JP2572692B2 - ドコサヘキサエン酸トリグリセリドの製造法 - Google Patents

ドコサヘキサエン酸トリグリセリドの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドコサヘキサエン酸ト
リグリセリドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ω−3系高度不飽和脂肪酸トリグ
リセリドは、魚油等の海産食品に多く含まれ、この濃縮
物が市販され、動脈硬化防止、免疫賦活、抗腫瘍性、脳
機能改善などに有用な物質として健康食品として利用さ
れている。しかしこの製品は、オレイン酸、リノール酸
等が含まれているため、脂質過多の患者には不適であ
る。一方、純粋なω−3高度不飽和脂肪酸のエチルエス
テルも公知であるが、トリグリセリドより生理活性が劣
るとされている。ω−3系高度不飽和脂肪酸を摂取する
には、トリグリセリドが理想的であるとの報告がある。
(Carol M.Wojenskiet al.Bi
ochim.Biophys.Acta 1081(1
991)33−38,Larry D.Lawson
et al.Biochem.Biophys.Re
s.Commun.152,(1988)328−33
5.)。又、リパーゼによる高度不飽和脂肪酸のグリセ
リド合成について検討され、その研究報告がある。〔第
29回油化学討論会・油化学研究発表会講演要旨集P1
92(1990)〕。これによれば、リパーゼTOY
O、リパーゼOFの2種類のリパーゼを夫々の酵素液に
使用し、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコ
サヘキサエン酸などの各高度不飽和脂肪酸単独とグリセ
リンとを各酵素と反応させてその夫々のグリセリドを合
成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
技術では、固定化リパーゼによりω−3系高度不飽和脂
肪酸のトリグリセリドを高濃度に収得することができな
かった。即ち、前記に報告されたグリセリドの合成法に
よっても、その固定化リパーゼを最適条件下においてさ
え、而もその生産物中に食用に適さない遊離脂肪酸を1
0〜20%含んでいる。その上、リパーゼTOYOでは
26〜38%の、リパーゼOFでは18〜33%のトリ
グリセリドの合成率しか達成できず、これでは、そのト
リグリセリドを容易に単品として取り出すことができ
ず、機能性食品その他の分野に、例えば、医学用に、食
品への添加物などとして利用する製品として得ることが
できない。特に、ω−3系高度不飽和脂肪酸として代表
的なドコサヘキサエン酸のトリグリセリドを高濃度に得
られる製造法、更にはその単離品を得ることができるこ
とが望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題を解決し、上記の要望を満足したもので、機能性食品
などとして極めて有効なドコサヘキサエン酸トリグリセ
リドをドコサヘキサエン酸を原料として従来の合成法に
比し著しく高収率に得る製造法に係り、ドコサヘキサエ
ン酸とグリセリンとを化学量論量又はその近傍の配合割
合で混合して基質を調製し、該基質と固定化リパーゼと
の接触反応とその反応液の脱水処理とを同時に行うと共
に、真空脱水方式又は乾燥不活性ガスの通気方式で行
い、反応系内を100ppm以下の水分濃度の超微水系
にまで脱水することを特徴とする。
【0005】更に、本発明は、ドコサヘキサエン酸トリ
グリセリドを、ドコサヘキサエン酸アルコールエステル
を原料として従来の合成法に比し著しく高収率に得る製
造法に係り、ドコサヘキサエン酸アルコールエステルと
グリセリンとを化学量論量又はその近傍の配合割合で混
合して基質を調製し、該基質と固定化リパーゼとの接触
反応とその反応液の脱アルコール処理を同時に行うと共
に、真空脱水方式又は乾燥不活性ガスの通気方式で行
い、反応系内を100ppm以下の水分濃度の超微水系
にまで脱水することを特徴とする。
【0006】
【作用】上記の2つの製造法において、固定化リパーゼ
として、該基質と固定化リパーゼとの接触反応とその反
応液の処理を行うと同時に真空脱水方式又は乾燥不活性
の通気方式で、且つその反応系内を100ppmの水分
濃度の超微水系にまで脱 することにより、ドコサヘキ
サエン酸を原料とし、或いはそのアルコールエステルを
原料として目的とするドコサヘキサエン酸トリグリセリ
ドの70%以上の合成が可能となる。
【0007】尚、上記の前者の製造法において、ドコサ
ヘキサエン酸とグリセリンの配合量を、化学量論量又は
その近傍とすることにより、一般に、モル比でドコサヘ
キサエン酸約3.0〜3.3モル対グリセリン1モルの
割合で配合することにより、70〜95%程度の高濃度
のドコサヘキサエン酸トリグリセリドを含む反応生成液
が得られ、上記の後者の製造法においても、ドコサヘキ
サエン酸アルコールエステルとグリセリンの配合量を、
化学量論量又はその近傍とすることにより、一般に、モ
ル比でドコサヘキサエン酸アルコールエステル2.7〜
3.3モル対グリセリン1モルの割合で配合することに
より、80%程度の高濃度のドコサヘキサエン酸トリグ
リセリドを含む反応生成液が得られる。
【0008】この場合、固定化リパーゼとして、キャン
ディダ属のリパーゼを固定化したものを上記の脱水処理
条件下で使用することにより、95%程度の高濃度のド
コサヘキサエン酸トリグリセリドの合成が可能となる。
【0009】該反応液の反応温度は一般に30〜60℃
とし、反応系中は不活性ガスで置換することが好まし
く、これにより品質の劣化なく高収率のドコサヘキサエ
ン酸トリグリセリドが得られる。
【0010】上記の夫々の製造法で得られた反応生成物
からのドコサヘキサエン酸トリグリセリドの精製は、該
反応生成物を塩基性アルミナカラム或いはシリカゲルか
ら成る液体クロマトグラフを用い、夾雑物を除き、その
溶出液を蒸発することにより遂行され、純度99%の精
製品が得られる。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例を詳述する。先ず、従来
法など所望の方法で単離した或いは市販のドコサヘキサ
エン酸とグリセリンとを原料とした場合のドコサヘキサ
エン酸トリグリセリドの製造法につき詳述する。その両
者の配合割合は、通常、グリセリン1モルに対しドコサ
ヘキサエン酸を3.1〜3.3モル程度、化学量論量よ
りやゝ過剰に添加することが好ましい。反応容器内に、
ドコサヘキサエン酸とグリセリンとを化学量論量又はそ
の近傍を投入する。一般に、好ましくは、ドコサヘキサ
エン酸を化学量論量より10%程度までの過剰量を使用
する。即ち、グリセリン対ドコサヘキサエン酸のモル比
は、1対3.1〜3.3の割合で配合して基質をつく
る。更にこれに固定化リパーゼを添加するが、この場
合、水分含量が100ppm以下で活性を維持できるも
のを用いるが、特に、ドコサヘキサエン酸トリグリセリ
ドの合成には、キャンディダ属のリパーゼをアクリル樹
脂などに結合したもの等があげられる。該固定化リパー
ゼの初期水分含有量は15%以下のものが良い。該基質
の初期水分含有量は8000ppm以下が良い。この反
応容器は、真空排気装置に接続され、容器内を排気し、
好ましくは、窒素、アルゴンなどの不活性ガスで置換す
る。反応温度は30〜60℃の範囲で、好ましくは40
〜60℃の範囲である。この温度範囲により、固定化リ
パーゼの反応効率が良好に保たれる。反応により生成す
る該反応液中の水は、真空脱水方式により或いは乾燥不
活性ガスの吹き込みなどの通気方式により行い、反応系
内を100ppm以下の水分濃度の超微水系にまで脱水
するように維持する。かくして、該固定化リパーゼによ
るグリセロリシス反応が良好に行われる。尚、不活性ガ
スの乾燥は、モレキュラーシーブを通して行い、再び反
応容器内へ送られる。該不活性ガスは、反応生成物が酸
素に触れて、過酸化物価が上昇することを防止し、良質
の製品を得るために有効である。かくして、所定時間反
応を行った後、該反応液にエーテルとエタノールの混合
液を少量添加して反応を停止する。かくして、一般に、
約70〜98%程度のドコサヘキサエン酸トリグリセリ
ドを含有する反応生成物が得られる。残りは、ジグリセ
リドであり、モノグリセリドは全く乃至殆ど検出され
ず、未反応の脂肪酸は殆ど検出されなかった。このよう
にして得られた反応生成物をエーテルに溶かし固定化酵
素を濾別した後、塩基性アルミナカラムを溶出させ、そ
の溶出液を蒸散させるか、反応生産物をヘキサンに溶か
しシリカゲルカラムに吸着させた後ヘキサンとエーテル
(95:5)濃度で溶出させ、溶出液を蒸散させる等の
夾雑物の除去と精製処理を行うことにより、純度99%
の高純度のドコサヘキサエン酸トリグリセリドが単離で
きた。尚、又反応装置としては、先に提示した特願平2
−307214号に開示した装置を使用することができ
る。
【0012】次に更に具体的な実施例につき詳述する。 [実施例1] 容器中の大気を窒素で置換した反応容器に、市販のドコ
サヘキサエン酸(純度99%、出光石油化学株式会社
製)0.985g(3.00×10−3モル)とグリセ
リン0.0752g(0.82×10−3モル)とを配
合した基質に、キャンディダ属に属する固定化リパーゼ
として、固定化リパーゼsp382を0.1g加え、1
0mmHg程度まで脱気し、反応系内の水分量を100
ppm以下に維持し乍ら、60℃で振とう反応し、2
4.5時間反応させた。該反応液に、エーテルエタノー
ル(1:1)の少量を添加し、反応を停止させ反応生産
物を得た。反応停止液をGPCカラムを装備した高速液
体クロマトグラフで測定した。該反応生産物を分析した
所、94.6%のドコサヘキサエン酸トリグリセリドが
生成しており、1.5%のドコサヘキサエン酸ジグリセ
リド及び2.9%の重合物が検出された。得られた反応
生産物をモレキュラーシーブで脱水したジエチルエーテ
ルに溶かし固定化酵素を▲ろ▼別した後、塩基性アルミ
ナカラム即ちアルミニウムオキシド90(メルク製品番
号1076)を内径17mmのガラスカラムに8cm充
填したものにかけた。溶出液は、窒素を吹き込んでエー
テルを飛ばし、ドコサヘキサエン酸トリグリセリドの精
製品を得た。これをアルゴンガス中−60℃で保存し
た。次に、この精製品を、キャピラリーガスクロマトグ
ラム(WCOT CP−Si188)で脂肪酸純度に反
応の前後で変化がないこと及びHPLCカラム(Sho
dex GPC KF−802 300×3)にてトリ
グリセリド純度が99.3%であることを確認した。
【0013】この単離品につき、HNMR(JEOL
JNM−GSX500型)及びIR分析(JEOL
JIR−100)を行った。その結果図1及び図2
示す HNMRスペクトラム及び図3に示すFT−IR
スペクトラムを有することが分かった。即ち、図1に明
らかなように、 HNMRスペクトルのメインピークa
−gと図1示の化学結合との帰属関係がドコサヘキサエ
ン酸トリグリセリドと完全に一致することが解る。ピー
クの大きさから判定される水素原子数は、e,fの大き
さを4,000として計算すると、これも理論値とほぼ
一致した。更に詳述すれば、ドコサヘキサエン酸トリグ
リセリドのCDCLを溶媒としたHNMRではメイ
ンピークは図2示の如くである。即ち、化学シフトδ
5.38,4.29,4.16,2.84,2.38,
2.07,0.97ppmにピークがあり、それらの帰
属は図1の如くである。一方、NaCl板に塗布したF
T−IRスペクトルでは図3の如く、3014cm−1
にCHの吸収、1745cm−1にエステルC=0の吸
収、1653cm−1にシス体のC=Cの吸収、114
7cm−1にC−0の吸収があることが確認された。更
に、該精製品は、下記の構造と理化学特性を有する。即
ち、その元素組成は、炭素、酸素、水素である。ガスク
ロマトグラフィーのキャピラリーカラムによる溶出パタ
ーンより構成脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸である。ま
た、高速液体クロマトグラフィーのGPCカラム(ケル
パーミションカラム)による溶出位置及びNMRのプロ
トン強度と帰属から推定される構造式より、分子量は1
029.6である。−40℃においても液体状態であ
り、ヘキサン、エーテル、アセトンに可溶な無色透明な
物質であり、塩基性アルミナカラムを素通りするので、
中性を示す脂肪である。シリカゲル薄層クロマトグラフ
ィーのスポットは、ヨウ素蒸気下で褐色に発色する。以
上の結果より、該精製品は、下記化1及び図1に示す構
造式を有し且つ図1、図2及び図3に特定するドコサヘ
キサエン酸トリグリセリドであることを確認した。
【0014】
【化1】
【0015】[実施例2] 容器中の大気を窒素で置換した反応容器に、ドコサヘキ
サエン酸2g(6.09×10−3モル)、グリセリン
0.73g(1.88×10−3モル)、固定化リパー
ゼsp382を0.2g加え、10mmHg程度まで脱
気し真空乾燥し、反応系内の水分量を100ppm以下
に維持し乍ら、60℃で24時間振とう反応した。5m
lのエーテルエタノール(1:1)に4滴の反応液を取
り反応を停止させた。反応停止液をGPCカラムを装備
した高速液体クロマトグラフで測定した。その結果、反
応時間24時間後の反応生産物には、97.1%のドコ
サヘキサエン酸トリグリセリドが検出された。反応液を
実施例1と同様に精製し1.285gの99.5%の高
純度ドコサヘキサエン酸トリグリセリドが得られた。
【0016】又、本発明によれば、固定化リパーゼとし
て、キャンディダ属の固定化リパーゼを使用するとき
は、ドコサヘキサエン酸のアルコールエステル、好まし
くは、そのエチルエステル又はメチルエステルをグリセ
リンと所定の割合で混合した基質に該固定化リパーゼを
接触させると、エステル交換反応が効率よく行われ、そ
の反応により生成するエチルアルコール或いはメチルア
ルコールを除去せしめることにより、ドコサヘキサエン
酸トリグリセリドが高収率に製造することができること
を知見した。
【0017】これを更に詳細に述べれば、グリセリンと
ドコサヘキサエン酸アルコールエステルとを化学量論量
又はその近傍、好ましくは、グリセリンとドコサヘキサ
エン酸アルコールエステルの配合量をモル比で1対2.
7〜3.3の割合で配合した基質を反応容器に入れ、該
基質にキャンディダ属の固定化リパーゼを添加し、先の
実施例と同様にして反応させると同時に、その反応によ
り生成するアルコール即ち、ドコサヘキサエン酸エチル
エステルの場合は、エチルアルコール、ドコサヘキサエ
ン酸メチルエステルの場合はメチルアルコールを真空脱
気し、或いは不活性ガスの通気により反応液より蒸散さ
せこれを活性炭などに吸着除去することを行い、指向的
にエステル交換を行うことにより、ドコサヘキサエン酸
トリグリセリドを70%以上、一般に80%程度含有す
る反応生産物が得られる。尚、上記真空脱気又は不活性
ガスの通気時に基質中に当初含まれている水分も除去さ
れる。
【0018】次に、その具体的な実施例につき説明す
る。 [実施例3] 容器中の大気を窒素で置換した反応容器に、ドコサヘキ
サエン酸エチルエステル0.5g(1.40×10−3
モル)、グリセリン0.0465g(5.05×10
−4モル)、固定化リパーゼsp382を0.05g加
え、10mmHg程度まで脱気し真空乾燥し、反応系内
の水分量を100ppm以下に維持し乍ら、60℃で振
とうし乍ら29時間反応せしめた。その反応液にエーテ
ルエタノール(1:1)を少量添加し、反応を停止させ
た。得られた反応液をGPCカラムを装備した高速液体
クロマトグラフで測定した。その結果、80.2%のド
コサヘキサエン酸トリグリセリドを含有して居り、その
他に16.6%ドコサヘキサエン酸ジグリセリド、0.
6%ドコサヘキサエン酸モノグリセリド及び2.6%ド
コサヘキサエン酸エチルエステルが検出された。次に、
この反応液より、前記実施例と同様にして夾雑物の除去
と精製処理を行い、ドコサヘキサエン酸トリグリセリド
の精製品を単離した。
【0019】このように得られた純度99.3%の単離
品につき、上記のHNMR及びIR分析を行い、図1
及び図2及び図3示と同じ測定結果と理化学特性を有す
ることを確認した。
【0020】[実施例4] 容器中の大気を窒素で置換した反応容器に、ドコサヘキ
サエン酸1.00g(3.04×10−3モル)とグリ
セリン0.0934g(8.64×10−4モル)とを
添加したもの(DHAモル比=3.00)と、ドコサヘ
キサエン酸1.00g(3.04×10−3モル)とグ
リセリン0.0841g(9.14×10−4モル)と
を添加したもの(DHAモル比=3.30)とについ
て、夫々固定化リパーゼsp382を0.1g添加し、
10mmHg程度まで脱気し真空乾燥し、反応系内の水
分量を100ppm以下に維持し乍ら、60℃で振とう
反応を行い、反応時間24時間後の夫々の反応液につい
てクロマトグラフィーに装填したGPCカラム(Sho
dex GPC KF−802 300×3)での分析
を行った所、トリグリセリドの収率は夫々84.5%及
び95.4%であった。一般に、DHAモル比3.10
〜3.30程度とすることにより、ドコサヘキサエン酸
トリグリセリドの収率が向上することが判った。茲でD
HAモル比とは、ドコサヘキサエン酸のモル数÷グリセ
リンのモル数で求めた値である。このようにして得られ
た夫々の反応液について、その後モレキュラーシーブで
脱水したジエチルエーテルに溶かし、固定化リパーゼを
濾別した後、塩基性アルミナカラム、即ち、アルミニウ
ムオキシド90(メルク製品番号1076)を内径17
mmのガラスカラムに8cm充填したものにかけた。溶
出液に窒素を吹き込みエーテルを飛ばして得られた夫々
のドコサヘキサエン酸トリグリセリドの精製品をアルゴ
ンガス中−60℃で保存した。また、本発明の上記の単
離品であるドコサヘキサエン酸トリグリセリドは、ドコ
サヘキサエン酸エチルエステルより吸収性が良好であ
り、機能性食品として有用であるばかりでなく、ドコサ
ヘキサエン酸の生理機能の研究、コレステロールの低
下、抗血栓症などの循環器系疾病の予防、医学実験用な
どに有用であり、又、更にその生理的活性が解明される
ことにより、医薬品としての利用の可能性を有する。
【0021】
【発明の効果】このように、本発明のドコサヘキサエン
酸トリグリセリドの製造法によれば、ドコサヘキサエン
酸とグリセリンの所定割合から成る基質又はドコサヘキ
サエン酸アルコールエステルとグリセリンとの所定割合
から成る基質を、固定化リパーゼ、好ましくは、キャン
ディダ属のリパーゼを固定化したものとの接触により反
を行うと同時に反応系内の水分量を100ppm以下
の超微水系にまで脱水する脱水処理又は脱アルコール処
理により生成アルコールを除去するようにしたので、ド
コサヘキサエン酸トリグリセリド70%以上の高濃度の
反応生産物を得ることができ、又、上記のようにこれか
ら夾雑物除去処理及び精製を行うことにより、99%以
上の精度のドコサヘキサエン酸トリグリセリドを得るこ
とができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】及び
【図2】 本発明の製造法で得られるドコサヘキサエン
酸トリグリセリドのHNMRスペクトラム及びそのメ
インピークの帰属を表す図である。
【図3】 ドコサヘキサエン酸トリグリセリドのFT
−IRスペクトラムの図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 石田 吉信 審判官 田中 久直 審判官 大高 とし子 (56)参考文献 特開 平1−104184(JP,A) 特開 平1−153629(JP,A) 特開 平1−257485(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドコサヘキサエン酸とグリセリンとを化
    学量論量又はその近傍の配合割合で混合して基質を調製
    し、該基質と固定化リパーゼとの接触反応とその反応液
    の脱水処理とを同時に行うと共に、真空脱水方式又は乾
    燥不活性ガスの通気方式で行い、反応系内を100pp
    m以下の水分濃度の超微水系にまで脱水することを特徴
    とするドコサヘキサエン酸トリグリセリドの製造法。
  2. 【請求項2】 ドコサヘキサエン酸アルコールエステル
    とグリセリンとを化学量論量又はその近傍の配合割合で
    混合して基質を調製し、該基質と固定化リパーゼとの接
    触反応とその反応液の脱アルコール処理を同時に行うと
    共に、真空脱水方式又は乾燥不活性ガスの通気方式で行
    い、反応系内を100ppm以下の水分濃度の超微水系
    にまで脱水することを特徴とするドコサヘキサエン酸ト
    リグリセリドの製造法。
  3. 【請求項3】 該固定化リパーゼは、キャンディダ属の
    リパーゼを固定化したものである請求項又は記載の
    ドコサヘキサエン酸トリグリセリドの製造法。
  4. 【請求項4】 該反応液の反応温度は30〜60℃であ
    り、反応系中は不活性ガスで置換することを特徴とする
    請求項又は記載のドコサヘキサエン酸トリグリセリ
    ドの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項乃至のいずれか1つに記載の
    製造法で得られたドコサヘキサエン酸トリグリセリド
    70%以上含有する反応生成物に対し夾雑物の除去と精
    製処理を行うことを特徴とするドコサヘキサエン酸トリ
    グリセリドの製造法。
  6. 【請求項6】 該反応生成物の夾雑物の除去、精製処理
    は、塩基性アルミナカラム或いは、シリカゲルカラムか
    ら成る液体クロマトグラフによる夾雑物の吸着と溶剤に
    よる該ドコサヘキサエン酸トリグリセリドの溶出、溶出
    液の蒸散を行う請求項記載のドコサヘキサエン酸トリ
    グリセリドの製造法。
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