JPH0638779A - 固定化リパーゼを用いた油脂類のエステル交換方法 - Google Patents

固定化リパーゼを用いた油脂類のエステル交換方法

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JPH0638779A
JPH0638779A JP5121653A JP12165393A JPH0638779A JP H0638779 A JPH0638779 A JP H0638779A JP 5121653 A JP5121653 A JP 5121653A JP 12165393 A JP12165393 A JP 12165393A JP H0638779 A JPH0638779 A JP H0638779A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 疎水性の不溶性有機高分子から形成された担
体であって、平均径が10nm以上の細孔を有し、かつ
担体表面にエポキシ基を有する担体に、リゾプス属、ム
コール属、アルカリゲネス属及びキャンディダ属由来の
リパーゼからなる群から選ばれる1種または2種以上の
リパーゼが固定されている油脂類のエステル交換用固定
化リパーゼの存在下、パーム油を含まない油脂および脂
肪酸、またはパーム油を含まない2種以上の油脂をエス
テル交換する。 【効果】 リパーゼ活性が極めて高く、微水系でエステ
ル交換反応を行うのに特に適しており、かつリパーゼの
使用量を低減できる固定化リパーゼを用いてパーム油を
含まない油脂類のエステル交換方法を効率的に行うこと
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油脂類のエステル交換に
適した固定化リパーゼを用いたパーム油を含まない油脂
類のエステル交換方法に関する。
【0002】
【従来技術】エステル交換反応は、ワックスエステル、
各種脂肪酸エステル、糖エステルやステロイド等の製造
法、あるいは植物油、動物油の改質法として重要な技術
である。このエステル交換反応の触媒として、油脂分解
酵素の一種であるリパーゼを用いると温和な条件下でエ
ステル交換反応を行うことが可能となり、また、その基
質特異性や位置特異性により目的物を効率よく生産する
ことができる。又、系内の水分をできる限り少なくし、
かつ酵素の活性が発現するに充分な量のリパーゼを存在
させてエステル交換反応を行うことが提案されている。
ところが、リパーゼは水溶性であり、微水系(油系)で
は均一に分散することが困難である。このような問題を
解決するためにリパーゼを不溶性担体に担持させた固定
化リパーゼが用いられている。そして、固定化リパーゼ
を採用することによって、さらに、生産物の分離が容易
となり、リパーゼの繰り返し利用が可能となり、反応系
の連続化が容易になるなどの利点が得られている。
【0003】しかし、このような利点を有しているにも
係わらず、実用化に耐えうる固定化リパーゼは得られて
いない。固定化リパーゼの調製方法としては、多孔性の
キトサン成型物(特開昭59−213390)、マクロ
ポーラス型陰イオン交換樹脂(特開昭60−9898
4)、マクロポーラス型フェノール系吸着樹脂(特開昭
61−20268)、獣骨(特開昭64−8028
6)、発泡性フェノール樹脂の焼成物(特開平2−10
0678)、50nm以上の細孔径を持つ疎水性担体
(特開平2−138986)、陽イオン交換樹脂(特開
平3−64185)、マクロポーラス型アクリル系吸着
樹脂(特開平3−501922)を担体として用いるも
のが提案されている。しかしながら、これらの担体を使
用したのでは、十分なリパーゼ活性が得られない。又、
特開昭60−137290では多糖類の水酸基を酸化し
たアルデヒド基を用いて酵素を多糖類担体に固定化する
方法が示されている。しかし、担体が親水性のため微水
系での反応には適していない。また、特開平1−262
795にはキレート樹脂に酵素を固定化する方法が示さ
れているが、実用に耐える活性を得るには至っていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、担体に固定
化したリパーゼであって、リパーゼ活性の発現に優れ、
微水系でエステル交換反応を行うのに特に適しており、
かつリパーゼの使用量を低減できる固定化リパーゼを用
いたパーム油を含まない油脂類のエステル交換方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、担体表面にエ
ポキシ基を有し、マクロポーラス型の吸着樹脂で形成さ
れた特定の担体に特定のリパーゼを担持させた固定化リ
パーゼを使用することにより、上記目的を解決できると
の知見に基づいてなされたのである。すなわち、本発明
で使用する固定化リパーゼは、疎水性の不溶性有機高分
子から形成された担体であって、平均径が10nm以上
の細孔を有し、かつ担体表面にエポキシ基を有する担体
に、リゾプス属、ムコール属、アルカリゲネス属及びキ
ャンディダ属由来のリパーゼからなる群から選ばれる1
種または2種以上のリパーゼが固定されている油脂類の
エステル交換用固定化リパーゼである。かかる固定化リ
パーゼは、疎水性の不溶性有機高分子から形成された担
体であって、平均径が10nm以上の細孔を有し、かつ
担体表面にエポキシ基を有する担体に、上記特定のリパ
ーゼの水溶液を接触させて、共有結合で該リパーゼを担
体に担持させ、しかる後に乾燥することにより製造する
ことができる。かくして、本発明は、パーム油を含まな
い油脂および脂肪酸、またはパーム油を含まない2種以
上の油脂を上記固定化リパーゼの存在下でエステル交換
することを特徴とする油脂のエステル交換方法を提供す
る。
【0006】本発明で用いる固定化リパーゼにおいて、
担体を形成する疎水性の不溶性有機高分子としては、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、メタクリル酸エス
テル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリプロピレン、
ナイロン、フェノール樹脂などが用いられる。このう
ち、特にジビニルベンゼンとスチレン及び/又はメタク
リル酸エステルとの共重合体が好ましい。また、樹脂の
細孔径は10nm以上、好ましくは10nm〜1,000
nmである。本発明の固定化リパーゼでは、上記疎水性
の不溶性有機高分子で形成された担体の表面にエポキシ
官能基が位置するように、該担体を構成する不溶性有機
高分子に、エポキシ官能基をアルキル鎖またはアリール
鎖を介して結合させるのがよい。ここで、エポキシ基と
してはいかなるタイプのものでもよいが、好ましくは隣
り合った炭素に酸素原子が付加した1,2エポキシドが
用いられる。エポキシドに続くアルキル鎖の炭素数は1
〜20、好ましくは1〜10である。アルキル鎖の代わ
りにアリール鎖を用いることも可能である。この場合、
ベンゼン核の数は1〜10、好ましくは1〜3である。
これらの官能基を導入した樹脂は例えばメタクリル酸グ
リシドとジビニルベンゼンとの共重合反応により得ら
れ、もしくは、上記の吸着樹脂あるいはこれを前処理し
て官能基を生成させたものに、エステル結合等の一般の
化学結合法でエポキシ基を導入することにより調製でき
るが、予めエポキシ官能基を導入した市販の樹脂を用い
ることも可能である。このようなものとしては、バイエ
ル社のレバチットR259K、R260Kやオルガノ社
のFP4000などが入手できる。
【0007】本発明の固定化リパーゼでは、担体として
任意の粒径のものを使用することができるが、一般に担
体の粒子径の90%以上が50〜1,000μmのものを
使用するのが好ましいが、特に平均粒径が300〜60
0μmのものを使用するのが好ましい。上記担体に固定
されるリパーゼは、リゾプス属、ムコール属、アルカリ
ゲネス属及びキャンディダ属由来のリパーゼからなる群
から選ばれる1種又は2種以上のリパーゼである。本発
明では、このように特定のリパーゼを固定することによ
り、初めて高活性の固定化リパーゼが得られたのであ
る。これらのうち、特に、ムコール属又はリゾプス属の
リパーゼを用いるのが好ましい。好ましい固定化酵素の
エステル交換活性は固定化酵素1g(乾燥重量)あたり
150ユニット以上である。
【0008】次に、固定化リパーゼの製造方法について
説明する。本発明では、エポキシ基を導入した疎水性の
母材からなる多孔質の不溶性担体に酵素液を接触させる
ことにより担体にリパーゼを担持させる。ここで、リパ
ーゼ液としては用いるリパーゼによって決まるが、例え
ば、リパーゼを0.05〜10重量%含む水溶液を担体
(乾燥重量)1重量部当たり1〜200重量部使用する
のが好ましい。この際緩やかに撹拌することが好まし
い。固定化に要する時間は10分から40時間で、好ま
しくは4時間から24時間である。固定化時の温度は4
℃から50℃、好ましくは5℃から25℃である。ま
た、必要に応じて酵素液を緩衝液で調製することもでき
る。この場合、調整pHは酵素の至適pH付近が好まし
く、リパーゼを用いる場合、遊離酵素の状態で測定した
加水分解活性の至適pH、例えばpH5〜9に調整する
のが好ましい。緩衝液の種類は特に規定されないが、酢
酸緩衝液、リン酸緩衝液を用いることができる。酵素を
担持した担体は濾過等により残液を除き、必要に応じて
イオン交換水等で洗浄する。この際、洗浄液にトリス塩
酸緩衝液等のアミノ基を有する物質を含んだ水溶液を用
いることにより、担体に残存する、未反応のエポキシ基
をブロックすることも可能である。除液した固定化酵素
は減圧乾燥法等により乾燥するのが好ましく、乾燥後の
水分が0.5重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜
10重量%となるようにするのがよい。乾燥後の水分が
0.5重量%未満の場合、十分にエステル交換活性が発現
されず、また30重量%を超える場合、失活の原因にな
るとともに副反応である加水分解が無視できなくなる。
固定化操作において使用する担体と酵素の割合は、担体
1g(乾燥重量)に対し、酵素中のタンパク質が0.1g
から10g、好ましくは0.2gから5gであるが、特に
これに限定されるものではない。
【0009】固定化に供する酵素には多くの場合夾雑タ
ンパク質が多く含まれているため、固定化時にはこれら
の夾雑物のなかから目的とするタンパク質であるリパー
ゼをある程度選択的に担持すること、および担持された
酵素が有効にエステル交換活性を発現することが高活性
の固定化酵素を得るうえで重要な因子である。これらは
それぞれ以下に定義される濃縮度及び発現効率で評価で
きる。 加水分解活性の測定には種々の方法があるが、ここでは
オリーブ油(局方)1重量部と2%PVA水溶液(クラ
レ製ポバール117:18.5g/1、ポバール205:
1.5g/1)1.5重量部を混合して乳化させた溶液を基
質とし、この乳化液5mlにマッキルベン緩衝液(pH
7)4mlと酵素液1mlを加え37℃で60分反応さ
せた場合に加水分解で生じる遊離脂肪酸の量から計算さ
れる、1分あたり遊離脂肪酸1μmolを増加させる活
性を1ユニットとする。エステル交換活性の測定には種
々の方法があるが、ここではトリオレイン50mM、パ
ルミチン酸50mM、水分100〜150ppmを含む
ヘキサン溶液を基質とし、この基質に20ないし200
mg(乾燥基準)の固定化酵素を加え50℃で反応させ
た場合のパルミチン酸濃度の減少速度の最大値から計算
される、1分あたりパルミチン酸1μmolを減少させ
る活性を1ユニットとする。
【0010】本発明では、上記固定化リパーゼを用い
て、パーム油を含まない油脂類のエステル交換を効率的
に行うことができる。特に、反応系中の水分含有量を5
0〜2000ppm、好ましくは100〜1000pp
mに低下させた微水系でエステル交換反応を行うのに適
している。本発明において、好適なエステル交換反応と
しては、温度30〜70℃であり、必要に応じて有機溶
媒を用いることもできる。用いる有機溶媒としては固定
化酵素の活性を低下させないものが選ばれ、例えばn−
ヘキサンや石油エーテルがあげられる。又、対象となる
油脂類としては、パーム油を含まない植物由来の油脂お
よび脂肪酸が好適であるが、この他に動物油脂、魚貝類
油脂およびそれらの脂肪酸を対象とすることもできる。
なおパーム油とは、パーム油、その分別油、水添油等の
加工油脂等のほか、これらを混合した各種油脂を包含す
るものである。ワックスエステル、各種脂肪酸エステ
ル、糖エステルやステロイド等の製造法、あるいは植物
油、動物油の改質法として種々のエステル交換反応を行
うことができる。
【0011】
【発明の効果】本発明により、リパーゼ活性が極めて高
く、微水系でエステル交換反応を行うのに特に適してお
り、かつリパーゼの使用量を低減できる固定化リパーゼ
を用いてパーム油を含まない油脂類のエステル交換方法
を効率的に行うことができる。次に実施例により本発明
を説明する。
【0012】
【実施例】
参考例1 1,3位特異性を持つリパーゼ(天野製薬(株)製リパ
ーゼF−AP15、Rhizopus oryzae 由来)1g(21
万加水分解ユニット/g)を50mlのイオン交換水に
溶解した酵素液を調製し、これにジビニルベンゼンにス
チレンを導入した共重合体を母材としかつエポキシ基を
含む多孔性樹脂(バイエル社製レバチットR259K
細孔径:17nm、平均粒径500μm)5g(含水率
約60%)を加え、5℃で4時間緩やかに振とう撹拌し
て、リパーゼを樹脂に共有結合により担持させた。濾過
により残液を除いた後、減圧乾燥により含水率約10%
の固定化リパーゼを調製した。 参考例2 ジビニルベンゼンにスチレンを導入した共重合体を母材
としかつエポキシ基を含む多孔性樹脂(バイエル社製レ
バチットR260K、細孔径29nm、平均粒径500
μm)を用いた他は、参考例1と同様にして固定化リパ
ーゼ(但し、含水率5%)を調製した。
【0013】参考例3 ポリアクリル酸を母材としかつエポキシ基を含む多孔性
樹脂(オルガノ社製FP4000、細孔径55nm、平
均粒径100μm)を用いた他は、参考例1と同様にし
て固定化リパーゼを調製した。 参考比較例1〜3 フェノール樹脂を母材とする弱塩基性陰イオン交換樹脂
(ローム・アンド・ハース社製デュオライトA−56
8、粒径範囲200〜400μm)〔参考比較例1〕、
フェノール樹脂を母材とする吸着樹脂(ローム・アンド
・ハース社製デュオライトS−762、粒径範囲200
〜400μm)〔参考比較例2〕、スチレン−ジビニル
ベンゼン共重合体を母材とする吸着樹脂(三菱化成工業
(株)製ダイヤイオンHP−40、平均粒径320μ)
〔参考比較例3〕をそれぞれ用いた他は、参考例1と同
様にして固定化リパーゼを調製した。参考例1〜3、及
び参考比較例1〜3で得られた固定化リパーゼのタンパ
ク質およびオリーブ油の加水分解活性の担持量を表−1
に示す。
【0014】
【表1】 表−1 ─────────────────────────────────── タンパク質担持量 加水分解活性 (mg/g-dry 固定化 担持量(unit/g 担 体 酵素) - 固定化酵素) 濃縮度 ─────────────────────────────────── 参考例1 レバチットR259K 220 108300 1.4 参考例2 レバチットR260K 177 90100 1.5 参考例3 FP4000 102 84500 1.5 参考比較例1 デュオライトA-568 244 26100 0.3 参考比較例2 デュオライトS-762 167 88400 1.5 参考比較例3 ダイヤイオンHP-40 178 71900 1.2 ───────────────────────────────────
【0015】参考例4 トリオレイン(50mM)、パルミチン酸50mMを含
むヘキサン溶液(水分100ppm)10mlに実施例
1で調製した固定化リパーゼ200mg(乾燥物基準)
を加え、50℃、100ストローク/分で振とう撹拌し
ながら反応させた。反応開始後10分、20分、40
分、60分、120分後の反応液のパルミチン酸および
その他の脂肪酸の濃度を測定した。エステル交換はパル
ミチン酸のトリグリセリドへの取り込みでみることと
し、パルミチン酸の減少速度の最大速度をエステル交換
活性(ユニット)として表−2に示す。 参考例5 参考例2で調製した固定化リパーゼを使用した以外は参
考例4と同様にしてエステル交換反応を行なった。得ら
れたエステル交換活性を表−2に示す。
【0016】参考例6 参考例3で調製した固定化リパーゼを使用した以外は参
考例4と同様にしてエステル交換反応を行なった。得ら
れたエステル交換活性を表−2に示す。 参考比較例4〜6 参考比較例1〜3で調製した固定化リパーゼを使用した
以外は、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行な
った。 参考比較例7 市販されている固定化リパーゼ(ノボ・ノルディスク・
バイオインダストリー社製リポザイムIM60)を用い
て、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行なっ
た。参考例4〜6及び参考比較例4〜7で得られたエス
テル交換活性を表−2に示す。
【0017】
【表2】 表−2 ─────────────────────────────────── エステル交換活性 (unit/g 担 体 -固定化酵素) 発現効率 ─────────────────────────────────── 参考例4 レバチットR259K 282.4 2.61×10-3 参考例5 レバチットR260K 247.2 2.74×10-3 参考例6 FP4000 218.4 2.58×10-3 参考比較例4 デュオライトA−568 11.2 0.43×10-3 参考比較例5 デュオライトS−762 24.7 0.28×10-3 参考比較例6 ダイヤイオンHP−40 82.9 1.15×10-3 参考比較例7 リポザイムIM60 145.3 −−−−− ───────────────────────────────────
【0018】参考例7 リパーゼとしてリリパーゼA(長瀬産業(株)製、Rhiz
opus japonicus由来)9万加水分解ユニット/gを1g
用いた以外は、参考例1と同様にして固定化リパーゼを
調製し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行っ
た。 参考比較例8 固定化リパーゼとして参考比較例2の樹脂デュオライト
S−762を用いた以外は参考例7と同様にして固定化
リパーゼを調製し、参考例4と同様にしてエステル交換
反応を行った。参考例7及び参考比較例8で得られたエ
ステル交換活性を表−3に示す。
【表3】 表−3 ─────────────────────────────────── エステル交換活性 (unit/g 担 体 -固定化酵素) 発現効率 ─────────────────────────────────── 参考例7 レバチットR259K 203.4 5.21×10-3 参考比較例8 デュオライトS−762 10.4 0.80×10-3 ───────────────────────────────────
【0019】参考例8 リパーゼとしてリパーゼM(天野製薬(株)製、Mucor
javanicus 由来)1万5千加水分解ユニット/gを3g
用いた以外は、参考例1と同様にして固定化リパーゼを
調製し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行っ
た。 参考例9 リパーゼとしてリパーゼPL(名糖産業(株)製、Alca
ligenes sp由来)9万加水分解ユニット/gを1g用い
た以外は、参考例1と同様にして固定化リパーゼを調製
し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行った。 参考例10 リパーゼとしてリパーゼOF(名糖産業(株)製、Cand
ida cylindracea 由来)22万加水分解ユニット/gを
1g用いた以外は、参考例1と同様にして固定化リパー
ゼを調製し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を
行った。
【0020】参考比較例9 リパーゼとしてリパーゼCES(天野製薬(株)製、Ps
eudomonas sp由来)3万4千加水分解ユニット/gを3
g用いた以外は、参考例1と同様にして固定化リパーゼ
を調製し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行
った。 参考比較例10 リパーゼとしてリパーゼ三共(三共(株)製、Aspergil
lus niger 由来)2万4千加水分解ユニット/gを3g
用いた以外は、参考例1と同様にして固定化リパーゼを
調製し、参考例4と同様にしてエステル交換反応を行っ
た。参考例8〜10及び参考比較例9〜10で得られた
エステル交換活性を表−4に示す。
【0021】
【表4】 表−4 ────────────────────────────────── エステル交換活性 (unit/g 酵素 -固定化酵素) 発現効率 ────────────────────────────────── 参考例8 リパーゼM 190.1 4.53×10-3 参考例9 リパーゼPL 215.5 5.26×10-3 参考例10 リパーゼOF 228.3 1.62×10-3 参考比較例9 リパーゼCES 45.2 0.51×10-3 参考比較例10 リパーゼ三共 29.8 0.89×10-3 ──────────────────────────────────
【0022】実施例1および比較例1 参考例1で得られた固定化リパーゼ、及び参考比較例1
0で得られた固定化リパーゼ(リパーゼとしてAspergil
lus niger 由来のものを使用)各1gを、ハイオレイッ
クヒマワリ油(オレイン酸含量83%):菜種油の1:
1混合油100g(水分含量180ppm)に添加した
後、50°C、100ストローク/分で振とう攪拌しな
がらエステル交換反応を行った。2時間、6時間及び2
4時間後に油脂部をサンプリングしエステル交換率を測
定した(実施例1および比較例1)。ここで、エステル
交換率とは、反応前及び実質的反応平衡時の炭素数53
のトリグリセリド含有率を測定し、反応前を0%、実質
的反応平衡時を100%として計算して得た値である。
結果を表−5に示す。
【0023】
【表5】 表−5 ─────────────────────────────────── エステル交換率(%) リパーゼ 担体 2 Hr 6 Hr 24Hr ─────────────────────────────────── 実施例1 リパーゼF-AP15 レバチットR259K 49.8 85.5 99.0 比較例1 リパーゼ三共 レバチットR259K 9.5 20.1 49.6 ─────────────────────────────────── 実施例2 参考例1で得た固定化酵素をカラムにつめ、ハイオレイ
ックヒマワリ油(オレイン酸含量83%):ステアリン
酸(純度98%)=1:1の混合物を65℃でSV=1
にて流した。400時間後にサンプリングし、トリグリ
セリド組成を測定し、反応前後のトリグリセリド組成の
変化から反応率を算出した。この反応油から蒸留により
遊離脂肪酸を5%以下まで除去した。次に、ヘキサンを
用いて18℃および5℃にて2段分別した後、中融点部
を精製してカカオ代用脂を得た。結果を表−6に示す。 比較例2 参考比較例1で求めた固定化酵素を用いる以外は実施例
2と同様にして反応率の測定ならびに中融点部を得た。
結果を表−6に示す。
【表6】 表−6 ───────────────────────────── 反応率 中融点部収率 (%) (%) ───────────────────────────── 実施例2 83 30 比較例2 42 18 ─────────────────────────────
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/64 C12R 1:845) (C12P 7/64 C12R 1:785) (C12P 7/64 C12R 1:05) (C12P 7/64 C12R 1:72) (72)発明者 安藤 登 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目13番 地 千代田化工建設株式会社千代田リサー チパーク内 (72)発明者 皆見 武志 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目13番 地 千代田化工建設株式会社千代田リサー チパーク内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性の不溶性有機高分子から形成され
    た担体であって、平均径が10nm以上の細孔を有し、
    かつ担体表面にエポキシ基を有する担体に、リゾプス
    属、ムコール属、アルカリゲネス属及びキャンディダ属
    由来のリパーゼからなる群から選ばれる1種または2種
    以上のリパーゼが固定されている油脂類のエステル交換
    用固定化リパーゼの存在下、パーム油を含まない油脂お
    よび脂肪酸、またはパーム油を含まない2種以上の油脂
    をエステル交換することを特徴とする油脂のエステル交
    換方法。
  2. 【請求項2】 固定化リパーゼの不溶性有機高分子が、
    スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、メタクリル酸エ
    ステル樹脂、ポリプロピレン及びナイロンから選ばれる
    樹脂である請求項1記載のエステル交換方法。
  3. 【請求項3】 固定化リパーゼの担体の粒子径の90%
    以上が50〜1,000μmである請求項1記載のエステ
    ル交換方法。
  4. 【請求項4】 固定化リパーゼのエポキシ官能基が、
    1,2エポキシドである請求項1記載のエステル交換方
    法。
  5. 【請求項5】 固定化リパーゼが減圧乾燥により含水率
    が0.5〜30%に調整されている請求項1記載のエステ
    ル交換方法。
  6. 【請求項6】 パーム油を含まない油脂および脂肪酸が
    植物由来である請求項1記載のエステル交換方法。
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