JPH09188690A

JPH09188690A - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法

Info

Publication number: JPH09188690A
Application number: JP8000676A
Authority: JP
Inventors: Yukio Kasori; 行雄加曽利; Toshiki Takayanagi; 敏紀高柳
Original assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Current assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Priority date: 1996-01-08
Filing date: 1996-01-08
Publication date: 1997-07-22

Abstract

(57)【要約】【課題】ショ糖と脂肪酸エステルとを、粉末状炭酸カ
リウム触媒を用いて、エステル交換反応させることによ
り極めて短時間に高収率でショ糖脂肪酸エステルを得る
製造方法を提供する。【解決手段】比表面積が０．３ｍ²／ｇ以上の粉末状
炭酸カリウムを用い、ショ糖と脂肪酸エステルとをエス
テル交換反応させることを特徴とするショ糖脂肪酸エス
テルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はショ糖脂肪酸エステ
ル（以下ＳＥと記載）の製造法に関するものである。更
に詳しくは、短時間に高収率でＳＥを合成する工業的に
有利な方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＳＥは安全性の優れた食品添加物であ
り、乳化剤として各種食品に広く使用されている。ま
た、近年化粧品や工業製品等の非食品分野にも応用範囲
が広まっている。ＳＥは、通常、ショ糖と脂肪酸メチル
エステルとのエステル交換反応によって合成される。

【０００３】この反応には、例えばジメチルスルフォキ
シド（以下ＤＭＳＯと記載）等の両原料を溶解する適当
な有機溶媒を用いて反応させる方法、脂肪酸石鹸存在下
でショ糖と脂肪酸メチルエステルとを反応させる、いわ
ゆる無溶媒法、あるいは脂肪酸石鹸とプロピレングリコ
ールとを媒介とし、両原料を透明な均一系に変成して反
応を行う、いわゆるミクロエマルジョン化法等が知られ
ている。これらの反応は、いずれも炭酸カリウム等のア
ルカリ触媒を用いて行うが、目的とするＳＥを得るため
には反応に長時間を要し、工業的な生産性が悪かった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実状に鑑
み、ＳＥ合成の反応時間を短縮する方法について検討し
た結果、粉末状炭酸カリウムの物性が反応速度に大きく
影響することを見いだし、この知見に基づき更に検討し
た結果、特定の物性を有するものが極めて高い触媒活性
を示すことを見いだし、本発明を完成した。

【０００５】

【発明の課題を解決するための手段】即ち、本発明の要
旨は、ショ糖と脂肪酸エステルとを粉末状炭酸カリウム
触媒を用いてエステル交換反応させることによりショ糖
脂肪酸エステルを製造するにあたり、粉末状炭酸カリウ
ムとして比表面積が０．３ｍ²／ｇ以上のものを用いる
ことを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造方法に存
する。本発明によれば、数多く市販されている種々の炭
酸カリウムの中から特定の比表面積を有するものを選定
し、これを触媒として使用することにより、極めて短時
間に高収率でＳＥを得ることができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。ショ糖の種類には特に制限はないが、通常グラニュ
ー糖、上白糖等が使用される。脂肪酸エステルとして
は、特に制限はないが、通常炭素数８〜２２の飽和又は
不飽和脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベ
ヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の低級
アルキルエステル、特にメチルエステルが用いられ、２
種以上の混合物として用いてもよい。

【０００７】これらの脂肪酸エステルは、ショ糖１モル
に対して通常０．００５から１０モル、好ましくは０．
０１〜５モル使用する。本発明では反応系に有機溶媒を
存在させる方法、又は、実質的に無溶媒で反応を行う方
法のいずれの方法でもよいが、有機溶媒を用いる方法に
適用した方が好ましい。

【０００８】この際の反応溶媒としては、例えばＤＭＳ
Ｏ、ジメチルホルムアミド等のショ糖と脂肪酸エステル
とを溶解するものが挙げられ、熱安定性や安全性の点か
らＤＭＳＯが好ましい。また、反応溶媒の使用量として
は、通常、ショ糖と脂肪酸エステルとの合計量の１〜５
倍量（重量）である。本発明では触媒として特定物性を
有する粉末状炭酸カリウムを用いることが必要である。

【０００９】本発明で用いる粉末状炭酸カリウムは、比
表面積が０．３ｍ²／ｇ以上、好ましくは０．５〜５ｍ
²／ｇ（窒素ガス吸着法による）のものである。この比
表面積が小さい場合にはエステル交換の反応速度が向上
せず、反応に長時間を要するので好ましくない。また、
粉末状炭酸カリウムの平均粒径が通常５０〜３５０μ
ｍ、好ましくは１５０〜２５０μｍのものが好ましい。
更にこの場合、５００μｍ以上の含有割合が２０％以下
で、しかも７４μｍ以下の含有割合が２０％以下のもの
を用いることが望ましい。

【００１０】炭酸カリウムの使用量は、脂肪酸エステル
１モルに対して通常０．００５〜１モル、好ましくは
０．０１〜０．０５モルである。添加方法は、反応初期
に一括して投与しても、あるいは反応中に分割投与して
もよい。粉末のまま添加しても、あるいは、ＤＭＳＯ等
の溶媒と混合してスラリー状で添加してもよい。

【００１１】本発明のショ糖と脂肪酸エステルとのエス
テル交換反応は公知法に準じて実施することができる
が、溶媒を用いる方法を例にとり以下に簡単に説明す
る。反応方法は、還流冷却器を備えた反応器又は必要に
応じて分留塔を備えた反応器を使用し、所定量の原料、
溶媒、及び触媒を仕込み、減圧下所定の温度に加熱し、
反応系を沸騰状態に保ちながら行われる。反応溶媒は還
流冷却器により系内に還流され、副生するアルコールは
反応系外に流出させる。

【００１２】反応温度は特に制限はないが、通常４０〜
１３０℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度
が小さくなり、また、高すぎるとショ糖の変質が起こり
やすくなる。エステル交換反応の時間は通常２０〜８０
時間である。エステル交換反応後の混合物から、常法に
従って抽出等の方法により目的とするＳＥを回収するこ
とができる。次に本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り実施例の記述
に限定されるものではない。

【００１３】実施例１〜３及び比較例１〜４加熱ジャケット、攪拌器、温度計、及び還流冷却器（６
０℃に調製された温水を循環させたもの）を備えた攪拌
型反応器に、ショ糖１５５．６ｇ、ステアリン酸メチル
エステル２１２．３ｇ、ＤＭＳＯ５２５．５ｇを仕込
み、９０℃に昇温した後、表−１に示す炭酸カリウム粉
末３．０ｇを加えた。次いで反応系内を２３ｍｍＨｇの
圧力に調整し、７００ｒｐｍで攪拌下、液温９０℃で沸
騰させた。反応で副生するメタノールは系外に留去し、
ＤＭＳＯは還流冷却器で凝縮、還流させた。

【００１４】一定時間毎に反応液をサンプリングし、ガ
スクロマトグラフィーで未反応の脂肪酸メチルエステル
量を測定した。測定値からメチルエステルの反応率を計
算し、反応率９９％到達時間を求めた。実験方法は、使
用する炭酸カリウムの種類が異なる他は、各実施例、比
較例共全く同一方法である。これらの結果から、実施例
１〜３で用いた炭酸カリウム粉末が、比較例１〜４の炭
酸カリウム粉末に比べて著しく反応速度が早いことが明
らかである。

【００１５】

【表１】

【００１６】＊１比表面積測定法大倉理研社製自動粉体表面積測定装置を用いて、試料を
１２０℃で、６０分脱気後測定した。＊２平均粒径測定法直径２００ｍｍ、高さ４５ｍｍで、目開きが８４０μ
ｍ、５００μｍ、３５０μｍ、２５０μｍ、１７７μ
ｍ、１４９μｍ、１０５μｍ、８８μｍ、７４μｍ、６
３μｍ、５３μｍ、及び４４μｍの篩いを用いて、試料
１００ｇを大気中で１０分間ロータップシェーカーで篩
った。各篩に残った試料の割合と目開きとの積から平均
粒径を求めた。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、特定の比表面積の粉末
炭酸カリウムを選定し、これを触媒として用いることに
より、極めて短時間に高収率でＳＥを製造することがで
きる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ショ糖と脂肪酸エステルとを粉末状炭酸
カリウム触媒を用いてエステル交換反応させることによ
りショ糖脂肪酸エステルを製造するにあたり、粉末状炭
酸カリウムとして比表面積が０．３ｍ²／ｇ以上のもの
を用いることを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造
方法。
【請求項２】粉末状炭酸カリウムの平均粒径が５０〜
３５０μｍであり、５００μｍ以上の含有割合が２０％
以下で、しかも７４μｍ以下の含有割合が２０％以下で
あることを特徴とする請求項１の製造方法。
【請求項３】エステル交換反応時に有機溶媒を用いる
ことを特徴とする請求項１の製造方法。