JPH0536180B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、被加工物を加工用の刃物、定盤等の
物体に対し所定の角度傾斜した姿勢に維持するた
めの角度固定装置に関する。

（従来技術） 被加工物のための角度固定装置は、一般に、定
盤のような作業台に設置される基台と、弧状の外
表面を有する第１および第２の基準部を有し、該
第１の基準部を中心に回転可能に前記基台に配置
され、被加工物を支持するための支持台と、前記
基台に対する前記支持台の回転を解除可能に阻止
して前記支持台を前記基台に対し所定の角度傾斜
した姿勢に維持する阻止手段とを含む。

このような角度固定装置の１つとして、前記第
１の基準部の外表面を止めねじまたは押え板によ
り基台に押圧し、基台と前記第１の基準部との間
の摩擦力により基台に対する支持台の回転を阻止
する装置がある。

この装置は、基台に対する支持台の回転を阻止
すべく止めねじまたは押え板により支持台に押圧
力を加えると、前記止めねじとこれを受け入れる
ねじ穴、第１の基準部とこれを受け入れる凹所の
加工誤差、クリアランスまたは押え板の加工誤
差、さらには押え板により第１の基準部を押える
位置の変動等による、前記押圧力の方向が第１の
基準部の直径方向に対し傾斜する。このように、
押圧力が第１の基準部の直径方向に対し傾斜する
と、押圧力の分力が第１の基準部ひいては支持台
を基台に対して回転させる力として軸部に作用す
る。

しかし、上記の従来の装置は、押圧力を第１の
基準部の外表面に加えるため、第１の基準部の基
台との接触部分から押圧力が加えられる部分まで
の距離が長く、このため前記分力が小さくても軸
部に大きな回転モーメントが作用し、基台に対す
る支持台の姿勢を固定するときに第１の基準部が
基台に対し回転する。このように、支持台を基台
に対し固定するときに支持台が回転すると、基台
に対する支持台の角度が変化するため、支持台を
基台に対し正しい角度傾斜した姿勢に固定するこ
とができない。

角度固定装置の他の１つとして、長穴を有する
調整バーの一端を基台に回転可能に支持し、前記
長穴を貫通する締付けねじにより調整バーの他端
側を支持台に固定することにより、基台に対する
支持台の角度を解除可能に固定する装置がある。
しかし、この装置は、基台と支持台との回転中心
すなわち第１の基準部を固定しないため、支持台
が前記第１の基準部において基台に対し移動し、
支持台を基台に対し正しい角度傾斜した姿勢に固
定することができない。

（発明の目的） 本発明は、支持台を基台に対し正しい角度傾斜
した姿勢に固定することができる角度固定装置を
提供することを目的とする。

（発明の構成） 本発明の角度固定装置は、作業台に設置される
基台であつて該基台の前記作業台と反対の側に基
準面および断面Ｖ字状の凹所を有する基台と、該
基台の前記基準面の側に配置されて被加工物を支
持する支持台であつて弧状の外表面と該外表面の
弧の中心を中心とする押え穴とを有する、前記凹
所に受け入れられた第１の基準部および前記基準
面と対向する位置に設けられた弧状の外表面を有
する第２の基準部を備える支持台と、前記凹所の
断面Ｖ字状の部分を規定する２つの受け面のなす
角の２等分線に沿つて前記凹所の底部に向かう力
を前記押え穴の前記２等分線上の内周面に加え、
前記第１の基準部の外表面を２つの前記受け面に
押圧し、前記基台に対する前記支持台の回転を解
除可能に阻止する阻止手段とを含む。

（発明の効果） 本発明によれば、第１の基準部にこれの外表面
の弧面の中心を中心とする押え穴を設け、支持台
を基台に解除可能に固定するための押圧力を前記
押え穴の内周面に加えるため、支持台の基台との
接触部分から前記押圧力が加えられる部分までの
距離が押圧力を第１の基準部の軸部の外表面に加
える装置に比べて著しく短く、したがつて前記押
圧力により軸部に作用する回転モーメントが小さ
く、支持台を基台に対して固定するときに前記軸
部が回転せず、支持台を基台に対し正しい角度傾
斜した姿勢に固定することができる。

また、本発明は、基台に対する回転中心部であ
る第１の基準部を固定するため、第１の基準部が
基台に対して移動せず、支持台を基台に対しより
正しい姿勢に固定することができる。

（実施例） 以下、図面に示す本発明の実施例について説明
する。

第１図〜第３図に示す角度固定装置１０は、定
盤のような作業台１２に設置される基台１４と、
該基台の作業台１２と反対の側に配置されて被加
工物を支持する支持台１６と、基台１４に対する
支持台１６の回転を解除可能に阻止する阻止手段
１８とを含む。

基台１４は、第１図に示すように、基準面２０
と、断面Ｖ字状の凹所２２と、該凹所の底部から
伸びる雌ねじ穴２４とを作業台１２と反対の側に
有する。凹所２２は、図示の例ではＶ溝である。
凹所２２の断面Ｖ字状の部分を規定する２つの受
け面２６，２８のうち、一方２６は基準面２０と
面一であり、他方２８は受け面２６に対しほぼ90
度の角度を有する。このため、基準面２０および
受け面２６，２８の加工が容易である。雌ねじ穴
２４は、受け面２６，２８のなす角の２等分線に
沿つて伸びる。

支持台１６は、第１図に示すように、凹所２２
と平行に伸びる断面Ｖ字状の第１および第２の凹
溝３０，３２と、各凹溝３０，３２の溝底から伸
びる第１および第２の止めねじ穴３４，３６とを
作業台１２と反対の側に備える。第１の凹溝３０
は凹所２２と対面する位置に設けられており、第
２の凹溝３２は基準面２０と対面する位置に設け
られている。第１および第２の止めねじ穴３４，
３６は、凹溝３０，３２のＶ字状の部分を規定す
る２つの受け面３８，４０，４２，４４のなす角
の２等分線の方向へ伸びる。

支持台１６は、また、凹所２２と対面する位置
に設けられた第１の基準部４６と、前記基準面２
０と対面する位置に設けられた第２の基準部４８
とを作業台１２の側に備える。第１の基準部４６
は、第５図に示すように、第１の凹溝３０に受け
入れられた第１の軸５０と、該第１の軸をこれの
直径方向へ貫通して第１の止めねじ穴３４に螺入
された第１の止めねじ５２とを備える。第２の基
準部４８は、第６図に示すように、第２の凹溝３
２に受け入れられた第２の軸５４と、該第２の軸
をこれの直径方向へ貫通して第２の止めねじ穴３
６に螺入された第２の止めねじ５６とを備える。

第１の軸５０は、第４図に示すように、これの
長手方向の端面に開口する２つの押え穴５８を有
する。押え穴５８は、第１の軸５０の外表面の中
心を中心としており、また同じ直径を有する。

なお、２つの押え穴５８を第１の軸５０に設け
る代りに、第１の軸５０にこれを貫通する１つの
貫通孔を設けてもよい。また、第１および第２の
基準部４６，４８は、基台１４からの突出部であ
つてもよい。この場合、第１および第２の基準部
は弧状の外表面を有し、また第１の基準部４６は
これの外表面の弧の中心を中心とする押え穴５８
を有する。

支持台１６は、さらに、被加工物を支持する支
持部６０を作業台１２と反対の側に有する。支持
部６０は、支持台１６に取り付けられた磁気チヤ
ツク６２またはバイスのような支持装置を備え
る。

阻止手段１８は、第４図および第７図に示すよ
うに、押え穴５８に挿入される２つの押え軸６４
と、各押え軸６４をこれの直径方向へ貫通して基
台１４の雌ねじ穴２４に螺入する押えねじ６６と
を備える。各押え軸６４は、第１の基準部４６の
外表面すなわち第１の軸５０の曲率半径とほぼ同
じ半径を有する頭部６８と、該頭部と同心の軸部
７０とを有する。軸部７０は、押え穴５８の直径
よりもわずかに小さい直径を有しており、また押
え穴５８に挿入される。各押えねじ６６は、軸部
７０に設けられた穴を貫通する。

なお、第８図に示すように、押え穴５８の代り
に１つの貫通孔７２を第１の基準部４６に設け、
２つの押え軸６４を用いる代りに１つの押え軸７
４を用いてもよい。

角度固定装置１０の使用時、阻止手段１８の押
えねじ６６を基台１４の雌ねじ穴２４に螺入する
と、押え軸６４が受け面２６，２８のなす角の２
等分線に沿つて基台１４の側に押されることによ
り第１の軸５０を基台１４の受け面２６，２８に
押圧し、これにより支持台１６は基台１４に対し
回転を阻止される。これに対し、押えねじ６６を
緩めると、第１の軸５０と受け面２６，２８との
摩擦力が小さくなるため、支持台１６を基台１４
に対し回転させ、基台に対する支持台１６の傾斜
角を変更することができる。

上記の角度固定装置１０において、基台１４に
対する支持台１６の回転を阻止するための押圧力
は、押え穴５８のうち、受け面２６，２８のなす
角の２等分線上の内周面部分に前記２等分線の方
向に加わる。このため、装置１０は、第１の軸５
０の受け面２６，２８との接触部分から第１の軸
５０の前記押圧力が加えられる部分までの距離が
前記押圧力を第１の軸５０の外周面に加える場合
に比べて短く、したがつて前記押圧力の方向が第
１の軸５０の直径方向に対し傾斜していても、前
記押圧力の分力により第１の軸５０に作用する回
転モーメントが小さく、前記押圧力を支持台１６
に加えたときに支持台１６が回転せず、支持台１
６を基台１４に対し正しい姿勢に固定することが
できる。

また、支持台１６の設けた断面Ｖ字状の凹溝３
０，３２に第１および第２の軸５０，５４を止め
ねじ５２，５６により取り付けているため、第１
および第２の基準部の外表面を高精度に仕上げる
ことができる。

第９図〜第１１図に示す角度固定装置８０は、
第１の軸５０にこれの中心軸線に沿つて貫通する
１つの押え穴８２を設けている。また、この装置
８０は、第１の軸５０の中心軸線方向の端面と対
面する一対の支持板８４と、各支持板に支持され
た第１および第２の押えローラ８６，８８と、該
押えローラを相寄り、相離れる方向へ移動させる
ねじ棒９０とを備える阻止手段９２を備える。

各支持板８４は、基台１４にねじ止めされてお
り、また押え穴８２と対面する位置に支持穴９４
を有する。各支持穴９４は押え穴８２の直径より
もやや大きく、また支持穴９４の中心は押え穴８
２の中心よりも凹所２２の底部または頂部の側に
位置する。

第１および第２の押えローラ８６，８８は、円
錐形の頭部を有しており、また該頭部が互いに対
面するように支持穴９４に受け入れられている。
また、第１および第２の押えローラ８６，８８
は、第１１図に示すようにキー９６により支持板
８４に滑動可能ではあるが回転不能に支持されて
いる。第１および第２の押えローラ８６，８８
は、その中心軸線に沿つて貫通する穴を有する。
第２の押えローラ８８の前記穴は、雌ねじ穴であ
る。

ねじ棒９０は、一端に頭部を有し、また他端に
ねじを有する。ねじ棒９０は、第１の押えローラ
８６、押え穴８２および第２の押えローラ８８を
貫通して伸びており、また第２の押えローラ８８
のねじ穴と螺合する。

角度固定装置８０の使用時、阻止手段９２のね
じ棒９０を回転させることにより第１および第２
の押えローラ８６，８８を互いに接近させると、
押えローラ８６，８８の頭部が押え穴８２の内面
に接触して第１の軸５０の基台１４、特に凹所２
２の底部に向けて押圧する。これにより、第１の
軸５０は基台１４の受け面２６，２８に押圧さ
れ、支持台１６は基台１４に対し回転を阻止され
る。これに対し、ねじ棒９０を緩めると、第１お
よび第２の押えローラ８６，８８が互いに離れる
ため、第１の軸５０と受け面２６，２８との摩擦
力が小さくなり、支持台１６を基台１４に対し回
転させ、基台１４に対する支持台１６の傾斜角を
変更することができる。

上記の角度固定装置８０も、基台１４に対する
支持台１６の回転を阻止するための押圧力は、押
え穴８２のうち、受け面２６，２８のなす角の２
等分線上の穴底部分に前記２等分線の方向に加わ
る。このため、装置８０は、第１の軸５０の受け
面２６，２８との接触部分から第１の軸５０の前
記押圧力が加えられる部分までの距離が前記押圧
力を第１の軸５０の外周面に加える場合に比べて
短く、したがつて前記押圧力の方向が第１の軸５
０の直径方向に対し傾斜していても、前記押圧力
の分力により第１の軸５０に作用する回転モーメ
ントが小さく、前記押圧力を支持台１６に加えた
ときに支持台１６が回転せず、支持台１６を基台
１４に対し正しい姿勢に固定することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の角度固定装置の一実施例を示
す正面図、第２図は同装置の左側面図、第３図は
同装置の平面図、第４図は第１図の−線に沿
つて得た断面図、第５図は第３図の−線に沿
つて得た断面図、第６図は第３図の−線に沿
つて得た断面図、第７図は第２図の−線に沿
つて得た断面図、第８図は阻止手段の他の実施例
を示す断面図、第９図は本発明の角度固定装置の
他の実施例で用いる阻止手段の一実施例を示す正
面図、第１０図は第９図の−線に沿つて得た
断面図、第１１図は第９図のXI−XI線に沿つて得
た断面図である。 １２：作業台、１４：基台、１６：支持台、１
８，９２：阻止手段、２０：基準面、２２：凹
所、２４：雌ねじ穴、２６，２８：受け面、３
０，３２：凹溝、３４，３６：止めねじ穴、３
８，４０，４２，４４：受け面、４６：第１の基
準部、４８：第２の基準部、５０，５４：軸、５
２，５６：止めねじ、５８：押え穴、６４，７
４：押え軸、６６：押えねじ、６８：頭部、７
０：軸部、８２：押え穴（貫通穴）、８４：支持
板、８６，８８：押えローラ、９０：ねじ棒、９
４：支持穴。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 作業台に設置される基台であつて該基台の前
   記作業台と反対の側に基準面および断面Ｖ字状の
   凹所を有する基台と、該基台の前記基準面の側に
   配置されて被加工物を支持する支持台であつて弧
   状の外表面と該外表面の弧の中心を中心とする押
   え穴とを有する、前記凹所に受け入れられた第１
   の基準部および前記基準面と対向する位置に設け
   られた弧状の外表面を有する第２の基準部を備え
   る支持台と、前記凹所の断面Ｖ字状の部分を規定
   する２つの受け面のなす角の２等分線に沿つて前
   記凹所の底部に向かう力を前記押え穴の前記２等
   分線上の内周面に加え、前記第１の基準部の外表
   面を２つの前記受け面に押圧し、前記基台に対す
   る前記支持台の回転を解除可能に阻止する阻止手
   段とを含む、角度固定装置。 ２ 前記支持台は、前記基台の前記凹所と平行に
   伸びる断面Ｖ字状の第１および第２の凹溝と、各
   凹溝の溝底から該凹溝の断面Ｖ字状の部分を規定
   する２つの受け面のなす角の２等分線の方向へ伸
   びる第１および第２の止めねじ穴とを有し、前記
   第１の基準部は、前記第１の凹部に受け入れられ
   る第１の軸と、該第１の軸をこれの直径方向へ貫
   通し、前記第１の止めねじ穴に螺入されて前記第
   １の軸を前記支持台に固定する第１の止めねじと
   を備え、前記第２の基準部は、前記第２の凹溝に
   受け入れられる第２の軸と、該第２の軸をこれの
   直径方向へ貫通し、前記第２の止めねじ穴に螺入
   されて前記第２の軸を前記支持台に固定する第２
   の止めねじとを備える、特許請求の範囲第１項に
   記載の角度固定装置。 ３ 前記基台の前記凹所の一方の前記受け面は、
   前記基準面と平行である、特許請求の範囲第１項
   または第２項に記載の角度固定装置。 ４ 前記基台は、前記凹所の底部から該凹所の断
   面Ｖ字状の部分を規定する２つの前記受け面のな
   す角の２等分線に沿つて伸びる雌ねじ穴を有し、
   前記阻止手段は、前記第１の基準部の曲率半径と
   ほぼ同じ半径を有する頭部および前記第１の基準
   部の前記押え穴に挿入されかつ前記頭部と同心の
   軸部を有する押え軸と、該押え軸の軸部をこれの
   直径方向へ貫通し、前記雌ねじ穴に螺入されるね
   じとを備える、特許請求の範囲第１項から第３項
   のいずれか１項に記載の角度固定装置。 ５ 前記第１の基準部の前記押え穴は該第１の基
   準部の中心軸線に沿つて第１の基準部を貫通する
   貫通穴であり、前記基台は、前記凹所の底部から
   該凹所の断面Ｖ字状の部分を規定する２つの前記
   受け面のなす角の２等分線に沿つて伸びる雌ねじ
   穴を有し、前記阻止手段は、前記貫通穴を貫く押
   え軸と、該押え軸をこれの直径方向へ貫き、前記
   雌ねじ穴に螺入されるねじとを含む、特許請求の
   範囲第１項から第３項のいずれか１項に記載の角
   度固定装置。 ６ 前記第１の基準部の前記押え穴は該第１の基
   準部の中心軸線に沿つて第１の基準部を貫通する
   貫通穴であり、前記阻止手段は、前記第１の基準
   部の軸線方向の端面と対面するように前記基台に
   固定された一対の支持板であつて前記貫通穴と対
   面する位置に支持穴を有する一対の支持板と、各
   支持穴に滑動可能にかつ回転不能に受け入れられ
   た円錐形の頭部を有する第１および第２の押えロ
   ーラであつてこれの軸線方向に貫通する穴を有
   し、頂部が互いに対向するように前記支持板に支
   持され、前記頂部が前記貫通孔に挿入された第１
   および第２の押えローラと、前記貫通穴および前
   記第１および第２の押えローラを貫くねじ棒であ
   つて前記第１および第２のローラを相寄り、相離
   れる方向へ移動させるねじ棒とを備え、前記支持
   穴は、その中心が前記貫通穴の中心よりも前記凹
   所の底部の側に位置されている、特許請求の範囲
   第１項から第３項のいずれか１項に記載の角度固
   定装置。