JPH08176068A - 長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液 - Google Patents

長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液

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JPH08176068A
JPH08176068A JP31664994A JP31664994A JPH08176068A JP H08176068 A JPH08176068 A JP H08176068A JP 31664994 A JP31664994 A JP 31664994A JP 31664994 A JP31664994 A JP 31664994A JP H08176068 A JPH08176068 A JP H08176068A
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Abstract

(57)【要約】 純度80モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エステルを含
有する長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液。 【効果】 長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液は、ク
ラフト点が低く、界面活性能において優れており、また
長期間の保存においても水溶液が均一で透明であり、界
面活性能が低下しないという良好な結果を与え、乳化剤
として極めて優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定な長鎖カルボン酸
乳酸エステル塩水溶液及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は陰イオ
ン性界面活性剤であり、食品や化粧品の乳化剤、洗浄剤
を構成する界面活性剤などの用途に有用であることが知
られている(米国特許第2,733,252号、特開昭
64−6237号公報、特開平4−23900号公報参
照)。長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は他の乳化剤と比
べて水溶液にした際に中性領域のpHで優れた界面活性
能を示すという特徴があり、皮膚への刺激が低いことが
要求される洗顔料用や、パン生地等の穀類粉の焼成食品
用の乳化剤として使用されてきている。
【0003】従来、長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は、
長鎖カルボン酸又は長鎖カルボン酸クロライド等の反応
性誘導体と乳酸又は乳酸塩とを反応させて長鎖カルボン
酸乳酸エステルを生成し、これと塩基性物質とを反応さ
せ、反応混合物をそのまま水溶液等にし、乳化剤等の用
途に供していた。これは、長鎖カルボン酸乳酸エステル
塩の精製法として工業的に適用しうる方法が知られてお
らず、また長鎖カルボン酸乳酸エステル塩に及ぼす共存
物の影響が十分に解明されていなかったため、精製品を
用いようとする動機に乏しかったことによる。
【0004】しかしながら、このような反応混合物の水
溶液は水溶液のクラフト点が上昇するという問題があっ
た。クラフト点は界面活性剤の界面活性能を左右する要
因であり、クラフト点未満の温度では起泡力、乳化力な
どの界面活性能が充分に発揮されないのでクラフト点の
上昇はつまり界面活性能の低下につながっている。さら
にこのような水溶液は室温以上の比較的高温条件におい
て長期間保存された場合に、水溶液の透明性が低下する
ばかりでなく、沈澱が生成して水溶液が不均一状態を呈
するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、クラ
フト点が比較的低く、かつ室温以上の温度における保存
安定性に優れた長鎖カルボン酸乳酸エステル塩の水溶液
及び該長鎖カルボン酸乳酸エステル塩の水溶液の製造方
法を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであり、その要旨は、純度8
0モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩を含有す
る長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液に存する。以
下、本発明につき詳細に説明する。本発明における水溶
液として供される長鎖カルボン酸乳酸エステル塩は長鎖
カルボン酸乳酸エステルと塩基性物質とを反応させて得
られるものであり、長鎖カルボン酸乳酸エステルとして
は、下記に示す長鎖カルボン酸又は長鎖カルボン酸クロ
ライド等の反応性誘導体と乳酸又は乳酸塩とを反応させ
ることにより得られる。長鎖カルボン酸としては、炭素
数8〜24、好ましくは10〜22のものが用いられ
る。長鎖カルボン酸は飽和でも不飽和でもよく、また直
鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合には、最長
鎖の長さが炭素数8以上であるのが好ましい。また場合
によっては水酸基を有するヒドロキシカルボン酸でもよ
い。これらの長鎖カルボン酸としては、カプリル酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エ
ルカ酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオ
クタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキシルウンデ
カン酸、2−オクチルデカン酸、2−デシルテトラデカ
ン酸、10−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキ
シデカン酸等があげられる。なかでもラウリン酸、ステ
アリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
オレイン酸等が好ましい。これらの長鎖カルボン酸は任
意の割合からなる2種以上の混合物として用いることも
できる。しかし、純度80モル%以上の長鎖カルボン酸
乳酸エステルを得るためには純度が70%以上、好まし
くは80%以上、特に好ましくは95%以上の長鎖カル
ボン酸を用いる(本明細書において長鎖カルボン酸の純
度とは、長鎖カルボン酸中において1種類の脂肪酸の占
める重量%を意味する)。長鎖カルボン酸の純度が高い
と、長鎖カルボン酸乳酸エステルの製造行程中の晶析行
程が良好となる。
【0007】乳酸としては、発酵法又は合成法のいずれ
で製造されたものでもよいが、純度のよい合成法による
もの(DL体)が好ましい。周知の如く、乳酸水溶液は
濃縮すると乳酸が重合してポリ乳酸を生ずる。しかしポ
リ乳酸を含まない稀薄な乳酸水溶液を用いたのでは、無
水状態にあるべき反応系に多量の水が持込まれることに
なり好ましくない。従って通常は若干のポリ乳酸を含む
濃度85%程度の乳酸を用いるのが好ましい。
【0008】乳酸と長鎖カルボン酸との仕込み比率は
1:1(モル比)でもよいが、長鎖カルボン酸の反応率
を高くするため、乳酸を過剰、たとえば1:1.2〜
3.0(モル比)に仕込むのが好ましい。反応は溶媒の
存在下でも非存在下でも行なうことができる。溶媒を用
いる場合には、反応原料及び生成物の双方に対して溶解
性のあるピリジン等の塩基性溶媒を用いるのが好まし
い。
【0009】溶媒を用いない場合には、アルカリ金属の
水酸化物や炭酸塩を触媒として、乳酸と長鎖カルボン酸
とを長鎖カルボン酸の溶融状態で反応させる。純度80
モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エステルを得るには、
反応混合物をpH5.0以下で水性溶媒と有機溶媒とで
液液抽出して、長鎖カルボン酸乳酸エステルに富む有機
溶媒相と乳酸に富む水性溶媒相とを生成させて両相を分
離し、次いでこの有機溶媒相の長鎖カルボン酸乳酸エス
テルを共存する長鎖カルボン酸から晶析により分離する
ことにより、あるいは、反応混合物にpHが3.0より
低くなるまで酸水溶液を添加して長鎖カルボン酸乳酸エ
ステルを油状物として析出させ、この油状物を分取して
有機溶媒に溶解して溶液とし、この溶液から長鎖カルボ
ン酸乳酸エステルを晶出させる方法によるのが好まし
い。
【0010】上述の反応混合物のpHを低くするために
酸水溶液を添加する際、酸としては通常、塩酸又は硫酸
を用いる。これにより反応混合物中のポリ乳酸が乳酸に
分解する。なお反応に溶媒を用いた場合には、予じめ溶
媒を留去しておいてもよい。酸水溶液の添加量は、酸水
溶液を添加後の反応混合物に占める長鎖カルボン酸乳酸
エステル、長鎖カルボン酸及び乳酸の合計量が3〜40
(重量)%となるようにするのが好ましい。
【0011】酸水溶液を添加した場合の反応混合物中の
長鎖カルボン酸乳酸エステルの挙動は、反応混合物の組
成にもよるが、一般にpHが3.0よりも低くなると、
長鎖カルボン酸乳酸エステルが長鎖カルボン酸や乳酸の
一部と共に油状物となって析出してくるので、長鎖カル
ボン酸乳酸エステルを油状物として析出させたい場合に
は、反応混合物のpHを1.5〜3.0に低下させる。
pHを低下させ過ぎると長鎖カルボン酸乳酸エステルが
分解するので、必要以上にpHを低下させるのは避ける
べきである。
【0012】長鎖カルボン酸乳酸エステルを有機溶媒で
抽出する場合には、pHを5.0以下、好ましくは2.
0〜4.0に低下させる。このとき油状物が析出して
も、次の液−液抽出の障害とならない。pHの低下が不
十分であると、反応混合物の液−液抽出における水相と
有機相との分離が悪くなることがある。所定のpHとし
た反応混合物は、次いで有機溶媒で抽出して、乳酸を水
相に、長鎖カルボン酸乳酸エステルを有機溶媒相に分配
する。この際、反応混合物中の長鎖カルボン酸は概して
有機溶媒相に分配される。
【0013】抽出に用いる有機溶媒としては、水に難溶
ないし不溶で、且つ長鎖カルボン酸乳酸エステルに大き
な溶解力を示すものであれば、任意のものを用いること
ができる。例えばヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩
化メチル、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、イソ
ブチルアルコール等のアルコール、メチルエチルケトン
等のケトン類、酢酸エチル等のエステルなどが挙げられ
る。これらのなかでは沸点が50℃以上で取扱いが容易
なヘキサン、ヘプタン、イソブチルアルコール、クロロ
ホルム等が好ましい。特に好ましいのはヘキサン又はク
ロロホルムである。
【0014】液−液抽出は反応混合物を含む水相に対し
て通常0.2〜5容量倍、好ましくは0.3〜2容量倍
の有機溶媒を用いて行なう。抽出温度は通常、室温〜6
0℃、好ましくは40〜60℃である。抽出操作は回分
式又は連続式の各種の液−液抽出装置を用いて、常法に
従って行なうことができる。液−液抽出により得られた
有機溶媒相からは分別晶析により長鎖カルボン酸乳酸エ
ステルを回収する。また油状物として析出させた場合に
は、これを有機溶媒に溶解して、この溶液から分別晶析
により長鎖カルボン酸乳酸エステルを回収する。なお、
油状物中には乳酸が含まれているので、有機溶媒に溶解
する前に水洗して乳酸を除去しておくのが好ましい。
【0015】分別晶析に用いる有機溶媒は、前述の抽出
操作に用いる有機溶媒と同じものを用いることができ
る。従って抽出により得た有機溶媒相から直接に長鎖カ
ルボン酸乳酸エステルを晶出させてもよく、又は有機溶
媒相から有機溶媒を留去し、残留物を新たな有機溶媒に
溶解させ晶出させてもよい。晶出操作に供する有機溶媒
溶液中の長鎖カルボン酸乳酸エステルの濃度は通常、5
〜40(重量)%である。長鎖カルボン酸乳酸エステル
の濃度が高過ぎると、晶出操作が困難となり、かつ得ら
れる結晶の純度が低下する。好ましい濃度は5〜35
(重量)%、特に5〜15(重量)%である。晶出操作
は通常−20〜40℃で行なう。一般に長鎖カルボン酸
の融点が高い場合には比較的高い温度で、融点が低い場
合には比較的低い温度で行なうのが好ましい。
【0016】晶出操作により取得される長鎖カルボン酸
乳酸エステルの純度は通常80〜95モル%程度であ
り、20〜5モル%程度の長鎖カルボン酸が不純物とし
て含まれている。この長鎖カルボン酸乳酸エステルを再
度晶出操作にかけると、純度99%ないしはそれ以上の
高純度の長鎖カルボン酸乳酸エステルが取得できる。本
発明は、純度80モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エス
テル塩の水溶液を提供するものであるが、該塩水溶液は
上述した純度80モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エス
テルに水溶液中あるいは、エタノール等のアルコール水
溶液中で塩基性物質をモル比(長鎖カルボン酸乳酸エス
テル/塩基性物質)1/0.9〜1/1.3で加えて、
必要に応じて水を加えることにより得られる。純度80
モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸エステルを用いること
により長鎖カルボン酸乳酸エステル塩の水溶液は中性の
pH領域において著しく優れた界面活性能を示す。塩基
性物質としては、アルカリ金属若しくは、アルカリ土類
金属の水酸化物又は炭酸塩、アンモニア、エタノールア
ミン等のアルカノールアミン、トリブチルアミン等の低
級アルキルアミン等が挙げられる。
【0017】本発明の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水
溶液を食品用に用いる場合は、カルシウムの水酸化物又
は塩を用いるのが好ましく、洗浄剤、化粧品等に用いる
場合は、皮膚刺激の少ないカリウム、ナトリウム、トリ
エタノールアミン塩等を用いるのが好ましい。塩基性物
質は予め水または水溶性アルコールの溶液として添加す
るが、その濃度が極端に濃厚であると、局部的に塩基性
物質過剰の状態を形成するので、塩基性物質濃度が50
重量%以下、好ましくは10重量%以下の水溶液として
用いるのが好ましい。又、長鎖カルボン酸乳酸エステル
も、予め水または水溶性アルコールに分散又は溶解させ
てから塩基性物質と反応させるのが好ましい。
【0018】長鎖カルボン酸乳酸エステルと塩基性物質
とのモル比は等モル〜若干過剰モル、具体的には1/
0.9〜1/1.3、好ましくは1/1〜1/1.2で
あり、モル比をこの範囲に保つことで、経時的な加水分
解の抑制及びクラフト点の上昇の抑制、即ち界面活性能
の低下を抑制することができる。塩基性物質のモル比が
大きいと、長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液のクラ
フト点が上昇し透明性が低下したり石鹸等が沈澱生成の
ために常温で不均一状態を呈す。この原因としては、塩
基性物質の増加によって長鎖カルボン酸乳酸エステルの
加水分解が促進されて長鎖カルボン酸乳酸エステル塩が
減少するので、長鎖カルボン酸塩(石鹸)及び乳酸比率
が増加するためと考えられる。また、塩基性物質のモル
比が小さい場合においても、水溶液のクラフト点は上昇
する。
【0019】これは、長鎖カルボン酸乳酸エステルの加
水分解は低いが塩基性イオンが少ないために界面活性能
が低下しているので、加水分解で生じた長鎖カルボン酸
や乳酸が僅かであってもクラフト点が上昇するばかりで
なく、乳化力、起泡力、洗浄力といった界面活性能が低
下すると考えられる。長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水
溶液の調製直後の加水分解を抑制するためには、先ずモ
ル比を1/0.7よりも塩基性物質の少ない、好ましく
は1/0.6〜1/0.5の範囲で40℃以上に加熱し
反応を行い、次に反応温度を室温まで冷却し、当初の目
的のモル比、例えば1/0.9〜1/1.3となるよう
に残部の塩基性物質を添加し反応させるのがより好まし
い。本発明の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液にお
ける長鎖カルボン酸乳酸エステル塩の濃度は任意である
が、界面活性剤水溶液として取り扱う点から0.01〜
50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に好まし
くは15〜30重量%である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお、長鎖カルボン酸乳
酸エステルと、加水分解によって生じる遊離カルボン酸
の定量は下記の如く高速液体クロマトグラフィーにて行
った。
【0021】調製:サンプルをテトラヒドロフラン/水
=20/1(体積)溶液に溶解する。希硫酸でpH3.
0に調整した後、9−Anthryldiazomet
han(ADAM、フナコシ(株)製品)のメタノール
溶液を加える。室温で1時間暗所に保存して反応させ
る。 定量分析 :高速液体クロマトグラフィーで下記条件で
測定 装置 :島津製作所 LC−6A カラム :野村化学 Develosil ODS−
5(4.6mmφ×250mm) カラム温度:35℃ 移動相 :アセトニトリル 流速 :2.0/ml 検出器 :蛍光検出器(島津製作所 RF535) Ex.365nm、Em.412nm.
【0022】上記分析を行うと、ADAMエステル化物
は、長鎖カルボン酸乳酸エステル、長鎖カルボン酸の順
に流出する。これらを絶体検量線法により定量した。ま
た、加水分解率R(モル%)は以下の式により算出し
た。 R(モル%)={(a−b)/(a−b+c)}×10
0 a:塩水溶液中の遊離カルボン酸量[モル] b:用いた長鎖カルボン酸乳酸エステルに含有されてい
た遊離カルボン酸量(モル) c:塩水溶液中の長鎖カルボン酸乳酸エステル(塩)量
[モル] クラフト点の測定は、K.Tsujii et a
l.,J.Phys.Chem.1980、84、pp
2287に準拠し、1wt%水溶液を約0.3℃/分で
昇温させていく際に、水溶液が完全に透明になる点をも
って決定した。
【0023】[実施例1]ステアロイル乳酸エステル
(純度99モル%以上、融点63℃)に、ステアロイル
乳酸エステルとKOHのモル比が1/0.6になるよう
に1N−KOH水溶液を添加し、60℃にて溶液が均一
状態を呈するまで攪拌した。この水溶液を室温まで放冷
し、室温にて更に1N−KOH水溶液を添加してモル比
が1/1.0となるようにステアロイル乳酸エステルカ
リウム水溶液を調製した。これに水を加えてステアロイ
ル乳酸エステルカリウム塩水溶液の濃度を20重量%と
した。これを40℃にて保存し、加水分解率測定、クラ
フト添測定および常温での水溶液外観評価を経日的に行
った。その結果を表−1に示した。
【0024】[実施例2]並びに[比較例1及び2] ステアロイル乳酸エステルとKOHのモル比を1/1.
2(実施例2)、1/0.8(比較例1)及び1/1.
4(比較例2)とした以外は実施例1と同様に行い、結
果を表−1に示した。
【0025】[比較例3]ステアロイル乳酸エステル
(純度70モル%、不純物としてステアリン酸を30モ
ル%を含む)に、該ステアロイル乳酸エステルとKOH
のモル比が1/0.6になるように1N−KOH水溶液
を添加し、70℃にて攪拌した。この水溶液を室温まで
放冷し、室温にて更に1N−KOH水溶液を添加してモ
ル比が1/1.0となるようにステアロイル乳酸エステ
ルカリウム水溶液を調製した。これに水を加えてステア
ロイル乳酸エステルカリウム塩水溶液の濃度を20重量
%とした。これを40℃にて保存し、実施例1と同様の
評価を行った。結果を表−1に示した。
【0026】[実施例3]ステアロイル乳酸エステル
(純度99モル%以上、融点63℃)に、ステアロイル
乳酸エステルとNaOHのモル比が1/0.6になるよ
うに1N−NaOH水溶液を添加し、60℃にて溶液が
均一状態を呈するまで攪拌した。この水溶液を室温まで
放冷し、室温にて更に1N−NaOH水溶液を添加して
モル比が1/1.0となるようにステアロイル乳酸エス
テルナトリウム水溶液を調製した。これに水を加えてス
テアロイル乳酸エステルナトリウム塩水溶液の濃度を2
0重量%とした。これを40℃にて保存し、加水分解率
測定、クラフト添測定および常温での水溶液外観評価を
経日的に行った。その結果を表−2に示した。
【0027】[実施例4]並びに[比較例4及び5] ステアロイル乳酸エステルとNaOHのモル比を1/
1.2(実施例4)、1/0.8(比較例4)、1/
1.4(比較例5)とした以外は実施例3と同様に行
い、結果を表−2に示した。
【0028】[比較例6]ステアロイル乳酸エステル
(純度70モル%、不純物としてステアリン酸を30モ
ル%を含む)にステアロイル乳酸エステルと塩基性物質
のモル比を1/0.6になるように1N−NaOH水溶
液を添加し、70℃にて攪拌した。この水溶液を室温ま
で放冷し、室温にて更に1N−NaOH水溶液を添加し
てモル比が1/1.0となるようにステアロイル乳酸エ
ステルナトリウム水溶液を調製した。これに水を加えて
ステアロイル乳酸エステルナトリウム塩水溶液の濃度を
20重量%とした。これを40℃にて保存し、実施例1
と同様の評価を行った。結果を表−2に示した。
【0029】[実施例5]ラウロイル乳酸エステル(純
度99モル%以上、融点36℃)に対して、ラウロイル
乳酸エステルとKOHのモル比を1/0.6になるよう
に1N−KOH水溶液を添加し、30℃にて溶液が均一
状態を呈するまで攪拌した。この水溶液を室温まで放冷
し、室温にて更に1N−KOH水溶液を添加してモル比
が1/1.0となるようにラウロイル乳酸エステルカリ
ウム水溶液を調製した。これに水を加えてラウロイル乳
酸エステルカリウム塩水溶液の濃度を20重量%とし
た。これを40℃にて保存し、加水分解率測定、クラフ
ト添測定および常温での水溶液外観評価を経日的に行っ
た。その結果を表−3に示した。
【0030】[実施例6]並びに[比較例7及び8] ステアロイル乳酸エステルとKOHのモル比を1/1.
2(実施例6)、1/0.8(比較例7)、1/1.4
(比較例8)とした以外は実施例5と同様に行い、結果
を表−3に示した。 [比較例9]ラウロイル乳酸エステル(純度70モル
%、不純物としてステアリン酸を30モル%を含む)に
ラウロイル乳酸エステルとKOHのモル比を1/0.6
になるように1N−KOH水溶液を添加し、40℃にて
攪拌した。この水溶液を室温まで放冷し、室温にて更に
1N−KOH水溶液を添加してモル比が1/1.0とな
るようにラウロイル乳酸エステルナトリウム水溶液を調
製した。これに水を加えてラウロイル乳酸エステルナト
リウム塩水溶液の濃度を20重量%とした。これを40
℃にて保存し、実施例1と同様の評価を行った。結果を
表−3に示した。
【0031】
【表1】 表−1 ─────────────────────────────────── 反応比率 保 存 時 間 (乳酸エステルモル数/ 0日 1日 7日 30日 塩基性物質モル数) (直後) ────────────────────────────────── 加水分 比較例1 1/0.8 1.8 3.7 3.9 8.8 解率 実施例1 1/1.0 2.0 3.2 3.6 9.6 /モル% 実施例2 1/1.2 2.0 4.4 12.3 14.6 比較例2 1/1.4 2.9 20.4 30.3 33.7 ────────────────────────────────── クラフト 比較例1 1/0.8 57 90< 90< 90< 点/ 実施例1 1/1.0 49 50 54 55 ℃(1 実施例2 1/1.2 39 47 48 54 重量 比較例2 1/1.4 37 43 54 60 %) 比較例3 1/1.0 54 90< 90< 90< ────────────────────────────────── 外観 比較例1 1/0.8 ○ ○ × × (1重 実施例1 1/1.0 ○ ○ ○ ○ 量%、 実施例2 1/1.2 ○ ○ ○ ○ 25℃) 比較例2 1/1.4 ○ × × × 比較例3 1/1.0 ○ × × × ─────────────────────────────────── ○;均一外観 ×;白色沈殿析出
【0032】
【表2】 表−2 ─────────────────────────────────── 反応比率 保 存 時 間 (乳酸エステルモル数/ 0日 1日 7日 30日 塩基性物質モル数) (直後) ─────────────────────────────────── 加水分 比較例4 1/0.8 1.9 6.2 7.0 8.8 解率 実施例3 1/1.0 2.1 5.7 7.4 9.2 /モル% 実施例4 1/1.2 2.2 16.1 16.2 15.2 比較例5 1/1.4 3.0 28.7 30.1 35.1 ───────────────────────────────────クラフト 比較例4 1/0.8 57 55 60 90< 点/ 実施例3 1/1.0 53 45 50 55 ℃(1 実施例4 1/1.2 39 50 50 56 重量 比較例5 1/1.4 37 54 56 70 %) 比較例6 1/1.0 60 90< 90< 90< ─────────────────────────────────── 外観 比較例4 1/0.8 ○ ○ × × (1重 実施例3 1/1.0 ○ ○ ○ × 量%、 実施例4 1/1.2 ○ ○ ○ ○ 25℃) 比較例5 1/1.4 ○ × × × 比較例6 1/1.0 ○ × × × ─────────────────────────────────── ○;均一外観 ×;白色沈殿析出
【0033】
【表3】 表−3 ─────────────────────────────────── 反応比率 保 存 時 間 (乳酸エステルモル数/ 0日 1日 7日 30日 塩基性物質モル数) (直後) ─────────────────────────────────── 加水分 比較例7 1/0.8 1.8 2.5 4.8 7.5 解率 実施例5 1/1.0 1.7 1.9 3.5 9.5 /モル% 実施例6 1/1.2 2.0 16.0 16.6 18.2 比較例8 1/1.4 2.5 30.3 32.9 35.8 ───────────────────────────────────クラフト 比較例7 1/0.8 19 90< 90< 90< 点/ 実施例5 1/1.0 < 0 < 0 < 0 15 ℃(1 実施例6 1/1.2 < 0 < 0 < 0 < 0 重量 比較例8 1/1.4 < 0 < 0 < 0 20 %) 比較例9 1/1.0 15 90< 90< 90< ─────────────────────────────────── 外観 比較例7 1/0.8 ○ ○ ○ × (1重 実施例5 1/1.0 ○ ○ ○ ○ 量%、 実施例6 1/1.2 ○ ○ ○ ○ 25℃) 比較例8 1/1.4 ○ ○ ○ ○ 比較例9 1/1.0 ○ ○ ○ × ─────────────────────────────────── ○;均一外観 ×;不均一分離
【0034】
【発明の効果】本発明の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩
水溶液は、クラフト点が低く、界面活性能において優れ
ており、また長期間の保存においても水溶液が均一で透
明であり、界面活性能が低下しないという良好な結果を
与え、乳化剤として極めて優れている。また、本発明の
方法に従って製造することにより、クラフト点が低く保
存安定性に優れた長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液
を工業的に適用しうる比較的簡単な操作で得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/675 69/732 Z 9546−4H C11D 1/04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度80モル%以上の長鎖カルボン酸乳
    酸エステル塩を含有する長鎖カルボン酸乳酸エステル塩
    水溶液。
  2. 【請求項2】 長鎖カルボン酸乳酸エステルと塩基性物
    質とのモル比が1/0.9〜1/1.3である請求項1
    記載の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水溶液。
  3. 【請求項3】 長鎖カルボン酸が炭素数8〜24の長鎖
    カルボン酸である請求項1に記載の長鎖カルボン酸乳酸
    エステル塩水溶液。
  4. 【請求項4】 塩基性物質が、アルカリ金属若しくはア
    ルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アルカノールア
    ミン及び低級アルキルアミンの内の1種又は2種以上で
    ある請求項2に記載の長鎖カルボン酸乳酸エステル塩水
    溶液。
  5. 【請求項5】 長鎖カルボン酸乳酸エステル塩の濃度が
    0.01〜50重量%である請求項1に記載のカルボン
    酸乳酸エステル塩水溶液。
  6. 【請求項6】純度80モル%以上の長鎖カルボン酸乳酸
    エステルと塩基性物質とをモル比1/0.7〜1/0.
    5かつ40℃以上で反応し、冷却後、更に塩基性物質を
    添加し反応することを特徴とする長鎖カルボン酸乳酸エ
    ステル塩水溶液の製造方法。
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