JPH07246097A - トレハロースの製造方法 - Google Patents

トレハロースの製造方法

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JPH07246097A
JPH07246097A JP6220594A JP6220594A JPH07246097A JP H07246097 A JPH07246097 A JP H07246097A JP 6220594 A JP6220594 A JP 6220594A JP 6220594 A JP6220594 A JP 6220594A JP H07246097 A JPH07246097 A JP H07246097A
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邦穂 仲田
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和彦 岡村
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TSUSHO SANGYOSHO KISO SANGYO
TSUSHOSANGYOSHO KISO SANGYOKYOKUCHO
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TSUSHO SANGYOSHO KISO SANGYO
TSUSHOSANGYOSHO KISO SANGYOKYOKUCHO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 医薬品、食品、農業分野への応用が期待され
るトレハロースの新規な製造方法を提供する。 【構成】 キャンディダ(Candida)属に属する
トレハロース生産性酵母、例えば、トレハロース資化性
を欠損させた突然変異株であるキャンディダ フェアメ
ンティ(Candida fermentii)No.
3110tn株(FERM P−14187)、トレハ
ロースの資化性と蓄積性を同時に欠損した菌株から得た
トレハロース資化性復帰変異株であるキャンディダ フ
ェアメンティ(Candida fermentii)
No.3110tr株(FERMP−14188)など
を培養し、培養物からトレハロースを採取することによ
りトレハロースを効率的に製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品、食品、農業分
野への応用が期待されるトレハロースの新規な製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】トレハロースは、生物に普遍的に存在
し、微生物や植物においてはエネルギー貯蔵物質とし
て、また熱、乾燥、凍結、浸透圧などの環境変化に対す
る保護物質として知られている。酵母においても、例え
ばパン酵母におけるトレハロースの蓄積と環境耐性との
関係が明らかにされている(化学と生物 31,6,3
74〜381,1993)。また昆虫においては、飛行
のエネルギー源として利用されることが知られている。
【0003】一方、トレハロースの製造方法として、
1)パン酵母などのトレハロース蓄積量の多い菌株を培
養し、熱水やアルコールなどで抽出する方法(特開平4
−360692号、特開平5−91890号)、2)ブ
レビバクテリウム属などの細菌を用いて培養液中に生産
させる方法(特開平5−212882号)、3)マルト
ースをマルトースホスホリラーゼとトレハロースホスホ
リラーゼ処理することによる方法(特開昭58−216
695号)などが知られている。
【0004】また、パン酵母などでは、トレハロースの
蓄積量を増加させるために細胞内のトレハロース分解酵
素(トレハラーゼ)の活性を抑える試み(例えば、変異
によるトレハラーゼ活性の欠損、酵素阻害剤の添加な
ど)がなされてきたが、細胞内には性質の異なる種々の
トレハラーゼが各所に存在し、また様々な原因でそれら
は誘導されるので、その活性を抑えることは困難である
とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トレハロー
スを効率的に製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、キャンデ
ィダ(Candida)属、特にキャンディダ フェア
メンティ(Candida fermentii)に属
する酵母が細胞内にトレハロースを構成的に蓄積するこ
と、その酵母のトレハラーゼ活性が変異処理により容易
に欠損できること、さらにこれらの突然変異株が変異す
る前の酵母に比べ著量のトレハロースを生産することを
見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、キャンディダ(Ca
ndida)属に属するトレハロース生産性酵母の突然
変異株を培養し、培養物からトレハロースを採取するこ
とを特徴とするトレハロースの製造方法を提供するもの
である。
【0008】本発明に使用する酵母は、キャンディダ
(Candida)属に属し、トレハロースを生産する
能力を有する菌株を変異処理によりトレハロース資化性
を欠損させた菌株であるか、あるいは同じくキャンディ
ダ(Candida)属に属し、トレハロースを生産す
る能力を有する菌株を変異処理によりトレハロースの資
化性と蓄積性を同時に欠損した菌株から得たトレハロー
ス資化性復帰変異株であれば、いずれの菌株でも使用で
きる。
【0009】本発明に使用する酵母の親菌株は、例えば
中華民国台中市で採取された土壌から分離されたキャン
ディダ フェアメンティ(Candida ferme
ntii)No.3110株(FERM P−1234
8)を挙げることができるが、この菌株以外でもキャン
ディダ(Candida)属に属し、トレハロースを生
産する能力を有する菌株であれば、いずれも本発明に用
いられる変異菌株の親菌株として用いることができる。
また、本発明の目的に適する変異菌株を単離するには、
トレハロースを生産する能力を有する前述の親菌株をそ
れ自体公知の変異方法、例えば、紫外線処理、NTG
(N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン)処理などを行い、適宜選択すればよい。
【0010】なお、キャンディダ フェアメンティ(C
andida fermentii)No.3110株
は、以下の菌学的性状を有する。 1.形態的性質 3〜7μmの卵型ないしは球形をし、菌糸様の構造体は
ない。セッコウ、クライン培地、麦芽エキス培地のいず
れでも胞子は全く形成しない。
【0011】2.生理学的性質 バーネット(J.A.Barnet)らによるイースト
(Yeast):キャラクタリゼーション アンド ア
イデンティフィケーション(characteriza
tion and identification)第
2版に従い、分類同定を行った。本菌株の各種生理学的
性質は、以下の通りである。
【0012】 (1) 発酵性試験 D−グルコース + ラクトース − D−ガラクトース − セロビオース − マルトース − メレチトース − メチルα−D−グルコサイド − ラフィノース + シュークロース + イヌリン + α,α−トレハロース − スターチ − メリビオース − D−キシロース −
【0013】 (2) 生育試験 D−グルコース + D−ガラクトース − L−ソルボース + D−グルコサミン − D−リボース − D−キシロース − L−アラビノース − L−ラムノース − シュークロース + マルトース − α,α−トレハロース + メチルα−D−グルコサイド − セロビオース − サリシン − アルブチン − メリビオース − ラクトース − ラフィノース + メレチトース − イヌリン + スターチ − グリセロール + エリスリトール − リビトール − キシリトール + L−アラビトニール − D−グルシトール − D−マンニトール + ガラクチトール − ミオイノシトール − D−グルコノ−1,5−ラクトン + 2−ケト−D−グルコン酸 + 5−ケト−D−グルコン酸 − D−グルコン酸 − D−グルクロン酸 + D−ガラクツロン酸 − DL−乳酸 + コハク酸 − クエン酸 − メタノール − エタノール − プロパン−1,2−ジオール − ブタン−1,2−ジオール − 硝酸カリウム − 亜硝酸カリウム − エチルアミン − L−リジン + ガダベリン D クレアチニン − グルコサミン + ビタミン 欠 + D:生育が遅れる
【0014】(3) 耐性試験 0.01%シクロヘキシミド − 0.1%シクロヘキシミド − 1%酢酸 − 50%D−グルコース + 60%D−グルコース +
【0015】(4) 生育温度 25℃ + 30℃ + 35℃ − 37℃ − 40℃ − (5) 追加試験 DBB反応 −
【0016】3.その他の性質 (1) ユビキノン側鎖数 アグリカルチュラル アンド バイオロジカルケミスト
リー(Agricultural Biologica
l Chemistry)第37巻、第3号、621頁
(1973年)に従い、逆相薄層クロマトグラフィーを
用いて測定したところ、ユビキノン側鎖数は6単位であ
った。
【0017】(2) GC含量 学会出版センター刊、駒形和男編、微生物の化学分類実
験法、227頁−242頁の方法で行い、島津分光光度
計UV−2110と温度コントローラーSRP−8を用
いて、60−100℃の40分間の直線温度勾配の際
の、1×SSC緩衝液中の染色体DNAのA260変化
を追跡し、測定したTm値からGC(%)=(TM−6
9.3)/0.41の式のより求めたところ、本菌株の
核DNAのGC含量(モル%)は、44.9%であっ
た。
【0018】本発明の方法に使用するトレハロース資化
性を欠損しトレハロースを生産する菌株としては、上記
のキャンディダ(Candida)属に属する酵母に由
来するもので、トレハロース資化性を欠損する変異によ
り得られる、トレハロース資化性がなくトレハロースを
生産する菌株がすべて含まれるが、好適なものとして、
前記キャンディダ フェアメンティ(Candida
fermentii)No.3110株を紫外線による
変異処理により得られたキャンディダ フェアメンティ
(Candida fermentii)No.311
0tn株を挙げることができる。
【0019】本発明の目的に適する、トレハロース資化
性を欠損しトレハロースを生産する菌株を単離するに
は、キャンディダ(Candida)属に属し、トレハ
ロースを生産する能力を有する菌株をそれ自体公知の変
異処理を行うことにより取得することができる。以下、
その一例を示す。
【0020】キャンディダ フェアメンティ(Cand
ida fermentii)No.3110株の1白
金耳をMY液体培地(酵母エキス0.3%、麦芽エキス
0.3%、ポリペプトン0.5%、グルコース1%、p
H5.5)に接種し、28℃で16時間培養し、滅菌水
で2回洗浄した。これをシャーレに入れ、30cmの距
離から紫外線ランプ(15W)で2分間照射した後、炭
素源を欠くイーストニトロゲン培地(Difco)5m
lに懸濁し、一夜培養した。遠心分離により集菌し、ト
レハロースを0.5%含むイーストニトロゲン培地に懸
濁し、5時間培養した後、ナイスタチンを10μg/m
l添加し、さらに2時間培養を継続した。これを滅菌水
で2回洗浄し、グリセリンMYプレート(酵母エキス
0.3%、麦芽エキス0.3%、ポリペプトン0.5
%、グリセリン1%、寒天2%、pH5.5)にまき、
生育したコロニーの中でトレハロースを炭素源とする培
地で生育できない菌株を選択した。
【0021】単離した菌株をMY液体培地で上記と同様
に培養し、遠心分離により菌体を集め、冷却したアセト
ンで2回洗浄した。吸引によりアセトンを除き、粉末を
得た。 獲られた粉末の10mgを25mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.5)180μlに懸濁し、さらに
250mMトレハロース水溶液20μlを加え、経時的
に残存するトレハロースを液体クロマトグラフィー法に
より測定したところ、多数のトレハロース分解活性欠損
株が得られた。なお、カラムはCLC−NH2(島津製
作所)、移動相は70%アセトニトリル、検出器は示差
屈折計RID−7A(島津製作所)を用いた。
【0022】次にこれらトレハロース分解活性欠損株の
細胞内トレハロース量を以下の方法で測定し、親菌株と
比較してトレハロース蓄積量が顕著に増加した菌株を選
択した。すなわち、上記の操作により得られたトレハロ
ース分解活性欠損株を30mlのMY液体培地(酵母エ
キス0.3%、麦芽エキス0.3%、ポリペプトン0.
5%、グルコース1%、pH5.5)を含む250ml
フラスコに接種し、25℃で1〜2日間培養し、これを
遠心分離で集菌し水でよく洗浄した後、さらに30ml
の水の懸濁し、120℃、15分加熱処理し、細胞内の
トレハロースを抽出し、液体クロマトグラフィー法によ
りトレハロースを定量して、親菌株と比較し蓄積量が顕
著に増加した菌株を選択した。
【0023】以上の方法により、本発明の目的に適する
変異菌株は、グリセリンMYプレートに生育するコロニ
ー100株に約1株の割合で取得された。このようにし
て得られる菌株の一つであるキャンディダ フェアメン
ティ(Candida fermentii)No.3
110tn株の菌学的性状は、トレハロース資化性が欠
損していることを除き、親菌株であるNo.3110株
と同一の性質を示した。
【0024】本菌株は、平成6年1月 日付けで工業技
術院生命工学工業技術研究所へ、キャンディダ フェア
メンティ(Candida fermentii)N
o.3110tn(FERM P−14187)として
寄託されている。
【0025】さらに本発明の方法に使用するもう一つの
変異株であるトレハロースの資化性と蓄積性を同時に欠
損した菌株から得たトレハロース資化性復帰変異株とし
ては、上記のキャンディダ(Candida)属に属す
る酵母に由来するもので、トレハロースの資化性と蓄積
性を同時に欠損した菌株からトレハロース資化性が回復
した復帰変異により得られる、トレハロースを生産する
菌株がすべて含まれるが、好適なものとして、前記キャ
ンディダ フェアメンティ(Candidaferme
ntii)No.3110株を紫外線により変異させた
トレハロースの資化性と蓄積性を同時に欠損した菌株か
ら分離した、トレハロース資化性復帰変異株キャンディ
ダ フェアメンティ(Candida ferment
ii)No.3110tr株を挙げることができる。
【0026】本発明の目的に適する、トレハロースの資
化性と蓄積性を同時に欠損した菌株からトレハロース資
化性が回復したトレハロースを生産する復帰変異菌株を
単離するには、それ自体公知の手法により、キャンディ
ダ(Candida)属に属するトレハロース生産菌株
を処理して取得することができる。以下、その一例を示
す。
【0027】キャンディダ フェアメンティ(Cand
ida fermentii)No.3110株を前記
したトレハロースの分解活性欠損株を取得する操作と同
様の手順で変異処理及び細胞内トレハロース量の測定を
行い、トレハロースの資化性と蓄積性を同時に欠損した
菌株を取得した。以上の方法により、資化性と蓄積性を
同時に欠損した変異菌株は、グリセリンMYプレートに
生育するコロニー100株に約1株の割合で取得され
た。この108〜109個をトレハロースを炭素源とする
イーストニトロゲン培地(トレハロース0.5%)に塗
布し、28℃、3日間培養することにより、10-8程度
の頻度でトレハロースを資化できる復帰変異株を得るこ
とができる。
【0028】このようにして得られる菌株の一つである
キャンディダ フェアメンティ(Candida fe
rmentii)No.3110tr株の菌学的性状
は、親菌株であるNo.3110株と同一の性質を示し
た。
【0029】本菌株は、平成6年1月 日付けで工業技
術院生命工学工業技術研究所へ、キャンディダ フェア
メンティ(Candida fermentii)N
o.3110tr(FERM P−14188)として
寄託されている。
【0030】本発明のよるトレハロースの製造は、キャ
ンディダ(Candida)属に属する酵母に由来し、
トレハロース資化性を欠損したトレハロースを生産する
菌株、例えば、前記キャンディダ フェアメンティ(C
andida fermentii)No.3110t
n株、あるいはキャンディダ(Candida)属に属
する酵母に由来し、トレハロースの資化性と蓄積性を同
時に欠損した菌株から得たトレハロース資化性復帰変異
株、例えばキャンディダ フェアメンティ(Candi
da fermentii)No.3110tr株を栄
養源含有培地に接種して、好気的に増殖させることによ
り生産される。
【0031】その栄養源としては、酵母の栄養源として
通常使用されるもの、例えば炭素源としては、グルコー
ス、グリセリン、シュークロースなどが使用でき、窒素
源としては、例えば肉エキス、酵母エキス、ペプトン、
コーンスティープリカーなどの有機物、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アン
モニウムなどの無機体窒素が利用できる。また、必要に
応じて、食塩、塩化カリウム、リン酸塩、その他重金属
塩などの無機塩類およびビタミン類を添加する他、培養
中の発泡を抑制するため、例えばシリコーン(信越化学
株式会社製−KM75;商標)などの消泡剤を適宜添加
することができる。
【0032】温度、pH、通気攪拌および培養時間のよ
うな培養条件は、用いられる菌株が最大量のトレハロー
スを蓄積するように選択する。例えば、MY液体培地を
用いた場合、20〜37℃、好ましくは28〜33℃の
温度でpH4〜7、好ましくは5〜6において1〜2日
間行うのが有利である。
【0033】培養物よりトレハロースを単離するには、
公知の分離手段を適宜組合せて行うことができる。トレ
ハロースは酵母菌体内に蓄積するので、例えば菌体をメ
タノール、エタノール、アセトンなど水と混和する有機
溶媒に懸濁し、菌体からトレハロースを抽出し遠心分離
または濾過により菌体を分離し上清を得、これを減圧濃
縮、イオン交換樹脂処理、結晶化などの精製操作を単独
あるいは適宜組合せて、さらに場合によっては反復して
適用することによりトレハロース結晶を得ることができ
る。
【0034】上記の培養方法で培養した場合には、前記
のとおりトレハロースは酵母菌体内に蓄積するが、培養
の途中でメタノール、エタノール、アセトンなど水と混
和する有機溶媒を2〜6%、あるいはデジトニンなどの
界面活性剤を0.1〜1%培地中に添加するか、または
培養した酵母菌体を冷却したメタノール、エタノール、
アセトンなど水と混和する有機溶媒で洗浄することによ
り菌体内で生産されたトレハロースが菌体外に排出する
透過型の菌体にすることができる。これらの処理により
菌体の増殖能は失われるが、培地中の栄養物からトレハ
ロースを生産する能力は失われない。
【0035】有機溶媒で洗浄することにより調製した透
過型の菌体は直ちにトレハロースの生産に使用してもよ
いが、0〜10℃、好ましくは4℃で保存することがで
きる。さらにκ−カラギーナン、アルギン酸カルシウム
などのゲル化担体を用いて固定化菌体とすることによ
り、その安定性が向上する。このような処理を施した菌
体を用いるとトレハロースが培養液中に生産されるので
精製の際に菌体からの抽出操作を省略でき有利である。
【0036】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をさらに詳細に説
明する。
【0037】実施例1 酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、ポリペプト
ン0.5%、グルコース1%(pH5.5)からなるM
Y液体培地100mlを500ml容振とうフラスコに
入れ、120℃、20分加熱滅菌した。この培地にキャ
ンディダ フェアメンティ(Candida ferm
entii)No.3110tn株を1白金耳接種し、
28℃、16時間振とう培養した。得られた培養液を5
000×g、5分間遠心分離して集菌し、これに50m
lの水を加えて攪拌し、同様に遠心分離を繰り返し計3
回洗浄した。得られた湿菌体1gを60%エタノール2
5mlに懸濁し、80℃で1時間加熱処理した。室温ま
で冷却し、5000×g、5分間遠心分離することによ
り菌体を除去してトレハロース含有抽出液を得た。これ
を活性炭処理し、凍結乾燥して純度90.5%のトレハ
ロース粉末90.5mgを得た。
【0038】実施例2 500ml容振とうフラスコにMY液体培地100ml
を入れ、120℃、20分加熱滅菌した。この培地にキ
ャンディダ フェアメンティ(Candidaferm
entii)No.3110tr株を1白金耳接種し、
28℃、16時間振とう培養した。得られた培養液を5
000×g、5分間遠心分離して集菌し、これに50m
lの水を加えて攪拌し、同様に遠心分離を繰り返し計3
回洗浄した。得られた湿菌体1gを60%エタノール2
5mlに懸濁し、80℃で1時間加熱処理した。室温ま
で冷却し、5000×g、5分間遠心分離することによ
り菌体を除去してトレハロース含有抽出液を得た。これ
を活性炭処理し、凍結乾燥して純度91.2%のトレハ
ロース粉末89.5mgを得た。
【0039】実施例3 500ml容振とうフラスコにMY液体培地100ml
を入れ、120℃、20分加熱滅菌した。この培地にキ
ャンディダ フェアメンティ(Candidaferm
entii)No.3110tn株を1白金耳接種し、
28℃、16時間振とう培養した。得られた培養液を5
000×g、5分間遠心分離して集菌し、これに新たな
MY液体培地100mlを加えて懸濁した。さらに2%
となるようアセトンを添加し、28℃、40時間振とう
培養したところ、培地中に1.66g/l(液体クロマ
トグラフィー法)のトレハロースが蓄積した。
【0040】実施例4 500ml容振とうフラスコにMY液体培地100ml
を入れ、120℃、20分加熱滅菌した。キャンディダ
フェアメンティ(Candida fermenti
i)No.3110tn株を1白金耳接種し、28℃、
16時間振とう培養した。得られた培養液を5000×
g、5分間遠心分離して集菌し、これに25mMリン酸
カリウム緩衝液(pH8.0)50mlを加えて攪拌
し、再度前記条件で遠心分離して洗浄菌体1gを得た。
さらにこれを冷却したアセトン50mlで2回洗浄し、
真空ポンプで吸引し乾燥させた。こうして得られた粉末
0.1gを250mlフラスコに入れ、これに1%グル
コースを含む25mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.
0)20mlを加えて懸濁し、28℃で振とうさせた。
緩衝液中のトレハロース濃度を液体クロマトグラフィー
により測定した。
【0041】同様の方法でキャンディダ フェアメンテ
ィ(Candida fermentii)No.31
10tr株についても測定した。これらの結果を表1に
示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例5 κ−カラギーナン1%を含む25mMリン酸カリウム緩
衝液(pH8.0)5mlを加熱し、溶解させた後、4
2℃まで冷却した。これに実施例4で得たNo.311
0tn株の乾燥粉末0.1mgを懸濁させ、さらに室温
まで冷却し、固化させた。これを約0.5cm角に切
り、1%グルコースを含む25mMリン酸カリウム緩衝
液(pH8.0)に浮遊させ、28℃で振とうした。緩
衝液中のトレハロース濃度を液体クロマトグラフィーに
より測定した。
【0044】同様の方法でキャンディダ フェアメンテ
ィ(Candida fermentii)No.31
10tr株についても測定した。これらの結果を表2に
示す。
【0045】
【表2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャンディダ(Candida)属に属
    するトレハロース生産性酵母を培養し、培養物からトレ
    ハロースを採取することを特徴とするトレハロースの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 キャンディダ(Candida)属に属
    するトレハロース生産性酵母がトレハロース資化性を欠
    損させた菌株である請求項1記載のトレハロースの製造
    方法
  3. 【請求項3】 キャンディダ(Candida)属に属
    するトレハロース生産性酵母がトレハロースの資化性と
    蓄積性を同時に欠損した菌株から得たトレハロース資化
    性復帰変異株である請求項1記載のトレハロースの製造
    方法
  4. 【請求項4】 キャンディダ(Candida)属に属
    するトレハロース生産性酵母がキャンディダ フェアメ
    ンティ(Candida fermentii)No.
    3110tn株(FERM P−14187)である請
    求項1記載のトレハロースの製造方法
  5. 【請求項5】 キャンディダ(Candida)属に属
    するトレハロース生産性酵母がキャンディダ フェアメ
    ンティ(Candida fermentii)No.
    3110tr株(FERM P−14188)である請
    求項1記載のトレハロースの製造方法
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