JPH0636921A - 多層セラミック部品用フェライト磁性塗料 - Google Patents

多層セラミック部品用フェライト磁性塗料

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JPH0636921A
JPH0636921A JP21218292A JP21218292A JPH0636921A JP H0636921 A JPH0636921 A JP H0636921A JP 21218292 A JP21218292 A JP 21218292A JP 21218292 A JP21218292 A JP 21218292A JP H0636921 A JPH0636921 A JP H0636921A
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F41/16Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for applying magnetic films to substrates the magnetic material being applied in the form of particles, e.g. by serigraphy, to form thick magnetic films or precursors therefor

Abstract

(57)【要約】 【目的】 経時安定性に優れ、調製後の保存によるゲル
化を防止することができ、適正な粘性を保つことがで
き、印刷性、成型性に優れた多層セラミック部品用フェ
ライト磁性塗料を得る。 【構成】 フェライトの構成成分となる各化合物を含む
原料から仮焼体を得、これを湿式粉砕した後乾燥し、そ
の後酸化処理を行う。この酸化処理したフェライト材料
と有機ビヒクルとを混合して多層セラミック部品用フェ
ライト磁性塗料を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層セラミック部品の
フェライト磁性層の形成に用いる多層セラミック部品用
フェライト磁性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】チップインダクタ部品やLC複合部品等
の複合積層部品、積層混成集積回路素子などの各種多層
セラミック部品は、体積が小さいことや、堅牢性および
信頼性が高いことなどから、各種電子機器に多用されて
いる。
【0003】これらの多層セラミック部品は、磁性材料
や誘電体材料等と有機ビヒクルとを混合したペーストを
用いて、印刷法やシート法などにより作製される。例え
ば、チップインダクタ部品やLC複合部品は、通常、内
部導体用ペーストと磁性層用ペースト、あるいはさら
に、誘電体層用ペーストと内部電極層用ペーストとを厚
膜技術によって積層一体化した後、焼成し、得られた焼
結体表面に外部電極用ペーストを印刷ないし転写した
後、焼成することにより製造される。
【0004】ところで、各種多層セラミック部品の磁性
層には、磁気特性に優れた各種フェライトが用いられて
おり、このようなフェライト磁性層は、磁性層用ペース
トとしてフェライト磁性塗料を用いて形成されている。
【0005】そして、このような磁性塗料は、一般に、
次のようにして調製されている。まず、フェライトの構
成成分となる各化合物の粉末等を含む出発原料粉末を湿
式混合し、これを乾燥した後、仮焼し、仮焼体を得る。
次いで、粉砕用溶媒として水を用い、ボールミルなどに
より仮焼体を湿式粉砕し、スプレードライヤーなどによ
り乾燥してフェライト材料粉末を得る。さらに、有機溶
剤にバインダーを溶解した有機ビヒクルや有機溶剤、分
散剤、可塑剤を混合して分散し、必要に応じて濃度や粘
度の調整を行った後、濾過して塗料とする。
【0006】しかし、上記のようにして得られたフェラ
イト材料粉末は、湿式粉砕後の乾燥においてスプレード
ライヤー等による熱風での強制乾燥を行うため、乾燥時
の雰囲気が還元状態になったり、あるいは、湿式粉砕時
にボールミルおよびメディアから混入してくる非常に細
かい鉄が還元状態にあり、そのまま用いて塗料化する
と、このような還元状態に起因するためか、調製直後は
問題とはならないが、1日程度の経時により塗料として
の流動性が失われてゼリー状となり、印刷あるいは成型
が困難になる。
【0007】従って、塗料を調製したのち直ちに使い切
るなどの必要があり、生産性の上からは好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、経時
安定性に優れ、調製後の保存によるゲル化を防止するこ
とができ、適正な粘性を保つことができ、印刷性、成型
性に優れた多層セラミック部品用フェライト磁性塗料を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の構成によって達成される。
【0010】(1)フェライトの構成成分となる各化合
物を含む原料から得られた仮焼体を湿式粉砕した後乾燥
してフェライト材料粉体を得、このフェライト材料粉体
と有機ビヒクルとを混合して得られた多層セラミック部
品用フェライト磁性塗料において、前記フェライト材料
粉体は、乾燥後酸化処理され、酸化処理の後有機ビヒク
ルと混合されたものである多層セラミック部品用フェラ
イト磁性塗料。
【0011】(2)前記酸化処理は、酸素分圧比15%
以上の酸素雰囲気でフェライト材料粉体の少なくとも表
面を酸化させる処理である上記(1)の多層セラミック
部品用フェライト磁性塗料。
【0012】(3)前記処理を20〜400℃の温度で
行う上記(2)の多層セラミック部品用フェライト磁性
塗料。
【0013】(4)前記処理を酸素分圧比20〜100
%の酸素雰囲気中で、80〜350℃の温度で0.3時
間以上行う上記(2)または(3)の多層セラミック部
品用フェライト磁性塗料。
【0014】(5)前記酸化処理の後のフェライト材料
粉体は、熱重量測定において、150〜300℃の温度
での重量増加が0.05%未満である上記(1)ないし
(4)のいずれかの多層セラミック部品用フェライト磁
性塗料。
【0015】(6)さらに、前記フェライトの構成成分
とは異なる酸化物および/またはガラスが添加されてい
る上記(1)ないし(5)のいずれかの多層セラミック
部品用フェライト磁性塗料。
【0016】(7)前記フェライトは、Ni、Cuおよ
びZnの2種または3種を含む上記(1)ないし(6)
のいずれかの多層セラミック部品用フェライト磁性塗
料。
【0017】(8)フェライト磁性層と内部導体とを積
層して構成されるインダクタ部を有する多層セラミック
部品のフェライト磁性層を形成するのに用いる上記
(1)ないし(7)のいずれかの多層セラミック部品用
フェライト磁性塗料。
【0018】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0019】本発明の多層セラミック部品用磁性塗料に
用いるフェライト材料粉体は、フェライトの構成成分と
なる所定の化合物を含む原料粉末等から仮焼体を得、こ
れを湿式粉砕して乾燥した後、さらに酸化処理されたも
のであり、この酸化処理の後有機ビヒクルと混合され
る。
【0020】フェライトと有機物が混在する塗料におい
て、その結合はフェライト結晶中の鉄空格子点が活性中
心になって樹脂等の吸着性を増し、安定な状態を保ち、
厚膜形成に適した粘性の塗料となると考えられるが、本
発明では、酸化処理を行うことにより、湿式粉砕後の乾
燥によって還元状態にあったフェライト材料粉体表面が
酸化されて安定な状態となるため、十分な活性中心が得
られ、適正な粘性の塗料となる。また、樹脂等との吸着
状態も安定していると考えられることから、経時による
粘性の変化が少なく、本発明の効果を奏する。
【0021】これに対し、酸化処理を行わない従来の方
法では、塗料の調製直後においては問題とはならない
が、経時において塗料の粘度が高くなったり、ゼリー状
になったりして、塗料としての適正な粘性が得られず、
印刷、成型を良好に行うことができなくなる。このよう
な粘性変化は、1日程度で生じはじめる。
【0022】これは、フェライト材料粉体の表面が、乾
燥時の還元的雰囲気により、あるいは湿式粉砕時に混入
してくる還元状態の鉄により、還元状態になっているた
めと考えられ、フェライト材料粉体の表面が還元状態で
あると、その活性点が減少し、樹脂中の官能基によるフ
ェライト粉体表面への吸着があまり行われず、経時とと
もに吸着に関与できなかったフリーの樹脂が磁性塗料中
で重合あるいは絡まりあって、塗料の粘度が高くなった
り、ゼリー状になったりして、厚膜形成用塗料としての
粘度性状が悪くなるためと考えられる。
【0023】上記におけるフェライト材料粉体の表面状
態は熱分析の結果によって確認することができる。
【0024】すなわち、本発明のものでは熱重量測定
(TG)の結果において重量の増加が見られないのに対
し、従来のものでは約150℃〜300℃の温度にかけ
て0.05〜0.5%程度の重量の増加が見られる。こ
れは、従来のものでは、フェライト材料粉体の表面が還
元状態であるために、温度の上昇とともに酸化されて安
定な状態へと変化し、そのときの酸化による重量の増加
が生じたためと考えられる。
【0025】従って、本発明にいう酸化処理は、処理後
のフェライト材料粉体のTGの測定結果において、重量
増加が0.05%未満、好ましくは0〜0.045%の
ものをいうものとする。
【0026】本発明における酸化処理は、フェライト材
料粉体の少なくとも表面を酸化状態とすることができる
処理であれば特に制限はないが、通常、酸素分圧比15
%以上、好ましくは20%以上の酸素雰囲気中でフェラ
イト材料粉体表面を酸化させることが好ましい。酸素分
圧比が小さすぎると還元が生じてしまい、逆効果とな
る。
【0027】また、この場合の温度は、20℃以上、好
ましくは20〜400℃とすることが好ましい。温度が
低くなりすぎると酸化が生じにくくなり、酸化に要する
時間が長くなって効率的でない。また、温度が高くなり
すぎると、後の焼成工程において目的とする焼結体が得
られない。
【0028】また、保持時間は、酸素分圧比および温度
に依存するが、0.3時間以上、好ましくは0.5時間
以上とすることが好ましい。保持時間が短すぎると十分
に酸化せず、効果が得られない。
【0029】このようなことから、酸化処理は、酸素分
圧比20〜100%、好ましくは22〜100%、温度
80〜350℃、好ましくは95〜350℃、保持時間
0.3時間以上、好ましくは0.5時間以上、さらに好
ましくは0.8時間以上、特に好ましくは0.8〜15
時間の条件とすることが好ましい。
【0030】このような酸化処理は、温度等を選択する
ことにより空気雰囲気中(酸素分圧比22%)で行うこ
とができ、操作が容易である。
【0031】また、このような処理は、恒温槽あるいは
熱処理炉を用いて行うことができる。
【0032】本発明におけるフェライトの組成には特に
制限はなく、目的に応じて選択することができる。
【0033】なかでも、好ましいものとして、Ni、C
uおよびZnの2種または3種を含むフェライトが挙げ
られる。
【0034】このようなフェライトとしてはNi−Cu
−Zn系、Ni−Cu系、Ni−Zn系、Cu−Zn系
のいずれかであれば、それ以外に特に制限はなく、目的
に応じて種々の組成のものを選択すればよいが、焼結体
として、例えば、Fe23:40〜52mol%、特に4
5〜50mol%、NiO:0〜50mol%、特に3〜40mo
l%、CuO:0〜20mol%、特に5〜15mol%およびZ
nO:0〜50mol%、特に6〜33mol%の組成範囲内で
あることが好ましい。
【0035】この他、Co、Mn等が全体の5wt% 程度
以下含有されていてもよく、またCa、Si、Bi、
V、Pb等が1wt% 程度以下含有されていてもよい。
【0036】また、フェライトの構成成分とは異なる酸
化物やガラスが添加されていてもよい。
【0037】例えば、磁気特性μi、LおよびQを向上
させる目的では、B23 や、SiO2 :0.1〜15
重量%、好ましくは3〜12重量%、B23 :10〜
40重量%、好ましくは20〜35重量%、PbO:
0.1〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、Zn
O:20〜70重量%、好ましくは45〜65重量%お
よびAl23 :0〜6重量%のSiO2 −B23
PbO−ZnO系のガラスが好ましい。また、添加量
は、原料段階のフェライト成分に対して、B23の場
合50ppm 以上1000ppm 未満、SiO2 −B23
−PbO−ZnO−Al23 系のガラスが好ましい。
これらの添加量は、原料段階のフェライト成分に対し
て、B23 の場合50ppm 以上1000ppm 未満、S
iO2 −B23 −PbO−ZnO−Al23 系のガ
ラスの場合250〜4000ppm であることが好まし
い。
【0038】本発明において、フェライト磁性塗料を得
るに際し、フェライトの構成成分となる所定の化合物を
含む原料粉末等から仮焼体を得るが、以下の工程に従
う。
【0039】まず、フェライトの原料粉末、例えばNi
O、ZnO、CuO、Fe23 等の各種粉末を、所定
量ボールミル等により湿式混合する。こうして湿式混合
したものを、通常スプレードライヤーにより乾燥し、そ
の後仮焼する。仮焼条件は特に限定されず、通常の条件
から適宜選択すればよいが、例えば700〜800℃に
て2〜10時間仮焼すればよい。
【0040】また、仮焼体を湿式粉砕し、乾燥するが、
通常ボールミルで粉体粒径0.01〜0.5μm 程度の
粒径となるまで湿式粉砕し、スプレードライヤーにより
乾燥する。
【0041】そして、こののち、前記のような酸化処理
を行ってフェライト材料粉体を得、有機ビヒクルと混合
して磁性塗料を得る。
【0042】なお、酸化処理後のフェライト材料粉体の
粒径は、上記の湿式粉砕後の粒径と同じである。
【0043】また、前記のようにガラス等が添加された
フェライトとするときには、ガラス等は仮焼後に添加
し、仮焼体とともに湿式粉砕することが好ましい。ガラ
ス等を仮焼前に添加すると、その成分が蒸発しやすくな
り、添加の実効が得られにくくなる。
【0044】上記において用いる有機ビヒクルは、有機
溶剤にバインダーを溶解させたものである。
【0045】このときのバインダーには特に制限はな
く、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニル
ブチラール、アクリル、フェノール、ウレタン、ポリエ
ステル、ロジン、マレイン酸、メラミン、尿素樹脂等の
各種樹脂の1種以上を用いることができる。
【0046】また、有機溶剤としては、アルコール系
(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノー
ル、テルピノール等)、ケトン系(アセトン等)、セロ
ソルブ系(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、
エステル系(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル系
(エチルエーテル、ブチルカルビトール等)などを用い
ることができ、1種のみを用いても2種以上を併用して
もよい。
【0047】本発明において、バインダーおよび溶剤
は、通常、有機ビヒクルとして添加するが、バインダー
と溶剤とを別々に添加してもよい。
【0048】本発明の磁性塗料中のバインダーおよび溶
剤の含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、
バインダーは1〜5wt% 程度、溶剤は10〜50wt% 程
度とすればよい。さらに、磁性塗料中には、フタル酸エ
ステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、グリ
コール誘導体系等の可塑剤、脂肪酸アミド系、有機リン
酸エステル系、カルボン酸系等の分散剤を含有させても
よい。これらの総含有量は10wt% 以下であることが好
ましい。
【0049】本発明の磁性塗料は、ボールミル、3本ロ
ール等を用いて混練するなどして塗料化すればよい。混
練時間は、ボールミルの場合、1〜15時間程度とし、
3本ロールの場合、3パス程度する。
【0050】このようにして得られる本発明の磁性塗料
の調製直後の初期粘度はシート用の場合、15〜35po
ise 、好ましくは15〜30poise の範囲であり、1ケ
月以上、特に1〜5ケ月の経時によっても15〜60po
ise 、好ましくは15〜40poise 、さらに好ましくは
15〜35poise 、特に好ましくは15〜30poiseの
範囲にあり、十分使用に適するものである。また、印刷
用の場合は、初期粘度が150〜200poise の範囲で
あり、1ケ月以上、特に1〜5ケ月の経時によっても1
50〜200poise の範囲にあり、十分使用に適する。
【0051】本発明のフェライト磁性塗料を用いた多層
セラミック部品の好適実施例である積層LC複合部品を
図1に示す。
【0052】図1に示されるLC複合部品1は、セラミ
ック誘電体層21と内部電極層25とを積層して構成さ
れるコンデンサチップ体2と、フェライト磁性層31と
内部導体35とを積層して構成されるインダクタチップ
体3とを一体化したものであり、表面に外部電極51を
有する。
【0053】インダクタチップ体3のフェライト磁性層
31は、本発明のフェライト磁性塗料を用いて形成され
たものである。この場合、Ni−Cu−Zn系、Ni−
Cu系、Ni−Zn系あるいはCu−Zn系のフェライ
トを用いる。この他、Co、Mn等が全体の5wt% 程度
以下含有されていてもよく、またCa、Si、Bi、
V、Pb等が1wt% 程度以下含有されているものであっ
てもよい。
【0054】本発明において、内部導体35を構成する
導電材料は、インダクタとして実用的なQを得るために
は抵抗率の小さいことが必要であるので、Agを主体と
する導電材料を用いることが好ましい。この際、銀の含
有量が90重量%以上のもの、特に純度99.9重量%
以上の純銀を用いることが好ましい。このように、特に
純銀を用いることにより比抵抗をきわめて小さくするこ
とができる。
【0055】LC複合部品1のインダクタチップ体3
は、従来公知の構造とすればよく、外形は通常ほぼ直方
体状の形状とする。そして図1に示されるように、内部
導体35は磁性層31内にて通常スパイラル状に配置さ
れて内部巻線を構成し、その両端部は各外部電極51、
51に接続されている。
【0056】このような場合、内部導体35の巻線パタ
ーン、すなわち閉磁路形状は種々のパターンとすること
ができ、またその巻数も用途に応じ適宜選択すればよ
い。また、インダクタチップ体3の各部寸法等には制限
はなく、用途に応じ適宜選択すればよい。
【0057】なお、内部導体35の厚さは、通常5〜3
0μm 程度、巻線ピッチは通常10〜400μm 程度、
巻数は通常1.5〜50.5ターン程度とされる。ま
た、磁性層31のベース厚は通常100〜500μm 程
度、内部導体35、35間の磁性層厚は通常10〜10
0μm 程度とする。
【0058】コンデンサチップ体2のセラミック誘電体
層21には特に制限がなく種々の誘電体材料を用いてよ
いが、焼成温度が低いことから、酸化チタン系誘電体を
用いることが好ましい。また、その他、チタン酸系複合
酸化物、ジルコン酸系複合酸化物、あるいはこれらの混
合物を用いることもできる。また、焼成温度を低下させ
るために、ホウケイ酸ガラス等のガラスを含有させても
よい。
【0059】具体的には、酸化チタン系としては、必要
に応じNiO、CuO、Mn34、Al23、Mg
O、SiO2 等、特にCuOを含むTiO2 等が、チタ
ン酸系複合酸化物としては、BaTiO3 、SrTiO
3、CaTiO3 、MgTiO3やこれらの混合物等が、
ジルコン酸系複合酸化物としては、BaZrO3 、Sr
ZrO3 、CaZrO3 、MgZrO3 やこれらの混合
物等が挙げられる。
【0060】本発明において、内部電極層25を構成す
る導電材料に特に制限はなく、Ag、Pt、Pd、A
u、Cu、Niや、例えばAg−Pd合金など、これら
を1種以上含有する合金等から選択すればよいが、特に
Ag、Ag−Pd合金などのAg合金等が好適である。
【0061】LC複合部品1のコンデンサチップ体2
は、従来公知の構造とすればよく、外形は通常ほぼ直方
体状の形状とする。そして図1に示されるように、内部
電極層25の一端は外部電極51に接続されている。
【0062】コンデンサチップ体2の各部寸法等には特
に制限はなく、用途等に応じ適宜選択すればよい。な
お、誘電体層21の積層数は目的に応じて定めればよい
が、通常1〜100程度である。また、誘電体層21の
一層あたりの厚さは、通常20〜150μm 程度であ
り、内部電極層25の一層あたりの厚さは、通常5〜3
0μm 程度である。
【0063】本発明におけるLC複合部品1の外部電極
51を構成する導電材料に特に制限はなく、例えば、A
g、Pt、Pd、Au、Cu、NiやAg−Pd合金な
どのこれらを1種以上含有する合金等から選択すればよ
いが、特にAg、Ag−Pd合金などのAg合金等が好
適である。また、外部電極51の形状や寸法等には特に
制限がなく、目的や用途等に応じて適宜決定すればよい
が、厚さは、通常100〜2500μm 程度である。
【0064】本発明におけるLC複合部品1の寸法には
特に制限がなく、目的や用途等に応じて適宜選択すれば
よいが、通常(1.6〜10.0mm)×(0.8〜1
5.0mm)×(1.0〜5.0mm)程度である。
【0065】このようなLC複合部品1は、本発明のフ
ェライト磁性塗料等のペーストを用い、通常の印刷法や
シート法により製造することができる。
【0066】本発明において、フェライト磁性塗料を調
製する場合、前記のように酸化処理したフェライト材料
粉末を用いているので、印刷法によるときは印刷性に優
れる。また、シート法によるときは磁性層用のシートフ
ィルムの性状が良好となる。
【0067】印刷性、シートフィルムの性状の判断は、
実体顕微鏡等により観察することができる。例えば、印
刷性については、磁性塗料を印刷して乾燥したものを観
察すると、印刷膜にピンホールや凹凸がないなど、良好
な膜質のものが得られる。また、シートフィルムについ
ても同様のことがいえ、さらにこの場合には平坦で均一
の厚さのものを得ることができる。
【0068】LC複合部品1においては、フェライト磁
性塗料のほかに、セラミック誘電体層用ペーストが用い
られるが、その構成に特に制限はなく、上記したような
フェライト誘電体層の組成に応じて各種誘電体材料ある
いは焼成により誘電体となる原料粉末を選択し、各種バ
インダーおよび溶剤と混練して調製すればよい。
【0069】原料粉末としては、通常、酸化チタン系お
よびチタン酸系複合酸化物等を構成する酸化物を用いれ
ばよく、対応する酸化物誘電体の組成に応じ、Ti、B
a、Sr、Ca、Zr等の酸化物を用いればよい。また
これらは焼成により酸化物になる化合物、例えば炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等を
用いてもよい。
【0070】これらの原料粉末は、通常、平均粒子径
0.1〜5μm 程度のものが用いられる。
【0071】また、必要に応じ、各種ガラスが含有され
ていてもよい。
【0072】また、焼結助剤等として、必要に応じて各
種ガラスや酸化物を含有させてもよい。
【0073】内部導体用ペースト、内部電極層用ペース
ト、および外部電極用ペーストは、それぞれ、上記した
各種導電性金属、合金、あるいは焼成後に上記した導電
材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等
と、上記した各種バインダーおよび溶剤とを混練して作
製する。
【0074】上記した各ペースト中のバインダーおよび
溶剤の含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例え
ば、バインダーは1〜5wt% 程度、溶剤は10〜50wt
% 程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に
応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択
される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有
量は、10wt% 以下であることが好ましい。
【0075】LC複合部品1を製造するに際しては、例
えば、まず、磁性層用ペ−ストである本発明の磁性塗料
および内部導体用ペ−ストをPET等の基板上に積層印
刷する。
【0076】なお、磁性層用ペーストである本発明の磁
性塗料や誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを
形成し、この上に内部導体用ペーストや内部電極層用ペ
ーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップ
を形成してもよい。この場合、磁性層に隣接する誘電体
層は直接印刷すればよい。
【0077】次いで、外部電極用ペーストをグリーンチ
ップに印刷ないし転写し、磁性層用ペーストである本発
明の磁性塗料、内部導体用ペースト、誘電体層用ペース
ト、内部電極層用ペーストおよび外部電極用ペーストを
同時焼成する。
【0078】また、先にチップ体を焼成し、その後に外
部電極用ペーストを印刷して焼成することもできる。
【0079】焼成温度は、800〜930℃、特に85
0〜900℃とすることが好ましい。また、焼成時間
は、0.05〜5時間、特に0.1〜3時間とすること
が好まい。焼成は、酸素分圧比1〜100の雰囲気で行
う。
【0080】また、外部電極焼き付けのための焼成温度
は、通常500〜700℃程度、焼成時間は、通常10
分〜3時間程度であり、焼成は通常、空気中で行う。
【0081】本発明では、焼成時および焼成後、大気よ
り酸素を過剰に含む雰囲気中で熱処理を行うことが好ま
しい。
【0082】酸素過剰雰囲気中で熱処理を行うことによ
って、Cu、Zn等の金属やCu2O、Zn2 O等の抵
抗が低い酸化物の形で析出した物や析出していた物をC
uO、ZnO等の抵抗が高く実害のない酸化物の形で析
出させることができる。このため部品の回路抵抗がより
一層向上する。
【0083】また、前記熱処理は、最後の焼成時および
最後の焼成後に行うことが好ましい。
【0084】例えば、チップ体の焼成と外部電極を焼き
付けるための焼成とを同時に行う場合は、この焼成の時
およびこの焼成の後、チップ体の焼成後に外部電極を焼
き付けるための焼成を行う場合は、外部電極を焼き付け
る時や外部電極を焼き付けた後に所定の熱処理を行うこ
とが好ましい。なお、後者のように2度焼成を行う場合
は、場合によっては、さらにチップ体の焼成時やチップ
体の焼成後に熱処理を行なってもよい。
【0085】熱処理雰囲気中の酸素分圧比は、20〜1
00%、より好ましくは50〜100%、特に好ましく
は100%が好ましい。酸素分圧比が小さくなると、C
u、Zn、Cu2 O、ZnO等の析出を抑制する能力が
低下する。
【0086】このような酸素過剰雰囲気中での熱処理
は、通常、焼成時や外部電極の焼き付け時に同時に行わ
れるため、熱処理温度や保持時間等の諸条件は、焼成条
件や外部電極焼き付け条件と同様であるが、熱処理のみ
を単独で行う場合、熱処理温度は、550〜900℃、
特に650〜800℃、保持時間は0.5〜2時間、特
に1〜1.5時間とすることが好ましい。
【0087】本発明における多層セラミック部品は、図
1のLC複合部品に限定されるものではなく、本発明の
フェライト磁性塗料を用いて形成した磁性層を有するも
のであれば、いずれであってもよい。
【0088】このような他の多層セラミック部品も、L
C複合部品に準じて同様に作製することができる。
【0089】このようにして製造されたLC複合部品等
の多層セラミック部品は、外部電極に半田付等を行うこ
とにより、プリント基板上等に実装され、各種電子機器
等に使用される。
【0090】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0091】実施例1 最終組成でFe23 :49.3モル%、NiO:1
6.3モル%、CuO:8.5モル%およびZnO:2
5.9モル%となるように原料を混合した。原料の混合
は、ボールミルを用いて湿式混合により行い、ついで、
この湿式混合物をスプレードライヤーにより乾燥し、7
00℃にて仮焼した。この仮焼材に、SiO2 :10重
量%、B23 :25重量%、PbO:5重量%、Zn
O:59.5重量%およびAl23 :0.5重量%の
組成を有するガラスを0〜5000ppm の範囲で添加
し、これをボールミルにて湿式粉砕した後スプレードラ
イヤーで乾燥し、最終平均粒径0.1〜0.3μm の粉
体No. 1を作製した。
【0092】この粉体No. 1を酸素分圧比10%、20
%、22%(空気中)、50%、100%とし、温度、
時間を表1〜表10に示すようにかえて恒温槽あるいは
熱処理炉を用いて酸化処理した。酸素分圧比10%の条
件のものを粉体No. 101〜No. 117、酸素分圧比2
0%の条件のものを粉体No. 201〜No. 217、空気
中の条件のものを粉体No. 301〜No. 317、酸素分
圧比50%の条件のものを粉体No. 401〜No. 41
7、酸素分圧比100%の条件のものを粉体No.501
〜No. 517とする。
【0093】これらの粉体を各々用いて、粉体100重
量部に対して下記の割合で各成分を添加し、ボールミル
にて12時間混練し、磁性塗料を作製した。 フェライト磁性粉体 100重量部 トルエン 42重量部 エタノール 30重量部 ポリビニルブチラール 2重量部 エチルセルロース 2重量部 可塑剤(DBP) 4重量部 分散剤(オレイン酸) 1重量部
【0094】なお、バインダーとして用いたポリビニル
ブチラールは、このもの15重量部をトルエン60重量
部、エタノール40重量部中に溶解して、またエチルセ
ルロースは、このもの15重量部を、トルエン60重量
部、エタノール40重量部に溶解して、各々、有機ビヒ
クルとして添加した。
【0095】このようにして調製した磁性塗料を、用い
た粉体に応じて磁性塗料No. 1、101〜117、20
1〜217、301〜317、401〜417、501
〜517とする。これらの各塗料の25℃における初期
粘度、7日経過したときの粘度、30日経過したときの
粘度を測定した。
【0096】結果を表1〜表10に示す。
【0097】なお、酸化処理を行わない粉体No. 1を用
いた磁性塗料No. 1は、25℃における初期粘度が25
poise と問題のないレベルにあったが、25℃で1日経
過した段階でゲル化してしまった。この磁性塗料No. 1
についても、上記と同条件下で粘度を測定した。この結
果を表11に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】表1〜表11の結果から明らかなように、
処理雰囲気中の酸素分圧比、処理温度、処理時間を選択
して、乾燥後のフェライト磁性粉体を処理することによ
って経時による磁性塗料のゲル化を防止できることがわ
かる。
【0110】このように、ゲル化が防止されるのは、粉
体表面が酸化された状態であるためと考えられる。
【0111】これを確認するために、磁性塗料No. 1に
用いた粉体No. 1と、磁性塗料No.308に用いた粉体N
o. 308とについて、熱分析を行った。
【0112】粉体No. 1のTG、DTAの測定結果を図
2に、粉体No. 308の測定結果を図3に、それぞれ示
す。TG、DTAともに、昇温速度3℃/分、50cc/
分の空気雰囲気として測定したものである。
【0113】図2、図3から明らかなように、経時によ
りゲル化する磁性塗料No. 1の粉体No. 1では、TG曲
線において、150℃〜300℃の温度で、0.1%の
重量増加がみられる(図2)のに対し、ゲル化しない磁
性塗料No. 308の粉体No.308では重量増加はみら
れない(図3)。これは、粉体No. 1では粉体表面が還
元状態にあるため、加熱により酸化されて形成された酸
化物による重量増加が起こるためと考えられ、これに対
し、粉体No. 308ではすでに酸化処理によって表面酸
化が生じないため重量増加は起こらないからと考えられ
る。
【0114】上記と同様の熱分析結果は、ゲル化した磁
性塗料、ゲル化しない磁性塗料に応じて、その構成フェ
ライト磁性粉体において、同様の傾向を示した。
【0115】実験例1 1ケ月(25℃)経時後の本発明の磁性塗料No. 308
と内部導体用ペーストとを用いて、シート法により積層
型チップインダクタAを製造した。
【0116】なお、内部導体用ペーストは、平均粒径
0.8μm のAg100重量部に対し、エチルセルロー
ス2.5重量部およびテルピネオール40重量部を加
え、三本ロールにて混練することにより調製した。
【0117】また、磁性塗料No. 308のかわりに1ケ
月経時後のゲル化した磁性塗料No.1を用いて同様に積
層型チップインダクタBを製造した。
【0118】インダクタAでは、磁性層形成用のシート
フィルム(100μm )の作製を支障なく行うことがで
きたが、インダクタBではシートフィルムの作製が困難
をきわめた。
【0119】インダクタA、B用のシートフィルムを目
視あるいは実体顕微鏡により観察したところ、インダク
タA用では平坦で均一な厚さの良好なフィルムが得られ
たが、インダクタB用ではフィルムの作製自体が困難で
あり、凹凸が存在し、ピンホールやクラック等も見られ
た。
【0120】さらに、インダクタA、Bについて、測定
周波数1MHz におけるμi、L、Qを調べたところ、イ
ンダクタAでは良好な特性を示したが、インダクタBで
は特性が劣り、また乾燥クラックが原因と思われるクラ
ックが見られ、使用上問題があると考えられた。
【0121】さらに、磁性塗料No. 308を25℃で5
ケ月経時させて用いても、1ケ月経時させたものと同等
であった。
【0122】実験例2 実験例1においてシート法のかわりに印刷積層法によ
り、積層型チップインダクタを製造した。
【0123】この場合の磁性塗料は、実験例1のものに
準じて調製し、1ケ月経時後のものを用いた。すなわ
ち、本発明の粉体No. 308あるいは粉体No. 1を含有
させるほかは、下記の構成とし、3本ロールで混練する
ものとした。 フェライト磁性粉体 110重量部 有機ビヒクル 52重量部 テルピノール 31重量部
【0124】なお、上記の有機ビヒクルはエチルセルロ
ース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解し
て調製したものである。本発明の粉体No. 308を含有
する磁性塗料の初期粘度は180poise であり、1ケ月
経時後においても183poise であった。また、粉体N
o. 1を含有する磁性塗料の初期粘度は本発明のものと
同等であったが、1ケ月経時後はゲル化した。
【0125】1ケ月経時後の本発明の粉体No. 308を
含有する磁性塗料を用いたものをインダクタC、粉体N
o. 1を含有する磁性塗料を用いたものをインダクタD
とする。
【0126】積層型チップインダクタCでは、粉体No.
308を含有する磁性塗料を用いているため、1ケ月後
においても適正な粘性を有し、印刷性が良好であり、支
障なく、その製造を行うことができた。
【0127】一方、インダクタDでは、粉体No. 1を含
有する磁性塗料はゲル化しており、印刷が困難であり、
その製造も困難をきわめた。
【0128】実際、製造途中で、磁性塗料印刷面を10
0℃で30分間乾燥して実体顕微鏡で観察したところ、
粉体No. 308を含有する磁性塗料では印刷面に凹凸が
なく良好な状態であったが、粉体No. 1を含有するゲル
化した磁性塗料では印刷面に凹凸が存在した。また、ゲ
ル化した磁性塗料を用いたグリーンチップにはクラック
が見られた。
【0129】さらに、インダクタC、Dについて、実験
例1と同様に、特性を調べたところ、インダクタCでは
良好な特性を示したが、インダクタDでは特性が劣り、
使用上問題があると考えられた。
【0130】さらに、粉体No. 308を含有する磁性塗
料を25℃で5ケ月経時させて用いても、1ケ月経時さ
せたものと同等であった。
【0131】実施例2 実施例1の磁性塗料において、ガラス添加を行わない粉
体を用いる他は同様にして各種磁性塗料を調製し、実施
例1と同条件で粘度を測定したところ、酸化処理の条件
に応じて実施例1と同等の結果を示した。
【0132】
【発明の効果】本発明によれば、経時安定性に優れ、保
存によるゲル化を防止することができ、適正な粘性を保
つことができる。この結果、印刷性、成型性に優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における多層セラミック部品の好適実施
例であるLC複合部品が示される断面図である。
【図2】従来の磁性塗料に用いるフェライト粉体の熱分
析の結果を示すグラフである。
【図3】本発明の磁性塗料に用いるフェライト粉体の熱
分析の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 LC複合部品 2 コンデンサチップ体 21 セラミック誘電体層 25 内部電極 3 インダクタチップ体 31 フェライト磁性層 35 内部導体 51 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 徹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライトの構成成分となる各化合物を
    含む原料から得られた仮焼体を湿式粉砕した後乾燥して
    フェライト材料粉体を得、このフェライト材料粉体と有
    機ビヒクルとを混合して得られた多層セラミック部品用
    フェライト磁性塗料において、 前記フェライト材料粉体は、乾燥後酸化処理され、酸化
    処理の後有機ビヒクルと混合されたものである多層セラ
    ミック部品用フェライト磁性塗料。
  2. 【請求項2】 前記酸化処理は、酸素分圧比15%以上
    の酸素雰囲気でフェライト材料粉体の少なくとも表面を
    酸化させる処理である請求項1の多層セラミック部品用
    フェライト磁性塗料。
  3. 【請求項3】 前記処理を20〜400℃の温度で行う
    請求項2の多層セラミック部品用フェライト磁性塗料。
  4. 【請求項4】 前記処理を酸素分圧比20〜100%の
    酸素雰囲気中で、80〜350℃の温度で0.3時間以
    上行う請求項2または3の多層セラミック部品用フェラ
    イト磁性塗料。
  5. 【請求項5】 前記酸化処理の後のフェライト材料粉体
    は、熱重量測定において、150〜300℃の温度での
    重量増加が0.05%未満である請求項1ないし4のい
    ずれかの多層セラミック部品用フェライト磁性塗料。
  6. 【請求項6】 さらに、前記フェライトの構成成分とは
    異なる酸化物および/またはガラスが添加されている請
    求項1ないし5のいずれかの多層セラミック部品用フェ
    ライト磁性塗料。
  7. 【請求項7】 前記フェライトは、Ni、CuおよびZ
    nの2種または3種を含む請求項1ないし6のいずれか
    の多層セラミック部品用フェライト磁性塗料。
  8. 【請求項8】 フェライト磁性層と内部導体とを積層し
    て構成されるインダクタ部を有する多層セラミック部品
    のフェライト磁性層を形成するのに用いる請求項1ない
    し7のいずれかの多層セラミック部品用フェライト磁性
    塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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KR101319646B1 (ko) * 2010-10-29 2013-10-17 삼성전기주식회사 엔아이제트엔씨유계 페라이트 조성물, 및 이를 이용한 적층형 칩 부품

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8207810B2 (en) 2007-12-07 2012-06-26 Murata Manufacturing Co., Ltd. Multilayer electronic component
KR101319646B1 (ko) * 2010-10-29 2013-10-17 삼성전기주식회사 엔아이제트엔씨유계 페라이트 조성물, 및 이를 이용한 적층형 칩 부품

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