パラ異性体):4.6℃、o−体(オル
ト異性体):6.6℃およびm−体(メタ異性体):−27.8
℃である。すなわち、m−体の融点が極端に低い。それ
故、融点が低い方が低温特性に優れることとなり好適で
あるとされるような電気絶縁油においては、m−体を多
く含むような製造方法が当然適している。
しかしながら、m−体のみを合成する方法は、工業的
には有り得ない。工業的な製造方法では、いずれもm−
体以外の異性体が含まれることは避け難い。さらに、ベ
ンジルトルエン異性体間の沸点差からも、簡便な分離手
段である蒸留では、簡単に各異性体毎に分離することは
困難である。
従って、m−体以外の異性体が含まれることは避け難
いが、電気的特性の観点から、実用的な範囲でm−体を
多く含むベンジルトルエン異性体混合物の工業的な製造
方法が望まれている。
ここで、ベンジルトルエンを製造する方法としては、
従来ベンジルクロライドなどのハロゲン化物をトルエン
に反応させる方法が主であった。(特開昭60−87231号
公報、特開昭62−148431号公報)。他の方法は、殆ど高
価な手法である有機合成化学的手法によるものである。
安価に実施できる方法としては、ジフェニルメタンとト
ルエンとからの不均化による塩化アルミニウム触媒を利
用する方法が僅かに提案されているのみであった。
更に、本願発明者らが既に出願した特願昭62−55863
号明細書では、シリカ・アルミナなどの固体酸、塩化ア
ルミニウムなどのルイス酸などを不均化触媒として、ト
ルエンとジフェニルメタンとからベンジルトルエンを製
造している。しかしながら、塩化アルミニウムを触媒と
した場合には、重質分が多く、またジトリルメタンなど
の副生物も多く含まれ、ベンジルトルエンの収率が必ず
しも良くない。また、m−ベンジルトルエンの選択性も
同様である。更に、シリカ・アルミナなどの従来の固体
酸触媒を使用した場合も同様である。
結晶性合成アルミノシリケート・ゼオライトとして
は、従来知られているモルデナイト、Y型ゼオライトな
どのゼオライトもあるが、本発明者らにより、これら従
来のゼオライトは、何れも触媒寿命が短いこと、即ち活
性の低下が著しく、また形状選択性も低く、本発明の方
法には適さないことが見出されている。
それ故、安価であって、電気特性上、実用的な範囲で
m−ベンジルトルエンを多く含む電気絶縁油を含浸して
なる油浸電気機器が望まれていた。
[発明の構成] 本発明の目的は、m−ベンジルトルエンを高濃度に含
むベンジルトルエン異性体混合物を含浸してなる油浸電
気機器を提供することにある。
すなわち、本発明は、SiO2/Al2O3モル比が20以上であ
って、かつ主空洞の入口が10員酸素環からなる結晶性合
成ゼオライト触媒を用いて、反応温度170〜400℃の範囲
で、トルエンとジフェニルメタンとを反応させることを
特徴とするm−ベンジルトルエン20〜90モル%、残余が
o−および/またはp−ベンジルトルエンからなるベン
ジルトルエン異性体混合物を含浸してなる油浸電気機器
に関するものである。
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明におけるSiO2/Al2O3モル比が20以上であって、
主空洞の入口が10員酸素環からなる結晶性合成ゼオライ
ト触媒の代表的な例は、ZSM−5型触媒であり、この触
媒を用いると、他の通常使用されている触媒と比較し
て、m−ベンジルトルエンを高い収率および高い選択率
を持って得ることが出来る。
ここで、ZSM−5型のゼオライトを触媒として、トル
エン同士の不均化によりキシレンを製造する方法が既に
開示されている(特開昭50−96532号公報ほか)。これ
は、何れも当然ながらメチル基の移動によるものであ
る。
ZSM−5型ゼオライトにより、トルエンとジフェニル
メタンとからベンジルトルエンを製造する場合、メチル
基の移動が生じるとすれば、トルエンが存在するので、
当然ながらキシレンが生成することが予想され、キシレ
ンが生成すれば、その分だけ原料トルエンが消費され、
ベンジルトルエンの収率が低下するので好ましくない。
それ故、トルエンとジフェニルメタンとからベンジルト
ルエンを製造するためには、ZSM−5触媒は適当ではな
いと予想されるところである。
しかるに本発明者らは、意外にも、トルエンの存在下
に拘らず、実質的にキシレンの生成は認められずに反応
が進行し、ベンジルトルエンが生成することを見出し
た。しかも、実質的にo−ベンジルトルエンが生成せず
に、かつm−ベンジルトルエンの選択率が極めて高い。
すなわちm−ベンジルトルエンが多く生成することを見
出した。
例えば、前記ZSM−5を触媒として、トルエン同士を
不均化しキシレンを製造する場合、通常のZSM−5型ゼ
オライトをそのまま触媒として使用した場合は、p−キ
シレンに対する選択性は殆ど発現せず、得られたキシレ
ン中の位置異性体の比率は平衡組成に近いものである。
そのため、ZSM−5型ゼオライトを各種金属で変性する
ことが提案されている。(特開昭52−120292号公報な
ど)。しかるに、本発明の方法においては、特に変性処
理をすることなくm−ベンジルトルエンが多く得られ
る。
それ故、本発明の方法においては、実質的にキシレン
が生成せず、また、m−ベンジルトルエンがよる多く生
成することは、前記公報等の記載からは決して予想され
得ない驚くべきことである。
本発明におけるトルエンとジフェニルメタンとの反応
条件は次の通りである。
まず、触媒は、SiO2/Al2O3モル比が20以上であって、
主空洞の入口が10員酸素環からなる結晶性合成アルミノ
シリケート・ゼオライトである。このようなゼオライト
としては、主空洞の入口が10員酸素環からなるZSM−5
型の合成ゼオライトや、更に、ゼオライトゼータ1、ゼ
オライトゼータ2なども挙げられる。すなわち、本発明
のゼオライトは、10員酸素環からなることにより特徴付
けられるものである。従来の合成ゼオライトであるA型
ゼオライト、エリオナイト、オフレタイトなどは8員酸
素環型小孔型ゼオライトであり、モルデナイト、X型、
Y型ゼオライトなどは12員酸素環型大孔型ゼオライトで
ある。
これら、従来の8員酸素環あるいは12員酸素環で構成
されるゼオライトは、その構造が本発明のそれとは相違
することに起因して、本発明の方法には適さないもので
ある。
本発明において用いる結晶性合成ゼオライトは、主空
洞の入り口が10員酸素環からなる構造特性を有し、SiO2
/Al2O3モル比が20以上である結晶性合成アルミノシリケ
ートであれば何れのものも使用できる。特に好ましく
は、ZSM−5型の合成ゼオライトであり、例えば、ZSM−
5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、Z
SM−38、ZSM−48などとして知られている。これらのZSM
−5型の合成ゼオライトは、何れもその主空洞の入口が
10員酸素環からなる構造特性を有する。特に好適な合成
ゼオライトはZSM−5である。これらZSM−5型ゼオライ
トの組成および製法は何れも下記の特許公報に記載され
ている。
ZSM−5:米国特許第3,702,886号 英国特許第1,161,974号 および特公昭46−10064号 ZSM−8:英国特許第1,334,243号 ZSM−11:米国特許第3,709,979号 および特公昭53−23280号 ZSM−21:米国特許第4,001,346号 ZSM−35:特開昭53−144500号 ゼオライトゼータ1:特開昭51−67299号 ゼオライトゼータ2:特開昭51−67298号 主空洞の入口が10員酸素環からなる構造特性の合成ゼ
オライトは、高いSiO2/Al2O3モル比を一般的に有し、そ
の値は通常20以上である。場合によっては、SiO2/Al2O3
モル比が非常に高く、例えば1600以上のようなゼオライ
トも有効である。さらに、場合によっては、シリカライ
トと称する実質的にアルミニウムを含まない、すなわち
SiO2/Al2O3モル比が無限大に近いゼオライトを使うこと
もできる。このような「高シリカ」ゼオライトも本発明
の定義に含まれる。このSiO2/Al2O3モル比は原子吸光法
などの通常の分析法で測定される。この比率は、ゼオラ
イト結晶の硬質アニオン骨格中の比にできるだけ近い値
を表わし、結合剤中またはチャンネル内のカチオンその
他の形態中のアルミニウムは除かれる。
主空洞の入口が10員酸素環からなる構造は通常X線回
折法で確認される。例えば、本発明の触媒として好まし
いZSM−5型の合成ゼオライトは、それぞれ特有の特性
X線回折パターンを有する(詳しくは、前記特許公報を
参照)。
しかしながら、このX線回折分析法によらずとも、制
御指数なる測定値をもってX線回折法の代わりとするこ
ともできる。すなわち、本発明の10員酸素環は制御指数
で1〜12の合成ゼオライトであるとも定義できる。ここ
で、該制御指数は特開昭56−133223号公報で具体的測定
方法をもって示されている。この指数は、ゼオライト結
晶の細孔構造が、n−パラフィンよりも大きな断面積の
分子の接近を制御する程度を示すものである。その測定
法は、該公報に開示されているように、n−ヘキサンと
3−メチルペンタンとを一定条件下でゼオライトに吸着
され、それらの吸着量から計算される。代表的な制御指
数は下記の通りである。
制御指数 ZSM−5 8.3 ZSM−11 8.7 ZSM−35 4.5 非晶質シリカ・アルミナ 0.6 本発明のゼオライトの製造法としてZSM−5の合成方
法を例にとり説明する。先ず、水酸化テトラプロピルア
ンモニウム、酸化ナトリウム、酸化アルミニウム、酸化
珪素および水を含む反応原料を調製する。その組成は前
記公報に記載された範囲として、この反応混合物を加熱
し水熱合成される。合成後、得られた結晶を空気中で焼
成することにより、ゼオライトZSM−5触媒が得られ
る。水酸化テトラプロピルアンモニウムは、反応系中に
おいて、n−プロピルアミンとn−プロピルブロマイド
などからin situで合成することもできる。ここでは、
酸化アルミニウムを用いる方法を述べたが、実質的にア
ルミニウム原子を含まないZSM−5を合成することも提
案されている。また、水酸化テトラプロピルアンモニウ
ムを用いる方法を説明したが、例えばZSM−5の合成法
としても、これ以外に種々の有機カチオンまたはその前
駆体としての有機化合物を、この代わりに用いることが
提案されている。この例としては、例えば、アンモニ
ア、トリアルキルメチルアンモニウムカチオン、トリエ
チル−n−プロピルアンモニウムカチオン、C2〜C9第一
級モノアルキルアミン、ネオペンチルアミン、ジおよび
トリアルキルアミン、アルカノールアミン、C5〜C6アル
キルジアミン、C3〜C12アルキレンジアミン、エチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、C3〜C6ジオール、
エチレンもしくはプロピレングリコール、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリス
リトール、1,4−ジメトキシシクロヘキサン、ヒドロキ
ノン、エチレンオキサイドおよびアンモニア、n−ドデ
シルベンゼンスルホネート、シクロペンタジエニルフタ
ロシアニン錯体、2−アミノピリジン、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テ
トラヒドロフラン、酒石酸などの有機カルボン酸が挙げ
られる。また、その他例えば、結晶化時の種としてZSM
−5を添加することなどにより、上記例示の有機カチオ
ンもしくはその前駆体としての有機化合物を添加するこ
となく製造することさえも提案されている。(例えば、
特開昭56−37215号)。
反応に用いられるゼオライトは、合成時の反応原料に
起因して、例えばナトリウムイオンその他の金属イオン
を含む。Naなどのアルカリ金属、その他の金属として
は、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金
属、更に3価の金属でイオン交換したものを使用でき
る。また、ほう素、カリウム、燐もしくはこれらの化合
物で変性した結晶性合成アルミノシリケートゼオライ
ト、例えばZSM−5型ゼオライトも使用することができ
る。これらのイオン交換の方法あるいは変性方法は従来
公知の方法により行なうことができる。
上記のように本発明の結晶性合成ゼオライトは各種の
金属を含むこともできるが、金属イオンを水素イオンで
交換した、いわゆる水素型ゼオライトが本発明の方法に
は好ましい。代表的な水素型ゼオライトは、触媒調製時
の有機カチオンを含む触媒を不活性雰囲気下で、例えば
400〜700℃で1時間加熱し、しかる後にアンモニウム塩
あるいは塩酸などの鉱酸でイオン交換し、その後例えば
300〜600℃で焼成することにより活性化され、いわゆる
水素型のゼオライトが得られる。
本発明の反応温度は170〜400℃、好ましくは200〜350
℃である。この温度範囲よりも反応温度が低い場合は、
原料の転化率が低くなる。また、反対に反応温度がこの
範囲よりも高くなると、キシレンの生成などの副反応が
生じるために何れも好ましくない。特にキシレンノ生成
は温度により決定され、反応温度が400℃以下の場合は
実質的にキシレンは生成しない。
反応は気相で行なうこともできるが、触媒活性を長く
保つために液相で行なうことが適当である。また、気相
は必然的に反応温度を高くする必要があり、反応温度が
高いと前述のようにキシレンの生成などの副反応を生じ
易い。それ故、反応は液相で行なう。
反応を液相で行なうための反応圧は、反応相を液相に
保つために適当な圧力とする。通常、この圧力は常圧か
ら50kg/cm2の範囲から選択される。
本発明の方法の反応形式は流通式あるいはバッチ式の
何れも選択できる。反応時間は、バッチ式では、反応温
度その他の反応条件に応じて0.5〜50時間の範囲から選
ばれる。この範囲より反応時間が短いと転化率が低くな
る。また、反応時間を必要以上に長くしても、ベンジル
トルエンの収率は向上せず、むしろ副反応を招くのみで
あり好ましくない。
流通式の反応形式の場合は、LHSVは0.2〜20、好まし
くは0.5〜10である。LHSVがこれより小さいと副反応が
多くなり、また、時間当りの収率が小さくなるので好ま
しくない。また逆にLHSVが大きくなり過ぎると反応が進
行せずに、反応原料が未反応のまま系外に流出すること
になるので好ましくない。
バッチ式では、反応原料混合物に対して、通常0.1〜1
0重量%、好ましくは0.5〜5重量%の触媒を使用すれば
良い。これより低い触媒濃度では、反応が進行せず、一
方、これより高い触媒濃度の場合は、必ずしも目的化合
物の収率が向上せず、触媒を多く使用する分だけ不経済
となるので好ましくない。
反応系に供給すべきトルエンのジフェニルメタンに対
する割合は、モル比で0.5〜20、好ましくは1〜10であ
る。このれよりもモル比が小さいと、すなわち、ジフェ
ニルメタンに対するトルエンの使用量が少ないと、原料
転化率が低下するので好ましくない。またその逆に、上
記範囲よりもモル比を高くしトルエンを過剰に使用する
と、反応1回当りのベンジルトルエンの生産量が少なく
なり好ましくない。
反応終了後、反応液から、例えば通常の蒸留、好まし
くは減圧蒸留によって、常圧換算で沸点270〜290℃、好
ましくは275〜285℃の範囲にある留分として目的物たる
ベンジルトルエン異性体混合物を回収する。すなわち、
反応液より未反応のトルエンおよび反応で生成したベン
ゼンなどの軽質分を蒸留で除いた、減圧蒸留で未反応の
ジフェニルメタンを除き、更に不均化の副生成物である
ジトリルメタンを分離することにより、目的生成物であ
るベンジルトルエン異性体混合物が回収される。この蒸
留方法は、減圧度、蒸留理論段数などの他、蒸留条件は
工業的に行なわれている通常の蒸留のための範囲で十分
である。
このようにして得られる本発明のベンジルトルエン異
性体混合物は、m−ベンジルトルエンが20〜90モル%、
好ましくは40〜90モル%、さらに好ましくは50〜90モル
%であり、残余がo−ベンジルトルエンおよび/または
p−ベンジルトルエンである、m−ベンジルトルエンを
多く含むベンジルトルエン異性体混合物である。
なお、必要に応じて副生成物であるジトリルメタンを
回収して、これをベンジルトルエンと共に電気絶縁油と
して用いることもできる。さらに、電気絶縁油として使
用するためには、本発明者らが既に出願した特願昭62−
55863号明細書に記載されているように、反応液から回
収する際に、適宜の条件により、適当な割合で、本発明
のベンジルトルエン異性体混合物とジトリルメタンとを
併せた一つの留分として回収しても良い。
本発明の方法により製造されるベンジルトルエン異性
体混合物は、電気絶縁油、特にコンデンサー油として有
用である。その中でも、プラスチックを絶縁材料または
誘電材料の少なくとも一部に使用した油浸電気機器、好
ましくは油含浸コンデンサーに含浸させるために好適で
ある。プラスチックとしては、ポリエステル、ポリフッ
化ビニリデンなどの他、ポリプロピレン、ポリエチレン
などのポリオレフィンが特に好適である。更に好適なポ
リオレフィンはポリプロピレンである。
本発明の好適な油含浸コンデンサーは、アルミニウム
などの導体としての金属箔と、前記絶縁材料または誘電
材料としてのプラスチックフィルムとを、必要に応じて
絶縁紙などの他の材料と共に巻回し、常法により絶縁油
を含浸させることにより製造される。あるいは前記絶縁
材料または誘電材料としてのプラスチックフィルム上
に、アルミニウム、亜鉛などの導体としての金属層を蒸
着などの方法により形成した金属化プラスチックフィル
ムを、必要に応じてプラスチックフィルムあるいは絶縁
紙と共に巻回し、常法により含浸することによっても製
造される油浸コンデンサーである。
なお、本発明においては、含浸させる電気絶縁油に従
来公知の電気絶縁油、例えば、フェニルキシリルエタン
などのジアリールアルカン、モノイソプロピルビフェニ
ルなどのモノもしくはジアルキルビフェニル、ジイソプ
ロピルナフタレンなどのモノもしくはジアルキルナフタ
レン、ジベンジルトルエンなどのトリアリールジアルカ
ンを任意の割合で適宜に混合することができる。
[発明の効果] 本発明のようなm−ベンジルトルエンを多く含むベン
ジルトルエン異性体混合物は、その製造方法に起因し
て、安価であり、しかも従来の製造方法に係るo−ベン
ジルトルエンおよびp−ベンジルトルエンを主として含
むベンジルトルエン異性体混合物からなる電気絶縁油と
比べて、単なる蒸留で得られるベンジルトルエン留分
は、結晶の析出温度が低く、そのためにベンジルトルエ
ンの低温時における優れた電気特性を得ることが容易で
ある。
すなわち、本発明によれば、実用的な範囲で低温特性
に優れた油浸電気機器、好適には油浸コンデンサー、更
に好適にはプラスチックスを使用した油浸コンデンサー
が安価に得られるという特徴を有する。
以下に実施例により本発明を詳述する。
[実施例] 触媒調製例 硫酸アルミニウム、硫酸、n−プロピルアミン、n−
プロピルブロマイドを水に溶解させ、この溶液に水ガラ
スを撹拌しながら徐々に加え、できるだけ均一なゲル状
スラリーを調製した。これをオートクレーブに入れ、撹
拌しながら160℃で72時間かけて結晶化させた。結晶化
後濾別し、水洗液が中性になるまで水洗および濾過を繰
り返すことにより、SiO2/Al2O3モル比が70のゼオライト
ZSM−5を得た。得られたゼオライトを空気中で焼成
し、触媒を調製した。この触媒のX線回折図などは、前
記特許公報(特公昭46−10064号)に記載されたものと
一致した。更に前記制御指数なども一致し、それ故、こ
の触媒は、その主空洞の入口が10員酸素環からなる構造
特性を有するものである。
参考製造例 上記触媒調製例において調製したゼオライトZSM−5
を塩酸でイオン交換させることにより水素型に変換した
水素型ZSM−5(12〜14メッシュ)200mlを、内容積250m
lの反応容器に充填し、乾燥窒素を送りながら480℃で3
時間乾燥した。
反応温度270℃、圧力20気圧(窒素雰囲気下)、LHSV
=1.0にて、トルエン2モル対ジフェニルメタン1モル
の割合の混合液を通油した。
通油された反応液をガスクロマトグラフ法で分析し、
一定の通油時間後の反応液の組成を調べた。それらの結
果を表1に示す。
比較参考製造例1 内容積250mlの反応容器に、固体酸触媒であるシリカ
・アルミナ触媒N−632L(商品名、日揮(株)製、粒
径:12〜14メッシュ)200mlを充填し、乾燥窒素を送りな
がら250℃で24時間乾燥した。反応温度270℃、圧力20気
圧(窒素雰囲気下)、LHSV=1.0にて、トルエン2モル
対ジフェニルメタン1モルの割合の混合液を通油した。
参考製造例と同様に反応液をガスクロマトグラム法で分
析し、一定の通油時間後の反応液の組成を調べた。それ
らの結果を表2に示す。
表1および表2の結果によれば、ZSM−5触媒が、シ
リカ・アルミナ触媒の場合と比べて、ベンジルトルエン
の選択率が高く、また、ベンジルトルエンの中では、m
−ベンジルトルエンの選択率が高いことが解る。また、
触媒活性の低下する割合もZSM−5触媒の方が小さいこ
とが解る。
比較参考製造例2 内容積1のセパラブルフラスコに、トルエン4モ
ル、ジフェニルメタン2モルおよび触媒として塩化アル
ミニウム10gを入れて、室温で5時間撹拌した。その後
触媒を失活した後、反応液を参考製造例と同様に分析し
たところ、以下の表3の通りであった。
表3の結果から明らかなように、塩化アルミニウムを
触媒とすると、ベンジルトルエン異性体混合物中のm−
異性体の割合は、ZSM−5の場合とほぼ同様であるが、
その反応液中にはジトリルメタンおよび重質分が多いと
いう欠点があることが解る。
比較参考製造例3 内容量250mlの反応容器に、水素型Y型ゼオライト
(ユニオンカーバイド社製、12〜14メッシュ)200mlを
充填し、乾燥窒素を送りながら、480℃で3時間乾燥し
た。反応温度180℃、圧力20気圧(窒素雰囲気下)、LHS
V=1.0の反応条件で、トルエン2モル対ジフェニルメタ
ン1モルの混合液を通油した。
通油した反応液をガスクロマトグラム法で分析し、20
時間通油後の反応液の組成を分析した。結果を表3に併
せて示す。
この結果によると、Y型ゼオライトは、m−ベンジル
トルエンの選択率が低く、また活性低下が著しい。この
活性低下は、反応温度を180℃から260℃に昇温させても
回復できない活性低下であった。
実施例1 厚さ14ミクロンの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを
二枚重ねて、電極としてのアルミニウム箔と共に巻回
し、容量0.4μFのモデルコンデンサーを作成した。参
考製造例で得られた反応液から、常法により減圧蒸留で
得られたベンジルトルエン異性体混合物であるベンジル
トルエン留分(常圧換算沸点:279〜282℃)(m−体:59
モル%、o−体:4モル%、p−体:37モル%)を含浸さ
せた。
昼間は−50℃、夜間は−60℃の温度サイクルで一週間
冷却した後、−50℃で一週間放置して測定に供した。同
じモデルコンデンサーを10個作成し測定した。−50℃に
おいて10V/μづつ電位傾度を上昇させて課電し、各電位
傾度毎に破壊したコンデンサーの数を求めた。
その結果、電位傾度100V/μで1個破壊し、また110V/
μでは9個破壊した。従って、本願発明の油浸電気機器
の一つである油浸コンデンサーの性能が優れていること
が解る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2/Al2O3モル比が20以上であって、かつ
    主空洞の入口が10員酸素環からなる結晶性合成ゼオライ
    ト触媒を用いて、反応温度170〜400℃の範囲で、トルエ
    ンとジフェニルメタンとを反応させることにより得られ
    る、m−ベンジルトルエン20〜90モル%、および残余の
    o−ベンジルトルエンおよび/またはp−ベンジルトル
    エンからなるベンジルトルエン異性体混合物を含浸して
    なる油浸電気機器。
  2. 【請求項2】前記結晶性合成ゼオライト触媒が、ZSM−
    5型触媒である特許請求の範囲第1項記載の油浸電気機
    器。
  3. 【請求項3】前記ZSM−5型触媒が、ZSM−5である特許
    請求の範囲第2項記載の油浸電気機器。
  4. 【請求項4】トルエンとジフェニルメタンのモル比が、
    0.5〜20である特許請求の範囲第1項記載の油浸電気機
    器。
  5. 【請求項5】反応温度が、200〜350℃である特許請求の
    範囲第1項記載の油浸電気機器。
  6. 【請求項6】油浸電気機器の絶縁材料または誘電材料の
    少なくとも一部にプラスチックスが使用されている特許
    請求の範囲第1項記載の油浸電気機器。
  7. 【請求項7】前記プラスチックスがポリオレフィンであ
    る特許請求の範囲第6項記載の油浸電気機器。
  8. 【請求項8】前記ポリオレフィンがポリプロピレンであ
    る特許請求の範囲第7項記載の油浸電気機器。
  9. 【請求項9】油浸電気機器が、油浸コンデンサーである
    特許請求の範囲第1項ないし第8項の何れかに記載の油
    浸電気機器。
JP33285787A 1987-09-09 1987-12-29 油侵電気機器 Expired - Fee Related JPH088008B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33285787A JPH088008B2 (ja) 1987-09-09 1987-12-29 油侵電気機器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22621487 1987-09-09
JP62-226214 1987-09-09
JP33285787A JPH088008B2 (ja) 1987-09-09 1987-12-29 油侵電気機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01200510A JPH01200510A (ja) 1989-08-11
JPH088008B2 true JPH088008B2 (ja) 1996-01-29

Family

ID=26527061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33285787A Expired - Fee Related JPH088008B2 (ja) 1987-09-09 1987-12-29 油侵電気機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH088008B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013137055A1 (ja) 2012-03-13 2013-09-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 広い温度領域での性能に優れたコンデンサ油
WO2015037543A1 (ja) 2013-09-12 2015-03-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 電気絶縁油組成物及び油含浸電気機器

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3008708B1 (fr) * 2013-07-19 2016-09-23 Arkema France Composition de fluide dielectrique ou caloporteur

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013137055A1 (ja) 2012-03-13 2013-09-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 広い温度領域での性能に優れたコンデンサ油
WO2015037543A1 (ja) 2013-09-12 2015-03-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 電気絶縁油組成物及び油含浸電気機器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01200510A (ja) 1989-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4002697A (en) Selective production of para-xylene
EP0320936B1 (en) Process for the preparation of para-ethylphenol
EP0135658B1 (en) Production of crystalline zeolites
EP0056698B1 (en) Process for making epsilon-caprolactam
KR20180091029A (ko) 신규한 합성 결정질 물질인 emm-28, 이의 제조 및 용도
EP0116203A1 (en) Synthesis of zeolite ZSM-22 with a heterocyclic organic compound
JPH0214286B2 (ja)
EP0112006B1 (en) Manufacture of low sodium zeolite
CA1315087C (en) Electrical insulating oil comprising improved fraction
US5107395A (en) Method of producing insulating oil comprising dibenzylbenzene
JPH088008B2 (ja) 油侵電気機器
EP0306961B1 (en) Method for producing m-benzyltoluene
US5171906A (en) Process for treating by-product oil
EP0187594B1 (en) Zeolite catalysts
JPH0788322B2 (ja) 凝固点の低いジアリールアルカン混合物の製造方法
CA1223857A (en) Synthesis of zsm-23 zeolite
CA1214449A (en) Silica-modified catalyst and use for selective production of para-dialkyl substituted benzenes
JP2731809B2 (ja) ジトリルメタンの製造方法
JPS5874522A (ja) ジルコニウム−および/またはハフニウム含有ゼオライトおよびそれらの製造方法ならびにそれらの用途
CA1090315A (en) Process for producing p-dialkyl substituted benzenes and catalyst therefor

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees