JPH06346145A - 表面性状に優れた高強度鋼板の製造方法 - Google Patents

表面性状に優れた高強度鋼板の製造方法

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JPH06346145A JP14321193A JP14321193A JPH06346145A JP H06346145 A JPH06346145 A JP H06346145A JP 14321193 A JP14321193 A JP 14321193A JP 14321193 A JP14321193 A JP 14321193A JP H06346145 A JPH06346145 A JP H06346145A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】スケール疵が無く表面性状に優れたSi含有高
強度鋼板の製造方法を提供する。 【構成】Siの含有量が 0.2〜3.0 重量%で、NiとC
uの含有量の和が0.01重量%以上でかつ、NiとCuの
含有量の比(Cu/Ni)が2以下である鋼片を1170℃
以上に加熱し、第1回目のデスケーリングを1200℃以下
の温度域で行い、熱間圧延する。 【効果】熱間圧延時に発生し易い赤スケールを島状にで
はなく鋼板の全表面に均一生成させる。これによってデ
スケーリング後のスケール疵の少ないSi含有高強度鋼
板を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延時に発生し易
い島状スケール疵の少ない、表面性状に優れたSiを含
有する高強度鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の燃費を向上させる手段の一つと
して車体の軽量化がある。高強度鋼板を用いれば、従来
よりも薄い厚みで車体に必要な強度を満足させることが
できるので、車体の軽量化が可能である。これらの用途
に用いる鋼板には、成形性の良さが要求されるので、高
強度化はフェライト組織を固溶強化させることによって
行うのが望ましい。
【0003】フェライト組織を固溶強化させるには、
P、Si、Mn等を添加すれば良いのであるが、Pは鋼
の脆化をまねくのでさほど添加できず、Mnは高価であ
る上に鋼板の延性を低下させてしまう。Siは延性をそ
れほど低下させず、原料も安価であるが、次のような問
題がある。
【0004】1)スケール疵の発生 図3はSi含有鋼材に発生するスケールがデスケーリング
および圧延の前後でどのように変化するのかを説明する
鋼材表面一部分の断面模式図である。図3(a)に示す
とおり、Siを含有する鋼材を加熱すると、FeO(ウ
スタイト) と地鉄との界面近傍には FeO−Fe2SiO4(ファ
イアライト) 共晶化合物層が形成される。この層と地鉄
とは複雑に噛み合っているので、デスケーリングによっ
て完全に除去することができず、共晶化合物と、この共
晶化合物内に複雑に入り込んだ FeOが鋼材表面に残存す
る (図3(b))。その後の圧延工程で FeOは粉砕されなが
ら空気と接触してFe2O3(ヘマタイト) となって鋼材の表
面に押し込まれる。このようにして鋼材の表面に赤スケ
ールと呼ばれるものが発生する (図3(c))。この赤スケ
ールは鋼板表面に不均一に(島状に)発生するので島状
スケールとも呼ばれるが、鋼材の外観を損ない、酸洗後
もその部分が凹んだスケール疵として残るので、疲労破
壊の起点となりやすい。
【0005】2)溶融亜鉛めっきにおけるめっき不良 前述のようにしてスケール疵が発生した鋼材であって
も、冷間圧延を施せばこの凹みを消滅させることができ
るが、黒スケール(FeO、Fe3O4 を主体とする緻密なスケ
ール) が発生した部分と赤スケールが発生していた部分
とでは、鋼の表面付近の化学組成に違いがあるので、溶
融亜鉛めっきの際の合金化が不均一に進行し、めっきむ
らを生じる。
【0006】鋼材の強度をあげる方法としてSiを添加
するにはこれらの問題を解決しなければならず、従来よ
り下記のような対策が考えられてきた。
【0007】(a) 成分による対策 特開平3−72031 号公報および特開平3−79718 号公報
の発明は、表面性状を均一化するために、鋼板のSi含
有量を増やして鋼板全面に赤スケールを発生させようと
するものである。しかし、これだけの対策では鋼板全面
に均一に赤スケールを安定して発生させることができな
い。特に鋼板のSi含有量が比較的少ない場合、鋼板の
全面にわたって赤スケールを発生させることは困難であ
る。
【0008】(b) 加熱炉の酸化状態を変えることによる
対策 特開平1−246318号公報には、加熱する前のスラブ表面
に CaO、 MgO等の酸化物を塗布しておき、加熱炉中にお
ける表面酸化状態を変化させてスケールと地鉄との界面
の状態を改良する方法が記載されている。しかし、スラ
ブ表面に均一に酸化物を塗布することは極めて困難で手
間の掛かる作業である。しかも、この方法は鋼板の裏面
に適用するのが困難である。
【0009】特公昭60−15682 号公報の発明は、加熱炉
雰囲気の空燃比を制御してスラブ表面の酸化状態を変化
させるものであるが、燃焼効率等の制約があって空燃比
を制御できる範囲が限られており一般には使用できな
い。
【0010】(c) デスケーリングによる対策 メカブラシ等を用いて、島状スケールを除去しようとい
う試みもなされているが、高温の鋼材を対象とするので
メカブラシの寿命が短いために有効な方法とは言い難
い。
【0011】特公昭60−1085号公報の高圧水ジェットに
よる方法は、ある程度圧延を行った後で高圧水を噴射し
て、島状スケールを除去する方法であるが、高圧水ジェ
ットを用いる場合、ノズルの消耗が激しくメンテナンス
に問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、鋼板の
強度の向上を目的としてSiを添加する際に問題となる
スケ−ル疵の発生を防止するために幾多の技術改善がな
されてきたが、十分満足できる解決手段は未だ見出され
ていない。本発明は、この問題を解決し、Siを添加し
た高強度の、しかも表面性状に優れた高強度鋼板の製造
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【問題を解決するための手段】本発明は、『Siの含有
量が 0.2〜3.0 重量%で、NiとCuの含有量の和が0.
01重量%以上でかつ、NiとCuの含有量の比すなわち
Cu/Niが2以下である鋼片を1170℃以上に加熱し、
第1回目のデスケーリングを1200℃以下の温度域で行
い、熱間圧延することを特徴とする表面性状に優れた高
強度鋼板を製造する方法』を要旨とするものである。
【0014】本発明の対象として好適な鋼板は、上記の
Si、NiおよびCuの外にC:0.2 重量%以下、M
n:0.1 〜3.0 重量%以下、P:0.05重量%以下、S:
0.02重量%以下、その他必要に応じNb、VおよびTi
等を含む鋼である。
【0015】
【作用】本発明の基本的な考え方は、通常、島状に生成
する赤スケールを鋼板全面に生成させることによって、
鋼板表面を均一な性状にするという点にある。
【0016】この考え方は、前述の特開平3−72031 号
公報および特開平3−79718 号公報の発明と共通する
が、本発明においては鋼板のNiとCuの含有量、
熱間圧延前の鋼片(スラブ)の加熱温度、加熱ロール
から抽出した後の第1回目のデスケーリング温度を適正
に選ぶことによって鋼板の全表面への均一な赤スケール
の生成を促すのである。
【0017】本発明者らは、島状スケールの発生に大き
く影響を及ぼす元素として、Si以外にNiやCuもあ
ることを知った。通常、いかなる鋼種においても製銑原
料に由来する微量のNiおよびCuは混入している。後
に記述するように、NiおよびCuは赤スケールの生成
を促進する元素であるが、鋼中に不可避的に混入するN
iおよびCuを減らすことは極めて困難である。本発明
者らは、鋼中のNiおよびCuを除去することが困難な
らば逆にNiおよびCuの島状スケールの生成を促進さ
せる性質を積極的に利用することを考えた。そしてNi
およびCuを特定量含有する鋼板を1170℃以上で加熱
し、第1回目のデスケーリング温度を1200℃以下で行
い、熱間圧延すれば、鋼板の全表面に島状スケールを均
一に発生させることができ、その結果鋼板の全表面を赤
スケールで覆うことができることを確認した。
【0018】鋼板全表面を全面赤スケールで均一に覆う
ことができれば、鋼板表面に局部的に発生して、スケー
ル疵やめっき不良の原因となる島状スケールの問題点を
解消することができる。
【0019】島状スケールの発生に対するNiおよびC
uの影響は次のとおりである。
【0020】図1はSi含有鋼とその表面に発生するス
ケールとの界面が凹凸状になることを説明するための鋼
(地鉄)とスケールとの界面の模式的断面図(図3より
も更に拡大されている)である。先に図3を用いて説明
したように、Si含有鋼では、地鉄とウスタイト(FeO)
の層との間に FeO−Fe2SiO4(ファイアライト) 共晶化合
物層が形成される。このとき、粒界が選択的に酸化され
て、共晶化合物が粒界に侵入する形となるので、地鉄に
は凹凸が形成される。
【0021】一方、図1(a) に示すように、このファイ
アライト層の発達にともなって、地鉄の表層部でも酸化
が進行し、内部酸化物が生成する。これらの内部酸化物
は成長して、Mn2SiO4 等として上部の共晶化合物層に取
り込まれ、それが抜けた跡は地鉄の凹部となる。ところ
が酸素との親和力が小さいNiおよびCuは地鉄内に取
り残されて濃化するので、酸化時間が長くなっても酸化
されずに地鉄の凸部となって残存することになる。この
ようにして地鉄とスケールとの界面は図1(b)に示すよ
うな凹凸状になるのである。
【0022】凹凸の激しい地鉄と噛み合っているスケー
ルは、先に説明した通り通常のデスケーリングによって
取り除くことができないので、共晶化合物層の上部に残
存している FeOがその後の圧延の際に粉砕されながら空
気と接触してヘマタイトとなり鋼材の表面に押し込まれ
る。このようにして鋼片の表面に赤スケールが発生する
のである。島状スケールとは、赤スケ−ルが鋼片表面上
に部分的に発生したものである。
【0023】発生する赤スケール量は、Si含有量以外
にNiおよびCu含有量にも依存している。つまり、前
記の地鉄内に取り残されるNi含有量とCu含有量が多
ければ地鉄の凹凸化が激しく、しかもそれが全面にわた
って起こるので、地鉄と噛み合っているスケールもほぼ
全面にわたって残存し、全面赤スケ−ルとなる。Ni含
有量とCu含有量が少ない場合は、地鉄の凹凸は局部的
に起こり、その上に残存するスケールが部分的な赤スケ
ール即ち島状スケールとなる。
【0024】全面赤スケールを安定して発生させるため
に、次の条件を満たす必要がある。
【0025】(1) Si含有量について Siは鋼を高強度化するために必要不可欠な元素である
とともに赤スケールの生成を促進する。赤スケールを安
定に生成させるためには、デスケーリング性を低下させ
て、デスケールによって、地鉄と噛み合っている共晶化
合物が取り除かれないようにしなければならない。その
ためには、鋼中のSi含有量は多い方が望ましいが、次
に述べるNiおよびCuと共存する場合、Siは 0.2重
量%以上であれば目的は達成できる。このSiは、高強
度鋼板に要求される強度を確保する上からも0.2 重量%
以上は必要である。一方、あまりSiを添加し過ぎると
溶接性が悪化し、また冷間圧延の際にエッジ割れが生じ
易くなるので含有量の上限を 3.0重量%とした。
【0026】(2) NiおよびCuの含有量について すでに述べたようにNiおよびCuは赤スケールの生成
を増大させる。Ni含有量とCu含有量の和が0.01〜0.
02重量%程度でもスラブ加熱段階でスケールと鋼との界
面にNi−Cu合金として濃化し、界面に複雑な凹凸を
形成するので、鋼板全面に赤スケールを生成させるのに
役立つ。しかしながら全面に赤スケールを容易に生成さ
せるにはNiおよびCuの含有量の和が0.02重量%以上
であることが望ましい。
【0027】ただし、Cuの含有量がNiのそれと比較
して多すぎる場合は、Cuの融点(1085℃)が低いため
に界面の局部濃化は起こらず均一に拡散する。そうする
とスケールと鋼との界面の凹凸は発生しにくくなり、赤
スケールが出にくくなる。またCuの含有量が多いと溶
融したCuが粒界に侵入して鋼界面が脆化してしまう恐
れがある。適切なCuとNiの含有量の比(Cu/N
i)は2以下である。
【0028】NiおよびCuの含有量の和の上限につい
ては、特に限定する必要はないが、本発明の対象となる
Si高強度鋼板は、自動車車体用等の量産品で価格が安
価であることを必要とするので、高価なNiを多量添加
することは望ましくない。またCuも上記の理由で多量
添加することは望ましくない。実用上NiおよびCuの
含有量の和の上限は 0.5重量%程度となろう。
【0029】以上のようにNiとCuの含有量について
述べたが、必ずしも両方含有しておらねばならないわけ
ではなく、Niのみ含有する場合でも上記の働きをす
る。つまり、NiとCuの含有量については含有量の和
が0.01重量%以上でかつ、NiとCuの含有量がCu/
Ni≦2を満たしておけばよい。
【0030】(3) 加熱温度(加熱炉抽出温度)について 加熱温度(加熱炉抽出温度)の下限を1170℃とする理由
は、この温度より低温での加熱ではファイアライト共晶
化合物の地鉄中への侵入度が小さく、スケールと鋼との
界面が凹凸状に入り組む状態にならない。従って、後の
デスケーリングでスケールが除去されやすく、熱間圧延
後に鋼板には部分的に赤スケールが生じた状態になって
しまう。また、鋼板の加熱温度が低すぎると熱間圧延の
際の圧延荷重が大きくなりすぎるという別の問題も発生
する。
【0031】加熱温度の上限については特に限定する必
要はないが、加熱炉抽出温度によって、必然的に第1回
目デスケーリング温度が決定してしまう装置で本発明方
法を実施する場合は、第1回目デスケーリング温度が12
00℃以下となる加熱炉抽出温度にしなければならない。
第1回目のデスケーリング温度については次に述べる。
【0032】(4) 第1回目のデスケーリング温度につい
て 第1回目のデスケーリングとは、加熱炉から抽出した
後、圧延前および圧延中に行われるデスケーリングの最
初のものである。この温度は1200℃以下とする。
【0033】第1回目のデスケーリング温度が高すぎる
とこのデスケーリングの際、スケールと鋼との界面のフ
ァイアライト共晶化合物 (共晶点:1173 ℃) が溶融状態
となり容易に除去される。その際、当然ながら共晶化合
物層の上部に存在するFeO 層も一緒に除去されてしまう
ので、圧延後にFeO が酸化された結果として形成される
赤スケールは発生しない。そこで第1回目のデスケーリ
ング温度は高圧水による冷却も考慮して、1200℃以下と
する。
【0034】なお、第2回目以降のデスケーリングは、
当然第1回目のそれより低温で行われることになるの
で、その温度は特に限定するに及ばない。
【0035】次に本発明の対象として好適な鋼板の成分
について説明する。
【0036】Si、NiおよびCuについては前記のと
おりである。
【0037】(1) Pについて Pは固溶強化能の最も大きな元素である。しかしあまり
多く添加すると、スケールと鋼の界面でスケール側に濃
化するので、デスケーリング性が良くなり、全面赤スケ
ールの発生を妨げる。またPが過剰になると粒界脆化の
原因となるので0.05重量%を超えて含有させるのは好ま
しくない。
【0038】(2) Sについて SはPと同様にスケールと鋼の界面に濃化して、スケー
ルの剥離性を良くし、全面赤スケールの発生を妨げる。
また一方でSは鋼の機械的特性(特に熱間加工性)を劣
化させる有害な元素である。熱間脆化を防ぐのに十分な
量のMnと併用するのであればSを含有してもよいが、
その量は0.02重量%以下であるのが望ましい。
【0039】(3) Mnについて Mnを多く含有すると鋼が固溶硬化して延性が低下する
ので3.0 重量%を超えて含有するのは好ましくない。ま
たSの熱間脆化硬化作用を抑制するためには0.1 重量%
以上含有するのが良い。 (3) Nb、VおよびTiについて Nb、VおよびTiはいずれもフェライト地に炭化物と
して析出し、鋼板のさらなる高強度化に有効な元素なの
で、必要に応じてこれらの元素を1種類以上含有しても
よい。ただしいずれの元素も0.005 重量%未満では所望
の効果が得られない。これらの元素を含有させる場合に
は、TiおよびNbは 0.005〜0.10重量%、Vbは 0.0
05〜0.20重量%とするのが望ましい。
【0040】
【実施例1】表1は、実験に用いた試料鋼板の化学組成
を示したものである。表1に示すAからPまでの成分の
鋼を溶解して赤スケールの再現実験を行った。表2は試
験温度および結果をまとめたものである。
【0041】試験方法を図2によって説明する。加熱炉
1を用いて、それぞれの試料鋼板が表2の加熱炉抽出温
度となるように大気中で2時間加熱し、1次スケールを
生成させた。その後表2のデスケーリング温度で図2の
デスケーラ2を用いて第1回目のデスケーリングを行
い、F1の圧延機で圧延した(鋼片の厚さ30mm→25m
m)。
【0042】さらに鋼片を再度F1入側へ戻して40秒待
機させて2次スケールを発生させ、再度デスケーラ2で
デスケーリングを行った後、F1、F2およびF3の圧
延機で圧延を行い、その後水冷した。なお、デスケーリ
ングは、ノズル出口圧力が 120kgf/cm2 の高圧水を噴射
して行った。その後、鋼板上に残存している赤スケール
の面積率を観察し表2に併記した。
【0043】表2に示すとおり、Si量、Ni量、Cu
量、加熱炉抽出温度および第1回目のデスケーリング温
度が本発明で定める範囲内であれば、赤スケール面積率
が60%以上となり、鋼板はほぼ全面が赤スケールで覆わ
れた状態になっていた。一方、本発明で定める範囲外の
条件では、赤スケール面積率は低く、鋼板表面には不均
一な島状スケールが発生していた。またCu量が多いP
材ではスラブ割れによる表面疵が発生した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【実施例2】実施例1ではデスケーリングを施す回数が
少ないために、鋼板表面は全面赤スケールになり易い。
したがって、実機のライン(デスケーリング回数12回
程度)で実際に熱延を行って、鋼板表面が全面赤スケー
ルになるかどうかを確認する必要がある。そこで上記A
〜P材を図4に示す熱延ラインにおいて表3の条件で熱
間圧延した。
【0047】表1に示す化学組成を有する鋼を溶解し、
連続鋳造して得た鋼片(スラブ)を加熱炉で加熱し、熱
間圧延ラインで板厚300mm のスラブから3.8mm(板幅1600
mm)に圧延し、赤スケールの発生状況を調査した。
【0048】加熱炉抽出温度および第1回目のデスケー
リング温度は表3に記載の温度となるように調整した。
なお、デスケーリングヘッダーは、図4に示すように熱
延ライン上の合計12か所(図中のA〜L)に設けてあ
る。図中のR1〜R6は粗圧延機、F1〜F7は仕上圧
延機である。
【0049】表3に示すように、Si量、Ni量、Cu
量、加熱炉抽出温度および第1回目デスケーリング温度
(デスケーリングヘッダーAによるデスケーリングの際
の鋼板の温度)が本発明で定める範囲内であれば、赤ス
ケール面積率が90%以上とほぼ全面赤スケールとなっ
た。一方、本発明で定める範囲外の条件では、赤スケー
ル面積率は低く、鋼板表面には不均一な島状スケールが
発生していた。またCu量が多いP材ではスラブ割れに
よる表面疵が発生した。
【0050】全面が赤スケールで覆われた鋼板を14%HC
l 水溶液、液温80〜90℃の条件で酸洗したところ、全面
にわたって均一に赤スケールを除去することができ、従
来から問題となっていたスケール疵の殆どない鋼板が得
られた。この鋼板を冷間圧延し、亜鉛めっきを施した結
果、めっきむらの問題は全く発生しなかった。
【0051】
【表3】
【0052】
【実施例3】表4および図5は、鋼中のNiとCuの含
有量と赤スケール面積率の関係を示したものである。鋼
中のSi量を0.7 重量%程度とし、NiとCuの含有量
だけを変化させた鋼片について、加熱炉抽出温度1220
℃、第1回デスケーリング温度1050℃の条件で、図4に
示した装置で熱間圧延を行って赤スケールの発生状態を
調べた。
【0053】表4および図5から明らかなように、鋼中
のNiとCuの含有量を増加させるほど赤スケール面積
率は上昇している。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明方法によれば、熱間圧延時に発生
し易い島状スケール疵が少なく、表面性状に優れた高強
度Si含有鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si含有鋼とその表面に発生するスケールとの
界面が凹凸状になることを説明する鋼板表層部の模式的
断面図である。
【図2】実験で使用した熱間圧延ラインの概略図であ
る。
【図3】Si含有鋼材に発生するスケールがデスケーリ
ングおよび圧延の前後でどのように変化するのかを説明
する鋼板表層部の模式的断面図である。
【図4】実施例で使用した実機の熱間圧延ラインの概略
図である。
【図5】NiおよびCuの含有量と赤スケール面積率と
の関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Siの含有量が 0.2〜3.0 重量%で、Ni
    とCuの含有量の和が0.01重量%以上でかつ、NiとC
    uの含有量の比(Cu/Ni)が2以下である鋼片を11
    70℃以上に加熱し、第1回目のデスケーリングを1200℃
    以下の温度域で行い、熱間圧延することを特徴とする表
    面性状に優れた高強度鋼板の製造方法。
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