JPH0635667B2 - 金属表面の親水化処理剤 - Google Patents

金属表面の親水化処理剤

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JPH0635667B2
JPH0635667B2 JP58060443A JP6044383A JPH0635667B2 JP H0635667 B2 JPH0635667 B2 JP H0635667B2 JP 58060443 A JP58060443 A JP 58060443A JP 6044383 A JP6044383 A JP 6044383A JP H0635667 B2 JPH0635667 B2 JP H0635667B2
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卓 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属表面の親水化処理剤に関し、さらに詳しく
は分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコール
(以下ポリビニルアルコールをPVAと略記する)ある
いはこれと無機物とよりなり、金属表面を親水化し、金
属表面での水滴の発生の抑制あるいは防止する性能を有
し、さらに防錆性に優れた表面を付与しうる金属表面の
親水化処理剤に関する。
近年空調機器の発達にともない、空調機器の熱交換部
は、熱交換効率を上げるため、フインとフインとの間隔
を狭めて、送り込まれる空気とフインとの接触面積が大
きくなるように設計されているが、冷房時においてはフ
インの表面に凝縮による水滴がつきやすく、水滴によっ
てフインとフインの間隔が狭まるため通風抵抗が著しく
増加し、熱交換効率を低下させるという問題があつた。
従来このような問題点を改良するため、PVA等の親水
性ポリマーとシリカまたはこれらに低分子有機ケイ素化
合物を配合したものを金属表面に被覆する方法(特開昭
55−99976)が提案されている。しかしながらこ
の方法による被覆は水ぬれ等の金属に対する接着力が低
く、長期の使用に耐え得ないという欠点があつた。
本発明者らは上述の欠点を克服する目的で鋭意研究した
結果、分子内にシリル基を有する変性PVAあるいはこ
れと無機物よりなる処理剤で金属表面を被覆する時は、
金属表面の水ぬれ性が向上し、金属表面での水滴の発生
が抑制あるいは防止されるとともに水ぬれ時においても
金属に対する接着力が高く、更に金属表面の防錆性も向
上しうることを見いだし本発明を完成するに到つた。
以下に本発明について更に詳細に説明する。
本発明で使用される分子内にケイ素を含む変性PVAは
分子内にケイ素を含むものであればいずれでもよいが、
分子内に含有されるケイ素がアルコキシル基あるいはア
シロキシル基あるいはこれらの加水分解物であるシラノ
ール基又はその塩等の反応性置換基を有しているものが
特に好ましく用いられる。
かかる変性PVAの製造方法としては、PVAあるい
はカルボキシル基又は水酸基を含有する変性ポリ酢酸ビ
ニルに、シリル化剤を用いて後変性によりケイ素を導入
する方法、ビニルエステルと分子内にラリル基と含有
するオレフイン性不飽和単量体あるいはこれらと分子内
にイオン性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体と
の共重合体をケン化する方法、シリル基を有するメル
カプタンの存在下でビニルエステルを重合するかあるい
はビニルエステルと分子内にイオン性親水基を有するオ
レフイン性不飽和単量体とを共重合して得られる末端に
シリル基を有する重合体あるいは共重合体をケン化する
方法が挙げられる。PVAあるいは変性ポリ酢酸ビニル
にシリル化剤を用いて後変性する方法においては例え
ば、シリル化剤と反応しない有機溶媒、たとえばベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、エーテ
ル又はアセトンなどにシリル化剤を溶解させ、該溶液中
に粉末状PVAあるいは上記変性ポリ酢酸ビニルを撹拌
下に懸濁させ、常温〜シリル化剤の沸点の範囲の温度に
おいてシリル化剤とPVAあるいは上記変性ポリ酢酸ビ
ニルを反応させることによつてあるいは更にアルカリ触
媒等によつて酢酸ビニル単位をケン化することによつて
シリル基含有変性PVAを得ることができる。後変性に
おいて用いられるシリル化剤としては、トリメチルクロ
ルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロル
シラン、ビニルトリクロルシラン、ジフエニルクロルシ
ラン、トリエチルフルオルシラン等のオルガノハロゲン
シラン、トリメチルアセトキシシラン、ジメチルジアセ
トキシシランなどのオルガノシリコンエステル、トリメ
チルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどの
オルガノアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ジ
エチルシランジオール等のオルガノシラノール、、N−
アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のア
ミノアルキルシラン、トリメチルシリコンイソシアネー
ト等のオルガノシリコンイソシアネート等が挙げられ
る。シリル化剤の導入率すなわち変性度は用いられるシ
リル化剤の量、反応時間によつて任意に調節することが
できる。また得られるシリル基含有変性PVAの重合
度、ケン化度は用いられるPVAの重合度、ケン化度あ
るいは上記変性ポリ酢酸ビニルの重合度およびケン化反
応によつて任意に調節することができる。
またビニルエステルと分子内にシリル基を含有するオレ
フイン性不飽和単量体あるいはこれらと分子内にイオン
性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体との共重合
体をケン化する方法においては、例えば、アルコール中
においてビニルエステルと分子内にシリル基を含有する
オレフイン性不飽和単量体あるいはこれらと分子内にイ
オン性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体とをラ
ジカル開始剤を用いて共重合せしめ、しかる後に該共重
合体のアルコール溶液にアルカリあるいは酸触媒を加え
て該共重合体をケン化せしめることによつてシリル基含
有変性PVAあるいはシリル基とイオン性親水基とを有
する変性PVAを得ることができる。本方法において用
いられるシリル基含有オレフイン性不飽和単量体として
は次式(I)で示されるビニルシラン、(II)で示される
(メタ)アクリルアミド−アルキルシランが挙げられ
る。
〔ここでnは0〜4、mは0〜2、Rは炭素数1〜5
のアルキル基(メチル、エチルなど)Rは炭素数1〜
40のアルコキシル基またはアシロキシル基(ここでア
ルコキシル基又はアシロキシル基は酸素を含有する置換
基を有していてもよい。)、Rは水素原子またはメチ
ル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル
基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基または連鎖炭素
原子が酸素もしくは窒素によつて相互に結合された2価
の有機残基をそれぞれ示す。なおRが同一単量体中に
2個存在する場合はRは同じものであつてもよいし、
異なるものであつてもよい。またRが同一単量体中に
2個以上存在する場合も、Rは同じものであつてもよ
いし、異なるものであつてもよい。〕 式(I)で示されるビニルシランの具体例としては、例え
ばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、
ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラ
ン、アリルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメト
キシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメ
チルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラ
ン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチル
アセトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブト
キシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメ
トキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシオクチ
ロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、
ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウ
リロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラ
ン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメ
トキシオレイロキシシラン、更には一般式 (ここでR、mは前記と同じ、xは1〜20を示す)
で表わされるポリエチレングリコール化ビニルシラン等
が挙げられる。また式(II)で表わされる(メタ)アクリ
ルアミド−アルキルシランの具体例とては例えば、3−
(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラ
ン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキ
シシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ
(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリ
ルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2
−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメト
キシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチ
ル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(メ
タ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、
2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラ
ン、1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシ
シラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチル
ジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロ
ピルジメチルメトキシシラン、3−(N−メチル−(メ
タ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3
−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−3−ハイド
ロキシプロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)ア
クリルアミド−メトキシ)−プロピルトリメトキシシラ
ン、ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル
−3−(トリメチルシリル)プロピルアンモニウムクロ
ライド、ジメチル−2−(メタ)アクリルアミド−2−
メチルプロピル−3−(トリメトキシシリル)プロピル
アンモニウムクロライド等が挙げられる。
又、本方法において場合により用いられる分子内にイオ
ン性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体としては
カルボキシル基、スルホン酸基およびこれらの塩、ある
いはアミノ基、アンモニウム塩基を有するオレフイン性
不飽和単量体が挙げられるが、共重合体をケン化する際
イオン性親水基を生成しうる上記イオン性親水基のエス
テルあるいはアミド、またはイミドを有するオレフイン
性不飽和単量体も本発明で用いられるイオン性親水基を
有するオレフイン性不飽和単量体に含まれる。具体的に
は(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
それらの塩あるいはそれらのモノマはジアルキルエステ
ル、(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸、アリ
ルスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−プロピル
スルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロビルスルホン酸、それらの塩あるいはそれらのアル
キルエステル、ビニルアミン、ビニルサクシニイミド、
ブチル−N−ビニルカルバメート、メチル−N−ビニル
カルバメート等のビニルアミン誘導体、N−ビニルイミ
ダゾール、2−メチル−N−ビニルイミダゾール、N,
N−ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル
アミン、N,N−ジメチル−2−(メタ)アクリルアミ
ド−2−メチルプロピルアミン、これらの1〜4級アン
モニウム塩誘導体等が使用できる。これらのイオン性親
水基を導入した変性PVAを使用する場合は金属表面の
水ぬれ性がさらに良好となる。またシリル基を有するメ
ルカプタンの存在下でビニルエステルを重合するか、ま
たはビニルエステルと分子内にイオン性親水基を有する
オレフイン性不飽和単量体とを共重合することによつて
得られる末端にラリル基を有するポリビニルエステルあ
るいは共重合体をケン化する方法においては、例えばビ
ニルエステルあるいはビニルエステルと分子内にイオン
性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体とをラジカ
ル開始剤を用いて重合せしめる際、シリル基を有するメ
ルカプタンを重合系に一括または分割あるいは連続して
添加し、重合系中にシリル基を有するメルカプタンを存
在せしめ、メルカプタンへの連鎖移動によつて末端にシ
リル基を有するポリビニルエステルあるいは共重合体を
生成せしめ、該ポリビニルエステルあるいは共重合体の
アルコール溶液にアルカリあるいは酸触媒を加えて該ポ
リビニルエステルをケン化せしめることによつてシリル
基を有する変性PVAを得ることができる。
本方法で用いられるシリル基を有するメルカプタンして
は3−(トリメトキシシリル)−プロピルメルカプタ
ン、3−(トリエトキシシリル)−プロピルメルカプタ
ン等が使用しうる。上記あるいはの方法において用
いられるビニルエステルとして酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ギ酸ビニル等が挙げられるが経済的にみて酢
酸ビニルが好ましい。
本発明において使用される分子内にシリル基を含有する
変性PVAの上述した3つの製造方法においておよび
の方法が工業的製造の容易性および、得られる変性P
VAの均質性の点で好ましく用いられる。
本発明において使用されるシリル基を含有する変性PV
A中のシリル基あるいはイオン性親水基の含有量、ケン
化度あるいは重合度は目的に応じて適宜選択され特に制
限はない。シリル基は比較的少量の含有率でも効果が発
揮され、通常シリル基を含む単量体単位として0.01
〜10モル%、好ましくは0.1〜2.5モル%の範囲
から選ばれる。またイオン性親水基の含有量としては通
常0.2〜10モル%、好ましくは0.5〜5モル%の
範囲から選ばれる。ケン化度は通常70〜100モル%
の範囲が好ましい。また重合度は通常10〜3000の
範囲から選ばれる。
本発明において使用される上記変性PVAを水に溶解す
るにあたつては、通常変性PVAを水に分散後場合によ
つては水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、撹拌し
ながら加温することによつて均一な水溶液を得ることが
できる。
本発明において場合により用いられる無機物としては、
アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム等の
変性PVA中のシリル基と反応性を有する元素を含むも
のが好ましく、具体的にはクレー、タルク、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリ
カ、砂、酸化アルミニウム等が挙げられる。更に水ガラ
ス等の水溶性ケイ酸塩、硫酸アルミニウム、アルミン酸
ナトリウム等の水溶性アルミニウム化合物、炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム等の水溶性ジルコニウム化合物等も
使用しうるが、分子内にシリル基を含有する変性ポリビ
ニルアルコール水溶液の粘度を上昇させやすいため最良
とはいえない。これらの無機質を使用することにより、
後述する実施例からも明らかなとおり、金属表面の防錆
性を一段と向上させることができる。本発明の目的のた
めには水不溶性無機物粒子が好ましく、特にコロイダル
シリカ、微粉状シリカ粒子等が得られる塗膜の水ぬれ性
および耐水性の点で好ましい。
分子内にシリル基を有する変性PVAに無機物を配合し
て使用する場合の配合比率は前者/後者0.1/99.
9〜100/0(重量部)、より好ましくは1/99〜
95/5となるように調節することが好ましい。後者の
配合比率が99.9を超える場合には金属表面への接着
力が不十分となる。
本発明の金属表面の親水化処理剤は分子内にシリル基を
有する変性PVAあるいはこれと無機物とを含んでいる
ことが必須の条件であるが、それ以外にも場合に応じて
溶媒、各種添加剤、他の水溶性高分子、高分子水性分散
体等を含有させることもできる。溶媒としては水が好ま
しく用いられるが、これに各種アルコール、ケトン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を
併用して用いることもでき、また添加剤としては、各種
消泡剤、各種分散剤、ノニオン性あるいはアニオン性界
面活性剤、シランカップリング剤、pH調節剤、更には光
学的隠蔽性のある顔料(例えば酸化チタン等)、あるい
は防錆剤(例えばクロム酸塩系化合物)、鉛系化合物、
モリブデン酸塩系化合物、タンニン酸系あるいは没食子
酸系化合物、有機あるいは無機リン系化合物、亜硝酸塩
等)が挙げられ、水溶性樹脂としてはカルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリヒドロキシ
(メタ)アクリレートまたはその共重合体、ポリアクリ
ルアミド等の(メタ)アクリル系重合体、ポリビニルピ
ロリドンまたはその共重体カルボキシ基含有変性PV
A、硫酸基含有変性PVA、スルホン酸基含有変性PV
A、リン酸基含有変性PVA、4級アンモニウム塩基含
有変性PVA、アミノ基含有変性PVA、一般のPVA
等のPVA誘導体等が挙げられる。更に高分子水性分散
体としては、アクリル重合体および共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ビニルエステル系重合体および
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の水性分解
体が挙げられる。
本発明の処理剤は水あるいは前述の有機溶媒を含む水に
溶解あるいは分散し、水溶液あるいは水系分散体として
用いられる。
本発明の処理剤を金属表面に塗布する方法としては例え
ばハケ塗り、浸漬塗り、スプレー塗布等通常当業界で知
られている各種の方法を用いることが可能である。本発
明の処理剤は上述の方法により塗布された後、酸処理、
加熱処理を適宜ほどこすことにより、金属表面との接着
力の高い親水性被膜を得ることができる。
本発明の親水化処理剤によつて得られる塗膜はこれ自体
で十分実用性のあるものであるが、その効果を一層顕著
なものとするために、形成された塗膜に対して各種の親
水性物質、界面活性剤などを塗布、含漬するなどの後処
理することも塗膜表面の水ぬれ性の点でより効果的であ
る。
被膜される金属としては、アルミニウム、アルミニウム
合金、銅、真ちゆう、亜鉛メツキ鋼板、鉄などが挙げら
れるが、空調機器のフイン等に用いられるアルミニウ
ム、アルミニウム合金等が特に好ましく用いられる。
本発明の親水化処理剤は水ぬれ性がよく、金属表面での
水滴の発生を著しく抑制するとともに金属に対する接着
力が高く、更に金属の防錆性にもすぐれていることが特
徴である。本発明の処理剤が上述の如き顕著な性能を有
する理由については十分解明されているわけではない
が、本発明において用いられる分子内にシリル基を有す
る変性PVA中の水酸基およびイオン性親水基更には無
機物特にシリカ系無機物等によつて水ぬれ性が発揮され
るとともに、アルコキシル基、アシロキシル基が結合し
たシリル基あるいはこれらの加水分解物であるシラノー
ル基またはその塩は無機物、金属および変性PVA中の
水酸基あるいはシラノール基またはその塩との反応性が
高いため、これらが相互に反応して金属表面と強く接着
した強固な被膜を形成し、この被膜への水の浸漬が抑制
されるため、水ぬれ時においても金属との接着力が高く
なり、また防錆効果も発揮されるものと推定される。
次に実施例を挙げて本発明について更にくわしく説明す
るが、本発明はこれによつて限定されるものではない。
実施例中、部または%はことわりのないかぎり重量部ま
たは重量%を示す。
実施例1 ビニルトリメトキシシランと酢酸ビニルとの共重合体を
ケン化して得られるシリル基をビニルシラン単位として
0.4モル%含有し、酢酸ビニル単位のケン化度98.
5モル%、重合度550の分子内にシリル基を有する変
性PVAの5%水溶液100部に、コロイダルシリカ分
散液(日産化学工業(株)、スノーテツクス−20、固形
分20%)の37.5部と水を加えて固形分が5%の水
性分散液を作成した、次いでこの分散液を、厚さ0.1
mmのアルミニウム薄板に乾燥厚みが5ミクロンとなるよ
うに塗布した後、150℃で3分間乾燥した。得られた
塗膜について水ぬれ性、接着力、耐食性を測定した。結
果を第1表に示す。第1表より本発明の処理剤は水ぬれ
性、水ぬれ時の接着力、防錆性においてすぐれているこ
とがわかる。
実施例2〜4 実施例1で用いられた処理剤にかえて以下の如き処理剤
を用いる以外は実施例1と同様に行つた。結果を合せて
表に示す。
実施例2で用いた処理剤:ビニルトリメトキシシランと
酢酸ビニルおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロ
ピルスルホン酸ナトリウムとの共重合体をケン化して得
られるシリル基を0.5モル%、スルホン酸基を1モル
%含有し、酢酸ビニル単位のケン化度が99.0モル
%、重合度1600の変性PVA10部と粒子径0.1
〜1ミクロンのシリカ微粒子5部を含む固形分10%の
水性分散液。
実施例3で用いた処理剤:ビニルトリメトキシシランと
酢酸ビニルおよびマレイン酸ジメチルとの共重合体をケ
ン化して得られるシリル基を1.0モル%、マレイン酸
基を2.0モル%含有し、酢酸ビニル単位のケン化度9
7.9モル%、重合度500、の変性PVAとスノーテ
ツクスとを固形分比で2/1となるようにした固形分5
%の水性分散液。
実施例4で用いた処理剤:ビニルトリイソプロポキシシ
ランと酢酸ビニルとの共重合体をケン化して得られるシ
リル基を0.7モル%含有し、酢酸ビニル単位のケン化
度が90.1モル%、重合度1300の変性PVAの1
0%水溶液。
比較例1 実施例1の変性PVAにかえて一般の部分ケン化PVA
(ケン化度88モル%、重合度550)の10%水溶液
100部にコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノ
ーテツクス−0、固形分20%)50部とビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン2部および水を加えて
固形分10%にした後、80℃で1時間加熱した組成物
を用いる以外は実施例1と同様に行つた。結果を第1表
に合せて示す。
比較例2 実施例1で用いられたアルミニウム薄板をそのまま使用
し、耐食性を測定した。結果を合せて第1表に示す。
比較例3 アクリル共重合体の固形分濃度20%の水分散液(特開昭
55−99976号第3頁右上欄第11行〜同頁左下欄
第8行に記載された方法によつて得られたもの)160
g、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)スノーテツク
ス−N、固形分20%)340gを滴下した後、γ−メタク
リルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業
(株)、商品名KBM503)3gを滴下し、次に85℃で2
時間加熱することにより、組成物を得た。実施例1にお
いて用いた水性分散液に代えて、上記の組成物を用いた
以外は、実施例1と同様にして評価した。結果を第2表
に示す。
比較例4 変性アルキド樹脂の固形分濃度50%の水分散液(日触ア
ロー化学(株)、アロロン376)170部に、水250部とジメ
チルアミノエタノール4部を加えた。次に、コロイダル
シリカ(日産化学工業(株)、スノーテツクス−N、固形
分20%)160部を滴下した後、γ−グリシドオキシプロ
ピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)、商品名K
BM403)6部を滴下し、次に85℃で2時間加熱するこ
とにより、組成物を得た。実施例1において用いた水性
分散液に代えて、上記の組成物を用いた以外は実施例1
と同様にして評価した。結果を第2表に示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内にシリル基を有する変性ポリビニル
    アルコールあるいはこれと無機物とよりなる金属表面の
    親水化処理剤。
  2. 【請求項2】分子内にシリル基を有する変性ポリビニル
    アルコールがビニルエステルと分子内にシリル基を有す
    るオレフイン性不飽和単量体との共重合体のケン化物で
    ある特許請求の範囲第1項記載の金属表面の親水化処理
    剤。
  3. 【請求項3】分子内にシリル基を有するオレフイン性不
    飽和単量体がビニルアルコキシシランである特許請求の
    範囲第2項記載の金属表面の親水化処理剤。
  4. 【請求項4】分子内にシリル基を有するオレフイン性不
    飽和単量体が(メタ)アクリルアミド−アルキルアルコ
    キシシランである特許請求の範囲第2項記載の金属表面
    の親水化処理剤。
  5. 【請求項5】分子内にシリル基を有する変性ポリビニル
    アルコールがシリル基を有するメルカプタンの存在下で
    ビニルエステルを重合して得られる末端にシリル基を有
    するポリビニルエステルのケン化物である特許請求の範
    囲第1項記載の金属表面の親水化処理剤。
  6. 【請求項6】分子内にシリル基を有する変性ポリビニル
    アルコールがビニルエステルと分子内にシリル基を有す
    るオレフイン性不飽和単量体および分子内にイオン性親
    水基を有するオレフイン性不飽和単量体との共重合体の
    ケン化物である特許請求の範囲第1項記載の金属表面の
    親水化処理剤。
  7. 【請求項7】分子内にイオン性親水基を有するオレフイ
    ン性不飽和単量体がカルボキシル基,スルホン酸基、こ
    れらの塩、これらのエステル基、アミノ基およびアンモ
    ニウム塩基よりなる群より選ばれる1種または2種以上
    のイオン性親水基を有するオレフイン性不飽和単量体で
    ある特許請求の範囲第6項記載の金属表面の親水化処理
    剤。
  8. 【請求項8】分子内にシリル基を有する変性ポリビニル
    アルコールが、シリル基を有するメルカプタンの存在下
    でビニルエステルと分子内にイオン性親水基を有するオ
    レフイン性不飽和単量体とを共重合して得られる末端に
    シリル基を有する共重合体のケン化物である特許請求の
    範囲第1項記載の金属表面の親水化処理剤。
  9. 【請求項9】無機物がコロイダルシリカである特許請求
    の範囲第1項記載の金属表面の親水化処理剤。
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