JPH0588117B2 - - Google Patents

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JPH0588117B2
JPH0588117B2 JP63086496A JP8649688A JPH0588117B2 JP H0588117 B2 JPH0588117 B2 JP H0588117B2 JP 63086496 A JP63086496 A JP 63086496A JP 8649688 A JP8649688 A JP 8649688A JP H0588117 B2 JPH0588117 B2 JP H0588117B2
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lipase
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Susumu Kyotani
Toshimitsu Nakajima
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、酵素によるトリグリセライドの合成
方法に関し、更に詳しくは、リパーゼを用いて脂
肪酸または脂肪酸エステルとグリセロールまたは
部分グリセライドとから、トリグリセライドを合
成する際に1,3位位置特異性を有するリパーゼ
を含有する乾燥菌体と特異性を示さないリパーゼ
を含有する乾燥菌体とを混合して酵素触媒として
用いることを特徴とするトリグリセライドの合成
方法に関するものである。 このような技術を利用する例としては、チヨコ
レート用の原料油脂として知られているカカオバ
ターの代用脂の製造が挙げられるが、その他、反
応基質や酵素触媒を選択することにより、任意の
脂肪酸組成を有する任意のトリグリセライドを製
造でき、食品分野のみならず医薬・薬学分野など
の分野において、様々な用途が考えられている。
本発明はこのような種々の用途に対応できるトリ
グリセライドの製造法に関するものである。 〔従来技術と問題点〕 リパーゼは脂肪または高級脂肪酸のエステルを
加水分解する酵素であるが、適当な条件の下でこ
れを脂肪酸とアルコールの存在する系に作用させ
ると、加水分野の逆反応によつてグリセライドを
生成する性質がある。しかしながら通常の反応条
件では、反応平衡は加水分解に片寄つているた
め、リパーゼでトリグリセライドの合成を行うこ
とは困難であるとされていた。 このような問題に対し、反応系に少量の動物性
または植物性高分子蛋白質を添加して、合成反応
を促進させる方法(特公昭51−7754号)や、部分
グリセライドの製造に関する方法(特開昭61−
247390号、同61−257192号、同62−19090号)、ま
た、トリグリセライドを一旦加水分解して得た部
分グリセライドに脂肪酸を混合し、トリグリセラ
イドを再合成する方法(特開昭60−19495号、同
60−203196号、同60−234589号)などが提案され
ているが、このような方法では目的とするトリグ
リセライドの収率が低く、しかも反応速度が充分
ではないので、企業化を企てる上で極めて不都合
であつた。また、リパーゼの抽出や精製のために
高コストとならざるをえないという問題も包含し
ていた。 本発明はこのような欠点を改善し、任意のトリ
グリセライドを効率良く製造する方法を提供する
ものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、任意のトリグリセライドを効率
良く製造する方法について鋭意検討した結果、特
異性を示さないリパーゼを単独で使用した場合、
トリグリセライドの合成収率が低く、しかも反応
速度も低いこと、また1、3位位置特異性を有す
るリパーゼを単独で使用した場合、部分グリセラ
イドが合成されトリグリセライドが合成されにく
いことを知見し、該知見に基づき各々の酵素を含
有し、且つ特定水分含量の乾燥菌体を適切な混合
比率で使用することを試みた結果、所期の目的が
達せられることを見出し、本発明を完成させたも
のである。 即ち、本発明はリパーゼを用いて、脂肪酸また
は脂肪酸エステルとグリセロールまたは部分グリ
セライドとからトリグリセライドを合成するに際
し、1,3位位置特異性を有するリパーゼを含有
し水分含量が1〜20重量%の糸状菌の乾燥菌体と
特異性を示さないリパーゼを含有し水分含量が1
〜20重量%の“カンジダ属に属する酵母、および
コリネバクテリウム属およびスタフイロコツカス
属に属する細菌よりなる群から選ばれる少なくと
も1種の”乾燥菌体を混合して反応させることを
特徴とするトリグリセライドの合成方法を内容と
するものである。 本発明に用いられるリパーゼを含有する微生物
は、ほとんど特異性を示さないものと、1,3位
位置特異性を有するものとに主として分類される
が、場合により不飽和脂肪酸にのみ特異的に作用
するリパーゼを含有する微生物を混合して使用す
ることもできる。特異性を示さないリパーゼを含
有する微生物としては、例えばカンジダ
(Candida)属、例えばカンジダ・ルゴーサ(C.
rugosa ATCC 10571);コリネバクテリウム
(Coryneebacterium)属、例えばコリネバクテリ
ウム・アクネス(C.acnes)やコリネバクテリウ
ム・エクイ(C.equi IFO 3730);スタフイロコ
ツカス(Staphyrococcus)属、例えばスタフイ
ロコツカス・アウレウス(S.aureus IFO
3060);シユードモナス(Pseudomonas)属、例
えばシユードモナス・フルオレセンス(P.
fluorescens IFO 3081)等が使用できる。また
1,3位位置特異性を有するリパーゼを含有する
微生物としては、糸状菌であるアスペルギルス
(Asprgirus)属、例えばアスペルギルス・ニガ
ー(A.niger IFO 6341);ムコール(Mucor)
属、例えばムコール・ジヤバニカス(M.
javanicus IFO 4569);リゾプス(Rhizopus)
属、例えばリゾプス・デレマー(R.delmar IFO
4697)、リゾプス・キネンシス(R.chinensis
IFO 4768)、リゾプス・シユードキネンシス(R.
pseudochinensis HUT 1277)等が使用できる。
さらにまた、ゲオトリクム(Geotrichum)属、
例えばゲオトリクム・キヤンジダム(G.
candidum Link IFO 4598)を混合して用いれ
ば、9位にシス2重結合を含む長鎖脂肪酸だけに
特異的に作用させることができ、種々の脂肪酸の
混在する場合においても当該脂肪酸だけに作用
し、不飽和脂肪酸に富んだトリグリセライドを合
成することもできる。 1,3位位置特異性を有するリパーゼは、グリ
セロールに脂肪酸残基を結合させるエステル合成
作用が大きいとされているが、大部分ジグリセラ
イドあるいはモノグリセライドを合成する。トリ
グリセライドをグリセロールなどから合成する場
合は、位置特異性を示さないリパーゼが用いられ
るが、一般的に位置特異性を示さないリパーゼ
は、加水分解作用は大きいが、合成作用は比較的
小さいとされており、したがつてグリセロールに
脂肪酸残基を結合させる速度が小さく、またトリ
グリセライドの収率も小さい。 そこで本発明者らは鋭意検討した結果、特異性
の異なる2種類以上のリパーゼを混合して用いれ
ば、それぞれの特性を生かすことができ、トリグ
リセライドの収率が大きく、なおかつ反応速度も
大きくでき、且つこれらのリパーゼを含有し特定
の水分含量の乾燥菌体を用いることにより、効率
的にトリグリセライドが合成されるとともに、リ
パーゼが非常に安定し長期間保存できることを見
出した。異種のリパーゼを用いる場合には、それ
ぞれの混合比を加水分解活性として0.1:1から
1:1程度の比率で混合して用いれば、それぞれ
のリパーゼの特性を生かすことができ、トリグリ
セライド合成作用を高めることができる。ここで
言う加水分解活性とは、2gのオリーブオイル、
PH5.6、0.1酢酸緩衡液10ml、0.05M CaCl2 1mlに
酵素剤を加え、マグネチツクスターラーで毎分
500rpmで攪拌しつつ摂氏40度で2時間反応させ
た後、50mlのエチルアルコールを注加して、
0.01N水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求
めることができ、1分間当り1マイクロモルの脂
肪酸を遊離するリパーゼ量を1酵素ユニツトとし
た。 このような特異性の異なるリパーゼをそれぞれ
個別に利用して段階的にエステル合成反応を進行
させることも可能ではあるが、このような場合に
は一方のリパーゼにより一度結合された脂肪酸残
基が、もう一方のリパーゼによる合成反応時に加
水分解され結合が解されてしまうため、効率的で
なく、また収率もよくない。叙上のような特異性
の異なるリパーゼを混合して用いる反応方法によ
つて、リパーゼによるトリグリセライドの収率や
反応速度を初めて増大せしめることができ、グリ
セロールからトリグリセライドを効率的に合成せ
しめることが可能である。 本発明はリパーゼを含有した菌体を用いるの
で、酵素の場合のように精製に要する手間や費用
が省略できるので、工業的に使用する場合には極
めて都合がよい。 また菌体を用いた場合、菌体の細胞膜は疏水
性・新水性の両性を合わせ持つているので、反応
基質である脂肪酸と酵素との親和性がよく、反応
速度も大きい。また、菌体は培養菌体そのものを
利用することもできるが、前記酵素と同様の固定
化方法、あるいはスポンジ状または網状などの多
孔質材料に付着させた固定化菌体を用いることも
できる。特に、カビ類や放線菌類なのような付着
性を有する微生物を使用する場合、種々の多孔質
体からなる微生物保持体と共に培養を行い該保持
体に微生物を付着・増殖させ、得られた菌体を直
接反応に使用することができるので、経済的にも
有利である。 このような微生物保持体の材料としては、微生
物の持つ粘着力、吸着力により微生物の吸着増殖
を可能ならしめる任意の材料が適用できる。例え
ば高分子多孔質材料としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフイン系;ブタジエ
ンまたはイソプレンなどのジエン系;ポリビニル
アルコール、ポリ塩化ビニル、アクリルアミド、
ポリスチレンなどのビニル重合体;ポリウレタ
ン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネ
ートまたはナイロンなどの縮合系;シリコン樹脂
およびフツ素樹脂などの材料;無機材料としては
セラミツクス、ガラス、活性炭、セライト、活性
アルミナ、活性白土、珪藻土、および多孔質金属
や金属繊維加工材料などが適用できる。いずれの
材料においても微生物を良好に該保持体に固定化
させるためには、空隙率が10〜99%、孔の直径が
2〜2000ミクロン範囲にある多孔質材料か、空隙
率が10〜99%である金属加工材料等を使用するの
が好ましい。 このような種々保持体は、微生物の種類おらび
培養条件等によつて適宜選択でき、例えばカンジ
ダ・ルゴーサのような酵母類やコリネバクテリウ
ム・アクネスなどのバクテリア類に対しては、セ
ライトヤポリビニルアルコール系樹脂からなる多
孔質材料(例えば鐘紡製「ベルイーター」)等の
比較的孔径の小さい多孔質材料、あるいはリゾプ
ス属、アスペルギルス属、ムコール属などのカビ
類、あるいは放線菌類、凝集性の酵母などの場合
は、比較的孔径の大きい、例えばポリウレタン製
の多孔質材料(例えばBridgestone製、「エバー
ライトスコツト」)などを用いれば容易に固定化
することができる。また形状については、例えば
球状、ブロツク状あるいはシート状等に加工して
使用することができる。寸法については、微生物
の種類、培養条件、反応器の種類等によつて異な
るが、球状であれば直径が概ね1〜100mm、ブロ
ツク状のものであれば一辺が概ね1〜100mmのも
のが使用される。 微生物を合成保持体に固定化させるには、通常
公知の回分、半回分、連続培養法等公知の培養方
法を用いて容易に達成される。例えば、リゾプ
ス・キネンシスIFO 4768をペプトンを基本培地
とし、PH5.6、温度30℃で通気培養すれば、約90
時間後には該微生物が保持体に吸着され、反応に
適した固定化微生物が形成される。他のカビ類や
藻類についても同様に、好適な反応条件下で容易
に固定化できる。このような微生物保持体に固定
化する方法によれば、単に経済的な利点のみなら
ず、サスペンジヨン系で培養して得られた微生物
に比べて、特にカビ類においてはリパーゼ活性が
安定で、しかも活性も比較的大きくなるので、工
業的に使用するのに都合がよい。 本発明においては、1,3位位置特異性を有す
るるリパーゼを含有する菌体と、特異性を示さな
いリパーゼを含有する菌体が混合されて用いられ
るが、それぞれの微生物は同等の方法で固定化さ
れてもよいが、まつたく別の方法で固定化されて
もよく、あるいは固定化せずに混合使用されても
よい。場合によつては、同一担体上に種類の異な
る微生物を同時に固定化して用いることもでき
る。 培養で得られた微生物あるいは固定化微生物
は、菌体内の水分含量が1〜20重量%の範囲に調
整される。水分含量が20重量%よりも大きくなる
と反応平衡が加水分解側に傾き、エステル合成収
率が小さくなる。このように水分を除去した状態
では乾燥菌体内のリパーゼは非常に安定であり、
長期間保存することができる。 微生物から水分を除去する方法としては、原則
的には酵素が失活しない温度(40〜70℃)で乾燥
すればよいが、単に水分を蒸発させると細胞組識
の収縮が起こり非常に堅くなり、組織内のリパー
ゼと外界との接触が断たれて活性を発現すること
が困難となる。したがつて、菌体を乾燥させるに
は細胞組識の収縮を伴わない方法を採用しなけれ
ばならない。例えば、水溶性溶媒、例えばアセト
ン、アセトニトリルまたはメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等の低級アルコール類中に
菌体を浸して組識を溶媒に置換した後、溶媒を蒸
発させる方法により、細胞組識の収縮を抑えて乾
燥菌体を得ることができ、乾燥菌体内リパーゼの
反応性を増大させることができる。この場合、乾
燥方法としては真空乾燥、凍結乾燥、低温乾燥、
温風乾燥等の公知の乾燥法が使用できる。さら
に、菌体を溶媒に浸す前に5%以下のグルタルア
ルデヒド水溶液に浸して細胞組識を固定化するこ
とにより、菌体組識の収縮をより効果的に抑える
こともできる。固定酵素については、上記のよう
な水溶性溶媒による処理必ずしも必要ではない
が、過剰の水分を迅速に除去するために同上の溶
媒処理を適用してもよく、さらに上記の乾燥方法
により1〜20重量%の水分含量に調整される。 このようにして得られた乾燥菌体またはその固
定化物は、いずれも反応基質中に懸濁させて反応
に用いられるが、酵素周りの水分濃度が0.005重
量%以下になると反応速度が極めて低くなり、ま
た逆に20重量%以上になると反応平衡が加水分解
側に傾くため、好ましくは0.005〜20重量%、よ
り好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは
0.02〜5重量%の範囲になるように調整するのが
望ましい。 このように水分濃度を調整する方法としては、
反応前に反応系に水分を添加することにより反応
初期の水分濃度を調整することもできるが、反応
中も水分濃度を一定に調節しながら反応させても
よい。合成反応が進行することにより水が生成し
て水分濃度が増すが、リパーゼ周辺の水分濃度を
常時監視しながら、増加した水分を除去すること
によつて水分濃度を一定に調節することができ
る。リパーゼ周辺の水分濃度を直接測定できない
場合には、反応基質の存在する有機溶媒相の水分
濃度を測定することによつて、リパーゼ周辺の水
相との間の水分分配平衡関係を利用してリパーゼ
周辺の水分濃度を知ることができる。このような
方法を用いれば、水分濃度を一定に調節すること
ができるだけでなく、任意の値に適宜調節するこ
とができ、例えば水分濃度を連続的に減少させな
がら反応を進行させることも可能である。この場
合には、合成反応の進行に伴つて水分濃度を減少
させ、反応平衡を合成側に傾けることができるた
め、トリグリセライドの収率を更に向上させるこ
とができる。 このような水分濃度の調節は、窒素等の不活性
気体のパージまたはリパーゼの在在する水相また
は有機溶媒相の水分吸着性物質と接触させること
によつて達成することができる。水分吸着性物質
としては、例えば脱水したグリセリン、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコールなどの水溶性物質;モレキユラーシ
ーブ、ゼオライト、シリカゲル、セルロースパウ
ダー、ヒドロキシルアパタイト、キトサンなどの
吸水性物質;グリコース、ガラクトース、リボー
ス、フラクトースなどの単糖類;シユクロース、
トレハロース、デキストリン、グリコーゲン、デ
ンプンなどの多糖類;焼石膏、炭酸カルシウム、
塩化カルシウムなどの吸水性を有する塩類;水酸
化カルシウムなどの潮解性を有する塩類;または
無水硫酸ナトリウムのような結晶水を失つた金属
塩類などを使用することができる。具体的には、
反応器に窒素をパージして水分を気体に同伴させ
て反応系外に除去したり、またはシリカゲルなど
の吸水性物質を充填したカラムにグリセリン相ま
たは反応基質を含有する有機溶媒相を導入して水
分を吸着除去した後、反応器に循環して反応系の
水分を減少させる方法等を用いることができる。 また本発明において反応基質は、脂肪酸または
脂肪酸エステルとグリセロールまたは部分グリセ
ライドとの混合物が用いられる。 脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリ
ン酸またはベヘン酸等の飽和脂肪酸、あるいはミ
リストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸またはエイコサペンタエン酸等のような不
飽和脂肪酸の単独またはそれらの混合物を使用す
ることができる。脂肪酸エステルとしては、叙上
のような脂肪酸のメチルアルコールエステル、エ
チルアルコールエステル、プロピルアルコールエ
ステルなどの低級アルコールエステルを用いるこ
とができる。 また部分グリセライドは、化学的合成法によつ
て、あるいはトリグリセライドを加水分解するこ
とによつて得られたものを用いることができる。
そのような部分グリセライドは、モノグリセライ
ドまたはジグリセライドのいずれであつてもよい
が、2位置にはオレイン酸のような不飽和脂肪酸
が結合したものを用いることが望ましい。 また本発明において、上記反応基質を直接用い
ることができるが、必要に応じてこれらの基質を
n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、エタノ
ール、メタノール、石油エーテル、酢酸エチルの
ような有機溶媒に希釈して用いることもできる。 反応温度は用いるリパーゼの至適温度であれば
よく、通常20〜60℃の範囲である。反応を効率的
に実施するためには、反応基質は液状である方が
よく、従つて上記のような有機溶媒に基質を溶解
したり、基質が溶解する程度に反応温度を設定す
るのがよい。 また反応装置の様式としては、回分式、半回分
式または連続式の攪拌槽あるいは充填層などの公
知のどのような形式であつてもよく、さらに撥水
性または親水性の多孔性樹脂からなる薄膜の両面
あるいはチユーブの内外に、それぞれグリセリン
相と脂肪酸の存在する有機溶媒相を流す隔膜式で
あつてもよい。反応時間は回分の場合は概ね0.5
〜100時間、その他半回分法や連続法においても、
この反応条件に見合つた反応時間を設定すること
により、望ましい反応を行わせることができる。 〔実施例〕 以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、も
とより本発明はかかる実施例のみに限定されるも
のではない。 実施例1、比較例1〜3 グリセロール2g、オレイン酸5g、ヘキサン
20gおよび水分0.2gを含む反応液に、位置特異
性を示さないガンジダ・ルゴーサ(Candida
rugosa IFO 1364)の乾燥菌体(水分含量5重量
%)5000ユニツトおよび1,3位位置特異性を有
するリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar
IFO 4697)の乾燥菌体(水分含量4重量%)
5000ユニツトを加え、マグネチツクスターラーで
攪拌しながら、エステル合成反応を実施した。エ
ステル合成反応結果は、4、10、20および40時間
反応させた後、ヘキサン相を採取し、ゲルパーミ
ユエイシヨンクロマトグラフイー(GPC)によ
つて分析し、全脂肪中のトリグリセライドの重量
を測定した。結果を第1表に示した。ただし、
GPC分析では、島津製カラム(商品名:「HSG−
15」及び「HSG−20」各2本)に30℃で溶出液
テトラヒドロフランを1c.c./minで流し、トリグ
リセライド、ジグリセライド、モノグリセライ
ド、および脂肪酸各画分をそれぞれ分離し、示差
屈折率計で分析を行つた。 菌体は、ペプトン7重量部、燐酸2水素カリウ
ム0.1重量部、硝酸ナトリウム0.1重量部および硫
酸マグネシウム0.05重量部を100重量部の水に溶
解したものを培地とし、PH5.6に調節しながら、
30℃で40時間培養して製造した。 さらに、得られた培養液を濾別して菌体を分離
し、菌体1重量部に対してアセトン5重量部を加
えて2回洗浄を行つた。得られた半乾燥菌体を減
圧下で3時間乾燥して乾燥菌体を製造した。 比較例として、実施例1と同一の反応基質、同
一の反応条件下で、それぞれ上記カンジダ・ルゴ
ーサの乾燥菌体10000ユニツト(比較例1)、上記
リゾプス・デレマー10000ユニツト(比較例2)
を加えてエステル合成反応を実施せしめた。 また比較例3として、上記リゾプス・デレマー
の乾燥菌体10000ユニツトで20時間反応させた後
ヘキサン相を分離し、採取された脂肪を含むヘキ
サン相に、新たに実施例1と同量のグリセリンお
よび水を加え、さらに上記カンジダ・ルゴーサの
乾燥菌体10000ユニツトを加えて再び合成反応を
維持せしめた。反応結果は実施例1と同様の方法
で分析し、第1表に示した。尚、全脂肪とはトリ
グリセライド、ジグリセライド、モノグリセライ
ドおよび脂肪酸の合計を表す。
【表】 第1表から明らかなように、同等の加水分解活
性を有する乾燥菌体を利用しているにもかかわら
ず、特異性の異なる2種類の乾燥菌体をそれぞれ
単独で用いた比較例1、2よりも、両者を混合し
て用いた実施例1の方がトリグリセライド合成速
度が大きく、収率も大きくなることがわかる。ま
た比較例3と実施例1とを比較しても、最終的に
得られたトリグリセライドの収率は実施例1の方
が大きくなることがわかる。このことから特異性
の異なる2種類の乾燥菌体をそれぞれ別個に使用
して2段階の合成反応を実施せしめても、トリグ
リセライドの合成は困難であることがわかる。 実施例 2 グリセロール2g、ヘキサン40gおよび水0.1
gを含む反応液に、カンジダ・・ルゴーサ
(Candida rugosa IFO 1364)の乾燥菌体(水分
含量6重量%)5000ユニツトと、1,3位位置特
異性を有するリパーゼを生産するリゾプス・キネ
ンシス(Rhizopus Chinensis IFO 4768)を培養
して得たリパーゼを体内に含有する乾燥菌体(水
分含量5.5重量%)5000ユニツトとを加え、脂肪
酸としてカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラ
キジン酸あるいはベヘニン酸をそれぞれ加えて、
マグネチツクスターラーで攪拌しながら、40℃で
24時間エステル合成反応を実施した。 反応結果は、実施例1と同様の方法で分析し、
第2表に示した。
【表】
【表】 実施例 3 グリセロール2g、ヘキサン20g、ラウリン酸
5gおよび水0.05gを含む反応液に、特異性を示
さないガンジダ・ルゴーサ(Candida rugosa
IFO 1364)の乾燥菌体(水分含量4重量%)
5000ユニツトと、1,3位位置特異性を有するリ
パーゼを生産するムコール・ジヤバニカス
(Mucor javanicus IFO 4569)(水分含量8重量
%)を実施例1と同様の方法で調整した乾燥菌体
5000ユニツトとを加えて、マグネチツクスターラ
ーで攪拌しながら、40℃で24時間エステル合成反
応を実施した。次に、菌体をアスペルギルス・ニ
ガー(Aspergillus niger IFO 6341)の乾燥菌体
(水分含量11重量%)に変えて、同様の実験を行
つた。 反応結果は、実施例1と同様の方法で分析し、
第3表に示した。
【表】 実施例 4 グリセロール2g、ヘキサン40g、ラウリン酸
5gおよび水分0.05gを含む反応液に特異性を示
さないリパーゼを生産するスタフイロコツカス・
アウレウス(Staphylococcus aureus IFO
3060)をポリビニルアルコール系の多孔質材料
(商品名:「ベルイーター」、鐘紡製)に付着させ
た5000ユニツトの固定化乾燥微生物(水分含量4
重量%)と、1,3位位置特異性を有するリパー
ゼを生産するリゾプス・キネンシス(Rhizopus
chinensis Saito IFO 4768)をポリウレタン製の
多孔質材料(商品名:「エバーライトスコツト
HR−40」、ブリジストン製)に付着増殖せしめ
た固定化乾燥菌体(水分含量8重量%)5000ユニ
ツトとを加えて、振盪器で100rpmの回転速度で
攪拌しながら、40℃で24時間エステル合成反応を
実施した。 次に、特異性を示さない菌体をコリネバクテリ
ウム・エクイ(Corynebacterium equi IFO
3730)(水分含量12重量%)、またはカンジダ・ル
ゴーサ(Candida rugosa IFO 1364)(水分含量
4重量%)に変えて、同様の実験を行つた。ただ
し、固定化乾燥微生物はそれぞれ3ミリ角の多孔
質材料とともに培養する他は実施例1と同様の方
法で調製した。 反応結果は、実施例1と同様の方法で分析し、
第4表に示した。
〔作用・効果〕
本発明の特徴は、リパーゼを用いて加水分解の
逆反応を利用してグリセロールからトリグリセラ
イドを合成するに際し、特異性を示さないリパー
ゼを含有する乾燥菌体と1,3位位置特異性を示
すリパーゼを含有する乾燥菌体とを混合して用い
ることにより、リパーゼのトリグリセライド合成
作用を増大せしめることにある。 本発明によれば、収率あるいは反応性の面から
従来困難であるとされていたグリセロールからの
グリセライドの合成を効率的に行うことができ、
製品トリグリセライド生産速度が大きく、収率も
向上するという効果を奏する。 また本発明によれば、従来より非常に困難であ
るとされていた任意の脂肪酸組成を有するトリグ
リセライドを製造することができ、生理活性を有
するような脂質を純度よく製造することができる
など、当該生化学分野に大きな利益をもたらすも
のである。更にまた、乾燥菌体を用いるので抽出
や精製の操作が不要で、経済的に極めて有利であ
る、等工業的意義は頗る大である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 リパーゼを用いて、脂肪酸または脂肪酸エス
    テルとグリセロールまたは部分グリセライドとか
    らトリグリセライドを合成するに際し、1,3位
    位置特異性を有するリパーゼを含有し水分含量が
    1〜20重量%の糸状菌の乾燥菌体と特異性を示さ
    ないリパーゼを含有し水分含量が1〜20重量%
    の、カンジダ属に属する酵母、およびコリネバク
    テリウム属およびスタフイロコツカス属に属する
    細菌よりなる群から選ばれる少なくとも1種の乾
    燥菌体を混合して反応させることを特徴とするト
    リグリセライドの合成方法。 2 リパーゼを含有する乾燥菌体の固定化物を用
    いる請求項1記載の合成方法。
JP63086496A 1988-04-07 1988-04-07 酵素によるトリグリセライドの合成方法 Granted JPH01257485A (ja)

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