JP2015531236A - 脂肪酸エステルの酵素的合成のための3段階法 - Google Patents

脂肪酸エステルの酵素的合成のための3段階法 Download PDF

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Abstract

本発明は、脂肪アルコールからエステルを製造するためのプロセスであって、酵素の存在下30〜50℃の範囲の温度で脂肪アルコールおよび脂肪酸を反応させ、生じた水を除去し、減圧下50〜80℃の温度で反応を完了するプロセスに関する。

Description

本発明は、脂肪アルコールおよび脂肪酸からエステルを製造するためのプロセスであって、合成の間に生成された水の大部分が液体として除去されるプロセスを含む。
脂肪アルコールおよび脂肪酸からのエステルの酵素的合成は知られている。酵素的合成は環境に優しいプロセスであり、合成は生成された反応水を完全に蒸発させて実施される。
脂肪酸エステルを製造するためのリパーゼの工業的利用は、例えば、Eur. J. Lipid Sci. Technol. 105, 2003, pp. 601-607にGeoffrey Hillsによって記載されている。生成された脂肪酸エステル、具体的にはミリスチン酸ミリスチルは、固定床プロセスで生成されている。この固定床プロセスでは、反応体がカラムを通して数回にわたってポンプ輸送され、生成された反応水は減圧下で蒸発される。
脂肪酸エステルは、油体またはエモリエントとして化粧用スキンケア製品のレベルを上げるために使用される。官能特性および最適な皮膚科学的許容度に関する市場の高い需要を満たすために、新規な油体および油体混合物が開発および試験され続けている。これらの脂肪酸エステルを製造するための革新的な技術もこの一部である。
先に述べたような、脂肪アルコールおよび脂肪酸からのエステルの合成は水を生成する。この水は、反応平衡を完全合成へシフトさせるために除去されなければならない。脂肪酸エステルの酵素的触媒製造は、最適な酵素安定性を保持するために比較的低温で行わなければならない。したがって、水の蒸発のために非常に強力な真空が要される。この蒸発は、エネルギーを大量に消費する。
加えて、バッチ反応器へスケールアップしたときに問題が生じることが分かっている。10〜100mの典型的な製造用反応器における圧力降下を用いた反応水の蒸発は、充填深さのせいで、上層のみでしか生じない。80〜90%の転化に至るまでの反応が非常に速く、概して5時間未満で進行することもさらに分かっている。しかしながら、結果的には、この時間内に製造用反応器内で生じた水は工業的な方法で除去され得ないか、または非常に大きな機器資産によってのみ除去され得る。さらに、反応水の蒸発に必要とされるエネルギー投入量は、反応器内の低い内部温度の故に、困難を伴ってしか反応器に導入することができない。
酵素触媒が高温において、非常に低い安定性しか有さないか、または不活性となるという事実には更なる問題がある。酵素は非常に温度感受性が高いということは知られている。したがって、エステル合成は、60〜80℃より高い温度では実施することができない。具体的には、酵素の長期安定性は、約40℃からさらに低い温度で短鎖アルコールおよび短鎖脂肪酸(C8/C10)の存在下において低下することが分かっているので、反応は約40℃の温度で理想的に実施されるべきである。
Eur. J. Lipid Sci. Technol. 105, 2003, pp. 601-607
先行技術の酵素的エステル合成のこれらの問題および欠点に基づいて、本発明の目的は、脂肪アルコールおよび脂肪酸からのエステルの製造であって、より低い全エネルギー消費量が確保され、大きなバッチ反応器へのスケールアップに何の問題も生じず、改善された酵素安定性が保証される製造を可能にする技術を確立することである。
この目的は請求項1に記載のプロセスによって達成された。
本発明は脂肪アルコールおよび脂肪酸からエステルを製造するためのプロセスであって、工程:
・反応平衡に達するまでの、酵素存在下30〜50℃の範囲の温度における、式R−OHの脂肪アルコール[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基]と、式R−COOHの脂肪酸[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基である]との反応工程
・反応の間に生成された水の除去工程および
・減圧下の、50〜80℃の温度における反応の完了工程
を含む、プロセスに関する。
従属クレームは本発明によるプロセスの好適な態様を明示する。
本発明による脂肪アルコールおよび脂肪酸からのエステルの製造のためのプロセスは、対応する先行技術によるプロセスから明らかになった問題および欠点の効果的な解決法である。本発明のプロセスは3段階の酵素的手法であり、まず、反応が平衡に達するまで、低温で、減圧せずに合成を実施する。第2工程において、反応水を除去する。次に、第3の反応工程で、完全転化に至るまで、第1工程よりも高い温度で減圧下、脂肪酸エステルを合成する。
図1は、蒸留による精製後の、本発明によって製造されたエステルのGCクロマトグラムである。
本発明によるプロセスの好適な態様では、反応の完了工程の間、すなわち完全転化に至るまで、ストリッピングガス雰囲気中で合成を実施する。従来のすべてのストリッピングガスを、ストリッピングガスとして使用することができる。適切なストリッピングガスの例は窒素、大気、二酸化炭素およびアルゴンであるが、窒素がストリッピングガスとして好ましく使用される。
本発明によるプロセスの本質的特徴は、まず、反応平衡に達するまで減圧せずに第1工程を実施することである。例えばデカンテーションによる、反応の間に生成された水の除去後、減圧を適用して、本発明にしたがって反応が再開される。この反応の完了工程の間、100〜10000Paの圧力を適用する。本発明によるプロセスの好適な態様では、完了工程の間、1500〜4500Paの圧力を適用する。
開始後、減圧せずに実施する反応は、比較的低温で実施する。好ましくは35〜45℃の温度範囲を選択する。
反応の完了工程の間、55〜65℃のより高い温度領域が理想的には採用される。
本発明によるプロセスは、脂肪アルコールおよび脂肪酸からのエステルの酵素的合成が可能である酵素であれば、いかなる酵素の存在下においても実施することができる。実際には、酵素としてリパーゼを使用する利点が知られている。好適なリパーゼは、リパーゼBであって、例えばex Candida antarcticaである。酵素は、固定化形態で使用されることが好ましい。固定化のための好適な方法は例えば、担体への吸着である。担体の例は、Accurel MP 1000およびLewatit VPOC 1600である。実際には、合成において固定化酵素を0.5〜5.0重量%の量で使用すると有利であることが知られている。反応中に水が生じる間、メッシュあるいはフィルターによって容易に保持され得ることもまた、担体上に固定化された酵素触媒の特有の利点である。
本発明によるプロセスは例えば、以下のように実施することができる。
酵素的合成の第1工程において、バッチ反応器中の混合物を、反応平衡に達するまで、例えばかき混ぜることにより、機械的に撹拌する。この工程において、少なくとも80%のエステル生成物転化が達成される。
反応中に生成した水を除去する中間工程において、バッチの機械的な撹拌を停止し、その後、好ましくは0.5〜2時間で、水は分離される。この水は、例えば反応器内のメッシュまたはフィルターユニットを用いて、固定化酵素を保持しながら、底部出口を経て排水されるのが理想的である。
減圧下での反応の完了工程から成る最終工程は、同じバッチ反応器中で、少なくとも95%、好ましくは95%より高いエステル生成物転化率まで実施される。経済的な観点から、固定化酵素を合成全体へ再利用できるように、第1工程からの酵素を再び使用できることが理想的である。
エステル合成において出発物質として使用される脂肪アルコールおよび脂肪酸は、工業用の脂肪アルコールまたは脂肪酸であってよい。しかしながら、脂肪アルコールおよび脂肪酸は再生可能な原材料から得ることが好ましい。
脂肪アルコールは、式
−OH
[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基であり、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基を含む。]の第1級脂肪族アルコールを意味するものと解される。一般的な例は、カプロイルアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、およびこれらの混合物である。8〜18の炭素原子を有する脂肪アルコールが好ましい。
脂肪酸は、式
COOH
[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基であり、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基を含む。]の脂肪族カルボン酸を意味するものと解される。一般的な例は、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、およびこれらの混合物である。8〜18の炭素原子を有する工業用脂肪酸が好ましい。
エステル製造のための本発明によるプロセスは、ワンポットプロセスで行われるのが好ましい。この目的に好適な反応器は、バッチ反応器または、固定床ループを有するバッチ反応器である。
本発明によって製造された脂肪酸エステルの処理のために、さらなる精製および保管工程を実施してよい。これらは例えば未反応反応体の除去のための先行蒸留を含む。例えば、色を改善するための生成物の蒸留を実施することもできる。匂いの最適化のための臭気除去もまた成功裏に実施できることが分かっている。例えば、(トコフェロールのような)抗酸化物質の添加もまた生成物の安定化のために望ましいことがある。
本発明によるプロセスは、脂肪酸エステル製造のための既知のプロセスに比べて、非常に多くの利点を有する。1つの重大な改善点は、反応全体を減圧下で実施する従来技術のプロセスと比較してより少ない水が蒸発されるため、全体で極めて低いエネルギーしか消費しないことである。第2工程の中間段階、すなわち水の除去において、水は疎水性エステルから非常に迅速に分離するために、水は底部出口を使用して有利に分離することができる。大きなバッチ反応器においては、反応水の完全な蒸発を達成するための反応時間を短縮できる。反応平衡状態までの転化は実際にはバッチサイズに依存し、主に混合に影響される。
さらなる利点は、酵素安定性における非常に優れた改善が達成されることである。第1工程が第3工程よりも大幅に低い温度で実施されることがその理由である。そのうえ、第3工程では、出発物質のような不活性化成分の濃度は明らかに低い。
最後に、非常に良好な最終転化が観察される。これは第3工程で採用される、より高い温度に起因する。その結果として、99%を越える生成物への転化が可能となる。ストリッピングガスの追加の使用は、最終転化率の増加をさらに促進する。
以下の実施例は、本発明におけるプロセスの説明のためのものである。
実施例1:3工程プロセス(実験室規模)における酵素の長期安定性
1:1比率のLewatit VPOC 1600(Lanxess)および市販のリパーゼB ex Candida antarctica(NovozymesのLipozme CalB L)を、20倍量の水の中で、室温で一晩撹拌した。固定化酵素を濾取し、合成に直接使用した。
パドルスターラーを備える1リットル容の反応器において、オクタノールおよび脂肪酸(オクタン酸とデカン酸の工業用混合物)の等モル混合物650gを2重量%の固定化酵素と反応させた。混合物を、大気圧下、45℃で4時間撹拌した。撹拌を4時間後に停止し、酸価の測定のためにサンプルを取り出した。30分後、水相を反応器から排水し、反応を再開した。温度を60℃に上げ、20ミリバールのオイルポンプ真空を印加し、反応混合物を窒素フラッシュした。バッチを、一定条件下でさらに18時間撹拌した。この反応時間後、バッチを排水し、酸価の測定により転化率を測定し、同じ条件の下、同じ酵素を用いて新たなバッチを開始した。合計で10のバッチを同じ酵素を用いて実施した。脂肪アルコール/脂肪酸混合物の初期の酸価は210であった。
Figure 2015531236
反応は実際には、10サイクルにわたって4時間の反応時間の後、90%弱の転化率で平衡状態に達した。10のバッチ全体で、22時間の全反応時間の後、減圧下での水の除去を伴って、97%を超える転化率が達成された。10のバッチにわたって、酵素活性の有意な損失は観察されなかった。
実施例2:10m容の反応器における3工程プロセスによる合成
10m容の反応器にパドルスターラー、加熱ジャケット、反応器底部の窒素スパージャーおよびジェット真空システムを備え付けた。加えて、触媒を保持するために底部出口にメッシュを取り付けた。酵素の固定化と反応は同じ反応器で実施した。
140kgのAccurel MP 1000および1500kgのエタノールを反応器に導入し、0.5時間撹拌し、その後エタノールを底部出口を介して排水した。3000kgの水を反応器に加え、150kgのLipozme CalB Lを撹拌しながら加えた。固定化を25℃で16時間実施した。水溶液を反応器から排水し、保持された固定化物を水で1回洗った。
反応器内の全固定化酵素に、オクタノールおよび脂肪酸(オクタン酸とデカン酸の工業用混合物)の混合物6550kgを加えた。混合物を、大気圧下45℃で4時間撹拌した。撹拌を4時間後に停止し、酸価の測定のためにサンプルを取り出した。30分後、水相(約350kg)を反応器から排水し、反応を再開した。温度を60℃に上げ、約30ミリバールのジェット真空を印加し、反応混合物を窒素パージした。バッチをさらに12時間、撹拌しながら保温した。この反応時間後、バッチを濾過メッシュを通して排水し、最後にバッグフィルターを通して濾過した。酵素の有意な失活は検出されずに、同じ酵素を用いて、合計で9のバッチを実施した。
4時間の反応の後、全てのバッチは25〜30の酸価を有しており、これは85%より大きい転化率に相当した。反応終了後、全てのバッチは、2より小さい酸価を有しており、これは脂肪酸に基づいて少なくとも99%の転化率に相当した。反応生成物は透明であり、実質的には無色であった。合計で52000kgを越える生成物を98%を越える収率で製造した。
実施例3:本発明におけるプロセスによって製造されたエステルの製品品質
実施例2の生成物を蒸留および臭気除去によりさらに精製した。そのため、直列状につながれた3つのカラムから成る生成物蒸留に、生成物を導入した。2000kg/時の流量で生成物を計量添加し、第1カラムにおいて、未転化反応体から成る初留分を90kg/時の割合で取り除いた。第2カラムにおいて、色を改善するためにエステルを塔頂留出物として取り出し、第3カラムにおいて、匂いを改善するためにエステルを120℃で、10%水蒸気を用いて臭気除去した。
このようにして得られた生成物(オクチルオクタノエートとオクチルデカノエートの混合物)は、210の鹸化価、0.1未満の酸価、0.1未満のヒドロキシル価および0.1未満の過酸化物価を有していた。ハーゼン色数は10であり、曇り点は−12℃であった。GC分析によるエステル含有量は99.4%であった(図1)。この図の2つの主要なピークは、オクチルオクタノエート(RTで約6分)およびオクチルデカノエート(RTで約7分)として同定される。
実施例4:温度の関数としての酵素安定性
1:1比率のLewatit VPOC 1600(Lanxess)および市販のリパーゼB ex Candida antarctica(NovozymesのLipozme CalB L)を、20倍量の水の中で、室温で一晩撹拌した。固定化酵素を濾取して、合成に直接使用した。
封止可能なボトルの中で、それぞれの場合に、50gのオクタノールおよび脂肪酸(オクタン酸とデカン酸の工業用混合物)の等モル混合物50gを、2重量%の固定化酵素(1g)と反応させた。混合物を30℃、45℃および60℃で並行して22時間振盪した。この反応時間後に、バッチを濾過し、酸価の測定により転化率を測定した。合計で9のバッチを同じ酵素を用いて3つの温度において実施した。脂肪アルコール/脂肪酸混合物の初期の酸価は210であった。
Figure 2015531236
30℃および45℃における22時間の反応時間の後、9のバッチにわたって酵素活性の有意な損失は観察されなかった。60℃では、バッチ5から活性の有意な損失が観察され、9のバッチの後は、初期転化率の25%未満の転化率が達成された。
実施例5:温度の関数としての酵素安定性
Accurel MP 1000(Membrana)を、10倍過剰のエタノール中で1時間保温し、それから濾過した。1:1比率の、エタノールで湿潤した(ethanol-moist)Accurel MP 1000および市販のリパーゼB ex Candida antarctica(NovozymesのLipozme CalB L)を、20倍量の水の中で、室温で一晩撹拌した。固定化酵素を濾取して、合成に直接使用した。
封止可能なボトルの中で、それぞれの場合に、オクタノールおよび脂肪酸(オクタン酸とデカン酸の工業用混合物)の等モル混合物50gを、2重量%の固定化酵素(1g)と反応させた。混合物を30℃、45℃および60℃で並行して22時間振盪した。この反応時間後、バッチを濾過し、酸価の測定により転化率を測定した。合計で9のバッチを、同じ酵素を用いて、3つの温度において実施した。脂肪アルコール/脂肪酸混合物の初期の酸価は210であった。
Figure 2015531236
30℃および45℃における22時間の反応時間の後、9のバッチにわたって酵素活性の有意な損失が観察された。60℃では、バッチ5からわずかな活性損失が観察され、バッチ6から有意な損失が観察された。9のバッチの後は、初期転化率の35%未満の転化率が達成された。
別のバッチを、ジャケット付き反応器において60℃および20ミリバールの減圧下で実施した。1バッチあたり、800gの前記反応体混合物と、2%のAccurel MP 1000固定化リパーゼB ex Candida antarcticaとを使用した。合計で8のバッチを、連続した撹拌および窒素スパージを伴って実施した。3時間経過後および22時間経過後のサンプルを採取した。水の蓄積は観察されなかった。
Figure 2015531236
水を連続的に除去しながら、減圧下60℃の反応温度で、触媒の急速な失活が生じた。4サイクル終了後は、3時間経過時に採取したサンプルでさえ、反応速度の低下を示しており、6〜7サイクル終了後は、22時間経過後であっても、完全な転化はもはや達成されなかった。
実施例1、4および5は、同じ量の酵素および同じ反応体混合物を用いて実施した。45℃における平衡に達するまでの反応と、60℃における、減圧下でのさらなる転化とを伴ったエステル合成の3工程法(実施例1)では、酵素活性の有意な低下は10反応サイクルにわたって見られなかった。対照的に、Lewatit VPOC 1600(実施例4)およびAccurel MP 1000(実施例5)を用いた場合はいずれも、60℃における直接の反応により、5サイクル終了後であっても、酵素活性が有意に低下した。
この比較は特に、実施例で使用した反応体が酵素に不活性作用を及ぼしたことを示している。オクタノールは強溶解性を有し、オクタン酸およびデカン酸はかなり強い酸である。同時に、酵素の不活性は選択された反応温度に強く依存する。
第1工程において80%を越える反応体がより低い温度で転化し、その後反応体の残りの10〜20%がより高い温度で転化する3工程合成は、高温における反応体の直接転化と比べて、有意に改善された酵素安定性をもたらす。第2の反応工程における、減圧下での水の除去が、より低い温度で非常に良好に進行するので、3工程法は特に、工業的実施に適している。
別の貯蔵試験において、酵素が反応体混合物中よりも、製造されたエステル中でより良好な安定性を有することが確認された。生成物混合物中、45℃で1ヶ月間、固定化物を貯蔵したところ、酵素活性は有意には低下しなかった。
比較例1:10m容の反応器における、減圧下でのエステル合成
実施例2に記載したように、固定化および反応を同じ反応器で実施した。固定化を例2の記載と同じように実施し、反応体混合物、および生体触媒と反応体との比を同一にした。
反応器中で、オクタノールおよび脂肪酸(オクタン酸とデカン酸の工業的混合物)の混合物6550kgを全固定化酵素に加えた。混合物を45℃で4時間撹拌し、30ミリバールのジェット真空を用いて窒素スパージした。4時間経過後のサンプルを採取し、存在している水の量を分析した。サンプルの酸価は26であり、これは87%を越える転化率に相当した。
4時間経過後の反応器内に水が蓄積し、生成した水の量の約75%が、45℃の温度で真空ポンプを用いても反応器から除去できないことが分かった。前記温度での蒸発によって、初期に生成した水を除去するためには、約16時間が必要とされた。水相の除去が完了する後まで、系はさらに反応することはできなかった。
20〜100mのサイズを有する、化粧用または工業用エステルのための典型的な生成反応器では、比較的高い充填レベル、および体積に対する表面積の好ましくない比率の故に、水の除去に時間がかかることが知られている。反応温度を例えば80〜100℃に上げることによってのみ、水はより迅速に除去される。しかしながら、この場合、酵素が極めて重度に不活性化されるため、このプロセスの改変は適切な解決法ではない。
本発明の実施例2で示したように、水相を反応器から短時間で除去できるように、反応を4時間後に停止した。より低い温度(30〜45℃)であっても、平衡に達するまでの反応は約4時間以内に達成された。大部分の反応体はすでに反応し終えていたので、例えば有意な酵素失活を伴わずに水相をより良好に除去するために、水の分離後、反応温度を60℃に上昇させることができる。このようにして反応全体は、12〜20時間以内で実施することができる。

Claims (15)

  1. 脂肪アルコールおよび脂肪酸からエステルを製造するためのプロセスであって、工程:
    ・反応平衡に達するまでの、酵素存在下30〜50℃の範囲の温度における、式R−OHの脂肪アルコール[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基である。]と、式R−COOHの脂肪酸[式中、Rは6〜22の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基である。]との反応工程
    ・反応の間に生成された水の除去工程および
    ・減圧下の、50〜80℃の温度における反応の完了工程
    を含む、プロセス。
  2. 反応の完了工程をストリッピングガス雰囲気中で実施する、請求項1に記載のプロセス。
  3. 使用されるストリッピングガスが窒素、大気、二酸化炭素、またはアルゴンである、請求項2に記載のプロセス。
  4. 反応の完了工程の間に100〜10000Paの圧力を印加する、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
  5. 反応の完了工程の間に1500〜4500Paの圧力を印加する、請求項4に記載のプロセス。
  6. 35〜45℃の範囲の温度で反応工程を実施する、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
  7. 55〜65℃の範囲の温度で反応の完了工程を実施する、請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
  8. リパーゼを酵素として使用する、請求項1〜7のいずれかに記載のプロセス。
  9. 酵素を固定化形態で使用する、請求項8に記載のプロセス。
  10. 固定化酵素を0.5〜5.0重量%の量で使用する、請求項1〜7のいずれかに記載のプロセス。
  11. 使用される脂肪アルコールの、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基が8〜18の炭素原子を有する、請求項1〜10のいずれかに記載のプロセス。
  12. 使用される脂肪酸の、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基が8〜18の炭素原子を有する、請求項1〜11のいずれかに記載のプロセス。
  13. エステルの製造をワンポットプロセスで実施する、請求項1〜12のいずれかに記載のプロセス。
  14. 精製および貯蔵工程をさらに実施する、請求項1〜13のいずれかに記載のプロセス。
  15. 先行蒸留、色を改善するための生成物蒸留、匂いの最適化のための臭気除去、および/または抗酸化物質の添加を実施する、請求項14に記載のプロセス。
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