JP4411815B2 - 脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法に関するものである。詳しくは、本発明は脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を工業的かつ容易に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩は、陰イオン界面活性剤であり、特に、脂肪酸乳酸エステルは、食品や化粧品中に乳化剤として使われている(特開平1−6237号公報、特開平2−25412号公報)。この脂肪酸乳酸エステル塩は、水溶液形体で中性領域のpHにおいて、優れた界面活性能を示す。また、クラフト点が比較的低く、室温以上の温度における保存安定性に優れるという特徴を有する(特開平8−176068号公報)。
【0003】
その製造法としては、長鎖カルボン酸とヒドロキシカルボン酸をアルカリ触媒存在下、直接エステル化する方法(米国特許第2,733,252号明細書)、長鎖カルボン酸の酸クロライドとヒドロキシカルボン酸又はその塩とを反応させる方法(特開平9−208448号公報)、長鎖カルボン酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩とをノニオン又はアニオン性界面活性剤存在下、有機溶媒中でエステル交換させる方法(特開平7−324402号公報)等がある。
【0004】
従来行われてきた直接エステル化法においては、目的とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステルの他に、原料として用いたヒドロキシカルボン酸又はその塩が相当量残存する。また、ヒドロキシカルボン酸はこの反応条件下では、非常に重合しやすく、製品中には重合したヒドロキシカルボン酸や重合ヒドロキシカルボン酸由来の脂肪酸エステルも含まれる。よって、目的とするヒドロキシカルボン酸エステル塩の純度は低くなる。酸クロライド法では、目的とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステルの反応率がある程度向上され、更に抽出によって目的物を精製、高純度化を図っている。しかし、酸クロライド法では、設備の腐食といった問題から、コスト的に工業化は好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また、有機溶媒中におけるエステル交換法が報告されているが、この方法では、系中におけるアルカリ触媒の溶解度が低く、又、溶媒反応においてはアルカリ触媒が原料脂肪酸アルコールエステルの鹸化に消費されることから、触媒として作用する正味の触媒量が少なくなり、結果として、反応速度が遅くなるといった問題点があった。
これらの従来技術の課題に鑑みて、本発明は、脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を高純度で安価に製造することができる工業的な方法を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、特定の条件を満たすヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルをエステル交換反応させることにより、原料であるヒドロキシカルボン酸塩の重合を防いで生産性よく脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を得ることができ、又、溶媒法においては副生する石鹸量を抑えることができることを見出して。本発明を提供するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとを反応させて脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を製造する方法において、前記ヒドロキシカルボン酸塩のカルボキシル基に対するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の当量比mが1<m≦1.5であることを特徴とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法を提供する。ここで、前記mは1.05≦m≦1.5であることが好ましい。また、前記ヒドロキシカルボン酸塩は、ヒドロキシカルボン酸をアルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、または水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物と接触させ、溶媒に溶解させることにより製造する
【0008】
本発明の製造方法では、ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、有機溶媒中または無溶媒下でエステル交換させることができる。また、ヒドロキシカルボン酸塩を脱溶媒乾燥させて顆粒又は粉末にした状態で、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとエステル交換させることもできる。さらに、ヒドロキシカルボン酸塩を、溶液状態で、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとエステル交換させることもできる。
本発明の製造方法では、ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、ノニオン又はアニオン性界面活性剤の存在下でエステル交換させることが好ましい。ノニオン又はアニオン性界面活性剤の使用量は、ヒドロキシカルボン酸塩に対して0.05モル倍以上であることが好ましい。
長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩との反応は、不活性ガス気流下の常圧、又は減圧下で60〜200℃にて反応させることが好ましい。
【0009】
また、本発明の製造方法では、ヒドロキシカルボン酸塩に対して、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを0.1〜5モル倍用いることが好ましい。また、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩とを反応させ、反応混合物から残存する脂肪酸低級アルコールエステル又は、ヒドロキシカルボン酸塩を除去することが好ましい。
本発明の製造方法で用いるヒドロキシカルボン酸塩は、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩またはクエン酸塩であることが好ましく、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルは炭素数8〜22の飽和又は不飽和のカルボン酸の低級アルコールエステルであることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、重合物を含有しないことを特徴とする、上記の製造方法により製造した脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩も提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0012】
本発明に用いるヒドロキシカルボン酸塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩または水酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、ヒドロキシカルボン酸とから得られる混合物である。ヒドロキシカルボン酸塩のカルボキシル基に対するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の当量比mは、1<m≦1.5である。下限は、1.05≦mであることが好ましく、1.1≦mであることがさらに好ましい。上限は、m≦1.3であることが好ましく、m≦1.25であることがさらに好ましい。m≦1ではヒドロキシカルボン酸塩の転化率が不十分になり、1.5<mでは長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとの反応により副生する石鹸の量が多くなる。
【0013】
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。いずれも発酵法又は合成法で製造して得られるが、純度の良いものが望ましい。
【0014】
本発明の製造方法では、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩または水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とヒドロキシカルボン酸とを、上述の当量比となるように直接混合してもよいし、予めm=1のヒドロキシカルボン酸塩とした後、上述の当量比となるように調整してもよい。通常、混合する際は、適当な溶媒に溶解するが、溶媒としては水が好ましい。通常、混合時は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよく、温度も常温〜200℃の範囲でよいが、用いる溶媒によって適宜、選定すればよい。
【0015】
得られたヒドロキシカルボン酸塩は、溶液のまま、一部溶媒を除去した濃縮溶液、または、溶媒を除去して乾燥した固体のいずれの状態でも、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとの反応に供することができる。溶媒を除去して乾燥した固体とする場合は、顆粒または粉末とするのが取扱い易いので好ましい。
【0016】
又、本発明では、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとして、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを用いる。脂肪酸種としては、分岐を有するものであってもよい。これに該当する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。又、低級アルコールとしては、炭素数1〜4の1級アルコールが望ましい。これに該当する低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これら長鎖脂肪酸低級アルコールエステルは、該当する炭素数のものを混合物として用いることも可能である。長鎖脂肪酸低級アルコールエステルはヒドロキシカルボン酸塩に対して0.1〜5モル倍用いる。
【0017】
本発明の製造方法では、ヒドロキシカルボン酸塩を有機溶媒中、又は無溶媒下、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルと反応させる。有機溶媒としては、第3級アミン類、アミド類、又はジアルキルスルホキシドが望ましい。
【0018】
無溶媒反応の場合は、水溶液等適切な溶媒に溶解させた状態で、長鎖脂肪酸低級アルコールエステル中に滴下することも可能であるが、この場合は、反応系内を高温減圧とし、滴下した溶液中の溶媒が瞬時に気化し、系外へ除去されることが望ましい。脱水乾燥させた状態の方が反応系内の水分を低く抑えることにより、副生する石鹸量を少なくすることが可能となる。しかし、ヒドロキシカルボン酸塩の物性によっては、適当な溶媒に溶解させた状態の方が、仕込みが容易といった利点がある。
【0019】
長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩の反応をノニオン又はアニオン性界面活性剤を存在下に行ってもよい。これに該当するノニオン性界面活性剤としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びその有機酸エステル誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル型等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸等が挙げられる。エステル交換反応中に、長鎖脂肪酸低級アルコールエステル由来の脂肪酸石鹸が副生し、界面活性剤の役割を果たすが、上述の界面活性剤を予め反応系内に添加することにより、エステル交換反応の初期速度を速めることが可能となる。界面活性剤として、目的物である脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を用いると、生成物中に他の界面活性剤が不純物として残存することなく、より望ましい。
【0020】
反応温度は、溶媒の有無により異なる。無溶媒下では、ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを均一化する為、120〜200℃が望ましい。有機溶媒中にて反応させる場合は、有機溶媒が、系内を均一化させる役割を果たす為、比較的低温で反応させることが可能となり、望ましくは、60〜120℃である。
【0021】
反応時の圧力は、通常100Torr以下、望ましくは60Torr以下である。副生するメタノールを系外へ留去しながら行うのが望ましい。特に、有機溶媒中の反応の場合は、反応器の上部にコンデンサーを連結し、溶媒と副生するメタノールを分離、溶媒のみ、反応器に還流させるのが望ましい。
【0022】
本発明の製造方法では、予めm=1のヒドロキシカルボン酸塩をアルカリ触媒と接触させ、活性ヒドロキシカルボン酸塩とし、これを長鎖脂肪酸低級アルコールエステルと反応させているため、従来法のごとくm=1のヒドロキシカルボン酸塩とアルカリ触媒を別々に長鎖脂肪酸低級アルコールエステルに添加した場合に比較して、より生産性よく脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を得ることができ、又、溶媒法においては、副生する石鹸量を抑えることが可能となる。
【0023】
本発明の製造方法で、ヒドロキシカルボン酸由来の重合生成物が副生しない。用途によっては、得られた反応混合物から、残存するヒドロキシカルボン酸塩又は、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、有機溶媒反応であれば、溶媒も合わせて除去することにより、目的とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を高純度で得ることができる。
【0024】
反応後は、必要に応じて反応混合物から残存する脂肪酸アルコールエステルを除去する。脂肪酸アルコールエステルの除去方法については、蒸留・抽出いずれの方法でも良い。望ましくは、蒸留であり、更に望ましくは薄膜蒸発器を用いて蒸留除去する。
【0025】
また、反応後は、必要に応じて反応混合物から残存するヒドロキシカルボン酸塩を除去する。除去方法については、抽出が望ましい。以上の反応混合物の精製により、目的とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を80%以上の高純度で得ることも可能となる。なお、本明細書でいう「脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩」とは、ヒドロキシカルボン酸1分子と脂肪酸1分子とのモノエステル体のカルボン酸塩を意味する。ヒドロキシカルボン酸が2分子以上重合した部分を有する化合物は含まれない。
【0026】
このように本発明の製造方法によれば、高純度の脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を効率よく安価に得ることができる。本発明の製造方法により提供される脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩は、陰イオン界面活性剤として幅広く利用される。特に、脂肪酸乳酸エステルは、食品や化粧品中に乳化剤として用いられる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0028】
(実施例1)
乳酸ナトリウム(純度60%)38.5gにKOH2.8gを添加し、180℃、5Torrで脱水した。得られた乳酸ナトリウムを、窒素雰囲気下粉砕乾燥させた。反応容器にラウリン酸メチルエステル176.9gを仕込み、粉砕乾燥した乳酸ナトリウムを150℃で添加した。150℃、60Torrで6時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率69%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを21重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液から薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム75%、ラウリン酸石鹸12%、乳酸ナトリウム13%を得た。
定量分析のため、得られた反応混合物を直接、またはトリメチルシリル化処理し、ガスクロマトグラフィーにより組成分析を行った。分析用カラムとしてSilicone OV−17・Thermon3000を用いた。
【0029】
(比較例1)
反応容器にラウリン酸メチルエステル176.9gを仕込み、150℃で乳酸ナトリウム23.11g、KOH2.8gを添加した。150℃、60Torrで6時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率54%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを17重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液から薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム65%、ラウリン酸石鹸14%、乳酸ナトリウム21%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0030】
(実施例2)
乳酸ナトリウム(純度60%)38.5gにKOH2.8gを添加し、乳酸ナトリウム水溶液を得た。反応容器にラウリン酸メチルエステル176.9gを仕込み、150℃、60Torrで乳酸ナトリウム水溶液を4時間かけて滴下した。150℃、60Torrで6時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率64%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを20重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液から薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム71%、ラウリン酸石鹸14%、乳酸ナトリウム15%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0031】
(実施例3)
反応容器に乳酸ナトリウム(純度60%)38.5gを入れ、KOH2.8gを添加し、180℃、5Torrで脱水した。150℃まで放冷し、ラウリン酸メチルエステル176.9gを仕込み、150℃、60Torrで8.5時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率86%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを27重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液から薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム86%、ラウリン酸石鹸9%、乳酸ナトリウム5%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0032】
(実施例4)
反応容器に乳酸ナトリウム(純度60%)38.5gを入れ、KOH2.8gを添加し、180℃、5Torrで脱水した。150℃まで放冷し、ラウリン酸メチルエステル176.9g、ラウリン酸カリウム5.1gを仕込み、150℃、60Torrで6.5時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率89%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを27重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液から薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム85%、ラウリン酸石鹸11%、乳酸ナトリウム4%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0033】
(実施例5)
乳酸ナトリウム(純度60%)19.27gにKOH1.4gを添加し、180℃、5Torrで脱水した。得られた乳酸ナトリウムを、窒素雰囲気下粉砕乾燥させた。反応容器にジメチルスルホキシド(DMSO)100g、ラウリン酸メチルエステル88.44gを仕込み、粉砕乾燥した乳酸ナトリウムを90℃で添加した。90℃、20Torrで4時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率99%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを15重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液をから、DMSOを抽出除去し、薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム92%、ラウリン酸石鹸8%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0034】
(比較例2)
反応容器にDMSO100g、ラウリン酸メチルエステル88.44gを仕込み、90℃で乳酸ナトリウム11.56g、KOH1.4gを添加した。90℃、20Torrで4時間反応させた。乳酸ナトリウム転化率54%で、ラウリン酸乳酸ナトリウムを8重量%含む反応混合液を取得した。反応混合液をから、DMSOを抽出除去し、薄膜蒸発器を用いて、残存脂肪酸メチルエステルを蒸留除去した。薄膜蒸発器への給液量は120(kg/h)、操作温度150℃、圧力0.01(kPa(abs))とした。ラウリン酸乳酸エステルナトリウム64%、ラウリン酸石鹸15%、乳酸ナトリウム21%を得た。
実施例1と同様に反応混合液の分析を行った。
【0035】
実施例1〜5と比較例1〜2の反応条件と分析結果をまとめて表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004411815
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造方法を用いれば、脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を高純度で安価に製造することができる。脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を80%以上の純度で簡便に製造することができるため、本発明の製造方法は工業化に適している。製造される脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩は界面活性剤として優れており、本発明の製造方法は産業上の有用性が極めて高い。

Claims (14)

  1. ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとを反応させて脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩を製造する方法において、
    前記ヒドロキシカルボン酸塩を、ヒドロキシカルボン酸をアルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、または水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物と接触させ、溶媒に溶解させることにより製造し、
    前記ヒドロキシカルボン酸塩のカルボキシル基に対するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の当量比mが1<m≦1.5であることを特徴とする脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法。
  2. 前記mが1.05≦m≦1.5であることを特徴とする請求項1記載の脂肪酸ヒドロキシカルボン酸エステル塩の製造方法。
  3. ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、有機溶媒中でエステル交換させることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、無溶媒下でエステル交換させることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  5. ヒドロキシカルボン酸塩を脱溶媒乾燥させて顆粒又は粉末にした状態で、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとエステル交換させることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. ヒドロキシカルボン酸塩を、溶液状態で、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとエステル交換させることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  7. ヒドロキシカルボン酸塩と長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを、ノニオン又はアニオン性界面活性剤の存在下でエステル交換させることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. ノニオン又はアニオン性界面活性剤の使用量が、ヒドロキシカルボン酸塩に対して0.05モル倍以上であることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  9. 長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩を60〜200℃で反応させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  10. 長鎖脂肪酸メチルエステルとヒドロキシカルボン酸塩を、不活性ガス気流下常圧、又は減圧下で反応させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  11. ヒドロキシカルボン酸塩に対して、長鎖脂肪酸低級アルコールエステルを0.1〜5モル倍用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 長鎖脂肪酸低級アルコールエステルとヒドロキシカルボン酸塩とを反応させ、反応混合物から残存する脂肪酸低級アルコールエステル又は、ヒドロキシカルボン酸塩を除去することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. ヒドロキシカルボン酸塩が、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩またはクエン酸塩であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 長鎖脂肪酸低級アルコールエステルが炭素数8〜22の飽和又は不飽和のカルボン酸の低級アルコールエステルであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
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