JPH05221792A - ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置

Info

Publication number
JPH05221792A
JPH05221792A JP2645392A JP2645392A JPH05221792A JP H05221792 A JPH05221792 A JP H05221792A JP 2645392 A JP2645392 A JP 2645392A JP 2645392 A JP2645392 A JP 2645392A JP H05221792 A JPH05221792 A JP H05221792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
diamond
combustion flame
diamond layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2645392A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
Yuichi Nakagami
裕一 中上
Shigeo Suzuki
茂夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2645392A priority Critical patent/JPH05221792A/ja
Publication of JPH05221792A publication Critical patent/JPH05221792A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Diaphragms For Electromechanical Transducers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オーディオ用で特に2〜3kHz以上の高音域
を再生するためにダイヤモンド薄膜をコーティングした
比弾性率、内部損失特性に優れたダイヤモンド振動板を
安価に製造する。 【構成】 少なくともアセチレン等の炭化水素と酸素を
含有する混合ガスの燃焼炎の内炎4を振動板基体2に照
射することによって振動板基体2の表面にダイヤモンド
層を形成する。また燃焼炎トーチ1と振動板基板2との
間に振動板基体2が正になる電圧を印加しながら燃焼炎
を照射することにより核の発生密度を高めることがで
き、そのときの電流をモニターすることにより均一性を
制御することが容易となる。 【効果】 燃焼炎を利用して原料ガスを分解するため、
従来のプラズマCVD法に比べて装置が簡単かつ安価に
なり、低コストのダイヤモンド振動板が容易に製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多結晶のダイヤモンド
層をコーティングすることで特に2−3kHz以上の高音
域特性の改善を図ったダイヤモンド振動板の製造方法及
び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトディスクやデジタルオ
ーディオテープDATなどデジタル記録を利用した機器
が普及し、低音域から高音域まで忠実に記録されたソフ
トを手軽に楽しむことができるようになった。これに対
応して、広帯域にわたり忠実な再生ができるスピーカー
が望まれている。高音域を忠実に再生するためには、ス
ピーカーの振動板は軽くて高剛性でかつ適度な内部損失
を備えていることが望ましい。このため従来から種々の
素材が検討されており、現在では高剛性の振動板の素材
としてベリリウム,チタン,アルミニウム,アルミナ系
セラミックス,ボロン化チタン等が使用されている(特
開昭58−223999号公報参照)。
【0003】また最近では気相合成法でダイヤモンドの
薄膜が合成できるようになり、振動板としての応用が検
討されている(特開昭60−141697号公報参
照)。ダイヤモンドは物質中で最も硬く(即ち比弾性率
が高い)化学的に安定しているため、高剛性で経時変化
が少ない振動板を実現するのに最も適した材料の一つと
して期待されている。また振動板にダイヤモンド層を形
成する方法としては、直流,高周波,マイクロ波などを
利用したプラズマCVD法(特開昭58−135117
号公報参照)や、フィラメントの熱を利用した熱フィラ
メント法(特開昭60−193101号公報参照)など
が報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成では、以下のような課題を有していた。従来の
振動板で金属を素材としダイヤモンド層を形成しないも
のは金属の薄い板を金型でプレスする方法で作製される
が、プレス成形では金属板の厚みを薄くすることに限界
があり、また皺や成形歪ができやすく不規則振動の原因
となっていた。さらにダイヤモンド等に比較すると素材
自体のヤング率が小さく、分割共振が発生するなどの原
因から高音域の再生に限界があった。また内部損失が小
さいために素材特有の音(素材特有の鳴きとも呼ばれて
いる)が発生しやすく、時としてこれを防ぐために内部
損失の大きな素材を併用しなければならないという課題
を有していた。
【0005】またダイヤモンド薄膜を振動板に利用する
には、(1)振動板としての形状を維持するために内部
応力を緩和するとともに膜の均一性を高めること、
(2)低価格化が可能な形成プロセスを確立することの
2点が必要である。熱フィラメント法は、基板の形状に
応じてフィラメントを変形させることで複雑な形状の基
板上にも均一にダイヤモンド層を形成できることから、
振動板の応用には適した方法である。しかしフィラメン
トには寿命があり、一定時間使用するとフィラメントを
交換しなければならないという課題を有していた。また
製膜速度が最高でも5μm/時間以下と非常に遅いため
に、例えば厚みが30μmの振動板を作成しようとする
と6時間以上かかるなど量産性が悪く製造コストが高く
なるという課題を有していた。
【0006】またいずれの方法においても振動板基体を
真空状態に保つ真空槽やポンプが必要であり、また直流
や高周波によるプラズマCVD法では大容量の電源が必
要になるなど設備が大がかりで高価になり振動板の製造
コストが高くなってしまうという課題を有していた。
【0007】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、製造コストが低く音響特性に優れたダイヤモンド振
動板を低い製造コストで実現し、普及クラスのHiFi
スピーカーやミニコンポ,ラジカセなどにも使用できる
ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のダイヤモンド振動板の製造方法は、少なくと
も炭化水素と酸素を含有する混合ガスの燃焼炎を振動板
基体に照射する構成を有しており、その製造装置は燃焼
ノズルと、振動板基体を移動できる基体ホルダーと基体
ホルダーの温度調節機構とを有している。
【0009】
【作用】この構成によって、従来の製造方法のように真
空槽を必要とせず、また燃焼炎を利用して原料ガスを分
解するため従来のプラズマCVD法のように大容量の電
源も必要としない。このため設備はシンプルでかつ低コ
スト化が可能となり、ダイヤモンド振動板を低コストで
実現できる。
【0010】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。図1は本発明の一実施例におけるダ
イヤモンド振動板の製造方法に使用する製造装置の概略
構成図である。この製造装置は原料ガスを噴出しこれを
燃焼する燃焼炎トーチ1と加熱冷却機構を備え振動板基
体2を保持する基体ホルダー3とから構成される。燃焼
炎トーチ1の先端には原料ガスを噴出するノズルが設け
られており、噴出したガスの燃焼炎(内炎4)を振動板
基体2に照射する。基体ホルダー3には真空ポンプに連
結した多数の微小穴6が設置されており、振動板基体2
はこの微小穴6によって基体ホルダー3に真空吸着され
る。なお基体ホルダー3には回転機構が備えられてお
り、必要に応じて振動板基体2を回転させることができ
る。
【0011】このような装置を使用して製造したダイヤ
モンド振動板の第1の実施例について、以下に説明す
る。図2は本発明の一実施例における製造方法により製
造されたダイヤモンド振動板の断面図である。これはチ
タン振動板7(厚み20μm)の表面に多結晶のダイヤ
モンド層8(厚み5μm)を形成したダイヤモンド振動
板であり、原料ガスにはアセチレンガスと酸素ガスの混
合ガスを使用した。(表1)に形成条件の一例を示す。
燃焼炎は図1に示すように内炎4(還元炎とも呼ばれて
いる)と外炎5(酸化炎とも呼ばれている)とから構成
されており、内炎4を照射した部分にのみダイヤモンド
層8が形成される。外炎5が照射された部分にはダイヤ
モンド層8は形成されない。内炎4が照射された部分で
は従来のプラズマCVD法に比べてダイヤモンド層8の
形成速度が速くなり、本実施例では最高120μm/分
でダイヤモンド層8を形成できた。
【0012】
【表1】
【0013】ダイヤモンド層8の膜質に大きく影響する
パラメーターは、アセチレンガスの流量P1と酸素ガス
の流量P2との流量比P(P=P1/P2)である。流
量比Pが0.95〜1.05の時に不純物の少ない良質
のダイヤモンド層8が形成される。流量比Pが1.05
より大きくなると結晶のダイヤモンド以外にアモルファ
ス状の無定型炭素が混在するようになり、1.30を越
えるとアモルファス状の無定型炭素のみが析出する。一
方流量比Pが0.95より小さくなるとダイヤモンド層
8の形成速度が著しく低下し、0.80以下では形成さ
れなくなる。またチタン振動板7の温度も膜質に大きく
影響する。燃焼炎法でダイヤモンド層8が形成されるの
はチタン振動板7の温度が400℃〜1300℃であ
り、良質のダイヤモンド層が形成されるのは600℃〜
850℃である。本実施例ではチタン振動板7は真空チ
ャックによって基体ホルダー3に吸着されており、基体
ホルダー3に備えられた水冷機構やヒーターで必要に応
じて温度を調整した。チタン振動板7の温度が400℃
以下ではアモルファス状の無定型炭素が析出し、130
0℃以上では何も析出しない。また図1に示す製造装置
では基体ホルダー3を回転するとともに燃焼炎トーチ1
を連続的に移動している。これは燃焼炎の照射によって
振動板基体2が局部的に温度上昇するのを防ぐためであ
り、基体ホルダー3の加熱冷却だけでは局部的な温度上
昇を防ぐことはできないからである。このようにして製
造したダイヤモンド振動板の特性を測定したところ、比
弾性率が1.1×108m2/sec2 とチタン単体の振
動板(比弾性率0.2×108m2/sec2)に比べて高
い値を備えており、再生可能な高域周波数特性Hfは3
5kHzまで伸すことができた(チタン振動板のみではH
f =21kHz)。
【0014】次に本発明の方法により製造したダイヤモ
ンド振動板の第2の実施例について説明する。なお外観
上は第1の実施例と同じであり図2を参照しながら説明
する。この実施例は第1の実施例と同様に、チタン振動
板7(厚み20μm)の表面にダイヤモンド層8を形成
したダイヤモンド振動板である。第1の実施例と異なる
のは、第1の実施例では良質のダイヤモンド層8が形成
されているのに対して、本実施例ではダイヤモンド層8
の一部にアモルファス状の無定型炭素を含んでいること
である。すなわち本実施例ではチタン振動板7と接触す
る近傍では不純物の少ないダイヤモンド層8であるが、
ダイヤモンド層8が厚くなるに従って一部グラファイト
を含むアモルファス状の無定型炭素が形成されている。
一般にダイヤモンド振動板の場合、音響特性に影響する
比弾性率と内部損失は無定型炭素の含有量と密接な関係
がある。すなわち無定型炭素の含有量が少なくなると比
弾性率は大きくなるが内部損失は小さくなり、逆に無定
型炭素の含有量が多くなると内部損失は大きくなるが比
弾性率は小さくなる。良好な再生特性(聴感特性も含
む)を得るためには比弾性率と内部損失のバランスを保
つことが重要である。第1の実施例で説明したように、
燃焼炎法でダイヤモンド層を形成する場合、無定型炭素
の含有量に最も影響するのは炭化水素ガスと酸素ガスの
流量比Pである。そこで本実施例では流量比Pを制御す
ることで無定型炭素の含有量を変化させている。(表
2)に本実施例の条件を示す。
【0015】
【表2】
【0016】初期は流量比Pが1.00の条件で形成し
(膜厚約5μm)、その後形成時間に応じて流量比Pを
1.25まで徐々に増加させて総膜厚10μmのダイヤ
モンド層を形成した。音響特性を評価したところ再生可
能な高域周波数特性Hf は32kHz、内部損失は0.0
15であり、聴感特性においても優れた特性を示した。
また無定型炭素を含まない良質なダイヤモンド層と無定
型炭素を含んだダイヤモンド層とを積層した場合でも、
同様な効果を得ることができる。
【0017】次に本発明の方法により製造したダイヤモ
ンド振動板の第3の実施例について説明する。燃焼炎法
では炭化水素ガスと酸素ガスの流量が結晶の成長形態に
大きく影響する。すなわち流量が少ない時は結晶の成長
速度が遅く、形成されたダイヤモンド層は図3に示すよ
うにダイヤモンド結晶粒9の界面で隙間のない緻密な膜
となる。流量が多くなるに従って結晶の成長速度は早く
なり、形成されたダイヤモンド層は図4に示すようなダ
イヤモンド結晶粒10の界面に隙間11のある膜とな
る。本実施例は図5に示すようにダイヤモンド層13と
して、チタン振動板12の表面に緻密なダイヤモンド層
14を形成した後、さらにその表面にガスの流量を増加
して結晶粒10の界面に隙間11のあるダイヤモンド層
15を形成したものである。結晶粒10の界面に隙間1
1のあるダイヤモンド層15は緻密なダイヤモンド層1
4に比べて内部損失が大きくなる。これは結晶粒10の
界面の隙間11が内部損失を大きくしているためであ
り、本実施例ではこの特性を利用して比弾性率が高く内
部損失の大きなダイヤモンド振動板を実現したものであ
る。すなわち緻密なダイヤモンド層14で強度を保つと
ともに、結晶粒10の界面に隙間11を備えたダイヤモ
ンド層15で内部損失を高めている。その形成条件の一
例を(表3)に示す。
【0018】
【表3】
【0019】炭化水素ガスとしてはアセチレンガスを使
用し、チタン振動板12の上にまず緻密なダイヤモンド
層14を3μm形成し、その後隙間11のあるダイヤモ
ンド層15を7μm形成した。音響特性を測定すると再
生可能な高域周波数特性Hfは37kHz、内部損失は
0.01であり、チタン振動板12のみの場合に比べて
飛躍的に特性が向上した。結晶粒10の界面の隙間11
をエポキシ樹脂等の内部損失の大きな材料で補充する
と、さらに内部損失を大きくすることが可能となり、聴
感上さらに優れたダイヤモンド振動板を実現できる。
【0020】また結晶粒10の界面に隙間11を備えた
ダイヤモンド層15を利用することは、膜の内部応力の
低減にも効果がある。従来からダイヤモンド薄膜を応用
していく上での重要な課題の一つに膜の内部応力の低減
がある。緻密なダイヤモンド層14では成長に伴って非
常に大きな内部応力が発生し、チタン振動板12等の振
動板基体から剥離してしまうという問題があった。一方
結晶粒10の粒界に隙間11のあるダイヤモンド層15
ではこの隙間11で応力が緩和され、10μm以上にダ
イヤモンド層13を成長させても剥離することはない。
さらにダイヤモンド層13の形成後、硫酸やフッ酸等で
チタン振動板12を溶解除去しても内部応力によりダイ
ヤモンド層13が粉砕損傷することがない。この結果ダ
イヤモンド層13のみから構成されたダイヤモンド振動
板を実現できた。その一例を次に示す。炭化水素ガスと
してはアセチレンガスを使用し、(表3)に示す条件で
チタン振動板12の上にまず緻密なダイヤモンド層14
を8μm形成し、その後隙間11のあるダイヤモンド層
15を15μm形成した。その後硫酸とフッ酸の混合液
によりチタン振動板12を溶解除去し、ダイヤモンド層
13のみのスピーカー振動板を実現した。音響特性を測
定すると再生可能な高域周波数特性Hf は55kHz、内
部損失は0.01であり、高域周波数特性に優れている
ことが明らかとなった。
【0021】以上のように燃焼炎法でダイヤモンド振動
板を作成する場合、燃焼炎トーチと振動板基体は相対的
に移動することが望ましい。これは燃焼炎が約2000
℃と非常に高温であるため、照射された領域は局部的な
温度上昇による熱損傷や熱変形が発生しやすい。このた
め燃焼炎トーチか振動板基体の少なくとも一方を移動さ
せて燃焼炎の照射部が振動板基体の常に同じ箇所に照射
されないようにし、熱損傷や熱変形を防がなければなら
ない。
【0022】また振動板基体へのダイヤモンド層形成に
ついては、振動板基体の両面にしかも同時に形成するこ
とが望ましい。以上の実施例ですでに説明したように振
動板基体の片面にダイヤモンド層を形成した場合でも優
れた特性のダイヤモンド振動板を実現できるが、ダイヤ
モンド層には内部応力が存在し、ダイヤモンド層を形成
することで振動板基体の形状が変形してしまい、膜厚が
厚くなるほどこの変形量は大きくなる。そこで振動板基
体の両面から同時に燃焼炎を照射し、振動板基体の両面
にダイヤモンド層を形成して振動板基体の変形を防止し
た。この方法によれば約5μmの厚みのダイヤモンド層
を形成した場合でも、振動板基体の形状変化は全く認め
られなかった。
【0023】ダイヤモンド振動板を実現する上では、ダ
イヤモンド層の均一性の確保と製造工程におけるモニタ
ーが非常に重要である。ダイヤモンド層の形成時まず振
動板基体上に核が発生し、それが成長して膜になる。こ
のためダイヤモンド層の均一性を確保するためには、核
を均一にかつ高密度に発生させることが重要となる。我
々は振動板基体に電子を照射すると核の発生密度が高く
なることに着目し、燃焼炎トーチと振動板基体とのあい
だに振動板基体が正電位となるように電位差を設け、同
時に流れる電流を測定した。図6にその装置の概要を示
す。燃焼炎は一種のプラズマ状態であり、燃焼炎中の電
子は電位差により振動板基体18に照射される。振動板
基体18に流れる電流は電流計20でモニターされる。
燃焼炎トーチ16と基体ホルダー17との間に直流電源
19により100Vの電位差を設定し、(表1)に示し
た条件でダイヤモンド層を形成したところ、核の発生密
度は従来の100倍以上に高くなり均一なダイヤモンド
層が形成できた。この時基体ホルダー17に流れる電流
と製膜時間との間には図7に示す関係があることがわか
った。すなわち製膜を開始して一定の間に電流は徐々に
低下し、その後一定の電流値に落ち着く。この現象は膜
の成長過程と対応があり、電流が徐々に低下している時
は核が発生しこれが結晶粒として成長している期間であ
り、結晶粒同士はまだ結合に至っていない。電流が一定
になったときは、結晶粒同士が結合し膜として成長が始
まる。すなわちダイヤモンドの抵抗が大きいために電流
が流れにくくなることが原因と考えられる。ダイヤモン
ド結晶粒の成長につれて振動板基体18の露出部が少な
くなるために電流は流れにくくなり、結晶粒同士が結合
して振動板基体18の表面を埋め尽くし、厚さ方向に成
長が始まると一定の電流しか流れなくなる。この電流を
モニターすることで未製膜領域の有無を確認することが
可能となり、振動板基体18の全域にわたってダイヤモ
ンド層を均一に形成することが可能となった。
【0024】また本発明を実施するために必要な設備は
基本的に燃焼炎トーチと基体ホルダーのみであり、真空
槽や高パワーの電源を利用しないために非常に低価格の
装置を実現できる。そのため振動板基体の上へのダイヤ
モンド薄膜形成を極めて低価格で実現することが可能と
なった。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明は、少なくとも炭化
水素と酸素を含有する混合ガスの燃焼炎を振動板基体に
照射してダイヤモンド層を形成する構成により比弾性率
や内部損失など音響特性に優れたダイヤモンド振動板を
安価に製造できるダイヤモンド振動板の製造方法を実現
できるものであり、その工業的価値は非常に大きいもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるダイヤモンド振動板
の製造方法に使用する製造装置の概略構成図
【図2】本発明の一実施例における製造方法により製造
された第1の実施例のダイヤモンド振動板の断面図
【図3】同ダイヤモンド振動板の緻密なダイヤモンド薄
膜の断面図
【図4】同ダイヤモンド振動板の隙間のあるダイヤモン
ド薄膜の断面図
【図5】本発明の一実施例における製造方法により製造
されたダイヤモンド振動板の第3の実施例のダイヤモン
ド薄膜の断面図
【図6】本発明の一実施例におけるダイヤモンド振動板
の製造方法に使用する他の製造装置の概略構成図
【図7】同製造装置における電流と製膜時間の関係を示
す図
【符号の説明】
2 振動板基体 4 内炎(燃焼炎)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体に照射して多結晶のダイヤ
    モンド層を形成するダイヤモンド振動板の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体に照射して多結晶のダイヤ
    モンド層を形成した後、振動板基体を溶解除去するダイ
    ヤモンド振動板の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体に照射して多結晶のダイヤ
    モンド層を形成する際に、形成中のダイヤモンド層の厚
    みに応じて炭化水素ガスの濃度を変化させることを特徴
    とするダイヤモンド振動板の製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体に照射して多結晶のダイヤ
    モンド層を形成する際に、形成中のダイヤモンド層の厚
    みに応じて混合ガスの流量を変化させることを特徴とす
    るダイヤモンド振動板の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体の両面に照射してその両面
    に多結晶のダイヤモンド層を形成するダイヤモンド振動
    板の製造方法。
  6. 【請求項6】 燃焼炎ノズル及び振動板基体の少なくと
    も一方を高速に移動することを特徴とする請求項1,
    2,3,4または5記載のダイヤモンド振動板の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を負の電位を印加した振動板基体に照射
    して多結晶のダイヤモンド層を形成することを特徴とす
    るダイヤモンド振動板の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも炭化水素と酸素を含有する混
    合ガスの燃焼炎を振動板基体に照射して多結晶のダイヤ
    モンド層を形成する際に、振動板基体と燃焼炎トーチと
    の間に流れる電流をモニターすることを特徴とするダイ
    ヤモンド振動板の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも1個の燃焼炎ノズルと、燃焼
    炎を吹き付けつつ振動板基体の連続移動が可能な移動機
    構を備えた基体ホルダーと、基体ホルダーを加熱または
    冷却する温度調節機構とを備えたダイヤモンド振動板の
    製造装置。
JP2645392A 1992-02-13 1992-02-13 ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置 Pending JPH05221792A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2645392A JPH05221792A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2645392A JPH05221792A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05221792A true JPH05221792A (ja) 1993-08-31

Family

ID=12193928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2645392A Pending JPH05221792A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05221792A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2488029A (en) * 2011-02-14 2012-08-15 Element Six Ltd Polycrystalline diamond speaker dome coated with a metal compound layer produces colours by optical interference
US11896964B2 (en) 2018-12-06 2024-02-13 Element Six (Uk) Limited Polycrystalline diamond construction and method of making same

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2488029A (en) * 2011-02-14 2012-08-15 Element Six Ltd Polycrystalline diamond speaker dome coated with a metal compound layer produces colours by optical interference
GB2488029B (en) * 2011-02-14 2013-05-29 Element Six Ltd Coated speaker dome and coated diamond products
US8863890B2 (en) 2011-02-14 2014-10-21 Element Six Limited Coated speaker dome and coated diamond products
US11896964B2 (en) 2018-12-06 2024-02-13 Element Six (Uk) Limited Polycrystalline diamond construction and method of making same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4987002A (en) Process for forming a crystalline diamond film
US5556464A (en) Vibration plate of a speaker and method for producing same
US4254184A (en) Vibrating member for acoustic transducer and method for manufacturing the same
JPH05221792A (ja) ダイヤモンド振動板の製造方法及び製造装置
CN211047202U (zh) 一种振膜
JPS61244195A (ja) 音響用振動板
JPS60186195A (ja) 電気音響変換器用振動板の製造方法
US4395814A (en) Acoustic vibrating element of graphite and method of manufacturing same
JPS61128700A (ja) スピ−カ−用振動板
JPS6236439B2 (ja)
RU1812236C (ru) Способ изготовлени акустических диафрагм
JPH04167900A (ja) ダイヤモンド振動板とその合成方法及び合成装置
JPH0385100A (ja) スピーカ用振動板及びその製造法
JP2001160998A (ja) 圧電発音体用振動板とその製造方法
JPS60186194A (ja) 電気音響変換器用振動板の製造方法
JPH0396200A (ja) スピーカ用振動板
JPH0385099A (ja) スピーカ用振動板及びその製造法
JP2748781B2 (ja) シリコン膜の形成方法
JPH04115800A (ja) スピーカー用振動板
JPS5857038B2 (ja) 電気音響変換器用振動板の製造方法
JPS60186197A (ja) 電気音響変換器用振動板とその製造方法
JPH0159208B2 (ja)
JPH04150197A (ja) スピーカ振動板
JPH02249399A (ja) ダイヤモンド被覆スピーカーの製造方法
JPS61244194A (ja) 音響用振動板