JPH048253Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、チエンソー、刈払機等の携帯用作業
機等に用いる携帯用エンジンに係るものである。

（従来技術および解決しようとする課題） 一般に、携帯用作業機等に使用する携帯用エン
ジンは作業者が手で把持して作業を行なうため
に、エンジンを支持するケースと、エンジンとの
間に防振体を設けているが、従来は、この防振体
の位置はエンジンの重心位置を囲んで複数個の防
振体が配設されていた。とくに、片持ちのクラン
クアームを備えて、リコイルスターター、マグネ
ツトホイル、遠心クラツチを順次配設した小型エ
ンジンにおいては、エンジンの重心位置はクラン
クケースより前方に位置し、この重心位置を囲む
位置に防振体が配設されていた。しかるに、エン
ジンの振動発振源は主としてピストン、連結杆の
往復運動に起因しており、この往復運動部の重心
位置が前述の防振体によつて囲まれた立体形より
も外にあるため、防振体に加わる往復運動部のモ
ーメントが大きくなり防振効果を減少せしめてい
た。またケースは分割されていなかつたため防振
体に焼付け固着した座金をねじ止めする等組み付
けが厄介となつていた。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段および作用） 本考案は、ケースをクランク軸の軸心線を含む
垂直面で分割して、エンジンの両側面および分割
面上のエンジンの後方、下方に防振体を設けるこ
とによつて、防振体の組み付けを容易とし、しか
も、エンジンの往復運動部の重心移動範囲を、各
防振体によつて囲まれた立体形の内部に位置せし
めることが可能とし、往復運動部の防振体に対す
るモーメントを小さくして、防振体に加わる振動
荷重を少なくし、防振効果を向上せしめることが
できるものである。

（実施例） 以下、図面により本考案の１実施例について詳
細な説明を行なう。

図において、エンジン１はつぎのように構成さ
れている。すなわち、クランクケース３にはベア
リング５，７によつてクランク軸９が軸支され、
クランク軸９の前端には、マグネツトホイル１１
と遠心クラツチ１３が円筒状のめねじ体１５によ
つて固着され、めねじ体１５の外周には、遠心ク
ラツチ１３の外周に近接して設けたクラツチドラ
ム１７と防振接手１９を固着するボス部２１が回
転自在に支持されている。防振接手１９の外端に
は伝動軸２３の１端が係合している。伝動軸２３
の他端は刈払装置（図示せず）等に連結されてい
る。マグネツトホイル１１の外周に近接して点火
コイル２５が設けられ、マグネツトホイル外周の
一部に埋設されたマグネツトホイル（図示せず）
に感応して起電して点火栓２６で放電せしめる。
マグネツトホイル１１の前側面には冷却用のフア
ン２７，２７が固着している。クランクケース３
のベアリング５，７を支持する軸受部２９の外周
に、適宜間隙をもつてリコイルスターター３１が
設けられ、マグネツトホイル１１の後側面に揺動
自在に設けた爪部３３と係脱自在に係合するラチ
エツト３５が設けられている。クランクケース３
の下部にはシリンダー３７が固着され、シリンダ
ー３７の内部に揺動自在のピストン３９が嵌合
し、クランク軸９の後端に固着するクランクアー
ム４１との間を連結杆４３によつて連結されてい
る。クランクケース３の後面には、リード弁４５
を介して気化器４７が連通、固着し、気化器４７
の後面にはチヨーク弁（図示せず）を備えたチヨ
ークケース４９が固着している。シリンダー３７
の後方にはマフラー５１、上方には燃料タンク５
３が設けられている。エンジン１の外周を覆つて
合成樹脂製のケース５５が設けられ、ケース５５
はエンジン１のクランク軸９の軸心線を含む垂直
面で右ケース５７と左ケース５９とに分割され、
ねじ６１によつて結合されている。ケース５５の
後部には後ハンドル６３が１体に形成され、内部
に、上端がフアン２７に連通する吸気通路６５が
形成され、吸気通路６５の下端はケース５５と１
体に形成された吸気室６７に連通している。吸気
室６７には内部を仕切つてフイルター６９が設け
られている。吸気室６７の前面の開口部７１には
ゴム製の防振体７３を介してチヨークケース４９
の外周が密閉、嵌合している。またクランクケー
ス３の左、右の両側に突出する係止片７５，７７
はゴム製の防振体７９，８１を介して左ケース５
９、右ケース５７内に突出する係止片８３，８５
に係合、支持されている。またシリンダー３７の
下端に突出する係止片８７はゴム製の防振体８９
を介してケース５５内に設けた係止片９１に係
合、支持されている。エンジン１の往復運動部
（ピストン３９、連結杆４３）の重心移動範囲は、
防振体７３，７９，８１，８９によつて囲まれた
立体形内に位置するよう設けられている。ケース
５５の前部には前ハンドル９３が固着している。

以上の実施例において、エンジン１の動力は、
遠心クラツチ１３、クラツチドラム１７、防振接
手１９を介して伝動軸２３に伝達される。作業者
は前ハンドル９３、後ハンドル６３を把持して、
刈払作業等の作業を行なうものである。エンジン
１の往復運動による振動は、往復運動部が防振体
７３，７９，８１，８９によつて囲まれた立体形
内に位置しているので、振動を有効に防止できる
ものである。

組付けの際には、防振体７３，７９，８１，８
９はすべて右ケース５７と左ケース５９の結合に
よつて挟持されるので、防振体のねじ止めが不要
となり、したがつて厄介な座金の焼付け作業を省
略することができ、組み付け作業が容易となるも
のである。

［考案の効果］ 本考案によれば、防振体の構造が簡単となり、
防振体の組み付けが容易となり、しかも主たる振
動源の往復運動部の防振体に対するモーメントを
小さくして、振動の伝達を有効に防止することが
可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の側断面図、第２
図、第３図はそれぞれ要部の平断面図、側断面
図、第４図は防振体の配置の斜視説明図である。 １……エンジン、９……クランク軸、５５……
ケース、５７……右ケース、５９……左ケース、
６１……ねじ、７３，７９，８１，８９……防振
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン１を内蔵するケース５５を、前記エン
   ジン１のクランク軸９の軸心線を含む垂直面によ
   つて右ケース５７と左ケース５９とに分割してね
   じ６１によつて結合して設け、前記エンジン１の
   両側に設けた防振体７９，８１と、前記分割面上
   の、前記エンジン１の後部および下部に設けた防
   振体７３，８９とを前記右ケース５７と左ケース
   ５９とによつて挾持して設け、前記各防振体７
   ９，８１，７３，８９によつて囲まれた立体形の
   内部に、前記エンジン１の往復運動部の重心移動
   範囲を位置せしめて設けたことを特徴とする携帯
   用エンジン。