JPH0639004B2 - フライス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、１つのカッタ本体と、１つの切削インサート
を担持しかつカッタ本体に調節自在に固定された少なく
とも１つのシュー（台座）と、カッタ本体からの切削イ
ンサートの突出の程度を変えるためにカッタ本体中のシ
ューの位置を調節するくさび形式の調節手段を具備して
いるフライスに関するものである。この調節手段は、カ
ッタ本体の対応支持面に対して当接するようにした１つ
の支持面と、シューの内端面に対して当接するようにし
た支持面を有し、当該手段とカッタ本体とに螺結される
ねじと協働する。

〔従来の技術〕

この型式の先行技術のフライスは、例えば米国特許第 3
847555号、ドイツ特許出願第 2339873号及びドイツ特許
出願第 2806079号並びに実公昭43-32059号に開示されて
いる。

これらの公知のフライスにおいては、シューの締付け固
定中に調節手段が少々軸転させられ、そのためシューが
正確に調節された位置からはずれて移動することになる
という危険がある。

先行フライスのくさび形式の調節手段はカッタ本体に当
接する円弧外周が 180゜の円筒支持面とシューの内端に
当接する平坦な支持面のみから成り、この手段が調節ね
じによりカッタ本体に固定される。この種の調節手段は
それ自体の精度が高い工作の必要上カッタ本体に当接す
る調節手段の外面を円弧外周を有する円筒形に成形す
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の目的は上述の通り、シューが締付け固定手段に
よって締付け固定される時にその正確に調節されたはづ
の位置からはずれて微動するというフライスにとって不
都合な問題を解決することにある。

〔問題を解決するための手段〕

添付図面の番号を参照していえば、カッタ本体（10）
と、切削インサート（11）を担持するための概してカッ
タ本体軸方向に延長する少くとも１つのシュー（12）
と、カッタ本体（10）とくさび形式の調節手段（13）と
に螺結されるねじ（21）と協働してカッタ本体（10）か
ら切削インサート（11）が突出する度合を変えるように
カッタ本体（10）においてシュー（12）の位置を調節す
るための当該調節手段（13）と、カッタ本体（10）に対
して相対的に調節された位置でシュー（12）を締結する
手段とを含んで成り、調節手段（13）はカッタ本体（1
0）の円筒形支持面（18）に着座するように対応した円
弧外周を有する円筒形支持面（17）と、カッタ本体軸の
方向に見てシュー（12）の内端に形成されている平坦な
面（20）に着座するようにした対応する平坦な面（19）
とを有していて、前記円筒形支持面（17）が平坦面（1
9）に該シュー内端の１の隅部に位置する当該平坦面（1
9）の１端において接続している、斯ゝる前記公知技術
を包含する構成のフライスにおいて、 本発明では調節手段（13）の該円弧外周が 180゜より大
なる内角αを有していて、調節手段（13）がその平坦面
（19）の他端において該シュー内端の他の隅部（26）を
股ぐようにした。但し、調節手段（13）の内面は平坦面
（19）とこれを横断する方向の第２の平坦支持面（25）
から構成され、他方シュー（12）の隅部（26）は当該内
面の形状に対し、実質的に補完する形状である。

〔作 用〕

上記本発明特有の構成によれば、シュー位置の調節に際
して調節手段（13）はそのシュー側の内面がシュー（1
2）の前記内端隅部の両側のいづれか少くとも１方と当
接した状態になるので、それだけ軸転の自由度が抑制さ
れる。他方前記従来のフライスでは、対応する調節手段
が対応するシュー内端隅部を股ぐ構成になっていないの
で、即ち対応する円弧外周の内角αが 180゜であるの
で、本発明のような上記当接状態は確保されず、従って
前述の不都合な問題が生じる次第であり、それ故に本発
明はこの問題を簡単な改良構成によって、美事に解消す
ることになる。

〔実施例〕

本発明は、一つの実施態様を示す添付図面を参照して以
下に詳細に説明される。この実施態様は本発明の単なる
例示であって、その種々の変形が特許請求の範囲内で行
われることが理解されるべきである。

図面に示されるフライスは、カッタ本体10と、複数のイ
ンサート11を具備している。切削インサートの各々はシ
ュー又はカセット12の中に取付けられる。カッタ本体10
におけるこれらシュー12の位置は調節手段13によって調
節することができる。シュー12の位置を調節することに
より、カッタ本体10からの切削インサート11の突出の程
度は変えることできる。正確に定められた位置にシュー
12を調節するとき、シューは、固定ねじ14とピン15に協
働する締付ねじ16とを具備している締付け固定手段によ
って、この位置に固定される。調節手段13には、カッタ
本体10上の対応支持面18に対して当接するようにされて
いる支持面17が設けられている。この調節手段13にはさ
らにシュー12上の対応くさび面20に対して当接するよう
にされているくさび面19が設けられる。このくさび面19
はねじ21の軸に対し傾斜している。

カッタ本体10におけるシュー12の位置が調節されると
き、調節手段13はねじ孔を有し、これを通じてカッタ本
体の中にねじ込まれるねじ21によりその縦方向に移動さ
れる。したがって調節具13が移動された時、くさび面1
9，20に沿って相対運動が生じる。調節手段13の支持面1
7とカッタ本体10上の支持面18は公知のものと同様にわ
ん曲している。通常はこの支持面17，18は図示の実施態
様におけるように部分円筒形である。しかし、調節手段
13の面17は他の形状、例えば刻面のついた表面部分を有
するが、少なくともある程度軸転できるように全体的に
わん曲された形状のものを用いることができる。固着ね
じ14は、この固着ねじによりシュー12が締付け固定され
るとき、調節手段13のくさび面19と、カッタ本体10上の
縦方向の支持面22と、ほぼそれに対して横方向に延びて
いるカッタ本体10上の支持面23とに夫々作用する分力が
生じるような、螺結方向を有している。もしも、部分円
筒形の支持面によって通常形成された円の扇形部分、即
ち円弧外周が 180゜に等しい角度を有している公知の調
節手段が使用されたならば、この調節手段はシューの調
節中に、全くさび面19，20間に正確な接触が存在してい
る位置からはずれて、ある程度回転させるという危険が
ある。こうして固着ねじ14が締付けられると、調節手段
はこの位置から回転して戻ることになり、そのためシュ
ーが正確に調節された位置からはずされるよう移動する
ことが起こり得る。

したがって、好適な実施態様によれば、調節手段13に
は、シュー12のための支持又は特定位置に限定する面25
を有する舌状突出部24が設けられている。支持面22から
延長するこの支持面25は、正確な相互の位置が調節手段
13とシュー12との間に得られるのを保証する。したがっ
て、舌状突出部24により、部分円筒形支持面17によって
形成された１つの円の扇形部分、即ち円弧外周は、 180
゜より大きな角度αを有する。調節手段13は、したがっ
て、シュー12の内側隅部26を股ぐようにされる。なお、
図示のように、隅部26は調節手段13の内面に対し実質的
に補完する形状を有している。図示の実施態様において
は支持面17，18は円形の円筒形状である。しかし上記の
ように、他の形状、例えば調節手段13の回転ができるよ
うな刻面のついた、但し全体的には概して円筒形状のも
のを用いることができる。

調節手段13上の支持面25、くさび面19に対して概して横
断する方向に延びている。好適な実施態様においては、
くさび面19と支持面25はその間に90゜より小さな角度β
を形成している。従って、シューの隅部26も実質的にβ
に等しい挾角度を有している。第６図に見られるよう
に、調節手段13のくさび面19は、調節手段13が半径方向
内側に、すなわち図３で左側に移動された時シュー12が
軸方向外側に、すなわち図３で下方に移動されるような
方向を有している。

本発明の好ましい例では、フライスをその外周方向に見
た時に各シュー12ができるだけ相互に接近して取付ける
ことができるようにしようとするものである。従って、
この目的のために切削インサート11はねじ27によってシ
ュー12に固定されるが、これは外周方向に広いくさびを
必要としないことが意味するものである。支持面22に対
してシュー12を確実に締付け固定するために、シューの
締付け固定手段はしたがって、シューの中の１つの穴に
その外端が移動自在に配置されているピン15を具備して
いる。このピン15は、締付けねじ16により、支持面22と
は反対側のカッタ本体上の支持面28に対して押しつけら
れるが、この締付けねじ16はシュー12の中にねじ込まれ
このシューのおおよそ縦方向に見て移動可能となってい
る。この締付けねじ16はしたがって、ピン15の縦方向に
対しておおよそ直角に移動することができ、支持面28と
は反対側のピン15の端面に対して当接するようにした円
錐部分29が設けられている。

調節手段13は第４図に示すように、その支持面25が凹所
の支持面22の継続する延長部を実質的に提供する。

ピン15はそのスロットＡと止めピンＢにより、第７図に
示すようにシュー12からの離脱を阻止されている。

〔発明の効果〕

本発明によれば、シューのカッタ本体に対する相対的な
位置調節と、得られた所定調節位置におけるシューのカ
ッタ本体に対する締付け固定が共に保証されるので、精
度の高いフライス加工を行うことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のフライスの１つの実施態様を示す平面
図であり、 第２図は第１図のフライスのII−II線に沿う一部切欠き
側面図であり、 第３図は第２図におけるシューとカッタ本体の周りの切
欠き部分の１部切欠き拡大説明図であり、 第４図は第３図のIV−IV線に沿うフライスの部分側面図
であり、 第５図はカッタ本体に対しシューの位置を調節する調節
手段の端面説明図であり、 第６図は第５図のVI−VI線による調節手段の断面図であ
り、 第７図は第２図のVII−VII線によるピンの断面図であ
り、 第８図はフライスの締付け固定手段に含まれる締付けね
じを示す側面説明図であり、 第９図は締付け固定手段に含まれるピンを示す側面説明
図である。 （符号の説明） 10……カッタ本体、11……切削インサート、 12……シュー、13……調節手段、 14……固着ねじ、15……ピン、 16……締付けねじ、17……支持面、 18……支持面、19……平坦面、 20……平坦面、22……支持面、 23……支持面、24……舌状突出部、 25……支持面、26……内側隅部。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カッタ本体（10）と、切削インサート（1
   1）を担持するための概してカッタ本体軸方向に延長す
   る少なくとも１つのシュー（12）と、カッタ本体（10）
   とくさび形式の調節手段（13）とに螺結されるねじ（2
   1）と協働してカッタ本体（10）から切削インサート（1
   1）が突出する度合を変えるようにカッタ本体（10）に
   おいてシュー（12）の位置を調節するための当該調節手
   段（13）と、カッタ本体（10）に対して相対的に調節さ
   れた位置でシュー（12）を締結する手段とを含んで成
   り、調節手段（13）はカッタ本体（10）の円筒形支持面
   （18）に着座するように対応した円弧外周を有する円筒
   形支持面（17）と、カッタ本体軸の方向に見てシュー
   （12）の内端に形成されている平坦な面（20）に着座す
   るようにした対応する平坦な面（19）とを有していて、
   前記円筒形支持面（17）が平坦面（19）に該シュー内端
   の１の隅部に位置する当該平坦面（19）の１端において
   接続している、斯ゝる構成のフライスにおいて 調節手段（13）の該円弧外周が 180゜より大なる内角α
   を有していて、調節手段（13）がその平坦面（19）の他
   端において該シュー内端の他の隅部（26）を股ぐように
   調節手段（13）の外面としての円筒形支持面（17）を構
   成し、且つ調節手段（13）の内面を平坦面（19）とこれ
   を横断する方向の第２の平坦支持面（25）から構成し、
   他方シュー（12）の隅部（26）は当該内面の形状に対
   し、実質的に補完する形状であることを特徴とするフラ
   イス。
2. 【請求項２】前記調節手段（13）の平坦面（19）と前記
   第２支持面（25）が、その間に90゜より小さい角度
   （β）をなしている特許請求の範囲第１項記載のフライ
   ス。
3. 【請求項３】カッタ本体（10）がその軸方向でシュー
   （12）の縦方向に延長しているシュー（12）に対する支
   持面（22）を有し、調節手段（13）の第２支持面（25）
   が当該支持面（22）の継続する延長部を実質的に提供し
   ている、特許請求の範囲第２項記載のフライス。
4. 【請求項４】調節手段（13）の平坦面（19）は、調節手
   段（13）がカッタ本体（10）の半径に対しその内方向へ
   移動するときに、シュー（12）をカッタ本体（10）の軸
   に対しその外方向へ移動させるように配向している、特
   許請求の範囲第３項に記載のフライス。
5. 【請求項５】カッタ本体（10）にはその軸方向であるシ
   ュー（12）の縦方向に延長した互いに対向する第１と第
   ２の支持面（22，28）を有する凹所が配設されていて、
   シュー（12）が当該両支持面の間に挿置されるようにな
   っており、更に、カッタ本体（10）は第１、第２支持面
   （22，28）の間に該凹所の第３の支持面（23）を有し、
   前記締結手段はシュー（12）を横断してカッタ本体（1
   0）に螺結される固着ねじ（14）を含んで成り、当該固
   着ねじ（14）は調節手段（13）の平坦面（19）、カッタ
   本体（10）の第１支持面（22）及びカッタ本体（10）の
   第３支持面（23）に対して締付けるように配向してお
   り、当該第３支持面（23）は第１、第２支持面（22，2
   8）の間において第１支持面（22）に対し概して横断す
   る方向に延長した該凹所の底面である、特許請求の範囲
   第１項−第４項のいづれか１項に記載のフライス。
6. 【請求項６】調節手段（13）の第１の平坦面（19）が調
   節ねじ（21）の軸に対し傾斜したくさび面であり、調節
   手段（13）が当該軸に沿ったねじ孔を有し、ねじ（21）
   が当該ねじ孔に螺結されると共にカッタ本体（10）にね
   じ先端部において螺結される、特許請求の範囲第１項−
   第５項のいづれか１項に記載のフライス。