JPH063B2 - 粉粒体繰出し装置の表土均し機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば水田湛水直播を行うような播種装置
（粉粒体繰出し装置）の表土均し機構に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

この種の播種装置においては、播種深さが、以後の種子
の発芽、成育に重大な影響を及ぼすので、田植機と同様
に機体の下側に、接地圧変動を感知して機体を上下動制
御するフロートを装備し、作溝器で形成した播種溝に播
種し、作溝器の後方に設けた覆土板で播種された播種溝
を覆土均平するようにしている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで前記フロートは、圃場の耕土の硬軟によって接
地圧感度が変わるので、その感度を調節する感度調節機
構を設けているが、覆土板は一定状態に固定されている
のみであり、耕土の硬軟に対応させる手段は講じられて
いなかった。このため、枕地などの耕土の起伏が激しい
ところを作業するときは、覆土板で十分に覆土均平され
ずに作業精度が悪くなるという問題点があった。

そこで本発明は、フロートの感度調節と連動して覆土板
の覆土均平圧力も調節して、耕土の硬軟に合った覆土均
平が行えるようにした表土均し機構を提供しようとする
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的のため本発明は、接地圧変動を感知して機体を
上下動制御するフロートと、このフロートの接地圧感度
を調節する感度調節機構と、粉粒体繰出し溝を形成する
作溝機構と、作溝機構の後方に設けられ、粉粒体繰出し
溝を覆土均平する均し機構とを備え、 上記感度調節機構の調節と連動して上記均し機構の押圧
力を調整するように構成してなるものである。

〔作用〕

上記構成に基づいて本発明は、感度調節機構の調節と連
動して均し機構の押圧力が調整されるので、粉粒体繰出
し深さと、繰出された粉粒体に対する覆土均平作業とが
適正に行われる。

〔実施例〕

以下、図示した実施例を参照して本発明を説明する。

第１図および第２図に示す本発明の第１の実施例におい
て、符号１は、左右一対の前輪２および後輪３を有する
走行車体で、この走行車体１には、前部にエンジン４を
搭載し、後部に図示省略した油圧シリンダの伸縮動作に
より上下動する昇降リンク５を介して播種装置６が装着
されている。

播種装置６は、伝動ケースを兼ね、昇降リンク５にロー
リングおよびピッチング可能に連結される本体フレーム
７に、走行車体１側からベルト伝動系８により動力を受
け、本体フレーム７の上方に伝動ケース９を設けてい
る。伝動ケース９から左右両側に延びる連結フレーム１
０の端部には、伝動ケース１１，１１がそれぞれ連結支
持されている。

伝動ケース９，１１の各左右両側には、種子繰出し部１
２，１２が固着され、この種子繰出し部１２の上部に種
子ホッパ１３が、また、下部に種子案内管１４がそれぞ
れ取付けられている。本体フレーム７から伝動ケース９
にベルト伝動系１５で動力が伝達され、このベルト伝動
系１５の伝動ケース９側の回転軸１６は左右に長く延び
ていて、伝動ケース１１，１１に動力を伝達している。
また、伝動ケース９，１１から種子繰出し部１２に動力
が伝達されるようになっている。

本体フレーム７および伝動ケース９，１１の下部には支
持フレーム１７が前後方向に配設され、この支持フレー
ム１７にセンサフロートとなるセンターフロート１８
と、サイドフロート１９，１９の後部が、ブラケット２
０を介して枢支されている。センターフロート１８の前
部は、本体フレーム７から前方に突出した支持アーム２
１との間を、く字状のリンク体により連結すると共に、
そのリンク体の側部に油圧切換バルブ２２を設け、セン
ターフロート１８の接地圧変動による上下動で油路を切
換え、昇降リンク５の油圧シリンダを伸縮させて昇降リ
ンク５を介して播種装置６を上下動させるようにしてい
る。

また、支持アーム２１には、下端部をセンターフロート
１８の上面に摺接させた感度調節アーム２３が枢支さ
れ、この感度調節アーム２３の上端部に、長孔２４ａお
よびばね２４ｂを有する操作杆２４の一端が連結され、
操作杆２４の他端側は、操作ワイヤ２５を介して走行車
体１の操縦座席２６の側部に設けた感度調節レバー２７
に連結されている。サイドフロート１９の先端部は、長
孔リンク２８を介して支持フレーム１７に設けたピン２
９に上下動可能に支持されている。

センターフロート１８およびサイドフロート１９の後部
両側には、作溝器３０が支持部材３１を介して支持フレ
ーム１７に支持されて配設され、この作溝器３０内に前
記種子案内管１４の下端部が臨ませてある。支持フレー
ム１７の後端部には、左右方向に長く延びる回動軸３２
が枢支され、この回動軸３２に、各作溝器３０に対応し
て覆土均平板３３が枢支されている。

覆土均平板３３の一側にはピン３４が突出しており、こ
のピン３４に、長孔３５ａおよびばね３５ｂを有する操
作杆３５の一端側が連結されており、この操作杆３５の
他端側は、操作ワイヤ２５ａを介して前記感度調節レバ
ー２７に連結され、センターフロート１８の感度調節操
作と連動して覆土均平板３３の押圧力が調整されるよう
になっている。覆土均平板３３の上端と支持フレーム１
７との間には戻しばね３６が設けられている。

このような構成の播種装置においては、湛水田に導入し
て播種作業を行うときは、昇降リンク５により播種装置
６を下降させてフロート１８，１９を田面に接し、走行
車体１の走行と共に田面を滑走し、整地された田面に作
溝器３０により形成された播種溝に、種子繰出し部１２
から繰出された稲の種子が種子案内管１４を介して落下
し、覆土均平板３３によって表土が覆土され均平され
る。

この播種作業時に、センターフロート１８の前部は、田
面との接地圧変化によって上下動し、この上下動によっ
て油圧切換バルブ２２が切換えられて昇降リンク５を介
して播種装置６を上下動させ、フロート１８の接地圧を
ほぼ一定に保持してほぼ一定の播種深さの播種作業が行
われる。

圃場の表土には硬軟があり、この硬軟によってセンター
フロート１８の接地圧変動に差異が生ずるので、その感
度調節をレバー２７によって行う。例えば耕土が硬いと
きは、感度調節アーム２３が強い力でセンターフロート
１８を押圧するように感度調節レバー２７を回動させる
ことで、操作ワイヤ２５を介して操作杆２４が引かれて
フロート１８の上下動感度は鈍くなり、このとき操作ワ
イヤ２５ａも連動して引かれて操作杆３５が引かれ、覆
土均平板３３の田面に対する押圧力は強くなる。耕土が
軟らかい時は、これと逆になって操作ワイヤ２５，２５
ａは弛められて感度調節アーム２３のフロート１８に対
する押圧力が弱くなってフロート１８の上下動感度は敏
感となり、覆土均平板３３の押圧力は弱くなる。

従って、耕土の硬いときは強い力で覆土均平が行われる
ので、通常の播種時の硬い土壌の覆土均平を容易に行
い、また、枕地などの表土の起伏の激しい場所での覆土
均平が良好に行える。耕土が軟らかいときには弱い力で
覆土均平しても十分に作業できることになる。

第３図および第４図に示す本発明の第２の実施例におい
ては、前記第１の実施例におけるセンターフロート１８
の上下動感度調節を手動で行っていたのを、手動操作機
構を全て廃止してこれを自動化したものである。

即ち、センターフロート１８およびサイドフロート１９
の先端部に、基部をフロートの先端部に弾持させ、耕土
の硬軟（抵抗）によって自動的に回動範囲が変るように
した耕土硬軟センサ３７を設け、このセンサ３７の上端
と、作溝器３０，３０間に枢支した回動軸３８との間を
リンクロッド３９で連結している。回動軸３８には支持
アーム４０を介して覆土均平板３３ａが取付けられ、作
溝器３０の後方に配設されている。

このような構成の第２実施例の播種装置においては、耕
土の硬軟が、センサ３７の移動抵抗によって感知され、
センサ３７の回動によってリンクロッド３９を介して回
動軸３８が回動して覆土均平板３３ａの表土に対する押
圧力が自動的に調節され、耕土の硬軟に応じた覆土均平
板３３ａの押圧力の調節が自動的に行われて、播種溝の
覆土均平が適切に行われる。

なお、上記実施例は本発明を乗用型の播種装置に適用し
て説明したが、本発明は歩行型においても同様に実施で
きるものであり、また、上記播種装置６を、例えば粉粒
体肥料を繰出す施肥装置にしても同様に実施できるもの
である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の粉粒体繰出し装置の表土
均し機構によれば、接地圧変動を感知して機体を上下動
制御するフロートの接地圧感度調節と、粉粒体が繰出さ
れた溝を覆土均平する均し機構の押圧力調整とを連動し
て行えるようにしたので、圃場の硬軟に応じてフロート
の上下動感度を適切に設定すると共に、耕土の硬軟に応
じた適切な押圧力で覆土均平を行い、作業精度の高い粉
粒体繰出し作業および覆土均平作業を同時に実施するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示す乗用型播種装置全
体の側面図、第２図は同平面図、第３図は本発明の第２
の実施例を示す乗用型播種装置全体の側面図、第４図は
同平面図である。 １…走行車体、２…前輪、３…後輪、４…エンジン、５
…昇降リンク、６…播種装置、７…本体フレーム、８，
１５…ベルト伝動系、９，１１…伝動ケース、１０…連
結フレーム、１２…種子繰出し部、１３…種子ホッパ、
１４…種子案内管、１６…回転軸、１７…支持フレー
ム、１８…センターフロート、１９…サイドフロート、
２０…ブラケット、２１，４０…支持アーム、２２…油
圧切換バルブ、２３…感度調節アーム、２４，３５…操
作杆、２４ａ，３５ａ…長孔、２４ｂ，３５ｂ…ばね、
２５，２５ａ…操作ワイヤ、２６…操縦座席、２７…感
度調節レバー、２８…長孔リンク、２９，３４…ピン、
３０…作溝器、３１…支持部材、３２，３８…回動軸、
３３，３３ａ…覆土均平板、３６…戻しばね、３７…耕
土硬軟センサ、３９…リンクロッド。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接地圧変動を感知して機体を上下動制御す
   るフロートと、このフロートの接地圧感度を調節する感
   度調節機構と、粉粒体繰出し溝を形成する作溝機構と、
   作溝機構の後方に設けられ、粉粒体繰出し溝を覆土均平
   する均し機構とを備え、 上記感度調節機構の調節と連動して上記均し機構の押圧
   力を調整するように構成してなる粉粒体繰出し装置の表
   土均し機構。
2. 【請求項２】上記感度調節機構を、表土の硬軟を検知し
   て自動的に感度調節する自動感度調節機構としてなる特
   許請求の範囲第１項記載の粉粒体繰出し装置の表土均し
   機構。