JPH0638783A - ヒアルロン酸の製造方法 - Google Patents

ヒアルロン酸の製造方法

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JPH0638783A
JPH0638783A JP2866693A JP2866693A JPH0638783A JP H0638783 A JPH0638783 A JP H0638783A JP 2866693 A JP2866693 A JP 2866693A JP 2866693 A JP2866693 A JP 2866693A JP H0638783 A JPH0638783 A JP H0638783A
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hyaluronic acid
streptococcus
aeration
culture
glucose
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Hidemichi Akasaka
日出道 赤坂
Hisayuki Komazaki
久幸 駒崎
Mitsuo Yanagi
光男 柳
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 糖成分3%以上を主炭素源とする栄養培地に
てストレプトコッカス属のヒアルロン酸を生成する能力
を有する微生物を通気攪拌培養して、好気的条件下で、
pH5.5〜9.0に調整された培養液中にヒアルロン
酸を生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする
微生物によるヒアルロン酸の製造方法。 【効果】 ヒアルロン酸を効率よく製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物によるヒアルロン
酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒアルロン酸はウシの眼のガラス
液、ニワトリのトサカ、このほか臍帯、関節液等より単
離され、タンパク質及び水と結合してゼリー状を保ち、
潤滑剤的な役割、バクテリアの侵入からの保護、水分の
保持等に役立っている。しかし、極めて高価であること
が問題点であった。一方ストレプトコッカス属細菌を利
用したヒアルロン酸の生成についてはストレプトコッカ
ス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプ
トコッカス・エキ(Streptococcus equi)、ストレプト
コッカス・エキシミリス(Streptococcus equismili
s)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Strep
tococcus dysgalactiae)及びストレプトコッカス・ズ
ーエピデミカス(Streptococcuszooepidemicus)等の細
菌によりヒアルロン酸を生産する事がすでに知られてい
る。その報告はホルムストレーム(B.Holmstrom Appl・M
icrobial 1967)、ジェー・ビー・ウールコック(J.B.W
oolcock 85,372〜375J.Gen.Microbial 1974)、イー・
キエム(E.Kjem Acta Pathol.Microbial.Scand 1976)
らによって既に報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしいずれも大量生
産を目的としたものではなく、グルコース1%、培養時
間24時間、pH7.0〜7.6、温度30〜37℃等
の条件で行うもので、収量は0.6g/l以下と低いも
のであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは簡単で安価
な培地でヒアルロン酸を収量良く安全に生成せしめる事
を意図して鋭意研究した結果、特定の条件で上記細菌を
培養する事により収量が増加する事を見出し、本発明を
完成するに至った。即ち、本発明は糖成分3%以上を主
炭素源とする栄養培地にてストレプトコッカス属のヒア
ルロン酸を生成する能力を有する微生物を通気攪拌培養
し、培養液中にヒアルロン酸を生成せしめ、これを採取
するものである。本発明のヒアルロン酸を生産する能力
を有する細菌としてはストレプトコッカス・ピオゲネ
ス、ストレプトコッカス・エキ、ストレプトコッカス・
エキシミリス、ストレプトコッカス・ディスガラクティ
エ、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス等があげら
れる。
【0005】本発明においてヒアルロン酸の生産は上記
ヒアルロン酸生産菌を特定の栄養培地にて培養する事に
より行なわれる。培地としては、炭素源、窒素源、無機
塩及びその他に必要ならば有機微量栄養素を含有する培
地がよい。炭素源としては、例えば有機酸、脂肪族アル
コール等いろいろあるが、本発明では澱粉加水分解物、
グルコース、蔗糖、フラクトース等の糖分が必須成分と
して必要である。次に窒素源としては硫安、硝酸ナトリ
ウム、リン酸第二アンモニウム、肉エキス、ペプトン、
各種アミノ酸混合物、酵母エキス等の一般的な原料が用
いられる。更にこの他に塩化ナトリウム、或いはマグネ
シウム、カリウム、鉄、カルシウム等の燐酸塩、硫酸塩
或いは炭酸塩等及び微量ビタミン類が必要に応じて添加
される。
【0006】ヒアルロン酸の収量増加には、炭素源のう
ちグルコースを用いると特に良い結果が得られる。糖の
添加は一度に多量添加するよりも少量に分割して適時添
加する方が良い結果となる。糖の濃度は3%以上添加す
るとヒアルロン酸の生産量が1%の時に比べ顕著に増加
する。その濃度は6〜8%添加すれば十分で、これ以上
添加しても収量の増加はない。3%未満では本発明の効
果は発揮出来ない。表1に培地組成を示した。培地中の
グルコースの添加量を変えて培養した結果を表2に示し
た。グルコース3%以上添加の場合は1%と比較すると
かなり収量が増加する事が分かる。
【0007】
【表1】培地組成の比較 ──────────────────────────────────── 培地組成 添加量% ──────────────────────────────────── グルコース 1 3 4 8 酵母エキス 0.5 0.5 0.5 0.5 ペプトン 1.5 1.5 1.5 1.5 リン酸第1水素カリウム 0.2 0.2 0.2 0.2 チオ硫酸ナトリウム 0.11 0.11 0.11 0.11 亜鉛酸ナトリウム 0.02 0.02 0.02 0.02 ──────────────────────────────────── pH5.5〜9.0、温度30〜44℃、通気量1〜2
l/min、培養時間(1〜4日)
【表2】培養条件(通気の有無とグルコース量)とヒアルロン酸生産量(g/l) ──────────────────────────────────── 通気の有無 グルコース量 % ──────────────────────────────────── 1 3 4 8 ──────────────────────────────────── 有 0.5g 2.0g 2.1g 4.0g 無 − − 0.05g − ────────────────────────────────────
【0008】グルコース8%添加時のヒアルロン酸の収
量は、常法に従い精製した結果、4.0g/lであっ
た。培養時においては通気攪拌が必須である。通気攪拌
の方法としては振とう培養あるいは空気吹込みによる通
常の通気攪拌培養があるが、いずれを使用してもよい。
その際、攪拌力は弱く、通気量を多くした方が良い結果
が得られる。通気の有無を表2に示す。通気する事によ
って収量が明らかに増加することが分かる。更に培養時
に、アルカリ水溶液にてpH5.5〜9.0に調整する
と、ヒアルロン酸が安定に生成出来、より好ましい。ア
ルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、塩基性アミノ酸、低級アミノ等の通常用いられるア
ルカリの単独或いは混合溶液が使用出来る。培養後、培
養液中に蓄積されたヒアルロン酸を分離、採取するにあ
たっては、培地を酸性にして処理すると純度がよくなり
処理しやすい。ヒアルロン酸の分離には従来から行われ
ている多糖類の分離採取法が利用出来る。
【0009】例えば培養液中の菌体、その他の不溶成分
はロ過又は遠心分離等により分離除去する。溶液中に混
在する蛋白質はトリクロル酢酸、又はクロロホルム、イ
ソアミルアルコール混液での除去或いは活性白土、活性
炭等の吸着剤或いはペプシン、パパイン、プロナーゼ等
の蛋白質分解酵素にて除去することが出来る。又、混在
する低分子物質は限外ロ過、透析或いは有機溶媒再沈法
等により分解除去する。その後、有機溶媒による沈殿法
又はカチオン活性剤による吸着法或いはイオン交換樹脂
による吸着法で精製後凍結乾燥、噴霧乾燥或いは溶媒沈
殿法等の方法でヒアルロン酸を単離する事が出来る。こ
のようにして得られたヒアルロン酸は水に可溶、メタノ
ール、エタノール、アセトン、クロロホルム、エーテル
等の有機溶媒には不溶の白色繊維状、無味、無臭の乾燥
物である。
【0010】次にストレプトコッカス・ズーエピデミカ
スで培養して得られた精製ヒアルロン酸の性質を以下に
述べる。 呈色反応 アンスロン − 硫酸反応 : 緑色 カルバゾール − 硫酸反応 : 紅色 赤外吸収スペクトル KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルは図1の
通りである。 0.1%水溶液の比施光度:[a]20/D=−67.5゜ 電気泳動による分析 等速電気泳動のチャートを図2に示した。泳動条件は下
記の通りで、本多糖のボテンシアルユニットバリュー
(Potential Unit Value)は0.23であるところか
ら、本粘質物はヒアルロン酸であることを確認した。泳動条件 リーデイング液 0.01M、HCL β-Ala、pH3.2、トリトンX-100、0.1% ターミナル液 0.01M カフ゜ロン酸 泳動電流 100μA キャピラリチューブ 20cm×0.5mmφ 恒温槽温度 20゜C チャートスピード 10mm/mnポテンシアルユニットバリュー 本粘質物 0.23 ヒアルロン酸 0.23 コンドロイチン硫酸 0.11 又、セルロースアセテート膜を用いるろ紙電気泳動で
も、0.1M酢酸亜鉛電極液で本多糖はヒアルロン酸と
一致した。その際、真菌性ヒアルロニダーゼ(Streptom
yces hyalurolyticus)で処理後電気泳動にて分析した
ものは標品と同様スポットを示さず、本酵素により分解
される事からもヒアルロン酸である事が確認出来た。
【0011】
【実施例】実施例1 グルコース8%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.5
%、リン酸第1水素カリウム0.2%、チオ硫酸ナトリ
ウム0.11%、亜鉛酸ナトリウム0.02%の組成の
培地を1lのジャーフアーメンターいわしや製MA型5
00mlミニジャーに400ml分注し、120℃、15分
間加熱殺菌後、前培養したストレプトコッカス・ズーエ
ピデミカスを接種し、pH7,33℃で4日間通気攪拌
(通気量2l/m(Q)、回転数200rpm)培養し
た。培養終了後培養液より遠心分離により、菌体及びそ
の他の夾雑物を除去し、上澄液へ2倍量のエタノールを
攪拌しつつ加えると繊維状物質が沈殿した。これをロ別
した後、エーテル、ついでエタノールで充分洗浄後、再
び水に溶解し、セチルピリジニウムクロライドを加え、
生じた沈殿をロ取し、水及び0.1M NaCl水溶液
にて十分洗浄後、0.5M NaClにてヒアルロン酸
を抽出し、その溶液を透析法により脱塩後、溶液を凍結
乾燥して培養液1lより4.0gのヒアルロン酸を得
た。本品はロ紙電気泳動にて標品のヒアルロン酸と同じ
位置に泳動され、等速電気泳動のユニットバリューも
0.23と標品のそれと一致した。更に赤外線吸収スペ
クトルも標品のスペクトルと一致した。一方、グルコー
ス8%の代りにグルコース1%添加した培地で同様にス
トレプトコッカス・ズーエピデミカスを培養した場合に
は、培養液1lより0.5g/lのヒアルロン酸が得ら
れたにすぎなかった。実施例2 実施例1に於て使用した培地中のグルコースの量を4%
におきかえた培地を用いてストレプトコッカス・ズーエ
ピデミカスを実施例1と同様の方法で培養した。ヒアル
ロン酸の収量は2.1g/lであった。ただし、本条件
で通気攪拌しなかった場合の収量は0.05g/lと低
かった。実施例3 実施例1に於て使用した培地中のグルコースの量を3%
におきかえた培地を用いてストレプトコッカス・ズーエ
ピデミカスを実施例1と同様の方法で培養し、処理し
た。ヒアルロン酸の収量は、2.0g/lであった。実施例4 実施例1と同様の方法でストレプトコッカス・エキ(A
TCC9527)を培養し、培養液からヒアルロン酸を
単離精製し、培養液1lより3.8gのヒアルロン酸を
得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本培養により得たヒアルロン酸の赤外線吸収ス
ペクトルである。
【図2】本培養により得たヒアルロン酸の等速電気泳動
のチャートである。
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ヒアルロン酸の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物によるヒアルロン
酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒアルロン酸はウシの眼のガラス
液、ニワトリのトサカ、このほか臍帯、関節液等より単
離され、タンパク質及び水と結合してゼリー状を保ち、
潤滑剤的な役割、バクテリアの侵入からの保護、水分の
保持等に役立っている。しかし、極めて高価であること
が問題点であった。一方ストレプトコッカス属細菌を利
用したヒアルロン酸の生成についてはストレプトコッカ
ス・ピオゲネス(Streptococcus pyo
genes)、ストレプトコッカス・エキ(Strep
tococcus equi)、ストレプトコッカス・
エキシミリス(Streptococcus equi
smilis)、ストレプトコッカス・ディスガラクテ
ィエ(Streptococcus dysgacla
ctiae)及びストレプトコッカス・ズーエピデミカ
ス(Streptococcus zooepidem
icus)等の細菌によりヒアルロン酸を生産する事が
すでに知られている。その報告はホルムストレーム
(B.Holmstrom Appl・Microbi
al 1967)、ジェー・ビー・ウールコック(J.
B.Woolcock 85,372〜375J.Ge
n.Microbial 1974)、イー・キエム
(E.Kjem Acta Pathol.Micro
bial.Scand 1976)らによって既に報告
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしいずれも大量生
産を目的としたものではなく、グルコース1%、培養時
間24時間、pH7.0〜7.6、温度30〜37℃等
の条件で行うもので、収量は0.6g/l以下と低いも
のであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは簡単で安価
な培地でヒアルロン酸を収量良く安全に生成せしめる事
を意図して鋭意研究した結果、特定の条件で上記細菌を
培養する事により収量が増加する事を見出し、本発明を
完成するに至った。即ち、本発明は糖成分3%以上を主
炭素源とする栄養培地にてストレプトコッカス属のヒア
ルロン酸を生成する能力を有する微生物を通気攪拌培養
し、培養液中にヒアルロン酸を生成せしめ、これを採取
するものである。本発明のヒアルロン酸を生産する能力
を有する細菌としてはストレプトコッカス・ピオゲネ
ス、ストレプトコッカス・エキ、ストレプトコッカス・
エキシミリス、ストレプトコッカス・ディスガラクティ
エ、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス等があげら
れる。
【0005】本発明においてヒアルロン酸の生産は上記
ヒアルロン酸生産菌を特定の栄養培地にて培養する事に
より行なわれる。培地としては、炭素源、窒素源、無機
塩及びその他に必要ならば有機微量栄養素を含有する培
地がよい。炭素源としては、例えば有機酸、脂肪族アル
コール等いろいろあるが、本発明では澱粉加水分解物、
グルコース、蔗糖、フラクトース等の糖分が必須成分と
して必要である。次に窒素源としては硫安、硝酸ナトリ
ウム、リン酸第二アンモニウム、肉エキス、ペプトン、
各種アミノ酸混合物、酵母エキス等の一般的な原料が用
いられる。更にこの他に塩化ナトリウム、或いはマグネ
シウム、カリウム、鉄、カルシウム等の燐酸塩、硫酸塩
或いは炭酸塩等及び微量ビタミン類が必要に応じて添加
される。
【0006】次に、炭素源の種類とヒアルロン酸の生産
効率について検討した結果を示す。なお、各炭素源の添
加量は3%とし、他の培地組成は後述する表2に準じ
た。結果を次の表1に示す。
【表1】 このように、ヒアルロン酸の収量増加には、炭素源のう
ちグルコースを用いると特に良い結果が得られる。糖の
添加は一度に多量添加するよりも少量に分割して適時添
加する方が良い結果となる。糖の濃度は3%以上添加す
るとヒアルロン酸の生産量が1%の時に比べ顕著に増加
する。その濃度は6〜8%添加すれば十分で、これ以上
添加しても収量の増加はない。3%未満では本発明の効
果は発揮出来ない。表2に培地組成を示した。培地中の
グルコースの添加量を変えて培養した結果を表3に示し
た。グルコース3%以上添加の場合は1%と比較すると
かなり収量が増加する事が分かる。
【0007】
【表2】 pH5.5〜9.0、温度30〜44℃、通気量1〜2
L/min、培養時間(1〜4日)
【表3】
【0008】グルコース8%添加時のヒアルロン酸の収
量は、常法に従い精製した結果、4.0g/lであっ
た。培養時においては通気攪拌が必須である。通気攪拌
の方法としては振とう培養あるいは空気吹込みによる通
常の通気攪拌培養があるが、いすれを使用してもよい。
その際、攪拌力は弱く、通気量を多くした方が良い結果
が得られる。通気の有無を表3に示す。通気する事によ
って収量が明らかに増加することが分かる。更に培養時
に、アルカリ水溶液にてpH5.5〜9.0に調整する
と、ヒアルロン酸が安定に生成出来、より好ましい。ア
ルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、塩基性アミノ酸、低級アミノ等の通常用いられるア
ルカリの単独或いは混合溶液が使用出来る。次の表4に
水酸化ナトリウムにより培養時のpHを調整した結果を
示す。なお、基本培養条件は前記表2に示した通りであ
り、炭素源としてグルコース3%を用いた。
【表4】 なお、培養後、培養液中に蓄積されたヒアルロン酸を分
離、採取するにあたっては、培地を酸性にして処理する
と純度がよくなり処理しやすい。ヒアルロン酸の分離に
は従来から行われている多糖類の分離採取法が利用出来
る。
【0009】例えば培養液中の菌体、その他の不溶成分
はロ過又は遠心分離等により分離除去する。溶液中に混
在する蛋白質はトリクロル酢酸、又はクロロホルム、イ
ソアミルアルコール混液での除去或いは活性白土、活性
炭等の吸着剤或いはペプシン、パパイン、プロナーゼ等
の蛋白質分解酵素にて除去することが出来る。又、混在
する低分子物質は限外ロ過、透析或いは有機溶媒再沈法
等により分解除去する。その後、有機溶媒による沈殿法
又はカチオン活性剤による吸着法或いはイオン交換樹脂
による吸着法で精製後凍結乾燥、噴霧乾燥或いは溶媒沈
殿法等の方法でヒアルロン酸を単離する事が出来る。こ
のようにして得られたヒアルロン酸は水に可溶、メタノ
ール、エタノール、アセトン、クロロホルム、エーテル
等の有機溶媒には不溶の白色繊維状、無味、無臭の乾燥
物である。
【0010】次にストレプトコッカス・ズーエピデミカ
スで培養して得られた精製ヒアルロン酸の性質を以下に
述べる。 呈色反応 アンスロン − 硫酸反応 : 緑色 カルバゾール − 硫酸反応 : 紅色 赤外吸収スペクトル KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルは図1の
通りである。 0.1%水溶液の比施光度:[a]20/D=−67.
5° 電気泳動による分析 等速電気泳動のチャートを図2に示した。泳動条件は下
記の通りで、本多糖のボテンシアルユニットバリュー
(Potential Unit Value)は0.
23であるところから、本粘質物はヒアルロン酸である
ことを確認した。泳動条件 リーデイング液 0.01M、HCL β−Ala、pH3.2、トリトンX−100 、0.1% ターミナル液 0.01M カプロン酸 泳動電流 100μA キャピラリチューブ 20cm×0.5mmφ 恒温槽温度 20゜C チャートスピード 10mm/mnポテンシアルユニットバリュー 本粘質物 0.23 ヒアルロン酸 0.23 コンドロイチン硫酸 0.11 又、セルロースアセテート膜を用いるろ紙電気泳動で
も、0.1M酢酸亜鉛電極液で本多糖はヒアルロン酸と
一致した。その際、真菌性ヒアルロニダーゼ(Stre
ptomyces hyalurolyticus)で
処理後電気泳動にて分析したものは標品と同様スポット
を示さず、本酵素により分解される事からもヒアルロン
酸である事が確認出来た。
【0011】
【実施例】実施例1 グルコース8%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.5
%、リン酸第1水素カリウム0.2%、チオ硫酸ナトリ
ウム0.11%、亜鉛酸ナトリウム0.02%の組成の
培地を11のジャーフアーメンターいわしや製MA型5
00mlミニジャーに400ml分注し、120℃、1
5分間加熱殺菌後、前培養したストレプトコッカス・ズ
ーエピデミカスを接種し、pH7,33℃で4日間通気
攪拌(通気量2l/m (Q)、回転数200rpm)
培養した。培養終了後培養液より遠心分離により、菌体
及びその他の夾雑物を除去し、上澄液へ2倍量のエタノ
ールを攪拌しつつ加えると繊維状物質が沈殿した。これ
をロ別した後、エーテル、ついでエタノールで充分洗浄
後、再び水に溶解し、セチルピリジニウムクロライドを
加え、生じた沈殿をロ取し、水及び0.1M NaCl
水溶液にて十分洗浄後、0.5M NaClにてヒアル
ロン酸を抽出し、その溶液を透析法により脱塩後、溶液
を凍結乾燥して培養液11より4.0gのヒアルロン酸
を得た。本品はロ紙電気泳動にて標品のヒアルロン酸と
同じ位置に泳動され、等速電気泳動のユニットバリュー
も0.23と標品のそれと一致した。更に赤外線吸収ス
ペクトルも標品のスペクトルと一致した。一方、グルコ
ース8%の代りにグルコース1%添加した培地で同様に
ストレプトコッカス・ズーエピデミカスを培養した場合
には、培養液11より0.5g/lのヒアルロン酸が得
られたにすぎなかった。実施例2 実施例1に於て使用した培地中のグルコースの量を4%
におきかえた培地を用いてストレプトコッカス・ズーエ
ピデミカスを実施例1と同様の方法で培養した。ヒアル
ロン酸の収量は2.1g/lであった。ただし、本条件
で通気攪拌しなかった場合の収量は0.05g/lと低
かった。実施例3 実施例1に於て使用した培地中のグルコースの量を3%
におきかえた培地を用いてストレプトコッカス・ズーエ
ピデミカスを実施例1と同様の方法で培養し、処理し
た。ヒアルロン酸の収量は、2.0g/lであった。実施例4 実施例1と同様の方法でストレプトコッカス・エキ(A
TCC9527)を培養し、培養液からヒアルロン酸を
単離精製し、培養液1lより3.8gのヒアルロン酸を
得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本培養により得たヒアルロン酸の赤外線吸収ス
ペクトルである。
【図2】本培養により得たヒアルロン酸の等速電気泳動
のチャートである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖成分3%以上を主炭素源とする栄養培
    地にてストレプトコッカス属のヒアルロン酸を生成する
    能力を有する微生物を通気攪拌培養して、好気的条件下
    で、pH5.5〜9.0に調整された培養液中にヒアル
    ロン酸を生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴と
    する微生物によるヒアルロン酸の製造方法。
JP2866693A 1993-01-25 1993-01-25 ヒアルロン酸の製造方法 Pending JPH0638783A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100836733B1 (ko) * 2002-11-15 2008-06-10 코오롱생명과학 주식회사 히알우론산 나트륨의 회수방법 및 그를 위한 장치

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JOURNAL OF GENERAL MICROBIOLOGY=1956 *

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KR100836733B1 (ko) * 2002-11-15 2008-06-10 코오롱생명과학 주식회사 히알우론산 나트륨의 회수방법 및 그를 위한 장치

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