JP3823524B2 - 高純度コハク酸モノグリセリドの製造方法および高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリド - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度コハク酸モノグリセリドの製造方法および高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリドに関し、より詳細には、反応により得られたコハク酸モノグリセリドを含む反応混合物から、高純度コハク酸モノグリセリドを効率よく、かつ安定的に取得するための方法、およびこのようにして回収された高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリド(以下、LSMGと略記する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
コハク酸モノグリセリド(以下、SMGと略記する。)はグリセリン脂肪酸エステルの一種であり、モノグリセリドにコハク酸が結合していることから、アルカリの存在下では陰イオン界面活性剤として優れた界面活性能を示す。また、良好な安全性を兼ね備えているので、食品、化粧品、洗浄剤などに用いられている。中でも脂肪酸がラウリン酸のものは高い起泡性、抗菌性を有することから洗浄剤、抗菌剤、化粧品に利用されている。
【0003】
SMGの製造方法としては、コハク酸とモノグリセリドの加熱反応、または無水コハク酸とモノグリセリドの加熱反応などが知られているが、後者の方が反応活性であり、より低温で反応が進行することから一般的に用いられている。このような方法で得られた反応混合物は、未反応のモノグリセリドや反応中に分解したコハク酸を含むことからSMGの純度はあまり高くない。さらに、生成したSMGのカルボキシル基とモノグリセリド、あるいはSMG相互の反応などがおこっており、実際には多種のエステル混合物となっている。
通常は上記反応混合物がそのまま使用されるが、SMGの純度がさほど高くないことから、SMGそのものの機能が十分発現されているとは言い難い。これらの事実から、容易かつ効率的な方法で反応混合物からSMGを高純度化することが望まれていた。
【0004】
しかし、これまでSMGの純度向上を目的とした検討例はほとんどなく、SMGの純度に関する記述として、中性条件下のもとにジエチルエーテルを加えて液液抽出を行う方法が提案されている(特開平4-218597号公報)。ところが、ジエチルエーテルを水相に添加すると、抽出操作時に激しい乳化がおこり、水相と有機相が完全に分離するまで多大な時間を有し、さらに塩析を行っても乳化状態に変化はなく、改善効果が見られないことから好ましい方法とはいえない。従って、従来は純度90重量%以上のSMGを得る方法は提案されてなく、純度の低いSMGを乳化剤として用いるしかなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高純度SMGを効率よくかつ安定に製造する方法の提供、および高純度LSMGの提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高純度SMGの製造方法について鋭意検討した結果、反応混合物を特定の抽剤を用い、しかも、抽出時の水相のpHを特定の範囲に調節して抽出処理することにより、SMGの分解を抑制しながらSMGとそれ以外の化合物の分離を効率よく行うことができること、更に水相を特定の条件下、逆抽出処理することにより、不純物含有量10重量%未満(純度90重量%以上)の高純度SMGを効率よく、安定的に製造することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、無水コハク酸またはコハク酸とモノグリセリドを反応させて得た反応混合物を、▲1▼炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒および水の存在下、水相pH7〜10の条件下で第一の液液抽出を行うことにより、主としてコハク酸、コハク酸モノグリセリドを水相に、一方主として未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを有機溶媒相に抽出し、▲2▼次に第一の液液抽出工程で得られた水相をpH1〜5の条件下、炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を用い第二の液液抽出を行うことにより、水相に含まれるコハク酸モノグリセリドを有機溶媒相に逆抽出することを特徴とするコハク酸モノグリセリドの製造方法に存する。
【0008】
本発明の好ましい実施態様としては、第二の液液抽出で得られたコハク酸モノグリセリドを含む有機溶媒相を、▲3▼水にて洗浄し、濃縮後乾燥することを特徴とする上記のコハク酸モノグリセリドの製造方法が挙げられ、モノグリセリドの脂肪酸がラウリン酸であること、▲1▼工程の抽出に用いる有機溶媒が脂肪族モノカルボン酸エステルであることが好ましく、▲1▼工程および▲2▼工程の抽出に用いる有機溶媒が脂肪族モノカルボン酸エステルであることがより好ましい。更に、▲1▼工程の抽出に用いる有機溶媒が酢酸エチルであることが好ましく、▲1▼工程および▲2▼工程の抽出に用いる有機溶媒が酢酸エチルであることが最も好ましい。
【0009】
本発明の別の実施態様としては、不純物含有量10重量%未満の高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリド;不純物として含有されるコハク酸、ラウリン酸モノグリセリドおよびラウリン酸ジグリセリドの含有量が10重量%未満である高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリドが挙げられる。
更に、本発明の別の実施態様としては、ラウリン酸コハク酸モノグリセリドが乳化剤用である上記の高純度ラウリン酸コハク酸モノグリセリドが挙げられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、精製によって得られるSMGの純度は90%以上であり、しかも高い抽出効率で取得できる。現在一般的に用いられているSMGは、反応混合物をそのまま使用することが多い。これらの機能、すなわち洗浄力、抗菌力、乳化力などがSMGそのものに由来する性質であれば、より純度の高いものを使用することで、さらに高度な機能を発揮することが期待される。また、高純度品を使用することにより、従来よりも使用量を低減させることが可能である。
【0011】
精製工程後のSMGは純度90%以上であるが、例えば精製工程後のLSMGはその他の成分としてコハク酸、ラウリン酸モノグリセリド、ラウリン酸ジグリセリドを含有することがある。この場合、さらに繰り返し精製を行っても良いが、SMGの含有量が90重量%であることから、その機能を十分発揮できる。従って、本組成物をそのまま用いても差し支えない。
【0012】
これらの高純度SMGまたは高純度SMG組成物は界面活性能が優れており、乳化剤としての性質を有していることから、食品、化粧品、医薬品などといった分野に使用することが可能である。さらに、高い起泡性、洗浄力、抗菌性を有することから、特に食器用洗剤、皮膚、毛髪清浄用洗剤、化粧品、除菌剤などに使用することができる。
【0013】
本発明によれば、無水コハク酸またはコハク酸とラウリン酸モノグリセリドを反応させて得た反応混合物からSMGを分離取得するに際し、先ず反応混合物を水に分散し、炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を加え、水相のpHを7〜10に調整し、第一の液液抽出処理を行う。この液液抽出操作でSMGは塩となり、コハク酸と共に水相に、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーは有機溶媒相に抽出される。
【0014】
次いで、第一の液液抽出で取得したSMGを含む水溶液のpHを1〜5に調整し、炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を抽剤として用い、第二の液液抽出処を行い有機溶媒相にSMGを逆抽出する。第二の液液抽出処理で得られたSMGを含む有機溶媒液中のSMG純度は90%以上であり、有機溶媒を除去することにより固形物としてSMGを得ることができる。
【0015】
以下、本発明につき詳細に説明する。無水コハク酸またはコハク酸とモノグリセリドの反応は通常、無溶媒条件下で行われ、反応温度120℃前後では90分程度で完了する。このとき、モノグリセリドが完全に融解してから無水コハク酸またはコハク酸を添加する方が好ましい。また、無水コハク酸またはコハク酸とモノグリセリドの比率は重量比で1/1〜2/1がよく、無水コハク酸またはコハク酸が少ない場合は未反応のモノグリセリドが多量に存在し、無水コハク酸またはコハク酸が多すぎるとモノグリセリドにコハク酸が2分子結合したものや他のエステル化がおこることから好ましくない。生成物の着色、臭気を防止するために、反応器内を炭酸、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで置換してもよい。かくして得られた無水コハク酸またはコハク酸とモノグリセリドとの反応混合物は、SMGの他にコハク酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを有している。本発明はこの反応混合物からSMGを高純度で、しかも高収率で得ようとするものである。
【0016】
本発明では先ず、上記により得られた反応混合物を水に分散し、炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を加え、特定のpH条件下のもとで第一の液液抽出を行う。これにより反応混合物中のコハク酸、SMGは水相に抽出され、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマー等は有機溶媒相に抽出される。反応混合物を水に分散するに際しては、水温を反応混合物の融点以上沸点以下に温度を調整すればよく、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜60℃である。
【0017】
抽出に際しては、水相のpHを7〜10、このましくはpH7〜8に調整することが必要である。反応混合物を水に分散させた時点では、無水コハク酸が反応中に分解して生成したコハク酸の存在により水溶液のpHは5〜6となっている。ここで、水相のpHを7〜10に調整することにより、SMGのカルボキシル基がカルボキシラート基となり、塩が形成されるために水相に抽出されやすくなる。前記pHが低い場合には、カルボキシル基からカルボキシシラート基への十分な変換が行われないために、SMGが効率よく水相に移行しないことがある。また、pHが高すぎる場合には、SMGの加水分解が進行するために好ましくない。
【0018】
水相のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩の水溶液を用いることができるが、濃厚液を添加するとSMGの加水分解がおこる場合があるため、通常は1N程度に希釈したものを滴下してpHを調整することが好ましい。
アルカリ水溶液を添加することによるpHの調整は反応混合物を温水に分散させた後で行ってもよいし、反応混合物に有機溶媒を加え、これを温水に分散した後で行ってもよい。
【0019】
上述の第一の液液抽出の終了後、コハク酸、SMGを含む水溶液と未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマー等を含む有機溶媒溶液とを分別回収する。本発明では該水溶液のpHを酸性に調整し、有機溶媒を加えることにより、第二の液液抽出を行い、水溶液に含まれるSMGを有機溶媒溶液に逆抽出し、コハク酸を除去することにより純度90%以上のSMGを含有する有機溶媒溶液を得る。
【0020】
抽出に際しては、水相のpHを1〜5、好ましくはpH2〜3に調整することが必要である。第一の液液抽出を行った時点では、水相中には主としてコハク酸とSMGが塩の状態で存在するが、pH調整によりSMGのカルボキシラート基がカルボキシル基となり、有機溶媒に溶解し易くなる。pHが低すぎると、SMGの加水分解がおこる可能性があり、またpHが高いとカルボキシラート基とカルボキシル基が混在することになり、抽出が効率よく行われないことがある。
【0021】
この第二の液液抽出において、水溶液のpHを1〜5に調整する際にpH調整剤として用いる酸としては、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸または乳酸、プロピオン酸等の有機酸を用いることができる。酸性条件下でのSMGの加水分解を抑制するために、濃厚溶液の状態で急激に添加することは好ましくなく、通常1〜3N水溶液の状態で添加するのがよい。pH調整に有機酸を使用する場合は、有機溶媒を先に添加すると、有機酸が有機溶媒に溶解する可能性があることから、水相のpHを調整した後に有機溶媒を添加した方がよい。
【0022】
逆抽出を行った有機溶媒溶液には高純度のSMGが含まれるが、微量のコハク酸を含んだり、塩酸などを使用した場合には若干量の塩酸を含む場合があることから、脱塩水を加えて洗浄し、水相に酸成分を移行させることにより分離し、SMGの純度を高めることができる。この操作を行った後で有機溶媒溶液から有機溶媒を留去し、濃縮・乾固そして粉砕することにより、純度90%以上の高度に精製された粉末状の高純度SMGが製造できる。
【0023】
本発明での抽出工程を実施する場合には、コハク酸モノグリセリドの脂肪酸としてはラウリン酸が好ましい。ラウリン酸よりも脂肪酸鎖長が短いものは、抗菌力や洗浄力の効果が弱いことや、匂いが悪いことから実用的ではなく、反対に脂肪酸鎖長が長いものについては、抽出工程時に乳化がおこるために抽出効率が悪くなる。
【0024】
抽出に用いる有機溶媒としては、炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールであり、通常、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n-ブタノール、イソブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどが用いられる。これらの有機溶媒は、1種または2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。反応混合物に対する水の使用量は反応混合物中のSMG1重量部に対して、通常、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。一方、有機溶媒の使用割合は、通常、反応混合物水溶液またはpH調整後の反応混合物水溶液1重量部に対して、0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。第二の液液抽出においては、有機溶媒の使用量を第一の液液抽出水溶液またはpH調整後の第一の液液抽出水溶液1重量部に対して、0.5〜2重量部とするのが好ましい。
【0025】
第一の液液抽出は有機溶媒相に未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマー等を抽出する工程であるため、有機溶媒の選択が重要となる。上記有機溶媒の中でも酢酸エチルを用いると、効率よく抽出が行われるため特に好ましく使用できる。
第二の液液抽出には有機溶媒として炭素数4〜10の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールの何れを用いても良いが、第一の液液抽出で使用したものと同じ有機溶媒であれば経済的であり、工程も簡略化されることから好ましい。中でも、第一の液液抽出で効率よく抽出できる酢酸エチルを第二の液液抽出でも使用することが特に好ましい。
【0026】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて詳述するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、反応混合物および液液抽出により得られた抽出物の分析は下記の如くして行った。
試料の調製:サンプルビンにピリジン、N,O−ビス(トリメチルシリル)−アセトアミド、N−トリメチルシリルイミダゾール、トリメチルクロロシランを各100μlはかりとり攪拌する(溶液1)。試料1.0mgをリアクチバイアルに秤量し、溶液1を100μl加え、良く攪拌する。
ブロックヒーターに入れ、100℃で30分加熱する。ヒーターから取り出し、室温に戻して1μlをGLCに注入する。
【0027】
<分析条件>
装置:島津製作所 GC−9A
カラム:SUS(2000mmx3.0mmφ)
液相 :Dexsil 300GC 3.0wt%
担体 :Chromosorb W(AW−DMCS) #60〜80
キャリヤ:窒素ガス
流速:60ml/min
検出器:FID
検出器温度:300℃
注入口温度:350℃
カラム温度:150〜350℃(昇温)
昇温速度:+10℃/分
【0028】
上記の条件で分析すると、コハク酸、ラウリン酸モノグリセリド、LSMG、ラウリン酸ジグリセリド、その他オリゴマーの順に検出される。
なお、液液抽出後のGLC分析により、主としてラウリン酸モノグリセリド、LSMG、ラウリン酸ジグリセリドが検出されたため、これら各成分のガスクロマトグラムのピーク面積比(ラウリン酸モノグリセリド+LSMG+ラウリン酸ジグリセリド=100%)を比較することにより、LSMGの抽出の程度を判断した。また、LSMGの純度はガスクロマトグラムのピーク面積比から算出した。
【0029】
実施例1
LSMGの合成
反応器に攪拌棒および還流管を取り付け、ラウリン酸モノグリセリド(ポエムM−300 理研ビタミン製)59.5重量部を入れ、攪拌しながらオイルバスにより徐々に温度を上昇させた。ラウリン酸モノグリセリドが溶解し始めた時に、無水コハク酸40.5重量部を投入し、120℃で90分間反応させた。反応混合物を室温まで冷却し、GLCにより分析した結果、LSMGの純度は79%であった(GLCクロマトグラムを図1に示す)。この反応混合物を抽出に用いた。
【0030】
第一の液液抽出
反応混合物13重量部を脱塩水43.5重量部に溶解し、1N水酸化カリウム水溶液でpHを7に調製した。これに酢酸エチル43.5重量部を加え振とう後、放置すると酢酸エチル相と水相に分離した。水相を分液し、第二の抽出に用いた。
第二の液液抽出
第一の抽出で得られた水相に3N塩酸を加え、水溶液のpHを2に調整した。この時点で油状物が分離してきたので、この水溶液1重量部に対して0.77重量部の酢酸エチルを加え、振とうすることで逆抽出を行い、酢酸エチル相と水相の2相を得た後、酢酸エチル相を分液した。この酢酸エチル相1重量部に対して脱塩水0.5重量部を加えて洗浄後、酢酸エチルを減圧留去し、さらに減圧乾燥することにより、白色粉末を得た。
液液抽出により精製された上記白色粉末についてGLC分析を行ったところ、ラウリン酸モノグリセリド1.3%、LSMG97.9%、ラウリン酸ジグリセリド0.8%であった(GLCクロマトグラムを図2に示す)。
【0031】
実施例2
第一の抽出に用いる有機溶媒をメチルエチルケトンに変更した以外は実施例1と同様な条件下で液液抽出を行い、得られた白色粉末についてGLC分析を行ったところ、ラウリン酸モノグリセリド1.6%、LSMG96.8%、ラウリン酸ジグリセリド1.6%であった。
実施例3
第一の抽出に用いる有機溶媒をイソブタノールに変更した以外は実施例1と同様な条件下で液液抽出を行い、得られた白色粉末についてGLC分析を行ったところ、ラウリン酸モノグリセリド1.3%、LSMG96.9%、ラウリン酸ジグリセリド1.8%であった。
【0032】
実施例4
第一の抽出に用いる有機溶媒を1−ブタノールに変更した以外は実施例1と同様な条件下で液液抽出を行い、得られた白色粉末についてGLC分析を行ったところ、ラウリン酸モノグリセリド1.5%、LSMG96.6%、ラウリン酸ジグリセリド1.9%であった。
比較例1
第一の抽出に用いる有機溶媒をジエチルエーテルに変更し、実施例1と同様に液液抽出を行ったが、振とう時に激しく乳化し、2相に分離するのに24時間程度を要したが、完全には分離せずに乳化相が存在していた。また、塩化ナトリウム飽和水溶液を加えても改善効果は見られなかった。
【0033】
比較例2
第一の抽出に用いる有機溶媒をn−ヘキサンに変更し、実施例1と同様に液液抽出を行ったが、比較例1の場合よりも振とう時の乳化が激しく、2相に分離しなかった。また、塩化ナトリウム飽和水溶液を加えても改善効果は見られなかった。
比較例3
第一の抽出に用いる有機溶媒をクロロホルムに変更し、実施例1と同様に液液抽出を行ったが、比較例1の場合と同様に振とう時に激しく乳化し、完全に2相には分離しなかった。また、塩化ナトリウム飽和水溶液を加えても改善効果は見られなかった。
比較例4
第一の抽出に用いる有機溶媒をトルエンに変更し、実施例1と同様に液液抽出を行ったが、比較例1の場合と同様に振とう時に激しく乳化し、完全に2相には分離しなかった。また、塩化ナトリウム飽和水溶液を加えても改善効果は見られなかった。
【0034】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】酢酸エチルによる液液抽出前の反応混合物のGLCクロマトグラムである。
【図2】酢酸エチルによる液液抽出物のGLCクロマトグラムである。
Claims (10)
- 無水コハク酸またはコハク酸とモノグリセリドを反応させて得た反応混合物を、1)炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒及び水の存在下、水相pH7〜10の条件下で第一の液液抽出を行うことにより、主としてコハク酸、コハク酸モノグリセリドを水相に、一方主として未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを有機溶媒相に抽出し、2)次に第一の液液抽出工程で得られた水相をpH1〜5の条件下、炭素数4以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を用い第二の液液抽出を行うことにより、水相に含まれるコハク酸モノグリセリドを有機溶媒相に逆抽出することを特徴とするコハク酸モノグリセリドの製造方法。
- 第二の液液抽出で得られたコハク酸モノグリセリドを含む有機溶媒相を、3)水にて洗浄し、濃縮後乾燥することを特徴とする請求項1記載のコハク酸モノグリセリドの製造方法。
- モノグリセリドの脂肪酸がラウリン酸である請求項1または2に記載の製造方法。
- 1)の工程及び2)の工程の抽出を、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール及びシクロヘキサノールよりなる群から選ばれた有機溶媒を用いて行う請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 1)工程の抽出に用いる有機溶媒が脂肪族モノカルボン酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 1)工程及び2)工程の抽出に用いる有機溶媒が脂肪族モノカルボン酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 1)工程の抽出に用いる有機溶媒が酢酸エチルである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 1)工程及び2)工程の抽出に用いる有機溶媒が酢酸エチルである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 1)工程を水相のpH7〜8の条件下で行う請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 2)工程を水相のpH2〜3の条件下で行う請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
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