JPH0639547Y2 - 防振内蔵形駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、刈払機等に使用される比較的小型の空冷２サ
イクル内燃機関等を原動機とする駆動装置に関し、特に
全体をカバーで覆うフルカバータイプ式とするのに適し
たものに関する。

〔従来の技術〕

例えば、刈払機は空冷２サイクルエンジン本体から延長
された伝動軸と、該伝動軸を内蔵した操作桿と、それら
の先端に回転自在に設けられた刈刃によつて構成され、
作業者が機体のエンジン本体部付近を肩から吊下げ、あ
るいはエンジン本体部分を背負い、操作桿と該操作桿と
略直角方向に設けた操作ハンドルを手に持って先端の刈
刃部を左右に揺動させて草刈りを行うものである。

従来、前記の如き刈払機用等の駆動装置のエンジン本体
は中央に機関本体を配置し、その一側にキャブレタ、他
側に消音器、上方あるいは下方に燃料タンクを設けて構
成され、カバーはキャブレタ及び消音器等に部分的に設
けられ、一般には各部、特に機関本体等は露出状態とさ
れていた。

［考案が解決しようとする課題］ 前記の如く、従来の駆動装置の原動機本体は各部が露出
状態であるため、外観デザイン上及び安全性の点で問題
があるとともに、原動機の振動が直接作業者に伝わり、
不快感を与え、疲労が助長され、作業能率の低下を招
き、さらにまた白ろう病等の職業病の原因となる等の問
題があつた。

この対策として、原動機と装置の筐体との間に防振材を
介装せしめることが行なわれているが、動力伝達系統の
芯ずれ等により、かえって振動が増巾されてしまうこと
もあった。

本考案は、前記事情に鑑みなされたものであり、原動機
本体部を筐体内に収容し、外観デザインと安全性の向上
を図るとともに、筐体との間に防振効果を持たせ、さら
に動力伝達系統における芯ずれ防止を図ることを目的と
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は前記の問題点を解決するためのものであり、筐
体内に原動機本体部分が防振材を介して支持されるとと
もに、前記原動機本体の出力軸と一体に回転する遠心ク
ラッチのクラッチシューを受入れるクラッチドラムを有
する伝動機用連結軸も防振材及びベアリングを介して回
転自在に支持され、前記クラッチドラムに嵌合する芯合
せ用ガイドが前記出力軸側に回動自在に設けられた構成
としたものである。

〔作用〕

本考案では、筐体内に防振材を介して原動機本体部分が
支持される。

そして、前記筐体内には前記原動機本体の出力軸と一体
に回転する遠心クラッチのクラッチシューを受入れるク
ラッチドラムを有する伝動軸用連結軸も防振材を介して
回動自在に支持され、前記クラッチドラムに嵌合する芯
合せ用ガイドが設けられる。

したがって、原動機本体及び伝動軸用連結軸がいずれも
防振材を介して設けられているため、作業者に伝わる振
動を減少させることができる。

さらに、原動機本体の出力軸側にクラッチドラムに嵌合
する芯合せ用ガイドを設けているので出力軸及び伝動軸
間に芯ずれが生じても、クラッチ部での異常振動が出る
こともないものである。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を図面について詳細に説明す
る。

第３図には従来提供されている刈払機の一例が示されて
いる。

すなわち、駆動装置の原動機として空冷２サイクルエン
ジン本体（１）と、該エンジン本体（１）から延長され
た伝動軸（２）と、該伝動軸（２）を内蔵した操作桿
（３）と、それらの先端に回転自在に設けられた刈刃
（４）と、前記操作桿（３）の適位置に設けられた操作
ハンドル（５）等によつて構成されている。

図中（６）は燃料タンク、（７）はスロットルレバー、
（８）はスロットルワィヤーである。

さらに、前記エンジン本体（１）は、中央に配置された
機関本体（９）と、その一側に設けられたキャブレタ
（10）と、他側に設けられた消音器（11）と、後側に取
着されたリコイル式スタータ（13）で構成されている。

本考案は前記エンジン本体（１）を含む駆動装置部分に
関するものである。

第１図、第２図には、その一実施例の詳細が示されてい
る。

本実施例では、駆動装置の筐体を構成するカバー（12）
が大きく二分割され、後方カバー（12a）と前方カバー
（12b）とで構成される。

もつとも、図面実施例の場合、リコイル式スタータ（1
3）部分及び点火プラグ（14）部分に別カバー（12c）及
び（12d）が設けられている。

前記後方カバー（12a）の開口部（28）にエンジン本体
（１）の出力軸（24）と一体に回転する遠心クラッチ
（15）のクラッチシュー（15a）を臨ませて、前記エン
ジン本体（１）、すなわち、機関本体（９）、キャブレ
タ（10）、消音器（11）等の組立体がゴム等からなる略
Ｕ字断面の柱状防振材（16）を介して前記筐体内に支持
される。

すなわち、前記後方カバー（12a）内部の所定位置にそ
の開口部（28）から奥方向に向けて前記防振材（16）を
受入れる前記出力軸（24）の軸線に沿った適数の受溝
（17）が設けられる。つぎに、前記開口部（28）から挿
入される前記エンジン本体（１）の所定位置、具体的に
は前記機関本体（９）下方のクランク室（18）の外周に
前記後方カバー（12a）内に構成されたそれぞれの受溝
（17）内の前記防振材（16）に適合するリブ（19）が一
体に設けられる。

したがつて、該リブ（19）に前記防振材（16）を装着し
た後、あるいは前記後方カバー（12a）の受溝（17）部
に防振材（16）をセットした後、後方カバー（12a）の
開口部（28）からエンジン本体（１）を挿入すれば、該
エンジン本体（１）が後方カバー（12a）内の所定位置
にセットされる。

つぎに、前記後方カバー（12a）の開口部（28）に適合
し操作桿（３）が連結される前方カバー（12b）内に
は、前記エンジン本体（１）の出力軸（24）と一体に回
転するクラッチシュー（15a）を受入れるクラッチドラ
ム（15b）を一体に設けた伝動軸用連結軸（20）が防振
材（21）及びベアリング（22）を介して回転自在に支持
されて設けられる。

更に、図中（23）は前記出力軸（24）側にベアリング
（25）を介して回動自在に設けられた椀状の芯合せ用ガ
イドであり、前記クラッチドラム（15b）の内周に軽く
適合させられている。なお、図中（26）はピストン、
（27）はコンロッドである。

前記構成のエンジン本体を内蔵した後方カバー（12a）
と伝動軸用連結軸（20）等を内蔵した前方カバー（12
b）を一体にするだけでエンジン本体（１）及び筐体（1
2）が防振材を介して一体に構成されて、防振内蔵形駆
動装置が形成されるものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば、振動が効果的に減少させられるため作
業者への悪影響を除去できるとともに、ネジ部の緩み、
燃料タンク部の振動等が防止され耐久性が向上させられ
るものである。

さらに、外観デザインの良い、安全性の高いフルカバー
タイプ製品を手数をかけずに容易に製作できる等の効果
が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は要部縦
断面図、第２図は第１図のII-II線断面図、第３図は従
来の刈払機の一例を示す斜視図である。 （１）……原動機本体、（12）……筐体、（15）……遠
心クラッチ、（15a）……クラッチシュー、（15b）……
クラッチドラム、（16），（21）……防振材、（20）…
…伝動軸用連結軸、（22）……ベアリング、（23）……
芯合せ用ガイド、（24）……出力軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】筐体（12）内に原動機本体（１）部分が防
   振材（16）を介して支持されるとともに前記原動機本体
   （１）の出力軸（24）と一体に回転する遠心クラッチ
   （15）のクラッチシュー（15a）を受入れるクラッチド
   ラム（15b）を有する伝動軸用連結軸（20）も防振材（2
   1）及びベアリング（22）を介して回転自在に支持さ
   れ、前記クラッチドラム（15b）に嵌合する芯合せ用ガ
   イド（23）が前記出力軸（24）側に回動自在に設けられ
   てなることを特徴とする防振内蔵形駆動装置。