JP3422080B2 - 長鎖カルボン酸乳酸エステルの製造方法 - Google Patents

長鎖カルボン酸乳酸エステルの製造方法

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JP3422080B2 JP17415894A JP17415894A JP3422080B2 JP 3422080 B2 JP3422080 B2 JP 3422080B2 JP 17415894 A JP17415894 A JP 17415894A JP 17415894 A JP17415894 A JP 17415894A JP 3422080 B2 JP3422080 B2 JP 3422080B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は長鎖カルボン酸乳酸エス
テルの製造方法に関するものである。詳しくは本発明は
高純度の長鎖カルボン酸乳酸エステルを工業的に製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は陰イオ
ン性界面活性剤であり、食品、化粧品、洗浄剤などの用
途に有用であることが知られている(特開昭64−62
37、特開平4−23900参照)。長鎖カルボン酸乳
酸エステルの製法としては、長鎖カルボン酸と乳酸とを
アルカリ触媒の存在下に100〜250℃で反応させる
方法(米国特許第2,733,252号)、乳酸又はそ
の塩と長鎖カルボン酸の酸クロライドとを反応させる方
法(米国特許第2,789,992号)、塩基性溶媒中
で乳酸と長鎖カルボン酸の酸クロライドを反応させる方
法(J.Sci.Food Agric.,32,12
5(1981))などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の如き方法により
製造される反応混合物中には、長鎖カルボン酸乳酸エス
テル以外に原料に由来する未反応の長鎖カルボン酸や乳
酸などが存在している。また、乳酸と長鎖カルボン酸
(本明細書においては、前後の文章の関係からして別意
に解することが明らかでない限り、乳酸とは乳酸又はそ
の塩を、長鎖カルボン酸とは長鎖カルボン酸又はその反
応性誘導体を意味するものとする)との反応は無水状態
で行なわれるが、この条件下では乳酸は容易に重合して
ポリ乳酸を形成するので、反応混合物中にはポリ乳酸や
その長鎖カルボン酸エステルも存在している。従来はこ
れらの種々の成分を含む反応混合物が、必要によりアル
カリで中和するだけで、そのまま長鎖カルボン酸乳酸エ
ステル塩として用いられてきた。これは工業的に適用し
得る精製法が知られていなかったことによる。また長鎖
カルボン酸乳酸エステル塩の性質に及ぼすこれらの共存
物の影響が解明されておらず、精製品を用いるようとす
る動機に乏しかったことにもよる。
【0004】しかし、本発明者らの検討によれば、精製
された長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は、中性領域のp
Hで著るしく優れた界面活性能を示し、かつクラフト点
が低いという特徴を有しているので、従来の如く反応混
合物をそのまま用いるよりも精製品を用いた方が、はる
かに好ましいことが明らかである。従って本発明は精製
された長鎖カルボン酸乳酸エステルの製造方法を提供せ
んとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、先ず長
鎖カルボン酸と乳酸との反応混合物に酸水溶液を添加し
て、ポリ乳酸を分解すると共に塩を形成している長鎖カ
ルボン酸乳酸エステルを遊離させる。反応混合物の組成
にもよるが、一般に反応混合物のpHを3.0以下にす
ると長鎖カルボン酸乳酸エステルが油状物となって析出
するので、これを分取する。反応混合物のpHが3.0
よりも大きい場合、及び3.0以下でも油状物が析出し
ない場合には、反応混合物を有機溶媒で抽出して長鎖カ
ルボン酸乳酸エステルを有機溶媒相に抽出する。
【0006】このようにして取得した長鎖カルボン酸乳
酸エステルを含む油状物又は有機溶媒溶液には長鎖カル
ボン酸が相当量含まれている。本発明では、次いで、有
機溶媒を用いた分別晶析により両者を分離し、高度に精
製された長鎖カルボン酸乳酸エステルを結晶として取得
する。本発明について詳細に説明するに、本発明は先ず
長鎖カルボン酸と乳酸とを反応させて、目的物である長
鎖カルボン酸乳酸エステルを生成させる。反応は常法に
より行なうことができる。長鎖カルボン酸としては通
常、炭素数8〜24、好ましくは10〜22のものが用
いられる。長鎖カルボン酸は飽和でも不飽和でもよく、
また直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合に
は、最長鎖の長さが炭素数8以上であるのが好ましい。
また場合によっては、水酸基を有するヒドロキシカルボ
ン酸でもよい。これらの長鎖カルボン酸としては、カプ
リル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレ
イン酸、エルカ酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2
−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキ
シルウンデカン酸、2−オクチルデカン酸、2−デシル
テトラデカン酸、10−ヒドロキシオクタデカン酸、2
−ヒドロキシデカン酸などが挙げられる。なかでもラウ
リン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、オレイン酸などが好ましい。これらの長鎖
カルボン酸は混合物として用いることもできる。しか
し、通常は後述する長鎖カルボン酸乳酸エステルの晶出
操作を円滑に進行させるため、純度が70%以上の長鎖
カルボン酸を用いる(本明細書において長鎖カルボン酸
の純度とは、長鎖カルボン酸中において1種類の脂肪酸
の占める重量%を意味する)。反応に供する長鎖カルボ
ン酸の純度が高いほど晶出が良好に進行するので、純度
が80%以上、特に95%以上の長鎖カルボン酸を用い
るのが好ましい。長鎖カルボン酸はそのままで反応に供
してもよく、また酸クロライドの如き反応性誘導体とし
て反応に供してもよい。
【0007】乳酸は発酵法又は合成法のいずれで製造さ
れたものでもよいが、純度のよい合成法によるもの(D
L体)が好ましい。周知の如く、乳酸水溶液は濃縮する
と乳酸が重合してポリ乳酸を生ずる。しかしポリ乳酸を
含まない稀薄な乳酸水溶液を用いたのでは、無水状態に
あるべき反応系に多量の水が持込まれることになり好ま
しくない。従って通常は若干のポリ乳酸を含む濃度85
%程度の乳酸を用いるのが好ましい。
【0008】乳酸と長鎖カルボン酸との仕込み比率は
1:1(モル比)でもよいが、長鎖カルボン酸の反応率
を高くするため、乳酸を過剰、例えば1:1.2〜3.
0(モル比)に仕込むのが好ましい。反応は溶媒の存在
下でも非存在下でも行なうことができる。溶媒を用いる
場合には、反応原料及び生成物の双方に対して溶解性の
あるピリジン等の塩基性溶媒を用いるのが好ましい。そ
の典型的な一態様では、ピリジン中に乳酸を溶解させて
室温に保持し、これに長鎖カルボン酸の酸クロライドを
滴下して反応させ、滴下が終了したら50〜90℃に昇
温し1〜3時間保持して反応を完結させる。反応混合物
中の長鎖カルボン酸乳酸エステルの含有量は、反応に供
した長鎖カルボン酸と乳酸との比率によっても異なる
が、長鎖カルボン酸乳酸エステル、未反応乳酸および長
鎖カルボン酸の合計量をベースにして30〜70モル%
程度である。
【0009】溶媒を用いない場合には、アルカリ金属の
水酸化物や炭酸塩を触媒として、乳酸と長鎖カルボン酸
とを長鎖カルボン酸の溶融状態で反応させる。その典型
的な一態様では、反応器に原料および触媒を仕込み、減
圧下に副生する水を除去しながら、攪拌して均一な懸濁
状態を維持しつつ100〜250℃で、2〜10時間程
度反応させる。この場合には反応混合物中の長鎖カルボ
ン酸乳酸エステルの含有量は通常5〜50モル%程度で
ある。
【0010】本発明では上記の如くして得られた反応混
合物に酸水溶液を添加する。酸としては通常、塩酸又は
硫酸を用いる。これにより反応混合物中のポリ乳酸が乳
酸に分解する。なお反応に溶媒を用いた場合には、予じ
め溶媒を留去しておいてもよい。酸水溶液の添加量は、
酸水溶液を添加後の反応混合物に占める長鎖カルボン酸
乳酸エステル、長鎖カルボン酸及び乳酸の合計量が3〜
40(重量)%となるようにするのが好ましい。
【0011】反応混合物に酸水溶液を添加した場合の反
応混合物中の長鎖カルボン酸乳酸エステルの挙動はpH
により異なる。反応混合物の組成にもよるが、一般にp
Hが3.0よりも低くなると、長鎖カルボン酸乳酸エス
テルが長鎖カルボン酸や乳酸の一部と共に油状物となっ
て析出してくるので、これを分取する。従って長鎖カル
ボン酸乳酸エステルを油状物として析出させたい場合に
は、反応混合物のpHを1.5〜3.0に低下させる。
pHを低下させ過ぎると長鎖カルボン酸乳酸エステルが
分解するので、必要以上にpHを低下させるのは避ける
べきである。
【0012】反応混合物中の長鎖カルボン酸乳酸エステ
ルを油状物として分取しない場合には、pHを5.0以
下、好ましくは2.0〜4.0に低下させる。このとき
油状物が析出しても、油状物の析出は次の液−液抽出の
障害とならない。pHの低下が不十分であると、反応混
合物の液−液抽出における水相と有機相との分離が悪く
なることがある。酸水溶液を添加して所定のpHとした
反応混合物は、次いで有機溶媒で抽出して、乳酸を水相
に、長鎖カルボン酸乳酸エステルを有機溶媒相に分配す
る。この際、反応混合物中の長鎖カルボン酸は概して有
機溶媒相に分配される。抽出に用いる有機溶媒として
は、水に難溶ないし不溶で、且つ長鎖カルボン酸乳酸エ
ステルに大きな溶解力を示すものであれば、任意のもの
を用いることができる。例えばヘキサン、ヘプタン等の
炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化
炭化水素、イソブチルアルコール等のアルコール、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル
などが挙げられる。これらのなかでは沸点が50℃以上
で取扱いが容易なヘキサン、ヘプタン、イソブチルアル
コール、クロロホルム等が好ましい。特に好ましいのは
ヘキサン又はクロロホルムである。
【0013】液−液抽出は反応混合物を含む水相に対し
て通常0.2〜5容量倍、好ましくは0.3〜2容量倍
の有機溶媒を用いて行なう。抽出温度は通常、室温〜6
0℃、好ましくは40〜60℃である。抽出操作は回分
式又は連続式の各種の液−液抽出装置を用いて、常法に
従って行なうことができる。液−液抽出により得られた
有機溶媒相からは分別晶析により長鎖カルボン酸乳酸エ
ステルを回収する。また長鎖カルボン酸乳酸エステルを
油状物として析出させて取得した場合には、これを有機
溶媒に溶解して、この溶液から分別晶析により長鎖カル
ボン酸乳酸エステルを回収する。なお、油状物中には乳
酸が含まれているので、有機溶媒に溶解する前に水洗し
て乳酸を除去しておくのが好ましい。
【0014】分別晶析に用いる有機溶媒は、前述の抽出
操作に用いる有機溶媒と同じものを用いることができ
る。従って抽出により得た有機溶媒相から長鎖カルボン
酸乳酸エステルを回収する場合には、この有機溶媒相か
ら直接に長鎖カルボン酸乳酸エステルを晶出させてもよ
く、又は有機溶媒相から有機溶媒を留去し、残留物を新
たな有機溶媒に溶解させ、この溶液から長鎖カルボン酸
乳酸エステルを晶出させてもよい。晶出操作に供する有
機溶媒溶液中の長鎖カルボン酸乳酸エステルの濃度は通
常、5〜40(重量)%である。長鎖カルボン酸乳酸エ
ステルの濃度が高過ぎると、晶出操作が困難となり、か
つ得られる結晶の純度が低下する。有機溶媒溶液中の長
鎖カルボン酸乳酸エステルの好ましい濃度は5〜35
(重量)%、特に5〜15(重量)%である。晶出操作
は通常−20〜40℃で行なう。一般に長鎖カルボン酸
の融点が高い場合には比較的高い温度で、融点が低い場
合には比較的低い温度で行なうのが好ましい。
【0015】この晶出操作により取得される長鎖カルボ
ン酸乳酸エステルの純度は通常80〜95モル%程度で
あり、20〜5モル%程度の長鎖カルボン酸が不純物と
して含まれている。この長鎖カルボン酸乳酸エステルを
再び有機溶媒に溶解して溶液とし、再度晶出操作にかけ
ると、純度99%ないしはそれ以上の高純度の長鎖カル
ボン酸乳酸エステルが取得できる。
【0016】本発明方法により得られた長鎖カルボン酸
乳酸エステルは、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水
酸化物や炭酸塩、更にはアンモニア、エタノールアミン
の如きアルカノールアミン、トリブチルアミンの如き低
級アルキルアミンと反応させて塩として、各種の用途に
供される。一般に長鎖カルボン酸乳酸エステルの純度が
75〜80モル%以上であると、これを塩基性物質と反
応させて得られる長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は、中
性のpH領域において著るしく優れた界面活性能を示
す。
【0017】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、長鎖カルボン
酸乳酸エステルとカルボン酸との分析は下記の如くして
行なった。 試料の調製:サンプルをテトラヒドロフラン/水=20
/1(体積)溶液に溶解する。稀硫酸でpH3.0に調
整したのち、9−Anthryl diazometh
an(ADAM)(フナコシ(株)製品)のメタノール
/アセトン=1/1(体積)溶液を加える。室温で1時
間暗所に保存して反応させる。
【0018】定量分析:高速液体クロマトグラフィーで
下記条件で測定 装 置:島津製作所 LC−6A カラム:野村化学 Develosil ODS−5
(4.6mmφ×250mm) カラム温度:35℃ 移動相:アセトニトリル 流 速:2.0ml/min 検出器:蛍光検出器(島津製作所 RF535)Ex.
365mm,Em.412mm. 上記の条件で分析すると、ADAMエステル化物は、長
鎖カルボン酸乳酸エステル、長鎖カルボン酸の順に流出
する。また、クラフト点の測定は、K.Tsujii
et al.,J.Phys.Chem.1980,8
4,pp2287に従い、1重量%水溶液を約0.3℃
/分で昇温させていく際に、水溶液が完全に透明になる
点をもって決定した。
【0019】実施例1 反応容器にピリジン150ml及び乳酸(純度90%)
50gを仕込み、これにステアロイルクロライド50g
を滴下し、水冷下で1.5時間、更に50℃で1時間、
攪拌下に反応させた。反応混合液に4規定塩酸400m
lを添加して中和し、pH3.0とした。この水を含む
反応混合液640gにクロロホルム525mlを加えて
よく振とうしたのち、クロロホルム相と水相とに成層分
離した。クロロホルム相からクロロホルムを蒸発させて
除去し、ステアロイル乳酸エステル90モル%、ステア
リン酸10モル%からなる固体63gを得た。
【0020】これをヘキサン250mlに加え、50℃
に加温して溶解させたのち、室温に一昼夜放置して結晶
を析出させた。濾過して結晶45gを取得した。この結
晶の組成はステアロイル乳酸エステル96モル%、ステ
アリン酸4モル%であった。この結晶をヘキサン180
mlから再結晶すると、白色板状のステアロイル乳酸エ
ステル結晶39gが得られた。このもののステアリン酸
の含有率は1モル%以下であった。このステアロイル乳
酸エステルを水に分散させ、等モルの水酸化カリウムを
作用させてステアロイル乳酸エステルカリウムを得た。
このもののクラフト点は49℃であった。
【0021】実施例2 反応容器に乳酸カリウムの80%水溶液163gとステ
アリン酸284gとを仕込み、50〜100mmHgの
減圧下に200℃で2時間反応させ、反応混合物370
gを得た。この反応混合物20gに1規定塩酸50ml
を加えてpH3.0以下まで中和した。これにクロロホ
ルム45mlを加えて50℃でよく振とうしたのち、ク
ロロホルム相と水相とに成層分離した。クロロホルム相
からクロロホルムを蒸発させて除去し、ステアロイル乳
酸39モル%、ステアリン酸60モル%からなる固体1
4gを得た。これをヘキサン67gに加え加温して溶解
させたのち、室温に一昼夜放置して結晶を析出させた。
濾過して結晶5gを得た。このものの組成は、ステアロ
イル乳酸84モル%、ステアリン酸16%であった。こ
の結晶をヘキサンから再結晶して白色板状のステアロイ
ル乳酸結晶が得られた。このもののステアリン酸の含有
率は1モル%以下であった。このステアロイル乳酸エス
テルを水に分散させ、等モルの水酸化ナトリウムを作用
させて、ステアロイル乳酸エステルナトリウムを得た。
このもののクラフト点は53℃であった。なお、市販の
ステアロイル乳酸エステルナトリウム(未精製品)のク
ラフト点は90℃以上である。
【0022】実施例3 反応容器にピリジン300ml及び乳酸(純度90%)
100gを仕込み、これにパルミトイルクロライド10
0gを滴下し、水冷下に1.5時間、次いで50〜60
℃で1時間反応させた。反応混合液にpHが2.0に達
するまで8規定塩酸を添加したところ白色油状物質が析
出したので反応液から分取した。取得量は138gであ
った。これをヘキサン550mlに溶解し、水400m
lを加えてよく振とうしたのち、水相とヘキサン相とに
成層分離した。ヘキサン相からヘキサンを蒸発させて除
去し、パルミトイル乳酸エステル88モル%、パルミチ
ン酸12モル%の固体88gを得た。これをヘキサン4
00mlに溶解したのち18℃に保持して結晶を析出さ
せた。得られた結晶をヘキサンから再結晶して白色板状
のパルミトイル乳酸エステルを得た。収量は56gで、
パルミチン酸の含有率は1モル%以下であった。このパ
ルミトイル乳酸エステルを水に分散させ、等モルの水酸
化カリウムを作用させて、パルミトイル乳酸エステルカ
リウムを得た。
【0023】実施例4 反応容器にピリジン300ml及び乳酸(純度90%)
100gを仕込み、これにラウロイルクロライド93g
を滴下して、水冷下で1.5時間、次いで50℃で1時
間反応させた。反応生成液に4規定塩酸900mlを加
えて中和し、pH2.0とした。析出した油状物145
gを分取し、これに水とヘキサン430mlを加えてよ
く振とうしたのち、水相とヘキサン相とに成層分離し
た。ヘキサン相を0℃に保持して白色板状結晶70gを
得た。この結晶をヘキサンから同じ条件で再結晶して、
白色板状のラウロイル乳酸エステル結晶63gを得た。
このもののラウリン酸の含有率は1モル%以下であっ
た。この結晶を水−エタノール混合溶媒に分散させ、等
モルの水酸化カリウムを作用させてラウロイル乳酸エス
テルカリウムとした。このもののクラフト点は0℃以下
であった。
【0024】参考例1 実施例1で得られたステアロイル乳酸エステルカリウム
1重量部、ナタネ油30重量部および脱塩水69重量部
からなる混合物40gを、50ml試験管に入れ、20
0回/分で5分間上下振とうして水中油型乳化物を調製
した。これを室温に1ケ月放置したが離水は認められな
かった。なお、比較のため、ステアロイル乳酸エステル
カリウムの代りにステアリン酸カリウムを用いて同様に
して調製した水中油型乳化物は、4時間で離水開始が認
められた。また、ステアリン酸284g、乳酸(純度9
0%)120g、炭酸カリウム41gを窒素気流下20
0℃で4時間反応させて得た反応混合物をそのまま乳化
剤として用いて調製した水中油型乳化物は、30分で離
水開始が認められた。
【0025】参考例2 実施例4で得られたラウロイル乳酸エステルカリウム又
はこれにラウリン酸カリウムを添加したものに乳酸を添
加してpHを6.3又は7.0に調整したものにつき、
起泡力を測定した。測定は、界面活性剤の0.25(重
量)%水溶液10mlを50ml目盛り付き試験管に入
れ、200回/分で1分間上下振とうしたのち30秒静
置後の泡容量を測定することにより行なった。結果を表
−1及び表−2に示す。なお、モル%は、ラウロイル乳
酸エステルカリウム、ラウリン酸カリウム及び乳酸の合
計を100%とした値である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】表−1及び表−2より明らかな如く、ラウ
ロイル乳酸エステルカリウムに対するラウリン酸カリウ
ムの比率が増加すると、起泡力が低下し、かつクラフト
点が上昇する。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば高純度の長鎖カルボン酸
乳酸エステルを容易に取得することができる。このエス
テルから誘導されるエステル塩は、従来の反応混合物を
そのまま用いるものに比し、著しく優れた界面活性能を
示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−155814(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/08 C07C 69/24 C07C 69/533 C07C 69/58 C07C 69/602

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長鎖カルボン酸又はその反応性誘導体と
    乳酸又はその塩とを反応させ、反応混合物をpH5.0
    以下で水性溶媒と有機溶媒とで液−液抽出して、長鎖カ
    ルボン酸乳酸エステルに富む有機溶媒相と乳酸に富む水
    性溶媒相とを生成させて両相を分離し、次いでこの有機
    溶媒相の長鎖カルボン酸乳酸エステルを共存する長鎖カ
    ルボン酸から晶析により分離することを特徴とする長鎖
    カルボン酸乳酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 抽出により得た長鎖カルボン酸乳酸エス
    テルを含む有機溶媒相から、長鎖カルボン酸乳酸エステ
    ルを晶出させることを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 抽出により得た長鎖カルボン酸乳酸エス
    テルを含む有機溶媒相から有機溶媒を除去し、残留物を
    新たな有機溶媒に溶解して溶液とし、この溶液から長鎖
    カルボン酸乳酸エステルを晶出させることを特徴とする
    請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 長鎖カルボン酸又はその反応性誘導体と
    乳酸又はその塩とを反応させ、反応混合物にpHが3.
    0より低くなるまで酸水溶液を添加して長鎖カルボン酸
    乳酸エステルを油状物として析出させ、この油状物を分
    取して有機溶媒に溶解して溶液とし、この溶液から長鎖
    カルボン酸乳酸エステルを晶出させることを特徴とする
    長鎖カルボン酸乳酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 分取した油状物を水洗したのち有機溶媒
    に溶解することを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機溶媒からの晶析を反復することを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 長鎖カルボン酸が炭素数10〜22の飽
    和又は不飽和のカルボン酸であることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 長鎖カルボン酸の純度が70%以上であ
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 長鎖カルボン酸乳酸エステルの濃度が4
    0(重量)%以下の有機溶媒溶液から長鎖カルボン酸乳
    酸エステルを晶出させることを特徴とする請求項1ない
    し8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかの方法に
    より得られた長鎖カルボン酸乳酸エステルに、アルカリ
    金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属
    水酸化物、アンモニア、アルカノールアミン、及び低級
    アルキルアミンから選ばれた少くとも一種の塩基性化合
    物を反応させることを特徴とする長鎖カルボン酸乳酸エ
    ステル塩の製造方法。
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