JPH0635515B2 - 多孔性絹フイブロイン粉末及びその製造法 - Google Patents

多孔性絹フイブロイン粉末及びその製造法

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JPH0635515B2 JP60119199A JP11919985A JPH0635515B2 JP H0635515 B2 JPH0635515 B2 JP H0635515B2 JP 60119199 A JP60119199 A JP 60119199A JP 11919985 A JP11919985 A JP 11919985A JP H0635515 B2 JPH0635515 B2 JP H0635515B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は多孔性絹フィブロイン粉末及びその製造法に関
するものである。
(従来の技術) 絹フィブロイン粉末、殊に再生絹フィブロイン粉末は、
その適度の吸湿性及び保湿性、皮膚に対する優れた親和
性、良好な親水性−親油性バランス、更には紫外線吸収
性等の特性を有し、従来から主としてメーキャップ化粧
料基剤に添加使用されている(特公昭58−38449
号公報)。
本発明者等は上述の絹フィブロインの化粧料として好ま
しい性質を活用して、再生絹フィブロイン皮膜により一
般的な化粧料用顔料の粒子表面を実質的に被覆すること
による付着性、伸展性、分散性、混和性、被覆性、吸油
性、親水性と親油性のバランス、発汗防止性、感触、皮
膚保護性、染色性等に著しく優れた化粧料用顔料及びそ
の製造法を特公昭57−11577号として提供した。
しかしながら、これ等の再生絹フィブロイン顔料は、染
色性や保香性に於て、従来の一般的な顔料に比べれば顕
著に良好であるものゝ、実用的には例えば染料の染着
量、染着染料の耐水堅牢度の点で、衣料用染料の場合は
ともかくとして、化粧用法定色素及び食用色素の場合不
満足であって、生産工程や製品の品質上問題であった。
かかる問題点を解決するべく、本発明者等は先にシルク
パウダーにN,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレ
ート又はこれを主成分とする共重合体を固着せしめた絹
フィブロイン及びその製造法を特願昭56−76865
号として提案した。
該ポリアクリレート固着フィブロインはその発明の説明
から容易に類推することができるように絹フィブロイン
被覆顔料へも適用することが可能であるが、この方法に
よった場合でも当然のことながら基質顔料の配合が多い
場合や染料が天然色素の場合は染着量の点で充分に満足
できるフィブロイン被覆顔料を得ることはできない。
その他、特開昭59−10507号公報にシルクパウダ
ーを用いて、染料の顔料化の方法に関連したものとし
て、シコン抽出色素の顔料化粉末を配合した化粧料が記
載されている。この方法は古来実施されている絹繊維の
天然色素での媒染々色法をパウダーに応用したものにす
ぎず、染着色素分も少く、せいぜい淡色にしか染まら
ず、一般に着色顔料として要求される色素分5%以上、
望ましくは10%以上、さらに望ましくは20%以上の
水準に程遠いものしか得られない。
即ち、絹繊維の媒染々色は酢酸アルミニウム等のアルミ
ニウムの弱酸塩が水溶液中で徐々に水酸化アルミニウム
又は塩基性酢酸アルミニウム等に加水分解され系中に析
出し、これがシコニン等の媒染々料を吸着することを応
用したもので、絹繊維のボイド(Void:微細孔)中に、
例えば酢酸アルミニウムの水溶液を浸透させ、前記加水
分解を生起せしめ未反応の酢酸アルミニウムを水洗で除
き、析出して残った水酸化アルミニウム又は塩基性酢酸
アルミニウムを媒染剤として染色するものである。
酢酸アルミニウムの場合、加水分解で析出してボイド中
に残留する水酸化アルミニウム又は塩基性水酸化アルミ
ニウムは、たかだか絹繊維の3〜5%(重量)であり、
これの一部が媒染剤として働くわけで、当然のことなが
ら染着されるシコニン等も僅少で、染色の顔料とならざ
るを得ない。(参考、北條舒正編、続絹糸の構造 58
7頁信州大学繊維学部発行)。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は従来技術の欠点を改良したもので、その目的と
するところは、付着性、伸展性、分散性、混和性、被覆
性、吸油性、親水性と親水性のバランス、発汗防止性、
感触、皮膚保護性に優れ、特に天然色素による染色性、
発色性に著しく優れ、かつ化粧料、食用、塗料用等とし
て極めて有用な多孔性絹フィブロイン粉末を提供するこ
と、及びそれを工業的有利に製造する方法を提供するこ
とにある。
(問題点を解決するための手段) 即ち、本発明は微粉末状の再生絹フィブロイン又は基体
顔料含有再生絹フィブロインよりなり、該絹フィブロイ
ンの少なくとも50重量%が熱水不溶性のフィプロイン
(β型)より構成され、且つ孔径1μ以下の気孔を30
0μ/g以上含有する多孔性絹フィブロイン粉末にか
かわるものであり、本発明方法は絹フィブロイン水溶液
に水不溶性炭酸塩微粒子又は該微粒子と基体顔料とを懸
濁させた懸濁液に凝固性塩の混合及び/又は速いずり変
形速度での撹拌の処理として前記微粒子又はそれと基体
顔料とを被覆内包する再生絹フィブロイン粗粒子を生成
後酸処理により水不溶性炭酸塩を分解溶出させると共に
炭酸ガスを発生せしめ、次いで水洗、乾燥後粉砕するこ
とを特徴とする。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末は再生絹フィブロイ
ン、又は基体顔料と再生絹フィブロインとの複合体が無
数の微細気孔を保有する構造であって、その量は孔径1
μ以下の気孔が300μl/g以上、好ましくは400
μ/g以上、より好ましくは600μ/g以上であ
る。
通常の粉末状再生絹フィブロインや絹糸をそのまま或い
は化学的処理で脆化させたものを粉砕した単なる繊維状
の絹フィブロインパウダーのボイド(Void:微細孔)量
が高々200μ/gであるのに比較して、本発明によ
る多孔性絹フィブロイン顔料の場合、微細気孔量が著し
く多く、このため例えば天然色素等の媒染々色や場合に
よっては酸性染料等での染色でも非常に濃色で耐水、耐
光堅牢性の良好な着色絹フィブロイン顔料を得ることが
できる。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末が微細気孔量の増加
で色素の染色量や堅牢性が顕著に増加向上する原因は明
確には判らないが、おそらく活性炭の高い吸着性能が、
その多量の微細気孔に原因するのと同様の原理と考えら
れる。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末は、再生絹フィブロ
インの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも9
0重量%の熱水不溶性のフィブロイン(β型構造)によ
って構成されている。50重量%未満ではフィブロイン
の親水性が極度に強くなり、水や汗で粘着、粘結を起し
て顔料粒子が二次粒子化(粒子が凝集して巨大粒子とな
る)したり、また水分散媒(水系のペインや化粧料)の
中では該皮膜の脱離が、油分散媒(油性の塗料の化粧
料)の中では分散性が低下しやすい。また塗布時の伸
び、感触等がわるくなる。
本発明において熱水不溶性のフィブロインとは100℃
の熱水中で15分間煮沸しても溶解しないフィブロイン
を謂う。
前記熱水不溶性フィブロインはフィブロインの分子間水
素結合が実質的にβ構造のものである。
再生フィブロインの結晶化度は前記製造過程の諸条件に
より若干異なるけれども通常10%以上、好ましくは2
0%以上で43%を超えることがない。これは絹繊維の
結晶化度(50%以上)よりも可成り低く、又分子の配
向度も絹繊維の1/2以下と低い。この点が単なる改質
絹フィブロインよりも再生絹フィブロインの方が化粧料
基剤として、より好ましい効果を与える原因と考えられ
る。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末における基体顔料と
は、塗料用又は化粧料用の白色顔料、体質顔料、パール
顔料等の総称であって、例えばタルク、カオリン、マイ
カ、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、又はそれらの
複合物を挙げることができ、一種又は二種以上組合せて
適用される。基体顔料の最大粒径は通常0.03〜20
μである。
本発明に於て基体顔料は再生絹フィブロインに対して0
〜4倍(重量)であって、好ましくは0〜2倍(重
量)、より好ましくは0〜1倍(重量)である。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末の最大粒径は通常
0.5〜100μ、好ましくは1〜60μ、特に好まし
くは3〜30μである。最大粒径が100μよりも大き
くなると皮膚に対する付着性、親和性、伸展性等がわる
くなりやすい。
本発明に適用する絹フィブロイン原料としてはまゆ、生
糸、まゆ屑、生糸屑、ビス、揚り綿、絹布屑、プーレッ
ト等を常法に従い必要に応じ活性剤の存在下、温水中で
又は酵素の存在下に温水中でセリシンを除去し乾燥した
精練絹を使用し、例えば特公昭58−38449号公報
記載の方法で溶解するが溶媒としてはコスト、及び使用
上の点からカルシウム又はマグネシウム或いは亜鉛の塩
酸又は硝酸塩の水溶液が好ましい。又これらの水溶液の
濃度は使用する溶媒の種類、温度等により異なるが金属
塩等の濃度は通常10〜80重量%、好ましくは20〜
70重量%、特に好ましくは25〜60重量%である。
本発明に使用する前記フィブロイン水溶液のフィブロイ
ンの濃度は通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重
量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
2重量%未満では、フィブロイン水溶液の再生時間が長
くなって非経済的であり、一方20重量%を越えると、
水洗、乾燥工程における該多孔性フィブロイン粉末より
の脱水が難しい場合がある。更に前記両範囲外では熱水
不溶性フィブロインの割合(β構造化率)の少ない、か
つ汗や水分散媒中で粘着したり、二次粒子化を起しやす
い再生フィブロインを生成しやすい。
本発明方法に適用する懸濁液は絹フィブロイン水溶液に
カルシウム、マグネシウム或いは亜鉛の塩酸塩又は硝酸
塩の少なくとも1種を溶存させ、これに水易溶性の炭酸
塩を投入して、カルシウム、マグネシウム或いは亜鉛の
炭酸塩を水不溶性の微粒子として析出させてもよく、又
絹フィブロイン原料の溶媒として好ましい溶解用塩が、
たまたま該水不溶性炭酸塩の原料でもあるため、中間体
である粗粒子に内包せしめる水不溶性炭酸塩の所定量
(略当量)から計算した量の、カルシウム、マグネシウ
ム或いは亜鉛の塩酸塩又は硝酸塩で絹フィブロイン原料
を溶解し、これを脱塩しないで次工程に、そのまま使用
しても良い。但し、絹フィブロイン水溶液は、透析脱塩
して絹フィブロイン原料の溶解に使用した塩酸塩又は硝
酸塩を完全に除去することがより好ましい。透析によっ
て、本来含まれている又溶解時に生成し、製品の化粧料
用基剤としての性能を低下させる低分子量の絹フィブロ
インや染色時、特にキノン系の天然色素での染色時に発
色の障害になり、原料や反応系から混入する鉄イオン等
を完全に取り除くことができる。この場合、反応系内で
水不溶性炭酸塩を生成せしめる時は、あらためて前記塩
酸塩又は硝酸塩を所定量添加する必要がある。
基体顔料を併用する場合懸濁液中に該基体顔料を懸濁さ
せ所定の工程を経てそれを被覆内包する多孔性絹フィブ
ロイン顔料を得ることができる。
上述の水易溶性炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸ア
ンモニウム等が挙げられる。前記塩酸塩又は硝酸塩と水
易溶性炭酸塩の反応は、撹拌下瞬時に生起し水不溶性の
炭酸塩微粒子が析出する。
該微粒子又は該微粒子と基体顔料の両者が懸濁する絹フ
ィブロイン水溶液に凝固性塩の混合又は50/sec以上
の速いずり変形速度での撹拌等の少くとも一種の処理を
実施し、絹フィブロインを再生させる。再生した絹フィ
ブロイン粗粒子は水不溶性炭酸塩微粒子又は該微粒子と
基体顔料との両者を被覆内包する粗粒子状ゲル体であ
る。該粗粒子状ゲル体は前記透析脱塩して精製した絹フ
ィブロイン水溶液に平均粒径1μ以下、好ましくは0.
1μ以下の軽質炭酸カルシウム又はこれと基体顔料の両
者が懸濁する絹フィブロイン水溶液から同様の方法で再
生させることもできる。
前記粒子中の炭酸塩微粒子の量は粗粒子の20〜80重
量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。2
0重量%未満の場合、微細孔量が減少し、一方80重量
%を越すとかえって1μ以下の微細孔量が減少し、1μ
以上の微細孔量が増える傾向を示す。
凝固性塩を使用する場合は、例えば塩化ナトリウム、塩
化カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸カリウム等の濃厚
水溶液を混合撹拌して絹フィブロインを析出させる。凝
固性塩の濃度は絹フィブロイン水溶液との混合液の濃度
が通常5〜10重量%となるよう調整する。
撹拌のみでも絹フィブロインは析出するがこの場合、速
いずり変形速度で行わねばならず通常50/sec以上、
好ましくは100/sec以上のずり変形速度で実施す
る。撹拌時間は水溶液の濃度又はずり変形速度等により
異なるが通常1時間以上でゲル化が行なわれる。
中間体である絹フィブロイン粗粒子は過水洗後、場合
によっては乾燥、粗粉砕後酸処理を実施し、炭酸塩微粒
子を分解する。酸としては塩酸や酢酸或いはクエン酸が
適当であるが、硫酸は水難溶性の硫酸塩が生成する場合
があるので注意する必要がある。酸の量は被覆内包され
る炭酸塩と当量〜やや過剰が望ましいが、PHを1以下
にすると絹フィブロインが脆化する危険があるので避け
なければならない。酸分解の完了は炭酸ガスの発生が終
息することで確認でき、次いで得られた多孔性絹フィブ
ロイン粉末を水洗、脱水する。脱水は遠心脱水機の使用
が好ましく、この脱水により多孔性絹フィブロイン粉末
は通常その乾燥物に対して100〜500重量%程度ま
でに脱水される。脱水後は容易に絶乾状態まで乾燥する
ことができる。乾燥は、常圧又は減圧下で温度60〜1
20℃で行なわれる。
かくして得られた乾燥物はハンマーミル、ジエットミル
等の粉砕機を使用することにより容易に微粉末化され
る。その粒子径(最大粒子径)は通常0.5〜100
μ、好ましくは1〜60μ、特に好ましくは3〜80μ
に調整される。
かくして得られた本発明の多孔性絹フィブロイン粉末
は、その再生フィブロインの少なくとも50重量%が熱
水不溶性フィブロインで構成されているが、乾燥剤、乾
燥後又は粉砕後に湿熱処理を行なうことによって、フィ
ブロインの熱水不溶化(熱水不溶性フィブロインの割
合、β構造化率)を更に促進(増大)することができ、
前記の特性を更に向上することができる。
その湿熱処理としては、乾燥後又は粉砕後の該粉末を5
0℃以上、特に80〜120℃の飽和水蒸気で加熱処理
するか、若しくは乾燥前に塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウ
ム、硝酸ナトリウム等の中性塩水溶液或いはアセトン、
アルコール等の有機溶媒中で加熱処理することによって
行なわれる。これらの湿熱処理を行なう場合は、上述の
如き再生フィブロインの熱水不溶化の促進(β構造化率
の増大)と共にフィブロインの結晶化度をも更に増大す
ることができ優れた適度の親水性と親油性のバランス、
発汗防止性、分散媒への分散性、被膜安定性、染色堅牢
性を有する良好なフィブロイン被覆顔料が得られやす
い。
(発明の効果) 本発明の多孔性絹フィブロイン粉末は、再生絹フィブロ
イン又は基体顔料含有再生絹フィブロインが孔径1μ以
下の気孔を300μ/g以上保有しているため、色素
吸着性、発色性、保湿性、保香性等の吸着性が良好で、
特に天然色素の染着性、発色性に著しく優れた顔料であ
り、又、微粉末状の再生絹フィブロイン顔料であるの
で、それ自体皮膚に対する付着性、伸び、感触、保湿
性、PH緩衝性、被覆力、親水性と親油性のバランス、
紫外線吸収性、皮膚保護性等の化粧料基剤に望ましい性
能に著しく優れている。それ故従来の顔料に見られる欠
点、即ち皮膚よりの脱水、脱脂、乾燥等の問題が無く皮
膚を健全に保護することができる。
更にその再生フィブロインはその50重量%以上の熱水
不溶性フィブロイン(β型構造)により構成されていて
β化構造化率が高く、かつ分子が適度に配向しているの
で、水や油を分散媒とする塗料や化粧料中での均一分散
性、発汗防止性、被膜安定性、無機粉体との混和性、皮
膚の調湿効果にも著しく優れており、前記の如き水、汗
による粘着、粘結、二次粒子化被膜剥離等の現象を起す
ことがない。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例に示す部とは重量部を、結晶化度以外の%とは重
量%を意味する。
実施例1 絹フィブロイン原料として絹紡績屑を用いて、これの1
00部をマルセル石けん30部、水3000部の溶液で95
〜98℃において3時間撹拌精練し、残膠を0.1%以下
にまで減少させ、水洗後80℃で熱風乾燥した。
塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)100部に水100部
を混合して33重量%塩化カルシウム水溶液200部を
調製して110℃に加熱した。これに精練ずみの絹紡屑
40部をニーダを用いて5分間で撹拌しながら投入後、
さらに30分間撹拌し完全に溶解させた。
次に、内径200μ、膜厚20μ、長さ500mmの再生
セルロース系中空糸を2000本束ね、これの両端を中
空穴を閉塞することなく集束固定(シール)したホロー
ファイバー型の透析装置を用いて、前記溶解液を0.1
/時間の割合で流入させて脱イオン水を用いて透析し、
フィブロイン水溶液を得た。該フィブロイン水溶液のフ
ィブロイン濃度は6.5重量%で、残留塩化カルシウムは
0.001重量%であった。
得られたフィブロイン水溶液200部に、塩化カルシウ
ム2水塩30部を撹拌混合し、完全に溶解したのを確認
後、これに10重量%炭酸ナトリウム200ccを徐々に
投入し、炭酸カルシウムの微細な結晶を析出させた。該
反応は炭酸ナトリウムの投入終了と同時に定量的に完了
するので、引続いて、該炭酸塩微粒子が懸濁する絹フィ
ブロイン水溶液を100/Sec.以上のずり変形速度を
与えるように高速で撹拌した。
撹拌を2〜3時間続けると次第に炭酸カルシウムを被覆
内包する絹フィブロインが析出し、ついには全体が小さ
なゲルの集合体として固まった。
ゲル集合体を別し、水洗,乾燥後ハンマーミルで粉砕
し、約33部の粗粉体を得た。
得られた粉砕物を200部の水に懸濁させ、これに濃塩
酸40部を徐々に流入させた。発生する炭酸ガスのため
反応液は激しく発泡する。炭酸ガスの発生が終了したの
を確認後、さらに2〜3時間撹拌を続けた。反応終了後
沈澱物を別し、水洗,乾燥後、これをジェットミルで
粉砕し、13部の微粒子を得た。この結果から本発明例
の粗粒子中の炭酸カルシウム微粒子の量は約60重量%
であったことが判る。
得られた再生絹フィブロイン粉末の平均粒径はコールタ
ーカウンターによる測定で12.5μであった。又、水銀
圧入法による微細気孔量の測定で、本発明例の場合1μ
以下の気孔量が630μ/gと多孔質であったが、通
常の微粉末状再生絹フィブロインや単に繊維を粉砕した
絹フィブロインパウダーの1μ以下の気孔量は共に20
0μ/g以下であった。
本発明例の多孔性絹フィブロイン粉末の結晶化度はX線
測定の結果18%であり、又熱水不溶性フィブロインの
割合(β構造率)は80重量%で皮膚上での付着性、伸
び、感触の良好な粉末で顔料として好適であった。
次に本発明例の多孔性絹フィブロイン粉末と従来の通常
の再生絹フィブロイン粉末を天然色素としてシコニンを
用いて媒染法にて染色し、染着量を比較した結果、染色
液に残留している色素量から、通常の再生絹フィブロイ
ン顔料の吸着量がたかだか%であるのに対して本明例の
場合約7.5%であり、多孔性絹フィブロイン粉末が強い
吸着活性を保持していることが判る。
実施例2 実施例1に準じて溶解、透析を行ない絹フィブロイン水
溶液を調製し、これに塩化カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、及び塩酸のすべてを同率で増減することで、第1表
に示す中間体粗粒子中の炭酸カルシウムの量に調整する
以外は実施例1と同様に処理して多孔性絹フィブロイン
粉末を得た。その結果を第1表に示す。
この結果から、中間粗粒子中の炭酸カルシウムの量は2
0〜80%が天然色素の染着量の点で望ましい範囲で、
この範囲をはずれると該染着量が300μ/g以下に
なって不適当であることが判る。
実施例3 実施例1に準じて絹紡屑を溶解し、絹フィブロインの塩
化カルシウム水溶液を媒体とする溶解液を製造した。該
溶解液240部に20%炭酸ナトリウム400部を撹拌
しながら混合し炭酸カルシウムの微細な結晶を析出させ
た。これに平均粒径2μの酸化チタンを80部混合し、
200部の水を追加し均一な懸濁液を調整した。
該懸濁液にさらに食塩を10重量%の濃度になるように
添加し、撹拌を2〜3時間続けると次第に炭酸カルシウ
ムと酸化チタンの微粒子を被覆内包する絹フィブロイン
のゲル体が再生析出する。該ゲル体を別し、そのまま
140部の濃塩酸を希釈した2,000部の希塩酸で分
解し、以降実施例1に準じて処理した。乾燥粗粉体をジ
ェットミルで粉砕し、115部の微粉末を得た。本発明
例の中間体粗粒子中の炭酸カルシウム微粒子の量は約3
6重量%であり、又、再生絹フィブロインに対して酸化
チタンは2倍であった。
以上のようにして得られた多孔性絹フィブロイン粉末の
平均粒径は6.5μ、孔径1μ以下の気孔量は380μ
/gであり、天然色素シコニンの染着量は5.0%であっ
た。
又、本発明例の再生絹フィブロインの結晶化度は24
%、熱水不溶性フィブロインの合(β構造率)は93%
で皮膚上の付着性、伸び、感触が良好で化粧料用基剤と
して、非常に優れた顔料として使用できる粉末であっ
た。
実施例4 酸化チタンを他の平均粒径2〜6μの基体顔料に変え、
それの再生絹フィブロインに対する割合を種々変化させ
た以外は実施例3に準じて行った。その結果を第2表に
示す。
本発明の多孔性絹フィブロイン粉末は吸着活性に優れ、
皮膚上の被覆力、伸び、感触が良好で化粧料基剤とし
て、非常に優れた顔料であった。
実施例5 実施例1に準じて絹フィブロイン原料を溶解し、脱イオ
ン水で透析し6.5%の絹フィブロイン水溶液を製造し
た。これの残留塩化カルシウムは0.005%であった。該
水溶液の200部に平均粒径0.04μの極微細炭酸カルシ
ウム(A)及び平均粒径1.0μの特殊軽微性炭酸カルシウム
(B)を各々20g混合し以降実施例1に準じて処理し、
共に12.5部の再生絹フィブロインの微粒子を得た。
これを次いで、110℃の飽和水蒸気中で加熱処理し、
β構造化率を増大させた。その結果を第3表に示す。
(A),(B)共に吸着活性に優れた多孔性絹フィブロイン顔
料であり、飽和水蒸気での湿熱処理でβ構造化率及び結
晶化度が高いため、皮膚上での被覆力、伸び、感触が一
段と良好で非常に優秀な化粧料用顔料であった。
実施例6 実施例1に準じて、絹紡屑を精練した。第4表に示す各
塩100部に水100部を混合し110℃に加熱した。
これに精練ずみの絹紡屑40部を、ニーダを用いて5分
間で撹拌しながら投入後、さらに60分撹拌し完全に溶
解させた。
該溶解液240部に20重量%炭酸ナトリウム水溶液を
各々当量撹拌しながら混合し、炭酸塩の微細な結晶を析
出させた。
談懸濁液をずり変形速度50/Sec.以上の高速撹拌で
2〜3時間処理すると、次第に各炭酸塩を被覆内包する
絹フィブロインのゲル体が再生析出する。該ゲル体を
別し各々当量より若干多い塩酸で酸分解しPH=2を分
解反応の終点とした。以降実施例1に準じて処理し、乾
燥再生絹フィブロインの粗粉体をジェットミルで粉砕
し、平均粒径10〜15μの再生絹フィブロインの微粉
末がほぼ定量的に得られた。その結果を第4表に示す。
第4表の絹フィブロインの溶解用各塩から、各々吸着活
性及び化粧料用基剤として優れた多孔性絹フィブロイン
粉末が得られた。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微粉末状の再生絹フィブロイン又は基体顔
    料含有再生絹フィブロインよりなり、該絹フィブロイン
    の少なくとも50重量%が熱水不溶性のフィブロイン
    (β型)より構成され、且つ孔径1μ以下の気孔を30
    0μ/g以上含有する多孔性絹フィブロイン粉末。
  2. 【請求項2】再生絹フィブロイン又は基体顔料含有再生
    絹フィブロインが孔径1μ以下の気孔を400μ/g
    以上含有する特許請求の範囲第1項記載の粉末。
  3. 【請求項3】 再生絹フィブロイン又は基体顔料含有再生絹フィブロイ
    ンが孔径1μ以下の気孔を600μ/g以上含有する
    特許請求の範囲第1項記載の粉末。
  4. 【請求項4】再生絹フィブロインの少なくとも90重量
    %が、熱水不溶性のフィブロインである特許請求の範囲
    第1項記載の粉末。
  5. 【請求項5】再生絹フィブロインの結晶化度が、少なく
    とも10%である特許請求の範囲第1項記載の粉末。
  6. 【請求項6】再生絹フィブロインの結晶化度が、少なく
    とも20%である特許請求の範囲第1項記載の粉末。
  7. 【請求項7】最大粒径が0.5〜100μである特許請
    求の範囲第1項記載の粉末。
  8. 【請求項8】再生絹フィブロインに対して基体顔料が0
    〜4倍(重量)である特許請求の範囲第1項記載の粉
    末。
  9. 【請求項9】基体顔料がタルク、カオリン、マイカ、酸
    化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、又はそれ等の複合物
    或いはそれらの組合せである特許請求の範囲第1項記載
    の粉末。
  10. 【請求項10】絹フィブロイン水溶液に平均粒径1μ以
    下の水不溶性炭酸塩微粒子又は該微粒子と基体顔料とを
    懸濁させた懸濁液に凝固性塩の混合及び/又は速いずり
    変形速度での撹拌の処理をして前記微粒子又はそれと基
    体顔料とを被覆内包する再生絹フィブロイン粗粒子を生
    成後、酸処理により水不溶性炭酸塩を分解溶出させると
    共に炭酸ガスを発生せしめ、次いで水洗、乾燥後粉砕す
    ることを特徴とする多孔性絹フィブロイン粉末の製造
    法。
  11. 【請求項11】絹フィブロイン水溶液がカルシウム、マ
    グネシウム或いは亜鉛の塩酸塩及び/又は硝酸塩の水溶
    液に精練絹原料を溶解後透析脱塩したものである特許請
    求の範囲第10項記載の製造法。
  12. 【請求項12】懸濁液がカルシウム、マグネシウム或い
    は亜鉛の塩酸塩及び/又は硝酸塩を溶存する絹フィブロ
    イン溶液に水易溶性の炭酸塩を徐々に混合して水不溶性
    のカルシウム、マグネシウム或いは鉛の炭酸塩を懸濁さ
    せたものである特許請求の範囲第10項記載の製造法。
  13. 【請求項13】平均粒径1μ以下の水不溶性炭酸塩微粒
    子が軽質炭酸カルシウムである特許請求の範囲第10項
    記載の製造法。
  14. 【請求項14】水不溶性炭酸塩微粒子が平均粒径0.1
    μ以下の軽質炭酸カルシウムである特許請求の範囲第1
    0項記載の製造法。
  15. 【請求項15】基体顔料がタルク、カオリン、マイカ、
    酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、又はそれ等の複合
    物或いはそれらの組合せである特許請求の範囲第10項
    記載の製造法。
  16. 【請求項16】水不溶性炭酸塩微粒子の量が絹フィブロ
    イン、基体顔料及び該微粒子の総和の20〜80重量%
    である特許請求の範囲第10項記載の製造法。
  17. 【請求項17】基体顔料の量が絹フィブロインに対し0
    〜4重量倍である特許請求の範囲第10項記載の製造
    法。
  18. 【請求項18】凝固性塩が塩化ナトリウム、塩化カリウ
    ム、硝酸ナトリウム又は硝酸カリウムである特許請求の
    範囲第10項記載の製造法。
  19. 【請求項19】ずり変形速度が50/sec以上である特
    許請求の範囲第10項記載の製造法。
  20. 【請求項20】酸処理に塩酸、酢酸又はクエン酸を使用
    する特許請求の範囲第10項記載の製造法。
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