JPH06349042A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH06349042A
JPH06349042A JP13810093A JP13810093A JPH06349042A JP H06349042 A JPH06349042 A JP H06349042A JP 13810093 A JP13810093 A JP 13810093A JP 13810093 A JP13810093 A JP 13810093A JP H06349042 A JPH06349042 A JP H06349042A
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JP
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thickness
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Withdrawn
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JP13810093A
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English (en)
Inventor
Taketoshi Sato
武俊 佐藤
Yoshito Ebine
義人 海老根
Toshiharu Uchiumi
俊治 内海
Yasuyoshi Sato
泰美 佐藤
Riichi Sasaki
利一 佐々木
Hidetoshi Honda
秀利 本多
Yukihiro Kojika
行広 小鹿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非磁性支持体1上に中間層2が設けられ、そ
の上に磁性層3が形成されてなる磁気記録媒体におい
て、中間層2の厚さを0.5〜4.0μmとし、SRa
を1〜145nmとする、また、適正な中間層2の条件
を作り出すために、含有される微粒子5の粒径を15〜
95nmとし、粒子含有率を15〜80%とする。 【効果】 電磁変換特性の劣化を抑えつつ走行耐久性の
向上が図られた磁気記録媒体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体上に磁性
層として金属磁性薄膜を有するいわゆる金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばビデオテープレコーダ(VTR)
等の分野においては、高画質化を図るために、高密度記
録化が一層強く要求されており、これに対応する磁気記
録媒体として、金属あるいはCo−Ni等の合金からな
る磁性材料をメッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法等)により
直接非磁性支持体上に被着せしめて磁性層を形成する、
所謂金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されている。
【0003】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力、角形比及び短波長域における電磁変換特性に優れ
るばかりでなく、磁性層の薄膜化が可能であるために記
録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいことや、磁性
層中に非磁性材料である結合剤等を混入する必要がない
ために磁性材料の充填密度を高くできること等、数々の
利点を有している。
【0004】このような磁気記録媒体においては、高記
録密度化に伴って磁気記録媒体のトラック密度や記録密
度の増加が図られているが、記録密度が高くなると、ス
ペーシングロスが大きくなるので、その悪影響を防止す
るために磁気記録媒体の表面は平滑化される傾向にあ
る。しかしながら、磁気記録媒体の表面が平滑すぎる
と、磁気ヘッドと媒体が吸着を引起し、摩擦力が増大す
る。このため、媒体に生じる剪断力が大きくなり、磁気
記録媒体が大きな損傷を受けてしまう。
【0005】そこで、良好なスチル特性を確保するため
に、従来より例えば非磁性支持体上に表面突起を設け、
該非磁性支持体上に積層形成される磁性層、保護層等の
表面に適当な粗度を付与し、磁気記録媒体の表面性を制
御しようとする方法が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
に磁気記録媒体の表面性を制御する場合、非磁性支持体
上に形成される表面突起の大きさの制御が非常に重要と
なる。即ち、この表面突起が大きくなるにつれて、スペ
ーシングロスが問題となり、電磁変換特性の劣化が生じ
てしまう。これに対して、上記表面突起の高さを抑える
と、スペーシングロスによる悪影響から免れるものの、
十分な走行耐久性、スチル耐久性を確保することができ
なくなる。
【0007】従って、上記表面突起の大きさや密度を良
好に制御して、高電磁変換特性と良好な走行性の両者を
バランス良く確保することは、非常に難しいとされてい
る。
【0008】また、非磁性支持体上に表面突起を設けて
磁気記録媒体の表面性を制御する場合、使用できる非磁
性支持体は、極めて表面平滑性に優れたものに限られて
おり、このような非磁性支持体は非常に高価であり、取
扱も容易でなかった。
【0009】そこで本発明は、上述の従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、安価で取扱が容易な材料が使
用されても、良好な電磁変換特性を確保しつつ、耐久性
の向上を図ることが可能な磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、非磁性支持体と金
属磁性薄膜との間に中間層を設け、この中間層の厚みと
表面粗さ(SRa)を制御することにより、良好な走行
耐久性と高電磁変換特性の両方を確保することが可能と
なることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に、少なくとも非磁性材料よりなる中間層と、金
属磁性薄膜よりなる磁性層とが形成されてなる磁気記録
媒体において、上記中間層の厚みが0.5〜4.0μm
であり、且つ、上記磁性層のSRaが1〜145nmで
あることを特徴とするものである。
【0012】上記中間層は、粒子径15〜95nmの微
粒子を体積含有率で15〜80%含有していることが好
ましい。
【0013】本発明は、非磁性支持体上に磁性層として
金属磁性薄膜が形成されてなるいわゆる金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体に適用される。従来、高密度記録用磁気
記録媒体に用いられる非磁性支持体は、極めて表面平滑
性が優れたものに限られていたが、本発明においては、
一般にオーディオ用に用いられるポリエチレンテレフタ
レートフィルム、コンデンサ用に用いられるポリエチレ
ンテレフタレートやポリプロプレンフィルム、その他、
ポリイミド、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリエチ
レン等のフィルムが使用可能であり、特に限定されな
い。
【0014】また、上記金属磁性薄膜の構成材料も、特
に限定されるものではなく、例えばCo、Co−O、C
o−Cr、Co−Ni、Co−Fe−Ni、Co−Ni
−Cr等の従来公知の強磁性金属材料が何れも使用可能
である。上記金属磁性薄膜の成膜方法としては、真空薄
膜形成技術が挙げられ、例えば真空蒸着法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法等が何れも使用可能で
ある。
【0015】本発明においては、上記非磁性支持体と金
属磁性薄膜との間に中間層が設けられることを特徴とし
ており、この中間層は、非磁性材料よりなる微粒子が結
合剤により固定されてなっている。
【0016】用いられる微粒子としては、特に限定され
るものではないが、例えば、アルミニウム,珪素,マグ
ネシウム,チタン,亜鉛,鉄等の酸化物よりなる微粒
子、金,銀,ニッケル,鉄等の金属微粒子、或いは、ポ
リエステル,アクリル,ポリスチレン,ポリ塩化ビニリ
デン等よりなる高分子化合物の微粒子等が挙げられる。
【0017】また、上記微粒子を固定する結合剤は、有
機重合体、すなわち合成樹脂重合体の他、これらの重合
体を生成する重合性モノマー,オリゴマー等を含む有機
ポリマーよりなるものである。例示するならば、ヒドロ
キシエチルアクリレート,ヘキサンジオールジアクリレ
ート,ネオペンチルグリコールジアクリレート,メチル
−α−クロロアクリレート,トリメチロールプロパント
リアクリレート,ジペンタオールヘキサアクリレート,
トリメチロールプロパントリジエチレングリコールアク
リレート,ウレタンアクリレート等のアクリル系モノマ
ーやオリゴマー等の紫外線硬化樹脂或いは電子線硬化樹
脂、さらには、ポリテトラフロロエチレン,ポリエチレ
ンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリパラキシレ
ン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリスチレン,ト
リフロロクロロエチレン,アリルトリフロロアセチレ
ン,アジピン酸−ヘキサメチレンジアミンオリゴマー,
シリコーン油等が挙げられる。
【0018】上記微粒子が上記結合剤に含有されてなる
中間層は、非磁性支持体上に0.5〜4.0μmなる厚
み(乾燥後)となるように形成される。また、中間層形
成後、カレンダー処理等の平滑処理が施され、中間層表
面のSRaが1〜145nmとなるように制御される。
【0019】上記中間層のSRaは、この上に成膜され
る金属磁性薄膜表面に反映され、結果的に磁性層のSR
aが1〜145nmとなる。これによって、電磁変換特
性を劣化させることなく走行耐久性を向上させることが
できる磁気記録媒体となる。
【0020】なお、中間層の厚みが0.5μm未満であ
ると、非磁性支持体のSRaの影響を磁性層表面に伝え
てしまうため、表面性が良好でない非磁性支持体を用い
た場合、電磁変換特性を劣化させてしまう。一方、中間
層の厚みが4.0μmを超えると、磁気ヘッドとの当り
特性(内容については後述する。)が劣化してしまう。
【0021】また、磁性層のSRaが1nm未満である
と、表面が平滑化されすぎて、スチル耐久性が劣化して
しまい、逆に145nmを超えると、電磁変換特性に劣
ることとなる。
【0022】中間層の表面性を制御するためには、粒子
径15〜95nmの微粒子を体積含有率で15〜80%
含有させることが好ましい。用いられる微粒子の粒子径
は15nm未満であると、磁性層表面が平滑化されすぎ
て良好なスチル特性が得られず、逆に95nmを超える
と、磁性層表面が粗くなりすぎ電磁変換特性が劣化して
しまう。
【0023】また、微粒子の体積含有率が15%未満で
あると、磁性層表面が平滑化されすぎてスチル特性に劣
り、逆に80%を超えると、非磁性支持体と中間層との
接着性が劣化してしまう。
【0024】なお、以上が本発明の基本的な構成である
が、本発明においては、必要に応じて、バックコート
層、トップコート層等を適宜形成しても良い。また、金
属磁性薄膜上にカーボン保護膜等を設けてもよい。この
場合、バックコート層、トップコート層、カーボン保護
膜等の成膜方法は、通常この種の磁気記録媒体に適用さ
れる方法であればいすれでも良く、特に限定されない。
【0025】
【作用】非磁性材料よりなる微粒子と結合剤とからなる
中間層を非磁性支持体上に設けるに際し、この中間層に
含有される上記微粒子の粒径と体積含有率等を規制する
ことにより、中間層の表面性が制御される。また、中間
層の厚みとSRaを規制すると、この中間層上に成膜さ
れる金属磁性薄膜のSRaが制御され、磁気記録媒体の
表面性が良好となる。これにより磁気ヘッドとの摺動時
当りが良好となり走行性が向上する。また、スペーシン
グロスによる電磁変換特性の劣化も抑えられる。
【0026】また、本発明においては、中間層のSRa
を規制することによって、磁気記録媒体の表面性を制御
しているため、非磁性支持体の表面性は問題にならな
い。したがって、平滑性に優れた非磁性支持体を用いる
必要がなく、安価で取扱が容易な材料によって高密度記
録用の磁気記録媒体が得られる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例を図
面を参照しながら説明する。
【0028】本実施例の磁気記録媒体は、図1に示すよ
うに、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる
非磁性支持体1上に、厚み及びSRaが規制された中間
層2を有し、さらに、この上に金属磁性薄膜の磁性層3
を有してなる。なお、磁性層3上にはフッ素系の潤滑剤
よりなるトップコート層4が塗布されている。
【0029】また、上記中間層2には、粒子径及び粒子
含有率が規制された微粒子5が含有されている。そし
て、この微粒子5の含有によって中間層2の表面性が制
御されている。また、この中間層2の表面性は、この上
に成膜される磁性層3の表面性に反映される。本実施例
においては、非磁性支持体1として、一般にオーディオ
テープ用に使用される表面平滑性の低いものを用いる
が、中間層2の表面性を規制するため、磁性層3表面に
は非磁性支持体1の表面性が影響しない。
【0030】上述のような構成の磁気記録媒体を作成す
るには、先ず、非磁性支持体1に対して、微粒子5と結
合剤よりなる非磁性塗料を塗布し、乾燥させた後、カレ
ンダー処理を施して中間層2を形成する。
【0031】次に、Co80−Ni20系(数字は重量%)
の金属磁性薄膜を連続式真空斜め蒸着法により、微量の
酸素ガスを導入しながら膜厚20nmに成膜して、磁性
層3を形成した。さらに、この磁性層3上に、潤滑剤を
塗布してトップコート層4を形成し、非磁性支持体1の
磁性層形成面とは反対側の面にバックコート塗料を塗布
した。そして、このようにして得られたフィルムを8m
m幅に裁断して磁気テープとした。
【0032】実験1 ここで、上述のような構成の磁気テープを、中間層2の
厚みやSRaを変化させて作成し、電磁変換特性や耐久
性の変化を調べることにする。
【0033】本実験においては、非磁性塗料中の微粒子
5、結合剤、溶剤の混合率を種々に変化させることによ
り、0.2〜8.0μmなる厚み(乾燥時)を有する中
間層2を形成して、様々な測定を行うためのサンプルテ
ープ1〜6を作成した。なお、上記微粒子5としては粒
径50nmの酸化チタン、結合剤としてはポリウレタン
系樹脂、溶剤としてはメチルエチルケトンが用いられ
た。
【0034】表1に、各サンプルテープの作成に際して
用いられた非磁性塗料の組成と、形成された中間層の厚
みを示す。
【0035】
【表1】
【0036】そして、上述のようにして作成された各サ
ンプルテープについて、磁性層3表面のSRaを測定し
た。
【0037】通常、表面粗さの測定には針接触式表面粗
度計を使用するが、ここで作成されたサンプルテープ表
面の凹凸は、上記粗度計の針先端よりも細かいため、実
質的な測定ができない。このため、上記針接触式表面粗
度計よりも感度の高いレーザー式非接触粗度計(小坂製
作所社製ハイポスET−30)を使用した。なお、JI
S規格のRaが二次元的な平均粗さを示すのに対し、こ
こで示すSRaは、三次元的な平均粗さを示すものであ
る。
【0038】各サンプルテープのSRaを測定した結果
を表1に併せて示すとともに、図2に中間層2の厚みと
SRaの関係として示す。なお、ここでは、磁性層3表
面のSRaを測定しているが、この測定値は中間層2表
面の表面粗さSRaを反映するものである。
【0039】図2より、中間層2の厚みが0.2μmし
かないサンプルテープ1においては、非磁性支持体1の
表面性の粗さが影響してしまい、SRaが180nmと
大きな値となっているが、中間層2の厚みを厚くするに
したがって、非磁性支持体1の粗さの影響が消え、SR
aが小さくなることがわかる。
【0040】次に、各サンプルテープについて、電磁変
換特性を測定した。具体的には、ギャップ長0.2μ
m,トラック幅20μmの磁気ヘッドを用い、テープと
磁気ヘッドの相対速度を3.77m/sとしたときの、
正弦波の入出力特性を測定した。
【0041】図3に、この結果をSRaと出力の関係と
して示す。−4dBを下限とすると、SRaを145n
m以下とする必要があることがわかる。これを図1と照
合すると、中間層2の厚みを0.5μm以上とし、非磁
性支持体1の表面の影響を除去することにより、磁性層
3の表面が平滑化されて、優れた電磁変換特性が得られ
たと考えることができる。
【0042】さらに、各サンプルテープについて、スチ
ル耐久性を測定した。スチル耐久性は、商品名EV−S
1500をポーズ解除されないように改造して、同一ト
ラック上をポーズさせ、出力が得られ続けた時間(分)
で評価した。なお、測定は120分で打ち切った。
【0043】この結果をSRaとスチル耐久性との関係
として図4に示す。実用的には60分以上のスチル耐久
性が必要であるので、図4より、SRaを1nm以上と
すればよいことがわかる。これを図1と照合すると、中
間層2の厚みが4.0μmを超え、磁性層3表面が平滑
化されすぎたことによって、スチル耐久性が劣化してし
まったと考えることができる。
【0044】さらにまた、各サンプルテープについて、
磁気ヘッドとの当り特性を調べた。現在、高密度記録に
際して、ほとんどが回転ドラムを使用したヘリカルスキ
ャン方式を採用しているが、この記録方式は、磁気テー
プの機械強度の変化により、RF波形に歪を生じさせや
すい。特に、磁気ヘッドと磁気テープとが接触し始める
入口側より、接触し終わる出口側に、エアフィルムがで
きやすく、磁気ヘッドと磁気テープとの接触密着性を劣
化させる傾向にある。
【0045】そこで、磁気ヘッドとサンプルテープとの
接触密着性を評価するため、上記RF波形の出口側の波
形の落込みを数値化して示すことにする。当り特性は、
ソニー社製、商品名EV−BS3000に対して使用さ
れるサンプルテープを100時間エイジングし、得られ
た図5のようなRF波形における、b/aなる値として
測定した。
【0046】図6に、この測定結果を中間層2の厚みと
当り特性との関係として示す。当り特性が40%以下で
あると、画像に異常が発生する虞れがあるため、中間層
2の厚みを4.0μm以下とする必要があることがわか
る。
【0047】以上の実験結果より、非磁性支持体1上に
中間層2が設けられ、その上に磁性層3が形成されてな
る磁気記録媒体においては、中間層2の厚みを0.5〜
4.0μmとし、SRaを1〜145nmとすることに
よって、優れた電磁変換特性とスチル耐久性を有するも
のとなることがわかった。
【0048】実験2 ここで、上述のような構成の磁気テープについて、中間
層2に含有される微粒子5の粒径及び粒子含有率の変化
に注目して、電磁変換特性や耐久性の変化を調べること
にする。
【0049】本実験においては、中間層2に含有される
微粒子5の粒径及び粒子含有率を種々に変化させて、様
々な測定を行うためのサンプルテープを作成した。な
お、上記微粒子5としては酸化チタン、結合剤としては
ポリウレタン系樹脂、溶剤としてはメチルエチルケトン
が用いられた。
【0050】先ず、微粒子5の粒子含有率(体積含有
率)を変化させて中間層2を形成し、作成されたサンプ
ルテープにおいて、非磁性支持体1と中間層2との接着
力を測定した。なお、微粒子5として粒径95nmなる
ものを用い、中間層2の厚みを0.8μmと4.0μm
としたサンプルテープについて測定を行った。
【0051】なお、非磁性支持体1と中間層2との接着
力を測定するには、先ず、サンプルテープを長さ10c
m,幅8mmとし、このサンプルテープの中間層2が形
成された側に接着テープ(商品名3M#56)を張り付
けた。そして、接着テープの両端を測定機に固定し、サ
ンプルテープの一端を50mm/minなる引っ張り速
度にて引っ張り、非磁性支持体1と中間層2とが剥がれ
たときに懸けられていた力を測定した。
【0052】図7に、この測定結果を粒子含有率と接着
力の関係として示した。なお、図中、中間層2の厚み
0.8μmのものが□でプロットされ、中間層2の厚み
4.0μmのものが○でプロットされている。
【0053】図7より、接着力は、粒子含有率が大きく
なるほど減少することがわかる。接着力が低下すると、
中間層2が非磁性支持体1から剥がれ落ち、走行不良を
起こしてしまうため、この走行不良が発生しない接着力
レベルを確保する必要がある。
【0054】また、図8に上記接着力とドロップアウト
特性との関係を示す。なお、ドロップアウト特性は、相
対速度3.77m/秒としてサンプルテープを走行させ
たとき、7MHzの信号を記録再生したRF出力レベル
が−10dB10μsドロップアウトした数をカウント
したものである。記録再生にはソニー社製EV−S90
0基準機(TSS磁気ヘッド使用、ギャップ長0.02
μM、トラック幅20.5μM、ヘッドドラムからの突
き出し量18μm)を使用し、ドロップアウトは、・・
のドロップアウトカウンターでカウントした。
【0055】図8より、接着力が強いサンプルテープほ
どドロップアウトが少なくなることがわかり、必要なド
ロップアウト特性を得るためには、非磁性支持体1と中
間層2との接着力が0.62N以上であることが要求さ
れることがわかった。
【0056】したがって、上述の図7及び図8に示され
る結果より、0.62N以上の接着力を得るために、中
間層2における粒子含有率は80%以下とすることが必
要であるっことがわかる。
【0057】次に、種々の粒子含有率(15%,40
%,80%)を有するサンプルテープについて、当り特
性を測定した。なお、微粒子5として粒径95nmなる
ものを用い、中間層2の厚みを変化させて測定を行っ
た。また、当り特性の評価は、実験1で行ったものと同
様にして行った。
【0058】図9に、この測定結果を中間層2の厚みと
当り特性との関係として示した。なお、図中、粒子含有
率15%のものを△、40%のものを□、80%のもの
を○でプロットした。図9より、当り特性は粒子含有率
には依存せず、中間層2の厚みに依存することがわかっ
た。実験1にも示したように、中間層2の厚みを4.0
μm以下とすることによって、磁気ヘッドとの良好な接
触状態が得られる。
【0059】また、微粒子5の粒径及び粒子含有率を変
化させたサンプルテープについて、RF特性を測定し
た。なお、粒子含有率15%,40%,80%の3種類
のサンプルテープを種々の粒径の微粒子5により作成
し、中間層2の厚みは4.0とした。
【0060】図10に、この測定結果を粒径とRF特性
との関係として示す。なお、図中、粒子含有率15%の
ものを□、40%のものを○、80%のものを◇でプロ
ットした。
【0061】図10より、粒子含有率が大きいものほど
RF特性に劣り、粒径が大きくなるほどRF特性が劣化
することがわかる。0dB以上の出力を得るためには、
粒子含有率が40%の場合、粒径を95nm以下とし、
粒子含有率が80%の場合、粒径を80nm以下とする
必要があることがわかる。
【0062】さらに、微粒子5の粒径及び粒子含有率を
変化させたサンプルテープについて、スチル耐久性を測
定した。なお、粒子含有率15%,40%,60%,9
5%の4種類のサンプルテープを種々の粒径の微粒子5
により作成し、中間層2の厚みは4.0μmとした。ま
た、スチル耐久性の評価は、8個の磁気ヘッドに対して
クロッグが発生するまでの平均時間(分)とし、600
分で測定を打ち切った。
【0063】図11に、この測定結果を粒径とスチル耐
久性との関係として示す。なお、図中、粒子含有率15
%のものを◇、40%のものを○、60%のものを△、
95%のものを□でプロットした。
【0064】図11より、スチル耐久性は粒子含有率に
は依存せず、粒径に依存していることがわかる。粒径が
大きくなるほどスチル耐久性が向上すること、100分
以上の耐久性を得るためには、粒径を15nm以上とす
る必要があることがわかる。
【0065】さらに、粒径を15nmに設定し、粒子含
有率を変化させたサンプルテープについて、スチル耐久
性を測定した。なお、0.5μm,0.8μm,2.0
μm,4.0μmの4種類の厚みの中間層2を種々の粒
子含有率の微粒子5により作成した。スチル耐久性の評
価は、前述の測定と同様にして行った。
【0066】図12に、この測定結果を粒子含有率とス
チル耐久性との関係として示す。なお、図中、中間層2
の厚みが0.5μmのものを○、0.8μmのものを
◇、2.0μmのものを◇、4.0μmのものを△でプ
ロットした。
【0067】図12より、100分以上の耐久性を得る
ためには、中間層2の厚みが0.5μmより大きいもの
を用いる必要があることがわかる。また、中間層2の厚
みが0.5μmより厚いものについては、中間層2の厚
みにはスチル耐久性は依存せず、粒子含有率の大きいも
のほどスチル耐久性が向上していることがわかる。そし
て、100分以上の耐久性を得るには、粒子含有率を1
5%以上とする必要があることもわかる。
【0068】以上の実験結果より、非磁性支持体1上に
中間層2が設けられ、その上に磁性層3が形成されてな
る磁気記録媒体においては、中間層2に含有される微粒
子5の粒径を15〜95nmとし、粒子含有率を15〜
80%とすることによって、中間層2の表面性等を制御
できるので、優れた電磁変換特性とスチル耐久性を有す
るものとなることがわかった。
【0069】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、非磁性支持体1上に中間層2が設けられ、その
上に磁性層3が形成されてなる磁気記録媒体において、
中間層2の厚みを0.5〜4.0μmとし、SRaを1
〜145nmとすることによって、電磁変換特性の劣化
を抑えつつ走行耐久性の向上を図ることができる。
【0070】また、中間層2の表面性を適正化するため
に、含有される微粒子5の粒径を15〜95nmとし、
粒子含有率を15〜80%とすることが好ましく、これ
によって、電磁変換特性の劣化を抑えつつ走行耐久性の
向上が図られた磁気記録媒体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一構成例を示
す断面図である。
【図2】中間層の厚みとSRaとの関係を示す特性図で
ある。
【図3】SRaと出力との関係を示す特性図である。
【図4】SRaとスチル耐久性との関係を示す特性図で
ある。
【図5】当り特性を説明するためのRF波形を示す模式
図である。
【図6】中間層の厚みと当り特性との関係を示す特性図
である。
【図7】粒子含有率と接着力との関係を示す特性図であ
る。
【図8】接着力とドロップアウト特性との関係を示す特
性図である。
【図9】中間層厚みと当り特性との関係を示す特性図で
ある。
【図10】粒径とRF特性との関係を示す特性図であ
る。
【図11】粒径とスチル耐久性との関係を示す特性図で
ある。
【図12】粒子含有率とスチル耐久性との関係を示す特
性図である。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体 2・・・中間層 3・・・磁性層 4・・・トップコート層 5・・・微粒子
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 泰美 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 佐々木 利一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 本多 秀利 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小鹿 行広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、非磁性材料よりなる
    中間層と、金属磁性薄膜よりなる磁性層とが形成されて
    なる磁気記録媒体において、 上記中間層の厚みが0.5〜4.0μmであり、且つ、
    上記磁性層の表面粗さ(SRa)が1〜145nmであ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記中間層は、粒子径15〜95nmの
    微粒子を体積含有率で15〜80%含有していることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP13810093A 1993-06-10 1993-06-10 磁気記録媒体 Withdrawn JPH06349042A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6911272B2 (en) 2002-04-02 2005-06-28 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium

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