JP6401457B2 - ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関する。具体的には、ポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルとを、特定のアルコール及び酵素の存在下で反応させて、当該ポリグリセリンと脂肪酸とのモノエステルを製造する方法に関する。
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、従来から乳化剤や油脂の可溶化剤として利用されてきた。ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと高級脂肪酸とを、アスペルギルス由来又はリゾプス由来の酵素の存在下で反応させること等により製造されてきた(特許文献1)。しかし、当該従来技術では、反応生成物は、通常、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びその他高エステル化度化合物の混合物となり、高純度のモノエステル単独の生成物を得ることは困難であった。
また、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、飽和又は不飽和脂肪酸と低級アルコールとのエステルに、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下で耐熱性固定化リパーゼを作用させることにより製造することもできる(特許文献2)。しかし、当該方法は、反応速度が速く、比較的高いモノエステル純度を得ることができるという利点があるものの、十分に高い純度のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを得ることはできなかった。また、反応中に副生する水または低級アルコールを除去する必要があった。さらに、固定化リパーゼは高価かつ入手が困難なため、より簡便にポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法が求められていた。
特開昭61−187795号公報 特開平3−43092号公報
本発明は、ポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)とを、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下、及び特定の酵素の存在下で反応させることにより、高純度のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、又、酵素として粉末状態のキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素を使用することにより、従来より高い純度でポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを特異的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するため、ポリグリセリンと脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルとを、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下、及びキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素の存在下で反応させることにより、得られるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの純度を増加させることができることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、
[1]ポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)とを、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下、及びキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素の存在下で反応させることを特徴とする、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
[2]前記酵素が粉末酵素である、[1]に記載の方法。
[3]前記反応後に得られるポリグリセリン脂肪酸エステル全体に対する前記ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの量が、85質量%以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記ポリグリセリンがトリグリセリンである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]前記脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)がステアリン酸である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6]前記反応が第3級アルコールの存在下で行われる、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、ポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)とを、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下、及び特定の酵素の存在下で反応させることにより、高純度のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法を提供できる。特に、本発明は、酵素として粉末状態のキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素を使用することにより、反応後に得られるポリグリセリン脂肪酸エステル全体に対し、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが、85質量%以上の量(純度)で存在するような純度でポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法を提供することできる。このようにして得られたポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、良好な乳化剤や油脂の可溶化剤として好適に用いることができる。
<ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法>
本発明は、ポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)とを原料とし、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下、及びキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素の存在下で、当該原料を反応させることを特徴とする、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関する。以下、本発明の態様を詳細に説明する。
<原料>
本発明のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを得るための原料は、ポリグリセリンと脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルである。
ポリグリセリンとは、ポリグリセロールとも呼ばれ、例えば下記式(I)で示されるような複数のグリセリンが重合した化合物であるが、これ以外に、環状にグリセリンが重合した化合物や1つのグリセリンに3つのグリセリンが結合した分岐構造をもつものも含む。ポリグリセリンとしては、例えば、グリセリンが2つ結合したジグリセリン(ジグリセロール)、グリセリンが3つ結合したトリグリセリン(トリグリセロール)等が挙げられる。結合するグリセリンの数は、例えば、2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜5である。
Figure 0006401457
(式中、nは、2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜5の整数)
本発明では、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)を用いることができる。脂肪酸を用いる場合、反応速度が速いため、好ましい。また、脂肪酸アルキルエステルを使用すると、反応速度が極端に遅くなるが、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの純度がより高いものが得られる点で好ましい。
本発明で使用し得る脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸が挙げられる。脂肪酸としては、一般的に、2〜4個の炭素を含むものを短鎖脂肪酸、5〜12個の炭素を含むものを中鎖脂肪酸、及び12個以上の炭素を含むものを長鎖脂肪酸といい、本発明で言う脂肪酸はこれらの何れも含み得る。本発明で原料として使用し得る脂肪酸としては、例えば、炭素数が2〜24、好ましくは8〜22、更に好ましくは14〜20の、飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸を挙げることができる。当該脂肪族カルボン酸は、直鎖飽和脂肪族カルボン酸、直鎖不飽和脂肪族カルボン酸、分岐鎖飽和脂肪族カルボン酸及び分岐鎖不飽和脂肪族カルボン酸を用いることができる。本発明で使用できる脂肪酸の具体的な例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、エルカ酸、酢酸、イソ酪酸等が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としては、好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びエルカ酸である。脂肪酸としてより好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸である。
本発明で用いる脂肪酸アルキルエステルを構成する構成脂肪酸としては、前述の脂肪酸と同じ脂肪酸を用いることができる。当該構成脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びエルカ酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸がより好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸が特に好ましい。
脂肪酸アルキルエステルのアルキルは、炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基である。具体的に、当該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げられ、特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。好ましい脂肪酸アルキルエステルとしては、パルミチン酸エチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸メチルが挙げられる。
原料であるポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステル(但し、該アルキルは炭素数1〜4)の総量は、ポリグリセリン:脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルのモル比で、例えば10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは、3:1〜1:3、更に好ましくは2:1〜1:2、殊更好ましくは1.5:1〜1:1.5である。
<第2級及び/又は第3級アルコール>
本発明の反応は、第2級及び/又は第3級アルコールの存在下で行われる。これらの第2級及び/又は第3級アルコールは、上記脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルを溶解し得るものであれば、いかなるアルコールも使用することができる。第2級アルコールとしては、例えば、イソプロパノール、シクロヘキサノール、sec−ブタノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノールが挙げられる。第3級アルコールとしては、例えば、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノールが挙げられる。第2級及び/又は第3級アルコールとして好ましくは、t−ブタノール、2−メチル2−ブタノールである。また、第2級及び/又は第3級アルコールのうち酵素の失活抑制の面から好ましいのは第3級アルコールであり、中でもt−ブタノールが好ましい。
反応における第2級及び/又は第3級アルコールの存在量は、アルコールの種類にもよるが、例えば、原料、第2級及び第3級アルコールの全質量に対し、第2級及び第3級アルコールを、例えば10〜99質量%、好ましくは、30〜95質量%、より好ましくは、40〜90質量%、更に好ましくは、50〜80質量%含むことが適当である。
<酵素>
本発明の反応は、キャンディダ・シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来の酵素の存在下で行われる。なお、キャンディダ・シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来の酵素の耐熱性は、50℃程度であるので、当該酵素は耐熱性酵素ではない。
本発明で使用する酵素としては、培養し、酵素の培地成分等を含有した酵素含有水性液体を乾燥して得られたものでもよいが、これらを含有していないもの、つまり実質的に酵素自体から構成されるものも好ましい。本発明で使用できる酵素としては、酵素を含有する粉末を使用することができる。例えば、酵素の培養後、菌体を除去して製造された酵素含有水性液体から固定化したもの、もしくは酵素含有水性液体を粉末化したものがより好ましい。特に好ましくは、酵素活性及び取扱い容易性の面から、粉末酵素である。
なお、固定化あるいは、粉末化に用いられる酵素含有水性液体は、酵素活性をより高めるために塩類等の低分子成分を除去したものがより好ましく、また、粉末性状をより高めるために糖等の低分子成分を除去したものがより好ましい。
固定化酵素は、酵素をシリカ、セライト、珪藻土、パーライト、ポリビニールアルコール、陰イオン交換樹脂、フェノール吸着樹脂、疎水性担体、陽イオン交換樹脂、キレート樹脂等の担体に固定化したものを用いることができる。
粉末酵素は、酵素含有水性液体をスプレードライ、フリーズドライ、溶剤沈澱後の乾燥などの方法で乾燥、粉末化したものであり、特に限定するものではないが、例えば、キャンディダ・シリンドラッセ由来の名糖産業株式会社の商品リパーゼOFが挙げられる。
酵素の量は、ポリグリセリンと脂肪酸との反応が十分に進行する量であればよいが、原料であるポリグリセリン及び脂肪酸の合計質量に対し、例えば、0.5〜30質量%、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは1.5〜10質量%、更に好ましくは2〜5質量%加えられる。
<エステル化反応・エステル交換反応>
酵素を用いた本発明のポリグリセリンと脂肪酸との反応はエステル化反応(脱水縮合反応又は加水分解逆反応)である。また、ポリグリセリンと脂肪酸アルキルエステルとの反応はエステル交換反応である。当該エステル化反応及びエステル交換反応としては、通常用いられるエステル化反応及びエステル交換反応を使用することができる。エステル化反応及びエステル交換反応は、酵素を加えずに混合する任意の予備混合工程、及びその後酵素を加えてエステル化反応やエステル交換反応を行う反応工程を含み得る。
具体的には、例えば、原料となるポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルに、さらに第2級及び/又は第3級アルコールを溶媒として加え、酵素を添加する前にこれらの混合物を任意に撹拌しながら混合する(予備混合工程)。原料の混合は、例えば、常圧下、室温(20℃)〜80℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃の温度で行われ得る。なお、水は酵素を添加する前においては極力存在しないことが好ましい。酵素添加前の水の量は、原料全体の質量に対し、例えば10質量%以下、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%であることが適当である。この予備混合工程は、例えば5〜60分、好ましくは10〜50分、より好ましくは20〜40分継続してもよい。
このようにして得られた混合物に、さらに酵素及び任意の助剤を加えることによりエステル化反応又はエステル交換反応を行う(反応工程)。酵素は、上述したキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素を用いることができる。酵素としてキャンディダ・シリンドラッセ由来の酵素以外の酵素は含まないことが好ましいが、本発明のモノエステルの製造に悪影響がない限り、含まれてもよい。助剤としては、粉末セルロース、パーライト、珪藻土等が挙げられる。エステル化反応又はエステル交換反応は、例えば、常圧下、室温(20℃)〜80℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜50℃の温度で、例えば1〜100時間、好ましくは10〜80時間、より好ましくは20〜60時間、更に好ましくは30〜50時間、任意に攪拌しながら行われる。また、この反応工程では、例えば、上記所定量の酵素を1度に投入してもよいが、所定量の酵素を2〜30回、好ましくは3〜20回、より好ましくは5〜15回に分けて投入してもよい。酵素を投入する時期は、上記予備混合工程終了直後の他、第1回酵素投入から1〜2時間おきに投入してもよい。
エステル化反応後の反応生成物に含まれる未反応の残存ポリグリセリンは、反応生成物全質量に対して、例えば90質量%以下、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜60質量%であることが適当である。また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステルの合計質量(収率)は、反応生成物全質量に対して、例えば10質量%以上、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%であることが適当である。
エステル交換反応後の反応生成物に含まれる未反応の残存ポリグリセリンは、反応生成物全質量に対して、例えば95質量%以下、好ましくは0〜85質量%、より好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜60質量%であることが適当である。また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステルの合計質量(収率)は、反応生成物全質量に対して、例えば5質量%以上、好ましくは15〜100質量%、より好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%であることが適当である。
<ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル>
上述のようにしてエステル化反応又はエステル交換反応を行うことにより、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを得ることができる。上記エステル化反応又はエステル交換反応により、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの他、ポリグリセリンと脂肪酸のジエステル、ポリグリセリンと脂肪酸のトリエステルなど、多種のポリグリセリンと脂肪酸の高エステル化度化合物が得られる。ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの量は、上記反応により生成する多種のポリグリセリン脂肪酸エステルの合計質量に対し、例えば、85質量%以上(即ち純度85質量%以上)、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であって、例えば97質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは100質量%以下であることが適当である。この際のポリグリセリン脂肪酸エステル全体に含まれるポリグリセリンと脂肪酸のジエステルの量は、例えば10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下であることが適当である。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル全体中に含まれるポリグリセリンと脂肪酸のトリエステルの量は、例えば1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることが適当である。
次に本発明を参考例及び実施例により詳細に説明する。
[分析方法]
・エステル組成
エステル化反応又はエステル交換反応を行った後に得られるポリグリセリン脂肪酸エステル生成物を40μl計り取り、エバポレーターによって溶媒を取り除いた。その後、TMS-HT(無水ピリジン中ヘキサメチルジシラザン及びトリメチルクロロシラン(Hexamethyldisilazane and Trimethylchlorosilane in Anhydrous Pyridine)、東京化成工業株式会社製)を0.3mL(量)加え、トリメチルシリル化を行った。得られた混合物0.34mlにヘキサン1.5mlを加えて希釈し、ガスクロマトグラフィー(GC)用サンプルとした。その後当該GCでエステル組成を分析した。

ガスクロマトグラフィー分析条件
検出器 FID 380℃
カラム DB−1ht(アジレント・テクノロジー(株)製) 5m×320μm×0.10μm
カラム温度 100℃→12.5℃/min→380℃ 5min
流速 7.1mL/min He
注入口 390℃ スプリット比50:1
注入量 1μL
[実施例1]
酵素として、粉末酵素であるリパーゼOF(名糖産業株式会社製:キャンディダ・シリンドラッセ由来)を用いた。原料となるポリグリセリンとしてトリグリセリン(シグマアルドリッチ社製)を準備し、脂肪酸としてステアリン酸(特級ステアリン酸:純正化学株式会社製)を準備した。トリグリセリン1.7gとステアリン酸2.0g(モル比1:1)とをサンプル瓶(20g容量)に入れ、t−ブタノール(特級t−ブチルアルコール:関東化学株式会社製)10ml(7.9g、原料及びアルコール全質量に対し、68質量%)を加えて、常圧下50℃にて30分間溶解させ、原料の混合溶液を得た。得られた混合溶液の水含有量は、混合溶液全体の質量に対し、約1質量%に調節した。
この混合溶液に、リパーゼOFを0.14g添加し(トリグリセリン及びステアリン酸の合計質量に対して3.8質量%添加)、常圧下、サンプル瓶全体を50℃に保温しながらスターラーで攪拌して反応させた。反応44時間後に反応生成物を得た。
反応生成物を上記ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。反応生成物に含まれる残存トリグリセリンは、反応生成物全質量に対して58.0質量%であり、また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリン脂肪酸エステル)の合計質量(収率)は、42.0質量%であった。また、反応生成物に含まれる全トリグリセリン脂肪酸エステルに対するトリグリセリン脂肪酸のモノエステルの含有量は、96.9質量%であり、ジエステルの含有量は3.1質量%、トリエステルの含有量は0質量%(検出限界以下)であった(表1参照)。
[実施例2]
原料となるポリグリセリンとして、トリグリセリンの代わりにジグリセリン(東京化成工業株式会社製)1.2gを用い、脂肪酸としてステアリン酸(特級ステアリン酸:純正化学株式会社製)2.0gを準備した(モル比1:1)以外は、実施例1と同様の方法で反応44時間後に反応生成物を得た(t−ブタノールの存在量は、原料及びアルコール全質量に対し、71質量%)。
反応生成物を上記ガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、反応生成物に含まれる残存ジグリセリンは、反応生成物全質量に対して55.0質量%であり、また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステル(ジグリセリン脂肪酸エステル)の合計質量(収率)は、45.0質量%であった。また、反応生成物に含まれる全ジグリセリン脂肪酸エステルに対するジグリセリン脂肪酸のモノエステルの含有量は、94.9質量%であり、ジエステルの含有量は5.1質量%であり、トリエステルの含有量は0質量%(検出限界以下)であった(表1参照)。
[実施例3]
酵素として、粉末酵素であるリパーゼOF(名糖産業株式会社製:キャンディダ・シリンドラッセ由来)を用いた。原料となるポリグリセリンとしてトリグリセリン(シグマアルドリッチ社製)を準備し、脂肪酸の代わりに脂肪酸アルキルエステルとしてエチルステアレート(特級ステアリン酸:株式会社井上香料製造所製)を準備した。トリグリセリン1.0gとエチルステアレート6.0g(モル比1:4.6)とをサンプル瓶(20g容量)に入れ、t−ブタノール(特級t−ブチルアルコール:関東化学株式会社製)10ml(7.9g、原料及びアルコール全質量に対し、53質量%)を加えて、常圧下50℃にて溶解させ、原料の混合溶液を得た。得られた混合溶液の水含有量は、混合溶液全体の質量に対し、約0.1質量%に調節した。
この混合溶液に、リパーゼOFを0.17g添加し(トリグリセリン及びエチルステアレートの合計質量に対して2.4質量%添加)、常圧下、サンプル瓶全体を50℃に保温しながらスターラーで攪拌して反応させた。反応42時間後に反応生成物を得た。
反応生成物を上記ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。反応生成物に含まれる残存トリグリセリンは、反応生成物全質量に対して91.2質量%であり、また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリン脂肪酸エステル)の合計質量(収率)は、8.8質量%であった。また、反応生成物に含まれる全トリグリセリン脂肪酸エステルに対するトリグリセリン脂肪酸のモノエステルの含有量は、100質量%であり、ジエステルの含有量は0質量%(検出限界以下)、トリエステルの含有量は0質量%(検出限界以下)であった(表1参照)。
[比較例1]
酵素として、固定化酵素であるリパーゼ435(ノボザイムズジャパン株式会社製:キャンディダ・アンタークティカ由来)を用いた。また、エステル化反応前の原料の混合溶液の水含有量は、混合溶液全体の質量に対し、約0.75質量%に調節した。それ以外は、実施例1と同様の方法で反応生成物を得た。
反応生成物を上記ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。反応生成物に含まれる残存トリグリセリンは、反応生成物全質量に対して51.0質量%であり、また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリン脂肪酸エステル)の合計質量(収率)は、49.0質量%であった。また、反応生成物に含まれる全トリグリセリン脂肪酸エステルに対するトリグリセリン脂肪酸のモノエステルの含有量は、75.1質量%であり、ジエステルの含有量は23.3質量%、トリエステルの含有量は1.6質量%(検出限界以下)であった(表1参照)。
[比較例2]
酵素として、粉末酵素であるリパーゼQL(名糖産業株式会社製:アルカリゲネスエスピー由来)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で反応生成物を得た。
反応生成物を上記ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。反応生成物に含まれる残存トリグリセリンは反応生成物全質量に対して56.9質量%であり、また、生成したポリグリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリン脂肪酸エステル)の合計質量(収率)は、43.1質量%であった。また、反応生成物に含まれる全トリグリセリン脂肪酸エステルに対するトリグリセリン脂肪酸のモノエステルの含有量は、79.4質量%であり、ジエステルの含有量は19.3質量%、トリエステルの含有量は1.3質量%(検出限界以下)であった(表1参照)。
表1
Figure 0006401457
OF:リパーゼOF(名糖産業株式会社製:キャンディダ・シリンドラッセ由来)
QL:リパーゼQL(名糖産業株式会社製:アルカリゲネスエスピー由来)
435:リパーゼ435(ノボザイムズジャパン株式会社製:キャンディダ・アンタークティカ由来)

Claims (3)

  1. ジグリセリン及びトリグリセリンから選ばれるポリグリセリンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸エチルエステル(但し、脂肪酸はオレイン酸又はステアリン酸)とを、t−ブタノールの存在下、及びキャンディダ・シリンドラッセ由来のリパーゼの存在下で反応し、反応後に得られるポリグリセリン脂肪酸エステル全体に対するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの量が、85質量%以上であることを特徴とする、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 前記リパーゼが粉末リパーゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記脂肪酸及び/又は脂肪酸エチルエステルがステアリン酸である、請求項1又は2に記載の方法。
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