JPH0638295A - スピ−カ−用振動板及びその製造方法 - Google Patents

スピ−カ−用振動板及びその製造方法

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JPH0638295A
JPH0638295A JP4212253A JP21225392A JPH0638295A JP H0638295 A JPH0638295 A JP H0638295A JP 4212253 A JP4212253 A JP 4212253A JP 21225392 A JP21225392 A JP 21225392A JP H0638295 A JPH0638295 A JP H0638295A
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diaphragm
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Keiichiro Tanabe
敬一朗 田辺
Naoharu Fujimori
直治 藤森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤモンド製のスピ−カ−用振動板はE/
ρが高く高音特性に優れる。しかし全体をダイヤモンド
で作ると外周フランジ部の靱性が低いためこの部分が割
れたり欠けたりする。外周フランジ部が割れ欠けを起こ
さない様にするのが目的である。 【構成】 スピ−カ−用振動板の形状に加工した基体の
上に炭素、水素を含む原料ガスを流し化学的気相合成法
によって基体の上にダイヤモンドの膜を形成する。外周
フランジ部の部分だけをレ−ザによる溝入れ加工などに
より非結晶質ダイヤモンド化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高音域で優れた音響特
性を持つスピ−カ−用振動板に関する。音響用スピ−カ
−は低音、中音、高音用など幾つかの周波数域の異なる
ものを組み合わせて用いる。振動板は紙からTi等の金
属に進化してきた。振動板材料のヤング率をE、密度を
ρとすると、伝搬速度がE/ρによって決まり、これが
大きいものほど高音特性が優れている。E/ρが大きい
材料としてはBeがある。しかしこれは毒性が強い材料
である。ダイヤモンドはE/ρのもっとも大きい材料で
あり高音用スピ−カ−の振動板材料として最も優れたも
のである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド製のスピ−カ−用振動板に
ついて多くの提案がなされている。特開昭61−128
700号はダイヤモンドの振動板に関しヤング率と密度
の範囲を規定している。特開平1−100277号は硬
質炭素膜のスピ−カ−用振動板を提案している。これは
炭素膜でありダイヤモンドではない。
【0003】特開昭62−152299号は型材の上に
イオンプレ−ティング法によりダイヤモンド質の炭素膜
を堆積し後に型材を溶解除去する振動板の製造法を提案
している。特公昭55−33237号はイオンビ−ム蒸
着法によってダイヤモンド状炭素膜を製造している。特
公平4−23480号はSi基体対の上にダイヤモンド
をCVD法によって堆積させ基体を溶解除去してダイヤ
モンド製のスピ−カ−用振動板を製造する方法を提案し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンド製のスピ
−カ−用振動板は数多くの提案がなされているが、スピ
−カ−用振動板の幾何学的な形状の特異性についての考
察が十分でないと思う。スピ−カ−用振動板は図1に示
すように、ド−ム状の物体であり、半円球部Sと外周の
フランジ部Tとからなっている。外周フランジ部Tと半
円球部Sでは役割が異なる。また内部応力も違うし、外
部から加わる力も異なる。従来のスピ−カ−用振動板は
紙にしてもTi、Beにしてもすべて半円球部Sと外周
フランジ部Tとは全く同じ材料で同じ物性を持つものと
なっている。紙、Ti、Beなどの場合は靱性が十分に
ある材料であるので外周フランジ部Tも半円球部Sも全
く同一の材料で良かったと思う。
【0005】しかしながらダイヤモンドは硬質の材料で
ありこれらの材料に比較して特に靱性に欠けるという欠
点がある。ためにド−ム状の振動板の全体をダイヤモン
ドで作ると特に外周フランジ部Tが欠けたり割れたりす
るという難点がある。半円球部Sは外部の応力が掛かっ
ても自由に撓むことができるが、外周フランジ部は固定
されるので内部応力が残留し易いし、外部応力に対して
自在に歪むことができないので欠けたり割れたりするの
である。また製造工程においても一様なダイヤモンドで
振動板を作ると外周フランジ部の部分に割れが発生し歩
留まりを低下させるという難点がある。このようなこと
は未だ気づかれていないようであるが、ダイヤモンド製
のスピ−カ−用振動板が実用段階に達すると重大な問題
になるであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のダイヤモンド製
スピ−カ−用振動板は、半円球部はダイヤモンドとし、
外周フランジ部は非結晶質ダイヤモンド化したものであ
る。非結晶質ダイヤモンド化というのは結晶質ダイヤモ
ンド成分以外にグラファイトや、アモルファス状カ−ボ
ンを含むものである。非結晶質ダイヤモンド化すること
によってダイヤモンドの靱性を高めることができるの
で、外周フランジ部Tが割れたり欠けたりするのを防ぐ
ことができる。
【0007】
【作用】外周フランジ部を非結晶質ダイヤモンド化する
ためには、例えば外周フランジ部をレ−ザによって溝入
れ加工すれば良い。レ−ザによる局所加熱によってダイ
ヤモンドが変質し一部がアモルファス状カ−ボンやグラ
ファイトに変化するのである。これによって剛性が低下
するが外周フランジ部はあまり振動しなくても良い部分
であるのでこの部分のE/ρの低下は音速伝搬速度に影
響を及ぼさない。反対に外周フランジ部の靱性が増加す
る。ために外周フランジ部の割れや欠けを有効に防ぐこ
とができる。
【0008】
【実施例】[実施例]多結晶Siを切削によって図1
に示すようなスピ−カ−用振動板の形状に加工した。高
さは約7mmであった。これが基体になる。図2に示す
ようなフィラメントCVD法によってSi基体の上に厚
さ30μmのダイヤモンド膜を形成した。
【0009】図2において、真空チャンバ1は内部中央
に冷却支持台2を有する。冷却支持台2には冷却水3が
通っており内部から支持台2を冷却できるようになって
いる。この上にSiの基体4を固定している。フィラメ
ント5は基体4の上部に対向するように設けられ、2本
の電極6に両端を支持されている。電源7がフィラメン
ト5に電流を供給している。真空チャンバ1のガス導入
口8から原料ガスが内部に導入される。これは水素ガ
ス、炭素源ガスなどである。フィラメントによってガス
が加熱され気相反応を起こし基体4の上にダイヤモンド
膜を形成する。排ガスなどは真空排気口9から排出され
る。圧力計10は真空チャンバの圧力を計測する。
【0010】図3は工程図を示す。基体用意というのは
Siを前記のようにド−ム状にSi基体を加工すること
である。図2の装置でダイヤモンド膜を形成する。ダイ
ヤモンド形成の条件は、 水素ガス 1000 cc/min メタンガス 20 cc/min フィラメント タングステン (W) フィラメント温度 2100 ℃ 圧力 60 Torr ダイヤモンド膜厚 30 μm であった。これを図2の装置から取り出し、外周フラン
ジ部にのみレ−ザ光を当てて溝入れ加工する。これによ
り外周フランジ部を非結晶質ダイヤモンド化することが
できる。半円球部はダイヤモンドのままである。次にS
iの基体を溶解除去した。こうしてダイヤモンドのスピ
−カ−用振動板を得る。
【0011】半円球部と外周フランジ部の材質の違いを
調べるためにラマン散乱強度を測定した。図4は外周フ
ランジ部のラマン散乱スペクトルである。横軸はラマン
散乱による波数の変化分(波数シフト)で、縦軸は散乱
光の強度である。ダイヤモンドによるラマン散乱ののピ
−クは1332.5cm-1であるが、外周フランジ部の
スペクトルでは、このピ−クは極弱いものになってい
る。これよりも1500〜1600cm-1の部分のスペ
クトルが大きくなっている。これは非ダイヤモンド炭素
に対応し、グラファイトやアモルファス状カ−ボン等の
スペクトルの重畳したものと考えらる。外周フランジ部
は既に結晶質ダイヤモンドではないということである。
【0012】これに反して半円球部のA部でのラマン散
乱スペクトルは図5に示すように、ダイヤモンドに対応
する1333cm-1の波数に鋭いピ−クを持っている。
その他の部分の強度が極めて小さいことからこれは高品
質のダイヤモンドであることが分かる。
【0013】この振動板の高音共振周波数は80,00
0Hzであった。同じ形状のものをBeで作って比較し
たところ、これの高音共振周波数は28,000ヘルツ
であった。アルミナの同一寸法の振動板の高音共振周波
数は35,000Hzであった。本発明のダイヤモンド
の振動板の高音特性が特に優れたものであるということ
が分かる。
【0014】またここで作ったダイヤモンド振動板の周
波数音圧特性を調べその結果を図6に示す。横軸は周波
数(Hz)縦軸は音圧レベルである。比較のためにTi
の振動板の周波数音圧レベルを調べ図7に示した。20
kHz程度までも音圧レベルが4dB程度大きい。20
kHzを越えると音圧レベルの差が著しくなる。ダイヤ
モンドの振動板は100kHzまで十分な音圧レベルを
持っている。以上はダイヤモンドの振動板が他の材質の
振動板よりも高音特性が良いということを示すものであ
る。次にダイヤモンドだけから成るものと本発明との比
較を示す。
【0015】[比較例] 実施例と同一の条件で、S
i基体の上にフィラメントCVD法により厚さ30μm
のダイヤモンド膜を形成した。装置は図2に示すもので
同一である。しかしその後のレ−ザ光による外周フラン
ジ部の溝入れ加工を行わない。ここのみが違う。図8に
工程図を示す。基体はSiでスピ−カ−用振動板の形状
に加工しておき、図2の装置でダイヤモンド形成を行う
ことなど同じだが、レ−ザによる溝入れの過程がない。
直ぐにSi基体を溶解除去した。ところが溶解除去の段
階で外周フランジ部の一部を破損してしまった。これは
全体がダイヤモンドであって剛性が高過ぎて特に応力の
係る外周フランジ部が破損したということである。これ
は一様なダイヤモンド構造である。
【0016】これを確かめるために、中央の半円球部と
外周フランジ部についてラマン散乱スペクトルを測定し
た。図9は中央部B部のスペクトルである.また図10
は外周フランジ部のラマン散乱スペクトル図である。両
者ともに1333cm-1で強いピ−クを持っており、結
晶性に優れた高品質のダイヤモンドであることが分か
る。このようにダイヤモンドはそのままでは靱性が不足
し、外周フランジ部が内部残留応力や外部応力によって
簡単に破損する。ところが本発明のように外周フランジ
部だけ非結晶質ダイヤモンド化することにより剛性を下
げ靱性を付与すれば基体の溶解除去程度の外力が働いて
も振動板が破損することはない。ために堅牢で長寿命の
振動板とすることができる。
【0017】
【発明の効果】本発明ではダイヤモンドの振動板の外周
フランジ部を非結晶質ダイヤモンド化するのでこの部分
の靱性を高揚し内部残留応力を下げている。割れ、欠け
の起こり難い十分な堅牢さをもったダイヤモンド振動板
を与えることができる。製造中に割れ欠けが発生しない
ので製品歩留まりを向上しコストを下げることができ
る。また半円球部はダイヤモンドであるから音波の伝搬
速度が高く高音特性が他の材料に比較して優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピ−カ−用振動板の概略正面図。
【図2】Si基体の上にダイヤモンド膜を形成するため
のフィラメントCVD装置の概略断面図。
【図3】本発明の実施例に係るダイヤモンド製スピ−カ
−用振動板の製造工程図。
【図4】実施例に係るダイヤモンド振動板の外周フラン
ジ部のラマンスペクトル。
【図5】実施例に係るダイヤモンド振動板の半円球部の
ラマンスペクトル図。
【図6】実施例に係るダイヤモンド振動板の周波数音圧
特性図。
【図7】実施例と同じ寸法のTi振動板の周波数音圧特
性図。
【図8】外周フランジ部にレ−ザ溝入れ加工を行わない
比較例の振動板の製造工程図。
【図9】比較例に係る振動板の半円球部B部のラマンス
ペクトル図。
【図10】比較例に係る振動板の外周フランジ部のラマ
ンスペクトル図。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 2 冷却支持台 3 冷却水 4 基体 5 フィラメント 6 電極 7 電源 8 ガス導入口 9 真空排気口 10 圧力計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央部の半円球部とこれの外周に続く外
    周フランジ部とを備えたスピ−カ−用振動板であって、
    化学的気相合成法によって作られ、半円球部はダイヤモ
    ンドのみよりなり、外周フランジ部は非結晶質ダイヤモ
    ンド化されておりグラファイト、アモルファス状カ−ボ
    ンを含むことを特徴とするスピ−カ−用振動板。
  2. 【請求項2】 スピ−カ−用振動板の形状に加工された
    基体を、真空チャンバの内部に置き、基体を加熱し、炭
    素と水素を含む原料ガスを流しながら化学的気相合成法
    によって前記基体の上にダイヤモンドを成長させ、基体
    とダイヤモンドを冷却して真空チャンバから取り出し、
    外周フランジ部のみを非結晶質ダイヤモンド化し、基体
    を溶解除去して振動板形状のダイヤモンドを得る事を特
    徴とするスピ−カ−用振動板の製造方法。
JP4212253A 1992-07-15 1992-07-15 スピ−カ−用振動板及びその製造方法 Pending JPH0638295A (ja)

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