JPH0638774A - イタコン酸の製造法 - Google Patents

イタコン酸の製造法

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JPH0638774A
JPH0638774A JP19690692A JP19690692A JPH0638774A JP H0638774 A JPH0638774 A JP H0638774A JP 19690692 A JP19690692 A JP 19690692A JP 19690692 A JP19690692 A JP 19690692A JP H0638774 A JPH0638774 A JP H0638774A
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JP
Japan
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itaconic acid
culture
aspergillus terreus
temperature resistant
resistant strain
Prior art date
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Pending
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JP19690692A
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English (en)
Inventor
Masao Kariya
雅雄 刈屋
Hideetsu Fujiwara
秀悦 藤原
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アスペルギルス テレウスに属し、イタコン
酸生産能を有し、40℃での最大比増殖速度(μ)が
0.01h-1以上であり、かつ40℃以上でも生育可能
な高温耐性株を培養し、該培地中にイタコン酸を生成、
蓄積せしめるイタコン酸の製造法。 【効果】 高温で、菌体を培養し、かつイタコン酸の生
成、蓄積を行うことが可能であるため、ユーティリティ
コストの低減、雑菌汚染による危険性の減少、ひいては
イタコン酸生産性の著しい向上が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイタコン酸の製造法に関
し、更に詳しくはイタコン酸生産菌の高温耐性株を培養
することにより工業用途原料として有用なイタコン酸を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イタコン酸は微生物が産生する化成品
で、ラテックス、水溶性塗料、油溶性ペイント、印刷イ
ンキなどの化学工業用途の原料として使用されている。
イタコン酸を産生する微生物としてはアスペルギルス属
などのカビ以外に、甘藷紫紋羽病菌(Helicoba
cidium mompa)やウスティラゴ属(Ust
ilago zeae)などの不完全菌(特開平3−3
5785号公報)、キャンデイダ属(Candida
sp,特公昭61−30553号公報)やロドトルラ属
Rhodotorula sp,特公昭59−530
35号公報)などの酵母類が知られているが工業的に
は、アスペルギルス テレウス(Aspergillu
terreus)やアスペルギルス イタコニクス
Aspergillus itaconicus)に
よる発酵生産が行われている。その製造法は特公昭51
−28711号公報、特公昭52−31431号公報、
特公昭56−50958号公報、特公昭60−1203
7号公報、特公平3−22149号公報、特開昭48−
56890号公報、特開昭48−92584号公報、特
開昭49−71192号公報などに報告されている。
【0003】これらの方法によれば、ブドウ糖やショ糖
を主原料に硝酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、コー
ンスティープリカーなどからなる培地に菌を植え、25
〜30℃で好気的に3〜4日培養し、菌体を除去し濾液
を濃縮して結晶を析出させ、更に再結晶して製品を得
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような培
養条件は、発酵生産においてごく一般的であるが微生物
の最も生育しやすい条件でもあるため、常に雑菌による
汚染の危険性を伴っていた。更に、発酵熱による温度上
昇を防ぐため冷却水が多量に使われるが、特に夏場にお
いては培養温度と水温との差がほとんど無いため、特に
多量の冷却水が必要となる。
【0005】そこで、微生物の高温(微生物が一般に生
育しにくい)での培養が可能となれば、冷却水の使用量
を低減し、雑菌汚染による危険性を減少させ、更に無蒸
煮培地での発酵生産を可能とし、ひいてはイタコン酸の
生産性を高めることが期待される。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討した結果、アスペルギルス テレウス
に属するイタコン酸生産菌を突然変異処理することによ
り得られる高温耐性株を培養すればイタコン酸を効率的
に製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明はアスペルギルス テレ
ウスに属し、イタコン酸生産能を有し、40℃での最大
比増殖速度(μ)が0.01h-1以上であり、かつ40
℃以上でも生育可能な高温耐性株(以下、高温耐性株と
いう)を培養し、該培地中にイタコン酸を生成、蓄積せ
しめることを特徴とするイタコン酸の製造法を提供する
ものである。
【0008】また、本発明は上記高温耐性株を提供する
ものである。
【0009】本発明に使用される高温耐性株は、上記性
質を有する限り、自然界から採取したものでもよいが、
アスペルギルス テレウスに属し、イタコン酸生産能を
有する菌に突然変異処理を施し、高温で生育可能な菌株
を選択することにより得られたものが好ましい。
【0010】突然変異処理に使用される親株としては、
アスペルギルス テレウスIFO6365、IFO63
66、IFO7078等が挙げられる。
【0011】アスペルギルス テレウスを突然変異処理
する方法としては、突然変異誘起作用を有するものとし
て知られる物理的、化学的な方法を適宜使用できる。物
理的方法の具体例としては、紫外線照射法、放射線照射
法等が挙げられ、化学的方法の具体例としてはエチルメ
タンスルホネート(EMS)、N−メチル−N−ニトロ
−N−ニトロソグアニジン(NTG)、アクリジン色素
等を使用する方法が挙げられる。
【0012】上記アスペルギルス テレウスに突然変異
処理を施すことによるその亜菌株である高温耐性株の作
製例を以下に示す。
【0013】(1)変異処理 親株(アスペルギルス テレウスIFO6365)を表
1に示す組成を有する寒天培地で30℃、10日間培養
して得た胞子について以下に示す変異処理を施す。
【0014】(NTG 変異処理)寒天に滅菌水5mlを
添加し、よく胞子を掻き取った後この胞子懸濁液をガー
ゼで包んだ綿の層を通過させ、胞子片を除いた液を遠心
分離して胞子のみを集める。これをトリス−マレート緩
衝液に懸濁し、ニトロソグアニジン(NTG)を1mg/
lとなるように添加した後、胞子懸濁液を150分間、
30℃で振とうする。次いで、遠心分離した胞子に5ml
殺菌水を加えて、再び遠心分離を行う。この操作を2回
行い胞子を完全に洗浄した後、表1に示す組成を有する
シャーレ中の寒天培地に塗布して40℃、3日間培養を
行う。生育してきたコロニーを釣り菌して30℃で10
日間寒天で培養する。
【0015】(紫外線変異処理)前記NTG変異処理の
時と同様に調製した胞子懸濁液を、生理食塩水で胞子濃
度が3〜4×106 個/mlとなるように希釈する。この
希釈液15mlを9cmのシャーレに入れて時々、白金耳で
攪拌しながら紫外線を下記条件で照射する(予備試験で
の生存率は20%)。
【0016】 照射源 :30W紫外線ランプ(2537Å)。 距離 :50cm。 照射時間:2分。
【0017】紫外線照射処理を終えた液のうち0.6ml
を採取し、表1に示す組成を有するシャーレ中の寒天培
地に塗布して40℃、3日間培養する。生育してきたコ
ロニーを、表1に示す組成を有する寒天培地に釣り菌し
て30℃で10日間培養する。
【0018】(2)高温耐性株の選別方法 上記の方法で変異処理したそれぞれの菌株を、表1に示
す生産培地100mlを含む300mlの三角フラスコに接
種して、ロータリーシェイカーで40℃、7日間振とう
培養し、その遠心上澄についてイタコン酸の定量を行
う。イタコン酸の定量は、例えば「実験化学講座」(日
本化学会編、丸善、1959年刊)25巻、25頁に記
載されている方法に従う。
【0019】
【表1】
【0020】それぞれの変異処理後、分離した約300
0個のコロニーについて上記方法でスクリーニングを行
い、40℃以上の温度でも生育可能な菌株からイタコン
酸を生産する優良菌株をNTG変異処理したものの中か
ら分離し、これをアスペルギルス テレウス(Aspe
rgillus terreus)KO3152と命名
し、微工研菌寄第12966号(FERM P−129
66)として工業技術院微生物工業技術研究所に寄託し
た。
【0021】この高温耐性株は40℃以上でも生育し、
グルコースを炭素源として培養した場合、その40℃で
の最大比増殖速度(μ)が0.01h-1以上であった。
【0022】本発明のイタコン酸製造法に使用される培
地は通常の微生物培養に用いられるものが適宜使用でき
るが、炭素源としてはブドウ糖、フラクトース、蔗糖、
乳糖、デンプン水解物、廃糖蜜などの糖やソルビトー
ル、マンニトールなどの糖アルコールが挙げられ、窒素
源としては硝酸カリウム(又はナトリウム)などの硝酸
塩、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アン
モニウムなどのアンモニウム塩、尿素などが挙げられ
る。以上の各種窒素源は単独で使用してもよく、また2
種以上を併用することもできる。
【0023】有機栄養源としては、酵母エキス、コーン
スティープリカー、米ぬかなどが使用される。その他に
リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機栄
養源も加えられる。
【0024】培地pHは、培養の進行によるイタコン酸の
生成、蓄積とともに2程度にまで低下するが、特に中和
剤などを用いて制御する必要はない。
【0025】培養温度は、本発明においては重要な因子
であり、好ましくは37〜45℃、特に好ましくは39
〜41℃の範囲が選択される。
【0026】培養時の溶存酸素濃度も本発明の培養が好
気的条件下で行われることから重要な因子である。該溶
存酸素濃度は好ましくは2飽和%以上であることを要
し、5飽和%以上であることが好ましい。
【0027】培養方法としては、通常使用される通気攪
拌法、エアーリフト法、回分法、半回分法、連続培養法
などのいずれもが、本発明に適用できる。
【0028】培地中には、必要に応じて、消泡剤、界面
活性剤などを添加してもよい。
【0029】培養後における培養液からのイタコン酸の
分離は、微生物の培養によって生産される有機酸類をそ
の培養物から分離するのに用いられる手段を適宜組合わ
せることにより行われる。例えば遠心分離、濾過などに
よる菌体の分離、上澄の濃縮、カラムクロマトグラフィ
ー、活性炭処理、濾過、再結晶などの操作を行うことに
より分離、精製される。
【0030】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】実施例1 表2に示す組成を有する種菌培地100mlを入れた30
0ml三角フラスコにアスペルギルス テレウスKO31
52株をスラントから一白金耳接種し30℃で2日間前
培養したものを種菌液とした。次に表2に示す組成を有
する生産培地300mlを入れた1リットル(l)三角フ
ラスコをオートクレーブ後(120℃/15分)種菌液
2mlを添加し、培養温度30℃、40℃でそれぞれロー
タリーシェーカーにて(220rpm )振とう培養した。
なお、溶存酸素濃度は、培養前が30飽和%であり、培
養後が8飽和%であった。
【0032】
【表2】
【0033】図1に結果を示すように、30℃での培養
では、培養8日後の培地中に40g/lのイタコン酸が
生成、蓄積され、一方40℃での培養では、同様に培養
8日後に55g/lのイタコン酸が生成、蓄積された。
【0034】比較例1 実施例1で使用したKO3152株の親株であるアスペ
ルギルス テレウスIFO6365を実施例1と同一条
件で培養した。図1に併せて結果を示すように、30℃
での培養では、培養8日後の培地中に21g/lのイタ
コン酸が生成、蓄積され、一方40℃での培養では、培
養8日後の培地中に10g/lしかイタコン酸が生成、
蓄積されなかった。
【0035】実施例2 表2に示す組成を有する種菌培地100mlを入れた30
0ml三角フラスコにKO3152株を寒天から一白金耳
接種し、30℃で2日間前培養したものを種菌液とし
た。3lジャーファーメンター(実用量2l)に別々に
オートクレーブした(120℃/15分)表2に示す組
成を有する生産培地を入れ、上記種菌液200mlを添加
後40℃で通気攪拌培養を行った。通気量は1vvm で溶
存酸素濃度(DOセンサー:「Model DY−22
09」,TOA Electronics社製)が一定
(10飽和%)になるよう攪拌数の自動制御を行った。
図2に結果を示すように、イタコン酸の生成、蓄積量は
時とともに増加し、160時間後には52g/lに達し
た。
【0036】
【発明の効果】本発明の製造法により、一般には微生物
が生育し難い高温で菌株を培養し、かつイタコン酸の生
成、蓄積を行うことが可能であるため、冷却水使用量の
低減、雑菌汚染による危険性の減少などがもたらされ、
ひいてはイタコン酸の生産性を著しく高めることができ
る。更に、培養液pHを2付近の強酸性とすることも可能
であり、従来発酵プロセスに不可欠であった滅菌操作を
不要とする無蒸煮培地での発酵生産も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で得られた培養日数とイ
タコン酸生成量との関係を示す図面である。
【図2】実施例2で得られた培養時間と菌株量及びイタ
コン酸生成量との関係を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:66)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスペルギルス テレウス(Asper
    gillus terreus)に属し、イタコン酸生
    産能を有し、40℃での最大比増殖速度(μ)が0.0
    1h-1以上であり、かつ40℃以上でも生育可能な高温
    耐性株を培養し、該培地中にイタコン酸を生成、蓄積せ
    しめることを特徴とするイタコン酸の製造法。
  2. 【請求項2】 アスペルギルス テレウス(Asper
    gillus terreus)に属し、イタコン酸生
    産能を有し、40℃での最大比増殖速度(μ)が0.0
    1h-1以上であり、かつ40℃以上でも生育可能な高温
    耐性株。
JP19690692A 1992-07-23 1992-07-23 イタコン酸の製造法 Pending JPH0638774A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101428508B1 (ko) * 2012-11-23 2014-08-12 한국생산기술연구원 아스퍼질러스 테리우스 및 이를 이용한 이타콘산의 제조 방법

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KR101428508B1 (ko) * 2012-11-23 2014-08-12 한국생산기술연구원 아스퍼질러스 테리우스 및 이를 이용한 이타콘산의 제조 방법

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