JP2001245686A - 脂肪酸低級アルコールエステルの製造方法 - Google Patents

脂肪酸低級アルコールエステルの製造方法

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JP2001245686A
JP2001245686A JP2000206781A JP2000206781A JP2001245686A JP 2001245686 A JP2001245686 A JP 2001245686A JP 2000206781 A JP2000206781 A JP 2000206781A JP 2000206781 A JP2000206781 A JP 2000206781A JP 2001245686 A JP2001245686 A JP 2001245686A
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fatty acid
reaction
acid
lower alcohol
lipase
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JP2000206781A
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Yoshio Tominaga
嘉男 富永
Akio Sugihara
耿雄 杉原
Yuji Shimada
裕司 島田
Kazuteru Maruyama
一輝 丸山
Shigeru Moriyama
茂 森山
Takashi Baba
貴司 馬場
Tomoaki Oguri
智昭 大栗
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Maruha Corp
Osaka City
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Maruha Corp
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 脂肪酸及び低級アルコール以外の有機溶
媒を含まず、水分含量が10%以下の反応系で、脂肪酸
と低級アルコールとを脂肪酸選択性を示さないリパーゼ
を用いてエステル化反応させることを特徴とする脂肪酸
低級アルコールエステルの製造方法。 【効果】 本発明によれば、生理活性を有し医薬品等に
有用な種々の不飽和脂肪酸のアルコールエステルを、異
性体化の危険性、着色、劣化臭等の問題を生じることな
く、温和な条件下、高収率で製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪酸アルコール
エステルの製造方法に関し、より詳しくは脂肪酸と低級
アルコールをリパーゼを用いて反応させる脂肪酸低級ア
ルコールエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、脂肪酸の有する生理活性作用が注
目されている。特にエイコサペンタエン酸(以下、「E
PA」と称する。)やドコサヘキサエン酸(以下、「D
HA」と称する。)等の高度不飽和脂肪酸は、動脈硬化
症、血栓症などの成人病に対する予防効果や制癌作用、
学習能の増強作用などの多くの生理活性作用を有してい
ることが知られている。また、γ-リノレン酸はアトピ
ー性皮膚炎に対する治癒作用や免疫賦活作用を有し、ア
ラキドン酸は、プロスタグランジン、トロンボキサン、
ロイコトリエンなど局所ホルモンの前駆体として重要な
脂肪酸であり、アラキドン酸とモノエタノールアミンの
アミドや、2-アラキドノイルモノグリセリドは、マリフ
ァナの主成分であるカンナビノイドのレセプターと結合
することから、鎮痛剤としての利用も期待されている。
【0003】また、それらの脂肪酸のエステル誘導体も
医薬品等に有用な化合物であり、脂肪酸のエステル誘導
体を得るため、様々な試みがされている。しかしなが
ら、これまでの脂肪酸のエステル化反応の多くは、比較
的苛酷な条件下で行なうものであり、そのため様々な問
題があった。例えば、従来法である無機触媒を用いた化
学合成法を用いると、熱酸化による劣化が引起こされ、
その結果異性体化の危険性、生成物の着色、劣化臭の発
生等の様々な問題があった。
【0004】また、酵素法を用いた温和な条件下での不
飽和脂肪酸のエステル化反応としては、オレイン酸ある
いはリノール酸等の不飽和度の低い脂肪酸とソルビトー
ル等の糖アルコールとを基質とした報告(特公平6-6530
9)が知られている。しかしながら、この方法では反応
系内の圧力を水の蒸気圧以上常圧未満に減圧制御するた
め、沸点の低い低級アルコールを基質に用いる場合、水
とともにアルコールも揮散してしまうという問題があっ
た。
【0005】この他に、DHA、EPAなど高度不飽和
脂肪酸を多く含む魚油由来の脂肪酸を用いたエチルエス
テル化の実例としては、リゾムコール・ミーハイの固定
化リパーゼ(Lipozyme IM;ノボノルディスク(株))を
用いる方法が知られている(JAOCS,Vol.74,No.11,p142
5, (1997))。しかしながら、この方法は脂肪酸特異性
を応用してDHA、EPA以外の脂肪酸をエステル化さ
せることにより、未反応の脂肪酸画分中にDHA、EP
Aを選択的に濃縮することを目的としたものであり、こ
の方法では当然DHA、EPAのエステル合成率は低
く、高度不飽和脂肪酸のエチルエステル化物を高収率で
効率的に合成することはできない。
【0006】また、これまで一般に、リパーゼを用いて
脂肪酸と低級アルコールを高い合成率でエステル化する
には、反応系中の水分を可能な限り減らし、かつヘキサ
ンなどの非極性溶媒中で反応を行なわなければならない
と信じられていた(J.Am.OilChem.Soc.,66,1120-1123,1
987;J.Am.Oil Chem.Soc.,67,561-564,1990)。しかし
ながら、有機溶媒を含む反応系は爆発の危険性があるこ
とに加え、反応規模が大きくなるという欠点を含んでい
ることから工業化する際の障害になっていた。また、ア
ルコール以外の有機溶媒を含まず、20%の水を含む反応
系で脂肪酸と低級アルコールのエステル化反応が行われ
た報告はあるものの、そのエステル合成率は40%以下で
あり満足できるものではなかった(J.Am.Oil Chem.So
c.,74,97-101,1997)。
【0007】このように、これまでの技術では品質のよ
い脂肪酸の低級アルコールエステルを効率的に製造する
ことは困難であり、常温、常圧、窒素気流下の温和な条
件下で、種々の脂肪酸に適用でき、その低級アルコール
エステルを効率的、高収率で製造できる方法の開発が望
まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、種々の脂肪
酸と低級アルコールとから、脂肪酸アルコールエステル
を、温和な条件下、高収率で製造する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、オレイン
酸やリノール酸のような1価あるいは2価の不飽和脂肪酸
は勿論、リパーゼの反応性が低いとされる高度不飽和脂
肪酸と低級アルコールとのエステル化反応について鋭意
検討を重ねた結果、脂肪酸と低級アルコールを適切な比
率に混合し、脂肪酸選択性を示さないリパーゼを用い
て、脂肪酸及び低級アルコール以外の有機溶媒を含まな
い反応系でエステル化反応を行なうことにより、当該課
題を解決することを見い出し本発明を完成させるに至っ
た。即ち、本発明は以下の発明を包含する。
【0010】(1)脂肪酸及び低級アルコール以外の有
機溶媒を含まず、水分含量が10%以下の反応系で、脂
肪酸と低級アルコールとを脂肪酸選択性を示さないリパ
ーゼを用いてエステル化反応させることを特徴とする脂
肪酸低級アルコールエステルの製造方法。 (2)エステル化反応を段階的に行なうことを特徴とす
る請求項1記載の脂肪酸低級アルコールエステルの製造
方法。
【0011】(3)脂肪酸に対して1〜5モル等量の低
級アルコールを用いて脂肪酸のエステル化反応を行なう
第1段階と、第1段階で得られた反応液に存在する未反
応の脂肪酸に対して1モル等量以上の低級アルコールを
用いて脂肪酸のエステル化反応を行なう第2段階でエス
テル化反応を行なう前記(2)記載の脂肪酸低級アルコ
ールエステルの製造方法。
【0012】(4)第1段階で得られた反応液中の水分
含量を低下させて、第2段階のエステル化反応を行なう
前記(3)記載の製造方法。 (5)脂肪酸が高度不飽和脂肪酸である前記(1)〜
(4)のいずれか1に記載の製造方法。
【0013】(6)高度不飽和脂肪酸がγ-リノレン
酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエ
ン酸、又はドコサヘキサエン酸である前記(5)に記載
の製造方法。 (7)低級アルコールがメタノール、エタノール、プロ
パノール、イソプロパノール又はブタノールである前記
(1)〜(6)のいずれか1に記載の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「不飽和脂肪酸」とは二重結合を1
個以上有する炭素数16以上の脂肪酸を意味し、「高度不
飽和脂肪酸」とは直鎖または分枝鎖状のアルキル鎖上に
少なくとも3個の二重結合を有する炭素数18以上の脂肪
酸を意味する。また、「低級アルコール」とはメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、又
はブタノール等の炭素数1〜4のアルコールを意味する。
【0015】本発明において用いられる脂肪酸として
は、少なくとも二重結合を1個以上有する天然または非
天然の炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸であればよく、
例えば天然に存在する動植物由来の不飽和脂肪酸、例え
ば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、バク
セン酸、エライジン酸、リノエライジン酸、若しくはネ
ルボン酸等の不飽和脂肪酸、又はα−リノレン酸、γ−
リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHA、ジホモ-
γ-リノレン酸、ミード酸、若しくはドコサペンタエン
酸等の高度不飽和脂肪酸が含まれる。
【0016】前記高度不飽和脂肪酸でn-3系及びn-6系の
ものは天然油脂から得ることができる。n-3系高度不飽
和脂肪酸は、少なくとも3個の二重結合を有する脂肪酸
であって、鎖式構造のメチル基末端から3番目の位置か
ら二重結合が始まっている脂肪酸であり、例えばEP
A、DHA等が挙げられる。n-3系高度不飽和脂肪酸
は、魚油、例えばマグロもしくはカツオの頭部から抽出
されるもの、イワシ、サバ、サンマ若しくはアジの全魚
体から抽出されるもの、又はイカ若しくはタラの肝臓か
ら抽出したものを原料とし、これを常法により遊離脂肪
酸として精製したものを用いることができる。
【0017】n-6系高度不飽和脂肪酸は、少なくとも3個
の二重結合を有する脂肪酸であって、鎖式構造のメチル
基末端から6番目の位置から二重結合が始まっている脂
肪酸であり、例えば、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノ
レン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸等が挙げら
れる。n-6系高度不飽和脂肪酸は、モルティエレラ属糸
状菌が生産する油脂あるいは鶏卵の卵黄油から抽出した
もの、又は植物油由来のものではボラージ油、月見草油
を原料とし、これを常法により遊離脂肪酸として精製し
たものを用いることができる。
【0018】本発明において、上記高度不飽和脂肪酸を
含有する上記原料は精製せずにそのまま用いることもで
きるが、クロマトグラフィーによる方法、液-液分配に
よる方法、低温溶剤分別結晶化法、尿素付加による方
法、二重結合への付加物による方法、分子蒸留による方
法、酵素を用いた方法等、さらにはこれらの方法を組み
合わせて所望の濃度に濃縮又は精製したものを用いても
よい。
【0019】本発明に用いられる低級アルコールとして
は、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよく、ま
た、1級アルコールのいずれでもよく、メタノール、エ
タノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル等の炭素数1〜4の一価アルコールが含まれる。
【0020】本発明に用いられるリパーゼは、その起源
に特に制限されるものではなく、本発明における酵素反
応性を有する限り各種微生物、動物、植物起源のいずれ
でもよい。微生物起源のリパーゼとしては、たとえばス
タフィロコッカス属、シュードモナス属、キャンディダ
属、クロモバクテリウム属等に属する微生物に由来する
ものが挙げられる。動物起源のリパーゼとしては、たと
えば膵リパーゼ、消化管リパーゼ等が挙げられ、また、
植物起源のリパーゼとしては、たとえば米ぬか、なたね
種子、パーム果肉、ヒマ種子のリパーゼ等が挙げられ
る。
【0021】これらのリパーゼの何れも本発明において
用いることができるが、シュードモナス・エスピー由来
のリパーゼ、キャンディダ・アンタクティカ由来のリパ
ーゼ、クロモバクテリウム・ビスコサム由来のリパーゼ
等が好ましい。これらのリパーゼは市販されたものをそ
のまま用いてもよいが、特に精製された市販品を用いる
必要はなく、目的とする酵素の生産能を有する微生物菌
体そのもの、その培養液、該培養液を処理して得られる
粗酵素液や酵素を含む組成物等を使用してもよいが、リ
パーゼを担体に固定した固定化リパーゼが好ましい。
【0022】本発明の脂肪酸低級アルコールエステルの
製造方法は、脂肪酸及び低級アルコール以外の有機溶媒
を含まず、水分含量が10%以下の反応系で、脂肪酸と低
級アルコールとを脂肪酸選択性を示さないリパーゼを用
いてエステル化反応させることを特徴とする。反応系中
の水分含量は、通常10%以下であるが、好ましくは0.1
〜7%である。
【0023】脂肪酸と低級アルコールとの酵素的エステ
ル化反応は、リパーゼの存在下、脂肪酸とアルコールと
を混合モル比1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3、更
に好ましくは1:1〜1:1.5として行なう。反応温度は、
リパーゼが機能する温度であれば特に限定されないが、
通常5〜70℃であり、好ましくは15〜50℃である。反応
温度が5℃未満であるとリパーゼの反応速度が遅くな
り、70℃を越えるとリパーゼの失活が著しくなる。
【0024】反応時間は特に制限されないが通常30分〜
72時間、好ましくは30分〜30時間である。反応系は脂肪
酸の酸化的劣化を防止するため窒素雰囲気下で行なうこ
とが好ましい。反応は、反応混液を静置していても又は
攪拌若しくは振盪していてもよく、また、固定層型バイ
オリアクターを用いて行ってもよい。固定層型バイオリ
アクターを用いる場合、基質の負荷速度は適宜定めるこ
とができるが、通常、固定化酵素1gに対し基質を0.7〜
200g/h、好ましくは2〜200g/h、更に好ましくは3
〜200g/hで連続的に送液するとよい。
【0025】リパーゼの使用量は、その活性や反応混液
の組成によって異なるが適宜決定すればよく、特に制限
されるものではないが、通常、反応混液1gあたり約1乃
至約50,000ユニット、好ましくは約10乃至10,000ユニッ
トを使用する。ここで、1ユニットとはオリーブ油から1
分間に1μmolの脂肪酸を遊離させる酵素量の単位であ
る。リパーゼの使用形態は特に制限されないが、リパー
ゼを通常用いられる固定化剤(例えば、アクリル樹脂、
イオン交換樹脂、セラミックス担体、セライトなど)に
固定化して使用することが好ましい。担体に固定するこ
とにより微水系で反応を行なうことができ、さらにリパ
ーゼの安定性が向上し、繰り返し反応や長時間の連続使
用を行っても再現性よく酵素活性を維持することができ
るという利点がある。
【0026】ただし、本発明で使用するリパーゼの活性
を十分に発現させるためには、以下の条件が特に好まし
い。すなわち、15〜50℃の温度条件であること、脂
肪酸の酸化的劣化を防止するため、窒素充填容器内で30
分〜30時間程度の短時間で反応させること、あるいは固
定層型バイオリアクターを用いる場合、一定の流速にお
いて基質と酵素を接触させ反応させることである。上記
の条件でエステル化反応を行なうことにより、脂肪酸ア
ルコールエステルを効率的に合成することができ、エス
テル合成率80%以上、通常85%以上を達成することがで
きる。エステル合成率は下記式[I]:
【数1】 で表される。
【0027】本発明においては、前記エステル化反応を
1段階で行ってもよいが、当該エステル化反応を好まし
くは段階的に、更に好ましくは2段階に分けて行うこと
により、より高いエステル合成率を得ることができる。
本明細書において、当該エステル化反応を「段階的に行
なう」とは、前段階のエステル化反応で得られた反応混
液に残っている未反応の脂肪酸を基質とし、それに対し
て理論量以上の低級アルコールを新たに加え更にエステ
ル化反応を行うことをいう。このとき、リパーゼは前段
階のものをそのまま用いても、または新しいリパーゼを
用いてもよい。
【0028】エステル化反応を2段階に分ける場合は、
2段階目の反応を以下のように行なう。エステル化反応
を2段階に分けて行う場合、1段階目のエステル化反応
は前記の方法に従ってエステル化反応を行うが、好まし
くは1段階目のエステル化反応において脂肪酸に対して
1〜5モル等量、更に好ましくは1〜3モル等量の低級アル
コールを用いて脂肪酸のエステル化反応を行う。
【0029】1段階目のエステル化反応で得られた反応
混液を静置して水層を分離除去して得た混液(上層)を
そのまま用いてもよいが、減圧処理、窒素気流下での加
温減圧処理あるいは乾燥窒素の吹き込み処理等により脱
水(このときアルコールも除去される)したものを用い
ると更に有効である。2段階目の反応前の反応混液の水
分含有率は、通常4000ppm以下、好ましくは500ppm以
下、更に好ましくは200ppm以下である。次に、脱水した
反応混液中に残存する未反応の脂肪酸量を酸価を測定す
ることにより求め、未反応の脂肪酸に対して、1〜30モ
ル等量、好ましくは1〜10モル等量、更に好ましくは2〜
10モル等量のアルコールを加え2段階目のエステル化反
応を行なう。
【0030】2段階目のエステル化反応において、リパ
ーゼは1段階目の反応で用いたものをそのまま用いても
よく、新しいものを用いてもよい。また、1段階目とは
別の種類のリパーゼを用いてもよい。反応温度は、リパ
ーゼが機能する温度であれば特に限定されないが、通常
5〜70℃であり、好ましくは15〜50℃である。反応温度
が5℃未満であるとリパーゼの反応速度が遅くなり、70
℃を越えるとリパーゼの失活が著しくなる。
【0031】反応時間は特に制限されないが通常30分〜
72時間、好ましくは30分〜30時間である。反応系は脂肪
酸の酸化的劣化を防止するため窒素雰囲気下で行なうこ
とが好ましい。また、反応中は反応混液を静置していて
も又は攪拌若しくは振盪していてもよく、また、固定層
型バイオリアクターを用いて行ってもよい。固定層型バ
イオリアクターを用いる場合、基質の負荷速度は適宜定
めることができるが、通常、固定化酵素1gに対し基質
を0.7〜200g/h、好ましくは2〜200g/h、更に好ま
しくは3〜200g/hで連続的に送液するとよい。
【0032】リパーゼの使用量は、その活性や反応混液
の組成によって異なるが適宜決定すればよく、特に制限
されるものではないが、通常、反応混液1gあたり約1乃
至約50,000ユニット、好ましくは約10乃至10,000ユニッ
トを使用する。ここで、1ユニットとはオリーブ油から1
分間に1μmolの脂肪酸を遊離させる酵素量の単位であ
る。リパーゼの使用形態は特に制限されないが、リパー
ゼを通常用いられる固定化剤(例えば、アクリル樹脂、
イオン交換樹脂、セラミックス担体、セライトなど)に
固定化して使用することが好ましい。担体に固定するこ
とにより微水系で反応を行なうことができ、さらにリパ
ーゼの安定性が向上し、繰り返し反応や長時間の連続使
用を行っても再現性よく酵素活性を維持することができ
るという利点がある。
【0033】ただし、本発明で使用するリパーゼの活性
を十分に発現させるためには、以下の条件が特に好まし
い。すなわち、15〜50℃の温度条件であること、脂
肪酸の酸化的劣化を防止するため、窒素充填容器内で1
〜30時間程度の短時間で反応させること、あるいは固定
層型バイオリアクターを用いる場合、基質と酵素の接触
時間を2時間以下として反応させることである。1段階
目のエステル化反応の後、更に2段階目のエステル化反
応を行なったときの、1段階目と2段階目との合計のエ
ステル合成率は90%以上、通常95%以上である。
【0034】上記のようにして得られた反応混液から、
合成した脂肪酸低級アルコールエステルを分取する方法
は、通常油脂の精製で行われているアルカリ脱酸法を用
いることがコスト的な側面から有利とされるが、この方
法を用いる場合、エステル化反応後の混液中に残存する
未反応の遊離脂肪酸をある程度低減しておく必要があ
る。すなわち、反応液の酸価を20以下(エステル合成率
に換算すると90%以上)、好ましくは10以下(同95%以
上)に低減しておくと、効率よく遊離脂肪酸を除去で
き、収率よく脂肪酸エステルを回収することができる。
アルカリ脱酸法以外の方法としては、アルカリ条件下で
ヘキサン抽出する方法、溶剤液-液分配による方法、ク
ロマトグラフィーによる方法、低温結晶化分別による方
法、分子蒸留による方法、精密蒸留等による方法も用い
ることができる。
【0035】本発明の製造方法における反応系では、1
段階目の反応で用いるアルコール量を増大させると、反
応初期においてエステル合成率の低下が観察されるが、
この現象についてはこれまでリパーゼの失活によるもの
と考えられていた。しかしながら本研究で、この現象は
アルコールによる反応阻害からくる合成速度の低下であ
ることを初めて突き止めた。更に詳しくは、1段階目の
反応で平衡状態におけるエステル合成率はアルコール含
量および水分量によって大きな影響を受けないのに対
し、2段階目の反応では水分量をできるだけ少なく、か
つ、アルコール量を多くすることにより、高いエステル
合成率を達成できることを見出した。さらに、2段階目
の反応において、反応系中の水分量の増加は平衡状態に
おけるエステル化率を低下させるが、このエステル合成
率の低下はアルコールを多量に添加することにより、あ
る程度改善されることも見出した。
【0036】1段階目の反応では脂肪酸/アルコール量
比を理論量に留めても、80〜90%のエステル合成率が得
られ、アルコール量を増やすと反応速度の低下は認めら
れるが、平衡状態におけるエステル合成率の著しい上昇
は認められなかった。一方、2段階目の反応において、
脱水した反応液中に含まれる未反応の脂肪酸に対し理論
量以上のアルコールを加えると、反応阻害によるエステ
ル化速度の低下は認められるものの、平衡状態における
エステル合成率がアルコール添加量の増加とともに上昇
し、95%以上の高いエステル合成率が達成できることを
認めた。このように脂肪酸/アルコール量比を工夫し、
かつ、1段目の反応により生成した水を低減することに
より、目的とする脂肪酸アルコールエステルを高い回収
率で得られることを見出した。水を添加していない反応
系では、脂肪酸とアルコールとは溶解し合い均一層を形
成し、アルコールが脂肪酸で希釈された溶解形態を為す
ことから、リパーゼはアルコールによる変性作用を受け
ることなく本来の活性が維持され、その結果、エステル
化活性が効率よく持続されることを確認した。
【0037】エステル化反応は縮合反応であるため、反
応の進行とともに水の生成が起こるが、1段目の反応に
おいて脂肪酸/アルコール混合基質に対し10(重量)%
までの水分含量ではエステル化反応に大きな影響は与え
ず、この反応で既に80〜90%のエステル合成率が得られ
ることを見出した。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。 [実施例1](1段階目のオレイン酸のエチルエステル
化反応におよぼす水分量の影響) オレイン酸とエタノールの混液(1:1,mol/mol)を基質
とし、種々の量の水を含む反応系で、キャンディダ・ア
ンタクティカのリパーゼ(Novozym 435,ノボノルディ
スク(株)製)を触媒として用い、エステル化反応を行っ
た。反応は10ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶に反応混液
を入れ、窒素を封入した後、30℃で24時間振盪しながら
行った。なお、エタノールは純度99.5%のものを使用し
た(以下の実施例において特に記載がない限り、エタノ
ールは純度99.5%のものを用いた)。反応液の組成およ
び反応後のエステル合成率を表1に示す。反応系中に水
を添加しない場合、オレイン酸のエステル合成率は88%
に達し、添加水分量を多くするとエステル合成率は少し
ずつ低下した。しかし、水分量7%でもエステル合成率
は86%となり、10%まで増やしても84%であった。この
結果から、水分量7%の反応系を作製するには使用する
エタノールは含水量34%のエタノールでよく、また、反
応によって生成してくる水分を除去しなくともよいこと
を示しており、本発明は工業的な生産コストを低減でき
るだけでなく、反応管理が極めて容易という利点があ
る。
【0039】
【表1】
【0040】[実施例2](1段階目のエチルエステル
化反応におよぼすエタノール量の影響) オレイン酸と1〜5mol等量のエタノールからなる基質10g
と固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ
(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)50mgを20ml
容量のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、30℃で振盪しなが
ら24時間反応を行った。24時間後のオレイン酸のエステ
ル合成率を表2に示す。エタノール量が増加するにつ
れ、エステル合成率(反応速度)は低下したが、オレイ
ン酸に対し理論量(1mol等量)以上のエタノールを加え
ても24時間後(平衡状態を示す)のエステル合成率はほ
とんど上昇しなかった。一般に、基質量を多くすればす
るほどエステル合成率は上昇することが多いが、本反応
では1段階目の反応において理論量(1mol等量)以上の
エタノールを加えてもエステル合成率は大幅には上昇し
ないことを認めた。
【0041】
【表2】
【0042】[実施例3](2段階目のエチルエステル
化反応における脱水の効果) オレイン酸/エタノール混液(1:1,mol/mol)30gと固
定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ(No
vozym 435,ノボノルディスク(株)製)150mgを50ml容量
のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、30℃で振盪しながら24
時間反応を行った結果、エステル合成率は87.6%に達し
た。反応液を静置してから水層を除去し、反応液を得た
(水分量3500ppm)。この反応液の約半分(15g)を減圧
下での乾燥窒素吹き込み処理を行い、脱水反応液を調製
した(水分量350ppm)。含水および脱水反応液中に含ま
れるオレイン酸量に対して4mol等量のエタノールを加え
た基質10gと50mgの固定化リパーゼを30℃で振盪しなが
ら24時間反応を行った。その結果、含水基質を用いたと
きのエステル合成率は38.7%(合計92.4%)であったの
に対し、脱水基質を用いたときのエステル合成率は58.3
%(合計94.8%)まで上昇した。このことから、1段階
目の反応によって生成し、基質中に溶け込んでいる水
は、2段階目の反応のエステル合成率を低下させること
がわかり、この水を除去することが反応率の上昇に寄与
していることがわかった。
【0043】[実施例4](2段階目のエチルエステル
化反応におよぼすエタノール量の影響) 100ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶にオレイン酸とエタ
ノール(混合mol比1:1)からなる反応基質70gに対し、
固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ
(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)350mgを加
え、窒素充填した後振盪しながら30℃、24時間エステル
化反応を行った。(エステル合成率88.1%)反応後、得
られた反応混液からリパーゼを取り去り、静置して水層
(下層)を除去して得た混液(エタノール、オレイン酸
およびオレイン酸エチルの混合物)を減圧下での乾燥窒
素の吹き込み処理により脱水した(エタノールは除去さ
れ、水分含量は350ppmとなった)。この脱水反応液に含
まれる未反応のオレイン酸に対し2〜10mol等量のエタノ
ールを加えて2段階目の反応に供する基質を調製した。
20ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶に、調製した基質10
g、固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパー
ゼ(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)50mgを加
え、30℃で24時間反応を行った。24時間後のエステル合
成率の結果を表3に示す。1段階目の反応と同様、過剰
量のエタノールはエステル化速度を減少させたが、エタ
ノール量の増加とともに平衡状態におけるエステル合成
率は著しく増大し、1段階目との合計エステル合成率は
いずれの場合も90%を超える高いエステル合成率が得
られた。
【0044】
【表3】
【0045】[実施例5](各種脂肪酸のエチルエステ
ル化) 2段階の酵素反応により、各種脂肪酸(オレイン酸、リ
ノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、アラキドン
酸、EPAおよびDHA)のエチルエステル化を試み
た。脂肪酸とエタノールの混液(1:1,mol/mol)5g、
固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ
(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)100mgを10ml
容量のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、窒素を封入した
後、30℃で24時間振盪しながらエステル化反応を行っ
た。反応後、反応混液のみを取り出して静置し、水層
(下層)を除去した後、脂肪酸アルコールエステルと未
反応の脂肪酸が含まれる上層を回収した。この反応液を
減圧下で脱水し、未反応の脂肪酸に対し5mol等量のエタ
ノールを加え、2段目の反応に用いる基質を調製した。
この基質4gと固定化したキャンディダ・アンタクティ
カのリパーゼ(Novozym 435,ノボノルディスク(株)
製)40mgを10ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、1
段階目の反応と同じ条件で24時間反応を行った。その結
果を表4に示す。いずれの脂肪酸を基質に用いても、1
段目の反応で87〜90%のエステル合成率が得られ、2段
階目の反応で56〜68%のエステル合成率が得られた。2
段階のエステル化反応により、原料とした脂肪酸の94%
以上がエステル化された。このようにどのような脂肪酸
に対しても高いエステル合成率が得られ、また、リパー
ゼが作用しにくい脂肪酸ほど高いエステル合成率が得ら
れる傾向も認められた。
【0046】
【表4】
【0047】[実施例6](繰り返し使用における酵素
の安定性) 1段階目の反応には、オレイン酸とエタノール(1:1,m
ol/mol)の混液を基質として用いた。基質混液10gと固
定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ(No
vozym 435,ノボノルディスク(株)製)50mgを20ml容量
のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、窒素を封入した後、30
℃で24時間振盪しながらエステル化反応を行った。反応
後、使用した固定化リパーゼは反応器内に残して反応混
液(生成してくる水も含む)を取り出し、新しい基質混
液10gと入れ替え、同じ反応条件でエステル化反応を50
回繰り返した。各反応回数におけるエステル合成率を表
5に示す。次に、1段階目の反応で得られた反応混液を
まとめて、静置した後、下層(水層)を除去し、得られ
た反応混液中に溶け込んでいる水分(3,000〜3,500pp
m)を減圧下での乾燥窒素吹き込み処理によって除去し
た。この処理により反応液中の水分量は150〜200ppmま
で減少した。この反応混液中に含まれるオレイン酸量に
対して5mol等量のエタノールを加え、2段階目の反応に
用いる基質を調製し、新しいリパーゼを用いて1段階目
と同様の条件で反応を繰り返し、各反応回数のエステル
合成率を測定し、合計エステル合成率を算出した(表
5)。その結果、1段階目および2段階目のエステル化
反応において固定化リパーゼを1回24時間の反応で50回
繰り返して使用してもエステル合成率の低下はまったく
認められなかった。また、2段階目の反応で脱水基質を
用いることにより、反応により生成する水は平衡状態に
おけるエステル合成率をまったく低下させないことも認
めた。この現象は、反応により生成した水が反応液に溶
解して、反応器中に蓄積されないためと考えられた。し
たがって、2段階目の反応では用いる基質を十分脱水し
た上、純度99.5%のエタノールを用いることにより、高
いエステル合成率が得られることが判明した。
【0048】
【表5】
【0049】[実施例7](各種アルコールを用いたエ
ステル化) マグロ油をキャンディダ・シリンドラシエのリパーゼ
(リパーゼOF、名糖産業(株)製)によって加水分解し、
得られた遊離脂肪酸(ミリスチン酸3.1%、パルミチン
酸18.4%、パルミトオレイン酸5.2%、ステアリン酸4.7
%、オレイン酸22.8%、アラキドン酸3.8%、EPA7.0
%、DHA14.4%)を原料に用い、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノ
ールとのエステル化反応を行った。1段階目の反応は、
脂肪酸(水分含量173ppm)/アルコール混液(1:1,mol
/mol)40g、および固定化したキャンディダ・アンタク
ティカのリパーゼ(Novozym 435,ノボノルディスク
(株)製)400mgを50ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶に入
れ、30℃で24時間振盪しながらインキュベートした。反
応後、反応混液だけを取り出し暫く静置した後、水層
(下層)を除去することにより、脂肪酸アルコールエス
テルと未反応の脂肪酸が含まれる上層を回収した。この
反応液を減圧下で水分量が100ppm以下になるまで脱水
し、未反応の脂肪酸に対して5モル等量のアルコールを
加え、2段目の反応に用いる基質を調製した。この基質1
0gと固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパ
ーゼ(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)100mgを
20ml容量のネジ蓋付きバイアル瓶に入れ、1段目の反応
と同じ条件でインキュベートした。その結果を表6に示
す。イソプロパノールを用いたときのエステル合成率
は、他の低級アルコールを基質としたときのエステル合
成率よりわずかに低いものの、キャンディダ・アンタク
ティカのリパーゼを触媒として用いることにより、高度
不飽和脂肪酸を含む各種脂肪酸は低級アルコールと効率
よくエステル化することを明らかにした。
【0050】
【表6】
【0051】[実施例8](固定層型バイオリアクター
を用いた連続エステル化) 固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ
(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)1gを充填し
たカラム(15×30mm)を2本準備した。1本目のカラムに
はオレイン酸(水分含量232ppm)とエタノールの混液
(1:1,mol/mol)を8.8g/hの流速で負荷し、100日間連
続運転した。経時的にサンプリングしてエステル合成率
を測定したところ、表7に示したように81〜83%の合成
率が得られた。100日間分の溶出液(合成率82.4%)は
水分量が100ppm以下になるまで脱水し、残存脂肪酸に対
して5モル等量のエタノールを加えた混液を2本目のカラ
ムに8.8g/hの流速で負荷して2段目の反応を100日間連続
して行った。その結果、68〜73%のエステル合成率が得
られ、1回目の反応率と合計すると95%のエステル合成
率となった。固定層型バイオリアクターを用いた連続反
応でも実施例6に示したバッチ反応と同程度のエステル
合成率が達成でき、酵素は1段目、2段目に限らず、100
日以上連続使用できることがわかった。2段目の反応に
より得られた溶出液を回収し、そのうち400gを初発原料
として常法によりアルカリ脱酸した結果、296gのオレイ
ン酸エチル(酸価0.2mg KOH /g)を回収することができ
た(エチルエステル収率,78%)。
【0052】
【表7】
【0053】[実施例9](固定層型バイオリアクター
を用いた連続エステル化) 固定化したキャンディダ・アンタクティカのリパーゼ
(Novozym 435,ノボノルディスク(株)製)1gを充填し
たカラム(15×30mm)を2本準備した。1本目のカラムに
はDHA(水分含量172ppm)とエタノールの混液(1:
1,mol/mol)を2.3g/hの流速で負荷し、100日間連続運
転した。経時的にサンプリングしてエステル合成率を測
定したところ、表8に示したように82〜85%の合成率が
得られた。100日間分の溶出液(合成率82.6%)は水分
量が100ppm以下になるまで脱水し、残存脂肪酸に対して
5モル等量 のエタノールを加えた混液を2本目のカラム
に2.3g/hの流速で負荷して2段目の反応を100日間連続し
て行った。その結果、65〜75%のエステル合成率が得ら
れ、1回目の反応率と合計すると95%のエステル合成率
となった。固定層型バイオリアクターを用いた連続反応
でも実施例6に示したバッチ反応と同程度のエステル合
成率が達成でき、酵素は1段目、2段目に限らず、100日
以上連続使用できることがわかった。
【0054】2段目の反応により得られた溶出液を回収
し、そのうち400gを初発原料として常法によりアルカリ
脱酸した結果、305gのDHAエチルエステル(酸価0.2m
g KOH / g)を回収することができた(エチルエステル
収率,80.3%)。
【0055】
【表8】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、生理活性を有し医薬品
等に有用な種々の脂肪酸のアルコールエステルを、異性
体化の危険性、着色、劣化臭等の問題を生じることな
く、温和な条件下、高収率で製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 裕司 大阪府大阪市東住吉区北田辺4丁目6番13 号 (72)発明者 丸山 一輝 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 森山 茂 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 馬場 貴司 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 大栗 智昭 茨城県つくば市和台16−2 マルハ株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 4B064 AD88 AD89 AD90 CA21 CA35 CB26 CC03 CD06 CD07 CD21 DA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸及び低級アルコール以外の有機溶
    媒を含まず、水分含量が10%以下の反応系で、脂肪酸
    と低級アルコールとを脂肪酸選択性を示さないリパーゼ
    を用いてエステル化反応させることを特徴とする脂肪酸
    低級アルコールエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 エステル化反応を段階的に行なうことを
    特徴とする請求項1記載の脂肪酸低級アルコールエステ
    ルの製造方法。
  3. 【請求項3】 脂肪酸に対して1〜5モル等量の低級ア
    ルコールを用いて脂肪酸のエステル化反応を行なう第1
    段階と、第1段階で得られた反応液に存在する未反応の
    脂肪酸に対して1モル等量以上の低級アルコールを用い
    て脂肪酸のエステル化反応を行なう第2段階でエステル
    化反応を行なう請求項2記載の脂肪酸低級アルコールエ
    ステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 第1段階で得られた反応液中の水分含量
    を低下させて、第2段階のエステル化反応を行なう請求
    項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 脂肪酸が高度不飽和脂肪酸である請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 高度不飽和脂肪酸がγ-リノレン酸、α-
    リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、又
    はドコサヘキサエン酸である請求項5に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 低級アルコールがメタノール、エタノー
    ル、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールで
    ある請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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